閣僚答弁3

 (最新見直し2013.05.19日)

 (れんだいこのショートメッセージ)
 ここで、角栄の大臣時代の答弁を確認しておく。「田中角栄の衆議院本会議発言一覧」を参照する。

 2013.5.19日 れんだいこ拝


 田中角栄の国会発言を確認する。「第47回国会衆議院本会議第3号(1964/11/21、30期)に於ける田中角榮発言」は次の通り。
 私は、今回成立しました新内閣におきましても、引き続き大蔵大臣を拝命することになりましたが、任務の重大さを痛感し、微力を尽くして職責を全うする覚悟を新たにいたしておるのであります。(拍手) 本国会は、新内閣発足後初めての国会でございますので、補正予算の御審議をお願いする機会に、財政金融政策につきまして所信の一端を申し述べたいと存じます。

 
申すまでもなく、一国の政治の理想は、国民が真に生きがいを覚え、働きがいを感ずるような国家社会を築き上げることにあります。このような理想を達成するためには、経済面において、国民経済の健全かつ着実な発展をはかってまいることが肝要であります。したがいまして、今後とも財政金融政策の基本的な課題は、国際収支の均衡と物価の安定を確保し得る範囲内で適度な経済成長をはかることであり、また、その成長の過程におきまして、経済社会の各分野における合理化、近代化を行ない、いわゆるひずみを是正しつつ、国民経済全体としての効率を一段と高めていくことであります。(拍手)

 本年は、わが国が開放体制に本格的に移行した意義深い年であり、今後は、国際経済の波動に対処しつつ、国際収支の均衡を確保し、安定成長の路線を固めてまいらねばなりません。この際、最も大切なことは、国民経済のあらゆる分野におきまして、性急な量的拡大に走ることを避け、じみちに内容の充実を心がけ、今後の発展への足場を固めるという堅実な態度であると思うのであります。昨年末以来、国際収支の均衡回復と経済成長の安定化をはかるため調整政策を進めてまいったのも、基本的にはこのような局面に対処しようとするものであります。

 さて、わが国経済の最近の動向を見ますに、調整の効果は、漸次経済の各分野に浸透しつつあるものと認められるのであります。すなわち、国際収支は、輸出が海外経済環境の好調を背景に、国内産業の競争力の強化、輸出意欲の増進によって順調な伸びを示している反面、輸入が高水準ながら落ちつきを示していることにより、本年七月には貿易収支の均衡を回復し、続いて八月には、経常収支においても黒字に転じ、その後も好調な推移を示しておるのであります。また、卸売り物価が軟調を続けているほか、鉱工業生塵、民間設備投資等の動向にも、ようやく鎮静化のきざしが見られるに至っておるのであります。

 しかしながら、国際収支につきましては、輸出の面におきまして、世界景気の動向や、今回の英国の緊急措置等、なお不確定な要素もあり、他方、現在の輸入原材料在庫の低水準から見て、生産、投資の動向によっては、今後再び輸入が増加するおそれもなしとしないのであります。したがいまして、開放体制下にふさわしい安定的な基調を固めていくためには、経済全般がさらに落ちつき、経済界に慎重かつ合理的な経営態度が行き渡るとともに、国際収支の持続的改善の方向が確実なものとなることを見きわめるまで現在の政策基調を維持することが、新内閣としても必要なものと考えるのであります。

 今回の調整過程におきまして、種々の摩擦が生じているととも事実でありますが、調整政策の意図ずるところは、経済の安定化にあり、いたずらに経済活動を縮小せしめようとしているものではないのでありますから、これらの摩擦的現象に対しましては、個別にきめのこまかい配慮を加え、かりにも無用の混乱や不安を引き起こすことのないよう、臨機に万全の措置を講じていく所存であります。(拍手)

 これに関連いたしまして、当面、中小企業の年末金融対策として、政府関係金融機関の資金量の増加、資金運用部資金による買いオペレーション等所要の措置を講ずるとともに、民間金融機関に対しましても、中小企業向け融資の円滑化について、細心の配慮を行なうよう強く要請いたしておるのであります。

 次に、当面の財政金融政策上の若干の問題について申し述べたいと存じます。まず、来年度の予算編成にあたりましては、さきに述べました経済の動向にかんがみ、引き続き健全均衡財政の方針を堅持し、経済に過度の刺激を与えないよう、財政面からも安定成長を確保してまいることが肝要であります。したがいまして、租税その他歳入の伸びにあまり多くを期待することはできませんが、その限られた財源の中にあって、経費の重点的、効率的配分につとめ、農業、中小企業の近代化、社会資本の整備を推進するほか、社会保障の充実、住宅など生活環境施設の整備、教育文化の振興等を効果的に進めてまいりたいと考えておるのであります。

 また、税制につきましては、わが国経済及び国民生活に及ぼす影響の重要性に顧み、かねてから最近の社会、経済の進展に即応した新しい税制のあり方について検討を進めているところでありますが、来年度におきましても、本年度に引き続き、さらに国民生活の向上と企業の国際競争力の強化をはかるため、財政事情の許す限り、租税負担の軽減、合理化につとめる所存であります。(拍手)

 次に、本格的開放体制下におきまして、長期安定資金を確保し、企業の資本構成の是正をはかりますために、貯蓄の増強と資本市場育成の重要性は、ますます高まりつつあります。したがいまして、今後とも貯蓄の増強のため積極的に配意するとともに、企業、投資者及び証券業者を通ずる総合的な見地に立って、資本市場の育成強化に一段と努力してまいりたいと存じます。

 現在、証券市場における株式の需給の不均衡を改善するため、増資調整等の措置がとられておるのでございますが、今後とも、資本市場の健全な発展をはかり、将来の安定成長に必要な産業資金を確保するため、各般の施策を積極的に検討してまいりたい所存であります。証券業界においても、みずからその体質の改善に一段と努力することが望まれる次第であります。

 次は、国際金融並びに関税政策の問題であります。先般、東京で開催されましたIMF、世界銀行等の年次総会は、百をこえる世界の国々から財政金融に関する指導者多数の参集を得て、非常な成功裏に終了いたしたのでございますが、これは、関係者の努力はもちろん、広く国民の皆さまの御協力によるものでありまして、御同慶の至りであります。この東京総会の機会に、世界各国の指導的地位にある人々が、わが国の実情に関する理解と認識を一段と深められましたことは、国際経済社会におけるわが国の立場に多大の好影響を及ぼすものと確信をしておるのであります。私は、この期間中、国際機関及び各国の指導者と親しく会談したのでございますが、その際、わが国が開放体制に本格的に移行したことに伴って、その国際金融上の役割りと責任が重きを加え、いわゆる南北問題に関しましても、先進国の一員として積極的に対処しなければならないことを、身をもって実感したのであります。わが国としては、国際協調の線に沿って、今後とも国際収支の健全化に一そう努力するとともに、国力の許す範囲において、低開発国援助についても貢献してまいりたいと考えるのであります。

 なお、ガットにおける関税一括引き下げ交渉がいよいよ本格化する運びとなっておるのでありますが、政府といたしましては、国内産業に対する影響を十分配慮するとともに、わが国の受ける利益と交渉相手国に与える利益との均衡を確保することに留意しつつ、今後の交渉に臨む所存であります。(拍手)

 次に、昭和三十九年度の補正予算につきましては、近く国会に提出いたしますが、その大綱に関し御説明をいたしたいと存じます。御承知のとおり、本年度は、新潟地震をはじめ、春から夏へかけて各地方を襲った豪雨等のため、災害復旧に要する経費が多額にのぼることとなったこと、人事院勧告による国家公務員等の給与改善が昨年度のそれを上回るものであったこと及び三十九年産米の買い入れ価格が当初予算における見込みを上回って決定されたこと等のため、補正予算に対する財政需要は、例年同様に巨額なものとなりました。


 しかしながら、財源面におきましては、昨年末以来の景気調整策が漸次効果をあらわしてきておりますために、租税収入において法人税の減収が見込まれる等の要因により、例年のような規模の自然増収を期待することができず、補正予算を編成するにあたりましては、まことに困難な状況にあった次第であります。政府といたしましては、このような財源事情にもかかわらず、人事院勧告を尊重するたてまえから、例年よりも一月繰り上げて、本年九月から国家公務員等の給与改善を実施することといたしたのでありますが、その他の財政需要につきましては、極力緊急を要するものにしぼって補正計上することといたしております。その財源につきましては、租税及び印紙収入の自然増収約六百五十一億円のほか、税外収入の増約二百億円を補正計上するとともに、なお不足する分を捻出するため、既定経費の節減を実施することといたしておるのであります。

 この結果、近く国会に提出いたします補正予算の概要は、すでに資料として配付してございます「昭和三十九年度一般会計予算補正(第1号)等について」に示してありますように、
 一 公務員給与の改善を本年九月から実施することに伴い必要となる経費
 二 公共土木施設等の災害復旧等事業に必要な経費
 三 農業被害に対する再保険金の支払財源等に充てるための農業共済再保険特別会計への繰入れ
 四 診療報酬改定に伴う増加経費
 五 食糧管理特別会計への繰入れ
 六 消費者米価改定に伴う生活保護費等の増加経費
 七 義務教育費国庫負担金等の義務的経費の精算不足額補てん
 八 所得税収入等の追加計上に伴う地方交付税交付金の増加
の八項目でございまして、これらの歳出の追加額総額は千六十四億円となりますが、他方、既定経費について二百十三億円の節減を行なっておりますので、補正予算の規模は八百五十一億円と相なるわけでございます。

 以上、一般会計予算について申し述べたわけでございますが、特別会計予算及び政府関係機関予算につきましても、ただいま申し上げました補正項目等に関連して、所要の補正を行ないますとともに、特に本年度の地方公務員の給与改善の財源につきましては、交付税及び譲与税配付金特別会計において借り入れの道を開くことといたしております。なお、財政投融資計画におきましても、災害復旧等に関連して地方公共団体、日本国有鉄道等についてそれぞれ所要の措置を講ずることといたしておるのであります。以上、当面の財政金融政策の考え方と本年度補正予算の大綱について申し述べたわけであります。補正予算が提出されました場合には、何とぞ政府の方針を了とせられ、すみやかに御賛同あらんことをお願いする次第であります。(拍手)

 田中角栄の国会発言を確認する。「第47回国会衆議院本会議第4号(1964/11/24、30期)に於ける田中角榮発言」は次の通り。
 お答えいたします。第一点は、金融機関の状態及び金融の正常化についてでございます。金融の正常化について進めなければならぬことは御指摘のとおりでございます。なお、大きな銀行、すなわち都市銀行に対しては、預貸率等の問題はあるけれども、大きくこれが影響を受けるのは、相互銀行、地方銀行、信用金庫等、中小企業向け機関が、この制度のために、金がありながらコール等に回さなければならないような御説でございます。御承知のとおり、健全経営化のために預貸率の制度をとっておることは、これはもう金融機関すべてにとっておるわけでございます。しかし、中小企業専門機関の資金が、中小企業により的確に回るようにしなければならないことは御指摘のとおりでございまして、金融機関の経営の健全化、すなわち、その過程における預貸率その他の制度と、なお、ある金が中小企業に回らなければならない問題は、別な問題として十分検討してまいりたいと考えるわけであります。

 第二の問題は、日銀とのつながりについてどうするかということでございます。これは松平さん御承知のとおり、長いこと検討されておる問題でございますが、将来中小企業専門機関といえども日銀との窓口開設を必要とするという方向に対しては同感であります。

 次に、中小企業の年末金融の問題でございます。御指摘のとおり、政府は、日銀を通じましての買いオペレーションの制度においても、また財政資金による市中金融債の買い上げ等におきましても、年末中小企業金融を考えながら配慮をいたしております。のみならず、政府三機関の資金量の確保及び融資ワクの拡大をはかっておることも御承知のとおりでございます。なお、都市銀行はじめ地方銀行その他金融機関は、年末に対して約三千億にものぼる中小企業金融のワクを決定しておることも御承知のとおりでございます。しかし、私はこれをもって足れりとしておるのではないのでありまして、これから日銀及び地方の金融機関につきましても、年末の中小企業の状態を十分把握しながら適切なる処置をとるように要請をいたしておりますし、政府自体も事態の推移を十分見ながら適切なる施策を行なって、遺憾なきを期したい考えであります。

 第三点は、手形法の問題でありますが、御承知のとおり、企業間信用が非常に膨張しております。同時に、融通手形の問題、また不渡りの激増等に対処して、手形法の改正を急がなければならぬということは御指摘のとおりでございまして、もう一年くらい前から法務省と検討に移っておりますが、私は、できるだけ近い機会に成案を得て国会の御審議をわずらわしたい、こう考えております。

 それから、年末金融ばかりではなく、下請企業に金がそのまま渡るように処置をせよ、これはそのとおりでございます。これはただ中小企業に金が必要であるからといってその面にだけ金をつぎ込むことが合理的ではなく、いわゆる金融梗塞が解けるように中小企業に直接金が渡るようにしなければならぬことは御指摘のとおりでございまして、金融梗塞を解きながら適切に下請代金が確保せられるような処置を考えております。

 第四点は、信用保険の問題でございます。御承知のとおり、中小企業信用保険公庫より新たに二十億円を信用保証協会に貸し付けまして、これが一そうの拡充に努力をいたしておるわけであります。

