第084回国会、ロッキード問題に関する調査特別委員会第3号 |
(最新見直し2013.03.04日)
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「第084回国会、ロッキード問題に関する調査特別委員会第3号」。 2005.3.7日 2007.5.23日再編集 れんだいこ拝 |
第084回国会 ロッキード問題に関する調査特別委員会 第3号 昭和五十三年三月一日(水曜日) 午前十一時四十六分開議 出席委員 委員長 廣瀬正雄 理事 塩崎潤、増田甲子七、箕輪登、小林進、横路孝弘、坂井弘一、大内啓伍 佐藤文生、竹内黎一、松永光、保岡興治、稲葉誠一、大出俊、坂本恭一、只松祐治 横山利秋、池田克也、鍛治清、鳥居一雄、中野寛成、正森成二、加地和 出席国務大臣 法務大臣 瀬戸山三男 出席政府委員 法務省刑事局長 伊藤榮樹 委員外の出席者 ロッキード問題に関する調査特別委員会調査室長 長崎寛 ――――――――――――― 委員の異動 二月六日辞任 原田昇左右 補欠選任 竹内黎一 ――――――――――――― 本日の会議に付した案件 ロッキード問題に関する件 ――――◇――――― |
○廣瀬委員長 これより会議を開きます。ロッキード問題に関する件について調査を進めます。この際、委員長から御報告申し上げます。前回の理事会で要請のありました加藤六月君、佐々木秀世君、二階堂進君、福永一臣君の四人について、これは五十音順に申したわけでございますが、証人喚問にみずから進んで応ずるかどうかを私から尋ねましたところ、四人とも応じないという意向でございました。その理由として、私が聴取しました要旨は、左のように理解いたしました。一つには、目下公判が進行中だから、それに影響を与えてはならないので差し控えたい。また一つには、一切の捜査の資料が委員会に示されなければ反論の根拠がないので証言ができない。右のうち、理由は一つであったり、二つ重なったりいたしております。 |
――――――――――――― ○廣瀬委員長 この際、ロッキード事件の公判状況及び去る一月三十日の東京地方裁判所における前丸紅株式会社専務大久保利春君の証言の概要について、法務大臣より報告を求めます。瀬戸山法務大臣。 |
○瀬戸山国務大臣 ロッキード事件の公判については、丸紅ルート関係及び全日空ルート関係では一週間に一回くらい、児玉関係では一ヵ月に一回ないし二回、小佐野関係では一ヵ月に一回程度の割合で、公判は比較的順調に進行しておりますが、開廷回数等公判の具体的状況については政府委員から答えさせることといたします。 また、去る一月三十日の東京地方裁判所における大久保証人の証言の骨子は、証人大久保利春が元丸紅輸送機械部副部長松井直氏から、全日空がトライスターを決定するについて世話になった橋本、佐藤両被告人を含む六名の国会議員にお礼をしたいと言っているので、ロッキード社から三千万円出させてほしい旨の電話連絡を受け、コーチャンと折衝し三千万円を受け取ったが、右六名に対する贈与状況については直接知らない、後で元丸紅秘書課長副島勲氏から希望どおり任務を果たしたと聞かされたというものでありますが、詳しい内容については、これも政府委員から答えさせることにいたします。 |
○廣瀬委員長 伊藤政府委員。 |
○伊藤(榮)政府委員 まず、ロッキード事件の公判状況について御説明申し上げます。 ただいま大臣から申し上げましたように、この事件の公判につきましては、丸紅ルート及び全日空ルートが一週間に一回ぐらい、児玉関係が一ヵ月に一回ないし二回、小佐野関係が一ヵ月に一回程度の割合で開廷され、進行状況はほぼ予定どおりと見ております。 それぞれの公判開廷回数及び審理の状況はこれから申し述べるとおりでございますが、いずれの法廷におきましても、検察官といたしましては、被告人が公訴事実を否認し、また、あるいは一部証人が取り調べ時の供述を翻すなどという状況のもとにあって、鋭意公訴事実の立証に努めておりまして、公判は、概括的に申し上げますと、米側嘱託一証人尋問調書の証拠能力をめぐる問題、金員の授受に直接、間接関与した者の証人尋問など、事件の核心に関する重要な立証段階に入りつつあると申せると思います。 まず第一に、丸紅ルートについて申し述べます。 被告人は、御案内のように田中角榮、榎本敏夫、檜山廣、伊藤宏、大久保利春の五名でありまして、主要な公訴事実は、檜山、伊藤、大久保三被告人がコーチャン氏と共謀して、田中被告に現金五億円を贈賄し、田中被告はこれを収受したという事実、さらに、右に関連いたします各被告人の外為法違反、並びに檜山、伊藤、大久保三被告人の議院証言法違反等の事実でございますが、すでに三十八回の公判が開かれ、五億円の現金を入れたダンボール箱の授受に関し、その日時、場所、状況等について、丸紅社員など関係者の証人調べが一応終わりまして、現在、三億二千万ドルの緊急輸入計画発表に至る背景事情等について、通産省及び運輸省の当時の係官の証人調べを行っております。 第二に、全日空ルートについて申し上げます。 被告人は、橋本登美三郎、佐藤孝行、若狭得治、渡辺尚次、沢雄次、藤原亨一、植木忠夫、青木久頼の八名でございまして、主要な公訴事実は、橋本被告の五百万円の受託収賄、佐藤被告の二百万円の受託収賄、若狭等全日空関係者の外為法違反、及び若狭、渡辺両被告の議院証言法違反等の各事実でありますが、すでに四十一回の公判が開かれまして、これらの各事実の背景立証をほぼ終了し、去る一月三十日と二月十三日の二回にわたりまして、橋本、佐藤両被告人に贈賄した金銭を含めたいわゆる三十ユニット、三千万円の金を調達した大久保利春の証人調べが行われたのでございますが、これから四月までにかけまして、これらの金銭の授受の事実につき、関係者とされております丸紅社員の副島勲氏及び同伊藤宏の証人調べが予定されておるところであります。 第三に、児玉関係でございます。 被告人は、児玉譽士夫、大刀川恒夫の二人でありまして、主要な公訴事実は、児玉被告の所得税法違反及び外為法違反、大刀川被告の強要及び外為法違反の各事実でございますが、すでに十四回の公判が開かれました。もっとも、児玉が出廷しましたのは一回だけでございます。この公判が開かれまして、児玉被告の昭和四十九年分の雑所得であります台糖の株式の受領及び売買関係等についての現在証人調べを行っております。 四番目に小佐野関係でありますが、被告人は小佐野賢治一名でありまして、その公訴事実は、議院証言法違反に係る事実でございます。これまで七回の公判が開かれております。いずれも医師が付き添って出廷しておるようでございますが、この公判におきまして、全日空の新機種決定に至る経緯について全日空関係の証人調べを現在行っておるところでございます。 次に、大久保証人の証言の要旨について御報告申し上げます。 大久保利春は、全日空ルートの本年一月三十日及び二月十三日に開かれました第三十八回及び第三十九回の公判に証人として出廷しまして、検察側の主尋問、弁護側の反対尋問に対しまして、大要次のような証言をいたしております。 以下、証言の内容でございますが、昭和四十七年十月二十九日の夜、丸紅輸送機械部副部長松井直氏から電話があり、「全日空では明日機種の決定を行うが、これまでお世話になった方々にお礼をしたいので、コーチャンから三千万円出してくれるよう交渉してもらいたいと言ってきた。」松井氏のその電話によれば、右三千万円は、橋本登美三郎に七百万円、二階堂進氏に七百万円、佐藤孝行及び佐々木秀世、福永一臣、加藤六月の各氏に各四百万円を渡したいとのことであった。その晩、ホテルオークラでコーチャン氏と面会し、右の話を伝え、その金を出してくれるよう説得したところ、コーチャン氏は話の内容をメモし、結局全日空の要請を受け入れてくれた。その結果、十月三十日午前十時ごろ、クラッター氏が三千万円を持ってきた。三千万円を六名に贈与した状況については知らない。これは当時の秘書課長副島勲が知っていると思う。 その後、同年十一月初めごろ副島から、「御希望のとおり任務を果たしました。」と言われている。また、そのころ機種決定のお礼に参上して若狭に会ったとき、若狭から、「あのことはやってくれたか。」と尋ねられたので、「要請のとおり済ませている。」と答えた。 以上が証言の要旨でございます。 |
○廣瀬委員長 午後一時委員会を再開することとし、暫時休憩いたします。午前十一時五十八分休憩 |
――――◇――――― 午後一時七分開議 |
○廣瀬委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。箕輪登君。 |
○箕輪委員 私は、ロッキード事件に関するいわゆる灰色高官の問題は、一昨年十一月の国会において公表され、一応終了した、あとは刑事責任の追及の場である公判において真相が逐次明らかにされていくものと考え、これを見守るつもりでおったわけであります。 ところが、去る一月三十日の全日空ルートの大久保証言を契機としまして、この問題が再燃してまいった感があります。また、去る二月十四日の予算委員会において、社会党の横路議員の質問に答えて刑事局長は、刑事上の立証がほぼ終了した段階で、国会からの要望があれば、ロッキード事件の関係資料の詳細を国会に報告する旨の答弁が行われたのであります。また、これも新聞等に報道されたところでありますが、この立証がほぼ終了した段階、その段階では関係資料の詳細を国会に報告する、こう言っているわけですね。その経緯について、刑事局長から御説明をいただきたいと思います。 |
