(原文) |
朕深ク世界ノ大勢ト帝国ノ現状トニ鑑ミ 非常ノ措置ヲ以テ時局ヲ収拾セムト欲シ 茲ニ忠良ナル爾臣民ニ告ク。朕ハ帝国政府ヲシテ 米英支蘇四国ニ対シ 其ノ共同宣言ヲ受諾スル旨通告セシメタリ。
抑々帝国臣民ノ康寧ヲ図リ 万邦共栄ノ楽ヲ偕ニスルハ 皇祖皇宗ノ遣範ニシテ 朕ノ拳々措カサル所 曩ニ米英二国ニ宣戦セル所以モ亦実ニ帝国ノ自存ト東亜ノ安定トヲ庶幾スルニ出テ 他国ノ主権ヲ排シ領土ヲ侵スカ如キハ固ヨリ朕カ志ニアラス。然ルニ交戦已ニ四歳ヲ閲シ 朕カ陸海将兵ノ勇戦 朕カ百僚有司ノ励精 朕カ一億衆庶ノ奉公 各々最善ヲ尽セルニ拘ラス 戦局必スシモ好転セス。世界ノ大勢亦我ニ利アラス。加之敵ハ新ニ残虐ナル爆弾ヲ使用シテ無辜ヲ殺傷シ惨害ノ及フ所真ニ測ルヘカラサルニ至ル。而モ尚交戦ヲ継続セムカ。終ニ我カ民族ノ滅亡ヲ招来スルノミナラス 延テ人類ノ文明ヲモ破却スヘシ。斯ノ如クムハ 朕何ヲ以テカ億兆ノ赤子ヲ保シ 皇祖皇宗ノ神霊ニ謝セムヤ。是レ朕カ帝国政府ヲシテ共同宣言ニ応セシムルニ至レル所以ナリ。
朕ハ帝国ト共ニ終始東亜ノ解放ニ協力セル諸盟邦ニ対シ 遺憾ノ意ヲ表セサルヲ得ス。帝国臣民ニシテ戦陣ニ死シ 職域ニ殉シ 非命ニ斃レタル者 及其ノ遺族ニ想ヲ致セハ 五内為ニ裂ク。且戦傷ヲ負ヒ 災禍ヲ蒙リ 家業ヲ失ヒタル者ノ厚生ニ至リテハ 朕ノ深ク軫念スル所ナリ。惟フニ今後帝国ノ受クヘキ困難ハ固ヨリ尋常ニアラス。爾臣民ノ衷情モ朕善ク之ヲ知ル。然レトモ 朕ハ時運ノ趨ク所耐ヘ難キヲ耐ヘ 忍ヒ難キヲ忍ヒ 以テ万世ノ為ニ太平ヲ開カムト欲ス。
朕ハ茲ニ国体ヲ護持シ得テ 忠良ナル爾臣民ノ赤誠ニ信倚シ 常ニ爾臣民ト共ニ在リ。若シ夫レ情ノ激スル所濫ニ事端ヲ滋クシ 或ハ同胞排擠互ニ時局ヲ乱リ 為ニ大道ヲ誤リ 信義ヲ世界ニ失フカ如キハ朕最モ之ヲ戒ム。宜シク挙国一家子孫相伝ヘ 確ク神州ノ不滅ヲ信シ 任重クシテ道遠キヲ念ヒ 総力ヲ将来ノ建設ニ傾ケ 道義ヲ篤クシ 志操ヲ鞏クシ 誓テ国体ノ精華ヲ発揚シ 世界ノ進運ニ後レサラムコトヲ期スヘシ。爾臣民其レ克く朕カ意ヲ体セヨ。(御名御璽)
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(書き下し現代文) |
朕(ちん)、深く世界の大勢と、帝国の現状とに鑑(かんが)み、非常の措置をもって、時局を収拾せむと欲し、ここに忠良なる汝臣民に告ぐ。朕は、帝国政府をして、米英支ソ四国(よんこく)に対し、その共同宣言を受諾する旨、通告せしめたり。
そもそも帝国臣民の康寧(こうねい)を図(はか)り、万邦共栄の楽(たのしみ)を共にするは、皇祖皇宗の遺範にして、朕の挙々(けんけん)措かざるところ。先に米英二国に宣戦せるゆえんも、また実に帝国の自存と東亜の安定とを庶幾(しょき)するに、出でて他国の主権を排し、領土を侵すがごときは、もとより朕が志(こころざし)にあらず。
しかるに、交戦すでに四歳をけみし、朕が陸海将兵の勇戦、朕が百僚有司の励精(れいせい)、朕が一億衆庶の奉公、おのおの最善を尽くせるに拘(かかわ)らず、戦局必ずしも好転せず、世界の大勢、また我に利あらず。
しかのみならず、敵は新たに残虐なる爆弾を使用し、しきりに無辜(むこ)を殺傷し、惨害の及ぶところ、まことに測るべからざるに至る。しかもなお交戦を継続せんか。ついに我が民族の滅亡を招来するのみならず、延(ひい)て人類の文明をも破却すべし。かくのごとくむは、朕、何をもってか、億兆の赤子を保し、皇祖皇宗の神霊に謝せんや。これ朕が帝国政府をして共同宣言に応ぜしむるに至れる所以(ゆえん)なり。
朕は帝国とともに、終始、東亜の解放に協力せる諸盟邦に対し、遺憾の意を表せざるをえず。帝国臣民にして、戦陣に死し、職域に殉し、非命に倒れたる者、及びその遺族に想(おもい)を致せば、五内(ごだい)為に裂く。かつ戦傷を負い、災禍を蒙(こうむ)り、家業を失いたる者の厚生に至りては、朕の深く軫念(しんねん)するところなり。
維(おも)うに今後、帝国の受くべき苦難は、もとより尋常にあらず。汝臣民の衷情(ちゅうじょう)も、朕よくこれを知る。しかれども、朕は時運の赴くところ、堪えがたきを堪え、忍びがたきを忍び、もって万世のために太平を開かんと欲す。
