第10部の2 GHQ民政局法務部顧問ハワード・マイヤーズ考

 (最新見直し2011.01.20日)

 (れんだいこのショートメッセージ)
 ここで、宮顕の「復権証明書取得経過」に功のあったGHQ民政局法務部顧問ハワード・マイヤーズとは何者かについて確認しておく。次に、その検索過程で出くわした「第078回国会 予算委員会 第1号」のマイヤーズ絡みの質疑について確認しておく。

 2011.01.20日再編集 れんだいこ拝


【ハワード・マイヤーズの名前考】
 ここで登場する「ハワード・マイヤーズ」なる名前が実名であるのかどうかも疑わしい。確実なことは、典型的なユダヤ教のラビ的名称であり過ぎることである。GHQ民政局法務部顧問との肩書を持って登場しているが、国際金融資本帝国主義系譜のネオシオニストと云うのが正体であると思われる。それ故にと云うべきか、「ハワード・マイヤーズ」はネット検索で出てこない。大物でないから出てこないのではなく、意図的故意に隠されていると窺うべきではなかろうか。

 「ハワード・マイヤーズ」考究の意味と意義は、ネオシオニスト・ラビが何故に宮顕救済を特命目的として介入してきたのかを解明することにある。ここに宮顕の闇と真実があると云うべきではなかろうか。進退きわまった時にこそ正体が露わになる。宮顕の復権が座礁した時、宮顕救済に乗り出して来たネオシオニスト・ラビこそ宮顕の操り人と云うことになる。或いは少なくとも宮顕がネオシオニストと繫がっていた証拠にはなろう。

 2011.1.21日 れんだいこ拝

【「第078回国会 予算委員会 第1号」に見る釈放論理考】
 1976(昭和51).9.16日、同9.30日の質疑と思われる「第078回国会 予算委員会 第1号」が珍しい日共流の「宮顕釈放論理」を開陳している。ロッキード事件喧騒のさなかでのロッキード事件質疑と並行しての「宮顕釈放過程疑義問題」のやり取りである点で、両事件の混在ぶりが窺えて興味深い。質問者・共産党の正森成二、答弁者・稻葉国務大臣の興味深いやり取り部分を確認し、解析しておく。

 正森氏は、「疑わしきは被告人の利益に」を持ち出して次のように述べている。
 「およそ近代の裁判において、疑わしきは被告人の利益にというのは絶対的な原則であります。ところが、治安維持法の時代には、昭和九年、十年と言えば宮本顕治氏の事件が起こったころであります。裁判官が、疑わしい場合には、よくわからない場合には検事に従う。検事は起訴した人物であります。よくわからないときには検事に従うというのでは被告人はたまったものではありません。これは裁判ではありません。総理、私は前提をいろいろ申し上げましたが、そういうようなもとで、しかも宮本顕治氏の場合には鑑定人も証人も一名も採用してもらえませんでした。現在の刑事訴訟法のもとでは、それだけで控訴審で破棄される理由であります」。
(私論.私見) 「疑わしきは被告人の利益に」を廻る共産党の論点の変質考
 「疑わしきは被告人の利益に原則」が共産党の普通の見解だろう。ところが、2009-2011年政局に於ける小沢どん政治訴追運動では、共産党は、「被告人には道義的釈明要す」なる法理論を唱え先導役を務めている。共産党の日共化の定向進化の到達段階を示している。

