制限速度考

 更新日/2023(平成31.5.1栄和改元/栄和5).5.23日

 (れんだいこのショートメッセージ)
 ここで、制限速度の法的意味を確認しておくことにする。「交通ルールは守れない」その他を参照する。

 2012.02.28日 れんだいこ拝 


【制限速度としてではなく指導速度と解すべきではないか考】
 交通法規上の速度規制について現行の規定はオカシイ。いわゆる杓子定規の典型で実情に合わないことおびただしい。これは偏に法哲学的な考察が欠如していることに起因している。どういう意味かと云うと、交通法規上の速度規制は、現行の速度標示は表示速度を越えてはいけないとするものであるが、本来の意味では安全運転基準を示したものであり、いわば指導的なモデル速度(以下単に「指導速度」と表記する)として打ち出されているとすべきではなかろうか。こう理解することによって、現行の規制の如く毎時1qオーバーでも違反は違反とするような法匪規制に堕する必要がなくなる。指導速度として理解すれば、これより毎時20−30q前後が安全基準となり、この範囲でのドライバーの自由な裁量が許されることになる。実際の運転はこの理解に従っており何ら不都合を発生していない。然るに、取り締まり当局側が、平素はモデル速度的に扱いながら、俄かに杓子定規規制を持ちだしてスピード違反で検挙するのを常習化させている。いわば取り締まり詐欺とでも云うべき生態にある。

 指導速度として了解すれば全てが整合する。然るに最高速度規制とすればいろんなところで齟齬を生じる。例えば、片側2車線以上の道路では左側が走行車線、右側が追い越し車線とされている。この追い越し車線の命名が、指導速度ならば何の疑問も起らないが、制限速度とする場合には問題が起る。つまり、仮に走行車線を毎時70qで走行する車両に遭遇した場合、後続車両は追い越し車線に出ることは許されないのだろうか。仮に追い越し車線に出た場合に、毎時70qで走る走行車線車両を毎時80qで追い越すには何キロ走行せねばならなくなるだろうか。毎時70qで走る走行車線車両の前に車が列(つらな)っているとしたら、一気に抜いて走行車線に戻ることは許されないのだろうか。交通安全上は、追い越し車線を時速80qで走り続けること自体の方が危ないのではなかろうか。

 指導速度として了解すれば何ら問題なく解決するのに、実際の運行は指導速度的了解でやり取りしているのに、最高速度規制定規で検挙するから話しがややこしくなるだけのことではないのか。法をこのように適用するのを法匪と云う。法匪的法解釈から逃れて本来の意味に即した法文にすることが望まれている。

 2012.02.28日 れんだいこ拝 

 2023.7.13日、毎日新聞/【松本惇】 「高速道トラック速度、規制緩和を検討 「2024年問題」見据え 警察庁」。

 来年4月にトラック運転手の残業規制が強化され、物流業界で人手不足が懸念されている「2024年問題」に対応するため、警察庁は13日、高速道でのトラックの速度規制について、現行の時速80キロから引き上げる方向で検討すると発表した。物流の効率化を図る狙いで、有識者会議を設置して年内に提言を取りまとめる予定という。

 物流業界の「2024年問題」を巡っては、何も対策を講じなければ24年度に14%、30年度に34%の輸送力不足が生じる可能性があると推計されている。政府が6月にまとめた「政策パッケージ」で、トラックの高速道での速度引き上げが盛り込まれていた。  新たに設置する有識者会議は、交通工学や機械工学を専門とする大学教授のほか、トラックや損害保険の業界団体幹部、国土交通省や警察庁の担当者らで構成。7月26日に初会合を開く。それ以降、4〜5回程度開催し、交通事故の発生状況や、自動ブレーキなど最新技術の普及状況を確認した上で、年内に提言をまとめる。 警察庁によると、国内で初めて高速道が開通した1963年以降、トラックの速度規制は一度も変更されていない。多くの荷物を運ぶトラックは、最高速度が時速100キロの普通車に比べ、ブレーキをかけてから停止するまでの制動距離が長いため、最高速度が抑えられていた。高速道での大型貨物車の人身事故は22年に714件発生し、うち24件は死亡事故だった。 高速道での速度引き上げを巡っては、普通車は17年から試行が始まり、現在は一部区間で最高速度が120キロや110キロとなっている。




(私論.私見)