ホツマツタヱ2、ワのヒマキ(地の巻)28

 更新日/2020(平成31→5.1栄和改元/栄和2).11.2日

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 2011.12.25日 れんだいこ拝


【ホツマツタヱ2、ワのヒマキ(地の巻)28、君臣遺し法の文】
 きみとみのこし のりのあや     
 君臣遺し 法(宣り)の文
 ゐそすすの ちゑのはたとし    
 五十鈴の 千枝の二十年
 あめかわる こよみまたとて    
 天代(替)わる  暦まだとて
 ものぬしか いせにもふてて これおとふ   
 物主が 伊勢に詣でて これを問ふ 
 ふたゑこれより うかかはて 
 フタヱこれより 伺はて 
 こふとのにうく よろこひと   
 「代殿に承(う)く 喜び」と 
 ともにいたれる おうちみや    
 共に至れる 大内(おうち)宮(イサワの皇宮) 
 かすかにあいて もとおとう    
 春日に会いて 元を問う 
 をきなこたえて               
 翁答えて
 このすすは あめつちひらく とこたちの みやのまさかき 
 「この鈴は 天地開く トコタチの
 みやのまさかき 
 宮の真榊   
 あゑちゑに さくすすとなる  
 天(あ)枝千枝に さく鈴となる    
 うゑつきの ゐもにいたれは みもはかり         
 植え継ぎの 五百に至れば 三百ばかり
 よろとしみちて ゐもつきの 
 万歳満ちて 五百継ぎの 
 あまのまさかき     
 天の真榊
 としのほの ととせにはゐき   
 年の穂の 十年には五き(寸)
 むそとしに みたのふゑとの    
 六十年に 三尺(た)伸ぶヱトの 
 ひとめくり 
 一廻り
 あくるとしなる みたのあゑ           
 明くる年なる 三尺の天(熟)枝
 なれはふたゑと きあゑより         
 なれば二兄弟 キアヱより    
 ゑとほとかそえ ひとゑむそ    
 枝と穂と数え 一枝六十
 とゑはむもとせ もゑはむち           
 十枝は六百年 百枝は六千
 ちゑにむよろお あまもりの        
 千枝に六万を 天(陽陰)守の  
 ひとめくりつつ こよみなる       
 一廻りづつ 暦成る  
        
 かれちゑのとし たねうゑて           
 故千枝の年 種植えて  
 あくれははゆる まさかきお     
 明くれば生ゆる 真榊を
 はこくにみやに とこたちの            
 ハコ国宮に トコタチの 
 うゑてくになも ひたかみの      
 植えて国名も 日高見の 
 たかみむすひの うゑつきの         
 高御ムスビの 植え継ぎの 
 ふそひのすすの ももゑのち          
 二十一の鈴の 百枝後  
 
 ゐよたまきねの いさこひめ     
 五代タマキネの イサコ姫
 ななよのかみの たかひとと          
 七代の神の 高ヒトと  
 たかひのつさの つくはやま       
 高ヒの西南の 筑波山 
 いさかわはなる みやにゐて  
 イサ川端なる 宮に居て    
 うなつきあみて きみあひて      
 頷き編(あ)みて キミ会ひて
 なもいさなきと いさなみの        
 名もイサナキと イサナミの    
 あめふたかみの みこなきお   
 天二神の  御子なきを
 かれたまきねの かつらきの   
 故タマキネの 葛城の 
 やまにいのれは       
 山に祈れば 
 あめみをや ひのわのみたま わけくたし                 
 天御祖 日輪の御魂 分け降し 
 あまてるかみお うみたまふ          
 天照神を 生み給ふ
  
 ときふそひすす もふそゐゑ                
 時二十一鈴 百二十五枝 
 みそひきしゑの はつひのて         
 三十一キシヱの 初日の出
 わかひとともに あれませは 
 若日と共に 生れませば 
 いみなわかひと       
 諱(いみ名)若ヒト
 うふみやは はらみさかおり        
 産宮は 原見サカオリ    
 をのゑなお ねにおさむれは                  
 緒の胞衣を 北に納むれば 
 よくまもり
 よく守り
 わさはひあるも しなかゑて        
 禍(災ひ)あるも 品替えて
 ふせきはらえは やわらきて 
 防ぎ祓えば 和らぎて 
 たまのをなかく   
 魂の緒(霊の結)永く
 これにより おおやますみか     
 これにより 大山スミが 
 めくりみて 
 巡り回て
 よめちゆくねの をにおさむ          
 ヨメ路行く北の 尾に納む 
 
 ゑなかたけなる しなのくに        
 恵那(胞衣)が岳なる 信濃国 
 いたるわかひと ひたかみの        
 至る若ヒト 日高見の
 あめのみやにて みちまなふ        
 天(陽陰)の宮にて 道学ぶ
 みそほにしろし みやつくり             
 三十年(穂)に知ろし 宮造り
 おおひやまとに まつりとる       
 大日ヤマトに 政り執る
 あめふたかみの ゆつりうけ      
 天二神の 譲り受け
 あまひのみこと みうちには      
 天日の御子と 御内には
 そふのつほねに おくきさき          
 十二の局に 置く后
 よたりのすけに ようちめと       
 四人の典侍(すけ)に 四内侍(うちめ)と
 よおしもそゑて つきのみや  
 四乙侍添えて 月の宮   
 せおりつひめお みきさきと      
 セオリツ姫を 御后と
 あめにおさめて おおやまと          
 天(陽陰)に収めて 大ヤマト 
 ひたかみやすの まつりこと             
 日高見ヤスの 政り事 
 きこせはたみも おたやかに 
 聞こせば民も 穏やかに
 ふそゐよろとし 
 二十五万年
 あめひつき みこのおしひと ゆつりうけ    
 天日嗣ぎ 御子のオシヒト 譲り受け   
 もとのたかひに しろしめす       
 元の高ヒに 知(領)ろし召す
 にしはやすかわ おもいかね             
 西はヤスカワ 思イカネ
 をしかとわけて
 御使人分けて
 とつくには つきよみをさむ  
 外つ国は 月読治む
 しらやまは ねにつきすみは すみよろし   
 白山は 根に月スミは 住み宜し
 