 稻葉国務大臣が、正森委員の勅令七百三十号経緯に対する質問に次のように答弁している。
 「昭和二十二年の四月の末になって、司令部から司法省に対し特別の指示があったために、ああいう付記が行われたのです。その指示がなければ付記が行われない。付記が行われなければ、刑法犯については除外してあるんですから、資格の回復はなかった、こういうことになるわけです。その七百三十号には、政治犯については資格回復のことを命じてありますけれども、不法監禁致死だとか死体遺棄だとか、それからピストルを持っている罪だとか、そういう刑法犯は除外してあるのです。そういうものを犯した者については資格は回復しないとなっているのです。そうなっている。それを二十二年の四月末に、連合軍のある係官からわが司法省の刑事局長へ特別の指示が来たのですから。そうして、それに基づいて刑事局長から検事正に通牒を出して、そういう付記を書かせたことによって初めて資格を回復する、こういうことになったのですから、連合軍の特別指示が来なければそういう付記はなされないのであり、したがって資格回復はなされていなかったのだから、いわば連合軍のおかげで助かったと言っても過言ではない、こういうことです。連合軍の一連の民主化に関する覚書、その覚書に基づいてわが国で出した勅令、そういうものに基づいてやったのなら、法制のもとに行われたあれですから、それはいいのです。ところが、宮本顕治氏と袴田里見氏については、この二人については特別に該当したものとみなす、そういうふうな取り扱いをせいという特別な指示が来たのだから、この二人については連合軍の指示によって助かったのだ、こう言って差し支えないのです」。
(私論.私見) 宮顕、袴田の資格回復の超法規性考
 ここで、宮顕、袴田の資格回復の超法規性が確認されている。稻葉法相答弁がはっきりと超法規性を述べている。

 正森氏は、「昭和二十年十月四日の政治的自由の回復に関するメモランダム」について次のように述べている。
 「あえて伺いたいと思いますけれども、昭和二十年十月四日の政治的自由の回復に関するメモランダムがなければ、連合軍のそういう特別の指示がなければ、政治犯は全く解放されなかったのです。あなたの論法をもってすれば、連合軍司令部の指示があったから、そのおかげで助かったということになるわけです。私は、その関連について一言申し上げたいと思います。昭和二十年十月三日に、当時の山崎内相の談話があります。それを見ますと、ロイター通信の東京特派員のロバート・リュベン氏と会談して、アメリカ軍の機関紙のスターズ・アンド・ストライプスに報じたものであります。彼は、共産党員である者は拘禁を続けると断言。『内相は政府形体の変革とくに、天皇制廃止を主張するものはすべて共産主義者と考へ、治安維持法によって逮捕されると語った』。いいですか。戦争が終わった十月三日ですよ。岩田法相談。これは同日、中国の中央通訊社特派員の宋徳和氏に語ったものですが、『司法当局としては現在のところ政治犯人の釈放の如きは考慮してみない。かかる犯罪人を刑期より前に釈放することは裁判を無効にすることであり、我々にはかかる権限は与へられてるない』。予防拘禁者について『大臣の権限をもって釈放できる。しかし現在の事態の下では彼等を依然拘置所に留めておく必要ありと考へ、従ってこれまた釈放の如きは考へてるない』。こう言っているのですね。昭和二十年の十月三日。八月十五日に戦争が終わっているのですよ。それでもなおかつ、連合軍司令部の十月四日のメモランダムという特別の指示がなければまだ治安維持法で逮捕する、刑を終了した者もまだ予防拘禁で入れておく、こう言っていたのです。そういう立場にあった人は、この連合軍司令部の、あなたの表現によればメモランダムによって助かったということになります」。
(私論.私見) 政治的自由の回復に関するメモランダム考
 正森見解は何の意味も持たないが、政治的自由の回復に関するメモランダムに関する山崎内相談話を伝えているところに意味がある。