朕はここに、国体を護持し得て、忠良なる汝臣民の赤誠に信倚(しんい)し、常に汝臣民と共にあり。もしそれ情の激するところ、みだりに事端をしげくし、あるいは同胞排擠(はいせい)、互いに時局を乱り、ために大道を誤り、信義を世界に失うがごときは、朕もっともこれを戒む。
よろしく挙国一家、子孫、相伝え、よく神州の不滅を信じ、任重くして道遠きを念(おも)い、総力を将来の建設に傾け、道義を篤(あつ)くし、志操を固くし、誓って国体の精華を発揚し、世界の進運におくれざらんことを期すべし。汝臣民、それよく朕が意を体せよ。
御名御璽(ぎょめいぎょじ)
昭和二十年八月十四日
[以下、内閣総理大臣・鈴木貫太郎はじめ、十六名の閣僚、連署] |
内閣総理大臣 鈴木貫太郎
海軍大臣 米内光政
司法大臣 松阪広政
陸軍大臣 阿南惟幾
軍需大臣 豊田貞次郎
厚生大臣 岡田忠彦
国務大臣 桜井兵五郎
国務大臣 左近司 政三
国務大臣 下村 宏
大蔵大臣 広瀬豊作
文部大臣 太田 耕造
農商大臣 石黒忠篤
内務大臣 安倍 源基
外務大臣 東郷茂徳
大東亜大臣
国務大臣 安井藤治
運輸逓信大臣 小日山直登 |
(現代語訳) |
余は、深く世界の大勢と、帝国の現状をかえりみて、非常措置をもって事態を収拾しようと欲し、ここに忠実にして善良なる汝ら臣民に告げる。余は帝国政府に、米英中ソの四国に対し、そのポツダム宣言を受諾する旨、通告させた。
そもそも、帝国臣民の安寧をはかり、万国が共存共栄して楽しみをともにすることは、天照大御神からはじまる歴代天皇・皇室が遺訓として代々伝えてきたもので、余はそれをつねづね心がけてきた。先に米英の二国に宣戦した理由も、実に帝国の独立自存と東アジア全域の安定とを希求したものであって、海外に出て他国の主権を奪い、領土を侵略するがごときは、もとより余の志すところではない。しかるに、交戦状態はすでに四年を過ぎ、余の陸海軍の将兵の勇敢なる戦い、余のすべての官僚役人の精勤と励行、余の一億国民大衆の自己を犠牲にした活動、それぞれが最善をつくしたのにもかかわらず、戦局はかならずしも好転せず、世界の大勢もまたわが国にとって有利とはいえない。
そればかりか、敵国は新たに残虐なる原子爆弾を使用し、いくども罪なき民を殺傷し、その惨害の及ぶ範囲は、まことにはかりしれない。この上、なお交戦を続けるであろうか。ついには、わが日本民族の滅亡をも招きかねず、さらには人類文明そのものを破滅させるにちがいない。そのようになったならば、余は何をもって億兆の国民と子孫を保てばよいか、皇祖神・歴代天皇・皇室の神霊にあやまればよいか。以上が、余が帝国政府に命じ、ポツダム宣言を受諾させるに至った理由である。
余は、帝国とともに終始一貫して東アジアの解放に協力してくれた、諸々の同盟国に対し、遺憾の意を表明せざるをえない。帝国の臣民の中で、戦陣で戦死した者、職場で殉職した者、悲惨な死に倒れた者、およびその遺族に思いを致すとき、余の五臓六腑は、それがために引き裂かれんばかりである。かつ、戦傷を負い、戦争の災禍をこうむり、家も土地も職場も失った者たちの健康と生活の保証にいたっては、余の心より深く憂うるところである。思うに、今後、帝国の受けるべき苦難は、もとより尋常なものではない。汝ら臣民の真情も、余はそれをよく知っている。しかし、ここは時勢のおもむくところに従い、耐えがたきを耐え、忍びがたきを忍び、それをもって万国の未来、子々孫々のために、太平の世への一歩を踏み出したいと思う。
余はここに、国家国体を護り維持しえて、忠実にして善良なる汝ら臣民の真実とまごころを信頼し、常に汝ら臣民とともにある。もし、事態にさからって激情のおもむくまま事件を頻発させ、あるいは同胞同志で排斥しあい、互いに情勢を悪化させ、そのために天下の大道を踏みあやまり、世界の信義を失うがごとき事態は、余のもっとも戒めるところである。
