ホツマツタヱ1、アのヒマキ(天の巻)12

 (最新見直し2011.12.25日)

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 2011.12.25日 れんだいこ拝


【ホツマツタヱ1、アのヒマキ(天の巻)12、秋津姫、天が児の文】
 天児(あまがつ)・這子(はうこ)の起源
 あきつひめ あまかつのあや     アキツ姫 天形の文
 さつさつの こゑといもせの ささいはふ   颯颯(さつさつ)の 声と妹背の 繁々(ささ)祝ふ
 そのもとおりは あまかつお    その本居りは アマガツを
 はやあきつめの つくりそめ     ハヤ秋津姫の 作り初め
 あまてるみこの をしほみみ   天照御子の ヲシホミミ
 あまつひつきは たかのかふ     天つ日嗣(ひつぎ)は 多賀の首
 たくはたひめの みうちいり     タクハタ姫の 御内入り 
 そのさきこしの あまかつお    その先越(こし)の アマガツを 
 しほかまのかみ またしらて    塩窯の神 まだ知らで
 かすかのかみに ゆえおとふ     春日の神に 謂を問ふ
 かすかこたえて               春日答えて
 これむかし あめのますひと そむくゆえ これ昔 天のマス人 背く故
 むはたれよもに わきみちて    六ハタレ四方に 湧き満ちて
 たみくるしむる そのときに    民苦しむる その時に
 あまてるかみの のりおゑて もろかみのうつ     天照神の 法を得て 諸神の討つ 
 はたれなか かんつはるなか はからんと   ハタレ中 上つハルナが 謀らんと 
 かんいきよめは ををんかみ    神息読(よ)めば 大御神
 これしろしめ みつのちこ   これ知ろしめし 三つの小児
 てくるまのうち たもとした    出車の内 袂(たもと)下 
 おきてたついき ましるゆえ   置きて起つ息 交じる故 
 はたれうたかひ かそえせす    ハタレ疑ひ 数えせず
 わさもみたれは ををんかみ   術も乱れば 大御神 
 あめつちしろす くしひるに   天地知ろす クシヒル(日霊)に 
 さとくはたれか いきはかり     聡くハタレが 息計り
 みうたつくれは そめふたお   御歌作れば 染め札を
 さつさもちゐに つけなくる        サツサ餅飯に 付け投ぐる 
 さつさつつうた サツサツツ歌
 さすらても はたれもはなけ みつたらす   「流浪ても ハタレもはなけ 満つ足らず 
 かかんなすかも てたてつき     カカン為すがも 手立て尽き
 かれのんてんも あにきかす  故ノンテンも あに効かず
 ひつきとわれは  あわもてらすさ       日月と我は 天地(あわ)も照らすさ」
 さつさつと もろかうたえは きくはたれ   颯颯と 諸が歌えば 聞くハタレ
 わさもみたれて しはらるる    術も乱れて 縛らるる
 かれこのうたお さつさつの こゑとたのしむ      故この歌を 颯々の 声と楽しむ
 かのちこお あめにおくれは かみのまえ  彼の稚児を 天に上くれば 神の前
 えたそろはねは さらんとす    枝揃わねば 去らんとす 
 あめのみをやは これおほめ     天御祖は これを褒め
 なんちはふこの いさおしは    「汝這ふ子の 功(いさおし)は
 もろにすきたり きみまもれ     諸に過ぎたり  君守れ」
 かみあまかつと なおたまふ   神天児(あまかつ)と 名を賜ふ 
 このもとおりに あきつひめ   この本在に アキツ姫
 ぬのもてつくる あまかつは    布もて作る 天児は 
 かみうたこめて ちちひめに     神歌籠めて 千千姫に 
 たまえはこれお さきかけの    賜えばこれを 先駈けの 
 さわりおのそく あまかつそ                障りを除く 天児ぞ
 もしもねたみの かむときも             もしも妬みの 噛む時も
 あまかつはへり まぬかるる    天児侍り 免かるる
 もしもうらみの なやますも   もしも恨みの 悩ますも
 あまかつはへり しりそくる    天児侍り 退くる
 まかるうらみは あまかつか   罷る恨みは 天児が
 みにせめうけて かはるなり 身に責め受けて 代るなり
 あれおにものお やふるなら     荒鬼ものを 破るなら
 そらはふこにて まねきいれ     空這子にて 招き入れ
 しめひきわたし みそきなせ   〆(しめ)引き渡し 禊為せ 
 おにかみしはる うつわもの   鬼神縛る 器物
 そらほおことは ひつしはえ    空這子とは 干土生え
 わらもてつくる かんかつは   藁もて作る 神児は
 ぬのもてつくり かみまねく   布もて作り 神招く 
 あきつめのうた 秋津姫の歌
 あまかつに かみたまわれは もろはたれ  「天児に 神賜れば 諸ハタレ
 さはりなすとも きみかみに    障り為すとも 君が身に
 ひとたひかはり たちまちに      一度代り 忽ちに  
 たちはたらきて きみかをゑ 立ち働きて 君がヲエ(汚穢)
 みなまぬかるる あまかつのかみ   厭免かるる 天児の神」
 このうたお みはらにこめて つくるへし        この歌を 御腹に込めて 作るべし
 ときにしほかみ またとはく            時に塩神  また問はく
 いつれもみきの ことくかや    「何れも右の 如くかや」 
 かすかこたえて さにあらす    春日答えて 然にあらず
 たたにつくれは かれきなり みたまあれはそ 徒に作れば 枯木なり 御魂あればぞ
 たとふれは しほのあちあり      例ふれば 潮の味あり 
 はからねは あちなしやけと しほならす     計らねば 味なし焼けど 塩成らず  
 このあまかつも こころあち いれてなすなり    この天児も 心味 入れてなすなり」
 そのときに しほかまはしめ もろほめて    その時に 塩窯始め 諸褒めて
 はやあきつめの いさおしお     ハヤアキツ姫の 功を 
 よよにのこして さつさつの こゑとたのしむ 代々に遺して 颯々の 声と楽しむ 
 よめいりの そのさきのりの あまかつそこれ   嫁入りの その先乗りの 天児ぞこれ