 稻葉国務大臣が、次のように答弁している。
 「昭和二十年十月四日であるとか昭和二十年十月十九日であるとか、二十九日のそういう覚書であるとか、それは治安維持法みたいなああいう法律で処罰されている者は、これは政治犯として民主化の妨げになるから、民主化しようというのですから、ポツダム宣言に基づいてやってきた司令部というのは日本を民主化する任務を持っていますから、それでいろいろなメモランダムを出したのです。政治犯は釈放しよう、こういうんだけれども、刑法犯は除外する、こうなっているんだ。そこで、刑法犯は除外することになっているんだから、宮本氏と袴田氏はこれに該当しないというので、これを特に該当させるために……(正森委員「そんなことは聞いてないですよ。三木清氏のことを聞いているんですよ。日本国民全体のことを聞いているんですよ」と呼び、その他発言する者あり) ですから政治犯一般については――ちょっとそこら辺やかましいな。(正森委員「委員長、質問に答えさせてください」と呼ぶ) ああいうメモランダムでみんな助かったんです。いいですか。それだから、その助かったことをあのメモランダムのおかげだと言えばそのとおりだ。しかしこれでも助からなかったのが二人いたけれども、特別の指示によって助かったと、これだけ言っているんだろうが。事実をそのまま私は言うているだけの話ですよ。誤解しないようにしてくれ」。
(私論.私見) 宮顕、袴田釈放の超法規性考
 ここで、宮顕、袴田釈放の超法規性が確認されている。稻葉法相答弁がはっきりと超法規性を述べている。正森その他がヤジを飛ばしている様子が記されている。それにしても、共産党の「そんなことは聞いてないですよ」がオカシイ。稻葉法相答弁の真実性を吟味せず隠蔽しようとして躍起になっていることが分かるが、卑怯姑息であろう。

  続いて、正森委員が、政治犯として釈放された439名の中に宮顕の名が記載されていることの確認を求め、記載されている以上、「政治犯として釈放された。その事実はお認めになりますか」と質疑している。これに対して、安原政府委員は、「政治犯人四百三十九人の中には宮本顕治氏の名前が記載されております」と答弁している。これを確認後、正森委員が、マイヤーズについて次のように述べている。
 「当時の連合軍の司令部にマイヤーズという法律顧問がおりました。そのマイヤーズが一九四七年の三月二十六日付及び一九四七年五月十五日付で次のようなことを言っております。その結果釈放されているわけであります。全文は読むと非常に長くなりますから一部を読みますが、こう言っております。『最後に、日本政府はこの事件を一般犯罪というより、むしろ政治犯罪とみなしているということを強調しておきたい。この犯罪の本質は政治的なものであり、政治的行動の結果としてのみ一般犯罪の性格を伴うに至ったのであると感じられる。二人が政治犯罪と一般犯罪の両方で罪に問われたこと、また一般犯罪の故にさらに刑務所に拘禁され続けたかもしれないという事実を、日本の司法省は二人の釈放前に行われたGHQ担当官の調査のさい認めた。それにも拘らず、二人はSCAPIN93号(十月四日のメモランダムのことです)に基づいて、政治犯として釈放された。従って日本政府は、この事件を基本的には政治犯罪であり、一般犯罪はたまたま付随したものであるとみなしたことになる』。十月四日のメモランダムによれば、治安維持法で投獄されておった者、何ら罪名なしに投獄されておった者、付随的な罪がついておった者すべてについて釈放せよ、こうなっております。これは当時の一九四七年三月二十六日付の一部です。

 さらに、一九四七年五月十五日付の一部にはこう書いてあります。それはあなた方も御承知のとおりであろうと思います。『本官は佐藤氏に対し(当時の佐藤藤佐刑事局長であります)、前に説明した通り、これら二人の復権を民政局が決定した理由は、本件が恩赦法の条項に該当するからではなく、次のようなものである、と述べた。すなわち日本政府は、SCAPIN93号が出された直後に、この指令に基づいて釈放された二人を逮捕しなかったが、このことによって二人が単に政治犯罪のみで有罪であり、同時に問われていた一般刑法犯については無罪だということになったのである。日本政府が連合国軍最高司令官に対し、二人を再逮捕しない旨伝えたことにより、二人は政治犯の故にとらえられていた、という意味が成立する。二人は単なる政治犯として釈放されたのであるから、その公民権はSCAPIN458号によって回復されねばならない』。つまり資格回復の問題であります。『かくて本件は、恩赦適用の問題ではまったくなく、SCAPIN458号に基づき発布された勅令(730号)によって処理されるべき問題である』。こう言って、当時日本政府が右翼七名などと一緒に特赦でやったらどうでしょうかと、日本政府も資格回復させようと思っておった、特赦でやったらどうでしょうかと言ったのを否定して、七百三十号を適用しなければならない。『将来ニ向テ其ノ刑ノ言渡ヲ受ケザリシモノト看倣ス』。恩赦法にない規定、そういうものを書いて宮本顕治氏に復権を認めた、こういうことになっているのです。