 それから、物価問題につきまして御指摘がございました。何か池田内閣を通じまして、自由民主党内閣の財政金融政策が物価高騰を招いておるような御認定でございますが、御承知のとおり、三十六年度は、対前年度比二二・四%増しの一般財政規模でございます。三十七年度は二二・六%であります。それが三十八年度は一七・四%、三十九年度は御承知のとおり一四・二%と、相当なスピードで引き下げをはかっておるわけでございます。しかし、実際の財政需要というものがこの程度で済む状態にあるかどうかということは、皆さん御承知のとおりであります。財政需要が非常に大きいにもかかわらず、このように健全財政を貫いておるわけであります。ですから、財政が景気を刺激することのないように、しかも財政金融一体化の原則をとりながら今日のような状態を築いておるのでありますから、私は財政金融政策が誤りであるとは絶対に考えておりません。(拍手)明らかにいたしておきます。なお、金融調整の過程において申し上げたとおり、国際収支の長期安定及び安定成長の確保、物価の抑制の三点を目標にしながら、日々努力をしておることも御承知のとおりでございます。

 最後に、公共料金と財政資金の問題でございますが、これもひとつ十分お考えいただきたいのは、公共料金の抑制を直ちにダムを切るような状態で行なうことが決して適切でないことは、いま総理が申されたとおりでございます。しかし、財政資金も国民の税金でございます。公営企業の料金がストップせられておるからといって、これをすべて税金をもってまかなうということもできないわけでございます。でありますので、物価に十分注意をしながら、公共料金制度の合理化を各位においてはかっていくということも当然だと考えるわけであります。(拍手)

 田中角栄の国会発言を確認する。「第47回国会衆議院本会議第5号(1964/11/25、30期)に於ける田中角榮発言」は次の通り。
 私からお答えをする二、三点に対して申し上げます。第一点は、災害予算の予備費の弾力性が欠けておるということでございます。すなわち、公共土木施設及び農林水産業施設災害復旧事業等につきましては、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法等に基づきまして、各省の査定を待ちまして、予備費の支出という段取りになるわけでございます。今年度の例を申し上げますと、十月の末で百五十四億円の予備費支出を行なっておるわけでございます。また、これから予備費を支出しようとするものが二十六億ばかりございますので、予備費としてまかなうものおおむね百八十億でございます。こういうふうにやっておりますし、なお、応急工事に対してはつなぎ融資の制度を活用いたしておりますので、弾力性を特に欠いておるというふうには考えられないわけでございます。

 第二点の、災害に備えて予算編成のときに予備費を大幅に増額せよという御注意でございます。御承知のとおり、三十八年までは災害に対する費用を含めた予備費二百億でございましたが、三十九年度には、それに加えて災害予備費百億、計三百億円ということにいたしたわけでございます。そういたしましたので、本年度は大きな災害がございましたが、予備費を弾力的に運用することによってまかない得たということでございます。

 第三点は、災害対策の非能率の原因を探求して、非能率を解消せよということでございます。本件につきましては、常に御説があるわけでございますし、なお、政府も能率的な方法に対して十分検討いたしております。先ほども申し上げましたように、災害復旧には各省の査定があります。同時に、査定を待って予備費を支出するということになっており、特に激甚災につきましては、直ちに内閣に災害対策本部をつくりまして、適切なる措置を行なっておりますので、現行の制度が非能率であるというふうには考えませんが、しかし、御指摘の北海道の問題、新潟地震の問題等々に徴しましても、より合理的な方法を十分今後検討してまいりたい、このように考えます。

 
第四点は、個人災害についてでございます。個人災害につきましては、いつでも災害のつど御質問があるわけでございますが、御承知のとおり、私有財産制度のもとでは、やはり災害に対しても自主的な回復ということが原則であります。しかし、これだけで足れりとするものではありませんので、災害救助法による援護を行なったり、生活保護法による救護をいたしましたり、天災を受けた農業や中小企業者に対して資金融通の法的措置等を行なっておるわけでございます。かかる問題に対しても、これからいろいろお知恵をかりながら検討が必要だとは思います。

 それから第五点には、今度の地方財政に必要とした特別会計に借り入れる百五十億円は、どうして一体返すのかということでございますが、毎年度三十億円ずつ五年間で返そう、こういう考え方を持っておるわけでございます。これに対しては、二八・九の交付税率を上げるのかということでありますが、交付税率を上げる考えはございません。交付税率の変更は、申すまでもなく、普通交付税の総額が引き続いて交付税計算による一般財源不足額と著しく異なるとなった場合において、地方行財政制度の改正とあわせて検討するという原則がございますので、一回限りの地方の人事院勧告の財源補てんというようなことをもって交付税率引き上げを行なうべきではないという考え方に立っておるのであります。(拍手)
 まず第一点は、英米の公定歩合引き上げに伴いまして外債政策はどうなるのか、それから、公定歩合の引き下げ等を含めた金融調整はどうなるのかという問題でございます。外債政策につきましては、御承知のとおり、現在ポンド債等を発行いたしておりませんので、イギリスが公定歩合を引き上げても、直ちに影響があるということはないわけでございます。しかし、ヨーロッパで利子平衡税が起きまして後約一年間にわたって、国債及び政府保証債の発行をいたしておりますので、現在日本の公定歩合が日歩一銭八厘、すなわち六分五厘七毛でございますので、それを上回るイギリスの公定歩合が七%になったという事実から見まして、外債問題については慎重に考慮してまいらなければならないと思います。なお、アメリカ市場におきましては、利子平衡税問題以後オールストップになっておるわけでございますが、本件につきましても慎重に検討してまいりたいと存じます。

 第二の、公定歩合引き下げを含めた金融緩和の問題についてでございますが、きのうも申し上げておりますとおり、まだ生産も高いし、輸入も高原横ばいの状態でございますし、現在ただちに金融緩和に踏み切るというような考えには立っておりません。しかし、年末等につきましてこの調整過程においてお困りになっておるような部面、すなわち、中小企業、農業その他につきましては、遺憾なき措置を行なうということでございます。

 第三点は、デノミネーションを断行するかどうかという御質問でございましたが、御承知のとおり、デノミネーションは貨幣の呼称を変えるだけにすぎないのでありまして、いわゆるデバリュエーションを含まない、同時に行なわないでは、この価値がないとされておるのであります。私は、こういうことばを出すこと自体さえも避けてまいったわけでありますので、デノミネーションを行なうという考えは全然ないということをここで明らかにいたしておきます。

 それから第四点は、証券市場の不振の問題でございます。本件につきましては、二つ三つ分けて御指摘がございました。確かに、高度成長を行なっておりながら、産業資金調達に対して具体的な計画を持たなかったということは、指摘をされても、そのとおりでございます。少なくとも一〇%の経済成長率を続けるならば、その産業資金をどうして得るのかということをあらかじめ当然予想せらるべきであります。今度中期経済計画を立てておるわけでありまして、この数字を仮定にいたしますと年率八・一%ということになります。五カ年後、すなわち四十三年度には国民総生産が幾らになり、国民所得が幾らになる、そのときにその間に必要な産業資金の総額は幾らであって、年次別幾らであるということは、数字で明らかに出るわけであります。そういうような問題に対して、ただ間接金融、いわゆる金融資本のみに重点を置いてきたところに今日の問題があることは、まさに御指摘のとおりであります。でありますから、戦前におきましては六一%の自己資本比率でございましたのが、現在御指摘のように二三%であります。二三%の低位に下がっておりながら、やがては資本の自由化に踏み切らざるを得ないというような国際環境にさらされておりながらも、なおかつ証券市場においては余剰株が存在するという珍妙な現象を持っておるということは、これはほんとうにこの問題と真正面から取り組まなければならぬことは、言うをまたないのであります。

 私は、その意味において、間接金融重点でありましたから、御指摘になったように、オーバーローン、いわゆる日銀信用によって今日までささえてまいったわけでございます。そのことがオーバーローンということであり、すなわち金融の不正常な状態をあらわしておるわけであります。でありますので、これらを解消するためには、抜本的な施策をとらなければならない。その意味で、直接市場の拡大強化のためには、来年度税制、その他現在日銀が共同証券等を通じて行なっておる措置も具体的処置の一つであることは、御承知のとおりであります。少なくとも間接資本、直接資本のバランスをどうとるかという具体的な問題には、四十年度予算編成を契機にして取り組み、これらの問題を解決いたしたい、こう考えるわけでございます。

 それから、資本市場が非常によくなくなったので責任をとれ、こういうことでございますが、これは私がいま申し上げたとおり、私は、大蔵大臣就任後から二年数九月にわたりまして、間接資本重点主義だけではなく、間接、直接のバランスをとって証券市場及び公社債市場育成に対して大いなる努力を必要とすると、声を大にして言ってきたわけでございます。しかし、戦後十八年間のしわがこうした証券市場に寄っておるのでございますから、どうぞひとつ皆さんも十分政府の証券市場対策に御協力を切に願います。(拍手)

 田中角栄の国会発言を確認する。「第48回国会衆議院本会議第4号(1965/01/25、30期)に於ける田中角榮発言」は次の通り。
 第四十八回国会に臨み、昭和四十年度予算の御審議を求めるにあたり、その大綱を御説明いたしますとともに、財政金融政策の基本的な考え方について所信を申し述べたいと存じます。(拍手)本年は、昭和四十年代の始まる年であります。戦後二十年、新生日本は、荒廃の中から立ち上がり、急速に経済の復興をなし遂げ、その後もたくましい成長力をもって発展を続けてまいりました。二十年のうち初めの段階は、いわゆる傾斜生産方式等によって窮乏経済から脱却し、生産及び国民生活を戦前水準に戻すことを目ざして努力した復興の時期でありました。それに続く段階は、経済の拡大と近代化を進めて、国民総生産を自由世界の五指に数えられるようになった時期であり、同時に、貿易・為替の自由化が次第に進み、国際経済社会における地位が向上してきた時代であります。これから始まる四十年代は、開放経済体制に本格的に移行したわが国が、引き続き着実な成長を続けつつ、先進諸国に比肩し得るような質的強化をなし遂げ、世界の繁栄にも一そう積極的な貢献をしていくべき時代であると考えるのであります。(拍手)

 これに関連して、まず申し述べたいのは、わが国が開放体制に踏み切ったことの意義を、あらためて明確に把握しておきたいということであります。申すまでもなく、わが国は、人口密度が高く、しかも資源に乏しいのでありますから、貿易、特に加工貿易によって国を立てなければなりません。そして、わが国の貿易を伸ばすためには、世界貿易が自由化され、拡大していくことが必要なのであります。近年、世界貿易の自由化、国際協力の緊密化は急速に進展しつつありますが、わが国がみずからの門戸を開放することによって、この世界の動きに伍し、これを積極的に推進しながら、一部に残存する対日制限等の撤廃を求めていくことは、わが国にとってきわめて重要なことであります。このように考えてくれば、わが国が開放体制への本格的移行に踏み切ったことは、過渡的には若干の困難を伴うとしても、結局は、前進を続ける世界経済の中にあって、わが国経済をさらに伸ばしていくため、みずからが選んだ道であったことは明らかであります。(拍手)

 この開放体制への移行に伴い、わが国は、国際経済社会の有力な一員として活動することになったのでありますが、わが国が、その国際的地位の一そうの向上をはかっていくためには、国際的視野に立った健全な財政金融政策の運用によって、通貨価値の安定につとめていくことはもちろん、常に国際収支の均衡とその健全化に留意することが肝要となるのであります。このためには、海外市場の開拓をさらに推進するとともに、わが国の輸出力を一段と増強していくことが最も大切であります。近年、高度成長の過程において、わが国産業の輸出力は、急速に強化されてまいりましたが、今後さらに輸出を伸ばしていくためには、企業体質の改善強化、産業構造の高度化、産業秩序の確立並びに科学技術の開発向上等について一そうの努力を積み重ねていかなければならないのであります。

 次にもう一つ申し述べたいのは、経済合理性に徹するということであります。開放体制に移行することにより、貿易・為替が自由化されることを契機として、自由な経済原則が、わが国経済の運営の全面にわたって、より強く働くようになるのであります。わが国企業が、今後、世界市場における品質、価格の競争と国際経済の波動に耐えて一そうの発展を期するためには、自由な経済原則のもとに、効率を重んずる合理的な経営態度に徹することが最も肝要であると考えるのであります。(拍手)いたずらに業容の拡大に走ることなく、過当な競争を排するとともに、技術と信用の向上をはかり、労使協力の基調のもとに、真の競争力と抵抗力を涵養することが、みずから頼むところのあるりっぱな企業に成長する道であると申さねばなりません。(拍手)私は、この際、わが国の企業が、広く国際的視野に立って、新しい経済環境にふさわしい合理的な経営感覚を身につけ、収益を重視し、蓄積を厚くして、その質的充実につとめられんことを強く期待したいのであります。(拍手)以上、時あたかも昭和四十年代を迎えた年の初めにあたり、わが国経済の進むべき方向と課題について、所懐の一端を開陳した次第であります。(拍手)

 次に、最近における内外の経済動向について申し述べます。昨年の世界経済は、米国においては一九六一年以来の拡大基調が続き、西欧諸国においてもかなりの成長が見られるなど、おおむね順調に推移しましたが、特に世界貿易は好調であり、その伸びは一〇%をこえているものと見込まれるのであります。しかしながら、年末に至り、英国の国際収支改善対策、英、米、加の公定歩合引き上げ等、注目すべき措置が相次いで行なわれました。本年の世界経済及び世界貿易は、昨年におけるような大幅な伸びを期待することはむずかしい状況にあり、かつ、米、英の国際収支対策をめぐる動きもあって、きびしさを加えつつあるものと思われるのであります。