 あまてるかみは こゑくにの         
 天照神は コエ国の  
 いさわをうちの みやにいて       
 伊雑大内の 宮に居て
 やつをんみみに きこしめし           
 八つ御耳に 聞こし召し 
 たみのをしゑは いせのみち      
 民の教えは 伊勢(妹背、陽陰和合)の道 
 そのかんかせの いせのくに       
 その神風の 伊勢の国 
 とほりたつとむ かんかせお      
 通り尊(たっと)む 神風を
 うらやみねしけ    
 羨みねじけ 
 はけものか みつからほめて               
 化物が 自ら褒めて
 はたれきみ なはかりこちお        
 ハタレ君 七十万九千を 
 むれあつめ  
 群れ集め
 くにおみたれは すみよろし           
 国を乱れば 住み宜し
 かとりかしまや いふきぬし     
 香取鹿島や 息吹主
 かたたちからを くすひかみ       
 カダタチカラヲ クスヒ神
 みなうつわゑて これおうつ        
 皆な器得て  これを討つ
 ときにむはたれ みなくたる        
 時に六ハタレ 皆な降る
 これすへかみの みことのり         
 これ皇神の 詔(御言宣 )
             
 みこおしひとも みそよろは           
 御子オシヒトも 三十万は 
 をさめてみこの ほのあかり        
 治めて御子の ホノアカリ
 とくさたからに かけめくり        
 十種宝に 駆け廻り 
 そらみつやまと あすかみや        
 空みつヤマト 飛鳥宮
 おときよひとは にはりみや       
 弟清ヒトは ニハリ宮 
 あらたひらきて たみをさむ        
 新田開きて 民治む
 そやよろとしに ことおえて         
 十八万年に 殊を得て
 みつきはわかる にはりふり         
 水際分かる ニハリ振り
 あめよりみつの かんたから        
 天(陽陰)より三つの 神宝
 きみとみわけて たまわれは           
 君臣分けて 賜われば     
 こころひとつに くにのなも           
 心一つに 国の名も
 しわかみほつま あらはるる      
 磯輪上(しわかみ)ホツマ 現るる
 みそよろふれは あめのなも      
 三十万経れば 天(陽陰)の名も    
 わけいかつちの あまきみと     
 ワケイカツチの 天君と
 むそよろをさむ ををんめくみそ         
 六十万治む 大御恵みぞ
 さきにみこ みたりうむとき しなのより     
 先に御子 三人生む時 信濃より 
 よしなあかたの ぬしきたり     
 四シナ県の 主来たり 
 あまてるかみの ためしあり 
 天照神の 例しあり
 ゑなこふときに みことのり          
 胞衣請ふ時に 詔(御言宣) 
 はにしなぬしは ゑなかたけ       
 「埴科(はにしな)主は 恵那(胞衣)が岳 
 はゑしなおよひ さらしなと      
 ハヱ科及び 更科と
 つましなぬしら このみゑな          
 妻科主ら この三胞衣
 そのをにおさめ まもるへし         
 その尾に納め 守るべし」 
 そのおとみこの うつきねは つくしにいたり         
 その弟(乙)御子の ウツキネは 筑紫に至り
 たおこやし をやにつかふる     
 田を肥やし 祖(親)に継がふる 
 たみおめて そやよろをさめ       
 民を愛で 十八万治め 
 もとくにの ひつきおうけて         
 本国の 日嗣(日月)を受けて 
 あまかみの をやにつかふる        
 天神の 祖に継がふる 
 きみのなも むそよろをさめ けゐのかみ           
 君の名も 六十万治め 契の神
 
 みこかもひとは ひつきうけ              
 御子鴨ヒトは 日嗣ぎ(日月)受け
 みつほおうつす たかのみや        
 瑞穂を遷す 多賀の宮
 をさむるたみお このことし             
 治むる民を 子の如し 
 あめにことふる かみのなも   
 天に応ふる 守の名も
 みをやあまきみ
 御祖天君
 わかみやの ときによそよろ よのまつり    
 若宮の 時に四十万 世の政り
 またみそゐよろ ゆたかなり       
 また三十五万 豊かなり
 
 ときにいさわの あまつかみ              
 時に伊雑の 天つ神 
 そふのきさきも かみとなる 
 十二の后も 神となる
 せおりつひめと ををんかみ           
 セオリツ姫と 大御神     
 みやうつさんと みもかわに   
 宮遷さんと ミモ川に
 あのほるちゑて さこくしろ        
 天上る道(ち)得て サコクシロ
 うちのみやゐに ふよほへる        
 宇治の宮居に 二万年経る
 ときにゐそすす みやにはゑ       
 時に五十鈴  宮に生え 
 つらつらおほす 
 つらつら思す
 うゑすして はゑるもあめよ      
 「植えずして 生えるも天(陰陽)よ 
 わかいのち あめかしらすと 
 我が命 天が知らす」と 
 やもかみお めしてわれよお いなまんと    
 八百守を 召して「我れ世を 辞まん」と 
 さるたにあなお ほらしむる        
 猿田に穴を 掘らしむる 
 まなゐにちきる あさひみや         
 マナヰに契る 朝日宮 
 おなしところと のたまえは
 同じ所と 曰(のたま)えば
 もろおとろきて ととむれは         
 諸驚きて 留むれば 
 いやとよわれは たみのため        
 「否とよ我は 民のため   
 にかきおはみて もなそみよ 
 苦きを食みて 百七十三万 
 ふちゐもとしお なからえて        
 二千五百年を 永らえて  
 あめのたのしみ おほゆれは        
 天の楽しみ 覚ゆれば
 
