「見逃せない日共の逆指針」考



 (最新見直し2008.11.13日)

 (れんだいこのショートメッセージ)
 「日本共産党」の「田母神空幕長

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2008年11月1日(土)「しんぶん赤旗」

防衛相

田母神空幕長を更迭

「侵略国家は濡れ衣」と論文




 防衛省は昨年の一連の不祥事以来、「文民統制」(シビリアン・コントロール)の徹底を主張してきました。しかし、自衛隊の最高幹部が届け出もせずに現行政府の立場にも反する論文を発表するというこの事態を見れば、「防衛省改革」がうわべだけのものであったことが明白です。(竹下岳)

2008年11月2日(日)「しんぶん赤旗」

更迭の空幕長 侵略美化 就任前から隊内誌に論文 政府の任命責任重大




2008年11月2日(日)「しんぶん赤旗」

主張 「濡れ衣」論文 増長させた政治の責任




 制服組の暴走は危険きわまりないものです。政治の側の甘やかしが増長させたのは明らかです。




2008年11月7日(金)「しんぶん赤旗」

歴代政府の任命責任解明を 前空幕長問題 志位委員長が会見




「侵略戦争美化の許しがたい暴言であり、きちんと任命責任を明らかにする必要がある」と述べました。




2008年11月7日(金)「しんぶん赤旗」

前空幕長暴言 憲法擁護義務に違反 井上議員追及 “厳正に処分を”



 井上氏は、こうした立場にたつ人物が、自衛隊の中枢にいたこと自体が異常だと強調。田母神氏自身が懲戒の手続きに応じるとしているのに、政府・防衛省が、懲戒もせず、定年退職で済ませていることに対し、「きちっと処分をするべきだ」と強く求めました。




2008年11月8日(土)「しんぶん赤旗」

主張前空幕長問題「臭いものにふた」は許せぬ




 もともとは、侵略戦争美化の発言をくりかえしていた田母神氏を航空自衛隊トップの空幕長に任命した、政府・防衛省の任命責任が問われる問題です。「臭いものにふた」をするような政府の態度が批判されるのは当然です。田母神氏自身の責任とともに、政府・防衛省の責任を明らかにすることが真相究明と再発防止に不可欠です。

 政府・防衛省は、田母神氏の論文公表を「文民統制に反する」とはいいますが、憲法をふみにじるという認識は示していません。日本共産党の井上哲士議員が、憲法尊重擁護義務を定めた憲法九九条に違反するとの認識があるかとただしたのにも、浜田靖一防衛相は「そこまでいっていない」と答えました(六日の参院外交防衛委員会)。そうした認識だから、田母神氏の処分ができないのです。

 田母神氏の論文が、「植民地支配と侵略によって」アジア諸国民に「多大の損害と苦痛」を与えたことを認めた「村山首相談話」(一九九五年八月)など、アジア外交の土台となる政府の公式見解に反しているのは明らかです。だからこそアジア諸国から批判が噴出しているのであり、その意味でも政府は田母神氏の問題をあいまいにすべきではありません。

 重大なのは、田母神氏は空幕長になって突然こうした主張を始めたのではなく、統合幕僚学校長など、空幕長になる以前からその異常な主張は防衛省や自衛隊内部ではよく知られていたことです。侵略戦争美化をくりかえす田母神氏を空幕長に任命し、続けさせてきた政府・防衛省の責任は重大です。

 空幕長は、内閣の承認を得て防衛相が任命します。この点では河村建夫官房長官も「内閣にも責任がある」と認めています(六日の参院外交防衛委員会)。田母神氏は安倍晋三内閣の時代に久間章生防衛相が任命し、福田康夫内閣でも、麻生太郎内閣でも空幕長を続けてきました。当時の状況を徹底的に調査し政府・防衛省の責任を明確にしないで辞めさせるだけでは、「臭いものにふた」といわれても弁解の余地がありません。





