事件勃発と経過 |
(最新見直し2005.9.10日)
2005.1.12日、朝日新聞が朝刊で、「中川、安倍両氏が放送前にNHK幹部を呼び、偏った内容と指摘」(以下、「朝日の対NHK政治圧力スクープ」と云う)と報道し、「2005NHKと朝日の面子泥試合」が勃発した。我々は、「2005NHKと朝日の面子泥試合」をどのように受け止めるべきだろうか。この事件の受け取り方もまちまちなようなので、れんだいこの私見を提起しておく。 そもそも、現代マスコミ人が「ジャーナリズム精神」を錦の御旗にして正義のペンを振るうのはうそ臭い。何とならば、かのロッキード事件の時、マスコミ各社はまさに雁首そろえて角栄訴追運動を手掛けたが、それが如何に「虚構の正義」であったか判明しつつある現下においてこれに何ら反省せぬまま「ジャーナリズム精神」を称揚したとて誰も信用しやしない。NHKの言い分がどうの朝日のそれがどうのと論うこと自体が馬鹿げていよう。れんだいこはそのように受け止めている。 そういう訳で、「2005NHKと朝日の面子泥試合」勃発の背景事情こそ詮索されねばならないと考える。これをどう理解すべきか。誰でも判明することは、「2005NHKと朝日の面子泥試合」がNHK会長・海老沢勝二を退陣させるための騒動として誘発されていることであろう。事実、海老沢会長は、2005.1.25日、退陣表明した。ならば、その目的を達したとして「2005NHKと朝日の面子泥試合」は終息するのだろうか。れんだいこは然りと考える。それは、この後の経緯が証明するだろう。 ところで、海老沢会長は何故退陣させられたのであろうか。この詮索こそ真に有意義なことであるように思われる。しかしながら、右顧左眄評論士ではこの事件の真相が解けない。恐らく、れんだいこの他にこれを解く者はいないだろう。少なくとも、今までの論調ではそのように見える。では、れんだいこは、この問題を如何に解くのか。これを伝授する。 海老沢会長退陣の背景には、日本の戦後政治の二大対立軸、つまりハト派とタカ派の抗争がある。海老沢会長の履歴を見る限り、彼はハト派系に属している。十分とまではいかないまでもDNAがそうだということである。それは、彼が、橋本登美三郎の人脈に位置していたことで分かる。橋本登美三郎も又ロッキード事件で葬られた一人である。現代マスコミのジャーナリズムは、角栄然り、二階堂然り、橋本然り、佐藤然り、加藤然りで、いわゆるハト派系列に対する批判の舌鋒が鋭い。よって、海老沢会長が橋本の後援会会長職にあったことをもって否定的にみなす。 れんだいこは全くナンセンスと云いたい。むしろ逆に、海老沢会長が大枠で良識派に位置していることを窺うべきだろう。但し、その後の立身出世街道の中で、それなりの悪事を重ねていたとも考えられる。あるいは絶大無比の国際シオニズム権力に対してひたすら屈服街道を歩み続けていたのかも知れない。れんだいこはそのあたりの詳細な情報を持っていないので見解留保せざるを得ない。 その海老沢会長が退陣を迫られた。それも、今から丁度4年前の2001.1.30日に放映された「女性国際戦犯法廷」を廻る騒動の渦中で詰め腹を切らされた。不祥事が持ち上がること自体に対する会長責任とでも云うしかない引退を余儀なくされた。この間、受信料不払い運動が広がり、それとの合わせ技で引退を余儀なくされた。 現代マスコミのジャーナリズムが遂に敵の大将を討ち取ったと祝杯を挙げるとしたら、あまりにもお粗末なことである。何とならば、「女性国際戦犯法廷を廻る騒動」で特徴的なことは、今日タカ派の新鋭として小泉首相の後釜さえ狙う位置にある当時の安倍副官房長官の放送法の原則を弁えぬ政治介入を主因としているからである。 この場合、仮に一応はハト派として措定される海老沢会長の退陣が、タカ派による政治介入事件を廻って誘発されたことになり、何ともすっきりしないことになるからである。何のことは無い、国際シオニズムー日本国内タカ派連合の意思が貫徹されただけのことではないか、ということになる。 2005.1.25日 れんだいこ拝 |
【「問題の放送の編集経過」】 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
朝日新聞社が取り上げた問題の放送は、2001.1.30日午後10時からNHK教育テレビで放映された「ETV2001シリーズ 戦争をどう裁くか 第2回 問われる戦時性暴力」がそれである。同放送は、戦争下で行われた兵士による婦女レイプや従軍慰安婦問題に関して、「人道に対する罪」や日本国政府及び昭和天皇の責任問題を取り上げていた2000.12月に開かれた「女性国際戦犯法廷」を取り上げ、その模擬裁判の様子を伝えていた。「女性国際戦犯法廷」については、れんだいこの「女性国際戦犯法廷考」で概述する。 この番組の製作過程を検証する。