○伊藤(榮)政府委員 ただいま御指摘の、先般の予算委員会における横路委員の御質問に対しましての私のお答えでございますが、正確には速記録をごらんいただければはっきりしておると思いますが、私が御答弁を申し上げましたのは、横路委員から、大久保証言に続いて副島証人など、この関連の証言が近いうち行われる、大体三、四月ぐらいでこの関連の立証が大体終わることになるから、その時点では資料を提出すべきではないか、こういうお尋ねがあったのに対しまして、私がお答えしたのでございます。 私がお答えしましたのは、裁判上の立証がほぼ終わった段階において、裁判所へ提出された資料については、御要望があれば詳細御報告申し上げる、こう言ったわけでございます。これを敷衍して申し上げますと、公判期日において証拠調べが適法に行われましたもの、これは公開の法廷で行われるわけでございますから、訴訟関係人はこれを了知し得る状況にございます。訴訟記録そのものは裁判所が保管するところでありますから、法務、検察当局がこれを国政調査権の御要求に応じて提出する立場にございませんが、検察活動に対する国政調査という観点から資料の御要求がございますれば、公判で証拠調べの終わったものについては、検察官が了知しておる限りにおいて詳細に御報告申し上げる、これが従来からの態度であるわけでございます。したがいまして、大久保証言が終われば大久保証言の内容について御要望により御説明申し上げる。あるいは今後、副島、伊藤というような証人が予定されておりますが、それらの証言が終わった段階で御要望があれば、公判で供述した内容を詳細御報告申し上げる。また書類による証拠、こういうものが提出されまして、裁判所で検事朗読といった適法な証拠調べが行われました場合には、その内容も御要望があれば御説明する。こういうことを申し上げたわけでございます。当時の予算委員会の雰囲気を思い起こしてみますと、私ども従来から申し上げていることを申し上げたわけでございまして、横路委員はやや前進したというような評価をしておられたように記憶しますが、私としては、従来どおり、あくまで基本的なたてまえを申し上げたつもりでおるわけでございます。 |
○箕輪委員 新聞などで読んだ限りでは、私も何か前進したのかなという感じを受けたのですが、ただいまの刑事局長の御答弁を聞いておりますと、全く従来と同じである。公判廷に出されたものだけは報告する。報告すると言うけれども、すぐ翌日の新聞には公判廷に出されたことは載ってしまう。それを求められれば報告する、それだけのことなんですね。そうですか。その他の捜査資料なども求められれば公判廷に出されない資料も出すということなのか。ここのところをはっきりひとつお答えいただきたい。 |
○伊藤(榮)政府委員 私が申し上げました趣旨は、公判で明らかになったものはお出しをいたしますということでございます。 なお、公判の状況は翌日の新聞にはすぐ出るということはございますが、先ほどの予算委員会での横路委員の御質疑の関連のものも必ずしも正確に出なかった例もございますので、正確なところを私報告をさせていただこうと思っております。 |
○箕輪委員 もう一つ、答弁漏れがありますが、公判に出されないような資料がほかにあるとすれば、その資料を要求された場合には、この四人に関するものをお出しいただけるかどうかという質問を最後にしたわけです。御答弁がございませんでしたのでお願いいたします。 |
○伊藤(榮)政府委員 いずれにいたしましても、起訴されなかった人の捜査の過程において収集をいたしました資料は、個人の名誉その他にもかかわりますし、それから、今後における検察の捜査に対する一般国民の協力という問題もございまして、遺憾ながらお出しできない、こういうふうに考えております。 |
○箕輪委員 非常によくわかりました。何かぼくもあるいは一切のものが出るのか出ないのかちょっと疑問であったから確認の意味で聞いたわけであります。 そこでもう一つ局長に聞きたいのですが、私どもの認識では、先ほどもちょっと申し上げましたが、一昨年十一月に国会のこの委員会で、たしか十一月二日だと覚えておりますが、この四人の人方はお金を受け取ったと認定されたわけであります。そしてその政治的道義的責任があるものと認定された。そして一日おいてたしか十一月四日だと思いますが、一身上の弁明が行われた。その後、日数が経過いたしまして昨年の十二月十四日でございましたか、東京地検の捜査本部の看板がおろされた。そのとき法務省は何がしかのコメントをいたしておりまして、一切終わった、こう言っておるわけであります。それで私が聞きたいのは、一昨年十一月二日から昨年十二月十四日看板をおろした日まで、この四人の方々の関係で何か新しい事実が出たかどうか、これをお尋ねしたいと思います。 |
○伊藤(榮)政府委員 四人の方々の問題につきましては、一昨年十一月に申し上げたところがすべてでございまして、その後何らつけ加えるものはございません。 |
○箕輪委員 それではひとつ次の質問に移りたいと思います。 同じく二月十四日の衆議院予算委員会におきまして法務大臣は、いわゆる九十ユニットに関連してお金を贈られたと言われている十三名の国会議員について、やはり横路議員の質問に対しまして、国会において政治的道義的責任の範囲、基準を決めれば、氏名などを含む資料を秘密会で明らかにすることもやぶさかでないと述べられた旨の報道がなされておりますけれども、実際そうなのかどうか、いま一度法務大臣の真意をお尋ねしたいと思います。 |
○瀬戸山国務大臣 いまお尋ねのような趣旨のことを予算委員会でお答えしたことは事実でございます。 真意ということでございますがどういう意味かわかりませんが、私は真意で申し上げたわけでございます。従来から、皆さん御承知だと思いますが、ロッキード事件について検察当局としては犯罪ありや否やを捜査をいたして、犯罪ありと検察の段階で認められた者は裁判所に裁判を求めるために起訴して「現在進行中でございます。その他にも、起訴はされておらないけれども、政治的道義的責任を負うべき立場にある人があるのじゃないかということがずっと議論になってきたことはなるほど御承知のとおりであります。そこで政治的道義的責任――世間では灰色高官なんて言われておりますが、灰色高官という言葉は、こう言っては恐縮でありますが、私個人としてはきわめて不明確な言葉でございますからできるだけ使わぬようにしておりますけれども、いずれにしても、道義的あるいは政治的責任を問われる人があるのじゃないかということがずっと議論されました。しかし法務省なり検察当局としてやりますことは、犯罪ありや否やを捜査、検討するだけでございまして、道義的責任ありや、政治的責任ありやというところを追及し捜査するところじゃありませんから、犯罪ありとして起訴されない方々に対して、それを問うという立場じゃございません。ありませんが、国政調査の関係で、あの事件を中心として、起訴はされなかった、けれども道義的政治的責任が関わるべき立場にある人があるんじゃないかということで、それを出しなさいということでずっと続いてきたわけでございます。そのことは、国会においていかなる関係にある人が道義的責任なり政治的責任を関わるべきものであるかということをお決めになって、もしお決めになった要件といいますか、そういうものに当たると検察の段階で認められるものは、重要な国政調査の進行に御協力を申し上げます。こういうことで来たわけでございます。 そして、いわゆる三十ユニットと言われておるその関係の四人の方ですか、国会で決められた条件に当てはまると思われる、捜査の段階でさように思われる方々はこういうことでございますということで、当ロッキード委員会の秘密理事会にその御説明を申し上げた、こういういきさつになっております。 そこで、今度はまた別に、いわゆる九十ユニット、その当時の額で九千万円という金が動いておる、これについても道義的あるいは政治的責任を関わるべきものがあるんじゃないかという議論を最近なされております。しかし、これは繰り返すようでありますが、それはわれわれとして認定すべきものじゃない、検察当局として認定すべきものじゃない。同じく、国会で道義的責任あるいは政治的責任がありと要件を決められて、もしそれに当たると思われる人があれば出すことにやぶさかでない、秘密会で御報告申し上げることにやぶさかでない、こういう答えをしておるわけでございます。 しかし、一昨年の十一月でございますか、日は忘れておりますが、その段階では三十ユニットが道義的責任があり、政治的責任があるとか、九十ユニットが道義的責任、政治的責任があるとか、こういう問題ではなくして、ロッキード事件に関係した人でそういうものに当たるのはかくかくしかじかの者である、こういうことを国会で決められて、その捜査の段階であらわれました全体の中から、先ほど申し上げましたようにこの四人の方がそれに当たると思われますと、こういうことを出したのが今日までの経過でございます。それ以上は、国会でさらに新たな道義的責任あるいは政治的責任を問われる要件があるのかどうかわかりませんが、もしそういうことが決められれば、当たると思われる者がありますれば、これは同じく国政調査に御協力申し上げるという立場で、出すのにやぶさかでない、かように申し上げた、これが真意でございます。 |
○箕輪委員 いわゆる九十ユニット関係の十三名の方々は、従来の法務省の御答弁によりますと、これは単なる政治献金であったり、お中元だとかあるいはお歳暮のようなものであったり、また外国旅行等のせんべつであったりするものであって、いわゆるロッキード社のトライスター売り込みに関して、行政府その他に政治的な介入をした事実は全くなかった、そういう御答弁を従来いただいておるわけであります。 いま、政治的道義的責任云々という問題が問題になっているわけでありますが、売り込みに対して行政府その他に対する政治的な介入というものが一切行われていなかった事実、そこで、何らかの政治的道義的責任の範囲とか条件とかいうものをつくってくれれば、その条件に当てはまると思われるものをお出ししましょう、こういう御答弁のようなんです。 実際、政治的に行政府に対する介入等を全く行われない、政治的責任のないものに、何かつくれ、つくるならば出すと、これはちょっと理解がしづらいように思うのであります。これはどのように解したらよろしゅうございますか。 |