そのことを、国をあげて、各家庭でも子孫に語り伝え、神国日本の不滅を信じ、任務は重く道は遠いということを思い、持てる力のすべてを未来への建設に傾け、道義を重んじて、志操を堅固に保ち、誓って国体の精髄と美質を発揮し、世界の進む道におくれを取らぬよう心がけよ。汝ら臣民、以上のことを余が意志として体せよ。
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世界の情勢と日本の現状をよくよく検討した結果、ありえないと思われる方法をあえてとることにより、この状況を収拾したい。常に私に忠実であるあなたがた日本臣民の皆さんに、今から私の決断を伝えよう。
私は日本政府担当者に米国、英国、中国、ソビエト連邦の4カ国に対して、日本が(ポツダム)共同宣言を受け入れると伝えることを指示した。そもそも私たち日本国民が穏やかで安心な暮らしができ、世界全体と繁栄の喜びを共有することは、歴代の天皇が代々受け継いで守ってきた教えであり、私自身もその教えを非常に大事なことと考えてきた。最初に米英2カ国に宣戦布告した理由も日本の自立とアジアの安定を願う気持ちからであり、ほかの国の主権を侵したり、その領土を侵したりすることが、私の目指すところであったわけではない。けれども戦争はすでに4年も続いており、我らが陸海軍人たちの勇敢な戦いぶりや行政府の役人らの一心不乱の働きぶり、そして1億人の庶民の奉公、それぞれが最善を尽くしたにも関わらず、戦況は必ずしも好転せず、世界情勢を見るに、日本に有利とはとても言えない状況である。
その上、敵は残虐な新型爆弾を使用して多くの罪のない者たちを殺傷し、その被害の及ぶ範囲は、測ることもできないほどに広がっている。もしもこれ以上戦争を続ければ、最後には我が日本民族の滅亡にもつながりかねない状況であり、
ひいては人類の文明すべてを破壊してしまいかねない。そのようなことになれば、私はどのようにして1億人の民を守り、歴代天皇の霊に顔向けすることができようか。これが私が政府担当者に対し、共同宣言に応じよと指示した理由である。
私は、アジアを(西欧列強から)開放するために日本に協力してくれた友好国にたいして大変申し訳なく思う。また、日本国民であって戦地で命を失った者、職場で命を落とし、悔しくも天命をまっとうできなかった者、そしてその遺族のことを考えると、心も体も引き裂かれんばかりの思いがする。戦争で傷つき、戦災被害にあって家や仕事を失った者たちの暮らしについても、非常に心配に思っている。この後、日本が受けるであろう苦難は言うまでもなく尋常なものではないであろう。みなさん臣民の悔しい思いも、私はよくよくそれを分かっている。けれども私は時代の運命の導きにそって、耐え難きを耐え、忍び難きを忍び、これからもずっと続いていく未来のために、平和への扉を開きたい。
私はこうやって日本の国の形を守ることができたのだから忠誠心が高く善良な臣民の真心を信頼し、常にあなたがた臣民とともにある。感情の激するがままに事件を起こしたり、もしくは仲間同士が争って世の中を乱したり、そのために道を誤って世界からの信頼を失うようなことは、最も戒めたいことである。
何とか国全体が1つとなり、子孫にまでその思いを伝え、神国日本の不滅を信じ、任務はとても重く、行く道は非常に遠いことを覚悟して、将来の建設に向けて総力を結集し、道義を守り志と規律を強く持って、
日本の力を最大に発揮することを誓い、世界の先進国に遅れをとらずに進むのだという決意を持とうではないか。私の臣民たちよ、ぜひともこの私の意思をよくよく理解してもらいたい。
(玉音放送を現代語訳 HF
-BLOG-|.fatale|fatale.honeyee.com (via pipco) (出典: takudeath (mago6から)) |
「玉音放送の全文 現代語訳及び英文 Imperial Rescript on Surrender」転載 |
「大東亞戰爭終結ノ詔書」 |
”Imperial Rescript on Surrender” |
朕深ク世界ノ大勢ト帝國ノ現狀トニ鑑ミ 非常ノ措置ヲ以テ時局ヲ收拾セムト欲シ 玆ニ忠良ナル爾臣民ニ吿ク |
