第084回国会、ロッキード問題に関する調査特別委員会第3号(後半)

 (最新見直し2013.03.04日)

 (れんだいこのショートメッセージ)
 「第084回国会、ロッキード問題に関する調査特別委員会第3号」。

 2005.3.7日 2007.5.23日再編集 れんだいこ拝


○廣瀬委員長 坂井弘一君。
○坂井委員 最初に委員長に、御提案、お願いをいたしたいと思います。
 政治的道義的責任ありとして、四人の方々をいわゆる灰色と認定したのは国会でありますし、紛れもなく当委員会、ロッキード調査特別委員会が認定をしたわけであります。したがって、申すまでもないことでありますが、この認定に当たっては、与野党の別なく本委員会が責任を負わなければならない。これは理の当然であろうと思います。委員長のお立場は、まさに厳正公平な本委員会の委員長でございます。
 さて、そこで、国会が認定をいたしましたこの四人の方々は、金銭授受の問題をめぐりまして、そのほとんどの方々がこれを明確に否定をしていらっしゃる。そういう中で、私どもは証人として本委員会に出席を求めて証言を得たい。その意向を委員長から個々にお尋ねをいただいたところ、先ほど御報告のあったとおり、要約いたしまして、喚問に応ずることはできないという理由は二点でありました。つまり、その一つは、公判維持上影響があるのではないか。したがって差し控えたい。いま一つは、実際の捜査の資料が本委員会に提出されない限り、われわれ、と言ったかどうか知りませんが、的確なる反論はできない。この二つの理由をもって喚問を拒否された。応ずることはできない。しかし、先ほど小林委員からも指摘のありましたとおり、これは包括的な報告でございますし、きわめて個々の、それぞれの四人の人たちのそれぞれが喚問に応じられないとする理由と、いま述べられました二つのこの理由とは必ずしも一致するものではない。そこで、改めての提案でございますが、少なくとも次の理事会において、私はあえて委員会とは申しません。次の理事会において、委員長がこの四人の方々から聞かれました拒否の内容といいますか、その事由といいますか、それを一人一人について非常に重要な人権問題が一方かかってございますから、事の正確さを期さなければならぬとも思いますので、文書でもって十分本人の意思を尊重しながら、正確にひとつ委員長から理事会に御提出をされますよう計らっていただいてはどうか、こういう提案でございます。いかがでしょうか。
○廣瀬委員長 ただいまの御提案につきましては、これまた理事会でよく御相談いたしまして、そして私の態度を決めたいと思っております。
○坂井委員 あえて私がなぜそういうことを申し上げるかといいますと、先ほども小林委員からございました、新聞を初めいろいろな報道において、御本人たちの言い分といいますか、はなはだ心外である、その辺のいきさつ、事情についていろいろ述べられておる。少なくともやはり弁明の場はいま一度与えられたいという希望は、これは強いと思います。したがって、少なくともその辺の事情を踏まえた上で、改めて灰色と認定をした当委員会の責任において、その真実の声をいま一度正確に聞いてみるという必要があるのではないか、こう思うからあえて御提案を申し上げたわけでございますので、ひとつ前向きに御検討、受け入れられるようにお願いをしておきたいと思います。
 さて、実は本委員会の真相解明、そのためにこの口特委員会が設置をされたその出発点といいますか、一番最初のこの委員会の目的としたもの、それは一体何であったのかということを、いま一度、今日の事態を迎えて冷静にお互いに振り返りながら、出発点にやはり立ち戻る必要があるのではないか、実はそのことを強く感ずるわけでございまして、つまり言いたいことは、いわゆる刑事事件における犯罪捜査、それによる立件、あるいはまた犯罪事実なし、そういう刑事事件、これをきわめる場では本委員会は決してございません。つまり、国会において決議をいたしました。真相解明を行う国会の意図するものは、この真相、真実というものをことごとく解明する中で、少なくともこの種の事件が再び起こらないようにということをわれわれは決意しながら、一体ロッキードの黒い金がどのような経路でどういう意味合いを持ちながら政治と行政の間にかかわり合って、ある種の行政のあるべき方向を変えていったか、政策を変えていったか等々、たとえばエアバス導入等に関しましてこの黒い金が絡んだ、そうした中での政治と行政の絡み、その辺を明確にしていかなければならぬ。また、そこにおいておのずから政治的道義的責任を問われる者が存在するとするならば、それはまた国民の目の前に明らかにしなければならぬ、こういうことでありまして、犯人捜しでありますとか探偵ごっこをやるのはこの委員会の決して意図するものではない。そこのところを踏まえて、それをしっかり踏まえて、さて、この事態でこの真相解明の目的に向かって十二分に本委員会が今日まで活動、指導し得たかどうか。はなはだ残念ながらその大部分についてはいまだ未解明である。こういう認識を実は私は持っております。同時に、一つ一つの事実をもってそれが真相、真実であると断定するには、これははなはだ大きな誤りが犯される心配もある。つまり、言いたいことは、一つ一つの事実というものを明らかにする中でそういうものを積み重ねていって、初めて真実は一つと言われる真相というものが浮かび上がってくる。単に一事実をもって、それがイコール真相である、こういう錯覚をしては断じてならぬ、実は私はこういう考えでおります。
 したがって、そういう意味合いにおいても、真相解明のために必要な証人はことごとく証言台に立っていただいて、その一つ一つの事実を正確にお述べいただく中で、それをつなぎ合わせてみて初めて真相の解明ができる。それが本委員会の目的であったはずである。この認識においては、首尾一貫して今日に至っておるつもりでございます。したがって、そういう意味合いと、そういう目的と、いま一つ問題になっておりますことは、いわゆる灰色と認定された四人の方々が金を受け取った事実はないと明確にこれを否定していらっしゃること、この二つのことを同時にあわせて本委員会において解明をする。明らかにしていく。これは委員長御自身の、本委員会の委員長としての重大な責任であると思いますし、また私どもも与野党の別なくその責任を負っておる、こう考えております。
 したがって、法務大臣に私はいま私の認識論として申し上げたわけでございますが、法務大臣としてのお考えをひとつお聞きしておきたい。
 先ほども触れてございましたが、国会の真相解明に対して協力する、その協力の中身は一体何か。それは、一つにはいま検察なりが捜査上得た資料である、その資料を国会に提出していただきたい、こうわれわれは要請をしておる。ところが公判維持上あるいは裁判官に対する予断偏見を与える等々の理由をもって直ちに協力するわけにはいかぬ。国会に対して最大の協力をしなければならぬ政府は、法務省は、やはり一方において重大な責任を負っていることも事実だと思います。したがって、最大の協力をするその一つとして資料を国会に提出する、ところがいま言った理由でもってなかなかできないとするならば、資料を提出できる条件、どういう条件下であるならばかくかくの資料は提出できるというようなお考えがあるのかないのか。全く一般論的に、いま公判進行中であるからすべてが終わらなければ出せません、こういうことなのかどうなのか。少なくとも法務大臣としてきわめて前向きに国会に協力をするという姿勢の中で、何が協力できるのか、どういう形ならば資料の提出ができるのか、その辺について法務大臣としてのお考えをいま一度ひとつお聞かせをいただきたい。
○瀬戸山国務大臣 当委員会はもう二年ぐらい続いておりますが、当委員会の職責、責務といいますか、私がそういうことを言うとまことに失礼なことでございますが、いま坂井さんが言われたような趣旨であろうと私も解しております。