○瀬戸山国務大臣 そこは私の方で判断すべきところじゃございません。いま箕輪さんからお話しのように、いわゆる九十ユニットに関係して金銭の出入りがあったという捜査の段階で、検察官としてはあらゆる捜査資料によって認められるという関係のものは、いまおっしゃったように、あるいは海外旅行のせんべつであったり、また盆暮れのおつき合いといいますかごあいさつであったり、あるいは政治献金であったり、こういう事情にあると認められておるわけでございます。でありますから、先ほども申し上げましたように、三十ユニット、かどうであるとか九十ユニットがどうであるとかいうことでなしに、ロッキード事件に起訴された以外に金銭の授受があった事実の中で、政治的あるいは道義的責任を関わるべき立場にあると思われる人はこういう条件の人だということを決められた、その中でその条件に当たると思われるものはかくかく四人の方でございますということを出しておるわけでございますから、私どもとしては、それでその問題は済んだのじゃないかと思っております。 そこで、いまもう一つ申し上げておきますが、いわゆる九十ユニット関係が、いまも申し上げましたように世間に多く行われておるせんべつであるとか、盆暮れのごあいさつであるとか、政治献金であるとか、こういうことになっておりますが、それを道義的あるいは政治的責任がありと関わるべき性質のものであるかどうか、これは国会の御判断でございます。 |
○箕輪委員 それでは、ひとつ別な質問に移りたいと思いますが、去る一月三十日の全日空ルートの公判において大久保証人が、二名の被告人以外に四名の国会議員に金員を渡すことを計画し、その計画が実行されたとの報告を受けた旨の証言をされたわけでありますが、一方、いまの四名の国会議員の方々は、そのような金を受け取った事実はないと、はっきり明言しているわけであります。 そこで、先ほどこの委員会が開かれる冒頭で、この四名の人方の証人喚問について、みずから進んで証人としてこの委員会に来てくれるかどうか、委員長が個々に当たって聞いた四人の方々の御意見、それは、この証人喚問に応ずることはできないという結論でありますが、その理由の一つに、金を受け取ったとするならば、受け取ったと言っている捜査関係の資料全部を一切出してくれ。さもなければ、反論することができない。一切の資料を全部出してくれ。それによって、考えようによっては反論のためにこの委員会に出てくるということを意味しているような御報告であったに私は考えるのであります。 そこで、法務大臣にお尋ねしたいことは、この四名の人方は受け取っていないと言っている。しかし、この委員会でも金を受け取ったと当時の委員長が認定をされたわけです。したがって、政治的道義的責任はあるのだと認定したわけであります。委員会からあるいは当時の委員長から、一回の事情聴取もない、一回の電話での質問も何もなかった、一方的にされた、まことに残念である、こういう答えを私どもは個々に会ってみますと聞かされるのであります。 そこで、われわれの人権はどうなるのか、自分たちの人権を守るために一切の資料を出してくれ、こういうことを個々のそれぞれの先生方がおっしゃるわけであります。お聞きしたいことは、一切の捜査資料をこの委員会に御提出願えるかどうか、御答弁いただきたいと思います。 |
○瀬戸山国務大臣 結論を申し上げると、一切の資料を残念ながらこの委員会に出す段階ではない、こういうことでございます。 それは、先ほど来御報告もいたしておりますように、現在この事件に関係して起訴されておる事案の裁判が進行中でございます。先ほども、立証段階の微妙な段階になっておるということを、やや詳細に刑事局長から御報告をいたしておるわけでございますが、そういう際に、ここに裁判所に関係しておる資料を出すわけにいきませんが、検察が知り得ておる状況を申し上げるということは裁判に支障を来すおそれがある、あるいは裁判がまだ進行中に、事前に他のところでいろいろな証拠の問題等で議論をすることは、裁判官にあるいは予断を抱かせたりするおそれもある、こういうことを慎重に考えるのは当然でございます。 それと同時にもう一つは、これは一般原則でございますが、箕輪さんも御承知のとおり、警察、検察と法律に従って調査をいたします場合は、これは犯罪の捜査、犯罪があればそれを立証して処断をする、こういうための調査でございますから、これは原則として他の場合に利用することはできない仕組みになっておるわけでございます。そうしないと、裁判のためあるいは犯罪捜査のために調べた資料をどんどん外に明らかにするというようなことになりますと、それこそまた人権に関係する、人に迷惑をかける、こういう状況もありますから、将来の犯罪捜査に大きな支障を来すおそれがある、こういう観点から刑事訴訟法は、やはり外には出すべきものではない、こういうふうにいたしておるものと考えております。 |
○箕輪委員 時間がないそうでありますから、最後に一問だけお尋ねいたしますが、一切の捜査資料、それは出せない、公判廷に出されたものだけは御報告いたします。こういう御答弁であります。それならば、一体この人方の人権というものを守る意味でどうしようもないのじゃないか。(「出てくればいいんだよ」と呼ぶ者あり) そこで、いま不規則発言がありましたように、本人たちが出てくればいいじゃないかという議論が出てくるわけであります。そこでこの四人の人方が証人としてこの委員会に出てきて、かくかくしかじかだ、事実関係の存否、そういうことがあったかないかということを明らかにすべきであるという意見が出てくるわけであります。 そこで、先ほど刑事局長から承ったところでありますが、これで最後でございますので、一つだけ法務大臣からお答えいただきたい。 この四人の人方を証人として喚問され、ここでいろいろなことを聞いたり、弁明をしたりする、そのことが裁判の公正やあるいは検察の公訴の維持や、そういうものに及ぼす影響があるということを刑事局長はおっしゃっておられたわけでありますけれども、法務大臣として、四人の証人喚問をどのようにお考えになるか、お尋ねしたいと思います。裁判との関連であります。 |
○瀬戸山国務大臣 四人の人にかかわらず、国会で国政調査のために証人として呼ばれるかどうかということについて、その可否を法務大臣として申し上げる立場にはございません。適当でないと思います。けれども、裁判とのかかわり合い云々とおっしゃいますと、これはやはり他の証拠と同じことでありまして、特に四人の方については、いわゆる三十ユニットと一連の関係にあります。その問題が、先ほども申し上げましたように、いま裁判が進行中で立証段階になっています。証言その他の証拠をいかに評価するかということは、これは裁判官の職責でありますから、とやかくこちらで言う段階でございませんか、その判断をしつつ証拠調べをしておるときに、一連の関係で他の場所でとかくの議論があるということは、あるいは三十ユニットの関係ありとされておる人々の意見、発言等が裁判進行中に他の場所でやられるということは、先ほど申し上げましたような意味で、やはり裁判に影響なしとは言えない。そういう意味で、やっちゃいけませんなんという、そういう大それたことは申し上げませんが、わが国の裁判が正常に、間違いなく、真実を発見するために御協力いただくという意味で、できればそういうことは好ましくないというのが私どもの立場でございます。 |
○箕輪委員 わかりました。以上で、質問を終わります。 |
○廣瀬委員長 次に小林進君。 |
○小林(進)委員 私は、まず委員長にお伺いをいたしたいと思うのであります。それは、われわれ理事会の前回の話し合いに基づいて、いわゆる灰色と言われる四人の方々に、このロッキード特別委員会の証人台に立つ意思があるかどうかということを確かめていただくという、その申し合わせに従って四人の方の意思を確かめられた、その御報告がございました。先ほどございました。で、四人の方々ともこのロッキードの委員会の証人台に立つことを拒否をせられた。その理由は二つある。一つは、目下公判進行中であるから、これに影響を与えるおそれがあるので出ない。第二番目は、一切の捜査資料が示されない限り、どうも証人台に立った四人の方々も反論ができない。そういうような形の中で出席することは好ましくないから出席をしない。こういう理由であった。ところが、全部が全部この二つの理由のために出ないわけではないのであって、四人の中には、いま申し上げた二つの理由の一つによって出ない人もあるし、二つの理由そのもののために出ない人もあって、それぞればらばらである、こういうお話がございました。一体四人の方のだれがその一つの理由のために出ないとおっしゃるのか、どの人が二つの理由のために出ないとおっしゃるのか、まずそれを委員長にお伺いをいたしたいと思うのであります。 |
○廣瀬委員長 それでは、私からその点お答え申し上げます。その問題につきましては、先刻理事会で私が御説明いたしましたように、これは証言というきわめて重大な問題に関連いたしましたデリケートな事柄でございますから、それで四人を一括いたしまして、応じない理由を御説明申し上げたわけでございまして、理事会でもいろいろ御不満はございましたけれども、理事会では、聞き流すとおっしゃった方もありますし、またお気持ちの上では了承された方もあるかもしれませんけれども、とにかく理事会では、そういうことで四人の個々別別の理由は申し上げなかったわけでございます。小林先生がどうしても御調査の関係で必要だということであれば、後日もう一回理事会を開いて、そういう言葉をお認めになるかならないかということを論議されて、その上でひとつ御決定いただきたい、このように考えております。 |