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れんだいこのこの見解を裏付ける次のような記事が登場している。「2005.2.6号のサンデー毎日」が非常に興味深い松尾元放送総局長の発言を伝えている。2002.10月発売の月刊誌「月刊日本」の対談で、松尾氏は次のように発言している。
まさにその通り。すり合わせの結果、何を主張しているのか分からなくさせる中途半端な番組にするよりも、それぞれの立場からの二本立てあるいは三本立て番組を制作して、それぞれ放映すれば良いのに。 |
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![]() 放送前時点に於いて右翼団体がNHKに抗議活動を繰り広げ、1.27日、東京渋谷の放送センターに街宣車を乗り付けるなどの騒ぎを起こしている、とはどういうことだろう。「スタジオ台本の外部漏洩」ということではなかろうか。とすれば、このことも問題だと思われる。 |
【「放送後の経過」】 | ||||||||||||||||
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【「朝日新聞社の裏取り取材」について】 |
2005.1.12日、朝日新聞は、「NHKに対する政治家の圧力」を報道することになるが、この報道の取材経過は判明する限り次の通り。 2004.12.9日、番組当時のデスク・長井暁・氏がNHKのコンブライアンス推進室に「放送前に中川昭一氏と安倍晋三氏による政治圧力で番組改編があった」と内部告発。 2005.1.9日、朝日新聞社が、当時の放送総局長だった松尾武・氏に取材。 朝日新聞に拠れば、松尾氏はこの時、中川氏との面会について、番組放送前日の01年1月29日、「中川さんが先で安倍さんの順ではないか。もう1人、途中でどなたかにお会いして車で移動した」と、同じ日に両氏と相次いで面会したと明言。「(2人の)国会議員に会ったのはそのときだけか?」との確認に対し、「それ1回きり」と話していた。中川氏との面会場所についても「議員会館」と答えていた。 「政治的圧力」についても、「圧力とは感じますよ」としたうえで、「圧力とは感じるが、それは一つの意見だったと聞く耳は持つ」と述べていた。政治家との関係について「呼ばれて行かないとどうなるか。ものすごい圧力。3、4倍の圧力だ」とも語った。
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【「朝日新聞社がスクープ報道」】 | |
2005.1.12日、朝日新聞が朝刊で、「中川、安倍両氏が放送前にNHK幹部を呼び、偏った内容と指摘」と報道。 記事は、「NHK番組に中川昭・安倍氏『内容偏り』 幹部呼び指摘」との見出しで、次の記事を掲載した。
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![]() 「朝日の対NHK政治圧力スクープ」はジャーナリズムとして称賛されるべきもので、批判されるに及ばない。但し、次のことに問題がある。安倍議員はともかく中川議員の「政治圧力」は事前のものであったのか、事は中川議員の政治生命に関わってくる。事前と事後では「政治圧力」の意味が変わってくるので、この点について明らかにせねばならない。 もう一つ。このスクープが海老沢会長辞任に照準を当てているように思われることである。ならば、その政治主義の責任が問われるべきであろう。特に、れんだいこは後述する予定であるが、大方の意見と違って「海老沢会長辞任」は真にそれに値するものであったか疑念を持っている。それ故に、このスクープを通じて海老沢会長辞任の決定的水路を作った朝日の責任は重いと考える。 |
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れんだいこは、中川議員の事前圧力に就いては、当人が強く否定するのでそれを真に受けた。ところが、2005.9月号の月刊現代で、魚住昭・氏がスクープ記事をものにしている。それによると、2005.1.10日の電話取材で、松尾・放送総局長と野島直樹総合企画室担当局長・国会対策担当らが安倍晋三官房副長官と面会した日の1.29日に、中川議員本人の口から「ああ会った、会った。議員会館でね」と認めていたとのことである。 概要は、「浮き彫りになるNHKと政治家側の基本的関係」(http://nikkeibp.jp/style/biz/topic/tachibana/media/050805_syuzaimemo/index2.html) しかし、こうなると、事件勃発以来、中川議員が主張し続けた「政治圧力かけたのは事前ではなく事後である」弁明が全くのウソ居直りであったことになる。中川議員は、公共電波の前で平然とウソをつき通したことになる。かく確定された犯罪には、閣僚辞任のみならずひとたびは議員辞職までの責を負うべきだろう。 2005.9.10日 れんだいこ拝 |