 よにのこすうた     
 世に遺す歌
 つねにきく さをしかやたの わかかむり    
 「常に聞く 直御使八タ(手)の 我が冠   
 はとみもたみに をおととけ         
 衣臣裳民に 緒を届け
 あわおつかねて ひつきなす       
 天地を束(つか)ねて 日嗣ぎ為す
 もすそおくめと きみたみの          
 裳裾を汲めと 君民の
 をしゑのこして あにかえる             
 教え遺して 天に還る
 とてないためそ わかみたま  
 とてな傷めそ 我が御魂 
 ひとはあのもの うえにある    
 人は天の裳の 上にある
 われはかんむり
 我は冠 
 ひとくさは みみちかきをそ    '  
 人草(民)は 耳近き緒ぞ
 むねきよく みはあかつけと 
 胸清く 身は垢付けど 
 さしかみて あめにつくれは 
 直使が見て 天に告ぐれば
 さをしかの           
 直御使の   
 やつのきこえに あらはれて     
 八つの聞えに 露れて   
 いのれもかもと みもすその      
 祈れもかもと 御裳裾の
 たみおなてつつ さをしかの          
 民を撫でつつ 直御使の 
 きよきにかみは ありとこたえき           
 清きに神は ありと答えき」
 かえしのとうた        
 返し祝詞(のと)歌
 ひとつねに かみにむかはは  
 「人常に 神に向はば
 よのみみの あかはあもとの さをしかに     
 世の身々の 垢は天元の 直御使に 
 きよめたまひて さこくしの       
 清め賜ひて サコクシの
 ふゆのかかみに いるとおもゑは          
 振ゆの鏡に 入ると思えば」
 またさるた むかしさつくる さかほこき   
 また猿田 「昔授くる 逆(さか)矛キ
 うつくしきすす わいきたち かかんのんてん          
 美しき鈴 地生(わいき)太刀 カカンノンテン  
 ときまちて みちあらはせよ    
 時待ちて 道現わせよ
  
 またきさき ひろたにゆきて    
 また后 広田に行きて
 わかひめと ともにゐこころ   
 和歌姫と 共にゐ(妹)心
 まもるへし 
 守るべし
 われはとよけと をせおもる ゐせのみちなり    
 我は豊受と 背(をせ)を守る 伊勢の道なり」
 またこやね    
 またコヤネ 
 なんちよくしる  たけこかこ 
 「汝良く知る タケコが子
 くしひこうまれ すくなれは      
 クシ彦生まれ 直ぐなれば  
 さつくみほこに かんかみて     
 授く御矛に 鑑みて 
 みもろにいりて ときまつも        
 三諸に入りて 時待つも
 みちおとろはは またいてて       
 道衰はば また出でて
 をこさんためや   
 熾(をこ)さんためや→トヨケ法(逆矛の法)
 なんちまた かかみのとみは かろからす 
 汝また 鏡の臣は 軽からず
 かみおみやこに ととむへし             
 神を都に 留むべし 
 われもまもらん これなりと  
 我も守らん これなり」と 
 みよのみははこ みをしてと    
 御世の御衣箱  御ヲシテと
 なんちかすかよ のこしもの        
 「汝春日よ 遺し物
 たかにもちゆき ささけよと       
 多賀に持ち行き 捧げよ」と  
 みつからこれお さつけます          
 自らこれを 授けます 
 かすかはきみに たてまつる       
 春日は君に 奉る 
 かみのをしてと さをしかの            
 神のヲシテと 直御使の   
 かむりとはもは ここちりそ       
 冠と衣裳は 菊(ここ)散りぞ
 みゆきのみこし まなゐにて        
 御幸の御輿 マナヰにて 
 あまてるかみは うちつみや とよけはとみや    
 天照神は 内つ宮(籠神社本宮) 豊受は外宮(真名井神社)  
 かれかすか おくりてのちは つとめおり    
 故春日 送りて後は 勤め降り
 みかさやしろのたまかえし    
 三笠社の 魂返し 
 くにをさまれは かれもなし  
 国治まれば 枯れもなし
 まつりのあやお みつそめて 
 祀りの文を 三つ染めて
 ひとつもちゆき ひよみなす     
 一つ持ち行き 日読みなす
 ふたゑにさつけ みもすその           
 フタヱに授け 御裳裾の 
 さこくしろうち あらためて     
 サコクシロ内 改めて
 あまてるかみのうちつみや           
 天照神の 内つ宮  
 やもつかふかみ はんへりて         
 八百仕ふ守 侍りて 
 ひもろけささけ あにことふ        
 ヒモロケ捧げ 天に応ふ 
 ゐせのみちうく かんとみの        
 伊勢の道受く 神(上)臣の 
 つかふかみらか はへるゆえ           
 仕ふ神らが 侍る故   
 うちはへところ
 内侍所
 かすかかみ ふとのとことお つかさとるかな           
 春日神 太祝詞(のと)言を 司るかな  
 むよろとし へてこそつきる さくすすそ     
 六万年 経て去年尽きる さく鈴ぞ 
 むかしかすかに みことのり      
 昔春日に 詔
 ふそむのすすお われうゑて       
 「二十六の鈴を 我植えて
 のちのふそゐも みことのり         
 後の二十五も 詔
 うけめくりうゆ みやのまえ        
 受け巡り植ゆ 宮の前 
 きみおわさねは いかにせん         
 君おわさねば 如何にせん」
 ふたゑかいわく       
 フタヱが曰く 
 かすかとの いなむみかさも     
 「春日殿 辞む三笠も
 いまゐせの 
 今伊勢の
 つかふるかみの ゐますへし        
 仕ふる神の 居ますべし」
 これことわりと くにめくる           
 これ理と 国巡る
 ものぬしふれて もののへら       
 物主触れて 物部等
 かすかのかみお みちひかす     
 春日の神を 導かす
 もろかみいはふ かとてして         
 諸神祝ふ 門出して  
 くにくにめくり まさかきの           
 国々巡り 真榊の 
 ふたゑみゑとゑ かつてなく       
 二方三方十方  嘗てなく
 いよにいたれは ことしろか        
 伊予に至れば 事代が 
 やかたにいれて あるしとふ すすなえありや        
 館に入れて 主問ふ 「鈴苗有りや」
 かつてなし ておむなしくす        
 「嘗てなし 手を空しくす」  
 ものぬしか をきなうゑんや    
 物主が 「翁植えんや」
 かすかまた われはとみなり    
 春日また 「我は臣なり
 きみうゆる あまのまさかき いかにせん    
 君植ゆる 天の真榊 如何にせん 
 われはのとこと のんすのみ       
 我は祝詞言 宣すのみ」
 またとふなんち たおすつや        
 また問ふ「汝  治を棄つや」 
 ほろしていわく 
 ホロして曰く 
 ちはすてす うゆおおそれて      
 「道は棄てず  植ゆを恐れて」
 またもとふ いふきかみかや    
 またも問ふ 「伊吹神かや」
          