○小林(進)委員 委員長が、もしどうしても必要であるとするならば後日理事会を開いて、そこでまたこの問題を取り上げたいというお答えでございますから、それはそれで、私は委員長の誠実さといいますか、それをお認めするにやぶさかではございません。ただ、私も、この四人の方々をむしろ悪く解して、この人たちの立場を悪くしようなどという意地悪い立場で言っているのではない。できればこういうオープンの場所で、四人の方々が願わくはシロである灰色からシロだ、りっぱな人たちだということを証明したい。また、委員長を通じて証明する御協力もいただきたい。まことに善意あふれる気持ちで言っているのでありますから、その点は、委員長、誤解のないように素直にお聞き願いたいと思う。 私も素直な気持ちで質問をいたします。この二つの理由の中で、第一番目の、目下公判進行中だからこれに影響を与えるおそれがあるので出ない、これは裁判官や検察庁がおっしゃるならば、私はそのお立場はわかるのでありますけれども、目下灰色であると言われて、どこかで自分の身分を明らかにしなければならぬ人が、何か客観的な、自分が裁判官にでもなったような気持ちで、どうも裁判に影響するから出られないなどと言うのは、いかにも理由としてはいただきかねるのだね。こういう理由を委員長はどういう気持ちでお聞きになってわれわれ理事会に御報告になったのかわかりませんけれども、われわれの言葉で言えば、いかにもピンぼけておる、これくらいぼけた理由の羅列の仕方はないのじゃないか、こういうことでございます。 そこで、委員長、どうして灰色と言われている方々が公判進行中だからなどという理由をおつけになっておいでにならなかったのか、こういう矛盾している言葉を委員長は理解をされてお帰りになったのかどうか、これを私は委員長にお伺いをしておきたいと思うのであります。これは、委員長の権威にも関する問題でございますので、あえて伺っておきます。 |
○廣瀬委員長 お答えいたします。いまの問題につきましては、私は素直に承っただけでございまして、やっぱり国会議員でございますから、国会のことばかりではなくて裁判のこともお考えになってのことかと私は理解いたしまして、承ったままを申し上げたわけでございます。 |
○小林(進)委員 私は委員長の御人格を尊敬しておりますから、委員長のお言葉に若干の矛盾があろうとも、なるべくそれを素直に聞いていこう、こういう気持ちで御質問申し上げているのでありまするけれども、こうやって新聞には全部出ているのです。四人の意思確認だ、口事件灰色高官の喚問問題、自民表明、こういうわけで、中を読んでまいりますと、それはいま委員長が答弁されたようなことよりももっと詳しく四人の方の意思も全部出ているのです。この新聞は朝日でありまするけれども、毎日新聞にも読売新聞にも皆同じような記事が出ている。両方合わせて一応国民にそれぞれ四人の意思が全部伝わるように出ているのです。それにもかかわらず、われわれが、先ほどの委員長の御報告のように、世間の人が常識として四人の意思を確かめて知っていることさえもこの委員会で確認もできない、その問題の表明も聞かれないといったら、それこそ世間の物笑いにならざるを得ない。私どもは、この委員会を持ち、国会議員の職責にあるならば、世間の人がもう熟知していることよりもいま一歩深く、いま一歩広く知って理解しておかなければならぬのがわれわれの立場でございます。それをやり得ないなどということは、委員長、どうしてもこれは了承できませんので、私はそれを申し上げるのであります。 それで、委員長がちょっとせつなそうな顔をされておりますから、私もこれをつけ加えて申し上げます。 証人喚問に応ずるかどうかの意思について、四氏のうち二階堂進代議士だけはすでに拒否の態度を決めた、福永一臣、加藤六月両代議士と佐々木秀世前代議士の王氏は党と相談の上決めたいとしているが、福永、佐々木両氏は個人的には応じてもよいと言っている、四氏とも灰色高官の汚名をそそぐ場が必要であるとの意思が強く――次が問題なんです。二階堂氏は全証拠の提出、全関係者の証人喚問なら応じてもよろしい。二階堂氏の意思がここで表明されております。いわゆる全容解明を二階堂氏は主張していられる、こういうことであります。佐々木氏も、証人の人権無視と言われる喚問のやり方が改善されるなら調査に応じてもよい、こういうことを言っておられる。 なお加えて四氏の談話が発表されておる。四氏の談話は次のとおり。 二階堂進氏 一方的な証人喚問には応じない。検察は「先生頼むから話を聞かせてくれ」というので、私はロッキードの売り込みと全く関係ないなど私の意見を述べておいた。そうした調書も含めてすべての証拠書類を提出し、関係者すべての証人喚問しようというなら応じてもよいが、一方的な証拠で一方的に「灰色高官」と断じられての証人喚問は納得できない。自民党理事を通じて広瀬委員長にそう伝えるよう答えてある。こういうことであります。 それから福永一臣氏です。「党の立場もあるので、一人歩きできない。」「私個人としては、どちらでもよい。」、証人に応じてもよい。「すでに一昨年十一月のロ特委で「私は金をもらった」と公表ずみだ。もちろん、政治献金として帳面にもついている。売り込みには関係ないし、汚れた金だなど思ってもみなかった。改めて証人喚問されても、この前いったこと以外になにもない。党執行部とロ特委の自民党理事は苦悩しているのだろうから、その意思を無視するわけにもいかない。」こういうことを言っていられるのであります。 加藤六月氏、「委員長からどういうことなのか聞いてみないと、何とも答えられない。気持ちは(灰色高官といわれて)煮えくり返っているが、私の一存で決められる問題でもない。党の方と相談する。」 佐々木秀世氏であります。「私も党に所属しているのだから党と相談する必要がある。ほんとうの気持ちは、委員会が真相解明するのは結構だし、調査しようというならあらゆる機会に応じたい。」いいじゃないですか。いま一回読み直しますよ。「委員会が真相解明するのは結構だし、調査しようというならあらゆる機会に応じたい。ただ、いままでのやり方は、テレビがはいった与野党対決で、好ましくない。政争の具、サラシ者にされるのは困る。」こういう談話を四人の方々がそれぞれ発表されておるのであります。こういう談話を見ながら私どもは委員長に、それぞれのお気持ちがわれわれにはわかっておりますから、こういう資料を通じてわかっておりますから、こういう意思を尊重しながら委員長から確かめていただいて、そうしていま読み上げたことをもっと強く、この人たちが公の場所で証言をしていただくことをわれわれはお手伝いするのは同僚、先輩国会議員に対する人の道ではないか、こう考えたものでありますから、委員長にその意思を確かめていただきたい、こう申し上げたわけであります。新聞にもこれだけ出ているのでありますから、委員長のところへはもっと強くそれぞれの個人個人のいいお考えが、お答えが反映していると推定をしてまず間違いないと私は思うのであります。それをお認めになりますなら、委員長、いま委員長に寄せられた一人一人のその回答をひとつここで御披露をいただきたいと思うのであります。 |
○廣瀬委員長 ただいま新聞記事を御引用の上重ねての御質問がございましたが、私もそういう記事は読んでおりますけれども、記事の内容については全く、本当に文字どおり全く関知しないところでありまして、四人銘々最終のみずからの結論を出すには、かなり精神的に流動した方があったんじゃないかとも思われますけれども、私は最後の結論をまとめただけのことでありまして、しかも要点だけを承って先刻御報告をいたしたわけでございますから、途中の経過については存じませんし、それからまた、その新聞の記事も恐らく銘銘から、あるいは党からお聞きとりになったんじゃないかと思うのでありまして、私の口からはそうしたことは一言半句、四人が反対だということはある機会に言ったかもしれませんけれども、理事会にその理由を報告する前に新聞の関係者に、こういう理由で断ってきましたなんということは言った事実は全くないのでありまして、その点はひとつ御信頼願いたいと思っております。 |
○小林(進)委員 私は、委員長の御発言を疑うなどという、そういう悪意の推定はいたしませんが、往々にして、ほかの委員会に参りますと、委員長は委員全部にまつわる公平妥当な職責にあるということを忘れて、一つの党から選ばれた委員長の気持ちを強く出して、どうも不公平な裁きをする者なきにしもあらずであります。大変残念にたえない場合が往々にあるのであります。この委員会における廣瀬委員長にはさようなことはないと私は思います。ないと思って信じますが、しかしこれはくどいようでありますけれども申し上げますが、あなたは自民党に党籍はおありになるかもしれませんけれども、決して自民党の委員長ではないのであります。衆議院のロ特委員会の委員長でありまして、公平妥当に物を処理していただかなければならぬし、神聖な地位に置かれているのでありますから、その点はどうぞひとつお忘れなく。いまも言われまして、ほかの四人の灰色の高官からいま御報告のあった以上に何も別な話がなかったということは残念ながら私はそのお答えはちょうだいできません。 なお、私は、われわれの同僚議員の名誉に関する問題でありますから四人の方々の名前はこれ以上申し上げませんけれども、私直接にこの問題についてお話を承っております。その四人の方々も声涙下る、と言ったらまことに言葉がオーバーかもしれませんけれども、真実を吐露しながら、私実はロッキードの特別委員会に出たいんだと言う方もいらっしゃるんです。金ももらったという方もいらっしゃる。