公益法人法読解 |
(最新見直し2013.07.29日)
【公益法人法読解】 |
公益法人法とは何かについて確認しておく。「新公益法人法」は、消費税やTPP、公営企業の民営化と違って一般の人には直接関係しない。そういう意味で盲点にされているが、危険な事の本質は何ら変わらない。結論から言えば、従来の公益法人の自主的自律的在り方を大きく歪め、これをも国(監督官庁)の強権的な統制下に置こうとするものであるという意味で日本の国の在り方に大きな影響を与える「重要なもう一つの改悪」である。かく理解せねばならない。 これなるものは、小泉政権の「聖域なき構造改革」の一つとして強行されたものである。小泉政治の内政上の悪政の主力は郵政事業の民営化、「道路など特定財源の見直し」であったが、公益法人法による特殊法人、認可法人、公益法人の見直しもかなり重要なものである。当時、石原伸晃・行政改革担当相のもとで具体化に向けて一気に進められた。他にも「規制緩和」があるが、これはここでは言及しない。 公益法人法の経緯について確認しておく。 2003(平成15)年6月、小泉政権下で、「公益法人制度の抜本的改革に関する基本方針」が閣議決定された。同方針に基づき行政改革担当大臣の下に「公益法人制度改革に関する有識者会議」が設置された。同会議は2004(平成16).11月に報告書をまとめ、これに基づき公益法人制度改革関連の3法案が立案された。2006(平成18)年3月10日、国会に提出され、衆参の行政改革に関する特別委員会での審議を経て5月26日に参議院本会議で可決、成立した。3法は6月2日に交付されている。これを、いわゆる「三法人改革」と云うが、ここでは一括して仮に「新公益法人法」、それ以前の関連法を仮に「旧公益法人法」と命名することにする。 「新公益法人法」のデタラメぶりは、従来の旧公益法人法が認定していた公益法人の公益性を極端に狭めて解釈し、新たな公益性を過度に強調し、これに基づき従来の公益法人に対する理不尽な締め付けを行うことにある。新法によれば、従来の公益法人を一般社団法人(財団法人を含む)と新たに認定される公益社団法人(財団法人を含む)に分け、税制面での優遇措置に差を設けることになる。この結果、招来するのは監督官庁の権限強化であり、既に大相撲協会、柔道連盟に対する露骨な人事介入が行われている。これが、それぞれの業界の自由自主自律的経営に由々しい事態を招いている。まさに公益法人の独立性が毀損されつつある。 仮に、監督官庁の権限強化を通して、その人事介入が適正なものであれば大過ない。問題は逆行裁定し続けるとしたらどうなるかの問題である。公益法人は新たな公益性を過度に強調されなくても、その全般的な活動が総合して公益性を証していれば特段に問題にされるに及ばない。であるところ、子供じみた公益性を要件にされることにより却って活動がいびつにされつつある。現にこれまで存続してきたものを一挙に改変せしめる合理的理由は見当たらない。 この問題は、小泉政権下で何が故にかくも「新公益法人法」制定に固執したのかを解明するところにある。結論は、監督官庁の公益法人に対する規制強化であり、その監督官庁を支配する権力による規制強化であると云うことになる。監督官庁を支配する権力から見て、公益法人は対日支配の最後の壁でもあった。個別的に官庁、企業の支配権を得たものの、裏権力的に存在する公益法人をも手中にせねば支配できないと見て、従来の公益法人に鉄槌を加え、従順な子羊にするべく改造を企図したものが「新公益法人法」の本質である。 これを財源論の見地から説くこともできる。これを是認する側からなすのはピンボケで、公益法人が溜め込む財源が狙われていると評するべきであろう。ハゲタカファンドから見て、郵貯、年金、日本を公益法人の財源が狙われており、その収奪に向けての姦計が廻らされていると解せねばならない。