 ときにはは たなこひめあり    
 時に母  タナコ姫あり
 こたえいふ      
 応え言ふ 
 むかしふたかみ ひのかみお 
 「昔二神 日の神を
 きみつきはつく   
 君月は次ぐ
 つくはとみ このことみなり    
 次ぐは臣 この子臣なり
 とみおもて またきみとせす    
 臣を以て まだ君とせず
 ひのかみの つきゑてうゆる    
 日の神の 嗣ぎ得て植ゆる
 きみはいま わかきたけひと    
 君は今 若きタケヒト
 おもわねは あめのむしはみ    
 思わねば 天の蝕み
 はるるとき なえはゑなんや    
 晴るる時 苗生えなんや」 (生えてないじゃないか)
 あるしとふ  
 主問ふ 
 さくすすはたち のひいかん  
 「さ(幸)く鈴二十年 伸び如何ん」
 かれにうせたり これもあめ      
 「過に失せたり これも天(陽陰)」
 ときにふたゑか こよみなは いかかなさんや  
 時にフタヱが 「暦名は 如何為さんや」
 ときにひめ たらちをかみに かりいわは      
 時に姫 タラチヲ神に 懸り言わば
 すすきはよわひ はたとせの     
 「鈴木は齢 二十年の 
 のひもこのきの あのいのち    
 伸びもこの木の 天の命  
 かすかもよわい なかけれは      
 春日も齢 長ければ」
 これなつくへし 
 これ名付くべし
 ときかすか ややえみいわく    
 時春日 やや笑み曰く
 こよみなお あすすとせんや  
 「暦名を 天鈴(あすず)とせんや」
 ときにひめ もろかみともに むへなりと   
 時に姫 諸神共に 「宣なり」と
 あすすにきわめ ふそひほの     
 天鈴に極め 二十一穂の 
 きなゑのはるは あめふたゑ     
 キナヱの春は 天二枝
 あすすこよみと なおかえて    
 天鈴暦と 名を代えて 
 あつさにほりて たてまつる       
 梓に彫りて 奉る
 あすすこよみお もろうけて        
 天鈴暦を 諸受けて
 このよのわさお かんかみる
 この世の業を 鑑みる
 こよみこれなり
 暦これなり
   
 たなこひめ いふきとみやに うむみこの       
 タナコ姫 イフキト宮に 生む御子の 
 ゑはいよつひこ とさつひこ うさつひここれ     
 兄は伊予津彦 土佐津彦 宇佐津彦これ 
 をんともに ゆきてつくしの うさにすむ 
 御供に 行きて筑紫の 宇佐に住む  
 ははもうさにて かみとなる いつくしまみや       
 母も宇佐にて 神となる 厳島宮
 いとうかみ よきおしるなそ    
 イトウ神 善きを知る名ぞ
    