 一方、わが国経済は、昨年一年にわたる調整の過程を経て、安定化に向かいつつあります。今回の調整措置は、直接には国際収支の均衡回復を目途としたものでありましたが、同時に、開放体制への本格的移行に備え、安定成長の基調を確保し、国際経済の波動に耐え得るような質的強化の地固めを行なうことをも意図したものであります。調整の効果は、経済の各分野に次第に浸透してまいりましたが、昨年秋以降、生産の動向、設備投資の意欲、並びに金融市場の動きなどには、おおむね平静な推移が見られるに至っており、経済は、自律的な調整過程に入ったものと思われるのであります。また、国際収支も、輸出の好調、輸入の落ちつきによってその均衡を回復しつつあります。昨年中のわが国の輸出は、前年に比して二割以上も増加し、国際収支改善の大きな要因となったのでありますが、これは、さきに述べましたように、海外市況が好調であったことによるとともに、わが国産業の輸出力が強化されたことにも基づくものであります。

 本年の海外環境は、さきに申し述べたとおり、きびしさを増すことが予想されますが、世界の経済と貿易は、全体としては、なお着実な拡大を続けるものと思われるのであります。また、わが国の輸出力は、ここ数年の近代化、合理化投資の成果に基づいて、年を追って強化されていくものと考えられ、さらに、今回の調整過程を経て、輸出意欲が増進されつつあるのであります。したがって、本年も、輸出を大きく伸ばし、貿易収支の黒字確保を中心として国際収支の均衡をはかることは、一そうの努力を前提とするならば、十分可能であると考えるのであります。

 このような情勢にかんがみ、昨年十二月の預金準備率の引き下げに続いて、去る一月九日には公定歩合の一厘引き下げが実施されたのであります。今後、わが国経済は、落ちついた歩みの中で次第に明るさを増していくことが期待されるのでありますが、政府といたしましては、この際、過度の安易感によって再び経済に行き過ぎが生ずることのないよう、財政面における健全均衡方針の堅持と相まって、金融政策においても、なお引き続き慎重かつ機動的な運営を行ない、内外の経済動向の推移に備える所存であります。

 さて、今回の予算編成にあたりましては、きびしい国際経済環境の中で、通貨価値の維持と国際収支の均衡を確保し、わが国経済の長期にわたる安定成長の路線を固めることを主眼といたしたのであります。このため、財政面から経済を刺激することのないよう、引き続き健全均衡財政の方針を堅持するとともに、極力予算規模の圧縮をはかることといたしましたが、その際特に意を用いたのは、次の諸点であります。

 
まず、安定成長を前提とする以上、従来のような大幅な租税の自然増収を期待することはできず、他面、歳出増加の要求は依然として強く、国民の要望である減税を行なうことにはかなりの困難があったのであります。しかし、種々くふうをこらすことによって、広く国民一般の租税負担を軽減するため、平年度一千二百億円をこえる一般的減税を行ないますほか、当面の要請にこたえ、貯蓄の増強、資本市場の育成等のため、政策的減税をも実施することにいたしたのであります。私は、常々、財政事情の許す限り減税を行なうことが必要であると考えているのであります。本格的減税の始まった昭和二十五年度以降の国税の平年度減税額を単純に合計しても、約一兆二千億円になり、しかも、そのうちの八〇%余は国民に最も関係の深い所得税であったのであります。この減税が、国民生活の安定向上、経済の発展に与えた効果は、まことに大きなものがあったと思うのであります。(拍手)

 次に、歳出の面では、わが国経済の長期にわたる成長の基盤をつちかい、国民生活の向上発展に資する分野には、できる限りの配慮を加えることといたしました。特に、国民生活の向上とその環境の整備、低生産性部門の近代化、地域格差の解消、過密都市対策の促進等、社会開発を推進する重要施策を積極的に展開し、社会、経済の各分野、各地域にわたり、均衡のとれた発展、開発を期することをもって基本としたのであります。

 なお、歳出に関しましては、この際、財政需要の充足状況を勘案しつつ、その合理化と重点化を一段と推進することといたしました。このため、既定経費につきましても、その内容と効果を再検討して、非効率的な補助金の整理合理化など、一そうその節減につとめるとともに、新規の経費は、特に重要かつ緊急なものに限定することにいたしたのであります。

 私は、今後とも、財政支出の対象が漫然と増大し、財政に過度に依存する傾向が広がっていくことは避けなければならないと考えております。したがって、財政支出の対象とするについては、それが、個人や企業など、私経済の責任と能力を越えるものであるかどうか、政府で行なうことが効率的であるかどうかを十分吟味して初めてこれを取り上げるべきものと思うのであります。
 次に、財政と金融を一体として運営すべきことは、私が従来から申してきたところでございますが、このような趣旨から、今回の予算編成にあたりましては、財政投融資計画を通じまして民間資金を活用することに一そう留意いたしたのであります。このことによって、国民の蓄積資金の適当な部分を、社会資本の充実等、公共部門の整備に振り向け、資本形成における民間部門と公共部門の調和を保つことを期した次第であります。

 さて、今回提出いたしました昭和四十年度予算について御説明いたします。一般会計予算の総額は、歳入、歳出とも三兆六千五百八十一億円でありまして、昭和三十九年度当初予算に対し四千二十六億円、さきに成立いたしました補正予算を加えた予算額に対しては三千百七十六億円の増加となっておるのであります。また、財政投融資計画の総額は、一兆六千二百六億円でございまして、昭和三十九年度当初計画に対し二千八百四億円の増加となっておるのであります。

 政府が昭和四十年度において特に重点を置いて措置した重要施策につき、その大綱を申し述べてみたいと存じます。まず、減税を中心とする税制の改正であります。減税の考え方につきましては、さきに申し述べたとおりでございますが、中小所得者に重点を置いて所得税の負担を軽減すること、及び企業の体質改善、国際競争力の強化に資するため、中小企業の負担軽減に配意しつつ、企業課税の軽減を行なうことにより、平年度千二百四十億円に及ぶ一般的減税を実施するほか、貯蓄の増強、資本市場の育成等、当面要請される諸施策に対応する税制上の措置を講ずることといたしたのであります。

 すなわち、所得税におきましては、国民生活の安定に資するため、諸控除を相当大幅に引き上げることといたしておるのであります。この結果、たとえば、標準世帯である夫婦及び子三人の給与所得者の場合、所得税を課されない限度は、現在の約四十八万五千円から約五十六万四千円となり、中小所得者の負担は、相当程度軽減されることとなったわけであります。法人税におきましては、本格的な開放体制への移行に対処し、自己資本の充実と企業基盤の強化に資するため、法人の留保分に対する税率を、特に中小法人の負担の軽減に重点を置いて引き下げるほか、同族会社の留保所得課税の控除額の引き上げを行なうことといたしたのであります。そのほか、貯蓄の増強、資本市場の育成等、当面要請される諸施策に対応する税制上の措置を、この際思い切って講ずることにいたしたのであります。

 なお、地方税につきましても、地方財政の苦しい実情にもかかわらず、個人事業税の事業主控除の引き上げ、電気ガス税の免税点の引き上げ、その他所要の負担の均衡化、合理化をはかることにいたしておるのであります。また、関税率につきましても、最近の内外経済情勢に応じ、所要の調整を行なうことといたしておるのであります。

 国民経済の均衡ある発展を期するためには、農林漁業及び中小企業等、低生産性部門の生産性の向上と経営基盤の拡大強化を推進し、その近代化、高度化をはかることが肝要であります。このため、まず、農林漁業につきましては、農業構造改善事業、農業基盤整備事業等を大幅に拡充して、農業経営の近代化、生産基盤の強化をはかるとともに、新たに農地管理事業団を創設して、自立経営農家の積極的な育成を助長することにいたしたわけであります。

 また、中小企業につきましては、中小企業高度化資金等を飛躍的に拡充して、構造の高度化、経営の集団化、協業化を推進するほか、小規模企業共済事業団の新設、特別小口保険制度の創設等、小規模事業対策に特に重点を置いて予算を増額いたしたわけであります。

 さらに、税制面におきましても、さきに申したとおり、中小企業者の税負担の軽減に配意いたしましたほか、予算及び財政投融資計画を通じ、農林漁業及び中小企業金融の円滑化のため、政府関係金融機関等において、新規融資ワクの大幅な拡大をはかることにいたしたのであります。国民福祉の向上をはかるため、経済力と調和を保ちつつ社会保障諸施策を推進することは、福祉国家にとって重要な使命の一つであります。このため、生活扶助基準の引き上げ、福祉年金制度の改善等を行なうとともに、低所得階層の妊産婦、乳幼児に対するミルクの無償給付を開始して、低所得者層に対する施策について、その一そうの充実を期することといたしたのであります。

 医療保険につきましては、国民健康保険の世帯員に対する七割給付の着実な推進をはかりますほか、既定の方針に従い、財政再建対策を講じますとともに、政府管掌健康保険等について、この対策を円滑に実施するため、特別の補助を行なうことといたしたのであります。恩給につきましても、民生安定の一環として、昭和四十年十月から三カ年計画で、恩給年額の改定等の改善を行なうことといたしたのであります。

 なお、産業構造の変化等に即応いたしまして、雇用対策を強化し、労働力の流動性を高めることといたしております。

 調和のとれた国民生活と住みよい社会を築くためには、衣食に比べ従来立ち遅れを見せていた住宅及び生活環境施設をすみやかに整備することが当面の急務であります。まず、住宅につきましては、予算及び財政投融資を大幅に増額して、政府施策住宅建設の促進と質の向上につとめるとともに、特に勤労者持ち家住宅の建設を推進するため、住宅供給公社の発足を予定いたしておるのであります。また、生活環境施設につきましては、上下水道、終末処理施設等に重点を置いて、その整備を促進いたしますほか、公害防止事業団を新設する等により、公害対策にも格段の配慮を加えることといたしたのであります。

 文教を刷新して健全な青少年の育成と人的能力の開発につとめるとともに、科学技術を振興して現下の要請にこたえることは、政府の責務であり、従来とも最も意を用いてきたところであります。これがため、昭和四十年度におきましては、引き続き教育水準の向上と教育環境の整備を推進するとともに、父兄負担の軽減にも配慮を加えることといたしたのであります。また、昭和四十年度以降に予想される大学志願者の急増に対しましては、国立大学の定員及び施設の拡充と私立学校振興会に対する財政投融資の大幅な拡充等により対処することといたしておるのであります。さらに、最近の科学技術の動向にかんがみ、原子力平和利用、産業公害防止等の重要研究を推進して、科学技術の一そうの向上を期することといたしたのであります。

 次に、公共投資につきましては、引き続き、社会資本を計画的に整備し、地域格差の是正につとめる等、その拡充をはかることといたしておるのであります。すなわち、道路整備につきましては、新たに石油ガス税を創設して道路整備財源の充実をはかる等、道路整備五カ年計画の重点的かつ着実な推進を期しておるのであります。次に、治山、治水対策及び港湾整備につきましては、新たに昭和四十年度を初年度とする新五カ年計画を策定して、事業の大幅な進捗をはかることといたしたのであります。また、将来の航空機輸送の増大に対処して、新東京国際空港公団を設立することといたしております。なお、日本国有鉄道につきまして、安全輸送の確保と輸送力の増強をはかるため、工事規模を大幅に拡充するとともに、日本電信電話公社につきましても、電信電話施設の整備拡充をはかることといたしたのであります。

 さらに、新産業都市の建設等、地域開発の促進のため、予算及び財政投融資の配分につき重点的に配意するとともに、新たに新産業都市等建設事業に対し、特別の財政援助を行なって事業の促進をはかることといたしておるのであります。(拍手)

 輸出の振興等により国際収支の改善をはかり、また、国際経済協力を推進することの重要性は、さきに述べたとおりであります。このため、企業課税の軽減を行なうことにより、一般企業の国際競争力の強化をはかるほか、日本輸出入銀行を通ずる輸出金融を大幅に拡充いたしますとともに、日本貿易振興会等の事業活動を強化すること等によりまして、一段と輸出の伸長を期することとしております。同時に、貿易外収支については、外航船舶建造量の大幅な増加等をはかって、その改善に資することといたしているのであります。また、海外経済協力基金に対し追加出資を行なう等、経済協力体制の整備充実につとめることとしておるのであります。以上のほか、流動する国際情勢に対応して外交活動の強化充実をはかりますとともに、国力に応じた防衛力の自主的かつ計画的な整備につとめることといたしたのであります。

 また、法秩序の維持と交通安全の確保に資するため、司法活動の強化、警察力の充実等につきましても、相当の配慮を加えておるのであります。

 地方財政は、しばらく良好な推移をたどってまいったのでありますが、最近、地方税収入等の伸びの鈍化、人件費等経常的経費の増加等、悪化の傾向が見られるのであります。これが改善は、歳出増加を極力抑制するなど、本来地方団体自身の努力に待つべきものでありますが、国といたしましても、困難な財源事情にもかかわらず、今後における地方財政の一そうの健全化をはかる見地から、今回、特に地方交付税の率を現行の二八・九%から二九・五%に引き上げることにいたしたのであります。これにより、地方債の増額等と相まって、地方の行政水準と住民福祉の一そうの向上が期待される次第であります。(拍手)

 財政投融資につきましては、以上、それぞれの項目においても触れたところでありますが、計画の策定にあたりましては、住宅の建設及び生活環境施設の整備、農林漁業及び中小企業関係金融の充実に重点を置くとともに、輸出の振興及び道路、鉄道等、社会資本の強化等にも特に配意いたしておるのであります。