いま初めてもらったんじゃないんだ、私は前から政治献金として継続してもらったんだ、今回は、この金の動いたのは四十七年の選挙、選挙はたしか十一月の何日でありますから、選挙が行われる一月以内、十日か十五日の直前なんだ、だから当然私はその金を受けたが、これは選挙も間近いし、政治献金として来たんだろう、初めて来た金じゃないのでありますから、前にももらった関係なんだ、それでそういう関係の会社にも友人もおれば旧友もおる、知己もおる、そういう関係で私は素直に金は受けて、受取も出した、その金が、いつも出てくるその企業から流れた金じゃなくて、後になったら、ロッキードなどという特別の方の窓口からその金が流れてきた、いつも来る企業から来る金が白い色で、ロッキードの方から来る金に黄色い色でもつけてきてくれれば私は拒否したんだろうけれども、札に色の区別がないから、従来どおり、従来の企業から来たんだろうと思って私は受けた、私は本当にその話を公明天地に恥じず、公の前でしゃべりたい、こういうことを私に言われた方がある。これは真実だと思います。私は裁判官でも検事でもありません。政治家でありますから、政治家は政治家の感覚はわかります。私は、あなたの言われることはうそじゃないと思いますから、あなたがその話をしてくださる場合には同僚の一員として、あなたの言葉を裏づけするくらいの、私はその方へ回ってもよろしいという話をした経験もあります。だれだれと申し上げませんけれども。そのときにはほかの関係者もみんな来られまして、あるいは新聞社の方も来られましたよ。みんなああやって、検察庁も法務大臣も言っているんだ、もらっていることは確かだと言っているんだから、もらったことはもらったと言ったけれども、しかしそれはロッキードの色のつかない金で政治献金だくらいさばさば言われた方が問題の処理にはいいんでしょうがねということをみんなに言われた。そのこともほかの方々に慫慂したこともある、あなた方もこの人のようにさばさばと、もらったものはもらったと言われたらどうですか、問題の処理の仕方でいいじゃないですかと言ったというのです。初めからもらわないと言っちゃったんだから、いまさら途中で方向転換はできない、と。そう言われたかどうかは知りませんけれども、私はそういう心情も承っておるのであります。もし私の言うことがうそであるならば、私も政治家ですから、この道で飯を食って二十数年、みずからの人格を下げるようなことは言いませんから、私の顔を見てください委員長、うそ言っているか本当を言っているか。そういうことでございますから、いま少しやっぱり真実をお互いに追求するという姿勢が必要じゃないか。そこで、この新聞なんです。新聞の記事、私は記事は間違っていないと思う。結局、出たいという人もいるのだが、党側の国会対策上の配慮や、いわゆる四氏が共同歩調をとることが必要だ、こういうことのために、個人個人の意思をある程度制限をしながら一括拒否という形に出たのではないか、こういうことが言われているのであります。党の方からそういう指示、そういう強圧、そういう統制があったのかどうか、この際委員長にも承っておきたいのであります。 |
○廣瀬委員長 その点は私は全く聞いておりません。 |
○小林(進)委員 それでは委員長、私はこのことだけで問題を引き延ばしているわけにいきませんから、一つ提案をいたしたいと思う。 あなたは先ほど、もっと詳しくその事情を知りたいならば、また理事会を開いて相談してもよろしいというお話、かさっきありましたね。それに加えまして、私は今度は、この四人の方々に、証人としてここへ来てもらうのじゃない、証人の前の、この新聞で報道せられているように、二階堂さんなら二階堂さんに、その全容をひとつ明らかに解明する、あるいはみんな関係者も証人に出るというならおれも出てもよろしいという、この言い分だけでもここで言っていただく。言っていただくために参考人として、証人じゃない、参考人として出ていただいて、二階堂さんの言い分だけ言ってもらう機会、福永さんなら福永さん、どちらでも出てもいいんだと言われている、そういう言い分をここでちゃんと言っていただく、いわば釈明の場所であります。証人としてではない。証人に出る前の釈明の場所として、四人の方々に、四人の方々が腹の底から言いたいことを言っていただく場所をここでおつくりになったらどうか。私はそれを提案したいのでありますが、いかがでございましょう。委員長のお考えをお伺いしておきたいのであります。 |
○廣瀬委員長 ただいまの御提案につきましては、理事会で御協議するということにいたします。 |
○小林(進)委員 それではひとつ委員長の公明な裁きをお願いいたしまして、この問題は理事会に持ち込むということにいたしまして、次の質問に移りたいと思います。法務大臣にお伺いいたしますけれども、法務大臣は昭和五十二年四月七日、友人、民社党の大内さんの質問に答えて、ロッキード問題について最終報告をする、こういうことを前に答えられているのであります。原委員長の時代であります。福田法務大臣がお答えになっておる。一体その最終報告、先ほど公判の状況だけは御報告を受けましたが、ロッキード問題全般についての最終報告をされるというこの約束を一体いつ実行していただくのかどうか、また、捜査終了の際最終報告をする約束になっていたのでありますが、その最終報告は単に捜査上の犯罪報告だけではなくて、多国籍企業の問題を含め、再犯防止のための福田内閣の政治姿勢そのものを明確にしていただく。その中にはもちろん灰色から十三名の九十ユニットも含めて、政治的道義的、それらを全部含めた格調の高い報告をやっていただいて、国民の前にロッキード事件の全貌を明らかにする、そういう報告を得たいと思っておるわけであります。これは法務大臣というよりは福田内閣の国務大臣としての法相の御見解です。約束も含めまして、御見解を承っておきたいと思うのであります。 |
○瀬戸山国務大臣 ロッキード事件については、前々から、三木内閣当時から、全貌を報告しなさいという国会の御要請もあるし、そういうことをしたいということをずっと申し上げてきておるわけであります。内閣がかわりましてもその考え方は変わっておらないと申し上げたいと思います。 ただ、この事件の概要については、過去二回にわたっていわゆる中間報告という形で申し上げております。事件の経過、その当時の概要を申し上げておるわけでございます。第二回目の中間報告以来、前にも申し上げたと思いますが、新たな事実は検察の段階では発見されておらない、こういう状況でありますから、その上に国会であるいはロ特委員会で報告をしなさいということであれば、どういう報告になるか、また、いまおっしゃるようなことをどの時期にできるかと、これは慎重に検討をしなければならない問題だと思います。ただこういうことでございましたというだけでは、私は、これはいまの考えでございますが、この事件の経過なり今日まで国会で取り上げられた姿を見ますと、こういう次第でこういうことになった、でありますからこういうことは将来こういう点を法制上なり行政上なり改めることをしなければならぬとか、そういう意味を含めてやらなければ、大した意味がないのじゃないかという気がいたしますので、そういうことを含めるということになると、内閣全体で相談をして、時期も慎重に考えて、これは裁判との関係でございます。しなければならないと考えておりますが、いつということは、今日の段階ではまだ裁判の推移を見なければわかりませんから申し上げられませんが、国会がお求めになればそれをやらなければならない、こう考えておりますし、過去にもそういうことを申し上げてきたわけでございます。 |
○小林(進)委員 大体大臣の御答弁は前向きで私も結構だと思っております。単なる捜査上の経過だとかそういうことではなくて、内閣全体の責任において政治的道義的にロッキード問題の全貌を明らかにしたい、具体的に言えば、この問題が起こるまでに至った、あるいは右翼の巨頭の児玉氏あたりがこの問題の政治の舞台に入ってきてそしてロッキード問題に関係する、そういう経緯、あるいは戦後の新しい政商といわれる小佐野賢治氏がどういう形でロッキード会社や政治と結びついてこういうものに介入されてきたか、そういうことを国民は一番知りたがっているのであります。そういうことも含めて、内閣全般の責任でこれを明らかにしていただきたいというのでありまして、いままでの公判の状態では、丸紅事件、全日空事件、あるいは児玉事件、あるいは小佐野事件、一ヵ月に一回というような形で、ばらばらで捜査が進められておりますから、なかなか国民にはその全貌を、すべてをとらえることができない。これをやはり全貌を明らかにしていただくことによって、おのおの深く考えるところも出てき、反省するところも出てき、将来の禍根を絶つという道も出てきます。また、国民の側からもみずから反省すべき問題も出てくると思います。でありますから、そういう形において、内閣の責任において全貌を発表することを御考慮いただきたいと思います。その時期については、いま法務大臣が言われたように、今日どの段階ということは言えないというお気持ちもわかりますから、すべからくその日の早からんことをお願いをいたしまして、次の問題に移りたいと思います。 ロッキードの裁判の進行状態でございますが、これは先ほどの公判の問題でやや明らかにされました。しかも法務大臣は、順調に推移している、こういうふうに言われたのでありますが、われわれが新聞やその他の報道を見ておりますと、証人等の供述書の内容が否認されたり変更されたり、どうも安定性がない。たとえば丸紅の坂だとかあるいは金を運んだ運転手松岡とか、あるいは松田功、全日空大庭前社長の子分だと思っていたのが敵になっていたり、そういうことでどうも検察側が公判廷で提出される証人の内容もくるくる変わっているようでございますが、裁判の内容についてはいま進行中でありまするから、私どもはこれに言及することは避けたいと思いまするけれども、過去の疑獄事件の裁判等にもかんがみますると、これは相当の期間を要する。期間を要すると同時に、国民の関心が薄らいでいくために何かあやふやな形で終わってしまう、国民の側から見るとこういう懸念なきにしもあらずであります。田中前総理の側近からは、もう無罪なんだ、明らかなんだ、検察陣は完全に敗北した、いつの日か青天白日の身になって堂々天下を闊歩し、また総理総裁のいすにつく日もあらんや、こういう無責任放言も聞こえてくるという。それは私は何も問題にしようというのではありませんけれども、そういう気持ちが国民の中に、もはやぶつぶつ出てきているのでありますから、この際、裁判の内容に支障ない程度に、私が御質問申し上げましたこれらの問題についてひとつ御回答をいただきたい。確信があるなら確信がある、裁判の進行について自信があるなら自信がある、ひとつこういう御見解を承っておきたいと思うのであります。 |