 おろちなる はちにみつから さすらひて     
 オロチなる 恥に自ら 流離ひて  
 いとうおしれは おおなむち         
 イトウ(愛う)を知れば オオナムチ
 ひひめおめとる   
 一姫を娶る
 このしまつ みつひめまつる    
 子の島津 三姫祀る
 そとかはま いとうやすかた    
 外ケ浜 イトウヤスカタ
 かみのみけ はむうとうあり    
 神の御食 食むウトウあり
 こかしらの おろちかはめは 
 九頭の オロチが食めば
 しまつうし
 島津大人(うし)
 ははきりふれは にけいたり       
 蛇(はは)斬り伏れば 逃げ出たり 
 こしのほらあな ほりぬけて       
 越の洞穴 掘り抜けて 
 しなのにてれは これおつく       
 信濃に出れば これを告ぐ    
 いせのとかくし はせかえり      
 伊勢の戸隠し 馳せ帰り 
 なんちはおそる これいかん        
 「汝は恐る これ如何ん」   
 こたえてむかし ふたおろち    
 答えて「昔 二(ふた)オロチ
 ひめにうまれて きみめせは           
 姫に生まれて 君召せば  
 もちはみこうみ すけとなる         
 モチは御子生み スケ(典侍)となる  
 はやはひめうみ うちつほね       
 ハヤは姫生み 内局  
 うちせおりつか みきさきに  
 内セオリツが 御后に
 なるおもちこか ころさんと        
 なるをモチコが 殺さんと
 ねためははやは きみおしゐ 
 妬めばハヤは 君を強い(誣い)
 おときみこえと あらはれて
 弟君請えど 露れて 
 ともにさすらふ
 共に流浪ふ   
 あかつちか めおおときみに ちなむおは       
 アカツチが 姫を弟君に 因むをば   
 はやかおろちに かみころす            
 ハヤがオロチに 噛み殺す
 おとあしなつか めおこゑは         
 弟アシナヅが 姫を請えば
 ななひめまては かみくらふ     
 七姫までは 噛み食らふ
 ときにそさのを これおきり           
 時にソサノヲ これを斬り   
 みおやすかたと まつるゆえ        
 身をヤスカタと 祀る故
 またやますみの めとうまれ     
 またヤマスミの 姫と生まれ
 いもとおねたむ   
 妹を妬む
 つみのとり またもちおろち せおりつお    
 罪の鳥 またモチオロチ セオリツを   
 かまんかまんと もゐそよほ      
 噛まん噛まんと 百五十万年 
 ゑそしらたつの たけにまつ      
 蝦夷白竜の 岳(嶽)に待つ
 いまかみとなる むなしさよ         
 今神となる 虚しさよ」    
 とかくしいわく なんちいま    
 戸隠し曰く 「汝今 
 ひみのほのほお たつへしそ         
 日三の炎を 断つべしぞ   
 わかみけはみて したにおれ            
 我が御食食みて 下に居れ
 さかみおもれは つみきえて   
 清身を守れば 罪消えて
 またひとなると をおきれは           
 また人成る」と 緒を切れば 
 よろのをたうの やまそはこさき       
 万の緒絶の 山ぞハコサキ
 このさきに たけにうまるる たけこひめ    
 この先に 健に生まるる タケコ姫  
 たかにもうてて ものぬしか  
 多賀に詣でて 物主が
 たちにおわれは すすきしま       
 館に終われば ススキ島
 おもむろおさめ たけふかみ        
 骸納め 竹生(たけふ、長生)神 
 むかしさすらい ことおひく        
 昔流浪い 琴を弾く 
 ときにあられの すすきうつ         
 時に霰の 芒(すすき)打つ
 ことにひひきて たえなれは           
 異に響きて 妙なれば
 このはおうつし ことつくる
 この映を写し 琴作る
 なもいすきうち
 名もイスキ打ち  
 しまうみも なはいすきなり            
 島海(仕舞う身)も 名はイスキなり
 たきこひめ かくやまつみの つまとなり               
 タキコ姫 香具山ツミの 妻となり    
 かこやまうみて さかむなる        
 カコヤマ生みて 相模なる 
 ゑのしまかみと なりにける           
 江の島神と 成りにける
 あすすみそみほ かすかかみ                
 天鈴三十三年 春日神
 ももゐそむよろ ふそゐなり       
 百五十六万 二十五なり
 ふたゑにいわく           
 フタヱに曰く 
 わかよはひ きわまるゆえに かんおちお  
 「我が齢 極まる故に 神翁を 
 なんちにさつく つとめとて         
 汝に授く 勤め」とて  
 みかさにかえり たらまつり       
 三笠に帰り タラ祀り
 なんちおしくも しかときけ      
 「汝オシクモ 確と聞け 
 むかしつかえて みかかみお            
 昔仕えて 御鏡を
 たまえはわれら たのとみそ        
 賜えば我ら 左の臣ぞ  
 わかこらやわせ   
 我が子等和せ 
 たとふれは はるはぬるては なつあおく 
 例ふれば 春はヌルテ(潤出)葉 夏青く
 もみちはつよく ふゆはおつ       
 紅葉は強く 冬は落つ
 たとひおちても なうらめそ         
 例ひ落ちても な恨めそ 
 かけのまめなせ なうらめそ         
 陰の忠(まめ)なせ な恨めそ
 かけのまめなせ このめてる         
 陰の忠なせ この芽出る
 ゆえはあすかお おちたとき        
 故は飛鳥を 落ちた時  
 まめおわすれす       
 忠を忘れず この故に
 このゆえに みまこにめされ まめなせは         
 この故に 御孫に召され 忠なせば
 ついにかかみの とみとなる         
 遂に鏡の 臣となる」 
 またものぬしは みきのとみ       
 また物主は 右の臣 
 はつよきあきの ゆみつるき        
 葉強き秋の 弓剣 
 かくのことしと さけすすむ   
 かくの如し」と 酒進む   
 そのさかつきお こえはいな こからさつけぬ       
 その逆坏 (返杯)を 請えば「否 子から授けぬ」
 ときにまた かかみのとみお うやまうか 
 時にまた 「鏡の臣を 敬うが  
 のこるのりそと かみとなる          
 遺る法ぞ」と 神となる
 きさらきそひか おしくもは        
 ニ月十一日 オシクモは
 よそやもにいり やましろの         
 四十八喪に入り 山背の
 おしほにおさむ ひかしむき      
 オシホに納む 東向き  
 これひめかみの まかるとき        
 これ姫神の 罷る時
 きはやましろに いますゆえ
 キは山背に 居(結)ます故 
 いきすのみやの にしむきそ
 イキスの宮の 西向きぞ
 もろたみしたひ もにいるは       
 諸民慕ひ 喪に入るは
 あめものことし  
 天喪の如し
 さるたひこ みそきにあわの むなさわき       
 猿田彦 水濯ぎに泡の 胸騒ぎ  
 ふとまにみれは ゐむのみは     
 フトマニ見れば  「五六の味は 
 かかみゑゑなる なかひとり
 鏡ゑゑなる 中一人
 うれひありとて これまつり         
 憂いあり」とて これ祀り 
 うけぬうれいと おとろきて           
 受けぬ憂いと 驚きて  
 うちにいたれは みかさやま       
 宇治に至れば 三笠山
 なおはせのほる
 なお馳せ登る   
 かすかとの はやかりおさめ           
 春日殿 早や仮納め  
 もなかゆえ ともにもにいり みこしなし    
 喪中ゆえ 共に喪に入り 神輿なし  
 あすひらおかに おくるとき        
 明日枚岡に 送る時 
 さるたかこえは ゆるされて            
 猿田が請えば 許されて
 みこしあくれは さるたひこ     
 神輿開くれば 猿田彦
 われつねにこふ たまかえし 
 「我常に請ふ 魂返し 
 おゐゑとふたゑ ひふみあり        
 オヰヱと二枝 ひ文あり  
 いまわれひとり うけさると            
 今我一人 受けざる」と
 ちちにそくやむ 
 千々(散々)にぞ悔やむ  
 ときにかみ めおあきいわく    
 時に神 眼を開き曰く
 なんちよく わすれすきたる みもすそよ     
 「汝よく  忘れず来る 御裳裾よ  
 こふはこれそと さつけます    
 請ふはこれぞ」と 授けます 
 さるたうけとり とわんとす     
 猿田受け取り 問わんとす
 はやめおとちて こたえなし        
 早や眼を閉じて 応えなし
 みゆきことなり そののちに              
 御幸事(葬儀)なり その後に 
 みもすそとえは さるたひこ        
 御裳裾問えば 猿田彦  
 むかしはたれお やふらんと       
 「昔ハタレを 破らんと
 みそきなすとき
 禊なす時
 かみのもの いわにかかりて ひたひけは      
 神の裳の 岩に懸かりて ひた引けば 
 たきおちくたる さくなたり        
 滝落ち下る サクナダリ 
 あめにいのれは くすなかれ       
 天に祈れば 屑 (裳裾の屑)流れ
 はみあしおかむ おいつめて         
 蛇足を噛む 追い詰めて 
 とまるわらひて くくりすつ         
 留まる蕨で 括り捨つ
 もすそのくすに やふるゆえ       
 裳裾の屑に 破る故
 すすくすもちい これおたす           
 末々葛用い これを治す
 しむみちやふる うつわゑる         
 血脈道破る 器得る
 みなみそきして うつわゑて        
 水禊して 器得て  
 むみちおやふり をさむたみ         
 六道を破り 治む民
 みなみもすその なかれなり           
 皆な御裳裾の 流れなり」
 さるたあさかに すなとりの              
 猿田アサカに 漁の
 ひらこにかまれ おほるるお           
 平子に噛まれ 溺るるを
 きみうすめして そことくに          
 君ウスメ(渦侍)して 底解くに
 つふたつあはの さくとこに          
 粒立つ粟の 咲く処(とこ、床)に
 ひきあけさしむ わらにたす       
 引き上げさしむ 藁に養す
 はひらおぬきて なまこなす          
 肺臓(はひら)を抜きて 鈍(なまこ)な(熟)す
 さきにかくやま なかすねは              
 先に香具山 ナガスネは 
 みをやすへらき みこなきお       
 御祖皇 御子なきを
 おしくもいのる そのふみお      
 オシクモ祈る その文を
 こえとさつけす    
 請えど授けず 
 まかるのち あまのたねこは このふみお 
 罷る後 アマノタネコは この文を 
 みかさにこめて きみのとも
 三笠に籠めて 君の伴 
 なかすねひこは そのくらお      
 ナガスネ彦は その蔵を
 ひそかにあけて うつしとる 
 密かに開けて 写し取る
 くらとみつけて これおつく       
 蔵人見つけて これを告ぐ 
 たねこおとろき きみにつく           
 タネコ驚き 君に告ぐ
 さをしかやれは みここたえ   
 直御使遣れば 御子 (ニギハヤヒ)答え
 くらとかわさは われしらす       
 「蔵人が業は(蔵人の言う所の業は) 我知らず」  
 これにあらけて ことしろは        
 これに粗けて 事代は
 いよにととまる 
 伊予に留まる 
 そのつまは いせにもふてて    
 その妻は 伊勢に詣でて
 さるたひこ たたらなすおは    
 猿田彦  たた(称)ら為すをば
 みにいたり そこてひめうむ    
 見に至り そこで姫生む
 そのつまに とりあけさせて おくりゆく    
 その妻に 取り上げさせて 送り行く 
 ことしろえめは さるたひこ    
 事代笑めば 猿田彦  
 たたゆるひめの なはたたら いすすひめなり      
 称ゆる姫の 名はタタラ イスズ姫なり
  