 次に、今後の金融政策について申し述べます。過去一年にわたる調整の過程を通じて、行き過ぎた企業規模の拡大は必ずしも収益の向上をもたらすものでないということが、広く経済界に認識されつつあります。(拍手)企業の側にあっては、経営の重点を量的拡大から質的充実に移して、資金需要を適正化しつつ、その体質の改善を一そう推進することを切望してやみません。(拍手)金融の側におきましても、過去の金融緩和期に見られたように、積極的な貸し進みによって折角落ちつきを見ている経済の基調をくずすことのないよう、慎重かつ堅実な融資態度を固めることを期待するものであります。政府といたしましても、このように金融情勢が落ちついていくことを見きわめつつ、金融の正常化の条件を順次整えてまいりたい所存でございます。

 長期資金の確保によって企業の資本構成を是正することは今日の急務であり、このため、貯蓄の増強と資本市場育成をはかることの重要性は一そう高まりつつあるのであります。この見地から、政府といたしましては、今回、企業及び投資家に対する一連の税制上の施策を実施することとしているのでありますが、今後とも、資本市場を拡大強化するため、公社債市場の育成、証券金融の拡充等、各般の施策を積極的に推進していく所存であります。(拍手)

 なお、資本市場の健全な発展が、企業、投資家及び証券業者の、それぞれの立場における努力とくふうに待つものであることは申すまでもないところでありますが、特に、証券業界の体質改善とその機能強化が今日ほど急がれているときはないのであります。政府といたしましても、証券業の登録制を免許制に切りかえて、その経営基盤と信用の強化をはかる等、所要の措置を講ずる所存であります。

 国際経済面におきましては、かねてより各国間に検討が進められている国際流動性問題は、先般のIMF、世銀の東京総会において、IMFの増資に関する決議が採択されたことを契機として、新たな進展を遂げたのであります。一方、先般来の英国の国際収支危機に際しては、世界の主要国は、英国のIMFからの資金引き出しにあたり、初めて一般借り入れ取りきめを発動し、また、重ねて緊急借款を供与するなど、国際金融協力はますます緊密となりつつあるのでありますが、わが国といたしましても、積極的にこれらの協力に参加し、応分の寄与をいたしておるのであります。

 また、今日、開発途上にある国々に対する経済協力は、世界経済の拡大発展のためにますます重要となっておるのであります。わが国としては、国連貿易開発会議における諸決議において取り上げられているような諸問題、及び、ガットにおいて後進国貿易拡大のためにその規定と機構を改正する問題等にも考慮を払いつつ、国力の許す範囲内で協力と援助を行なっていきたい考えであります。ことに、アジア諸国は、地理的にも経済的にも、わが国とは最も密接な関係にありますので、援助を行なうにあたっては、これら諸国を中心に考えていきたいと存じておるのであります。(拍手)

 なお、かねて懸案となっておりました、ガットにおける関税一括引き下げ交渉は、今般例外品目表の提出を終わり、いよいよ本格化する運びとなっております。この一括引き下げ交渉につきましては、世界経済の発展とわが国貿易の伸長という見地から、わが国としては、かねて積極的に参加する態度をとってきたのでありますが、今後もできる限りこれに協力していきたいと考えておるのであります。もちろん、交渉にあたっては、国内産業に対する影響に十分配慮するとともに、わが国の受ける利益と相手国に与える利益の均衡を確保するよう留意する所存であります。

 以上、財政金融政策の基本的な考え方と予算の大綱を御説明いたしました。初めに申し述べましたとおり、本年に始まる昭和四十年代は、わが国が国際経済社会の主要な一員として、さらに経済力の充実進展をはかり、世界の繁栄にも一そう積極的な貢献をしていくべき時期であります。日本国民がこの際決意を新たにし、戦後二十年にわたる経済発展の成果とそれに基づく自信の上に立って真剣な努力を続けるならば、経済の一そうの成長及びそれと調和のとれた豊かな社会の建設は必ず実現されるものと確信する次第であります。(拍手)

 田中角栄の国会発言を確認する。「第48回国会衆議院本会議第6号(1965/01/28、30期)に於ける田中角榮発言」は次の通り。
 私からお答え申し上げる第一は、選別融資の方向にあるというが、かかる重点的、効率的な融資のルートをつくるとすると、中小企業や農業のような金融に圧迫がこないかという御心配でございますが、選別融資ということは、単に政府が資金の統制をしようなどという考えではなく、業界において自主的に、より効率的な資金ルールをつくりたいという考えでございます。誤解のないようにお願いいたしたいと存じます。

 なお、中小企業や農業の合理化金融等につきましては、特に政府は重点を置いておりまして、中小企業につきましては、中小三機関の融資資金の拡充その他条件の緩和等、十分な配慮をやっております。農業等の低生産部門の近代化、合理化に資するための融資につきましても、農林公庫の資金量の拡大その他の処置をとっておりますから、民間資金の融資ルールをきめるということが、よしんば行なわれたとしても、中小企業や農業に対する融資が圧迫せられるというようなことはございません。

 第二は、国際収支の問題であります。国際収支につきましては、御承知のとおり、貿易収支は昨年の七月、経常収支は八月に、おおむね均衡がはかれるようになったわけでございます。米国の利子平衡税等のいろいろな難関があったにもかかわらず、金融引き締めその他わが国の産業界及び国民の努力によって、国際収支はだんだんとよくなる方面にあることは御承知のとおりでございます。ちょうどこの三月、年度間を通じまして、当初政府が見通しました総合収支じりの赤字は一億五千万ドルということでございましたが、おおむねこれをゼロにし、二千万ドルないし五千万ドル黒字に転換をするという見通しでおおむね間違いがないと思います。長期的な見通しにつきましては、御承知のとおり、ドル防衛が行なわれておりますし、ポンド不安等もございますので、去年の十二月対前年度比三〇%以上も輸出が伸びたというような甘い考えではおれないと思いますが、少なくとも一五%ないし二〇%の輸出増を続けるように各般の施策を行なってまいる予定でありますので、国際収支の長期的な見通しは、楽なものではありませんが、明るい道をたどるべく全力をあげるべきだと考えるのであります。

 
なお、減税につきまして社会党案の御説明がごさいましたが、私も十分拝承いたしております。まあ、社会党案といわなくても減税はできるだけいたしたいということが、わが党内閣のずっと長いことの姿勢であります。過去十年間に延べ一兆二千億、現在の数字に換算すると約十兆円にも及ぶ大きな減税が行なわれておるわけであります。なお、今年度の減税につきましても、一般の減税額は、平年度九百二十二億円でございます。国税の総減税額千百五十一億円に比べますと、八〇%以上の所得税を中心にした一般的減税を行なっておるのでございます。最終案をきめますと、大体いつも文句がございますが、半年くらい前のことを考えていただくと、現在の状態において可能な限り最大の減税をやったということが理解いただけると思います。税制調査会の皆さんが四十年度の減税案をつくりますときには、四千五百億の自然増収の初年度二〇%、九百億の減税ができれば最大だということを国民各位に明らかにいたしておるわけであります。しかも、現在まで八〇対二〇、七〇対三〇という一般減税と企業減税その他との比率をもって計算をしましても、少なくとも、平年度九百二十二億を上回るような所得税を中心にした一般的減税が行なわれると想定した人はないと思うのであります。自然増収四千五百億に満たない状況にもかかわらず、ただいま申し上げましたような減税案をつくったのでありますから、政府の減税に対する熱意のほどは十分御理解いただけると思うのであります。(拍手)社会党の皆さんがおつくりになったような減税案も検討いたしてみましたが、これは、標準世帯を六十万円まで免税したいというときには、五十万円程度しかできなかったときに六十万円までやりなさい、今度は六十万円に近い五十六万数千円と課税限度額が上がりましたので、今度は八十万円、非常に御鞭撻を願っておるものと考えまして、われわれも将来十分検討してまいりたいと考えるのであります。

 第四に、租税特別措置法を廃止して、そして一般的減税を行なえということを言われましたが、租税特別措置法というのは必要があってやっているものであります。中小企業をもっとよくするために、また農業をもっと平準化して、もっとレベルアップするために、日本の国際競争力を築くために、どうしても必要なものとして租税特別措置法があるのであります。これを廃すということは、一体可能なことかどうか、静かにお考えいただきたいと思います。

 特に資本市場の育成や、貯蓄の増強に対しての減税は廃止すべしということを申されましたが、物価安定ということをほんとうに考えますと、物価が安定しないところに貯蓄の増強はできないのであります。同時に、貯蓄の増強ができなければ物価の安定はむずかしいのであります。こういう事実を考えるときに、物価の安定だけ声を大にせられながら、物価安定に資する健全消費とか、貯蓄増強とか、資本市場の拡充とか、国際競争力の培養とか、こういうものに対する特別措置を廃止せよということはうなずけないのであります。いずれにいたしましても、日本の置かれておる国際的な状態を十分考えながら、将来のために、百年のために大道を開くという気概で減税に対しても取り組んでおるのであります。(拍手)

 田中角栄の国会発言を確認する。「第48回国会衆議院本会議第7号(1965/02/12、30期)に於ける田中角榮発言」は次の通り。
 購入飼料のうち、ふすま、トウモロコシ等については、その全量を国が管理すべきだというお話でございましたが、ただいま農林大臣からお答えしたとおりでございます。ただ、トウモロコシについて食管でこれを管理するということについては、適当でないという考えでございます。しかし、異常な需給の逼迫等に対処いたしますためには、四十年度におきまして新たに政府が十五万トンの調整保管を行なうことにいたしておりますので、需給の安定は確保できるという考えでございます。

 第二点の、ふすまの払い下げ価格の十七円値上げを見込んだ問題でございますが、この点につきましても、農林大臣から申されましたが、裸三十キログラム当たり十七円を値上げして、六百三十四円とすることを予定いたしておるわけでございます。これは民間の一般ふすまとの価格差が著しく大きくなることによる流通上の摩擦等を考慮したものでございます。この程度の値上げであれば、流通市場中に占める政府の売り渡しふすまの比率等から見まして、一般の飼料価格に大きな影響を及ぼすとは考えられませず、また、畜産振興上の障害もないものと考えておるのであります。(拍手)

 田中角栄の国会発言を確認する。「第48回国会衆議院本会議第9号(1965/02/19、30期)に於ける田中角榮発言」は次の通り。
 国土保全、水源涵養その他に対して事業遂行上必要な財源を確保することに対しては、積極的な姿勢をとっておるわけであります。今回御審議をいただいております治山治水一兆二千八百七十億円の案は、御承知のとおり、中期経済計画の中の数字とも符合いたしておりますし、これからの五カ年間のこの種計画としては、相当大きいものであると考えておるわけであります。

 今度の治山治水の五カ年計画は、歴史の上でも非常に大きな一つの革命的なものであることは、御承知のとおりであります。第一は、明治二十九年に河川法が制定せられたとき、第二は、戦後、治水十カ年計画が初めてできまして、特別会計制度を設置したことであります。第三は、新河川法の改正と治山治水五カ年計画の策定という、治山治水の歴史の上で大きな段階を画したということは、御承知のとおりであります。
これが年次計画の遂行に必要な財源は、交際費に税金をかけるとか、公債を発行するとか、いろいろな御提案がございましたが、かかることをしなくとも、十分確保してまいります。(拍手)

 田中角栄の国会発言を確認する。「第48回国会衆議院本会議第10号(1965/02/23、30期)に於ける田中角榮発言」は次の通り。
 国と地方財政の健全化につきましては、国も地方も十分前向きで検討していかなければならないことは論をまちません。また、国と地方との財政の関連性につきましても、密接不可分のものでございます。ただ、ここで申し上げておきたいことは、いままでは高度成長が続きましたので、地方財政計画と相当大きな遠いのある決算が行なわれました。三十七年等は、地方財政計画と七千億、八千億の差もあったわけでございますが、これからは安定成長期に入りますので、自然増収を大きく見積もることができないわけであります。その意味におきまして、地方財政計画も国の計画とあわせ、十分健全化に向かっていかなければならぬと思います。

 ただ、地方財政の健全化ということを考えますときに、国があらゆることを措置すればいいということを端的に言われる方がございますが、しかし、三兆六千五百八十億円の国の予算の中で、実際に交付税として七千数百億が地方に交付されております。同時に国の支出金が約一兆円近くあります。でありますから、三兆六千五百億円という国の予算の中から一兆七千五百億を差し引くと、国のほんとうの予算は一兆九千億、こういうことになるわけであります。また、三兆六千百二十億円のうちから、国に納付する金額は約五百億であります。ですから、現在の状態においてすでに地方財政は国の約倍であります。ですから、この事実を十分踏んまえながら、国も地方財政も密接な関連を持ちながら健全化に努力していかなければならないことは言うをまたないのであります。

 なお、先ほど、第二点として、約千件にわたる補助金等の件数を申されましたが、補助金等合理化審議会の答申を尊重いたしまして、三十八年九百十六件であったものが、三十九年に八百五十七件、四十年度、ただいま御審議をいただいております予算では七百八十三件、三十九年に比べまして七十四件の合理化を行なっておるわけであります。(拍手)
 先ほど総理大臣からおおむねお答えいたしましたが、地方財政の健全化ということは、国も地方も同じ考え方で健全化をはかっております。ただ、先ほど御指摘になりました数字を少し詳しく申し上げますと、税収の割合は地方財政で四一%でございますが、交付税と譲与税を合わせますと、一般財源は六二%になります。あとは全部起債のような感じが出ておったようでございますが、国庫支出金が二七%ございます。雑収入が七%ございまして、地方債は五%でございますので、国家財政と比べてアンバランスであるということは言えないわけでございまして、地方財政も健全な姿であると考えておるのであります。