私は、深く世界の情勢と日本の現状について考え、非常の措置によって今の局面を収拾しようと思い、ここに忠義で善良なあなた方国民に伝える。 |
今日、世界の趨勢と我が帝国の現状について深慮し、今の局面の収拾に効果あらしめる為に非常の措置を決意した。 |
After pondering deeply the general trends of the world and the actual
conditions obtaining in Our Empire today, We have decided to effect a settlement
of the present situation by resorting to an extraordinary measure. |
朕ハ帝國政府ヲシテ米英支蘇四國ニ對シ 其ノ共同宣言ヲ受諾スル旨通吿セシメタリ |
私は、日本国政府に、アメリカ・イギリス・中国・ソ連の4国に対して、それらの共同宣言(ポツダム宣言 )を受諾することを通告させた。 |
アメリカ、イギリス、中国、ソ連政府に対し、日本国政府が彼らの四カ国宣言(ポツダム宣言)を受諾することを通告した。 |
We have ordered Our Government to communicate to the Governments of the
United States, Great Britain, China and the Soviet Union that Our Empire
accepts the provisions of their Joint Declaration. |
抑々帝國臣民ノ康寧ヲ圖リ萬邦共榮ノ樂ヲ偕ニスルハ皇祖皇宗ノ遺範ニシテ朕ノ拳々措カサル所 |
そもそも、日本国民の平穏無事を確保し、すべての国々の繁栄の喜びを分かち合うことは、歴代天皇が大切にしてきた教えであり、私が常々心中強く抱き続けているものである。 |
日本国民の繁栄と幸福、同様に国家の安全と平穏無事を願い尽力するのは、我が帝国のご先祖が世代を次いで護持して参った要の務めであり、実に心中深くに抱き続けているものである。 |
To strive for the common prosperity and happiness of all nations as well
as the security and well-being of Our subjects is the solemn obligation
which has been handed down by Our Imperial Ancestors, and which We lay
close to heart. Indeed, |
曩ニ米英二國ニ宣戰セル所以モ亦實ニ帝國ノ自存ト東亞ノ安定トヲ庻幾スルニ出テ他國ノ主權ヲ排シ領土ヲ侵スカ如キハ固ヨリ朕カ志ニアラス |
先にアメリカ・イギリスの2国に宣戦したのも、まさに日本の自立と東アジア諸国の安定とを心から願ってのことであり、他国の主権を排除して領土を侵すようなことは、もとより私の本意ではない。 |
我々は先にアメリカ、イギリスに宣戦したが、日本の自立と東アジア諸国の安定を願ってのことであり、他国の主権侵害や領土侵略は私どもの本意ではない。 |
We declared war on America and Britain out of Our sincere desire to secure
Japan's self-preservation and the stabilization of East Asia, it being
far from Our thought either to infringe upon the sovereignty of other nations
or to embark upon territorial aggrandisement. |
然ルニ交戰已ニ四歲ヲ閱シ |
しかしながら、交戦状態もすでに4年を経過し、 |