アキツ姫 天形の文
 「颯颯(さつさつ)の 声と妹背の 繁々(ささ)祝ふ」、「その本居りは 天児(あまがつ)を」、「ハヤアキツ姫の 作り初め」、「天照御子の ヲシホミミ」、「天つ日嗣(ひつぎ)は 多賀の首」、「タクハタ姫の 御内入り」、「その先輿の 天児を」、「塩窯の神 まだ知らで」、「春日の神に 謂を問ふ」。
 タカ(現・多賀城市)の国府(コフ)のツボワカ宮は、天照神の世嗣(よつぎ)御子オシホミミと、新しく妃として入内(じゅだい)されるタクハタチチヒメのご成婚を祝い、全国から諸神や諸民が早朝から押し寄せ、祝いの酒(ささ)も皆に振る舞われて、お二人のお出ましを今か今かと待っていた。神前で厳かに天神地祇(てんじんちぎ)へのご報告も終え、今まさに三三九度のお神酒(みき)も酌み交わされ、全ての儀式もとどこおりなく終わり、君と妃は皆の前にお立ちになられた。突然、堰を切ったように沸き起こる万歳万歳(よろとしよろとし)の歓喜の声はやがて、サツサツの神歌(かみうた)と交じり合い、幾重にも押しては返す潮(うしお)のようにうねり続けた。今度の妃の入内に先だって、ハヤアキツ姫が初めて天児(あまがつ)を造り、その先輿(さきこし)に乗って、厄除けの先駆けを務めた。同席のシホガマの神は、天児(あまがつ)について知らなかったので、春日の神にその謂れを尋ねた。
 「春日答えて これ昔」、「天のマス人 背く故」、「六ハタレ四方に 湧き満ちて 民苦しむる」、「その時に 天照神の 法を得て 諸神の討つ」、「ハタレ中 上つハルナが 謀らんと」、「神息算(きよ)めば 大御神 これ知ろし召し」、「三つの小児 出車の内 袂下」、「置きて起つ息 交じる故」、「ハタレ疑ひ 数えせず」、「術も乱れば 大御神」、「天地知ろす クシヒルに」、「聡くハタレが 息計り」、「御歌作れば 染め札を」、「サツサ餅飯に 付け投ぐる」。
 カスガの神が申されるには、「これは昔、天の益人(マスヒト、山陰・北陸地方の代官)が国に叛いて乱を起こした時、全国から六種(ムツ)の魔王(ハタレ)の軍団が同時に蜂起して民を苦しめた。この時、天照神は禊をしてハタレ破るの法(のり)を得て、諸神が戦った。ハタレの中でも特に悪い術にたけているカンツハルナが謀らんとして、神の息を数えようと窺うのを、天照神はこれを予期して、三才児を招いて輦(てぐるま)に一緒に乗せ、自分の袂(たもと)の下に秘(かく)していた。君の息に合わせて嬰児の息が立ち昇って撹乱し、ハタレはこの謎が解けずに己の術を疑って、息数を計ることができず、術が乱れてしまった。時に、天照神は天下を治(しろ)すクシヒル(奇霊)の神智を得て、聡明にハタレの息を計り終えると新たに戦略を練り、御歌を作り染札に書き付けると、サッサ粽(もちい)に付け敵に投げ与えた。
 「サツサツツ歌」、「さすらても ハタレも放来 満つ足らず」、「カカン為すがも 手立尽き」、「故ノンテンも あに効かず」、「日月と我は 天地(あわ)も照らすさ」、「颯颯と 諸が歌えば 聞くハタレ」、「術も乱れて 縛らるる」、「故この歌を 颯々の 声と楽しむ」。
 サッサツツ歌。「流浪者(さすら)でも  魔王(ハタレ)も鼻息(はなげ) 三つ不足(たら)ず  神明(カカン)なすがも 手段(てだて)つき  故(かれ)、祝詞(ノン)・囃子(デン)も 天(あ)に聞かず  日月(ひつき)と我は  天地(あわ)も照らすさ」(サツサツと諸民がこの神歌(かみうた)を歌い囃(はや)すと、歌を聞いたハタレは、遂に術も乱れて神通力を失い、皆あえなく拿捕されて国に平和が戻りました。この由に、サツサツの声を神楽歌にして皆で楽しむようになりました)。