【「同事件の4年前の国会審議」について】 |
「政治介入は4年前の国会で審議されていた」ことが暴露されている。それによれば、今回の「朝日の対NHK政治圧力スクープ」を手掛けた本田記者は、2001.2月の時点からNHKの番組内容変更について取材を続けており、2001.3.16日の衆議院総務委員会で、民主党が「政治家の圧力があったかどうかの問題」について質問している、とのことである。 |
![]() 「NHKに対する政治圧力問題」は、既に4年前の国会で質疑されていた。となると、「朝日の対NHK政治圧力スクープ」はスクープというより蒸し返された記事でしかないことになる。しかも、中川議員の政治生命に関わる事前か事後か問題についても何ら解明しないままの杜撰な「スクープ捏造」であったことになる。 こうなると、「朝日の対NHK政治圧力スクープ」がNHK会長海老沢の失脚化に向けての扇動記事でしかなかった、という政治主義のみが浮き彫りになる。NHKの体質批判の意義は高い。しかしながら、それは、NHK会長海老沢の失脚に照準を合わせて為すものではなかろう。 |
![]() れんだいこは、朝日のスクープに対して、「中川議員の政治生命に関わる事前か事後か問題についても何ら解明しないままの杜撰なスクープ捏造であったことになる」とコメントしたが、訂正を免れない。朝日は十分な裏づけを取っていたことになる。 2005.9.10日 れんだいこ拝 |
【「安倍議員の弁明」】 | |
安倍議員は、報道に接してすぐさま「圧力かけていない」と声明し、朝日新聞社に対して概要「『公平公正な報道をしてもらいたい』と述べたのが真実。もし政治介入という一部報道が事実ならば、いつ、どこで、誰と、何を話したのか証明してもらいたい。できないならばはっきり謝罪してもらいたい」と謝罪要求した。 安倍議員は、同氏の「ホームページ」で次のようにコメントしている。
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![]() 安倍議員は、当番組への事前見解を述べておきながら、「政治圧力はかけていない」と弁明している。卑怯な話ではないか。NHK当局は、「政治圧力は感じなかった」と辻褄を合わせている。しかしながら、「問題の放送の編集経過」で判明するように、会談直後番組内容の大幅改変に着手している。語るに落ちる子供だましの話ではないか。 安倍議員も、信ずるところを述べた、その結果NHKがどう対応したかはNHKの問題であり、当方が責任を蒙るものではない。それは政治家としての職責の一つと心得ているとでも云えば良いものを、「政治圧力はかけていない」なる逃げの弁明しか為し得ないのなら、下手な圧力はかけんこった。 ちなみに、司法判断では、「暴力団組長の圧力問題」で、そこに居合わせるだけで圧力を掛けているとみなされることに根拠があるとの判決文が出されてさえいる。その良し悪しは別としてこれを思えば、安倍議員の「当方の呼びつけ証拠を出せ、政治圧力証拠を出せ」などと云う弁明はかなり浅はかな居直りであり幼稚過ぎよう。にも関わらず、この安倍弁明に追従する正義派が居るがとても聞きづらい。一体この国の「知性」というものはどれほど歪んでいるのだろう、まったく痴性だ。 |
【「中川議員の弁明」】 |
中川議員が、見解を披瀝したのは事実とするも、「面会は放送後」と報道を否定。 |
![]() 「中川議員の面会は放送後弁明」が正しいとすれば、「朝日の対NHK政治圧力スクープ」担当記者も長井氏も相応の責任を免れまい。一議員の政治生命に関わってくる訳だから。 |
![]() れんだいこは、「中川議員の面会は放送後弁明」を正しいと仮定して、「朝日の対NHK政治圧力スクープ」担当記者も長井氏も相応の責任を免れまいとコメントしたが、訂正を免れない。中川議員は平気でウソをついていたことになる。 2005.9.10日 れんだいこ拝 |
【「NHKの反論」】 | ||
