阿久根市の竹原信一市長奮戦記

Re::れんだいこのカンテラ時評889 れんだいこ 2011/01/17
 【竹原前市長の阿久根市出直し市長選惜敗考】

 2011.1.16日、鹿児島県阿久根市の出直し市長選についてコメントしておく。結果は、竹原信一前市長(51歳)が惜敗し、西平良将市長(37歳)が初当選した。新市長は、1.17日、竹原氏の専決処分で副市長に選任された仙波敏郎氏(61歳)を同日付で解任した。これは事実確認である。ここでは、その是非は問わない。

 問題は投開票である。れんだいこは、先の民主党代表選以来、選挙の公正さが信じられなくなっている。騒がれていないので問題はなかったのであろうが安心できない。これからは、コンピューター処理する場合には、あくまでそれは一次確認として、最終的には人手で二次確認すべきではなかろうか。或いは、コンピューターで票仕分け、集計、これを人手確認すると云うミックス型にすべきではなかろうか。当然、後日の証として、投票用紙は数年間は厳重保管の上いつでも再確認できるよう保存されねばならない。役所の帳簿の保存義務と同じ理屈である。

 なぜこういうことを云うのか。最近、国政選挙、地方選挙を問わず、これまでの日本では考えられなかった選挙の投開票疑惑が付きまとい始めているからである。公正選挙は戦後民主主義の根幹であり、ここを揺るがせにしてはならない。ここのネジとタガがずいぶん緩み始めているのではなかろうか。重箱の隅をつつくような正義は流行るが逆に肝心要なところが粗雑になりつつある気がしてならない。

 不正選挙疑惑現象がいつ頃から始まったのか分からないが、確か小泉辺りからではなかろうか。衆院選だか参院選だかは忘れたが、神奈川県のどこかの選挙区で投票者数より多い投票数が露見したことがある。選挙結果を揺るがす事態ではなかったので注目されなかったが、有り得て良い訳がない。

 それまでは、選挙に於いて金権実弾が飛び交おうが、企業丸抱え選挙でひんしゅくを買おうが投開票自体の公正、選挙結果に対する真摯な受け止め方が作法として確立していたと思われる。それが次第に怪しくなりつつある。日本が次第に後進国化しつつあると云うことになろう。

 その最たる疑惑が先の民主党代表選であった。有権者自体が杜撰で、党員でもない者に投票用紙が配られたり、党員に配られなかったりした。最大の疑惑は開票処理である。れんだいこの記憶によると、あろうことか開票作業をイカガワシイ外部業者に任せ、どんな操作がされているか分からない疑惑の多いコンピュータ仕分けで集計し、それを人手で再確認しようにも投票用紙そのものが行方不明にされている。選挙管理委員会が全く機能していない、と云うかグルになっている。

 こういう不祥事から生まれたのが菅代表であり菅政権となっている。出生からして怪しげな政権と云う訳である。その政権が、政治と金問題で小沢どんを執拗に政治訴追し議員辞職まで迫ろうとしている。小沢どんは政治資金収支報告書に1円まで記載しているのに、菅の如く架空団体をデッチあげていい加減な届け出をしている側が免責され、それを良いことに小沢どん資金の天の声まで精査せよとオカシなことを云い続けている。

 加えて、こたびの菅政権人事はまたもヒドイ。党内を二分する小沢派を徹底的に排除し、要職を菅派の身内で固め、しかも一人何役も重職させて登用機会を阻んでいる。あろうことか、連立党派でもない他党派の共同代表を一本釣りして悦にいっている。選挙を公正にできない者は人事も公正にできないと云う見本だろう。

 党内議論を得ているマニュフェストを実行せず、党内議論を得ていない消費税やら環太平洋連携協定(TPP)には首ったけと云うお粗末さである。云うところの官邸主導政治が国会不要の官邸独裁政治でしかないことを明らかにしつつある。そう云えば、官邸主導政治なるものも小泉が持ち出したものである。この手法を引き継ぐ鳩山派、菅派が小泉ラインと繫がっている、或いは政治手法的に近いと云うことを示していよう。ここへ来て小泉ラインが元気良いのも裏で繫がっているからだろう。

 もとへ。こたびの阿久根市の出直し市長選には今のところ、先の民主党党首選のような「抜き取り差し替え不正疑惑」があったとは思えないが、報道のされ方にケチがついている。というのも、1.16日、午後7時20分、この時点において一部報道が「西平良将氏、当選確実」を報じていると云う。「投票締切は午後7時。開票は午後8時10分から」であることからすれば、この報道は開票1時間前の当確発表と云う椿事になる。結果は、西平氏8509票、竹原宇治7645票、その差864票で間違いではなかったが、投票者数1万6244名の約5%の僅差である。

 万一にも「西平良将氏、当選確実」が虚報となったら、どういう責任をとるつもりだったのだろうか。と云うか、絶対間違いないとして「西平良将氏、当選確実」を報じた背景には何があったのだろうか。事前調査、出口調査だけで特報できるだろうか。「西平良将氏、当選確実」しか有り得ない絶対根拠を握っていたのではなかろうか。と云う疑惑が疑惑を呼ぶ「開票1時間前当確速報」である。今後マスコミがこの手の先陣争いに向かうとすれば、何やら選挙に行くのがアホらしくなる。

 さて、竹原信一前市長の落選に際して、その功績を確認しておかねばならない。れんだいこは、竹原前市長が公開した氏名を伏せたうえでの市職員の給与、退職金公開の意義を高く評価している。名物市長、知事多々あれども、自治体の給与経理を全公開したのは竹原前市長以外にはない。

 その衝撃は、「阿久根市の税収20億円のうち、全職員の人件費総額は約17億3千万円。年収700万円以上の職員が54%」と云う実態をあきらかにしたことにある。信じられないが、税収の85%が職員給与と云うことになる。市政が職員を養うための税収徴収団体になり下がっている現実を暴露した。

 この波紋は大きい。なぜなら、こういう実態は独り阿久根市だけでなく他の市町村団体も同様なのではないかとの推測を生むからである。公務員よエエ加減ニセンカイと云うことになろう。これを埋め合わせるために市も県も国も借金し続けており、そのツケが追って市民、県民、国民に回されることになる。このことを明らかにしたのが、竹原前市長の市職員の給与、退職金公開の意義であった。まさに論より証拠の一刀であった。

 菅政権は今、財政再建の名目で消費税増税を画策している。しかし、民主党の元々の政策は、竹原前市長が明らかにしたような政治の腐敗にメスを入れ、世の根本的立て替え、世直しを優先するところにあった。つまり増税後回し論であった。今、レンボウ式事業仕分けでお茶を濁して増税優先論に切り替えしている。しかも党内論議を経ている訳ではない。

 菅派は、党中央の云うことはその通り式権力棒で党内を威圧しながら、中曽根-小泉系譜の与謝野を召し抱えて遮二無二突っ走ろうとしている。その理由は、この道を行けば政権安泰、聞かなければワシントンの一声で朝の露と消えてしまうことを知る我が身の保身による政治の私物化でしかない。見えてくるのは御用聞き派の粗脳特有の軽薄な生態のみである。

 2011.1.17日 れんだいこ拝





(私論.私見)