| 346 | クローン技術 |
さまざまな生命操作の技術の圧巻。遺伝学と結びついて、クローン技術を含む発生学の研究がどんどん進んでいる。生命科学の伸展
クローン人間だけを規制して、他の生殖医療は構わないという現況、
クローン技術規制法案
法規制の理由付けも弱い
クローン羊ドリーの誕生
まるごとと部分臓器の問題、免疫学が絡む
生物学が繰り広げているのは、自分自身の発見にもつながっている。遺伝的に異なる人の個性と共同化システム、社会.国家とはに広がる。
多種多様な生命操作の技術
「人類は将来、能力の高い遺伝子を持つ金持ちの『ジーン.リッチ』階層と、持たざる『ナチュラル』階層に二極化する。」(米プリンストン大のリー.シルバー生物学教授「複製されるヒト」)。未来社会の預言が衝撃を与えた。
精子バンク、精子提供、生殖医療、卵子提供による体外受精、代理出産
子供には、産みの母、育ての母、遺伝上の母の3人の母ができることになる。出生の秘密
不妊治療
「人間が手を出してはならない領域は本当に存在するのか、それはどのような生命観に基づくのか、という根源的な問いに、統一した見解は得られていない」。
三菱化学生命科学研究所
28日付の英紙サンデー・タイムズによると、世界初の体細胞クローン動物の羊ドリーをつくった英国のイアン・ウィルムット博士が、これまでにつくられたクローン動物すべての遺伝子に何らかの異常があるとみられるとの調査結果を発表した。
博士は、イタリアや米国の医師が進めているクローン人間づくりに対し、遺伝子の欠陥を伴う危険が極めて大きいと強く警告した。
博士は世界のクローン動物を追跡調査した結果、日常的に発生している異常として(1)羊、牛の場合は体の巨大化(2)マウスの場合、胎盤が正常の最大4倍に肥大(3)豚の場合は心臓の欠陥―を列挙。このほか発育障害、肺の異常、免疫機能不全、突然死などもみられた。
博士は異常発生の原因として、DNAにくっついて細胞の機能を制御するメチル基の働きが、体細胞を移植するクローンと受精とで全く異なるためと推定。「問題が広範に発生しており、果たして完全に正常なクローン動物がいるのだろうかという疑問に行き着いた」と指摘した。(ロンドン共同)
[毎日新聞4月28日] ( 2002-04-28-18:14 )