1.13日、NHK広報局が「関根総局長見解」を発表し、「NHKは、今回改めてこれについて調べた結果、報道にあるような自民党の安倍晋三氏・中川昭一氏の両氏から政治的圧力を受けて番組の内容が変更された事実はありません」として「朝日スクープ」を全面否定した。その上で、「中川氏とNHKの幹部が面会したのは、番組放送3日後の平成13年2月2日が最初で、中川氏と放送の前に面会したことはありません」として、中川議員の事前会談記事を「事実歪曲」と批判した。 安倍議員との会談も、呼びつけられたのではなく、「また、安倍氏については正確な記録は残っていませんが、関係者の記憶では、放送前日の1月29日頃に面会したとみられます。この面会は、安倍氏から呼ばれたものではなく、予算の説明を行う際にあわせて番組の趣旨や狙いなどを説明したものでした」、「この面会によって番組の内容が変更したという事実はありません」として、安倍議員の政治圧力記事を「事実歪曲」と批判した。 長井氏の内部告発の指摘も否定し、次のように述べた。
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![]() NHKの「事実歪曲論」は、中川議員の事後会談に関する限り正しいようである。安倍議員の場合には、「呼びつけたのかNHKの方から出向いたのか」詮議を要することになった。いずれにせよ、「会談で政治圧力は感じなかった」論は、あまりにとぼけた話だ。意見を拝聴したが、そのことにより番組内容に変更は無かった、というなら正しい。実際はどうだ。大急ぎ且つ大幅に変更されているのなら、別の弁明をせねばならぬだろう。全くお役所式の弁明にならぬ弁明を聞かされて、こちらの方が胸が悪くなる。 |
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![]() れんだいこは、「中川議員の事後会談に関する限り正しいようである」とコメントしたが、訂正を免れない。中川議員よ、よくもれんだいこを騙してくれたな。 そのことと、1.13日のNHK広報局による「関根総局長見解」がこれまた平然とウソを塗り固めたことになる。「中川氏とNHKの幹部が面会したのは、番組放送3日後の平成13年2月2日が最初で、中川氏と放送の前に面会したことはありません」として、中川議員の事前会談記事を「事実歪曲」と批判したことの責任が問われよう。これをウソの上塗りと云う。 2005.9.10日 れんだいこ拝 |
【「長井氏の涙の記者会見で内部告発」】 | |||||||||
1.13日、長井氏が都内のホテルで記者会見し、「政治介入は恒常化している」と指摘し、次のように内部告発している。「NHKを内部告発した長井暁チーフ・プロデューサー記者会見(2005年1月13日)」を参照し、重要部分を書き付けておく。
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![]() 長井氏の記者会見そのものは良い。問題は、安倍、中川両議員の政治圧力の介在による番組変更を再証言したことにある。安倍議員の場合は当事者が認めていることだから良いとしても、中川議員は事前での政治圧力を今もって否定している。とならば、長井氏は、中川議員の事前政治圧力を証言する責任を負っていることになる。その後の長井氏はどう弁明しているのだろうか。 それにしても、内部告発の主眼が海老沢体制に向けられていることが露骨に見えてくる会見内容ではある。 |
【「日本共産党・志位委員長見解」】 | |
1.14日、日本共産党の機関紙「しんぶん赤旗」が、志位委員長会見記事を掲載した。「従軍慰安婦番組改ざん 憲法と放送法踏みにじった責任は重大」の見出しで次のように報じている。
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![]() 「朝日のスクープ記事」に丸乗りした見解であることが分かる。なお、NHK会長訴追過程での記事の政治主義についてのコメントは当然為されていない。 |
【「安倍議員の再反論」】 | |
1.14日、安倍議員が「ホームページ」で次のようにコメントしている。
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![]() この反論が事実とすると、長井氏の内部告発で明らかにされたドタバタ劇が虚構ということになる。つまり、NHK当局幹部は、呼びつけられた訳でもないのにのこのこ出かけ、過剰反応した、ということになる。事実は分からないが、これが真相とすると、「政治権力にあまりに弱いNHKの体質問題」が発生することになろう。 |
【「NHKの抗議文」】 | ||
1.18日、NHKは、「朝日新聞社への抗議文」を送付した。NHK放送総局長・関根昭義名で、朝日新聞社代表取締役社長・箱島信一宛てに出されている。要旨は次の通り。
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【「朝日の反論」】 |