 なかすねか われおたつれは    
 ナガスネが 我を立つれば
 いちさわく
 市騒ぐ  
 かれにはらみの みこふれて        
 故に原見の 御子触れて
 ほつまひたかみ かてふねお           
 ホツマ日高見 糧船を
 のほさぬゆえに たかのみや        
 上さぬ故に 多賀の宮
 つくしのみやに ゆきゐます       
 筑紫の宮に 行き居ます
 おおものぬしは たかとのに     
 大物主は 多賀殿に
 ねのくにをさめ    
 根の国治め
 おおたおは ひうかかんとの    
 オオタをば 日向代殿
 そえものと なしてむすめの
 副モノと なして娘の
 みらひめお     
 ミラ姫を 
 めとりてうむこ たたひこか           
 娶りて生む子 タタ彦が
 あたつくしねは おさななそ     
 アタツクシネは 幼名ぞ
 ちちのつみはも かみとなる            
 父のツミハも 神となる
 あすすゐそとし かんなつき     
 天鈴五十年 十月 
 やそよよろみち よそやなり            
 八十四万三千 四十八なり
 ことしわにひこ もものやつ      
 今年ワニ彦 百の八つ
 いもといすすは とおゐつつ          
 妹イスズは 十五つ 
 ともにもにいり よそやのち         
 共に喪に入り 四十八後 
 あはのあかたに おさむのち        
 阿波の県に 納む後   
 みつからしるし このふみお  
 自ら記し この文を 
 やしろにおくは ゐつこのためか        
 社(琴平宮、阿波宮)に置くは 何時(ゐつこ)のためか