 「右の小児を 天に上くれば 神の前」、「枝揃わねば 退らんとす」、「天御祖は これを褒め」、「汝這ふ子の 功は」、「諸に過ぎたり  君守れ」、「神天児(あまかつ)と 名を賜ふ」。
 戦い終わって後に、この稚児を宮中に送り届けて、天照神の御前にお連れすると、まだ手足もしっかりしない幼さから、神を恐れて逃げようとした。天照神は、この児を誉めたたえ、「汝、這児(はうこ)の功(いさおし)は、諸神に勝り過ぎたり。君(オシホミミとタクハタ姫)を守れ」と宣べ、神天児(かみあまがつ)という神名を賜った。
 「この本在に アキツ姫」、「布もて作る 天児は」、「神歌籠めて チチ姫に 賜えばこれを」、「先駈けの 障りを除く 天児ぞ」、「もしも妬みの 噛む時も」、「天児侍り 免かるる」、「もしも恨みの 悩ますも」、「天児侍り 斥くる」、「罷る恨みは 天児が」、「身に責め受けて 代るなり」、「荒鬼ものを 破るなら」、「空這子にて 招き入れ」、「〆(しめ) 引き渡し 禊為せ」、「鬼神縛る 器物」、「空這子とは 干土生え」、「藁もて作る 神児は」、「布もて作り 神招く」。
 この本縁(もとおり)により、アキツ姫がサッサ神歌(かみうた)の心を込めて布で天児を造りチチ姫に賜わった。これが先駆けとして穢れや災を除く天児(あまがつ)となった。もしも嫉妬(ねたみ)の気持ちが起り咬(か)む時も、天児(あまがつ)が侍(はべ)り免がるる。もしも、呪詛(うらみ)の悩ます時も、天児侍れば退ける。罷(まか)る怨みは、天児が身に責め受けて身代(かわる)となる。又、荒鬼を打ち破ろうとする時は、空(そら)這子(はうこ)にて招き入れ、注連(しめ)引き渡して禊をなせば良い。これが鬼神(おにかみ)を縛る神器(うつわもの)であるぞ。空這子(そらはうこ)は、秋に刈り取った稲の株から生えるひつじ生えの、柔らかな藁(わら)に布を被せて造るとよい。布だけを用いて造れば神を招く。
 「秋津姫の歌」、「天児に 神賜れば 諸ハタレ」、「障り為すとも 君が身に」、「一度代り 忽ちに」、「立ち働きて 君がヲエ(汚穢)」、「厭免かるる 天児の神」」、「この歌を 御腹に込めて 作るべし」。
 アキツ姫の神天児(かんあまがつ)の歌。「天児(あまがつ)に 神名(かみ)賜われば 諸魔王(もろハタレ)。障(さわ)りなすとも 君が身に 一旦(ひとたび)身代(かわ)り。たちまちに 立ち働きて 君が汚穢(おえ)全(みな)免るる 天児の神。この歌を身腹に込めて造るべし」
 「時に塩神  また問はく」、「何れも右の 如くかや」、「春日答えて 然にあらず」、「徒に作れば 枯木なり 霊魂あればぞ」、「例ふれば」、潮の味あり」、「計らねば 味なし焼けど 塩ならず」、「この天児も 心味 入れて成すなり」。
 時に、シホ神が又質問されて、「いずれも右のごとくかや」と申されると、カスガ神がお答えになって、「さにあらず。唯、漫然と造ったのでは枯木も同然です。御霊を込めねばなりません。たとえば、塩の味のようなもので、計量せず使用すれば、本来の味をも害(そこな)い味を失ってしまうように、たとえ苦労して潮(しお)を吸み焼塩を作ったとて塩の役目を果たさねば塩とはいえません。この天児(あまがつ)も心の味を込めて造るから神の力を得るのです」。
 「その時に 塩窯始め 諸褒めて」、「ハヤアキツ姫の 功を」、「代々に遺して 颯々の」、「声と楽しむ 嫁入りの」、「その先乗りの 天児ぞこれ」。
 その時、シホガマの神を初め諸神が、ハヤアキツ姫の深遠なる神功(いさおし)と、これにまつわるいわれを残したいと、皆が誉めたたえ、そしてサツサツの声を歌にして楽しんだ。これが、婚姻の儀式の先乗りを勤め、穢れ災いを除く天児(あまがつ)の本縁(もとおり)となった。





(私論.私見)