「疑わしきは被告人の利益に法理」考 |
(最新見直し2014.04.01日)
(れんだいこのショートメッセージ) |
ここで、「疑わしきは被告人の利益に法理考」をものしておく。 2014.04.01日 れんだいこ拝 |
れんだいこのカンテラ時評№1218 投稿者:れんだいこ 投稿日:2014年 4月 1日 |
疑わしきは被告人の利益に法理考 前々から云いたかったこと「疑わしきは被告人の利益に法理」に関連する格好例材が出てきたのでコメントしておく。2014.4.1日付け毎日新聞社説「袴田再審入れず 納得できぬ検察の判断」が、再審開始決定が出て3.27日に47年ぶりに釈放された袴田巌元被告に即時抗告した検察に対して、「疑わしきは被告人の利益にの原則を適用すべき論」を援用して「検察の判断は納得できない」と批判している。れんだいこはそのように理解する。 他社の論調との比較をしたいが分からない。恐らく論評がないのかも知れない。こうなると少なくとも毎日新聞社説の論評は評価されるべきであろう。何しろ「死刑囚として世界で最も長く収監されたとギネス記録に認定されるなど長期間の拘束が問題となっている」案件であるからして、その被告が出獄したとなると採り上げる方がマトモだろう。 本件に関するれんだいこの関心は、「疑わしきは被告人の利益にの原則を適用すべき論の援用」にある。この法理を仮に「真偽不明被告人利益論」と命名する。「真偽不明被告人利益論」は専ら刑事犯に関連して適用されるものなのか、政治犯に対しては適用されないのか、その尺度はどのように設定されているのか。ここに関心がある。この基準が確立されていないと、或る時には「真偽不明被告人利益論」が説かれ或る時には逆に「不利益論」が先行すると云うまことにケッタイな事態が生起する。同一人がどう使い分けしているのか聞いてみたいが、あいにく職業的ジャーナリストを知らないので確かめようがない。 ここまで書けば早分かりの者には見えてこよう。ロッキード事件、小沢どん事件その他その他で、何度「容疑者段階での社会的糾弾、政治訴追論」に出くわしたことか。かような時には「真偽不明被告人利益論」に健忘症となり、こたびのような刑事犯に対しては俄然熱を帯びた正義弁に出くわす。これを聞かされる当方の身にもなって見よ。一体、どういう加減で説かれたり下げられたりするのか、誰しも尋ねたくなるだろう。これは何も毎日新聞社説を批判しているのではない。検察正義論の立場から検察のすること為すことを万年式に御用論調する論よりはマシであるとは思う。 このところ「検察正義論」を振り回し左派圏界隈を仰天させている赤旗の論調はどうかとネットで確認すると、報じてはいるが、「袴田さんは無実の罪で獄中生活を強いられてきました」との観点から記事にしているので「真偽不明被告人利益論」は出てこない。赤旗が独特の判断基準で「容疑段階での白黒判定権」を持っており、白と断定した場合には冤罪論で黒と判定した場合には糾弾論で速攻的に相対すると云うことが分かり興味深い。この党にはグレーゾーン論と云うのはないか又は必要ないのかも知れない。 もとへ。「真偽不明被告人利益論、同不利益論」はどういう基準で適用されるべきか。これが一等級の法哲学的課題になっているのではなかろうか。しかして、この領域に踏み込んだ論考はあるのだろうか。この論証なきままに月光仮面的正義弁が出てきたり引っ込んだりしているのが現状ではないのだろうか。れんだいこには、この采配振りが気になってしようがない。気にならない者が羨ましいと思う。そういう訳で、これについては引き続き論考するものとする。 |
(私論.私見)