2008年11月9日(日)「しんぶん赤旗」

田母神前空幕長問題“言論のクーデター” 根本に何が




 「我が国が侵略国家だったなどというのは正(まさ)に濡(ぬ)れ衣(ぎぬ)である」とした「論文」を応募し、更迭され「定年退職」となった田母神(たもがみ)俊雄前航空幕僚長。同じ懸賞論文に幹部自衛官など九十四人もが応募していたことも明らかになり、組織ぐるみの事件に発展しています。“言論によるクーデター”ともいえる事態の根本になにがあるのか―。


歴史認識・憲法解釈政府見解くつがえす




懲戒手続きなし

自衛隊の体質を示す



 もう一つの問題は、防衛省・自衛隊の体質です。

 防衛省は、田母神氏に対して、懲戒手続きもとらず、定年退職として約六千万円の退職金の自主返納だけを求めるという及び腰の姿勢です。「政府見解と明らかに異なる意見を公にすることは、航空幕僚長としてふさわしくない不適切なもの」(浜田靖一防衛相)というなら、懲戒処分が当然です。

 本紙が情報開示請求で入手した陸上自衛隊幹部学校の「教育課目表」によれば、過去の日本の侵略戦争を、当時の呼び名を使って「大東亜戦争史」として教えています。

 二〇〇四年には、陸上自衛隊幕僚幹部防衛部防衛課所属の二等陸佐が、自民党の中谷元・元防衛庁長官から改憲草案づくりの依頼を受けて起草。憲法九条を改悪して改憲案に国防軍の設置や国民の国防義務を盛り込むことを求めていました。

 今、防衛省が真に取り組むべきことは、過去の侵略戦争美化を容認する風潮をきっぱりと断ち切り、憲法尊重擁護義務をしっかり果たすことです。

任命は安倍内閣

歴代自公政権の責任



 田母神氏が航空幕僚長に任命されたのは二〇〇七年三月、安倍晋三内閣当時のことです。

 田母神氏が侵略戦争を正当化する考えの持ち主であったことは、それ以前から自衛隊内では知られた事実でした。航空自衛隊の隊内誌『鵬友』でも、統合幕僚学校長時代の〇三年七月号から〇四年九月号まで四回にわたって「航空自衛隊を元気にする10の提言」を寄稿し、今回の論文と同様の主張を繰り返しています。

 それにもかかわらず、航空幕僚長に任命した自公政権の任命責任は免れません。

 今年四月に、イラクでの自衛隊の活動を違憲と断罪した名古屋高裁判決に対して、田母神氏は「そんなの関係ねえ」と暴言をはきました。しかし、石破茂防衛相(当時)は「(イラク派兵について)何ら変更がないといいたかったのだろう。部下を思い、国を思う気持ちだ」と擁護しました。

 田母神氏は、侵略戦争肯定発言を繰り返す理由に、「親日的な言論は比較的制約されてきた…その状況が最近変わってきたのではないか」と判断したことをあげています。

 主要閣僚を「靖国」派でしめた安倍内閣の登場(〇六年)と、そのもとで航空幕僚長に任命されたことは、今回の「論文」と無関係ではありません。それだけに、安倍政権以来の歴代政権の政治責任は重大です。


制服組の政治関与

自公政権が推進



 自公政権は自衛隊制服組の政治関与を推進してきました。新ガイドライン(日米軍事協力の指針)が締結された一九九七年には、制服組が国会や他省庁と直接交渉することを禁じた「保安庁訓令九号」を廃止。自民、民主などの若手国会議員と制服組の「勉強会」も指摘されるようになりました。

 二〇〇七年には、防衛庁を防衛省に格上げ。インド洋、イラクと海外派兵を積み重ねるなかで、制服組の発言力も強まりました。

 今年五月には、防衛省「改革」のなかで、石破茂防衛相が「『軍人を政治から隔離しておいたほうが文民統制に資する』との考え方では今日の政軍関係は成り立たない」として、国家安全保障会議に軍人メンバーが加わるよう求めるなど、文民統制の「改革」を求めました。