○伊藤(榮)政府委員 けさほども御説明しましたように、いろいろな証人の供述の変遷等がありますけれども、検察としては所期の目標に向かって着実に立証活動に努めております。ところで、ロッキード事件につきましてこれ以上具体的な証言の評価等をいたすことは適当ではございませんから差し控えますが、私の経験に徴しまして、私は長らく検事として汚職事件と会社犯罪ばかりやってまいりましたので、多少この種の事件は知っておりますが、それらの事件におきましては、証人が当該会社の人情のしがらみと申しますかそういうものに絡まれたり、その他諸般の事情から、公判においていわゆる敵性証人と化する場合がわりあい多うございます。多うございますが、それだからといって公訴の維持ができなかったという事例も私自身ないわけでございまして、私は、そういう私自身の経験に徴しまして、すべての意味で順調にいっておるというふうに思っております。 |
○小林(進)委員 法務大臣、いまの局長の答弁でよろしゅうございますか。この問題に対して別に御意見がないとおっしゃれば、いまの刑事局長の答弁で次の問題に移りたいと思います。 私ども、最近非常に不愉快といってはなんでございまするけれども、そう感じている問題は、これはほかの委員会でも論ぜられたことですから言わずもがなとおっしゃれば言わずもがなでもございましょうが、福田首相が大久保証言を聞いて、どうも四人の灰色高官は気の毒だ、こう言われたんです。四人の高官は灰色だ、金はもらっているんだと法務大臣は明確に言われた。それが灰色であり、もらったというのは、法務省を通じての検察庁の調査の結果だ。一体、検察庁というのは法務大臣を通じて総理大臣の系統にないのかどうか。これは行政官です。同じ行政官の頂点にある、俗な言葉で言えばこれは皆総理大臣の直系ですよ、法務大臣、検察庁、これは行政官ですから。それがやって、確信あっていま進行している事件に対して、片一方の灰色は総理大臣と同じ政党、政党という一つのパーティーのこれは仲間だ。そっちの仲間の方だけはかわいそうだと言って、自分の指揮下にある行政官のやることがいかにも信頼に足らぬように国民に思わせる発言を総理がしておられること、これが政治の姿勢としていいことかどうか、私はこの点非常に疑いを持たざるを得ないのであります。もし総理が公平に行政の長として君臨をされているならば、私の部下、私の指揮下にある行政官、検察庁のやっていることに対しては、そう間違いはないと言うくらいのことはあってしかるべきだと思うのであります。これに対して法務大臣は、いや私の信頼する部下諸君のやった調査に間違いはない、調査の結果はちゃんと金銭の授受はあったと言われた。そうすると、われわれ第三者から見ると、総理大臣の言われたことと法務大臣の言われておることが相矛盾しておる、こういう矛盾を感ぜざるを得ないわけであります。この問題について、ひとつ法務大臣から明快な答弁を承っておきたい。 |
○瀬戸山国務大臣 福田内閣総理大臣が四人――四人と言われたかどうか知りませんが、気の毒だと言われた、その心境はどうだ、こう言われても、私はその場におったわけではありませんからよくわかりませんが、この間も予算委員会でその問題が、どなたであったか、取り上げられました。私も同席をいたしておりました。福田総理大臣は、いまあなたがおっしゃったような気持ち、そういう意味で言っておられるのではないと、私は総理の答弁をそばで聞きながら、また、ここに速記録もありますけれども、受け取っております。 こういうことだと私は解しておるのです。大久保証人の証言があった後でございますから、大久保証言の内容は、先ほど申し上げましたように、大久保証人自身が四人の方に金銭を渡したということではなくて、渡す計画があって、それを途中まで知っておるという、それで先ほど申し上げたようなことでございます。そこで四人の方は、私は違っておるように思いますけれども、そういう事実はないと否定をしておられる、いわゆる否認をしておられる、こういう環境にあるわけでございます。しかし、それは福田総理の発言をそのまま受け取りますと、そのことを証明するすべがない、受け取っておらないという消極的な事実を証明するすべがない立場におられる方々、そこに大久保証言のように、そういう計画があって途中までのことを証言されたので、そういう立場を気の毒だな、こういう感じを言われた、こういうように私受け取っておるわけでございまして、裁判を否定するとか――否定と言うとおかしゅうございますが、信用しないとかなんとかそういう立場ではなくて、一方の方は否定しておられる、しかしそれを、これは起訴されておるわけではありませんから、公判に出ておるわけではありませんから、その証明のしようが現在ない立場にある、そういうことを心に置いて、気の毒だといいますか、かわいそうだな、こういうことだということで御答弁をされておるように思います。 |
○小林(進)委員 総理がそういう発言をされたときに法務大臣はそのそばにおられて、そしてそれを聞いて、真意はこうだ、こう解したという御答弁でございましたが、私は、法務大臣はそう解釈されたことはそれは間違いないと思いますけれども、これを聞いた国民がどう感じたかということはいま私があなたに申し上げた。これが国民の気持ちです。一国の総理たる者が、国民に司法の尊厳と司法の公平を疑わしむるようなそういう発言をやられたということは、非常に軽率だったと私は思う。あなたがそばにいられてそうでないとお感じになったとしても、国民がそうとらざるを得ないような発言をされたということは軽率であると私は考えております。今後ともこういう発言は厳重に差し控えていただきたい。特に、いまではこういうロッキード事件に関係をいたしまして、この関係者の筋合いから、どうもあの検察庁なんというのは不公平きわまるんだ、何も証拠がないものをやっているんだ、これは政治策動だ、こうやって非常にわが検察行政に対する不信をあおるような風評がいまちまたに満ちているのだ。意図的に流されている。そういうさなかでありますから、その長に立つ者、その監督指揮の立場に立つ者は、さらにその信頼をむしろ守るような形の発言をしてもらわなければいけないにもかかわらず、それに火をつけて、さらに不信感をあおるようなことは、総理大臣として厳重に慎んでもらわなければならぬと私は思いますが、どうか法務大臣、あなたから総理大臣にひとつ軽率な行動をなさらないように厳重に忠告をしていただきたいと思います。法務大臣から、自己の管轄事項でありますから厳重に忠告を与えておいていただきたいと思います。よろしゅうございますか。総理はあなたの上級職でありましょうけれども、必要に応じてはやはりそういう忠言も必要でございましょうから、やっておいていただきたいと思いますが、いかがでございますか。 |
○瀬戸山国務大臣 総理の発言を世間の国民の皆さんがどう受け取っておられるか私はつまびらかにしておりませんが、先ほど申し上げましたように、そう受け取られるような発言ではない。私はさように考えておりません。また速記録を読み上げてもよろしゅうございますが、そういう趣旨でないと受け取れる発言をしておられるわけでございます。裁判に対して、これはわれわれ自身もとやかく言うべき立場でなくて、やはり冷静な、公正な裁判を、裁判所に信頼する、これ以外にはないわけでございます。 |
○小林(進)委員 この問題で論争する必要はありませんけれども、国民の多くが私のようなとり方をしていることは、予算委員会を初めほかの委員会でもこの問題を一様に取り上げていることに照らしても明らかであります。これは数字をもって論ずるわけにはいきませんけれども、明らかでありますから、自己の所属する総理大臣のことでありますから、簡単に認めるわけにはいかぬと思いますけれども、法務大臣は謙虚な気持ちで、こういう発言がないように総理には申し入れておいていただきたいと思います。 次に、私はこれもお伺いいたしておきたいのでございますけれども、嘱託尋問書についての問題であります。 いまロ事件裁判において嘱託尋問書の証拠能力が何といっても一番大きな争点になっている。弁護団も争って求釈明申し立て書というものを出しておるのであります。裁判に関することでございますから、個々の問題については質問いたしませんけれども、なかなかこういう機会はございませんから、私は一般論としてこの際お聞きしておきたい。すなわち、免責条項は日本に法制度がない、よって米国関係者を不起訴としたことは法のもとの平等に反し、反対尋問が許されない証言では信頼性がない等の弁護側の意見書が出されておるが、まず、この嘱託尋問を行うに至った法的根拠が一体どこにあるか、これが第一点であります。 次に、昭和四十一年七月一日の最高裁の判決であります。すなわち、被疑者が、起訴、不起訴の決定権を持つ検察官が自白をすれば起訴猶予にしてやるからというようなことを育った、その言葉を信じて起訴猶予になることを期待していた、これは自白の任意性に疑いがある、こういう利益誘導みたいなことをやったことは自白の任意性を疑わしめる、証拠能力を欠くと解するのが相当である、こういう判決が出てきた。この判例と、いまのロッキード事件における五十一年七月二十一日の最高検の宣明書、五十一年七月二十九日の最高裁の宣明書との関係であります。これを一体どう説明をするのか、一般論としてお伺いをしておきたいのであります。 ○伊藤(榮)政府委員 まず、嘱託尋問の手続でありますが、刑事訴訟法の二百二十六条で、「犯罪の捜査に欠くことのできない知識を有すると明らかに認められる者が、」検察官等の取り調べに対して出頭あるいは供述を拒んだ場合には、第一回の公判期日前に限って裁判官に証人尋問を請求することができることとされております。 