 君臣遺し
 「五十鈴の 千枝の二十年」、「天代わる  暦未(ま)だとて」、「物主が 伊勢に詣でて これを問ふ」、「フタヱ「これより 伺はて」、「代殿に承(う)く 喜び」と」、 「共に至れる 大内宮」、「春日に会いて 元を問う」。
 「翁答えて  この鈴は」、「天地開く トコタチの 宮の真榊」、「熟(あ)枝千枝に さく鈴となる」、「植え継ぎの 五百に至れば 三百ハカリ」、「万歳満ちて 五百継ぎの 天の真榊」、「年の穂の 十年には五寸」、「六十年に 三尺伸ぶヱトの 一廻り」、「明くる年成る 三尺の熟枝 」、「なれば二兄弟 キアヱより」、「枝と穂と数え 一枝六十 」、「十枝は六百年 百枝は六千」、「千枝に六万を 天守の 」、「一回りづつ 暦成る 」。
 「故千枝の年 種植えて」、「明くれば生ゆる 真榊を」、「ハコクニ宮に トコタチの」、「植えて国名も 日高見の」、「タカミムスビの 植え継ぎの」、「二十一の鈴の 百枝後」。
 「五代タマキネの イサコ姫」、「七代の守の タカヒトと」、「タカヒの西南の 筑波山 」、「イサ川端なる 宮に居て」、「頷き合(あ)みて 君会ひて 」、「名もイサナキと イサナミの」、「天二神の  御子なきを 」、「故タマキネの 葛城の 山に祈れば 」、「アメミヲヤ 日輪の霊魂 分け下し」、「天照神を 生み給ふ」。
 「時二十一鈴 百二十五枝」、「三十一キシヱの 初日の出」、「若日と共に 生れませば 斎名ワカヒト」、「産宮は ハラミサカオリ」、「包の胞衣を 峰に納むれば よく守り」、「禍あるも 品替えて」、「防ぎ祓えば 和らぎて 」、「魂の緒長く これにより」、「オオヤマスミが 巡り回て」、「ヨメ路行く北の 峰に納む」。
 「胞衣が岳(恵那岳)なる 信濃国 」、「至るワカヒト 日高見の」、「天の宮にて 道学ぶ」、「三十年に知ろし 宮造り」、「大日ヤマトに 政り執る」、「天二神の 譲り受け」、「天日の御子と 御内には」、「十二の局に 置く后」、「四人のスケに 四内侍と」、「四乙侍添えて 月の宮」、「セオリツ姫を 御后と」、「天に収めて オオヤマト」、「日高見ヤスの 政り事 」、「聞こせば民も 穏やかに 二十五万年」、「天日月 御子のオシヒト 譲り受け」、「元のタカヒに 知ろし召す」、「西はヤスカワ オモイカネ 御使人分けて」、「外つ国は ツキヨミ治む」、「シラヤマは 根にツキスミは スミヨロシ」。
 「天照神は 還(こえ)国の」、「イサワ大内の 宮に居て」、「八つ御耳に 聞こし召し」、「民の教えは 伊勢の道 」、「その神風の 伊勢の国」、 「通り立つ富む 神風を」、「羨みねじけ 化物が 自ら褒めて」、「ハタレ君 七十万九千を 群れ集め」、「国を乱れば スミヨロシ」、「香取鹿島や 息吹主」、「カダタチカラヲ クスヒ神」、「皆器得て  これを討つ」、「時に六ハタレ 皆降る」、「これ皇神の 詔」。
 「御子オシヒトも 三十万端」、「治めて御子の ホノアカリ」、「十種宝に 駆け回り」、「空回つヤマト 飛鳥宮」、「弟キヨヒトは ニハリ宮」、「新治開きて 民治む 」、「十八万年に 殊を得て」、「水際分かる ニハリ振り」、「天より三つの 神宝」、「君臣分けて 賜われば」、「心一つに 国の名も」、「地上(しわかみ)ホツマ 現るる」、「三十万経れば 天の名も」、「ワケイカツチの 天君と」、「六十万治む 大御恵みぞ」。
 「先に御子 三人生む時」、「信濃より 四シナ県の 主来たり」、「天照神の 例しあり」、「胞衣乞ふ時に 詔」、「ハニシナ主(埴科)は 恵那岳」、「ハヱシナ及び サラシナ(更科)と」、「ツマシナ(妻科)主ら この三胞衣」、「その峰に納め 守るべし」。
 「その乙御子の ウツキネは 筑紫に至り」、「田を肥やし 祖に継がふる 民を愛で」、「十八万治め 本国の」、「日月を受けて 天神の」、「祖に継がふる 君の名も」、「六十万治め 契の神」。
 「御子カモヒトは 日月受け」、「ミツホを移す 多賀の宮」、「治むる民を 子の如し 天に応ふる」、「守の名も 御祖天君」、「若宮の 時に四十万 万の政り」、「また三十五万 豊かなり」。
 「時にイサワの 天つ神  」、「十二の后も 神となる」、「セオリツ姫と 大御神」、「宮移さんと ミモ川に」、「熟上る方得て サコクシロ」、「宇治の宮居に 二万年経る」、「時に五十鈴  宮に生え つらつら思す」、「植えずして 生えるも天よ」、「我が命 天が知らすと 八百守を」、「召して我世を 辞まんと」、「猿田に穴を 掘らしむる 」、「マナヰに契る アサヒ宮」、「同じ所と 宣給えば」、「諸驚きて 留むれば」、「否とよ我は 民のため 」、「苦きを食みて(ハホ菜) 百七十三万」、「二千五百年を 長らえて」、「天の楽しみ 覚ゆれば」。
 「世に遺す歌」、「常に聞く 直御使八手の 我が冠」、「衣と裳民に 緒を届け」、「陽陰を束ねて 日月為す」、「裳裾を汲めと 君民の」、「教え残して 天に還る とてな傷めそ」、「我が霊魂 人は上のもの(人は皆上つ身) 上にある」、「我は冠 人草(民)は 耳近き緒ぞ」、「胸(心) 清く 身は垢付けど 直使が見て」、「天に告ぐれば 直御使の」、「八つの聞えに 露れて」、「斎れもがもと (清まることを願って) 裳裾の」、「民を撫でつつ 直御使の」、「清きに神は ありと断えき」(断ずるものである)」。
 「返し宣歌」、「人常に 神に向はば」、「世の身々の 垢は天元の 直御使に」、「清め賜ひて サコクシの」、「ふゆの鏡に 入ると思えば」、「また猿田 昔授くる サカホコキ」、「美しき鈴 地生太刀 カカンノンテン」、「時待ちて 道現わせよ」。