「新公益法人法」の公益性の過度の強調は、これを理屈づけるためのものでしかない。こう解せず、公益性の過度の強調に得心する者は容易に誑かされる習癖がある者であることを自認せねばなるまい。何とならば、公益法人の整理統合は必要であるとしても、それは「公益性の過度の強調」による必要はないからである。実態調査と精査で合理的に進めることができるからである。 その他様々な検証が可能であろうが、ろくなもんではないと認識するのが正しい態度である。れんだいこ的には著作権の強権化と重なって見え、公益法人に対する強権化も始まったと解している。永らく規制緩和が求められているが、国内行政的に必要な規制緩和は一向に緩和されず、ハゲタカファンドの活動を容易にさせる為の規制緩和ばかりが進行しつつあり、国内行政的には却って規制強化となりつつあると云う認識が欲しい。 |
れんだいこのカンテラ時評№1157 投稿者:れんだいこ 投稿日:2013年 7月29日 |
毎日新聞社説「全日本柔道連盟 最後通告と受け止めよ」考 今日7月29日付けの毎日新聞社説「全日本柔道連盟 最後通告と受け止めよ」を見たかや。れんだいこは、その超高圧的な物言いにはらわたが煮えくり返った。誰が執筆したのか知りたいが無署名なので関係者しか分からない仕掛けにされている。本来は堂々と署名入りで書くべきだろう。卑怯姑息千万である。 社説はいきなり「これは最後通告だ」と来る。こういう言い方でナベツネ系のものであることが分かる。ターゲットは、全日本柔道連盟の上村春樹会長である。上村春樹会長を放逐したい魂胆のみが透けて見えてくる。社説は、内閣府公益認定等委員会の圧力を是認し、同委員会の「組織の解体的出直しを求める勧告」を錦の御旗にしている。「税制優遇措置を受けられる公益財団法人の認定を取り消す」の脅しを当然視している。 ご丁寧なことに、「自立の組織運営を目指すスポーツ界にとって極めて不名誉なことだ。他の競技団体も対岸のこととして見過ごすべきではない」とまで述べている。ここで云う他の競技団体とは大相撲協会を念頭に置いているものと思われる。昨今、相撲と云い柔道と云う国技の団体が執拗に圧力をかけられているが、これは何に起因しているのだろうか。 もとへ。社説は、勧告の内容を説き明かした後、「執行部に対する事実上の辞任勧告と言える」と解説し、これを当然視している。即ち監督官庁の公益法人に対する人事介入をも是認している。そればかりではない。上村会長が会長職だけでなく理事職も辞任する意思を固めたことに対し、「遅きに失した感はあるが、一歩前進と受け止めたい」とコメントし、さらには、上村氏が講道館館長の職にとどまることがケシカランとして、「柔道に関係する一切の公職から身を引くことが上村会長に残された道だ」で結んでいる。 おいおいそこまで云うかよ。何を論拠としているのか分からんがエライ張り切りようではある。ところで、社説士のこの威勢の良さはどこから生れてくるのだろう。裏の筋から上村春樹会長追い落としのペンを振るえと背中を押されて書いただけのことであろう。何とならば、まともなジャーナルなら、大相撲協会にせよ柔道連盟にせよ自主的自律的運営を尊び、その上で健筆を振るうのが筋だからである。小泉政権下で仕立てられた新公益法人法に何の疑問も湧かさず、錦の御旗として振りまくっているのも酔狂が過ぎよう。 れんだいこが、この社説士に返歌しておく。かくなる社説を書いた以上、「毎日新聞のみならず一切の報道関係職から身を引くことが君に遺された道だ」。 こういうお調子者に社会的公器をいじらせてはいけない。この御仁は権力駆使の限度をわきまえず、絶頂の断崖まで上り詰めている。こうなると断崖から落とされるのは上村春樹か毎日新聞社説士か。れんだいこは、毎日新聞社説士をこそ突き落とそうと思う。新聞協会が、この限度を超えた煽り社説を問題として採り上げ、この論説氏に対する適宜なる処分に向かわれることを期待して結びとする。 |
(私論.私見)