第4章 国家 |
(最新見直し2008.2.7日)
(れんだいこのショートメッセージ) |
ここで、天野貞祐「国民実践要領」の「第4章 国家」を確認しておく。 2008.2.2日 れんだいこ拝 |
【第4章 国家】 | ||
(1) | 国家 | 我々は我々の国家のゆるぎなき存続を保ち、その侵すべからざる独立を護り、その清き繁栄高き文化の確立に寄与しなければならない。 |
人間は国家生活に於いて、同一の土地に生まれ、同一の言葉を語り、同一の血のつながりを形成し、同一の歴史と文化の伝統のうちに生きているものである。国家は我々の存在の母胎であり、倫理的文化的な生活共同体である。 | ||
それゆえ、もし国家の自由と独立が侵されれば、我々の自由と独立も失われ、我々の文化もその基盤を失うこととならざるをえない。 | ||
(2) | 国家と個人 | 国家生活は個人が国家のために尽し国家が個人のために尽すところに成り立つ。ゆえに国家は個人の人格や幸福を軽んずべきではなく、個人は国家を愛する心を失ってはならない。 |
国家は個人が利益のために寄り集まってできた組織ではない。国家は個人のための手段とみなされてはならない。しかし国家は個人を忘却した全体でもない。個人は国家のための手段とみなされてはならない。そこに国家と個人の倫理がある。 | ||
(3) | 伝統と創造 | 国家が健全なる発展を遂げるのは、国民が強靭なる精神的結合を保ち、その結合から溌剌(はつらつ)たる生命力が湧き起って来ることによってである。国民の精神的結合が強固なものであるためには、我々は国の歴史と文化の伝統の上に、しっかりと立脚しなければならない。 |
また国民の生命力が創造的であるためには、我々は広く世界に向って目を開き、常に他の長所を取り入れなければならない。伝統に捉われ独善に陥れば、却って闊達なる進取の気象を阻み、国家の害を及ぼす。 | ||
また自らを忘れて他の模倣追随をのみ事とすれば、自主独立の精神を弱め、ひとしく国家に害を及ぼす。 | ||
(4) | 国家の文化 | 国家はその固有なる民族文化の発展を通じて、独自の価値と個性を発揮しなければならない。 |
その個性は排他的な狭いものであってはならず、その民族文化は世界平和の一環たるに相応しいものでなければならない。 | ||
(5) | 国家の道義 | 国家の活動は、古今に通じ東西にわたって行われる人類不変の道義に基づかねばならない。 |
それによって国家は、内には自らの尊厳を保ち、外には他への国際信義を全くする。 | ||
(6) | 愛国心 | 国家の盛衰興亡は国民い於ける愛国心の有無にかかる。我々は祖先から国を伝え受け、子孫へそれを手渡して行くものとして、国を危うからしめない責任を持つ。 |
国を愛する者は、その責任を満たして国を盛んならしめ、且つ世界人類に貢献するところ多き国家たらしめるものである。真の愛国心は人類愛と一致する。 | ||
(7) | 国家の政治 | 国家は一部特定党派、身分、階級の利益のための手段とみなされてはならない。我々は常に国家が国民全体のための国家であることを忘れるべきでない。 |
それぞれ特殊な立場の人は、その独立の見解にあくまで忠実であるべきである。 | ||
しかしてその際、自己の立場も自己に対する立場もひとしく共に国家の全体に立脚せることを自覚し、相互の自由と平等を認め、理解と寛容うの上に立って同胞愛を失わず、且つ私利私欲に流れることなく、公明正大に意見を戦わすべきである。 | ||
(8) | 天皇 | 我々は独自の国柄として天皇を戴(いただ)き、天皇は国民統合の象徴である。それゆえ我々は天皇を親愛し国柄を尊ばねばならない。 |
世界の全ての国家はそれぞれに固有な国柄を持つ。我が国の国柄の特徴は長き歴史を一貫して天皇を戴き来ったところに存している。 | ||
従って天皇の特異な位置は専制的な政治権力に基づかず、天皇への親愛は盲目的な信仰や強いられた隷属とは別である。 | ||
(9) | 人類の平和と文化 | 我々は世界人類の平和と文化とに貢献することをもって国家の使命としなければならない。 |
国家や民族は単に自己の利益のみを追求したり、自分の立場のみを主張したりするとき、世界の平和を乱し人類の文化を脅かす。 | ||
しかもまた我々がやがて世界人類に寄与しうるのは自国の政治や文化を正しく育てることによってのみである。 | ||
世界人類を思うの故に、国家民族を思うあまり、世界人類を忘れることは共に真実の道ではない。 |
(私論.私見)