 それから、地方債の問題についても総理大臣がお述べになりましたが、国も地方も、地方債以外の歳入をもってまかなうことを原則にいたしておりますが、国と違いまして、地方公共団体は規模が非常に小さいので、将来にわたって償還を必要とするというような事業を行なう場合、地方債によるということは、その性質上やむを得ないと思います。しかし、これが健全性を阻害するものでないということは、その性質上明らかでございます。

 外債につきましては、総理大臣からお答えがありましたから、これは省きます。

 それから、たばこの専売納付金を地方へ交付せよということでございますが、御承知のとおり、たばこの財源は、電気ガス税の代替財源としても相当使ってまいりましたし、国の財政の事情を見ますと、いまこれを地方に交付する、移しかえをするという考えはございません。なお、公営企業に対して利子補給を行なうか、もしくは金利を下げるようにということでございますが、現在の資金運用部資金のコストの状況を考えますと、公営企業に対する金利を引き下げるというような状態ではないのであります。

 最後に、地方と国との会計年度の問題についての御質問がございましたが、しかし、国と地方とはどうしても年度が一つでなければならないという考え方でございます。ただ、行政制度調査会等の答申もございますが、国を暦年度にするという考え方につきましては、私は、個人的に、こういう問題は、その方向で検討を必要とするという考えでございます。(拍手) 

 田中角栄の国会発言を確認する。「第48回国会衆議院本会議第11号(1965/02/26、30期)に於ける田中角榮発言」は次の通り。
 第一の住民税につきましては、いま自治大臣がお答えをしたとおりでございますが、ただ、現行制度の中で高額所得者に累進的課税をとったらどうかということでございますが、御承知のとおり、税制調査会の答申にも、市町村民税につきましては、その性格にもかんがみ、現行の税率における累進度は緩和することが望ましい、こういう答申を得ておるのでありまして、政府も、そのような考え方に立っております。

 電気ガス税につきましてもお答えがございましたが、これは生産コストにはねかえる率が五%以上というものに対して電気ガス税の減免を行なっておりますし、しかも、効果があがったものに対してはこれを随時はずしておる、改廃をいたしておりますので、現在の電気ガス税を大幅に変更するという考えはございません。自動車税の増徴の問題、なお石油ガス税の創設等につきましても御質問がございましたが、自動車税につきましては、物価にはね返らないよう、また中小企業等の状態も十分考えまして、大型バス等、直接中小企業と関係のないもののみに限って値上げを行なうということにいたしております。また、石油ガス税の問題につきましては、現行のタクシー料金が石油ガスがあまり普及していない当時、石油ガスよりも燃料コストの高い揮発油が自動車の燃料とされておったのでございます。そういう状況を基礎として計算されておりますので、自動車用の石油ガス税を新設いたしましても直ちに自動車料金等にはね返るということは考えておりません。(拍手)
 所得税法案、法人税法案、及び租税特別措置法の一部を改正する法律案の趣旨を御説明申し上げます。政府は、昭和四十年度の税制改正の一環として、国民負担の現状に顧み、中小所得者を中心とする所得税の負担の軽減及び企業課税の軽減を行なうとともに、納税者の理解を容易にする見地から、現行の所得税法及び法人税法の体系的な整備と平明化をはかるため、この両法について全面的な改正を行なうこととし、また、最近の経済情勢に応じ、当面要請される諸施策に対応する税制上の特別措置を講ずるため、ここに所得税法案、法人税法案、及び租税特別措置法の一部を改正する法律案を提出した次第であります。

 まず、所得税法案の内容について、その大要を申し上げます。第一は、中小所得者を中心とする所得税負担の軽減をはかることであります。すなわち、基礎控除を現在の十二万円から十三万円に、配偶者控除を現在の十一万円から十二万円に引き上げることとするほか、扶養控除につきましても、十三歳以上の者の控除額を現在の五万円から六万円に、十三歳未満の者の控除額を現在の四万円から五万円に、それぞれ引き上げることとしておるのであります。また、最近における給与所得者の負担の現状に顧み、給与所得控除について、定額控除を現在の二万円から三万円に、控除率二〇%の適用範囲の限度を現在の四十万円から五十万円に、最高限度額を現在の十四万円から十五万円に、それぞれ引き上げることとしておるのであります。さらに、最近における一般的給与水準の上昇等を考慮しまして、青色申告者及び白色申告者の専従者控除について、それぞれ三万円ずつ引き上げることといたしておるのであります。以上申し述べました諸控除の引き上げにより、所得税が課税されない所得の限度は、夫婦子三人の計五人家族の標準世帯を例にとりますと、給与所得者では現在の約四十八万円から約五十六万円に、事業所得者のうち、青色申告者につきましては現在の約四十三万円から約五十万円に、白色申告者につきましては現在の約三十七万円から約四十二万円に、それぞれ引き上げられることになるのであります。このほか、医療費控除について、現在十五万円とされております控除限度額を三十万円に引き上げることとし、また、少額貯蓄非課税制度につきましても、非課税元本の限度額を現在の五十万円から百万円に引き上げることといたしておるのであります。

 第二は、納税者の理解を容易にする見地から、規定の体系的な整備と表現の平明化を中心とする税法の整備をはかるため、現行所得税法の全面的な改正を行なうこととしたのであります。この全面的な改正にあたっては、租税法律主義をたてまえとしつつ、同時に、一般の納税者にわかりやすい法令体系にするため、現在政令または省令で規定されている事項で重要なものは法律において規定することとするとともに、規定の配列、表現の平明化等についても理解しやすいものにするよう配意しております。また、このほか、課税標準及び税額の計算並びに申告、納付及び還付の手続に関しましても、所要の整備、合理化をはかることといたしております。

 次に、法人税法案の内容について、その大要を申し上げます。まず第一は、中小法人を中心とする法人税負担の軽減をはかることであります。すなわち、各事業年度の所得に対する留保分の法人税率を、普通法人にあっては、年三百万円以下の所得金額について現在の三三%から三一%に、年三百万円をこえる所得金額につきましては現在の三八%から三七%に、公益法人、協同組合等にあっては、現在の二八%から二六%に、それぞれ引き下げることといたしますほか、同族会社の課税留保所得を計算する場合の控除額を、現在の所得金額の二〇%と百万円とのうち、いずれか大きい金額から、所得金額の二五%と百万円とのうち、いずれか大きい金額に引き上げることといたしておるのであります。第二は、所得税法の場合と同様、納税者の理解を容易にする等の見地から、法人税法の全面的な改正を行なうこととしたことであります。

 次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案の内容について、その大要を申し上げます。第一は、利子所得及び配当所得の源泉徴収税率の軽減措置につき、現在の五%の税率を一〇%に引き上げて、なお二年間存続することとする一方、資本市場の育成等に資するため、利子所得の分離課税の特例の適用期限を二年間延長することとなし、また、新たに、配当所得について次のような措置を講ずることにいたしておるのであります。その一は、昭和四十年一月一日から二年間に支払いを受ける株式配当金のうち、一銘柄につき年五万円以下のものは確定申告を要しないこととすることであります。その二は、昭和四十年五月一日から二年間に支払いを受ける株式配当金については、一銘柄の所有株式数が発行済み株式総数の五%以上の株式の配当と、一銘柄につき年五十万円以上の配当とを一除き、一五%の税率による源泉選択制度を創設することであります。

 第二は、鉱産物資源の開発の促進等に資するため、探鉱準備金制度及び探鉱費の特別控除制度を創設し、昭和四十年四月一日から三カ年間に限り、これを認めることにいたしておるのであります。

 第三は、国際競争力の強化等に資するため、技術等海外取引の特別控除制度の適用対象に、新たに対外支払い手段を対価とする建設請負、修理加工及び映画上映権の譲渡等を加えることとしております。

 第四は、中小企業の近代化等に資するため、中小企業近代化資金助成法に基づく一定の共同店舗について、初年度十分の一の特別償却制度を創設することといたしておるのであります。

 第五は、最近における交際費の支出の状況に顧み、法人の交際費の課税の特例について、その損金不算入割合を、現在の三〇%から五〇%に引き上げることといたしておるのであります。

 第六は、農業協同組合等の留保所得の一部非課税措置の特例を、生産事業を行なわない森林組合及び同連合会についても適用することとしておるのであります。

 第七は、山林所得に対する所得税の課税について、昭和四十年一月一日から三年間、再植林費特別控除を行なうこととするほか、山林所得の概算経費率の算定方式の合理化をはかることとしておるのであります。

 なお、以上申し述べましたもののほか、外貨債の円滑な発行及び消化に資するため、特定の利付外貨債の償還差益を非課税とし、また、ブドウ糖の消費促進をはかるため、一定の規格のブドウ糖混和砂糖について、砂糖消費税の税率を軽減し、さらに、中小企業近代化資金助成法の工場等集団化計画の実施にかかる土地の所有権取得登記の登録税及び遠洋区域に出漁する漁船の所有権の保存登記等の登録税について、税率を軽減することといたしておるのであります。また、このほか、昭和三十九年度末に期限の到来する特別措置のうち、特定公共事業の用地の買収等の場合の課税の特例、事業用資産の買いかえの場合の課税の特例、農業生産法人に現物出資した場合の納期限の延長の特例、鉱業用坑道及び造林費の特別償却の特例並びに特殊の外貨借り入れ金等の利子の税率の軽減等について、なお二年間その適用期限を延長する等の措置を講ずることとしておるのであります。以上、三法律案の趣旨について御説明申し上げた次第であります。(拍手)
 まず第一番目は、このたびの税制改正は所得税の減税率が少ない、こういうことでございますが、間々申し上げておりますように、過去十年における減税額の単純累計一兆二千億にも及んでおるのでありまして、その八〇%以上は所得税の減税であるということは、わが党内閣が過去も現在も将来も所得税中心の減税を行なう姿勢に対しては御理解いただきたいと思います。(拍手)

 それから四十年度の減税につきましても、皆さんも十分御承知だと思いますが、いまから半年くらい前の世論は大体四千五百億の自然増収のうちの二〇%、九百億の減税ができるかどうかということに対しては、非常に慎重であったわけであります。しかるに今年度の予算は、そのおおよその評価を裏切って、八百億も所得税中心の減税を行なっておる、こういう事実を御認識いただたいと思います。(拍手)

 それから課税最低限を現在五十六万円という改正案でございますが、これを八十万円に上げてはどうか、私もそうありたいと念じておりますが、何ぶんにも限られた財源の中でございますし、なお財政歳出要求も非常に大きいのでありますので、四十年度は五十六万円、いま御審議いただいておる程度でがまんをしていただかなければならない、こう考えております。

 それから第四点は、法人税率の引き下げをなぜやったかということでございますが、法人税率につきましては、ただ数字の上で外国の法人税率とだけ単純に比較できるものではございません。また、法人税率の引き下げを必要とする理由は十分御承知だと思います。それがどのような状態につながるかといいますと、開放経済体制下におきまして企業の体質改善、国際競争力の強化、企業の内部留保の充実という面につながり、国民全体の利益につながるものと認識をしておるのであります。
 第五点は、法人税率の引き下げは、過剰設備投資をもたらすおそれがないかということでございますが、これはいまの企業の実情、資本市場の実情とか、金融の情勢から考えていただきますと、法人税率の引き下げ分は、当然借り入れ金の返済とか、資本構成の是正とか、より有意義に使われるものと思いまして、設備投資の直接刺激になる要因とは考えておりません。

 第六点は、法人税率の構造について三段階制度をとったらどうかということでございます。これは本来から考えて、世界どこの国でも法人税率は一本であることが望ましい、こういう基本的な考えでございますが、現実的には大企業と中小企業がございますので、税負担の状況を考えながら二段階制がとられております。これを三段階制の採用によってより細分化する方針は、法人税率は一本であるべきという基本的な考えにもとるものでありまして、これを採用する考えはありません。

 それから租税特別措置、特に配当に対する源泉選択制度の問題に対して御指摘がございましたが、私たちは、政府がこのような措置をとることは、真にやむを得ない事態に対処して、国民の将来長きにわたっての利益を確保するために、やむを得ない処置として、あえて御審議をお願いしておるのであります。税の公平論というものは、これは当然税に対しては基本的に考えなければなりませんが、国際的に日本の立場を考える場合と、国内的な理論とはおのずから別にして評価すべきであります。いま日本は、日本人がものをつくって、日本人がこれを消化してはどうにもならないのであります。膨大もない原材料を海外から輸入をしてきて、日本人の英知によって、これを輸出をし、外貨をあがなうことによってわれわれの生活のレベルアップがあるのであります。唯一無二の道であります。昨年の四月一日から開放経済に向かったわけでありますが、いま、戦前六一%の自己資本比率と比較をするときに、二三%を割る状態であります。このような状態で、一体国際自由競争場裏において太刀打ちができるかどうか。まさに民族の運命がかかっておるといっても過言ではありません。(拍手)そういう状態において必要なものとして、この制度を二年間にわたって採用したのでありまして、静かにものを考えられ、国際環境場裏においてみずからの利益を守るために必要な政策として御理解をたまわりたい。(拍手)