 ただ、それに対して協力の問題でございますが、これはしばしば同じことを申し上げてまことに恐縮でございますけれども、普通の行政府と違いまして、検察は御承知のとおり犯罪の、特に検察関係犯罪の捜査及び起訴すれば公判の維持ということが職責でございます。そういう中で得た資料を、いまおっしゃったような当委員会の職責を果たす上で可能な限りお手伝いをいたしましょう、こういう立場で可能な限りの御協力をいたしますということを申し上げておるわけでございます。ただ、いま申し上げましたように法務、検察の職責がそういうことであって、その職責を遂行するためには刑事訴訟法その他いろいろな定めがありまして、その定めがあるというのは申し上げるまでもないことでありますけれども捜査の完成を期するということと、公判維持を期するためと、それから一面においては公判に関係する者だの捜査に関係して出てくる人々の信用なりあるいはいわゆる人権、名誉、こういうものを阻害しないようにというために各種の法律の規定ができておるわけでございます。でありますからその範囲内においてしかできないわけでございます。これはぜひ御理解を願いたい。法務、検察の趣旨、目的がこうでありますから、それについていろいろな配慮をしてわれわれが行動し得る範囲が決めてあるわけでございます。法律を越えてこちらがやるというわけには当然いかないわけでございますから、その範囲で許される限度において、また許される時期において御協力申し上げるということが今日までずっといろいろな場合で申し上げておる趣旨でありますから、これはぜひひとつ御理解を願いたい。御協力を申し上げないとかあるいは隠しおおせようとか、またそういう性質のものでもありませんし、そういう立場で法務省が行政をすべきものではない、かようなことは御理解を願っておきたいと思います。
○坂井委員 福田総理が四人の方々を指して気の毒だという発言があった。何が気の毒かと言いますと、先ほど御答弁ございましたが、まず事実を、真実をはっきりさせるすべがない。すべがないと言うが、本当にないのでしょうか。人権の重さということを一方に踏まえたならば、すべはあると思います。少なくともわが党がロ特委員会の冒頭申し上げましたように、認定した責任は私も一端の責任を負う立場でございますから。しかるに四人の方々がこれを否定する、気の毒である、そのすべがないからだとおっしゃる。すべがないことはない。
 伊藤刑事局長にお伺いいたしますが、あなたは先般の予算委員会におきまして横路委員の質問に答えまして、一定の段階を意味するのだろうと思いますが、裁判上の立証がほぼ終わった段階であれば資料は詳しく国会に提出をいたしましょう。ほぼ終わった段階というのは一体いつでしょうか。それからここで出される資料とは一体どの種の資料を指しておっしゃったのでしょうか。
○伊藤(榮)政府委員 ほぼ終わった段階というのは私にも実はよくわかりません。横路委員の御質問が、大体三、四月を越えれば立証がほぼ終わると思うから、その段階になったら資料が出せないかというお尋ねがありましたので、それをそのとおりオウム返しに受けまして、立証がほぼ終わりました段階にはと申しまして、それから後がちょっと違うわけですけれども、公判へ提出された資料については国会の御要望があれば詳細御報告申し上げます。こういうふうにに申し上げたわけでございまして、先ほどもちょっと御説明申し上げましたが、公判廷で証言をされました証言の内容でございますとか、あるいは法廷で証拠調べが行われました書証の中身でございますとか、そういうものは御要望があれば検察行政に対する国政調査の一環でもあり、また当委員会の国政調査に対する御協力として御要望のとおり御説明申し上げさせていただく、こういうふうに申し上げたわけでございます。
○坂井委員 それならば単なる公判記録じゃないですか。この公判に、表に出ない関係の資料は一切含まない、公判廷に出されました記録として残る資料についてはお出しをいたします。仮にそういうことであるならばいまでもお出しいただけるのじゃないでしょうか。これは一定の手続はとります。いかがでしょう。
○伊藤(榮)政府委員 公判記録は裁判所が保管するところでありますから、国会から裁判所に対しして御要求になるべき筋合いだろうと思います。法務、検察としては訴訟記録そのものを国会にお出しするという能力がございません。そこで、私どもは、検察活動という一種の行政権の行使に関しまして国政調査が行われますならば、これに対しては十分な御協力を申し上げる必要があろう。そこで、公判で起きました出来事につきまして、その骨子ないし要旨をなるべく詳細に御報告申しげます。こういうことでございます。
 なお、申し上げるまでもないことでございますが、公判へ出ました資料で裏の資料というものは一切ないわけでございまして、公判へ出ましたものはすべて公開の法廷で口頭で取り調べが行われるわけでございますので、それらについては、実は横路委員の予算委員会での御質問の際には、御質問が、立証がほぼ終わった段階という前提でございましたのでそう申し上げましたけれども、公判に出されましたものにつきましては立証がほぼ終わろうが終わるまいが、きょうの時点できのうまでの分について説明しろとおっしゃれば、至急資料を取り寄せて御説明する、そういうようなテンポで御協力申し上げたい、こう申し上げておるわけでございます。
○坂井委員 公判に提出されました資料につきましては、委員長、お計らいください。当委員会にひとつ御提出をいただけるように裁判所の方に手続をとっていただきたい。お願いとして申し上げておきます。
○廣瀬委員長 理事会で御相談いたしまして……。
○坂井委員 すべての資料というところに実は意味があるのでありまして、この辺につきましては、いま公判進行中でありますし、特に起訴された二人と四人との関係ということになりますと、丸紅、全日空にかかる行為の、両者間の金の流れの中で密接不可分な関係にある。したがって、その辺もありますので、関連する一切の資料というものはいま直ちに本委員会に提出することはできない、こういうことだろうと思うのですが、まあ一般論としてあえてお伺いしておきますけれども、刑訴法四十七条のただし書きということになりますと、これはまた話は別ですね。
○伊藤(榮)政府委員 御質問の趣旨が必ずしも私、的確に把握できないのですけれども、要は、先ほど来大臣がお答え申し上げておりますように、公判の運営に悪影響を及ぼさないということ、あるいは関係者の人権、名誉、それから国民一般の捜査に対する信頼感、こういうものを考慮しながら、なるべく御協力申し上げられる分については御協力申し上げるという方向で対処してまいりたいと思っております。
○坂井委員 あの起訴されました二人と、それからいわゆる灰色の四人の受け取ったとされる金、この金は二人の分と四人の分がそれぞれに交錯するといいますか、どういう関係で密接不可分になるのか、その辺少し具体的に御説明いただきたい。
○伊藤(榮)政府委員 冒頭陳述の際にも明らかにいたしておりますけれども、三千万円というお金がございまして、これを六人の人にそれぞれ渡そうという計画があったということを、先般、大久保証人が証言をしたわけでございます。冒頭陳述書によりますと、この六人に対しというのが、後に伊藤宏、副島あたりの段階でもう一人ふえまして七人になって、渡すべき金額も多少変動しまして、そこで、ちょっと比愉的に申し上げますと、一山三千万円の金が七包みに分けられて、二名の者によってごく短時間の間にぐるっと配付されたというようなことでございまして、そういう意味において事実関係、証拠関係が二対四というふうに載然と区別できない密接不可分な関係にある、こういうことでございます。
○坂井委員 法務大臣に伺いますが、どうでしょうか、いまのところ最終報告というか、全容報告はする御意思はございませんか。ありません、ありと思うのだけれども、どうでしょう。
○瀬戸山国務大臣 ない方にお尋ねですか、ある方にお尋ねかわかりませんが、現段階ですぐというわけには事実上まいらないと思います。先ほど来申し上げておりますように、委員会、国会で御要求があれば、これは従来からのいきさつもありますし、全容といいますか、明らかにすべきことをお約束しておりますから、政府としてはやるべきだと思います。ただ、いまというわけにはまいらないことは先ほども申し上げたとおりでありますから、その時期が裁判との兼ね合いもありますので、これはしかも、ただ犯罪あるいはそれに関連する事案の報告だけということになりますと、法務省単独でできないわけでございませんけれども、先ほどいろいろお話がありましたように、また私も触れましたが、当委員会が目標としておられるような、こういうことが将来にわたって再び起こらないような方策をとるにはどういう点に欠陥があったか、あるいは行政上、法律上どこに不備があったか、こういう点を含みますと、これは政府全体の問題になりますから、政府全体と協議をして、この趣旨に沿うような――委員会が目標とされる趣旨に沿うようなものができるかどうかわかりませんけれども、沿うようなものとして報告しなければ意味がないのじゃないかと思いますから、そういう意味でやはり時期を見なければならない、かように申し上げておるわけでございます。