1.18日、朝日が朝刊で、取材・報道の経過を特集し、「NHK幹部や中川、安倍両氏が述べた内容などを総合した結果」と説明した。 |
![]() 残念ながら、れんだいこは、「朝日の反論」を入手していない。入手していても、例の重宝な著作権による無断引用、転載禁止と云う便利なトーチカ砦を用意しているのだろう。この時点で、朝日が真っ先に為さねばならないことは、中川議員の政治圧力に付き事前か事後かの決着であろう。事前であれば、中川議員を告発すれば良い。事後であれば謝罪せねばならない。不明とならば、この点に付き再調査を約束せねばならないだろう。 |
![]() れんだいこは、上記コメントで、「中川議員の事前事後会談の真相決着」を要請した。結果、朝日スクープの通り事前であったことになった。それにしても中川よ、良くもれんだいこをその気にさせてくれたな。 2005.9.10日 れんだいこ拝 |
【「安倍議員の再々反論」】 |
1.17日、安倍議員は、朝日新聞社へ通知書を送付し、概要「NHK幹部を呼びつけた事実は全くない。番組内容について意見を述べたが、政治圧力をかけた覚えは無い。朝日新聞社記事の具体的な根拠・事実を示すよう要求した」。 |
![]() 珍奇な話だ。NHK幹部が予算の話をする為に自主的にやって来て、その話のついでに番組内容のコメントを求められ、意見した。政治圧力をかけた訳ではないなどと弁明すること自体が子供だましであろう。事が露見して、そういう風に逃げの弁明しか為しえないのなら、事前会談なぞしないことだ。なぜ堂々と持論を主張し、政治圧力をかけたが、それを聞き入れる入れないはNHKの問題であり、後のことは与り知らぬと堂々と対応し得ないのだ。姑息なことこの上ない。 |
【「ネタ元の元NHK総局長・松尾氏会見」】 |
1.19日、朝日スクープのネタ元と判明した当時NHK放送総局長だった松尾武(現NHK出版社長)氏が会見し、朝日新聞の記事に登場する「NHK幹部」は自分であると公表した上で、概要「記事は発言を捻じ曲げた。私は何度も政治的圧力を感じていないと答えた。が、記事はまったく逆の内容になっている。内容がねじ曲げられている」と批判した。 松尾氏は、この日の会見で安倍晋三・中川昭一両衆院議員との面会をめぐって、「「私は安倍氏とは会ったが、中川氏については『記憶が定かでない』と言ったにもかかわらず、両氏に会ったようにねじ曲げられて書かれた」と指摘。「朝日新聞の取材は、まず結論ありきだった。訂正と謝罪を求める」と述べた。 |
![]() 「松尾会見」は重要な意味を持っている。一つは、ネタ元が登場してきたことである。この種の場合、朝日は、ネタ元については情報秘匿する義務があるが、最近はそういう責任はとらないらしいことが判明する。もう一つは、ここでも中川議員の事後会談が指摘されていることである。こうなると、朝日と長井氏を除いて当事者及び関係者がこぞって事前圧力を否定していることになる。それが事実とすると、「朝日の対NHK政治圧力スクープ」の杜撰さが見えてくる。 |
![]() れんだいこは、「それが事実とすると、朝日の対NHK政治圧力スクープの杜撰さが見えてくる」とコメントした。朝日スクープは杜撰でなかったことが判明した。中川よ、良くもれんだいこを恥掻かせてくれたな。それにしても、1.19日の「松尾武(現NHK出版社長)会見」がこれまたウソの上塗りしていることになる。 2005.9.10日 れんだいこ拝 |
【「松尾会見に対する朝日の反論」】 | |
1.19日同日、朝日新聞社は、「松尾会見」に対し、概要「同氏が政治家からの圧力と感じたと明確に述べていた」ことを指摘し、その上で、「言論に携わる責任ある立場の人が発言内容を翻したことは誠に遺憾。記事には根拠がある」とNHKに抗議した。 朝日は、取材時の松尾氏の証言内容を明らかにした。それによると、次のように述べていたのことである。
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![]() こうなると、「ネタ元松尾氏との遣り取りの真相」が藪に隠れたことになった。それはともかく、中川議員会談のの事前事後のいずれかの決着をせねばならないだろう。そこのところを曖昧にさせたまま、「言論に携わる責任ある立場の人云々」は自身に帰ってくる言葉であろう。 |
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![]() れんだいこは、もはや朝日スクープに対していちゃもんつけたことを詫びねばならない。それにしても中川よ、良くもれんだいこを恥掻かせてくれたな。 2005.9.10日 れんだいこ拝 |
