山田方谷の名言考 |
(最新見直し2010.05.19日)
(れんだいこのショートメッセージ) |
ここで、山田方谷の幕末政治論を確認する。「山田方谷マニアックスの名言集」その他を参照する。 2010.05.22日 れんだいこ拝 |
「至誠惻怛」(しせいそくだつ) | ||
(解釈) 自己発のまごころ(至誠)、他人に対する痛みや哀しみを慮る心(惻怛)の両方を備えて仁になれる。目上にまことを尽くし、目下にいつくしみをもって接するのが寛容である。相手を認めて真心と慈愛の心で対する。心の持ち方をこうすれば物事をうまく運ぶとの諭し。河井継之助が山田方谷に師事した際、方谷から贈られた王陽明の一節である。孔子、孟子の教えを会得してなお足らざるところが「至誠惻怛」(しせいそくだつ)の教えであり、これを王陽明が明らかにしたと解するが良い。2015年、熱帯感染症の特効薬開発の功績でノーベル医学生理学賞を授与された北里大特別栄誉教授・大村智(80歳)氏の座右の銘である。この精神が科学者の精神に培われているのが興味深い。 | ||
|
「それ善く天下の事を制する者は、事の外に立ちて事の内に屈せず。しかるにいまの理財者は悉(ことごとく)財の内に屈する」。 |
(解釈) |
「義を明らかにして利を図らず」。 |
「曰く、此れ古(いにしえ)の君子が義利の分を明らかにするを務むる所以なり。それ綱紀を整え政令を明らかにするものは義なり。饑寒死亡(きかんしぼう)を免れんと欲するものは利なり。君子は其の義を明らかにして其の利を計らず。ただ綱紀を整え、政令を明らかにするを知るのみ。饑寒死亡を免るると免れざるとは天なり」。 |
「君子は其の義を明らかにして其の利を計らず。ただ綱紀を整え、政令を 明らかにするを知るのみ。饑寒死亡を免るると免れざるとは天なり」、 |
「利は義の和なり」。 |
(解釈) |
「名利ノ為ニスル私念ニ出ズレバ、縦令(たとえ)驚天動地ノ功業アルトモ、一己ノ私ヲ為スニ過ギズ」。 |
(解釈) |
「創業ノ守成卜相待テ其業ヲ成スヤ、春耕ノ秋穫ト相待テ其ノ稼ヲ成スニ異ナラズ」 |
(解釈) 新しいことをやって、それが成功し、それがよくなっても、民に行き渡るのはべつのことだ。 |
「友に求めて足らざれば天下に求む。 天下に求めて足らざれば古人に求めよ」。 |
「天下ノコト、敦レカ不滞二成リテ、滞二敗レザルモノアランヤ.」。 |
(解釈) 滞ることなく、少しでも「する」ことが大切なことだ。 |
「雑感 百姓達を撫育(ぶいく)する術をあやまったのは誰だ、百姓一揆の徒党はもともと善良な民。簑(みの)のよろいでわずかに体をまとい、握った竹槍は人を刺すのが目的にあらず。泣く子を黙らせるには乳を含ませたらいい、湯が沸騰してこぼれたら、薪をとりのぞけばいい。もし一揆の首謀者の罪をせめるというなら、一揆にまで追いこんだ役人、おまえ達がまっ先に省(かえり)みよ」。 |
(解釈) 備中松山城無血開城後、岡山藩の統治時期に松山藩藩内で百姓一揆が多発した。その時方谷が読んだ詩が「雑感」である。 |
「法ヲ革ムルノ難キニ非ズ.。法ヲ行フコト之レ難シ。法ヲ行ウテ人ヲシテ其法二安ンゼシムルコト最モ難シ」。 |
(解釈) 安政3年、川田に改革後いった言葉・・・システムを変えることは簡単なこと、決めたことを行い、それが自然になるまでが大変なことなのだ。 |
「財ヲ用ル兵ヲ用ル、其道一ナリ.兵多キモノハ分テ数処二備へ、兵少キモノハ合セテー手二囲ム」。 |
(解釈) 戦争をするのも、金を使うのも同じことだ、少ないときは一点集中、これが戦略としてはよい。 |
「世二小人無シ。一切衆生皆愛スベシ」。 |
(解釈) |
「百姓一揆ハ天ノ戒メ」。 |
「刑ハ無刑ヲ期ス」。 |
(解釈) (刑罰という物は、本来のの効力があるのならば犯罪はないはずだ) |
「人多クハ自己ノ功ヲ貧1人躬ラ其局二当ラントス.是レ誤マレリ」。 |
(解釈) |
「十ヶ条アレバ段々易より始、追々可致事」。 |
(解釈) 河井継之助が塵壺の中で林富太郎が聞いた山田先生の言葉として紹介された言葉。「10個やらなくてはならないことがあれば、その中のもっともやり易いことからはじめ、だんだんと進めればよい、すべての物事はこのように進めるものである」。 |
「賊、心中に拠して勢未だ衰えず。天君、令有り、殺して遺こす無かれと。満胸ほとばしり出ず鮮々血、正にこれ一場鏖戦の時」。 |
「人で言へば心は即ち太虚なり、而して感応息まざるなり。若し七情の形迹に滞らば、感応息むなり。故に何もなき太虚の心より感応し、七情に滞らざれば、生々息まず、是れ不易にして即ち中庸なり。中なるが故に庸なり、庸即ち中なり、是れ中庸の義なり」。 |
【山田方谷の信念と大切にしている言葉】 |
事を行うにあたっては、その困難さにとらわれて、負けてしまってはいけない。
人として正しさを求めることが大切で、自分自身の利益のみを求めるべきではない。
父と母が私を産み育てて下さった。天は私を覆い、地は私をのせて下さっている。自分が男児であることをよく考えてみなければならない。力なく草木と同じように枯れてしまってよいものであろうか。
学問をするには正直な態度で接する心を持つこと、これが全てである。
学業はあたかも鉄を鍛えるようなものである。ひとたび鍛えはじめたら、決して途中で止めてはいけない。百錬の強さで鍛え抜かなければならない。
|
「尽己照隅」 己の誠を尽くして、一隅を照らす— |
(私論.私見)