東京地方検察庁の検事がアメリカへ行きまして、コーチャンその他の人に会いまして、任意の取り調べに応ずるように説得をいたしましたけれども、どうしても応じてくれない。そこで、東京地検から東京地方裁判所に対しまして起訴前の証人尋問の請求をいたしました。これを受けました東京地方裁判所におかれましては、最高裁経由、さらに外交ルートを経由してアメリカ合衆国に証人尋問の嘱託をされました。米合衆国においてこれを受諾されましたので、ロサンゼルスの連邦地方裁判所において嘱託尋問が実施され、ただいま御説明申し上げたのと逆のルートでわが方へ戻ってきて、現在検察官の手元に調書がある、こういう状況でございます。 ところで、アメリカの連邦地裁が嘱託に基づいた証人尋問をしようといたしましたところ、コーチャン氏が、日本の法律による供述自己負罪特権を主張いたしたわけでございます。自分が犯罪によって訴追されることとなるような事項については供述を強要されない、そういう権利を主張したわけでございます。そこで、この自己負罪特権の主張を破りますためには、アメリカで行われております方法としては、イミュニティーという、刑事免責を与えるという方法があるわけでございます。そこでコーチャンは、アメリカにおけるイミュニティーのような措置をとってくれなければ自己負罪特権を主張する、こういうことになってまいりまして、そこで、わが国にはそういうイミュニティーという制度がございませんから、それにかわるものといたしまして、刑事訴訟法の二百四十八条であったかと思いますが、検察官が有します起訴猶予の権限を利用いたしまして、検事正並びに検事総長から、この者については将来わが国の刑事手続において訴追されることはないという保証をしたわけでございます。そういたしまして嘱託証人尋問が始まったわけでございますが、嘱託証人尋問の主宰者でありました裁判官が、アメリカにおけるイミュニティーというものは、検察官が裁判所に申し立ててイミュニティーを付与してもらうということになっております。すなわち、裁判所が最終的に決定することになっておる、そういう頭でおられたからだと思いますが、検察庁の検察官が宣明しただけではなお不十分であるから、最高裁判所においてこの裏づけをしてもらうべきである、それがない間は、でき上がった調書を日本側に引き渡さないという決定をされたわけでございます。そこで、検察当局といたしましては、法務省を通じまして最高裁判所の方へ、こういう状況になっておるけれども最高裁として何らかの措置がとり得るというふうにお考えになるかどうか、もしとり得るとお考えになるならばとっていただけるだろうかということを御相談申し上げたわけでございます。その結果、最高裁御当局におきましては、係官をアメリカまで派遣されまして、よく先方の考えておることも把握されました上で、それまでに例がないという意味では異例でございましたが、最高裁判所の裁判官全員一致の意見で宣明ということをなさったわけでございます。それによって調書がわが方の手に入った、こういう経緯でございます。 さて、証拠能力の問題でございますが、この問題はただいま御指摘をいただきましたように、目下のところロッキード事件公判をめぐる最も大きな争点の一つになっておりますので、私がここでどちらかに軍配を挙げるというようなことは適当でないと思いますが、ただ、御引用になりました最高裁判例と申しますのは、被疑者に不起訴の約束をしておきながらこれを起訴した、そうしてその被疑者であった者が被告人になってしまった、そういう案件でございまして、今回問題になっております嘱託尋問の関係は、もともと被疑者でもありませんし、いわば証人的なものでございます。そこで問題となりますのは、アメリカにおきましてはイミュニティーを与えて宣誓すれば本当のことを言う、言わなければならぬという感覚が定着しておりますし、また、コーチャンその他の証人になった人にはそれぞれ弁護士が弁護人としてつき添って証人尋問に立ち会っておる、こういういろいろな状況がございまして、検察当局としてはきわめて証拠能力の高いものであるという主張をしておるわけでございます。私としてはその主張には十分理由があるというふうに考えております。 |
○小林(進)委員 こういう専門的な問題になりますと、なかなかわれわれの能力の及ぶところではございませんけれども、問題の発生は刑訴法の二百二十六条、裁判官に尋問を依頼することから始まっていってアメリカへ持っていった。それから、二百四十八条の起訴猶予の権限をとったということについては、日本の最高裁がアメリカに使者まで飛ばして実際に調査して、これが妥当であると言って全会一致で宣明書を出したということは大変重大な問題だと私は思うわけでございます。今後、この公判を通じて、この問題が脚光を浴びて堂々と論ぜられると思うのでありまするが、仮に弁護団の主張が通って、アメリカの法律に基づくこういう尋問の仕方は証拠能力はないということになると、単なる検察庁の敗北だけにあらずして、日本の最高裁全員にも敗北の責任がおぶさってくるという大変おもしろい問題だというふうに考えざるを得ないわけでございまして、まさに興味しんしんたるところでございますが、私も公平妥当な立場でありますから、どっちが勝てとか負けるとか、そういうことは軽率に申し上げませんけれども、事ははなはだ重大であるということを感じて、ひとつ厳重な監視を立法府の立場で続けたいと思うわけであります。この問題はこれで終わります。 次は灰色高官の問題でございますけれども、ロッキードの特別委員会は、設置の経緯からも明らかなように、ロッキード事件の徹底的解明とその政治的責任の有無について調査するのである。法的責任の解明はまさに検察が行うのは当然でありまするが、このたびの全日空ルート、先ほどから言われておりまする二月十三日の公判廷で、大久保証人により、法的責任を問われていない数人の国会議員に政治的道義的責任を負うほかないと思われる証言がなされたわけであります。これは、法務大臣の御回答は、もうそのものずばり、国会議員に政治的道義的責任を負いなさいと言わんばかりの御所見だったわけです。 そこで、この際改めてお伺いするわけでございますが、さきの五十一年十一月二日のロッキード委員会の秘密会における報告の内容については、先ほども横路質問に対して答弁された。これは言わずもがなでありますけれども、やはり法務省としては確然として確信をお持ちになっているものと私は考えざるを得ないのでありまするけれども、これはもらったのだと法務大臣は言われたのでありまするから、この確信をいま一度私はここで念を押しておきたいと思います。確信をお持ちになっていると思いますが、念を押しておきたい。法務大臣は非常に明快にお答えになったのだけれども、お隣の伊藤局長は何か秘密会のことだから責任は持てないようなお話があったり、福田首相のその後の発言があったりして、どうも国民も若干この点を疑っておりまするので、いま一度その確信のほどを明確にしておいていただいて、灰色高官はやはり政治的道義的責任はあるのだ、金はもらっているのだと、ひとつ明確に御答弁をいただきたいと思うのであります。これが一点であります。 なお、アメリカにおきましては、この灰色高官に関して上下両院においていずれも倫理規定というものを持っていて、これが国会内のルールとして政治的道義的責任の限界を明確にしているわけでございまして、これは先ほどの理事会の中でも、ややこういう規定を設けたらどうかというふうな発言が大内さんからもあったと私は思うのでありまするけれども、これは日本の国会にもこういうアメリカンステムがあるいは必要なのではないか、そうすれば灰色などというあいまい不可解なことも必要がなくなってくるのではないかと考えますが、このことについて法務大臣は一体どうお考えになるか、以上二点についてお伺いをいたしておきたいのであります。 |
○小林(進)委員 第二番目の、アメリカの倫理規定は上下両院とも規定がありまして、理由のいかんを問わず、政治献金なら政治献金、ちゃんと一定の額があって、それ以上もらえば倫理規定違反だ、事のいかんを問わず、それは法的に一つの制裁を受ける、こういうふうになっておりますから、だから灰色も白も黒もないわけであります。そういう規定は日本の国会でも必要なのではないかということを私は御質問したわけでありまするが、大体御回答はそれでいただいたことにしておきましょう。第一の問題です。あなたは検察庁を御信頼になる、私はりっぱだと思います。ただその御信頼になる検察が、ともかく金はもらった。確信がある。ただ、二人は時効が成立した。二人はその職権に基づかざる行為だ、だから起訴はしなかった。起訴はしなかったけれども、これは事実は事実として確かだ。あなたはその確かだということを信頼をする。検察庁のあらゆる資料に基づく調査を信頼するという言葉で言われたのでありまするけれども、これは確定したということになる。確定すれば、そういう時効とか職権の問題で起訴はしなかったけれども、道義的政治的にはやはり責任はある、こういう結論にならざるを得ないと思う。あなたの言葉をそのまま私が受けとめるとしても、あなたの言葉を路線上に押していけば、起訴はしないけれども、刑事犯罪は成立しないけれども、政治家として道義的政治的責任はあるという結論になると思うのであります。そういうふうに受け取ってよろしゅうございましょう。 |
○瀬戸山国務大臣 よろしゅうございましょうということでなしに、それは国会で決められたことでございますということであります。 |