○坂井委員 私の認識から申し上げますと、意見として申し上げますと、まだとても全容報告はできる段階には至っていないし、ましてや全容報告ということになりますと、つまり全容でございますので、児玉・小佐野ルート等のその内容についても、これはまず国民の目から見てほぼ納得のできるような内容が盛り込まれてなければ、およそ全容報告の名には値しないであろう。ただしこれは児玉・小佐野ルート、とりわけPXLの白紙還元に絡むP3Cの導入に至る経路等についての児玉ないしは小佐野、あるいはその間に介在する防衛庁の問題等々については、捜査上もきわめて困難を来しておる、こういう報告を受けております。したがって、その限りにおいては全容報告、一体その名に値する報告ができるのかどうかということになりますと、きわめて疑問なしとしない。しかしながら、全容報告は政府の国会に対し、国民に対する公約でもあるわけであります。前段に申しましたように、やはり国民の期待する全容というものはそのすべてということでありますから、それを満足させるだけの、やはり今後においてさらに児玉小佐野ルートの解明に対する努力というものは、捜査当局もしっかりやってもらわなければならぬ。同時にこの児玉・小佐野ルートを解明するいまひとつの手だてというものは、やはり本委員会のこの活動というものがきわめて大きなウエートを今後占めていくであろう、実は私はこういう認識でありまして、そういう意味合いにおいては、いつかは全容報告はしなければならぬけれども、なかなか、まだまだ先のことであろう。少なくともいま言えることは、第一次、第二次中間報告に続いて、第三次の中間報告を仮にやるとすれば、国会がそのことを要請するとするならば、いま法務大臣がおっしゃったような一次、二次の単なる捜査上の断片的な事実関係、経緯を述べるにとどまるようなものではなくて、少なくとも政治報告、行政等のゆがみがどこにあったかどうかというような内容等も含めて、本委員会の真相解明へのそういう目的と軌を一にするかどうか、その方向性、そういう同じような方向性の中身のある政治的な報告を第三次報告でなさる御意思なのかどうか。同時にその場合、相当期間がかかるかどうか。いま国会がそれを要請すれば、第三次報告に至る期間というものはかなりかかるということになるでしょうか。
○瀬戸山国務大臣 期間といいますと、いまいつということは正直なところめどを立てるわけにはまいらないと思います。
 それで、いかがでしょうか、坂井さん、こういうものをちびちび――まだ新しいといいますか、重要な問題もわからないというようなときに、ちびちび中間報告することがいいのかどうかということも私は考えなければならぬと思います。これは委員会の御意向等をよく十分聞いてからでないと判断できませんけれども、大した値打ちというとおかしゅうございますが、中身もないものを形式的なことをやること自体が、かえって国会の審議あるいは政府のあり方、措置について信頼を失うおそれがあっても、もうこの段階でいけないと私は思います。そういうことも含めていろいろ皆さんの御意見等を承ってからのことにしないといかぬのじゃないか、かように考えております。
○坂井委員 まさにその内容いかんだと私も思うのです。したがって、内容等についてあらましどういうお含みといいますか、お考えであろうかということでお尋ねをしたということでございます。
 最後に伺っておきますが、PXL白紙還元、P3C導入、これは冒頭陳述での児玉との関係になるわけですが、防衛庁に対します調査、これはその後どうなりましたか。あるいは今後の見通し及び同じく児玉の状況、これは病状を含めましてお答えいただきたいと思います。
○伊藤(榮)政府委員 まず、児玉、小佐野の病状について御報告申し上げます。
 児玉の脳血栓後遺症でございますが、病状はさして好転しておらないようでございまして、依然として自宅での静養を要するということでございます。公判も昨年七月二十五日の第二回から本年二月二十三日の第十四回公判まで、そのつど診断書を提出いたしまして、裁判所の許可を得て、被告人不出廷のまま裁判を進めております。
 それから小佐野の冠不全、俗に言う狭心症でございましょうが、及び高血圧症の病状は若干好転の兆しを示しつつあるやに伺いますが、なお安静加療を要するということでございまして、月一回の公判、前回は二月十六日でございましたが、それには一応出頭しておりますが、終始医師が付き添って、一回の公判も同人の病状を考慮して二時間程度とし、かつ、その途中で休憩して血圧を測定するなど、きわめて慎重な配慮のもとに公判審理が進められているということでございます。
 なお、ロッキード事件捜査の過程で防衛庁関係者を若干名取り調べたことにつきましては、以前にも御報告申し上げてあると思いますが、その後、さらにつけ加えてそういった関係の取り調べをやったということはございません。
○坂井委員 終わります。
○廣瀬委員長 大内啓伍君。
○大内委員 一月三十日のロッキード事件全日空ルート第三十九回公判におきましての大久保証言というのは、私どもが見る範囲では、相当重要な証言だというふうに思われる節がたくさんあるのであります。現に新聞等から拝見いたしますと、検察当局はこの証言に対して大変満足しているというような報道もなされているのでありますが、先ほど刑事局長もおっしゃっておりましたように、微に入り細に入りのこの論評、評価というものはなかなかやりにくいと思うのであります。したがって、私は、そういう評価という問題じゃなくて、この大久保証言と他の問題との事実関係についての認識――これは評価ということではなくて、事実の認識の問題について確かめておきたいと思うのであります。
 これはある意味では非常に重要なことだと思うのでありますが、先ほど刑事局長からこの大久保証言の内容についてるる御説明がございました。この内容はもうすでに明らかになっているわけなんでありますが、一つ私がお伺いをしたいのは、東京地検がさきに法廷に出しております米側の資料とこの大久保証言とは、ほとんど一致するのではないかというふうに思われますが、その事実関係についてはどういう御認識をお持ちでしょうか。これは刑事局長で結構でございます。
○伊藤(榮)政府委員 大久保証言につきましては、先ほど御説明したとおりでございまして、いまの米側の資料と仰せになりましたものは、主として嘱託尋問調書の関係であると思いますが、嘱託尋問調書は、その証拠能力をめぐって、検察官それから弁護人の間で論戦が闘わされておりまして、まだ公判廷へ提出されておりませんので、その内容に触れることは御勘弁いただきたいと思います。したがいまして、両方を比べるということができかねる状況でございます。
○大内委員 それでは一言だけ、少なくとも検察当局においてはその米側資料も出そうとしているわけです。自信はおありですか。この米側資料と大久保証言を照らして自信はおありですか。
○伊藤(榮)政府委員 自信と申しましても、証拠能力について非常な自信を持って取り調べ請求をしておるように聞いております。
○大内委員 私が聞いておりますのは、大久保証言という新しい事実が生まれて、それとの関係で一層の自信をお持ちかということをお伺いしているのであります。
 それはともかくといたしまして、この大久保証言が行われたときに、コーチャン元米ロッキード社副会長は、「私がこれまで証言してきたことが裏付けされ、確証されたことになる」「この三千万円以外の金の支払いについても私のいったことに間違いはない」こういうふうにある新聞の電話インタビューで答えられておりますが、この大久保証言と、三十ユニット配分に関するコーチャン・メモとは大体一致していると見られますが、法務省当局はどういうふうにごらんになっておりますか。