 田母神氏は、二〇〇四年当時、石破防衛庁長官の訓示を示し、「自衛官も政治に対し…意見を言うべきなのだ」「政治家と積極的に接触するよう努めるべきではないのだろうか」(『鵬友』〇四年三月号)とのべていました。





2008年11月11日(火)「しんぶん赤旗」

過去の戦争「自衛を基本」「日清から大東亜まで」防衛大教科書で侵略正当化本紙が入手




 防衛大学校で必修科目となっている「防衛学概論」で使用される教科書『防衛学入門』が、第二次世界大戦について「自衛を基本とし権益の増大とその衝突」などと記述されていることがわかりました。同教科書は十日までに本紙が政府関係者から入手したもの。日本政府の立場に反して、日本は侵略国家ではないとした論文で更迭された田母神俊雄前航空幕僚長の論旨とも類似する内容で防衛大学校の歴史教育が問われます。




 『防衛学入門』は安倍内閣当時の二〇〇七年三月に、同大学校防衛学教育学群国防論教室が編さん。同書は「防衛大学校において教育する防衛学の全体を範囲とし、4年間の教育期間に取り扱う防衛学各分野を総合したもの」(はしがき)と位置づけられ、「安全保障」「現在の戦略」「わが国の防衛と自衛隊」など七章、全文百四十三ページです。

 第四章第二節「世界戦争史」では第二次世界大戦までの戦争について「苦役的・刑罰主義的なヴェルサイユ体制下に置かれたドイツにおいて、民族主義が燃え上がって報復を決意するのは当然の結果であった。また、この熱狂的な民族主義は、イタリア、日本、スペイン等に伝搬していった」と記述し、ヒトラーのナチスドイツや日本軍国主義の侵略を当然視しています。

 第四章第三節「日本戦争史」では、日本の過去の戦争を「日清戦争、日露戦争、第一次世界大戦、満州事変、支那事変及び大東亜戦争」と当時の呼称のままで表記。それらの「戦争原因は欧米列強によるアジア侵略からの自衛を基本とし権益の増大とその衝突であり」と明治以後の日本の侵略戦争(行為)をすべて「自衛が基本」との戦争観で書かれています。

 五百旗頭(いおきべ)真防衛大学校長は「毎日」(九日付)への寄稿で「防大における歴史教育の内容がどのようなものであるか、改めて調べてみた。あの戦争を賛美するような講義内容は…まったく見あたらなかった」としていました。




2008年11月11日(火)「しんぶん赤旗」

侵略戦争肯定を主張「つくる会」幹部招く自衛隊幕僚学校 田母神氏新設の講座




 幹部自衛官を教育する自衛隊統合幕僚学校(東京都目黒区)で、侵略戦争美化の歴史教科書づくりをすすめる「新しい歴史教科書をつくる会」の福地惇副会長(当時は理事)が講義していたことが十日、分かりました。




 福地氏は本紙の取材に「いまは(田母神問題の)渦中にあり、答えられない」とのべ、否定しませんでした。

 同学校は侵略戦争肯定の懸賞論文を発表した田母神俊雄前航空自衛隊幕僚長が校長を務めたことがあります。

 福地氏は、文部省主任教科書調査官でした。一九九八年に教科書検定基準の「近隣諸国条項」を批判し、更迭されました。講義は二〇〇六年四月十七日で、統合幕僚学校一般課程の「歴史・国家観」講座。テーマは「昭和の戦争について」。「つくる会」の西尾幹二前名誉会長のホームページに掲載された講義案によると、「満州事変・満州建国は日本の侵略ではない」とするなど田母神氏の懸賞論文とほぼ共通しています。