 「また后 ヒロタ(廣田神社)に行きて」、「ワカ姫 (セオリツ姫)と 共に妹心 守るべし」、「我はトヨケと 背を守る 伊勢の道なり 」、「またコヤネ 汝良く知る タケコが子」、「クシヒコ生まれ 直ぐなれば」、「授く御矛に 鑑みて 」、「ミモロに入りて 時待つも」、「道衰はば また出でて 熾さんためや」、「汝また 鏡の臣は 軽からず」、「神を都に 留むべし」、「我も守らん これなりと」、「礼の御衣箱  御ヲシテと」、「汝春日よ 遺し物」、「多賀に持ち行き 捧げよ」と」、「自らこれを 授けます」、「春日は君に 奉る」、「神のヲシテと 直御使の」、「冠と衣裳は 菊散りぞ」。
 「神行の御輿 マナヰにて」、「天照神は 内つ宮(籠神社本宮) トヨケは外宮(真名井神社)」、「故春日 送りて後は 勤め降り 」、「ミカサ社の 魂返し」、「国治まれば 枯れもなし」、「祀りの文を 三つ染めて」、「一つ持ち行き 日夜見なす」、「フタヱに授け 御裳裾の」、「サコクシロ内 改めて」、「天照神の 内つ宮」、「八百仕ふ守 侍りて」、「ヒモロケ捧げ 天に応ふ」、「伊勢の道打く 神臣の」、「仕ふ守等が 侍る故」、「打侍所  春日神」、「太宣言を 司るかな 」、「六万年 経て去年尽きる さく鈴ぞ」。
 「昔春日に 詔」、「二十六の鈴を 我植えて」、「後の二十五も 詔」、「受け巡り植ゆ 宮の前」、「君おわさねば 如何にせん」」、 「フタヱが曰く  「春日殿」、「辞む御畏も 今伊勢の」、「仕ふる守の 居ますべし」、「これ理と 国巡る」。
 「物主告れて 物部等」、「春日の神を 導かす」、「諸神祝ふ 門出して」、「国々巡り 真榊の」、「二方三方十方  嘗てなく」、「伊予に至れば 事代が」、「館に入れて 主問ふ 鈴苗有りや」、「嘗てなし 手を空しくす」、「物主が 翁植えんや」、「春日また 我は臣なり」、「君植ゆる 天の真榊 如何にせん」、「我は宣言 宣んすのみ」、「また問ふ汝  治を棄つや」、「ホロして曰く、「治は棄てず  植ゆを恐れて 」、「またも問ふ 伊吹神かや」。
 「時に母  タナコ姫 あり」、「応え言ふ 昔二神」、「日の神を 君月は次ぐ」、「次ぐは臣 この子臣なり」、「臣を以て まだ君とせず」、「日の神の 嗣得て植ゆる」、「君は今 若きタケヒト」、「思わねば (それを考えて汝が今  植え継いでおかねば) 天の蝕み」、「晴るる時 苗生えなんや」 (生えてないじゃないか)」、「主問ふ さく鈴二十年 伸び如何ん」、「過に失せたり これも天」。
 「時にフタヱが 「暦名は 如何為さんや」」、「時に姫 タラチヲ神に」、「懸り言わば 鈴木は齢」、「二十年の 伸びもこの木の」、「天の命 春日も齢」、「長ければ これ名付くべし」、「時春日 やや笑み曰く」、「暦名を 天鈴(あすず)とせんや」、「時に姫 諸神共に」、「宣なりと 天鈴に極め」、「二十一穂の キナヱの春は」、「アメフタヱ 天鈴暦と 名を代えて」、「梓に彫りて 奉る」、「天鈴暦を 諸受けて」、「この世の業を 鑑みる 暦これなり」。
 「タナコ姫 イフキト宮に 生む御子の」、「兄はイヨツヒコ トサツヒコ ウサツヒコこれ」、「御供に 行きて筑紫の 宇佐に住む」、「母もウサにて 神となる 厳島宮」、「イトウ神 善きを知る名ぞ」。
 「オロチなる 恥に自ら 流離ひて」、「イトウを知れば オオナムチ 一姫を娶る」、「子のシマツ 三姫祀る」、「外ヶ浜 イトウヤスカタ」、「神の御供 食むウトウあり」、 「九頭の オロチが食めば シマツウシ」、「蛇斬り伏れば 逃げ出たり 」、「越の洞穴 掘り抜けて」、「信濃に出れば これを告ぐ」、「伊勢のトガクシ 馳せ帰り 」、「汝は恐る これ如何ん」。
 「答えて「昔 ふたオロチ」、「姫に生まれて 君召せば」、「モチは御子生み スケとなる」、「ハヤは姫生み 内局」、「内セオリツが 御后に」、「なるをモチコが 殺さんと」、「妬めばハヤは 君を退い」、「弟君媚えど 露れて」、「共に流離ふ アカツチが」、「姫を弟君に 因むをば」、「ハヤがオロチに 噛み殺す」、「弟アシナヅが 姫を乞えば」、「七姫までは 噛み食らふ」、「時にソサノヲ これを斬り」、「身をヤスカタと 祀る故」、「またヤマスミの 姫と生まれ 妹を妬む」、「罪の鳥 またモチオロチ セオリツを 」、「噛まん噛まんと 百五十万年」、「蝦夷白竜の 岳に待つ」、「今神となる 虚しさよ」。
 「トカクシ曰く 汝今 」、「日三の炎を 絶つべしぞ」、「我が食食みて 下に居れ」、「清身を守れば 罪消えて」、「また人成る」と 緒を切れば」、 「万の緒絶の 山ぞハコサキ」、「この先に 健に生まるる タケコ姫 」、「多賀に詣でて 物主が」、「館に終われば ススキ島 (現・竹生島)」、「骸納め 健生神」、「昔流離い 琴を弾く」、「時に霰の 芒(すすき)打つ」、「異に響きて 妙なれば」、「この映を写し 琴作る 名もイスキ打ち」、「島海も 名はイスキなり」。
 「タキコ姫 香具山ツミの 妻となり」、「カコヤマ生みて サカム (相模)なる」、「江の島神と 成りにける」。
 「ナガスネが 我を立つれば 市騒ぐ 」、「故にハラミの 御子告れて」、「ホツマ日高見 糧船を」、「上さぬ故に 多賀の宮」、「筑紫の宮に 行き居ます」、「大物主は 多賀殿に 根の国治め」、「オオタをば 日向代殿 副モノと」、「なして娘の ミラ姫を」、「娶りて生む子 タタヒコが」、「アタツクシネは 幼名ぞ」、「父のツミハも 神となる」。
 「天鈴五十年 十月」、「八十四万三千 四十八なり」、「今年ワニヒコ 百の八つ」、「妹イスズは 十五つ」、「共に喪に入り 四十八後」、「阿波の県に 納む後」、「自ら記し この文を」、「社(琴平宮)に置くは 何時のためか」。




(私論.私見)