○伊藤(榮)政府委員 コーチャン氏の書いたメモのコピーを当日大久保に示して証言を求めておりますが、その結果、そのメモのとおり間違いないというふうに大久保が証言したようでございます。
○大内委員 もう一つの問題でございますが、言うまでもなく、大久保氏は偽証罪ということで告発をされているわけでありますが、今度の大久保証言では、あの当時国会におきまして、それら政治関係者に対して資金が流れたということは全く知らないということを証言してきた。しかし、この一月三十日の証言はそれを覆すものであることは明々白々だと思うのであります。そうしますと、みずから偽証罪というものを事実上認めた証言である、こういうふうに考えておられますか。
○伊藤(榮)政府委員 おっしゃいますように偽証で起訴されておりますが、その事実の関係では自白に当たる内容が含まれておると思います。
○大内委員 刑事訴訟法の何条でございましたか、みずからの不利にかかわる自白については証拠性を持つ。したがって、この大久保証言は偽証の裏づけの証拠になり得る、こういうふうに解釈しておられますか。
○伊藤(榮)政府委員 ただいま御指摘の条文は、刑事訴訟法の三百二十二条だと思いますが、大久保を被告人とする偽証被告事件の関係では、一月三十日の大久保証言の結果を記載しました証人尋問調書は、三百二十二条のいわゆる自白調書に当たると思います。したがって、検察官がこれを大久保の事件で用いようとすれば用いることができると思います。
○大内委員 そういう意味では今度の大久保証言というものは非常に重要な意味を持っている。つまり、一つは、みずからの偽証というものを事実上自白することになった。また、明確に言えないとおっしゃっていたけれども、東京地検が出されたいわゆる嘱託尋問関係の米側資料との間に検察当局は相当の自信を深める証言であった。
 さらには、いわゆる三十ユニット配分に関するコーチャン・メモというものと事実上一致するものであるという意味で、この大久保証言というのは非常に重要だということがここではっきりしたわけでありますが、問題は、そこで指摘されました六名の政治家に関する政治献金についてであります。
 法務大臣にこれはお伺いをしたいのでありますが、灰色四人の政治責任問題は、一昨年のあの十一月の二日のロッキード委員会の報告等を通じまして事実上決着済みだというふうにお考えなのかどうか。と申しますのは、先ほど非常に重要な答弁をなされておった。というのは、この灰色四人の政治責任の問題について質疑が行われていた段階で、法務大臣はこの問題は済んだのではないかというふうな御答弁をされております。これに間違いないのかどうか、お伺いをしたいと思います。
○瀬戸山国務大臣 よく言われますが、灰色高官の問題が決着したことかどうかということをこちらで申し上げる立場でないということでございます。ただ、しばしば申し上げておりますように、いわゆるロッキード事件に関して金銭の授受が行われておるらしい、その当時はらしいでございます。それが捜査の結果どういうふうになっておるか。だから、そういうもので政治的あるいは道義的責任を関わるべき立場にある人があるのではないか。これはこちら法務当局や検察で言うべき立場でございませんから、国会といいますかロッキード委員会で、その職責といいますか、政治的責任を追及する立場にあるというロッキード委員会でどういうものをそういう立場にあるとされるのか、それをお決めなさらないと、捜査の資料によって認めておる事実がどれに当たるかわかりませんからということでいろいろあったわけでございまして、御承知のとおりロッキード委員会で、かくかくの事情に当たるものがあればそれを出しなさい、ロッキード委員会ではそれをいわゆる責任を問わるべき立場にある人だ、こういうふうにされたわけでありまして、こちらでそうだとかそうでないとか認定する職責もありませんし、立場でもないということでございます。これはしばしば申し上げておる。ただ、捜査の段階であらゆる資料を総合して、トライスターの問題に関連して金銭が授受されておると認められる方々はいまおっしゃったような方々でございますということは、検察当局の調査を信頼しておる私は、それは間違いないものと認めます。こういうことを申し上げておるわけでございます。
○大内委員 それは、二月十五日の衆議院の法務委員会においても同様のことが答えられているわけなんです。実は当時の新聞によりますと、法務大臣の見解として、ロッキード事件の灰色四高官については政治責任あり、そういう見出しで報道しているように、このやりとりを見ておりますと、法務大臣は、言葉はいろいろ使っておりますが政治責任はある。つまり、法務大臣ないしは法務省当局としては、本来それは国会がやるべきものであるから、自分たちがそんなことを認定すべき立場にはないと言いながら、国会で決めたことなんだからその考えはいまも変わるものではないと言い、さらに検察としては金銭授受を認定する理由を持っている、私は検察を信用している、こういうお言葉なんでありますが、私はこの答弁を聞いていておやと思いましたのは、実はきょうの答弁でも、それは検察段階でそういうふうに認めている、そういうことを私は信頼している、しかしその金銭授受の有無というものは、法務省や法務大臣が決定することではなくて、つまり断定することではなくて、言うまでもなくこれは裁判所、裁判官がやらなければならぬ。法務行政官としてそういう言葉は行き過ぎなんじゃないでしょうか、法務大臣いかがでしょう。
○瀬戸山国務大臣 しばしば申し上げておりますように、いまもお話に出ましたが、検察の捜査の段階でどうなっておるかということを求められて、検察の段階で調査の結果、あらゆる資料を総合してこういうふうな事実を認めておりますということを報告しておるわけでございまして、その報告が間違いでございます。インチキでございます。そういう考えは持っておりませんから、その検察の段階で認めておるという事実については確信を持っております。こういうことでございます。
○大内委員 これは法務大臣のお言葉でございますから、内閣全体もそういう意思を持つ必要があります。それは、内閣でも統一的に理解されているいまの御見解でございますか。
○瀬戸山国務大臣 そういうことを内閣で協議をしたことはありません。しかし、いままでしばしば申し上げておりますように、その要求は、いわゆるロッキード委員会からの国政調査に対する協力の要求は政府に対してなされたものであります。捜査の任にあります法務大臣から政府の意向を受けて報告した、こういう事情にあります。
○大内委員 それでは、いまの法務大臣の見解は総理大臣もそういうふうな御見解ですか。
○瀬戸山国務大臣 総理大臣もそういう御見解かという言葉は微妙でありますが、政府が国会の要請にこたえて、法務省が担当しておりますから法務省を通じて御協力を申し上げた、こういうことでございます。
○大内委員 実は私が問題にしておりますのは、ただいまの法務大臣の見解というものは、福田総理が一月三十一日の参議院予算委員会で行った発言の根拠を覆すものではないかという疑問を抱かざるを得ないのであります。というのは、少なくともこの参議院の予算委員会において福田総理は、四人の人々は金銭の授受の事実を否定しており、それが事実ならかわいそうである一もちろんここに正確な議事録も一応はとってございますが、趣旨を申し上げますとそういうことであります。つまり少なくとも福田総理は、その金銭の授受が行われたかどうかということについて完全な疑問を提起している。しかし、その福田内閣の重要な閣僚である法務大臣は、法務省当局あるいは検察当局の調査によって、その金銭の授受が行われたとはっきり断定している。両者の間に完全に不統一があるじゃございませんか。いかがでしょう。
