「4.15韓国総選挙結果」考

【韓国総選挙:ウリ党が第1党に、民主労働党が10議席で初登場】 れんだいこ 2004/04/17
 日本の政界もこうならんかな。

 2004.4.15日、盧武鉉(ノムヒョン)大統領の弾劾の是非が焦点となった韓国総選挙が実施された。有権者数は約3560万人で、243名選出小選挙区と56名選出比例区で争われた。最終投票率は60.6%で、過去最低だった前回00年総選挙の57.2%を3.4ポイント上回った。

 243の小選挙区では、大統領弾劾阻止派のウリ党が大票田の首都圏のほか、全羅道、忠清道などで圧勝。大統領弾劾推進派の野党第一党ハンナラ党は、目標にしていた憲法改正阻止ラインの100議席は超えたが、慶尚道など支持基盤の韓国東部以外に勢力を拡大できなかった。

 弾劾訴追案に賛成した民主党は9議席に凋落、同じく賛同した自民連も4議席と、いずれも惨敗。一方、労組を支持母体とする大統領弾劾阻止派の民主労働党(民労党)が初登場でいきなり10議席を獲得し、第3党に躍り出た。民主労働党の公然登場は、韓国政界の台風の目となりそうだ。

 各党の盛衰、新事象を分析する。

 与党・開かれたウリ党(ウリ党)が首都圏を中心に議席を伸ばし、改選前の49議席から、全299議席の過半数150議席を超える152議席を獲得しての大躍進で圧勝し、第1党の座を獲得した。韓国総選挙で与党が過半数を得たのは1988年以来16年ぶり。

 ウリ党の鄭東泳(チョンドンヨン)議長は「国民が盧大統領を政治的に再信任したと解釈すべきだ」と主張、盧大統領の復権に向け攻勢をかける姿勢を示した。来月にも予想される憲法裁判所の審判は、民意を尊重して盧大統領に有利に傾くとの見方が有力となった。

 最大野党のハンナラ党は地盤の南東部・慶尚道などで議席を確保したが、改選前の137議席を16議席減らし121議席となった。故朴正熙(パク・チョンヒ)元大統領の長女、朴槿恵(パク・クンヘ)さんが代表に就任して追い上げたが及ばなかった。

 労働組合を支持母体とする左派系の民主労働党(民労党)が初登場で一挙に10議席を獲得、初の国政進出を果たし第三党に躍り出た。地域区では昌原乙の権永吉(クォン・ヨンギル)代表と、蔚山北の趙承洙(チョ・スンス)元蔚山市北区庁長がそれぞれ当選を決め、国会議席を初めて獲得した。比例代表でも数議席を獲得した。

 北朝鮮との対立下で左翼的な活動が制限されてきた韓国で左派系政党が躍進したことは大きく注目される。同党は2000.1月に全国民主労働組合総連盟(民主労総)を母体に誕生。大統領弾劾訴追案の可決に強く反対したほか、選挙では@・高所得者対象の富裕税の導入、A・在韓米軍の撤退、B・医療費の無料化、C・イラク派兵部隊の帰還など急進的な主張を掲げて闘った。ソウル市内で数万人規模で開催された反米の「ろうそく集会」を主催する市民団体とも連携している。

 盧武鉉(ノムヒョン)大統領の弾劾に反対する立場から、第1党となったウリ党と協調しているが、イラク派兵など安保問題では対立する可能性が高い。弾劾の政治決着を探る動きに対し、民労党の権永吉(クォンヨンギル)委員長は16日、「憲法裁判所の決定前にも政治的妥結を図るべきだ」と述べた。

 前大統領金大中(キムデジュン)時代の与党だった新千年民主党(民主党)が惨敗し、改選前の61議席から9議席となった。地盤だった全羅道の各地でウリ党に議席を奪われ、改選前の61議席を大きく減らし、地域区ではわずか5議席という惨敗に終わった。

 比例代表も4議席で、大邱・寿城区甲の趙舜衡(チョ・スンヒョン)代表が落選したほか、政界の女性リーダーとして注目され選挙戦を指揮したソウル・広津区乙の秋美愛(チュ・ミエ)選対委員長も涙をのんだ。特に支持基盤の全羅道では8割の議席をウリ党に奪われ、地域政党としての存立基盤にひびが入った。路線の見直し必死で、秋委員長は15日夜、「国民の信任を得るのに失敗した。原点に戻って再出発する」と語ったが、党再建の道筋は見えない。党存続の危機に直面することとなった。

 元首相にして総裁の金鍾泌(キム・ジョンピル)(78)が率いる自由民主連合(自民連)も地盤の忠清道でウリ党に次々に敗北し、改選前の10議席から4議席と惨敗し、存続が問われる事態となった。金総裁は比例区で10選に挑んだが落選した。自民連の比例名簿1位だったが、同党は比例議席配分の条件となる得票率3%以上か、選挙区で5議席以上の基準を満たすことができなかった。

 金泳三(キムヨンサム)、金大中(キムデジュン)の両大統領経験者とともに「三金」と呼ばれた実力者が韓国政界をリードする時代は完全に終わりを告げた。

 金総裁は61年に韓国中央情報部(現・国家情報院)を創設。65年の日韓基本条約締結に向けた交渉にもかかわった。71〜75年、98〜00年の2回、首相を務めた。日本の政財界とのパイプが太く、76年に韓日議員連盟初代会長に就任した。

 盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領の与党・開かれたウリ党が、大幅に議席を増やし第1党の座を獲得したことで、野党の弾劾訴追案可決で権限停止中の盧大統領は、第1の難関を越えた。

 残るハードルは、憲法裁判所での弾劾裁判だ。大統領を弾劾するか否かの判決は、5月下旬にも言い渡される予定だが、弾劾訴追案は弾劾事由としては弱いという見方が法曹界に広まっている。ウリ党勝利によって、盧大統領は「復権」への道筋を確かなものにした。

 弾劾反対の民意が確認され、盧大統領が信任を得た形。政権は危機を脱し、安定した国政運営が可能となる。憲法裁判所の弾劾審判にも影響を与えるとみられ、盧大統領は弾劾問題解決後、改革路線をさらに推し進める見通しだ。

 当選者のうち188人(63%)が新人で大幅に世代交代が進み、総入れ替えに近い人事刷新となった。新人188人を除く当選者の内訳は、再選が52人(17.3%)、3選が42人(14.0%)で、4選以上のベテラン議員は17人(5.7%)にすぎない。前回(00年)総選挙の新人率41%に比べ、さらに新陳代謝が加速したといえる。

 世代別では50代121人(40.5%)▽40代106人(35.5%)▽30代23人(7.5%)。朝鮮戦争の記憶がなく、北朝鮮に対する拒否感が少ない「戦後世代」が過半数を占めている。80年代に大学で民主化運動に取り組んだ60年代生まれの「386世代」の政界進出が進んだことが今回の特徴だ。

 女性も39人。朴槿恵(パククンヘ)ハンナラ党代表をはじめとする女性政治家の活躍も目立った。女性当選者は前回の16人から39人に倍増。特に激戦を実力で制した選挙区当選者が6人から10人に増え、「『女風』が吹いた」と注目されている。

 (れんだいこ総評)

 韓国は今や左派の先進国。日本はますますピーマン化を促進させられつつある。しかし日米ネオコン・シオニスト派は黙っちゃいない。あの手この手で介入し始め、緊迫していくことになるだろう。でも、こういうときのエネルギーは究極、人と国とを豊かにするんだよな、れんだいこに云わせれば。羨ましいぞなもし。

 (あたみぃさん見てたら下のやつ例の如く頼む)





(私論.私見)