【日本神話その6、海幸山幸譚その2、ウガヤフキアエズの命譚】 |
「日本神話その6、海幸山幸譚その2、ウガヤフキアエズの命譚」。
山幸彦が海の宮殿で結ばれたワタツミの神の娘豊玉姫がやって来て、「あなたの御子を宿している。天の神の子を海で生むことは出来ないのでやって参りました」と云う。海のなまざに産屋を建てかやぶきの小屋をつくった。豊玉姫は、山幸彦に、「異郷の人が出産するときには、すべて本の国の姿になってしまうので出産の姿をご覧にならないで下さい」と伝えて小屋に入った。山幸彦が禁を破って覗いたところ、大きなワニが赤ちゃんを産もうとして、腹ばいのままのたうち回っていた。その姿を見られた豊玉姫は恥じ、産殿に御子を残したまま海へ帰った。
山幸彦は、歌で呼びかけた。
「沖つ鳥 鴨着く島に 我がい寝し 妹は忘れじ 世のことごとに」。 |
(沖のかもの寄り付くあのわだつみの島で、添い寝していた君を忘れられない。私の命のある限り) |
御子はウガヤフキアエズの命と名付けられた。豊玉姫は、我が子が不憫で堪らず、歌を添えて妹の玉ヨリ姫を育ての叔母として送ってきた。
「赤玉は緒さえ光れど 白玉の 君が装し 貴くありけり」 |
(赤玉は玉ばかりでなく、その緒(紐)まで光輝きますが、白玉のような君のお姿が一層貴く恋しく思われます) |
ウガヤフキアエズの命が玉依姫(タマヨリ姫)と結婚し、イツセノの命、イナヒの命、ミケヌの命、ワカミケヌの命の4人の子を生む。その末の子がカンヤマトイワレ彦命となり後の神武天皇と称されることになる。 |
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ウガヤフキアエズの命=鵜茸草茸不合の命、天津日高日子波限建鵜葺草葺不合命。玉より姫=玉依昆賣。イツセの命=五瀬命。イナヒの命=稲氷命。ミケヌの命=御毛沼命。ワカミケヌの命=若御毛沼命、カンヤマトイワレ彦命=神倭伊波礼毘古の命、神武天皇。 |
(私論.私見) |
「ウガヤフキアエズの命譚」は、山幸彦が結婚したワタツミの神の娘豊玉姫の子供であるウガヤフキアエズの命が天孫族の皇統を継承した事を伝えているのだと悟らせていただく。 |