○瀬戸山国務大臣 政府に国会から要請があり、それを担当しております。捜査の任に当たっておる検察庁の資料によって法務大臣が報告した、これはいまも申し上げましたが、その段階では、先ほどからくどいように申し上げますけれども、あらゆる資料を総合すると金銭の授受があったと捜査の段階では認めておる、これを御報告申し上げておるわけでございます。福田総理大臣の、御本人じゃないから、私の受けておる、答弁から受けておる印象でございますが、四人の方は、全部であるかどうか私わかりませんけれども、金銭の授受を否認されておる、否定されておる、ところがたまたま、一月三十日でございますか、大久保証人が四人の方に渡したというところまでの、事実関係には関係しておらないような証言でございますが、四人の方を含めて、三千万円を分けてお世話になった方々にお金を渡すという計画があった、それを自分がコーチャンと相談をして金を受け取って、そして何とかという人に渡した、その後また別な人から、あの計画は全部完了いたしましたというような報告を受けておるという証言でございます。そこで福田総理大臣は、その速記録もあると思いますが、四人の方は否認されておる、これは裁判にかかっておりませんから、否認はされておるが、否定をされておる事実を証明するすべがいまのところない、一方においては証言がなされておる、大久保証言がなされておる、そういう意味で気の毒だな、こういう趣旨を言われたと私は受け取っておるわけでございます。
○大内委員 くどいようでございますが、この問題はわりあい大事な問題でございますので、きちっとしておきたいと思うのですが、私もあの当時、福田総理が答弁されておった予算委員会の席におりました。したがって、この発言は非常に重要だなと思って、新聞が正確に書くかどうかということも私は相当注意を払っておったのでありますが、やはり速記をそのまま写して実は書かれておりました。
 そこで、いまの法務大臣と福田総理との基本的な違いというのは、金銭授受については、法務大臣は、いまも申されておりましたが、金銭授受があったということを認定する理由を持っている、こういうふうにおっしゃっているのです。福田総理は、金銭授受については立証されていない、こう言っているのであります。これは相当な違いじゃありませんか。内閣総理大臣と法務大臣、しかもそれは個人的な名誉にかかわる非常に重要なポイントについて、全然違うじゃありませんか。私はそれを問題にしているのです。ですから、福田総理大臣と法務大臣の御見解は同じですかというのもそういう意味なんです。そして、本来金銭授受があったかどうかという最終的な決着というのは、言うまでもなく裁判所がやる。いや、検察当局を私は信頼しているので、それが出した資料によればそういうのだというような言い方で、本当に法務行政官、最高責任者として妥当な発言なんでしょうか。しかも、総理大臣との間にはこんなに食い違いがある。これはどういうことなんですか。つまり、総理大臣は立証されていないとはっきり言っている。法務大臣は認定する理由をはっきり持っていると言っている。内閣不統一じゃありませんか。いかがでしょう。
○瀬戸山国務大臣 大内さんはそう受け取られたかもしれませんが、私はそう受け取っておらない。これを読みますけれども……(大内委員「事実の問題を聞いているのです。受け取り方の問題じゃない」と呼ぶ)事実に基づいて申し上げます。福田総理大臣はこういうお答えをしております。「六人の方々、自分たちの無実を主張しておるわけです。それがしかし、立証はされておらない」受け取っておらないということの立証がされておらないということであります。こういうことでありますから……(「同じことじゃないか」と呼ぶ者あり)いや、受け取ったということが立証されておらないということではないので、受け取っておらないということが立証されておらない。しかし……(「金銭の授受はあった」と呼ぶ者あり)そうですよ。(「同じことじゃないか」と呼ぶ者あり)しかし、受け取ったという立証じゃないですよ。受け取っておらないということが立証されておらない。しかし、そういうところに大久保証言はこういうことになっておるから気の毒だということを言ておられるわけでございます。
○大内委員 まあこれは押し問答になりそうですから……(「いや、明らかに食い違っているのだ」と呼ぶ者あり)この辺は私はやっぱり非常に大きな問題だと思っているのです。いまいろいろ法務大臣はおっしゃったけれども、私がさっき言っていたことをなぞっただけなんです。受け取ったかどうか立証されていないということをいまお読みになった福田総理の発言ではちゃんと裏づけている。あなたは金銭授受があった、そういうことを認定する理由を持っている。全く違うじゃありませんか。違うなら違うと素直にお認めになった方がいいのです。しかし、この問題はやはり重要な問題として今後議論されなければならないと思います。これ以上議論してもしようがありませんから一応先に進みます。
 私はちょっと問題を戻りたいと思うのですが、もちろん灰色高官の認定という問題は国会がやるべきことであって、法務大臣や法務省が認定すべきことではない。そんなことは百も承知で先ほどからお伺いをしているわけなんですが、そうしますと、法務大臣の認識としては、あの五十一年の十一月二日に当委員会においてこの灰色、四人のいわゆる高官について灰色認定が行われたというふうに御認識になっているのかどうか。つまり、国会の場としてはそういう措置がもう完了しているという認識を法務大臣としてお持ちかどうか。この辺はやはり重要だと思うのです。国会のやったことに対する法務大臣としての見方であります。
○瀬戸山国務大臣 これも先ほど来たびたび申し上げておりますが、国会では、かくかくに当たる者を出しなさい、こういうことで、当たる者というものは捜査の段階ではこういう方々になっております。それをもとにして国会でそれを認定されたのでありますから、その段階で私は終わっておると思います。
○大内委員 これは重要な発言ですよ。灰色高官四人の問題はもう決着済みである、終わったということになったら、国会で証人喚問を要求するということだっておかしいじゃございませんか。その辺はどうなんですか。終わって決着がついたというのなら、灰色四人の高官を証人として喚問を要求する国会の姿勢というのはおかしいということに論理的になりませんか。法務大臣の見解はどうでしょう。
○瀬戸山国務大臣 大内さんは非常におかしな考え方で問うておられるように私には思えます。灰色高官という言葉は、私先ほど申し上げましたように、これは非常に漠然たる言葉で、私はそういう言葉を使いたくないのです。かくかくのものに当たるものは、ここは政治的あるいは道義的責任を問う場所である、こういうケースに当たる人はそういう意味で責任が関わるべき立場にある、こういうことを国会で決められたのですから、その段階ではそれは終わっておるということを申し上げておるわけでございます。
○大内委員 言葉じりをとるわけじゃありませんけれども、灰色高官と言ってはいけませんか。総理大臣もあなたもおっしゃっているじゃありませんか、いままでに。そして、これが一般的な言い方じゃございませんか。なぜこっちがおかしいのですか。私は一般に言われている言葉を使って質問しているのですよ。そうでしょう。
○瀬戸山国務大臣 先ほどほかの委員の方からの御質問にも私はそう申し上げているのです。灰色高官というものは定義のあるものではありませんから、漠然たる言葉でありますから、私は常に、政治的あるいは道義的責任を関わるべき立場の人、こういう考え方で申し上げておるのでありまして、灰色高官というのはどこの字引にもありません。
○大内委員 そんな議論をしているのじゃありません。政治的道義的な責任を追及する問題として灰色という定義を示せば幾らでも資料も出しましょうと、あなた自身がおっしゃってきたじゃありませんか。灰色高官という言葉はあなた自身が使ってきたじゃございませんか。
 それは結構でございますが、問題は、さっき終わったというお話なんですね。この問題は一応終わった――これは箕輪先生の質問の中にも実はあった問題なんであります。しかし、少なくとも十一月二日にそういう認定がこのロッキード委員会で行われた後のあの四日の一身上の弁明において、皆さんはこれを全面的に否定した。そして今度大久保証言が行われた後においても、実はいろんな発言をこの方々はやっているのであります。そして実際には終わってないということを事実上これらの人々は裏づけるような発言をしているのであります。たとえば二階堂氏は、大久保証言の後にこの証言に対して論評を加えまして、私は金銭を受け取った事実は断じてない、福永氏は、勝手に名前を使われた、加藤六月氏に至っては、いつどこでだれから幾らもらったかを私の方が教えてもらいたいくらいだ、国会で再度証言してもよろしい、こういうことを言いまして、事実上その問題については論争が起こっているのじゃありませんか。しかも、それは国会の場においてもなされているのじゃありませんか。どうして決着がついて終わったと言い得るのでしょう。いまの段階においてはそれぞれがやはり相当な反論を出している。したがって、国会においてもこの問題について決着をつけるために四人の方々の証人喚問を野党側は要求している。私は客観的に見てそういう状況にあると思うのです。したがって、国民の皆さんも、それらの人々を証人喚問するということについては世論調査だって相当の支持が高い。ですから、それを一方的に終わったというような形で断定するというこの法務大臣の姿勢は、私はこれから相当問題にしなければならぬ重要な問題だと思っているのであります。