 さらに続けてこう言っております。『佐藤氏は、司法省がただちに、二人に判決を下した法廷の当該検察庁に対して、この件については連合国軍最高司令官の解釈に基づいて勅令(730号)を適用し、二人の公民権を当然回復させるよう通告する、と述べた。ハワード・マイヤーズ』。こうなっております。したがって、連合軍司令部は七百三十号の勅令についてもこういうように解釈せよ、こういうことで指示をしているわけであります。そして私が法務委員会の論戦でも言いましたように、当時連合軍司令部は、自分が出したメモランダムの解釈権を持っているだけでなしに、それに基づいて出された日本政府の通達やあるいは法令についても解釈権を持っておった。それはポツダム宣言に基づいてわが国の国家権力が制限されておったからであります。これがいろいろ出ている経過であります」。
(私論.私見) マイヤーズの超法規的指示考
 正森氏はここで、マイヤーズの超法規的指示の様子を確認し、マイヤーズ指示の絶対性を遵奉する立場からの宮顕、袴田の政治犯としての無罪化を確認しようとしている。特赦釈放ではなく「将来ニ向テ其ノ刑ノ言渡ヲ受ケザリシモノト看倣ス」約束の上で政治犯釈放されたことを確認しようとしている。しかし、その根拠は、マイヤーズの超法規的指示であり、ならばなぜマイヤーズの超法規的指示が妥当なのかの議論は一切ない。オカシな話である。

 締めとして次のように述べている。
 「私がわざわざ丁寧に、国会外と国会内を分けて、国会内においても私どもは判決の当否を自分から言うのじゃない、よそから言われるからやむなくそれに必要な限度で言わざるを得ないのだということを申し上げたことがよくおわかりになっていないようでありますが、時間がどんどんたっていきますから、次の論点に移らしていただきたい。それから、あなたの見解は無理ですよと言われましたが、私は、私の見解を言ったのではなしに、連合軍司令部のマイヤーズ氏がこう言っているということを言ったのですから、あなたの、法務大臣のいまの答えは、マイヤーズの見解が無理だよということを言っているというように解さなければなりません。しかし、そのマイヤーズの見解がまさに連合軍司令部の当時の最高権力的な有権的な解釈であり、それに従って事が処理され、しかもそれは当時の法体系では、完全に法的には有効だったのだということを私は改めて指摘しておきたい、こういうように思います」。

(私論.私見) 正森発言のヌエ性考

 正森発言は全体的に真意が掴み難い癖がある。それはそれとしても、「マイヤーズの見解がまさに連合軍司令部の当時の最高権力的な有権的な解釈であり、それに従って事が処理され、しかもそれは当時の法体系では、完全に法的には有効だった」なる言辞の真意は何か。要するに、「マイヤーズ見解は連合軍司令部のお墨付きであり、これに従え」論なのではなかろうか。こう受け取るのが普通の解釈であろう。しかしこうなると、日共が連合軍司令部のお墨付きを振りかざす手合いであることをも意味していよう。何やら尻尾が出ているイカガワシイ発言ではある。同じ共産党でも、徳球系の共産党は連合軍司令部と緊張関係で抗争し、宮顕系の共産党は連合軍司令部と通底関係で親和していたことになる。

 2011.1.20日 れんだいこ拝





(私論.私見)