 「歴史・国家観」講座は田母神氏が学校長のときに、新設されました。同氏は航空自衛隊内誌の「鵬友」(〇四年三月号)で「今年の一般課程から『国家観・歴史観』」という項目を設け、五単位ほど我が国の歴史と伝統に対する理解を深めさせるための講義を計画した。主として部外から講師をお迎えして実施してもらっている」と記述しています。

 防衛省は本紙の問い合わせに、講師陣については、大学教授、作家などの肩書のみで講師名は公表しませんでした。

 俵義文「子どもと教科書全国ネット21」事務局長は「自衛隊内での侵略戦争肯定の歴史教育は『戦争する日本』を担う自衛隊幹部や隊員にそうした歴史観をもたせるためではないか。明らかに憲法違反であり、許されるものではない」と批判します。




 新しい歴史教科書をつくる会 侵略戦争を賛美する立場にたった教科書を学校の授業で使用させることをめざして1996年12月につくられた組織。この「つくる会」が主導した歴史教科書(扶桑社刊)が2001年に検定合格。国内外からきびしい批判があがりました。同会は同教科書の採択をめざしましたが、国民的な反対運動が広がり、採択はごく一部にとどまりました。

 統合幕僚学校 東京都目黒区の陸上自衛隊目黒駐屯地にある幹部自衛官の教育研究機関。陸海空各自衛隊の将補や1佐、2佐クラスが「学生」で、高級幕僚業務、自衛隊統合運用、安全保障学などを通常10カ月で履修します。将官や上級幕僚になるための「登竜門」とされています。







2008年11月11日(火)「しんぶん赤旗」

政治の責任 極めて重大田母神論文問題市田書記局長が指摘




 日本共産党の市田忠義書記局長は十日、国会内で記者会見し、“日本は侵略国家ではなかった”とする「論文」を書いた自衛隊の田母神俊雄前航空幕僚長が自身の更迭をめぐり、自らの考えは森喜朗氏ら二人の元首相に理解されていると述べたとの一部報道について、「政治の側が土壌をつくっていたという点で極めて重大だ」と強調しました。

 報道が事実ならとしたうえで、市田氏は、「元首相」が田母神氏の考えに理解を示したのが論文問題の発覚前だとすれば、公務員である自衛隊幹部の意見として論文を発表することを是認、推奨したことになるし、問題発覚後だとしても、事実上、同氏に開き直りを促したことになると指摘。「田母神氏が政府の公式見解と異なる論文を発表したこと自体重大だが、一方で政治の責任がきわめて重い」と批判しました。

 その上で市田氏は、田母神氏が空幕長に任命された二〇〇七年三月当時の安倍晋三内閣は、日本の戦争は侵略戦争ではなく“自存自衛”のたたかいであったという「靖国史観」の閣僚が多数を占めていたと指摘。安倍首相自身、「戦後レジームからの脱却」を主張するなど、田母神氏が自らの考えを公然と言える雰囲気や土壌をつくっていたという点で、きわめて重大だと重ねて指摘しました。

 市田氏は、田母神氏を任命してきた防衛相と、それを承認した歴代政府の責任や事実関係などを、引き続き国会のなかで厳しく追及していく考えを表明しました。


 2008.11.11日付け赤旗は、「過去の戦争『自衛を基本』『日清から大東亜まで』防衛大教科書で侵略正当化 本紙が入手」と題する記事を掲載している。これを転載する。

 『防衛学入門』は安倍内閣当時の二〇〇七年三月に、同大学校防衛学教育学群国防論教室が編さん。同書は「防衛大学校において教育する防衛学の全体を範囲とし、4年間の教育期間に取り扱う防衛学各分野を総合したもの」(はしがき)と位置づけられ、「安全保障」「現在の戦略」「わが国の防衛と自衛隊」など七章、全文百四十三ページです。