 そこで、先ほど委員長からこの証人喚問について四人の方々が拒否をされたということについて、簡単な理由が述べられたわけでありますが、これはすでに小林委員からもるる質問がなされているわけですが、私の見る限り、自民党の首脳の方々は、国会で証人喚問することに対して真っ向から反対する談話を出されてきた。そしてこの四人の証人の方々も、先ほどの加藤六月氏の談話ではありませんが、国会で再度証言してもよろしいと言いながらだんだん崩れていったという背景には、明らかに自民党そのものの党の意向というものがこの四人の方々の意思に大きく反映した、これは、私はいまの政党政治の中ではむしろ常識的だと思うのです。それから同時に、四人の足が乱れておりましたけれども、これが軌を一にして同じような理由になっていったということに大変作為的なものを感ぜざるを得ない。私は正直に見てこの四人の方々の、目下公判進行中であるから影響を与えてはならないので差し控えたいとか、一切の捜査資料が出されなければ委員会で反論はできないからだめだとかいったようなこと、これはまさに自民党の国対でつくられた一つの言いわけなのではないか。第一、目下公判進行中で影響を与えてはならないので差し控えると言ったって、本人はこの問題について何の公判も受けてないのじゃありませんか。(箕輪委員「三権分立だからな」と呼ぶ)したがって、先ほど委員長は四人の方々に……(箕輪委員「本人たちの意見だよ、国対の意見じゃない」と呼ぶ)本人の素直な意見だとおっしゃった。それ以上のことを言ったって、いやそのとおりですと委員長は答えざるを得ないと思うのでありますが、私は、私の見解をこの際申し述べておいた方がいいと思うのです。
 委員長は、これが天地神明に誓って、本当に四人の個人的な意思だ、もう一回確認されますか。
○廣瀬委員長 お答えいたします。
 天地神明に誓って、四人の意思として私は承りました。
○大内委員 まだたくさん問題が残っておりますが、私に与えられた時間はすでにほぼ終了いたしております。ただ私は法務大臣に一言、これは今後の問題として御検討をいただきたいと思うのでありますが、またこれは国会全体の問題だと思うのでありますが、たとえばアメリカの場合、今度の朴東宣氏の証言に当たりましてアメリカの司法省当局は、議会において証言することを差し控えてほしい、こういうふうに議会に対して要望しております。しかしそれに対して議会は、まさしくいま箕輪さんが不規則発言で言っておりましたように、三権分立のたてまえから、司法省当局は司法省当局でやれ、われわれはわれわれでやるんだと言って断固として議会証言に持ち込んでいることは御案内のとおりであります。私はその基礎を調べてみますと、アメリカの上下両院で設定されております倫理規定というものが、刑事責任というものと政治的道義的責任というものとをはっきり分けている。一つの基礎を持っているために三権分立の行使、特に立法段階におけるそういう調査の行使というものが非常にスムーズにいっているのではないか。
 したがって、今後この極事件の再発を防止するためにも、これはもちろん法務省当局でもお考えになることであるし、同時に国会の場においても考えなければならぬことでありますが、そうした意味での倫理規定的なもの、そういう問題をやはり検討すべき段階に入ったのではないかと思います。法務大臣の所見をお伺いいたしまして、まだたくさん質問は残っておりますが、私の質問を終了したいと思うのであります。
○瀬戸山国務大臣 いまのお問いの前に、一言申し上げておきます。
 何か、いわゆる道義的責任、政治的責任の問題、決着したんだと法務大臣が言った、こういうようにお受け取りのようでございますが、そういうことを申し上げておるわけではありません。先ほど申し上げましたように、あの段階ではそれは終わっておるということを申し上げておるわけでありまして、それをどういうふうにされるかは当委員会あるいは国会の問題であろうと存じます。
 それからアメリカの議会制度あるいは司法省との関係、そういうものに遺憾ながら私はつまびらかではありませんが、いまおっしゃったように国会の中に倫理委員会とかなんとかいうことを定めてこういう問題の解明に当たる、これを法務省に云々ということよりも、国会の問題として御検討なさることが適当じゃないかと私は思っております。
○大内委員 終わります。
○廣瀬委員長 正森成二君。
○正森委員 ロッキード事件の真相を明らかにして、特に国会では政治的道義的責任の問題、それからどのような政治工作が行われたかということについて明らかにするということは、国民全体が非常に望んでいることであるというように私としては思うわけであります。ところが、そういう国会への国民からの期待に対して非常に好ましくない現象がこのごろ起こっているのではないか。国会に非常に期待していたけれども、思っているほど国会はいろいろやってくれないのではないか、こういう風潮が一部にあることもまた事実であります。
 ところで、私は二月六日から二週間近くアメリカに調査に行ってまいりましたが、帰ってまいりまして留守中の新聞を見て、私の目を疑う記事が載っていたのであります。
 廣瀬委員長に伺いたいと思います。特に耳をよくあけて聞いておいていただきたいのです。それは、二月十三日の朝日新聞に「ひと」という欄がございますが、この中で、「衆院ロッキード特別委員長廣瀬正雄」ということで、「そこに飛び出した灰色高官六人を名指した「大久保証言」。いちばんびっくりしたのは、この人、だったらしい。」という書き方で、あなたの言葉が括弧づきで載っているのですね。読んでみますと、申しわけありませんが、私は委員長の人格について云々するわけではありません。非常にいいお人柄であるとは思っておりますが、この記事によりますと、「いや、面くらいました。大変なものが出てきたもんだ、と。事件について特別勉強していたとはいえないし、正直なところ、ロ特委の店じまいに幕引き役ぐらいのつもりでお引き受けしたばかりだったので……」、こう言っておられるのです。国民の期待にこたえて一生懸命やらなければならない口特委の委員長に就任されたあなたが、自分は「正直なところ、ロ特委の店じまいに幕引き役ぐらいのつもりでお引き受けした」ということになると、われわれがやらなければならないのは、資料を調べていろいろまじめに追及することではなしに、ほうきはどこにあるか、引っ越しのトラックはどこにあるかということの方に目を向けなければならないということになるのですね。
 そこで、私は、非常に失礼でございますけれども、こういう記事が本当なのかどうか、もし本当だとすればどのような真意でおっしゃったのかを委員長にまず伺いたいと思います。
○廣瀬委員長 お答えいたします。
 党から御相談がありまして私がロッキード委員長を受諾いたしましたのは、一月二十一日の委員会で互選をされます一両日前でございまして、そのときは、このロッキード委員会は、委員会ができましたのは昭和五十一年の五月でございましたか、あの当初ほど活発な問題が起こっておりませんで、最近は非常に平穏な委員会のように承っておったものですから、それで大して問題の多い委員会とは私思わなかったわけでございます。
 そこで、私は、ロッキード委員会はもう二年以上でございますか、二年以上とは言えないかもしれませんけれども、二年ばかり続いておる長い委員会でございますから、ぼつぼつ事件の再発防止対策ぐらい考えなければならない段階じゃなかろうか、平素の運営についてはもうほとんど大した問題はなくて、むしろ将来のことを考究すべき委員会の使命がありゃせぬだろうかというような考えで実はおったわけでございます。その気持ちを率直に言ったわけでございます。