 それから現行の徴税制度の面につきましては、中小企業にきびしく大企業には弱いということでございますが、執行に対しては逆な立場をとっております。実地調査の割合を申し上げますと、中小企業に対しましては三八・六%であります。大法人は五六・七%であります。なお実調の件数に対する更正決定の割合を申上げしますと、中小法人は八三・八%であり、大法人は九七・四%であります。でありますから、大法人に甘く中小企業に強いというようなことは絶対にありません。また、そんなことがあってはたいへんであります。

 それから最後に、総理から税法の御審議は慎重にということを申されましたが、四月の一日からこれを適用したい。国民に、ささやかではございますがいいことをしたいという考えで御審議をいただいておるのでありますから、慎重かつすみやかに御賛同たまわらんことをお願いいたします。(拍手) 

 田中角栄の国会発言を確認する。「第48回国会衆議院本会議第12号(1965/03/02、30期)に於ける田中角榮発言」は次の通り。
 政府は、中小企業金融に対して常に配意をいたしておるわけであります。まず第一番目に、四十年度財投による中小三機関の融資額は、御承知のとおり、三十九年度当初に比べまして、二〇%アップの四千三百八十億円でございます。なお、財政資金による買いオペレーション等を行なう場合に、中小企業に対して十分の配慮をいたしておるわけでございます。第二点は、中小企業の信用補完を期しますために、中小企業信用保険公庫への出資金、昭和三十九年四十五億でございましたものを、四十年度六十億円に増額いたしております。また、小規模零細企業につきまして、特別小口保険制度を創設いたしたわけであります。第三は、民間金融機関の問題でございますが、特に中小企業金融への一そうの円滑化を期しております。なお、当面、中小企業対策としましては、倒産、不渡り等の状況を十分把握いたしまして、情勢に即応して機動的な金融措置をとらなければならないと考えておるのであります。最後に、歩積み、両建てにつきましては、過当、不当ともいわれる歩積み、両建てが中小企業に実質金利の負担をもたらしておるということにかんがみまして、日銀及び大蔵省は随時特別監査を行ない、これが歩積み、両建ての排除に努力をいたしております。銀行につきましては本年の五月末、相互銀行、信金につきましては来年五月末をもちまして、歩積み、両建てを排除し、正常な金融確保のために努力をいたしておるわけであります。(拍手)
 中小企業対策につきまして申し上げます。まず、通商産業省所管につきましては、中小企業高度化資金融通特別会計への繰り入れがございます。六十六億八千五百万円でございます。第二は、設備近代化の補助金が五十億円ございます。第三は、小規模事業対策費として十七億四千三百万円計上いたしております。なお、小規模企業共済事業団出資及び補助としての費用を計上いたしております。第五は、中小企業指導事業費といたしまして四億六千四百万円計上いたしております。日本中小企業指導センター出資及び補助として三億七千五百万円計上いたしております。中小企業管理者及び技術者研修事業費補助八千四百万円、機械類賦払信用保険特別会計への繰り入れ二億円、その他四億二千八百万円、計百五十億五千二百万円。大蔵省所管は、御承知のとおり、中小企業信用保険公庫の出資金六十億円でございます。労働省所管につきましては、中小企業労働対策費補助一億三千七百万円、中小企業退職金共済事業団補助三億七千四百万円、建設業退職金共済組合補助八千万円、事業内職業訓練費補助九千百万円、その他合計いたしまして二百十七億九千三百四十二万七千円。

 次に、税制の問題を申し上げますと、来年度の税制改正にあたりまして、中小企業に対し、国税、地方税を通じまして、平年度二百四十億円の減税を行なうことにいたしております。その一つは、所得税の各種控除の引き上げ、特に専従者控除の引き上げでございます。第二は、法人税の軽減税率の二%引き下げ、第三は、同族会社の留保所得課税の軽減、第四は、中小企業近代化資金助成法に基づく小売り商業共同店舗の特別償却、第五は、中小企業者の取得する土地の取得登記の登録税率の軽減、第六は、地方税において、個人事業税の事業主控除の引き上げ等でございます。内容につきましては御承知のとおりでございます。(拍手)

 田中角栄の国会発言を確認する。「第48回国会衆議院本会議第16号(1965/03/11、30期)に於ける田中角榮発言」は次の通り。
 私からお答えをいたします第一点は、現在の医療手当を生活保護的なものを含めたものにすべきではないかということでございます。昭和四十年度におきましては、特別被爆者の範囲の拡大、健康診断の拡充、医療手当の増額等の措置を講じまして、原爆障害対策費総額において、三十九年度より二億九千六百万円を増額しまして、十六億七百万円を計上いたしておるわけでございます。原爆による被害者に対して、生活保護的なものも加味してということでございますが、本件につきましては、生活保護法の制度がありますので、当然これによるべきものだと考えておるのであります。

 第二点は、被爆者の総数が四千余人の少数でありますから、もっと手当の額を引き上げても、財政的に困難ではないじゃないかということでございます。御承知のとおり、原爆医療手当につきましては、三十五年に創設したわけでございますが、三十五年は六百万円でございました。三十六年には一億四千万円、三十七年にも一億四千六百万円、それから三十八年には一億六千万円、三十九年に二億円、四十年に二億二千万円余、このように相当大幅な増額をいたしておりまして、現在の段階ではこの程度だと思いますので、事情十分御了承の上、御納得賜わりたいと思います。(拍手)
 第二問の医療手当の額は、その対象人員が四千人余でありますから、大幅に引き上げても、財政的にさしたる困難はない、こういうことで、大幅引き上げの御要求があったわけでございます。本件に対する私の先ほどの答弁の中で、数字に間違いがございましたので、追加して御答弁を申し上げるとともに、この数字の訂正もお願いしたいと思います。医療手当は、原爆被爆者の特殊性を考慮するものとして昭和三十五年度に創設せられたものでございますが、そのたてまえは、原爆症患者の医療効果の促進をはかることを目的としておりまして、生活の保障を行なうものではないということでございまして、その増額についてはおのずから制約があるわけでございます。このような関係で、この金額は創設以来据え置かれてまいったわけでございますが、四十年度からは、諸般の事情の変化をも十分考え、その趣旨に従いまして、現行定額に対し許される限りの再検討を行ないまして、一挙に五割の増額をいたしたものでございます。その金額は先ほど申し上げましたが、金額を訂正いたします。三十五年度は六百万円、三十六年度は一千四百四十万円余、三十七年度も千四百万円、三十八年度は一千六百万円、三十九年度は二千万円、四十年度は二千二百三十九万九千円でございます。政府としましては、以上のようなたてまえのもので、できる限りの努力を払ったのでございまして、よく事情を御理解の上、御納得いただきたいと思います。(拍手)
 財政法の一部を改正する法律案の趣旨を御説明申し上げます。この法律案は、国の財政の効率的な運営をはかるため、財政法第六条に規定する公債または借り入れ金の償還財源に決算上の剰余金を繰り入れる措置について特例を設けることとし、あわせて財政制度審議会の構成について所要の改正を行なうことを内容とするものであります。

 以下、その改正の要点につきまして御説明申し上げたいと存じます。まず、財政法第六条の規定によりますと、前々年度の歳入歳出の決算上の剰余金の二分の一以上を公債または借り入れ金の償還財源に繰り入れなければならないことになっておるのでありますが、本規定が設けられました終戦直後と異なり、現在では、国債残高が相対的に大きく減少しておりますこと、及び決算上の剰余金の二分の一以上を常に国債償還費として固定化してしまうことは一般会計の財源配分上制約が大きいこと等の事情を考慮いたしまして、来年度予算におきましては、暫定的な特例措置として、国債償還財源への繰り入れ率を「二分の一を下らない率」から「五分の一を下らない率」に変更し、財政運営全般の効率化をはかることといたしたのであります。また、国債整理基金の現況より見まして、この程度の変更であるならば、今後二年間程度は国債償還には支障がないと認められますので、本特例措置を二カ年度間に限り行なうこととした次第であります。

 次に、財政制度審議会につきましては、国の予算、決算及び会計の制度に関する重要な事項を調査審議することになっておるのでありますが、今後、前に申し述べました剰余金の処理の問題を含め、財政会計制度全般にわたって本格的な検討を進め、また、臨時行政調査会の答申に述べられてあります諸問題等を専門的に調査審議するために、広く有識者の参加を得ることができますよう、委員を増員するとともに、所要の規定の整備を行なうこととしておるのであります。以上、財政法の一部を改正する法律案の趣旨について御説明申し上げた次第であります。(拍手)
 今般御審議をいただく財政法の改正点は二点でありまして、その中で問題にせられておるものは、前段の第一点でございます。それは、剰余金の二分の一を国債整理基金に繰り入れなければならないというのを、二カ年間に限って五分の一にする、こういうことだけでございます。一体、二分の一ということと、五分の一ということに際して、財源が全然なくなったから赤字公債でも発行しようという前段の体制として五分の一にしたのだ、こういうことでございますが、率直に申し上げまして、いまも総理が申されましたが、無制限に国債整理基金に繰り入れを必要とするわけではございません。国債の残高が多くなる場合に、この国債償還に必要な財源を繰り入れるという財源確保のためと、もう一つは、財源が一般会計の財源として余った場合、これをたな上げをするという立場でこの制度がつくられたことは御承知のとおりでございます。ところが、この制度をつくりました昭和二十二年当時は、一般会計の規模と借り入れ金を含む国債の割合は一体どの程度だといいますと、一・四六%でございました。それが三十八年には〇・二一%になっておるのであります。しかも、国債の現在高に対するその年度の繰り入れ額というものの割合を見ますと、昭和の初年、昭和二年は二・九五%でございました。ところが、昭和四十年度に現行の繰り入れ率二分の一を使いますと、八・三九ということになるのであります。それを五分の一に少なくしましても三・三六、こういうことで、先進諸国に比べましても、国債残高の非常に少ない日本としては、このような制度をそのまま使うことは、これは健全ではなく超健全ということでございます。現在どうかといいますと、皆さん御指摘になるとおり、いろいろな歳出の要求もあるわけでありまして、財源の効率的運用という面から見ましても、二年間五分の一にしていただく、こういうことで、ひとつ十分御理解をいただきたいと思います。要らないところに――まあ要らないところというわけじゃありませんが、少なくともいますぐ使わないところに全部たな上げをしておいて、そして財源がないから中小企業も農村政策もできないというならば責めらるべきでありますが、必要な財源に対して十分確保をして諸般の施策を行なうというのでありますから、政府が当然とるべき姿勢であると思います。(拍手)

 それから、政府は本件を契機にして赤字公債というものにつながるのではないかという御指摘でございますが、内国債の発行に対しても非常に慎重な態度をとっておることは御承知のとおりであります。もちろん、赤字公債などの考えは全く持っておりません。

 それから、一般会計から産投会計へ繰り入れておりました原資を削減して利子補給の制度を使ったことは憂慮すべきことである、不健全財政につながるものだということでございますが、御承知のとおり、いままででも利子補給の制度はとっておったわけでございます。しかし、利子補給というものが安易に流れると、将来の負担が非常に大きくなりますので、その政策効果を十分考えて利子補給制度をとったことは御承知のとおりであります。でありますから、農業問題及び天災融資法による利子補給というようなものに限っておったわけであります。また、その当時は、政府が企図したものよりも高度の成長を続けましたために、税収における自然増収が十分確保されたわけであります。でありますから、一%の農業の金融に対して利下げを行なうという場合に、これに対する原資を何十億、何百億と、こういう繰り入れの方針をとってまいったわけでありますが、これも、あり余るような状態のときは、そういう方法も、健全の名において、ある意味における超健全の施策がとられたわけでありますが、だんだん安定成長になって、乏しい、限られた財政の中で、より効率的な財政運営を行なおうとすれば、このような措置を導入することも正しいことであります。しかも、一般会計と合わせて財政投融資の中で、国民の蓄積資本である民間資金の導入が行なわれ、バランスある投資が行なわれるということも、ある意味において正しいことだと考えます。しかし、これを無制限に利子補給制度を拡大していくということは、将来の国民に対する負担を大きくすることでありますから、かかるものに対しましては、政策効果を十分見きわめて、慎重な態度をとるべきだと考えております。(拍手)

 それから、野党用の財源を設けよということでございますが、これは、内閣の予算編成権との問題もございまして、非常にむずかしいと思います。しかも、総理が申されたとおり、国会は与野党を含めて修正権をお持ちであるわけでありますので、現在の状態において、予備費を千億に増して、その半分を野党用、修正用ということは、法律の趣旨から考えてもできにくいことだと思います。

 それから、最後に一点申し上げますが、このような利子補給の制度をつくったり、また財政法の繰り入れ限度額を低くすることは、これは赤字政策につながると言いますが、これは全く逆であります。日本の経済発展が非常にたくましく行なわれまして、その過程において健全財政政策がとられてきましたために、現在の時点において償還しなければならない国債の残高は非常に少なかったということは、経常収入をもってまかなってきた、いわゆる高度成長の過程において健全財政が維持されたという証左でありまして、この事実を十分御理解、評価のほどを願います。(拍手)

 田中角栄の国会発言を確認する。「第48回国会衆議院本会議第17号(1965/03/12、30期)に於ける田中角榮発言」は次の通り。
 総理大臣から大体お答えがございましたが、二、三補足して御説明申し上げます。第一は、倒産、不渡り手形に対する調査等については、民間機関等に依存しておって、政府は何らの措置をしておらないというようなことでございますが、御承知のとおり、三十九年十月以降、全国銀行協会連合会が、全国の手形交換所で、負債の状態、不渡り手形の状態、また倒産の状態等十分調査をいたしております。政府もこれらの調査に基づきまして十分な措置をいたしたいと考えます。