 第四章第二節「世界戦争史」では第二次世界大戦までの戦争について「苦役的・刑罰主義的なヴェルサイユ体制下に置かれたドイツにおいて、民族主義が燃え上がって報復を決意するのは当然の結果であった。また、この熱狂的な民族主義は、イタリア、日本、スペイン等に伝搬していった」と記述し、ヒトラーのナチスドイツや日本軍国主義の侵略を当然視しています。

 第四章第三節「日本戦争史」では、日本の過去の戦争を「日清戦争、日露戦争、第一次世界大戦、満州事変、支那事変及び大東亜戦争」と当時の呼称のままで表記。それらの「戦争原因は欧米列強によるアジア侵略からの自衛を基本とし権益の増大とその衝突であり」と明治以後の日本の侵略戦争(行為)をすべて「自衛が基本」との戦争観で書かれています。

 五百旗頭(いおきべ)真防衛大学校長は「毎日」(九日付)への寄稿で「防大における歴史教育の内容がどのようなものであるか、改めて調べてみた。あの戦争を賛美するような講義内容は…まったく見あたらなかった」としていました。



2008年11月14日(金)「しんぶん赤旗」

侵略美化 受講400人

田母神氏03年設置 自衛隊の幹部教育

井上議員質問




 田母神俊雄前航空幕僚長が統合幕僚学校長時代に新設した「歴史観・国家観」講義を受講した幹部自衛官が約四百人に達することが十三日の参院外交防衛委員会で明らかになりました。日本共産党の井上哲士議員の追及に浜田靖一防衛相が答弁したもので、侵略戦争美化、憲法破壊の考え方を教え込む幹部教育が、隊内で大規模に進められていることがはっきりしました。

 講義が新設されたのは二〇〇三年度。田母神氏は十一日の同委員会で、自身が設けたことを井上氏に対し認めています。

 浜田防衛相は、その受講者数が、陸・海・空の自衛隊別にそれぞれ百四十人、百三十人、百二十人だと明らかにしました。

 井上氏が示した防衛省資料によると、同講座の「主要教育内容」は「現憲法及び教育基本法の問題点」や「大東亜戦争史観」などですが、講師の名前は黒塗りにされています。

 井上氏は、講師を務めたことを明らかにしている大正大学の福地惇教授(「新しい歴史教科書をつくる会」副会長)の講義内容が「満州事変・満州建国は日本の侵略ではない」「偽装歴史観に裏付けられた平和憲法=『GHQ占領憲法』」などであると指摘。「田母神氏が今回、論文で明らかにした中身が幹部教育で教えられている」と迫りました。

 麻生太郎首相は「(講義)内容を把握していない。お答えしようがない」と答弁。井上氏は、そうであれば、いっそう講師の氏名、講義内容の資料提出が必要だと求め、北沢俊美委員長(民主党)も「黒塗りで出すとは防衛省の見識を疑う。即刻明らかにすべきだ」と述べました。

 井上氏は「田母神氏は更迭されたが、第二、第三の田母神氏をつくる仕組みは残っている」と批判、幹部教育の全容を明らかにし、その是正を強く求めました。




2008年11月12日(水)「しんぶん赤旗」

論戦ハイライト

侵略美化 組織ぐるみ前空幕長招致 井上議員の追及参院外防委




 そこで井上氏が示したのは、田母神氏が一月三十日に空自熊谷基地(埼玉県)で行った「我が愛すべき祖国日本」と題した講話です。「専守防衛」について「これからもずっと正しいのか、検討されなければいけない」と主張し、かつての戦争で中国に軍隊を送ったのも「決して侵略のためではない」などと述べていました。

 井上氏に対し田母神氏は「しゃべった内容は(懸賞)論文といっしょだ」と述べ、講話の事実を認めました。

 このほかにも、自衛隊準機関紙「朝雲」(四月三日付)によると、空自の准曹士先任集合訓練の場で同氏は「東京裁判やいわゆる南京大虐殺にも触れながら戦後教育の危うさや自虐史観を指摘」した訓話を行っています。