○正森委員 委員長のお人柄と御真意に疑いをはさむわけでは毛頭ございませんけれども、この御発言を率直に読みますと、「ロ特委の店じまいに幕引き役」、こうなりますと、真相究明もあるいは政治的道義的責任の究明もやらないで、そろそろもうロッキード委員会は終わりにしようというお気持ちであるということが非常にあらわれているわけですね。これは御真意ではなかったと思います。引き続き公平を期するために後の文章を見ますと、「もちろん、政治的道義的責任の締めくくりはつけなければいけない。再発防止のための国会決議ぐらいはやりたいと考えていました」というように続きますから、何もなさらないというお気持ちでないということは明らかでございますけれども、しかし、国民の期待が非常に大きいこのロ特委において、特に大久保証言もあらわれてくるという状況で、政治的道義的責任ありとされている人についても、その責任をお認めにならないというように、いまなお係争点として残っておるところが非常に大きい。こういう状況の中で、いやしくも国民全体から、委員長個人に対してではなしに、衆議院のロッキード特別委員会に対する国民の信頼、ひいては国会に対する国民の信頼を失いかねないような御発言というのはお慎みになられた方がいいのではないか。大先輩に対して非常に失礼ですが、そういう気持ちがするのでございますが、その点について御了承いただけますでしょうか。
○廣瀬委員長 そういうやさきに、大久保証言などという意外な問題が起こってまいりましてろうばいしております気持ちも新聞記者の方にお話ししたわけでございまして、最後の締めくくりは、側隠の気持ちを持ちながら破邪のやいばもふるわなくちゃならないというように結んでおるつもりですから、それに特に重点を置いてお読み願いたいと思います。
○正森委員 それでは、いまそういう御釈明がございましたので、「破邪の剣を振るう。」というそのお言葉を信頼して今後も進めてまいりたいと思います。
 そこで法務省に伺いたいと思いますが、先ほど理事会の席で伊藤刑事局長が、名前の挙がっておられる、政治的道義的責任ありとされる四人の方について国会が調べることについて、もちろんそれは国会が独自にお決めになることである、とやかく法務省として申すべきことではないけれども、強いて言えば望ましくないと思うという意味の御発言をされました。その中で、私もメモをとっておりましたが、理解が間違っておらないとすれば、二人の代議士先生の被告と四人のいわゆる政治的道義的責任ありとされている人は、一連の丸紅等の行為により金を受け取ったとされており、大久保証言によっても、使途に充てられた金が用意されたということを言っておって、今後現金の受け渡しの立証に入るところである。二人と四人は密接不可分の立証になり、金の授受、背景、状況を四人に国会で聞かれると、それが新聞に報道されて裁判所の耳に入る。そうすると裁判所が予断を抱く可能性があるので一定の影響が出るのではないかという意味のことを言われたと思います。大体そういう趣旨に間違いはありませんか。
○伊藤(榮)政府委員 私の通常のテンポで申し上げましたので、全部をお書き取りにはなっておらぬと思いますが、そういう趣旨のことを申し上げたように思います。
○正森委員 そこで私は伺いたいのですけれども、国会で、名前を申し上げてあれですが、たとえば田中角榮氏、元運輸大臣をされていた方あるいは運輸政務次官をされていた方で被告になっておられる方、そういう人を証人に呼んできて、だれが、いつ、どこで、どういうぐあいに金を渡し、その趣旨はどういうことであったかということを聞く、あるいはお金を渡したとされる人を証人に呼んできてそのことだけを聞くということになれば、現在裁判が係属中ですから、私たちは国会といえども三権分立のたてまえから慎まなければならないのじゃないかという気がしております。けれども、その他の四人の、いわゆる政治的道義的責任ありとされている方について、これらの方が果たしてお金を受け取ったのか受け取っていないのか、どういうように全日空のお世話を願ったのでお金をいただかれたのかというような問題について聞くということは、一定の関係がありましても、裁判所に予断を抱かせるということにはなかなかならないと思うのです。特にアメリカその他と違いまして、素人の陪審の方が事実認定を行い法律判断をされるというのと違って、わが国はキャリアの裁判官、職業裁判官でございますから、そういう報道がされたことによって予断を抱かれ、裁判が左右されるというようなことはほとんど起こり得ないと思うのです。もしそれが起こるということであれば、昭和五十一年十一月二日に法務省の安原刑事局長が、これらの人々は金銭の授受があった、そういうように国会で言われたことはその後広く報道されておるわけですから、それ自体裁判所に対して予断を抱かせることになった、こういう論法もまたできるわけです。ですから私は、法務省側が言っている四人の政治的道義的責任ありとされる人が国会に出てこられて証言をされるということは望ましくないという先ほどの刑事局長の発言、法務省側の考えというのは必ずしも妥当でないのではないか、こう思うのですがいかがですか。
○伊藤(榮)政府委員 ただいま被告人になっている二人あるいは三人の人と、それからそうでない四人の人を分けてお述べになりましたが、先ほど来申し上げておりますように、いわゆる三十ユニットから発します。人の人への金の受け渡し、これは事実関係、証拠関係は密接不可分の関係にございます。
 たとえば、例でございますが、ここに三人の人が金をもらっておって、そのうち一人だけが起訴されておる、あとの二人の人は起訴されてないけれども、同じ機会に同じような意味で金をもらったことである、こういたしました場合に、検察側の立証としては、三人の人に金が行ったことを一律に立証をいたしてまいります。そのうち二人については立証をしない、あるいは二人については授受がない、しかし一人だけはあったのだ、こういうような主張、立証はとうてい通らないわけでございます。
 そういう意味におきまして、ロッキード事件全日空ルートで起訴されております代議士である二人の被告人と、それから、起訴されませんでしたが四人の人との関係は、事実関係、証拠関係が密接不可分でございますから、そういう意味で裁判所に予断を与える余地が非常にあろう、こういうことを申し上げたわけでございます。
 さらに、証人等の形でお調べになります機関が重い機関であればあるほど権威ある御質疑、あるいはそれに基づく御判断が示されるでありましょうから、一層裁判に及ぼす影響というのはその意味では大きいのではないかと思うのでございます。ただ、先ほど私にかわっておっしゃっていただきましたけれども、これは私どもの希望でございまして、すべては国会でお決めになることでございます。それに対して結論的にとやかく申し上げる気持ちは一切ございませんことを申し添えておきます。
○正森委員 いま伊藤刑事局長からの答えがございましたけれども、その答えをもってしても、わが国の裁判所がキャリア裁判官であり、そして被告になっている人とそうなっていない人との間の区別というのは十分につけられるだけの素養を身につけた人たちであるという点を考えますと、私は、裁判に対して不当な影響を及ぼすというようなことはそもそもあり得ないし、もしそれがあり得るとすれば、五十一年の十一月二日に国会で発表したそのこと自体が裁判に予断を抱かせることになった、こういう論法もまた可能であるというように思うわけです。
 そこで、一応そういう答弁がありましたから次に進みたいと思います。