今日、戦争が4年近く経過している。 |
But now the war has lasted for nearly four years. |
朕カ陸海將兵ノ勇戰朕カ百僚有司ノ勵精朕カ一億衆庻ノ奉公各〻最善ヲ盡セルニ拘ラス |
我が陸海将兵の勇敢な戦い、我が全官僚たちの懸命な働き、我が1億国民の身を捧げての尽力も、それぞれ最善を尽くしてくれたにもかかわらず、 |
Despite the best that has been done by every one -- the gallant fighting
of military and naval forces, the diligence and assiduity of Our servants
of the State and the devoted service of Our one hundred million people,
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戰局必スシモ好轉セス世界ノ大勢亦我ニ利アラス |
戦局は必ずしも好転せず、世界の情勢もまた我が国に有利とは言えない。 |
the war situation has developed not necessarily to Japan's advantage,
while the general trends of the world have all turned against her interest.
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加之敵ハ新ニ殘虐ナル爆彈ヲ使用シテ頻ニ無辜ヲ殺傷シ慘害ノ及フ所眞ニ測ルヘカラサルニ至ル |
それどころか、敵国は新たに残虐な爆弾(原子爆弾)を使い、むやみに罪のない人々を殺傷し、その悲惨な被害が及ぶ範囲はまったく計り知れないまでに至っている。 |
それどころか、敵国は新たな最も残虐な爆弾(原子爆弾)を使った。その損傷する威力は実に広域で、多くの罪のない人々を殺傷している。 |
Moreover, the enemy has begun to employ a new and most cruel bomb,[the
power of which to do damage is indeed incalculable, taking the toll of
many innocent lives. |
而モ尙交戰ヲ繼續セムカ終ニ我カ民族ノ滅亡ヲ招來スルノミナラス延テ人類ノ文明ヲモ破却スヘシ |
それなのになお戦争を継続すれば、ついには我が民族の滅亡を招くだけでなく、さらには人類の文明をも破滅させるに違いない。 |
我々がなお戦争を継続すれば、ついには日本国の壊滅と滅亡を招くだけでなく、人類の文明をも破滅させるに違いない。 |
Should we continue to fight, it would not only result in an ultimate collapse
and obliteration of the Japanese nation, but also it would lead to the
total extinction of human civilization. |
斯ノ如クムハ朕何ヲ以テカ億兆ノ赤子ヲ保シ皇祖皇宗ノ神靈ニ謝セムヤ |
そのようなことになれば、私はいかなる手段で我が子とも言える国民を守り、歴代天皇の御霊(みたま)にわびることができようか。 |
そのようなことになれば、どうやって我が億兆の国民を守り、帝国のご先祖の御霊(みたま)に詫びることができようか。 |
Such being the case, how are We to save the millions of Our subjects;
or to atone Ourselves before the hallowed spirits of Our Imperial Ancestors?