 井上 任務として幹部を集め、職務権限として「教えを諭す」―つまり空幕長として教育している。自衛隊の外で公にしたら更迭される内容を、職務権限として自衛官に教え込んでいる。重大だと思わないのか。

 防衛相 重大なことだという認識のもとに今回、お辞めをいただいた。

 浜田防衛相も、その異常さを認めざるをえませんでした。

 田母神氏は、熊谷基地での講話で「われわれ(自衛隊)が外に向かって意見を言っていかなければならない」「問題はなんぼ起こしてもいいから頑張ってください」とまで述べています。井上氏は「まさに、けしかけているものだ」と批判し、田母神氏がこれまで、どんな講話・訓話を行ってきたのか、全容を明らかにせよと求めました。

 浜田防衛相は「検討させていただきたい」と答弁しました。

「靖国」派が講師に



 つぎに井上氏が暴露したのは、陸海空の自衛隊幹部教育を行う統合幕僚学校でも、田母神氏が学校長を務めた時に、「歴史観・国家観」という講義が新設されたことです。井上氏の指摘に田母神氏は、「日本を悪い国だと言ったのでは、自衛隊の士気も崩れる。きちっとした国家観・歴史観を持たさなければ、国は守れない」と、自身が主導したことを認めました。

 そこで井上氏が示したのが、そのカリキュラムの内容に関する防衛省資料です。

 同資料によると、「教育目標」は「健全な歴史観・国家観を育成」することで、「主要教育内容」の中には「東京裁判史観」や「大東亜戦争史観」などが挙げられています。

 こうした呼び方自体が、侵略戦争を否定する歴史観の中で使われる特異なものです。

 井上 こういう内容の歴史観、国家観教育が適切だと考えているのか。

 防衛相 カリキュラムの中身について私も把握していない。中身を見て、確認したい。

 井上氏は「幹部教育の場で何が行われているのか防衛相が把握していないというのは重大だ」と批判しました。

 さらに井上氏は、二〇〇六年の「歴史観・国家観」の講義で講師を務めたのが、侵略戦争を美化する「新しい歴史教科書をつくる会」の福地惇副会長だと指摘しました。

 防衛省は、資料の中で講師の名前を黒塗りにし、明らかにしていませんが、「靖国」派の西尾幹二・電気通信大学名誉教授のホームページで、福地氏が講義内容を明らかにしています。そこでは「講義の目的」について「『昭和の戦争』は…『自存自衛』のための止む終えない(ママ)受身の戦争だった」とし、「それが了解出来れば、現憲法体制は論理的に廃絶しなくてはならない虚偽の体制であると断言できることを論ずること」だと述べています。

 井上 驚くべき内容だ。特異な歴史観・国家観を自衛隊幹部全体に職務として教え込むものだ。重大だと思わないのか。

 防衛相 この場で答えるのは差し控えたい。

 これだけ明らかになっても重大性を認められない政府・防衛省の異常さがはっきりしました。

歴代政権に重大責任



 井上氏は、田母神氏を任命した安倍内閣が、「靖国」派が多数を占めていたことなども挙げ、同氏が、その特異な考え方を公然といえる雰囲気や土壌をつくってきた歴代政府の責任の重大性を指摘。「歴史観・国家観」にかんする幹部教育の講師名、その全容の公開を強く求めました。

 浜田防衛相は「時間をいただきたい」と答弁。井上氏は、こうした自衛隊を引き続きインド洋に派兵し続けていいのかが厳しく問われているとし、「いっそうの徹底究明が必要だ。(新テロ特措法延長案の)採決は論外だ」と強調しました。