 四人の政治的道義的責任ありとされる方の国会へ出てこられないというお断りの理由を見ますと、そのうちで非常に注目すべき御主張は、一切の資料が提出されるなら出てもいいけれども、それがないので反論のしょうがないのだ、反論の根拠がないのだと言っておられる点であります。私は、この点については一定の合理的な理由を有している部分もある、こう思うのです。たとえば、お名前は申しませんが、十一月一日に金銭の授受をしたというように言われておられるある方は、そのときは自分は選挙区に帰って、午前中はだれに会っておるのだ、午後はどうしておるのだということをアリバイ的な要素としておっしゃっておられるわけですね。そして十一月二日の安原刑事局長のあのときの事実説明を見ますと、すべての方について、どこで渡したかという点について一律に東京都内において、こういうことになっておるわけですね。そして、やむを得ないとして十一月一日ごろと、ごろをつけるにいたしましても、お金を受け取ったのが果たして本人であるのか家族であるのか、あるいは国会で秘書が受け取っておるのかという点については、一切明らかにされていないわけであります。ですからいろいろな問題が起こってくるわけで、私は裁判の進行中に調書その他の資料を、たとえば伊藤宏、副島の調書を国会に出せない、まだ、立証がほぼ終わるまでは出せないと言うなら、それについては無理もないという考えをとってもよろしゅうございますけれども、せめて東京都内というのは、それは自宅なのか、政治的な事務所なのか、国会の会館なのかというその場所を特定すること、それから、本人が受け取ったのではないけれども秘書を介してそれをお渡ししたのだということであれば、自分は受け取ってないけれども、秘書が受け取ったのだ、それなら秘書を調べてみてそんな事実があったとかなかったということで反論できるということも可能でありますから、私はこの説明の中の東京都内においてという部分と、それから相手方は本人に渡したのかあるいは秘書なり家族を介して渡したのかという点については、これは調書を出すのではなしに、法務省側がその点を補足して説明するということは、ここまで明らかにされたわけですから、政治的道義的責任ありとされた方のいろいろな防御のためにも、また社会的にもそれは必要であるというように思うのですが、その点を御相談の上、補足なさるお気持ちはありませんか。
○伊藤(榮)政府委員 まずもってただいまのお尋ねは、その前の御質問から引き続きまして秘密会で申し上げたことが基盤になっておるのではないかと思うのでございますが、それを、秘密会で申し上げましたことを前提として公開の場で申し上げることはいかがかと思っております。
 それから、お尋ねに正面からお答えする分ですけれども、いずれにいたしましてももうすでに御承知のとおり、全日空ルートにつきましては、間もなく金銭授受の場面の立証が始まるわけでございますので、ひとつそれをごらんになっていただきたいと思います。
○正森委員 これが秘密会で出されたことだと言われましたが、これは国会の公刊されておる速記録にも載り、それに基づいて弁明が行われている問題であるということは指摘したいと思います。
 そうすると、いまの刑事局長の後段の答えから類推いたしますと、今度の三月の副島、四月の伊藤宏の証言には、ただ単に起訴されている代議士さんの金銭授受の状況だけでなしに、政治的道義的責任ありとされている四名の方についても、東京都内というような抽象的なことではなしにもつと具体的な場所が、そして受け取ったのが本人なのか秘書なのか家族なのかという点も含めて詳細な答弁、証言が出るであろう、もしそれが出なければ、検察官の反対尋問の中でそれが明らかにされるであろう、そういう趣旨でお答えになったと理解してよろしいか。それならそういうことで私はもう一ヵ月くらい待ってもよろしい。
○伊藤(榮)政府委員 実際に公判に立会します検察官がどのような尋問をし、どのような手続で立証していくかということは私どもが容喙すべきことではありませんから、どういうふうに行われるか、これを私がいま申し上げるわけにはいきません。ただ先ほど来申し上げておりますように、私の見るところ、事実関係が密接不可分、証拠関係が密接不可分のようでありますから、多分そうなるであろうと思っております。
○正森委員 それではそういうような答弁がありましたから、次回の公判を一定の期待を持って見守りたいというように考えます。
 では、もう時間が過ぎてまいりましたので、最後に一問だけ伺いたいと思うのです。
 それは、いま大内委員あるいは他の委員も仰せになりましたが、アメリカでは、政治的道義的責任というのは、倫理規定というのがございますから、それに違反したかあるいは違反しないかということだけで決まるわけですね。私はこの間十日間余り行って参りましたので、上下両院に参りまして、その倫理規範を原文でですけれどももらってきて読ましていただいたわけです。それを見ますと、たとえば百ドル以上のお金を一定の人間から一会計年度の間にもらってはならない、それは国会の法案等の審議に直接的に影響を与えるというようなものであるならばいけない、こういうようになっておりまして、何が直接的に影響を与えるか、ディレクトインタレスト、こういう言葉を使っておりますが、その中で二つのカテゴリーを挙げておるわけです。一つには、ロビイストに関する法律というのがありますが、それでロビイストとして登録されているような団体や個人からお金をもらった場合には、それは直接的に利害関係があるというようにもう自動的に認定をするのだ。もう一つには、政治的目的として分離された資金というもの、そういうものを持っている団体、そういうところから政治献金としてお金をもらっている場合には、それは直接的な利害関係があると認定するのだというように、認定の定義まで書いてあるわけですね。
 そこで、法務大臣ないしは刑事局長に伺いたいと私は思うのですが、本件で政治的道義的責任ありとされている四名、あるいは九十ユニット関係の十三名についてはいずれも、私は速記録を一々読みませんけれども、安原刑事局長あるいは当時の吉田課長は、全日空の権益拡張のために便宜を図るというような広い目的を持ってやはりお金を全日空側は出しておる、これはまさにロビイスト活動であります。それからそのお金の出どころというのは、三十ユニットと九十ユニットにしても、政治目的のための簿外資金であるということは非常にはっきりしておるわけですね。そうすると、二つながら、アメリカの上下両院のこの倫理規範に触れるような行為であったということは非常にはっきりしていると思うのですが、その点についてはどう思われるでしょうか。
○伊藤(榮)政府委員 米議会の倫理規定、私も最近ざっと読んだだけでございますが、必ずしもいま正森委員がおっしゃったとおりでもないように私は読んだのです。どうも私も余り語学力が余りありませんから、と思いますが。しかしながら、いずれにいたしましても、米議会の基準に当てはめてどうだ、こう仰せられましても、ちょっとお答えが困難でございます。
○正森委員 私は、米議会の基準に当てはめてこれらの人が政治的道義的責任があるということなのかと聞いているのじゃなしに、そういう考え方からすれば合致する事実関係があるのではないか、こういうことを聞いているわけです。ですから、その点についてはお答え願えると思いますが、いまそういう答弁でしたので、一応そういう答弁を附いておくということにしたいと思います。
 最後に瀬戸山法務大臣に伺いたいと思いますが、瀬戸山法務大臣としては、いま同僚委員の質問の中で、福田総理大臣との間で見解が違うのではないかというようなことが言われました。もちろん専門的に考えますと、金を受け取っていないと言っている、それは立証されていないという言い方と、それから金は受け取ったということが立証されていないというのとは、厳密に言えばそれは違うわけですね。違うわけですけれども、いやしくも総理大臣が、法務省が国会の政治的道義的責任ありとの定義に基づいて事実関係がこうだと言ったものに対して、かわいそうだというような発言をされるというのは非常に遺憾なことであるというのは国民の多くが考えているところであります。法務大臣といえども内閣総理大臣の指揮下にあるわけですけれども、そういう関係にある中で国会の要請にこたえて、できるだけ真相を明らかにするというために努力は最大限していただきたいと思いますが、それについての御決意に揺らぎはございませんか。お答え願いたいと思います。
○瀬戸山国務大臣 どういう趣旨かちょっとわかりかねておるわけですけれども、しばしば申し上げておりますように、法律の範囲内で、われわれの職責の範囲内で可能なことは最大限に御協力を申し上げる、これは従来から一貫しておる立場でございます。
○廣瀬委員長 次回は来る十五日水曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
    午後四時三十五分散会





(私論.私見)