 第二は、自己責任によらない産業の黒字倒産、連鎖倒産等を防ぐために、不渡り手形の損害救済のための手形保険制度を設けてはどうか、こういう御指摘でございますが、大口倒産による連鎖倒産や黒字倒産を起こしてはならないということにつきましては、各財務局等を通じまして、金融機関との連絡を十分にとりながら、黒字、連鎖倒産等を極力防ぐように措置をいたしております。

 手形保険制度は、社会党の皆さんがこれを要望しておられますが、強制加入にすることもできないわけでありますし、これを任意加入にすれば、信用度の薄いものしか加入しないということになりますから、この保険制度は根本的に成り立たない、こういうことも言い得るわけでございまして、現在、手形保険の制度をつくるということに対しては、にわかに賛成できないのでございます。

 第三は、町の金融機関の金利を安くしなければならないということでございますが、町の金融業者の貸し付け金利につきましては、利息制限法、また、出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律の制限を受けておりまして、金利の最高限が規定せられておるわけでございます。また、この最高限を越えたものに対しては刑事罰が課せられることになっておることは、御承知のとおりでございます。やはり庶民金融の円滑化ということを念頭に置いて考えていかなければなりませんので、この刑事罰の限度をもっと引き下げろということについては、よほど慎重に検討する必要があると思います。

 第四点は、歩積み、両建ての解消による金利負担の軽減の問題でございますが、都市銀行におきましては今年の五月、相互銀行、信金等におきましては来年の五月をめどにいたしまして、過当、不当の歩積み、両建ての解消をはかりながら金利負担の軽減に処してまいりたい、こういう考えでございます。(拍手)
 第一点は、手形の決済期日がくるであろう三、四月の金融の措置を万全に行なわなければならないということでございます。三機関につきましては、先ほど通産大臣が申し述べましたとおり、三十九年度にすでに八百億円の貸し出しワクの追加を行なっております。四十年度におきましては、三十九年当初二〇%プラスでございます。第一・四半期の四−六月の貸し出しワクの設定にあたりましては、実情に即して十分配慮をいたすつもりでございます。なお、民間金融機関に対しましても十分な協力を要請いたしておりますので、万遺漏なくやってまいりたいと思います。第二点は、現行の銀行法の改正の問題でございます。現行の銀行法はもっぱら預金者保護の観点から規定されておりまして、銀行の公的機能の発揮と国民経済における銀行の果たす役割りの重要性にかんがみますと、必ずしも現状に適応したものではないと思います。日銀法の改正に引き続きまして、銀行法の改正成案を得たいと考えておるわけであります。現行法におきましても、集中融資の排除、また預貸率の改善、中小企業向けの融資の強化等、格段の努力をいたす所存であります。(拍手)
 証券取引法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。証券業は、国民経済的立場から見ましてすこぶる重要な事業であります。また、近時、証券投資が普及し、投資者層が広く一般大衆まで拡大している実情にありますので、証券業は社会的にもきわめて公共性の高い事業であるといわなければなりません。このような状況にかんがみ、昭和三十八年六月以来、証券取引審議会におきまして証券会社に関する諸問題について鋭意検討が加えられてまいりましたが、昭和三十九年二月の中間報告を経て、現行証券取引法につき、さしあたって改正を必要とする事項として、証券会社の免許制等の問題について、昭和三十九年十二月二十二日に報告を受けたのであります。

 その後、政府におきまして同報告を中心にさらに検討を重ねた結果、証券会社の社会的地位の向上と投資者保護に資するため、証券業を免許制とし、これに伴い監督規定を整備するとともに、証券外務員について登録制を採用することとし、今回、ここに証券取引法の一部を改正する法律案を提出した次第でございます。

 以下、その改正案につきまして、その大要を申し上げます。まず、証券会社の資質の向上をはかるため、証券業を登録制から免許制に改めることとし、免許の審査基準としては、十分な財産的基礎及び良好な収支見込み、適正な人的構成並びに国民経済的、地域的妥当性の三点を規定し、また、証券業の業務が、性質の異なる数種の業務からなっていることにかんがみ、免許は四種類に区分した業務別に与えることといたしております。

 次に、免許制の採用に伴いまして、登録制が前提となっております現行の監督規定等を整備する必要がありますので、この点を改正することといたしております。そのおもな事項は、免許制採用の趣旨に従い、必要な事項を認可の対象とすること、経営の不健全化等を防止するため、是正保全の命令を行ない得るものとすること、内部留保の充実による経営の安定をはかるため、三種類の準備金の規定を設けること、証券取引に関連する証券会社及びその役職員の行為について特別に規制を行なうこと、証券会社の常務に従事する役員の兼職、兼業を承認事項とすることの五点であります。

 また、外務員の職務が、証券会社の営業所から離れて、単独で顧客に接し、通常、有価証券の売買等の契約まで行なうものでありますところから、外務員が顧客との間で行なう証券取引に対する証券会社の責任を明確にして、投資者の保護と証券業の信用の向上をはかるため、外務員を登録制とし、これを大蔵大臣の監督下に置き、外務員は、証券会社にかわって、有価証券の売買その他の取引に関し、裁判上の行為を除き、原則として、一切の権限を有するものとみなす規定を設けることといたしております。
 なお、これに伴いまして、証券業の免許申請手続、免許の取り消しを受けることとなる事由、外務員の登録手続、欠格事項等を規定し、罰則等について所要の整備を行なうとともに、附則におきまして、改正に伴う経過規定を設け、現在の登録証券業者については、昭和四十三年三月三十一日まで旧法が引き続いてなおその効力を有するものといたしました。以上、この法律案の趣旨につきまして、御説明申し上げた次第であります。(拍手)
 堀さん御指摘のとおり、昨年から証券市場不振をかこっておりますが、中期経済計画を見ましても、これから四十三年まで五カ年間、八・一%ずつの成長を続けなければならないわけであります。また、そうすることによって、その過程においてひずみの是正がはかれるわけであります。いままでの戦後の事業を静かに考えますと、遺憾ながら、金融にウエートを置き過ぎたということは事実でございます。でありますから、オーバーローンの問題が起き、金融は不正常になっておるのであります。金融の正常化をはかるということはだれでも言われますが、金融の正常化をはかってまいりますためには、どうしてもその一方の産業資金の場である証券市場の育成強化をはからなければ、金融の正常化はできないのであります。金融の正常化を行なうということで証券市場はどうでもいいということになれば、産業の成長率をとめる以外にはないのであります。でありますから、証券市場の育成強化、公社債市場の育成強化ということは、まさに、われわれがこれからより豊かな生活を築こうとするならば、最も緊要な施策として取り上げなければならない問題であるということは御承知いただけると思います。いま倒産の問題等がございますが、これも他人資本に依存をし過ぎておったからこういう状態になるのでありまして、堀さんは税制上の改正等御指摘がございましたけれども、日本の金融を正常化し、しかも自己資本比率を上げていくということがいかに必要であるかということに対して、ひとつもう一ぺん静かに評価をしていただきたいと思います。(拍手)

 それから、証券取引法の改正をお願いしておるわけでありますが、取引所の制度についてもう一ぺん改正を考えないかということでありますが、まさにそのとおりであります。これは企業責任の確立とか、公認会計士制度の問題とか、取引所の問題、こういう問題がたくさん総合的に運用せられて日本の市場が育成強化されていくわけであります。答申の法律化につきましても、取引所の制度もできるだけこれに入れたい、こういうふうに考えたのでありますが、一ぺんにこの問題を全部片づけられないということで、まず第一段におきましては証券業者の体質改善をはかるということにいたしました。第二の段階におきましては、取引所の制度、権能等に十分手をつけなければならぬことは、お説のとおりでございます。しかし、法律改正を待つまでもなく、取引所や証券流通制度の問題につきましては、法律だけではなく、現在の状態においても前向きに対処できる問題に対しては、勇気を持って対処すべきだと思います。

 第二の、公社債市場の育成策はどうかということでございますが、これは申し上げるまでもなく、金融の正常化をはかっていき、税制、金融等の問題で対処しながら、特に具体的には金利、発行条件の弾力化というようなものに踏み切っていかなければならぬと思います。なお、証券に対する金融に対しては特に確立をする必要があると思います。

 最後に、投資信託の問題でございますが、確かに一部に慎重さを欠いておったというような面もございます。今後は堅実な運用ということを基本的に指導しなければならぬと思います。元本割れユニットにつきましては、償還期限の延長等をやったほうがいいという人たちもあるようであります。投資を継続したいという人もあるようでありますので、こういう申し出が委託会社からありますれば、無報酬で延長を考慮しようという考えでございます。(拍手)

 田中角栄の国会発言を確認する。「第48回国会衆議院本会議第18号(1965/03/16、30期)に於ける田中角榮発言」は次の通り。
 私からお答えいたしますのは二点でございます。その第一点は、今回御審議を願っております農地管理事業団の構想は、当初の構想よりも非常に後退をして縮小されたということでございます。本件につきましては総理大臣及び農林大臣が詳しくお答えを申し上げましたが、とにかく、農地の流動化を促進し、自立経営農家をつくるために農地管理事業団の制度が開かれることは、画期的なことであります。(「反対したじゃないか」と呼ぶ者あり)最終的には賛成をいたしたわけであります。農地の流動化に対しましては、御承知のとおりいろいろ問題がございますが、流動化促進のためにこの制度を開いたわけであります。しかも新しく大事業を行なうことでありますので、四十年度につきましては、慎重を期するために、農地の売買を行なわず、農地取得のあっせんや資金の貸し付け等を行なうことにいたしたわけであります。しかも当初の四、五年間は、パイロット地区を設定しまして、十分慎重にこれらの成果を見ることは、本制度を採用したことにつきましては当然のことだと考えておるのであります。

 第二の問題は、雇用の促進その他税制上何らかの措置をしたかということでありますが、他産業へ転出を希望する離農者の雇用問題につきましては、職業相談、職業紹介等を積極的に行なっております。特に就職の困難な中高年齢層につきましては、就職訓練を実施いたすに際しまして、必要に応じて手当を支給する等をいたしておるわけであります。また、広域職業紹介による就職者には移転資金を支給する等をいたしまして、就職の促進のための措置をとっております。
 それから、社会保障の問題でありますが、いま農林大臣が申し上げたとおり、社会保障対策の問題につきましても、社会保障制度全般の問題として十分検討してまいりたいと思います。税制上の問題でございますが、農地管理事業団に対して農地等を譲渡した者につきましては、その譲渡所得に対する所得税を軽減する等、税制上において所要の措置を講じておる次第であります。(拍手)

 田中角栄の国会発言を確認する。「第48回国会衆議院本会議第19号(1965/03/18、30期)に於ける田中角榮発言」は次の通り。
 精神衛生対策の予算が不足であるということでございます。しかし、政府は、精神障害者対策の強化ということに対しては、四十年度予算編成にあたりましても最重点施策としてこれを取り上げたわけでございます。一挙に施設を整備できないということにつきましては、財政上の理由だけではなく、御承知のとおり、人的、物的な設備の問題もございますので、財政の許す限りにおいて努力をいたしておるわけでございます。四十年度の予算を見ていただけばおわかりになるとおり、三十九年度に対しまして二二・八%増しの百六十四億円を計上しておる次第でございます。

 第二の問題は、精神衛生法第三十条による問題でございます。新聞に報道せられた群馬県の事件を指摘せられて、国が補助をいたさないために入院患者を強制的に限院させるような事例があるということでございますが、本件につきましては、御指摘のとおり、予算の査定にあたりましては、実情に合った見積もりを行なっておるわけでございますが、実施の過程においていろいろ問題が起こることは間々あることでございます。しかし、御指摘のように、精算補助でございますので、本件に関しましては、国の法律の規定に従いまして不足額を精算して補助をするというたてまえになっておりますし、国もそのように法律義務を果たしておりますので、過程において予算がある意味において不足をするということはございますが、一時地方財政で立てかえをする等によってまかない得るものでございまして、最終的には法律の規定に従って精算補助をすることは御指摘のとおりでございます。(拍手)

 田中角栄の国会発言を確認する。「第48回国会衆議院本会議第21号(1965/03/23、30期)に於ける田中角榮発言」は次の通り。
 私からお答えするものは三点でございます。非常に重要なことでございますから申し上げます。第一点は、政府はこのような施策を行なうための財源をもって健保や地方公営企業の赤字対策等にしてはどうかということでございます。農地改革は、ひとり農民の、農村の民主化、農業生産力の発展のみならず、戦後の日本経済の発展に大きく寄与したことは御承知のとおりでございます。しかしながら、反面において、これが画期的な変革でありましたことから、農地被買収者の中には、その生活や経済状態の大きな変動を来たしましたものが少なくないわけであります。これらの人々は心理的に大きな傷痕を持っておったわけでありまして、この貢献した功績に対して、農地被買収者に対し報償金を上げようということでございます。でございますから、いま農林大臣が述べましたとおり、より広い立場において行なう報償でございますから、他の歳出要求とは別に考えるべきものだと思っておるのでございます。御指摘の諸問題につきましても、もちろん緊要なものでありますから、十分実態に応じて慎重に検討いたしておるわけでございます。