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是レ朕カ帝國政府ヲシテ共同宣言ニ應セシムルニ至レル所以ナリ |
これこそが日本政府に共同宣言を受諾させるに至った理由である。 |
これこそが四カ国共同宣言を受諾させるに至った理由である。 |
This is the reason why We have ordered the acceptance of the provisions
of the Joint Declaration of the Powers. |
朕ハ帝國ト共ニ終始東亞ノ解放ニ協力セル諸盟邦ニ對シ遺憾ノ意ヲ表サルヲ得ス |
私は日本と共に終始東アジア諸国の解放に協力してくれた同盟諸国に対して、遺憾の意を表さざるを得ない。 |
日本と共に終始東アジア諸国の解放に協力してくれた同盟諸国に対して、遺憾の意を表さざるを得ない。 |
We cannot but express the deepest sense of regret to Our Allied nations of East Asia, who have consistently cooperated with the Empire towards the emancipation of East Asia. |
帝國臣民ニシテ戰陣ニ死シ職域ニ殉シ非命ニ斃レタル者及ビ其ノ遺族ニ想ヲ致セハ五內爲ニ裂ク |
日本国民であって戦場で没し、職責のために亡くなり、戦災で命を失った人々とその遺族に思いをはせれば、我が身が引き裂かれる思いである。 |
戦場で没した者、職責で亡くなった者、戦災で命を失った人々、その遺族に思いをはせれば、我が身が引き裂かれる思いである。 |
The thought of those officers and men as well as others who have fallen
in the fields of battle, those who died at their posts of duty, or those
who met with untimely death and all their bereaved families, pains Our
heart night and day. |
且戰傷ヲ負ヒ災禍ヲ蒙リ家業ヲ失ヒタル者ノ厚生ニ至リテハ朕ノ深ク軫念スル所ナリ |
さらに、戦傷を負い、戦禍をこうむり、職業や財産を失った人々の生活の再建については、私は深く心を痛めている。 |
さらに、戦傷を負い、戦禍をこうむり、住まいや生計を失った人々が直面している生活の再建について、深く心を痛めている。 |
The welfare of the wounded and the war-sufferers, and of those who have
lost their home and livelihood, are the objects of Our profound solicitude.