【「NHK当局が、長井氏の内部告発に対する見解披瀝」】 |
1.19日同日、NHKは会見に臨み、番組の担当デスクだった長井暁チーフプロデューサーが局内のコンプライアンス(法令順守)通報制度に基づいて内部告発した件について、「放送法3条およびNHK倫理・行動憲章に違反する不法行為は認められない」との調査結果を公表した。 調査結果について、長井氏は「現経営陣主導で行われた調査結果は全く信用できない。独立した第三者機関を設立し、真相を究明すべきだ」とのコメントを発表した。 |
【「NHK当局が、長井氏の内部告発に対する見解披瀝」】 | |
1.19日、次のようなNHKコンプライアンス推進室の調査結果が発表された(「コンプライアンス推進室調査結果報告」)。
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これによれば、防戦側のNHKも攻戦側の朝日も同じ穴のムジナで、政治圧力を常態化させていることになる。それにも拘らず、朝日が正義を演出しているからおかしなことになる。恐らく、エビジョンイル失脚を眼目として俄仕立ての「正義のペン」を振るうから、追って火の粉が我が身にも降りかかってくることになるのだろう。 |
【NHKニュース「NHKが報道は正確正当と回答」】 | |
1.19日、NHKニュースが「NHKが報道は正確正当と回答」したことを報じた。内容は次の通り。
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【「安倍議員の再々反論」】 | ||
1.19日、安倍議員が「ホームページ」で次のようにコメントしている。
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【「朝日新聞社と安倍議員の遣り取り」】 |
1.20日、朝日新聞社が回答した。安倍氏側は1.21日付で再度通知書を提出し、記事の確実な資料と根拠を明らかにするよう求めている。 |
【「NHKと朝日が双方に公開質問状を送る」】 | |
1.21日、NHKが朝日新聞社に対し、18項目から成る「朝日新聞社への公開質問状」を送付した。NHK放送総局長・関根昭義名で、朝日新聞社代表取締役社長・箱島信一宛てに出されている。要旨は次の通り。
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![]() 「朝日新聞社への公開質問状」が、「中川氏の事前会談説を論証せよ」と述べているが、「浮き彫りになるNHKと政治家側の基本的関係」が明らかにした中川発言が否定されない限り、「朝日新聞社への公開質問状」は逆に朝日に対して謝罪せねばならなくなった。どう決着つけるのだろう。それにしても、中川議員の事前事後問題の傷は深い。 2005.9.10日 れんだいこ拝 |
【「NHKと朝日が双方に公開質問状を送る」】 |
これに対し、朝日新聞社もNHKに対し、公開質問状を纏め海老沢勝二会長あての「NHKへの朝日新聞通告書」を送付した。概要は次の通り。「松尾氏が当社の記者の取材に対し記事記載のとおり述べたことは動かしがたい事実であり、このことは繰り返し当社が指摘しているところです。再度松尾氏に厳しくご確認ください」云々と述べた上で、訴訟を前提に10日以内の訂正と謝罪を求める通告書となっている。これによると、期限は1.31日ということになる。 |
【「公開質問状の齟齬ヶ所」について】 | |||||||||
双方の主張は次の諸点で食い違っている。
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【「産経新聞社説」について】 | |
1.21日、産経新聞が社説の【主張】で、「番組『改変』問題 朝日には立証責任がある」を掲載した。論旨は次の通り。
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【「朝日新聞社説」について】 | |
1.22日、朝日新聞が社説で、「ことの本質を見失うな」を掲載した。論旨は次の通り。
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【「読売新聞社説」について】 | |
1.23日、読売新聞が社説で、「NHK番組問題 疑惑が残れば公共放送の危機」を掲載した。論旨は次の通り。
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【「NHK番組改変問題、東大教授ら14人が究明求める声明」について】 | |