2008年11月12日(水)「しんぶん赤旗」

アパ代表、F15体験搭乗異常癒着の解明を




 日本共産党の井上哲士議員の追及では、懸賞論文を募集したアパグループと、田母神俊雄氏をはじめとする自衛隊との癒着関係も鮮明になりました。

 アパグループの元谷外志雄代表は昨年八月二十一日に航空自衛隊小松基地(石川県)でF15戦闘機に四十八分間の体験搭乗をしています。

 井上氏は、民間人が自衛隊の輸送機に乗ることや戦闘機に搭乗して滑走路を走ることはあるが、戦闘機で実際に飛行する例はきわめてまれだと指摘。その上で、こうした元谷氏の搭乗を承認したのが、当時空幕長の田母神氏だったことを示す「電報起案紙」(昨年八月十三日付)をとりあげました。

 井上 なぜ異例の便宜供与を元谷氏に許可したのか。

 田母神 元谷代表は平成十年(一九九八年)から「小松基地金沢友の会」の会長として強力に支援していただいた。その十年間の功績に対して、体験搭乗の希望者はいっぱいいるわけだが、元谷代表を許可した。

 井上氏は「元谷氏に特別の便宜供与をはかったということだ」と批判し、自衛隊員がアパグループの経営するホテルを利用する場合に、特別の利用契約があるのかどうかをただしました。

 浜田靖一防衛相は、自衛隊員が私的にホテルを利用する場合には、防衛省共済組合が契約した株式会社「JTBベネフィット」に申し込むことができると説明。同社が提携する施設には、アパグループが含まれており、「同ホテルの宿泊料金の割引の適用を受けることができる」と述べました。

 井上氏は、自衛隊と利害関係のある特定の民間企業幹部と、田母神氏が密接な関係にあるという問題点を指摘。田母神氏の論文が、民間の懸賞論文の賞金としては相当高額な三百万円という大金を得たことと、密接な関係との関連も含め、「さらに解明の必要がある」と強調しました。





2008年11月12日(水)「しんぶん赤旗」

“前空幕長更迭に異議”の異常自民 佐藤議員 「軍人にとって恥辱」




 元陸上自衛隊イラク派遣部隊長の佐藤正久参院議員(自民党)は十一日の党防衛関係合同会議で、田母神俊雄前空幕長の更迭に異議を唱えましたが、その主張はまさに“軍人の名誉”を擁護するものでした。

 佐藤氏が自身の同日付ブログで明らかにしたところによれば、同氏は会議の席上、今回の更迭について、自衛隊法上の懲戒ではないが、旧軍でいえば大将から中将への「実質降格」であって、「『軍人』にとっては、恥辱であり、これ以上の処分が必要か否か、冷静に判断すべき」だと主張。退職金の自主返納についても「如何(いかが)なものか」と疑問を呈しました。

 佐藤氏は、出席議員のほとんどが、更迭を決めた防衛省の対応に批判的だったと説明。この日の会議でもっとも紛糾したのは、張作霖事件など旧軍部の暴走で「日本は滅亡への軌道に乗った」と田母神氏の問題を批判した五百旗頭真・防衛大学校校長の論文(「毎日」九日付)についてで、出席議員からは「怒号にも似た声が相次いだ」といいます。 佐藤氏が明らかにした会議の模様は、田母神氏の懲戒処分どころか更迭にさえ異議を唱える自民党議員らの異常な歴史認識ぶりを示しています。






2008年11月14日(金)「しんぶん赤旗」

主張

前空幕長問題

指揮・監督の責任が問われる




 任命責任だけでなく、指揮・監督の責任が問われる―日本が侵略国家だったというのは「濡(ぬ)れ衣(ぎぬ)」だといい、戦前のアジア侵略を否定した田母神(たもがみ)俊雄前空幕長が在任中、職務権限を使って、憲法や政府方針に反する内容を教育していたことが、問題になっています。

 日本共産党の井上哲士議員が、十一日の田母神氏自身への追及に続いて、十三日には麻生太郎首相に重大な問題だと指摘したのに対し、首相も「不適切だ」「(幹部教育は)バランスの取れた内容に」と答えました。首相が本当にそう思うなら、指揮・監督の責任を取り、隊員教育を是正すべきです。













(私論.私見)