○小林(進)委員 それを国会でお決めになれとおっしゃるというと、狭義の検察行政の上では、起訴の要件を満たさざるものは法務省の関与するところではないことになりましょうかな。これはやはり国務大臣としてはいささか頼りない回答ですな。法務省という人倫道徳を明らかにしていくその頂点に立つ者が、そういうどうもあいまいな、国会でお決めなさい、私は知らぬなんというような答弁では心もとない。大体実体法などというものは、これはやはり人倫道徳、人の道の上に立つものでありまするから、経済犯と違うのでありまするから、そういう人の道に反するような灰色の行為は、やはり道義的に許されるべきでないというようなことは、法務大臣、堂々と言うだけの勇気と決意がなくてはならぬと思います。どうです。もう一回。 |
○瀬戸山国務大臣 なかなか小林さんはお話がうまいですから、ついつり込まれるような気がいたしますが、これはしばしば申し上げておりますように、検察とか法務省というところは犯罪ありや否やを調査いたしまして、犯罪ありと確信を持った場合は起訴すべきものは起訴をいたして裁判にゆだねる、ここまででございます。そこで、犯罪にならなかったがかくかくの金銭授受がありましたということを、しばしば申し上げて恐縮でありますが、当委員会の秘密理事会に報告をしろとおっしゃったから、これこれの条件にはまるものがあったら出しなさい、国政調査上きわめて重要なことである。私どもそれを、私どもというか、法務省としては国会のおっしゃることはしごくごもっともであるということで、御協力を申し上げるために、こういう関係で金銭授受をしたという方方は捜査の段階ではあらゆる証拠からこういうふうに認めます。これを理事会に差し上げたわけでございます。それがいわゆる政治的に道義的責任を問われるものだ、こう決められたのは国会でありますということを申し上げておるわけで、こちらがこれこれが道義的責任を問われるべきものでありますということを言える立場ではない、またそういう職責ではない、これを申し上げておるわけでございます。 |
○小林(進)委員 残された時間もわずかでございますから、ひとつ次に移りたいと思いますけれども、一つは、先ほど箕輪質問に出ましたが、灰色高官に対する資料提出の問題であります。資料提出について総理大臣以下法務大臣は、何遍も抽象的に国政調査権に協力をする、こういうことを述べられているわけであります。ところで、過日、公判廷において大久保証言が行われた。政治的道義的責任を追及すべき責任を持つ国会といたしましては、大久保証言を裏づける事実を調査しなければならぬわけであります。事実関係については国会には調査する権限もなければ機能もないわけで、どうしても法務当局の御協力を得なければならない。これに対しては先ほど伊藤局長の御答弁もありました。何か公判における任務が終わったときには出してもというお話がありました。その意味において、先ほどの答弁をいま少し具体的に、いつ一体国会に協力する姿勢でこの資料を出していただけるのか、これを私はお伺いをしておきたいわけであります。私は先ほどの理事会でも言いましたけれども、国会はこのロッキード問題では、一方には与党の先生方にもしかられ、しかられながら検察当局、捜査当局にはずいぶん協力いたしてまいりました。いやだいやだという小佐野氏を国会に呼んで偽証罪の形をとったり、あるいは若狭氏を国会に呼んで偽証罪で起訴したり、皆さん方が捜査をお進めになっているそこには、国会側の協力が過半を占めていると言っても私は過言ではないと思う。初めに手をつけたのは国会である。検察庁がのうのうとしておいでになるときに、国会が先鞭をつけてこの問題を進めてきた。これほど国会、立法府が協力していることに対して、どうも司法当局の協力の仕方が足りない。私は率直に言って足りない。いま少し歩み寄るころじゃないか。こっちがこれだけ行ったなら、そっちもこれだけ来てもよろしいじゃないかという気持ちが非常に強いのであります。でありまするから、せめてこの資料提出ぐらいはわれわれの方へひとつ早急にやっていただきたい。そこでお伺いするのであります。具体的にいつ協力いただくか。金銭の授受が明らかになった後ならば資料を出していただけるのか、第一審が終わった後ならば資料を出していただけるのか、遠き先に行って最高裁の判決が出るまでは資料を出せない、それが済んだ後に出す、こういう一体お考えになっているのか、その的確な提出される時期をいま少し明確にお聞かせをいただきたい。 |
○伊藤(榮)政府委員 一審が終わったらとか、最高裁が終わったらとかいうことでなく、毎公判開廷ごとにでも結構でございますから、公判で明らかになったものにつきましては御報告申し上げます。 |
○小林(進)委員 いまお話のとおり、公判廷の証言が済んだ後には出してくださるということでありますから、それは一歩前進でありますが、あわせて、どの範囲のものを出していただけるのか、それにまつわるすべての関係資料を微に入り細に入り出していただければまことにありがたい、それが協力というものでございますので、ひとつそういう御協力をちょうだいをいたしたい。私に与えられた時間が参りましたから、もうこれ一問で終わりたいと思いますけれども、第六問です。P3Cの導入の問題であります。防衛庁は、本年度予算に対潜哨戒機としてP3Cの採用を予定している。防衛庁の間淵装備局長は、五十二年九月十二日、本委員会において、法務当局に問い合わせたところ、PXLの導入に関しては犯罪の容疑は存在しない、こういうことであったという答弁をしておられるのでありますけれども、少なくとも、口事件の公判が行われ、これからどのような発展があるかわからない段階で、しかも小佐野、児玉の冒頭陳述でも、P3Cについてこれはちゃんと陳述されている、これは立証されようとしている、そういうときに、法務大臣は、その法的解明の責任者として、また国務大臣として、この口事件公判の審決を含めた全貌の解明を後にして、このP3C導入問題に結論をつけるという政府の姿勢、防衛庁の姿勢は、これはどうも正しいとは私は考えられない。また、防衛庁は、技術的、軍事的な観点からこれを決定したと述べておりますけれども、政治的には、このロッキード事件はまだ解明をされたわけじゃないのでありますから、そういう問題の中心にあるこういう飛行機を購入することは、どうしても国民の側は納得できないのでありますけれども、法務大臣はどうお考えになりますか。これは刑事局長ではちょっと答弁できないと思いますから、彼が生理的現象を解決して帰ってくるまで、しばらく休むことにしましょう。――もし刑事局長、大臣に成りかわって回答ができるとおっしゃるなら、ひとつ承っておきたいと思います。 |
○伊藤(榮)政府委員 防衛庁の当局の方からは、私どもの方へP3Cをめぐって犯罪の嫌疑があったような事実があるのかどうかというような問い合わせがございまして、私の方からは、P3Cをめぐっていろいろな方面でロッキードからの金が動いたという事実はない、こういうことをお答えしたことがございます。それを踏まえて、それも一つの参考資料とされまして、P3Cの採用を決定されたものと思いますが、防衛庁のお考えの、あるいは国防会議での御決定の経緯等を存じませんので、私としてはこの程度しかお答えできません。 |
○小林(進)委員 伊藤局長の御答弁には重大な問題が含まれている。事務当局の事務的な回答であるとおっしゃればそれまででありますけれども、児玉のあの十七億に達せんとする膨大なロッキードから受けた金、その中のコンサルタント料、そのコンサルタント料は単なるトライスターの購入ではなくて、これほど莫大な金をコンサルタント料として出した裏には、本命はP3Cだ、対潜哨戒機を日本に売り込むためのコンサルタント料なんだ、これはもう国民の一致した考え方なんです。そういう疑惑のある中に、最も問題を正しく解明をしなければならない法務省の刑事局長ともあろうものが、そのP3Cの問題は出てこなかったと言うことは、何か免罪符を検察庁みずからが防衛庁に与え、児玉に与え、あるいは小佐野に与えたという結果にならざるを得ないのではないかと思っている。私はその意味においてこれは実に重大なる発言ではなかろうかと感じたのでありますが、この点について法務大臣いかがでございますか。P3Cは口事件に関係なし、そういう免罪符を刑事局長がお出しになったというのでありますが、その点はいかがでございますか。 |
○伊藤(榮)政府委員 答弁を簡単にし過ぎまして大変失礼いたしましたが、冒頭陳述書に出ておりますようなP3Cと児玉あるいは小佐野とのかかわり合い、この事実もあわせてもちろん防衛庁に話してございます。ただ、私が申し上げましたのは、P3Cをめぐってロッキードからの金が動いたということはない、そういうことを先ほど申し上げたのでございます。 |
○瀬戸山国務大臣 いわゆるP3C飛行機に対しては、先ほど来刑事局長からお答えしたとおりで、これにまつわって犯罪ありということが認められる状況にはなかったということでございます。さて、そういう話題になったP3Cを防衛庁が今度新たに購入する決定をした、これはおかしいじゃないか、こういう御趣旨だと思います。防衛庁も、このロッキード事件というのがあった後でございますから、私、直接の担当ではありませんけれども、話に聞いておりますのは、そういう調査の結果等、十分法務省から報告を受け、そういうことをすべて検討をして、問題は飛行機の性能でありますから、飛行機の性能は現在のわが国の防衛力維持については適切な飛行機である、そういう観点から選定をされたと聞いております。と同時に、従来小佐野等にまつわって、多くのこれにまつわる金が要るようなかっこうではこの際やってはいけない、そういうところまで注意を払って、ロッキード社ともいろいろ話し合いをつけ、そういう不純なものがまつわらない、こういう状況下で選定をした、こういうことでございますから、これは飛行機の性能との関係であって、私はこれが適当でない、こういう感想は現に持っておらないわけでございます。 |
○小林(進)委員 まだたくさん質問は残っておりますが、約束の時間が参りましたようでございますから、私の質問はこれで終わることにいたします。ありがとうございました。 |
(私論.私見)