1.24日、NHKの番組改変問題で東京大の教授・助教授14名(呼びかけ人・醍醐聰(さとし)・経済学研究科教授、船曳建夫・総合文化研究科教授、広井脩・情報学環教授、伊藤正直・経済学研究科教授ら)が、国会に事実関係の究明を求める声明を発表した。
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【「共産党・穀田議員の質問に対する小泉首相の答弁」について】 | |
1.25日、小泉首相は衆院本会議で、共産党の穀田恵二国対委員長が「NHKの番組を『明確に偏った内容』とする立場の安倍晋三・自民党幹事長代理が『公正中立に』と言ったこと自体が、番組内容への政治介入となることは明らかだ。事実上の事前検閲に当たり、放送法3条に反することは明白と考えないか」と質問したのに次のように答弁した。
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![]() 穀田議員のこの穏和な質問振りはどうだろう。小泉首相のこの答弁を引き出して、何の足しにしようというのだろう。出来レース質問染みてくだらないことこのうえない。 |
【「海老沢会長辞任」】 |
1.25日、NHK経営委員会で、来年度の予算案と事業計画、業務改革案が承認された。これを受けて、海老沢会長が石原邦夫委員長(東京海上日動火災保険社長)に辞表を提出し、了承された。 海老沢会長(70歳)は、7年半にわたる長期政権を築いてきたが、一連の不祥事と急増した受信料不払いによる経営責任をとって、辞任した。退職金約1億2444万円。最初の不祥事(芸能プロデューサーによる詐欺事件)から6ヶ月。新聞社各社は「遅すぎる引退」論調を書いている。 NHKの番組制作の最高責任者である放送総局長・専務理事の関根昭義氏も海老沢氏とともに辞任、後任に出田幸彦理事(57)に代行させることを決めた。出田理事は01年6月に番組制作局長に、03年4月に理事に就任した。 出田理事は今後、代行として定例の放送総局長会見に臨むことになる。 |
【「朝日新聞が安倍氏へ回答」】 | |
1.26日、朝日新聞社は、「NHK番組改変問題」で、安倍晋三衆院議員側に対して26日付で再び回答書を送った。「取材結果を総合し報道、と安倍氏に本社回答 NHK問題」がこれを報じており、次のように主張している。れんだいこがこれを意訳する。
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【「朝日新聞が安倍氏へ回答」】 |
1.31日、朝日新聞社は、NHK番組改変問題で安倍氏から求められている1.28日付けの通知書の質問事項に付き、安倍氏へ次のような回答書を送った。概要「20日付回答、26日付回答でお答えしている通り」。同回答は、「(安倍氏が)NHK幹部を呼んで『偏った内容だ』と指摘していた」と断定した根拠について説明を求めていた安倍氏の質問に対してのもの。朝日新聞社はこれまで「安倍氏に対する当日の取材に加え、その他の関係者からの取材に基づいたもの」と回答している。 これに対し、安倍氏は31日、朝日新聞社に「(安倍氏を取材した)記者がNHK元幹部との会話・取材内容を無断で録音した事実はあるのか」などと質問する通知書を送付した。 |
【「その後の宴」】 | |
2.3日、朝日新聞社は、NHKの戦争特集番組改変問題を巡り、安倍幹事長代理が朝日新聞社に対し、「(安倍氏を取材した)記者がNHK元幹部との会話・取材内容を無断で録音した事実はあるのでしょうか」などと質問した通知書に対し、「取材方法や経過にかかわる点については、お答えいたしかねます」とする回答書を、安倍氏の代理人の弁護士あてに送付した。 また、朝日新聞社は回答書の中で、「安倍氏はテレビ番組や集会等で、取材時の状況について、『5分間にわたってインターホンを鳴らし続ける』『家内を脅かした』などと事実に反する発言をされています」とし、「今後のご発言には十分ご留意いただきますよう」と、求めている。 2.4日、中川経済産業相は、衆院予算委員会で、NHKの番組改変問題に関する坂本剛二氏(自民)の質問に答え次のように語った。
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![]() 中川議員は、「関係者は全員、公の場できちっとした形で(説明することが)、政治と放送、報道の健全な関係構築のために、ぜひとも必要なことだ」とまで述べている。是非そうしてくれたまえ。それにしても、中川議員よ、ただではすまないぜよ。 2005.9.10日 れんだいこ拝 |
【「女性国際戦犯法廷」主宰市民団体がNHKとDJ二社を相手に提訴】 |