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惟フニ今後帝國ノ受クヘキ苦難ハ固ヨリ尋常ニアラス |
考えてみれば、今後日本の受けるであろう苦難は、言うまでもなく並大抵のものではない。 |
今後日本に待ち受ける困難と苦痛は並大抵のものではない。 |
The hardships and sufferings to which Our nation is to be subjected hereafter
will be certainly great. |
爾臣民ノ衷情モ朕善ク之ヲ知ル |
あなた方国民の本当の気持ちも私はよく分かっている。 |
国民の皆さまの心中深くの気持ちが痛いほど分かっています。 |
We are keenly aware of the inmost feelings of all ye, Our subjects. |
然レトモ朕ハ時運ノ趨ク所堪ヘ難キヲ堪ヘ忍ヒ難キヲ忍ヒ以テ萬世ノ爲ニ太平ヲ開カムト欲ス |
しかし、私は時の巡り合わせに従い、堪え難くまた忍び難い思いをこらえ、永遠に続く未来のために平和な世を切り開こうと思う。 |
しかし、私は時と運命の巡り合わせに従い、堪え難くまた忍び難い思いをこらえ、永遠に続く未来のために平和な世を切り開こうと思う。 |
However, it is according to the dictate of time and fate that We have
resolved to pave the way for grand peace for all the generations to come
by enduring the unendurable and suffering what is insufferable. |
朕ハ玆ニ國體ヲ護持シ得テ忠良ナル爾臣民ノ赤誠ニ信倚シ常ニ爾臣民ト共ニ在リ |
私は、ここにこうして、この国のかたちを維持することができ、忠義で善良なあなた方国民の真心を信頼し、常にあなた方国民と共に過ごすことができる。 |
こうして、この国のかたちを保護し維持することによって、国民の誠実さと真心を信頼しながら、善良で忠義な国民と共に居ることができる。 |
Having been able to safeguard and maintain the structure of the Imperial State, We are always with ye, Our good and loyal subjects, relying upon your sincerity and integrity. |
若シ夫レ情ノ激スル所濫ニ事端ヲ滋クシ或ハ同胞排擠互ニ時局ヲ亂リ爲ニ大道ヲ誤リ信義ヲ世界ニ失フカ如キハ朕最モ之ヲ戒ム |
感情の高ぶりから節度なく争いごとを繰り返したり、あるいは仲間を陥れたりして互いに世情を混乱させ、そのために人としての道を踏み誤り、世界中から信用を失ったりするような事態は、私が最も強く戒めるところである。 |
感情の高ぶりから節度なく争いごとを繰り返したり、あるいは仲間を陥れたりして互いに世情を混乱させ、そのために人としての道を踏み誤り、世界中から信用を失ったりするような事態は、私が最も強く戒めるところである。 |
Beware most strictly of any outbursts of emotion which may endanger needless
complications, or any fraternal contention and strife which may create
confusion, lead ye astray and cause ye to lose the confidence of the world.
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宜シク擧國一家子孫相傳ヘ確ク神州ノ不滅ヲ信シ任重クシテ道遠キヲ念ヒ |
まさに国を挙げて一家として団結し、子孫に受け継ぎ、神国日本の不滅を固く信じ、任務は重く道のりは遠いと自覚し、 |
国をして世代を受け継ぐ一家として団結しよう。神国日本不滅の信念と、祖国再建の重い任務を自覚しよう。道のりは遠かろうとも。 |
Let the entire nation continue as one family from generation to generation,
ever firm in its faith of the imperishableness of its divine land and mindful
of its heavy burden of responsibilities, and the long road before it. |
總力ヲ將來ノ建設ニ傾ケ |
総力を将来の建設のために傾けよ。 |
総力を結集し、将来の建設のために邁進せよ。 |
Unite your total strength to be devoted to the construction for the future.
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道義ヲ篤クシ志操ヲ鞏クシ誓テ國體ノ精華ヲ發揚シ世界ノ進運ニ後レサラムコトヲ期スヘシ |
踏むべき人の道を外れず、揺るぎない志をしっかりと持って、必ず国のあるべき姿の真価を広く示し、進展する世界の動静には遅れまいとする覚悟を決めなければならない。 |
国としての踏むべき道を涵養しよう。その為の精神を気高く保持しよう。即ち、帝国の本来の栄誉を希求すること、進展する世界の動静には遅れまいとする覚悟を陶冶しよう。 |
Cultivate the ways of rectitudes; foster nobility of spirit; and work
with resolution so as ye may enhance the innate glory of the Imperial State
and keep place which the progress of the world. |
爾臣民其レ克ク朕カ意ヲ體セヨ |
あなた方国民は、これら私の意をよく理解して行動してほしい。 |
(この箇所の英文は私には不明) |
御 名 御 璽 (ぎょめいぎょじ) |
天皇陛下署名及び天皇の印 |
Emperor’s signature and seal |
昭和二十年八月十四日
1945.8.14 |