女性法廷を主宰した市民団体は、「当初の説明とは違う番組を放送され、取材に協力した信頼を裏切られた」として、NHKとDJ二社を相手に提訴し、2004.3.24日、東京地裁は2004.3月、DJに100万円の賠償金を命じている。NHKに対しては「放送番組編集の自由の範囲内」として責任を認めなかった。二審で係争中、とのことである。 |
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< NHK問題 >
本社会見、秋山社長が経緯説明 NHKは反論コメント2005年10月01日00時01分
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(私論.私見)
2005.1.25日、毎日新聞「朝日報道にNHK反撃」
朝日新聞の記事『NHK番組に中川昭・安倍氏「内容偏り」 幹部呼び指摘』に関し(2005年1月12日)(安倍晋三)
朝日新聞H17/1/12記事で「誤って」伝えられている事項(2005年1月12日)(安倍晋三)
日本共産党・志位和夫委員長の発言(2005年1月13日)(しんぶん赤旗)
長井暁NHKプロデューサー記者会見(2005年1月13日)(テキスト化しているサイトから転載)
2005年1月12日付「朝日新聞」等の報道について(2005年1月13日)(DOCUMENTARY JAPAN)
NHK番組改変問題 「会長了承していた」と告発者会見(2005年1月13日)(朝日新聞)
「報道ステーション」における安倍晋三氏発言(2005年1月13日)(テキスト化しているサイトから転載)
NHKの「模擬裁判」を扱う特集番組に関する報道について(2005年1月14日)(安倍晋三)
長井氏の会見に関する「朝日新聞」記事中の事実誤認について(2005年1月14日)(DOCUMENTARY JAPAN)
主張「NHK番組改変」放送の不偏不党を侵す“政治介入”(2005年1月17日)(社民党)
NHK裁判 安倍晋三氏の事実歪曲発言について(2005年1月17日)(VAWW-NETジャパン)
NHK番組改変問題、本社の取材・報道の詳細(2005年1月18日)(朝日新聞)
中川昭一氏との一問一答 NHK番組改変問題(2005年1月18日)(朝日新聞)
安倍晋三氏の主な発言 NHK番組改変問題(2005年1月18日)(朝日新聞)
アジアプレスの記者会見とアピール呼びかけ文(2005年1月18日)(アジアプレス)
NHK番組への政治介入事件の徹底究明を求める声明(2005年1月18日)(民放労連)
朝鮮総聯中央本部徐忠彦国際局長の談話(2005年1月18日)(朝鮮総聯)
平成17年1月18日の朝日新聞記事に対して(NHK番組改変報道)(2005年1月19日)(安倍晋三)
「ETV2001」を巡る報道に関する記者会見要旨(2005年1月19日)(NHK)
コンプライアンス推進室調査結果報告(2005年1月19日)(NHK)
NHK番組改編問題 朝鮮被害者補償対策委談話「歴史歪曲止め過去清算を」(2005年1月20日)(朝鮮被害者補償対策委)(朝鮮新報(日本語))
北朝鮮の団体 NHK番組改変問題に関する談話を発表 …VOK(2005年1月20日)(朝鮮日本軍慰安婦及び強制連行被害者補償対策委員会)(東アジアニュース速報+@2ch掲示板)
NHK裁判 安倍晋三氏宛公開質問状(2005年1月20日)(VAWW-NETジャパン)
2005年1月12日付け「朝日新聞」記事以降のいわゆる「NHK問題」に関する報道について(2005年1月20日)(DOCUMENTARY JAPAN)
NHKへの朝日新聞通告書全文(2005年1月21日)(朝日新聞)
NHK裁判 海老沢NHK会長宛公開質問状(2005年1月21日)(VAWW-NETジャパン)
産経新聞社説・【主張】番組「改変」問題 朝日には立証責任がある(2005年1月21日)(産経新聞)
朝日新聞社説・NHK問題――ことの本質を見失うな(2005年1月22日)(朝日新聞)
〈月間メディア批評〉 歴史をねつ造したのは安倍氏らではないか(2005年1月22日)(朝鮮新報(日本語))
読売新聞社説・NHK番組問題「疑惑が残れば公共放送の危機」(2005年1月23日)(読売新聞)
フジテレビ「報道2001」に出演した中川昭一代議士の発言(2005年1月23日)
NHK番組への政治介入についての声明(東京大学教員有志)ほか(2005年1月24日)
「政治家の圧力許さぬ」NHK番組改変で出版流通対策協(2005年1月24日)(朝日新聞)
放送法第3条「放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない」。