 それから、このような報償を旧地主に与える場合、在外財産に対する補償要求とか、その他いろいろな補償要求が出てきて、他に波及するということでございますが、総理大臣からお答えを申し上げたとおり、本件は直接戦争に関する補償というものではないわけでありまして、私がいま申し上げた農地被買収者の戦後における功績に対する処置でございますから、御理解を得たいと思います。

 それから、この交付公債の発行というものと俗にいう公債発行論、またインフレ要因にならないかということでございます。本件に対しては詳しく申し上げます。いわゆる公債発行論ということは、国の歳出の財源に充てるために発行するものが公債ということでございますが、この交付公債は、全部の額はきめてはございますが、毎年度にわたってこれを交付するわけでございます。でありますから、一般会計の財源に充てるための公債というものとは全然違うということは御理解いただけると思います。また、これが歳出財源を得るというものではなく、一応のワクはきめてはございますが、国債整理基金特別会計からこの問題を処理いたすということでございますので、インフレになるというような問題とは全然違うということは御承知いただきたいと思います。(拍手)

 田中角栄の国会発言を確認する。「第48回国会衆議院本会議第23号(1965/03/26、30期)に於ける田中角榮発言」は次の通り。
 公害につきましては、政府が金を出したり、また地方公共団体が金を出すことによって解決をするという考え方もございますが、公害防止の基本的な責任は企業者であります。でありますから、企業者がこの公害防止に対してもっと積極的に責任を負うようにしなければなりませんし、そのためには法制の整備も必要だと考えます。しかし、現に公害を起こしておりますものにつきましては、国民生活とも重要な関係がございますので、政府もそのままでほっておくわけにはいかないわけでございます。その意味で、開発銀行の中で二十億の融資ワクをつくりまして、七分五厘という低い金利で公害防止施設に貸し出すようにいたしておりますし、また、中小企業金融公庫におきましても、一般ワクの中で、金利七%でこれらの施設に対して貸し付ける道を開いておるわけでございます。また、一般会計におきましても、ばい煙発生とか水質汚濁とか、また、下水道の整備、公害防止技術の開発研究とか、こういう公共的な面における施策の費用としまして百五十五億円の費用を計上いたしております。その上になお今般公害防止事業団の発足を見たわけでございます。初めは百億の要求でございましたが、私は初めはあまり賛成をしなかったのであります。まず、こういうことをする前に、企業責任ということをはっきりして、国や地方公共団体や、また企業が果たさなければならない責任の限界を明らかにすることが私は正しいと考えておったわけでございますが、先ほど申し上げたように、現に国民生活に影響を及ぼしておりますので、最終的に事業団の設立に賛成したわけでございます。将来にわたりましては、自己責任による公害防止とあわせて、政府も事業費の拡大を考えてまいりたいと思います。なお、出資等を行なうかということでございますが、現在は、この事業を行なう事務費につきましては、政府の交付金でまかなうことになっておりますので、さしあたり出資をする考えはありません。(拍手)

 田中角栄の国会発言を確認する。「第48回国会衆議院本会議第26号(1965/04/01、30期)に於ける田中角榮発言」は次の通り。
 私がお答えしますものは二点でございます。その一点は、いま通産大臣からお答えがありましたが、会社更生法の改正につきまして、一定期間に納入した下請代金は共益債権とすべし、こういうことでございます。更生手続前に生じました下請代金は、その他一般の債権との均衡もありますので、現に慎重に検討いたしております。

 第二点目は、関連倒産は災害と同様にして税の減免を行なうべしということでございます。また、下請代金の不渡り手形は全面的に損金扱いにしてはどうかということでございます。災害と同一にするという点につきましては、いろいろ議論もありますが、これは債権の多寡とか、担保の有無とか、こういうものが災害とは違うのでありましで、災害と一律にこれを扱うということはむずかしいと思います。現在におきましては、債務者が手形交換所におきまして取引停止処分になった場合と、それから会社更生法が開始になりましたときに債権者が持っておるものの二分の一を損金に扱うようにいたしております。二分の一以上にわたる部分につきましても、債務者の財産の状況等によりまして、国税局長が承認したものにつきましては損金扱いにできるように現在取り計らっておるわけでございます。なお、その上に納税に困難を生じておるというような場合には、一年間に限りまして納税の猶予もいたしておるわけでございます。でありますから、現在の状態といたしまして、災害とこれを同一に取り扱うということは法制上むずかしいことでございますが、元請の倒産によりまして下請が関連倒産をするという問題は、大きく社会問題でもありますので、これらの問題に対しましてはより前向きに検討すべきだと考えております。(拍手)

 田中角栄の国会発言を確認する。「第48回国会衆議院本会議第28号(1965/04/06、30期)に於ける田中角榮発言」は次の通り。
 第一点は、酪農振興のため補給金財源として、輸入差益金のみではなく、一般会計を主にして負担すべきである、こういうことでございます。御承知のとおり、本法の二十一条に基づきまして、補給金の財源といたしましては、輸入差益金のみに依存をいたすものではなく、予算の範囲内におきまして、畜産振興事業団に対する補給金の財源としては一般会計からも負担する、こういう道を開いているわけでございます。五十億も一体出すか、こういうことでございますが、五十億とか三十億とか、そういう金額で申し上げるよりも、予算の範囲内で可能な限り最大の努力を続けてまいりたい、こう考えるわけでございます。また、食管特別会計のように特別管理勘定の制度を設けてはどうかということでございますが、畜産事業団には、この補給金の交付及び乳製品の輸入に関する業務につきましては特別の勘定を設けて、他の業務とは区分をいたしておるわけでございます。

 それから第二点は、酪農振興をはかるために調整工場の問題、学校給食の問題、また、生活保護世帯等の問題につきましても将来大いにやるかということでございますが、御承知の四十年度の予算を見ていただいてもわかるとおり、学校給食につきましても七十万石に増加をいたしておりますし、また、生活保護世帯等の妊産婦や乳幼児につきましても新しく補助の道を開いておるわけでありまして、今後も酪農振興対策につきましては十分な配慮を続けてまいりたいと思います。(拍手)

 田中角栄の国会発言を確認する。「第48回国会衆議院本会議第30号(1965/04/09、30期)に於ける田中角榮発言」は次の通り。
 第一の問題は、保険給付額のスライド制につきまして、賃金水準が一〇%上下の場合行なうべきであるという問題でございますが、現行の労災補償保険法では、賃金水準の二〇%以上の変動に基づいて給付額の改定を行なうということになっておるわけでございます。この二〇%というのは、労働基準法における休業補償の問題と同趣旨のものでございます。しかし、このところ賃金水準の顕著な上昇等もありますので、最近おおむね二年ないし三年で給付額の改定が行なわれておりますので、受給者の生活水準確保と改善に寄与いたしておるわけでございます。

 年金額改定の基準につきましては、種々の案があることは御承知のとおりでございます。労災保険は、労働基準法との関連も考慮することはもとよりでございますが、他の社会保険制度との関連も慎重に検討を要するわけでございます。その意味で、今回の労災補償保険制度の改正にあたりましては、原則として現行の制度のたてまえを継承することといたしたわけでございます。

 第二の問題は、農民や一人親方等の特別加入につきまして、一般労災保険の別ワクとして国の財政支出が必要であるという御説でございます。一人親方や中小規模の事業主等の加入を認めましたことは、これらの方々が一般労務者と同様な業務災害の危険にあるということを考慮したものでありまして、特に一般労働者に対する取り扱いを越えて特別な国庫補助を行なうことは妥当を欠くものだと考えておるのでございます。第三点目の、全面適用、早期実現のための検討につきましては、総理大臣が申し上げたとおりでございます。(拍手)

 田中角栄の国会発言を確認する。「第48回国会衆議院本会議第38号(1965/04/22、30期)に於ける田中角榮発言」は次の通り。
 私から四点にわたってお答え申し上げます。第一点は、地方の固有財源充実のために、交付税や補助金及び国税の一部を地方に移譲する等抜本的な財源措置を講じてはどうかということでございます。本件につきましては、総理大臣及び自治大臣からただいま申されたわけでありますが、国民の租税負担というものを前提といたします限り、事務配分及び財源配分という問題に結論的には帰一するわけでございます。でありますので、ただに、国の財源を地方に移譲するというだけで解決できる問題ではございません。よって、税制調査会、地方制度調査会等の答申を待ちまして、この線に沿って適正な財源配分を考えておるわけでございます。四十年度におきましても、交付税率を〇・六%引き上げたり、また、石油ガス譲与税等の措置をとりましたのも、かかる措置に出るわけでございます。

 第二の点は、昨年、税制調査会に対して、自治大臣が、自治省から出された二千八百億円の財源を地方に移譲してはどうかという問題に対して、大蔵当局の意向を聞かれたわけでございます。本件は、昨年、税制調査会に対して、自治省から議論の素材として提供せられたものでありますことは事実でございます。しかし、非常に問題が多いので、税調でも本件については結論をいまだ出しておらないのでございます。今後、税調の検討に結論を待ちたいと考えておるわけでございます。

 第三点は、地方団体の超過負担というものが地方財政法違反ではないか、今後どのように解消をはかってまいるかということでございます。この問題は、いつでも御指摘になられるわけでございますが、超過負担が起こらないようにできるだけ努力いたしております。しかし、御承知の国の補助率というものば精算補助を前提といたしておるものではなく、標準的地方団体においてごく能率的に公共事業が行なわれるということを前提にして補助単価を計算いたしておるわけでございます。その意味におきまして地域的物価差、土地の条件等によって予算単価を実施単価がこえることは間々あるわけでございまして、これが調整については補助率の引き上げ等、予算編成時において格段の努力をいたしておることにつきまして御理解を賜わりたいと存じます。しかも、このような事態が起きたからといって、直ちに地方財政法の違反であるということは当たらないと存じます。

 第四点は、地方公営企業及び国民健康保険等の運営に必要な財政的処置について御質問がございました。まず、地方公営企業について申し上げますと、四十年度地方債のワクの中で早急に公営企業関係の起債を決定して充当いたしたいと存じます。四十年度の地方債の計画は大幅に増加いたしました。三十九年の千五百八十四億に対して千九百二十三億、二一%余もふえておるわけでございます。なお、将来の地方公営企業の財政問題その他につきましては、地方公営企業制度調査会の答申を待ってきめたいと存じます。国民健康保険の問題につきましては、もう御承知のとおり、運営に必要なつなぎ資金等に対しては十分の配慮をしてまいるつもりでございます。(拍手)

 田中角栄の国会発言を確認する。「第48回国会衆議院本会議第39号(1965/04/27、30期)に於ける田中角榮発言」は次の通り。
 第一の融資ルールの問題につきましては、御指摘のとおり、金融制度調査会を中心にして検討いたしておるわけでございます。特に、オーバーローンの是正に関する答申等もございまして、大蔵省といたしましても、これがルールの確立に対して、政府は官製のものを押しつけるということでなく、金融界、産業界、そういう各界の方々が自主的に融資ルールをつくるということに対して期待をいたしておるわけでございます。現在、各界でも融資ルールの必要ということが痛感されておりますし、経済が現在のように鎮静化されておる時期は、こういうものを静かに考え、将来のためにつくるということは、時期的には非常にいい時期だと考えておるのでございます。ただ、銀行法を改正して入れたらどうかという御意見でございますが、官製になるよりも、各界で十分検討の上へ融資ルールが確立せられることこそ望ましいわけでございます。

 第二は、企業間信用の問題でございますが、御指摘のとおり、本年末におきましては約二十兆円をこえるという情勢でございます。企業間信用がなぜ膨張するかということは、申すまでもなく、企業の取引高の増加や、販売競争の激化や、耐久消費製品の割賦販売等が行なわれるために企業間信用が膨張するわけでございますが、このような状態であることは、金融正常化の面から考えましても好ましいことではありませんので、特に手形のサイトが長くなったり、企業間信用が無制限に膨張することのないように、各界の自粛を求めるとともに、このように企業間信用が膨張する結果、下請企業に対して非常に長いサイトの手形が出るようなことのないように、正常化に努力してまいりたいと思います。

 第三は、融資手形の問題でございます。融資手形は、便宜上融通する手形でございますから、不渡りになることが非常に多いわけでございます。融通手形のようなものは信用取引を撹乱することでありまして、よくないことでございます。しかし、融通手形を見分けることは非常にむずかしいということは御承知だと思います。不渡りになって初めて融通手形になる、融通手形が判明するということでございますが、金融機関の審査能力の強化等もいたして検査もいたしますが、それよりも、手形を出す人たちが、融通手形などというものは、出した場合、自分の企業に必ず不利益になるんだという観念を持ってもらうように銀行行政上の措置を行なうとともに、産業人の覚せいも促してまいりたいと思います。

 第四点は、長短金利の問題について、二年ものの申請に対してどう考えるかということでございますが、産業資金には長短金利が必要である、長期のものと短期のものとのバランスが必要であるということは御承知だと思います。現在二年ものの金利の引き上げ等を認めますと、どうしても最終的には資金コストが上がるということにもなるわけでございまして、開放経済下、国際競争力にたえなければならない状態、特に金利低下を必要とする状態を考えますと、現在この二年ものの金利の引き上げについては特に慎重に考えておりまして、現在のところこれを許可するという考えはございません。

 第五点は、公定歩合操作をどう見るかということでございます。内閣の経済政策のしりをいつでも日銀が公定歩合操作によって見ておるという御指摘でございますが、御承知のとおり、公定歩合は日本銀行が政策委員会の議を経て自主的に行なっておることでございますから、過去の実績からもこの事実はお認めいただきたいと思います。

 日銀法の改正につきましては、いま総理大臣から申されましたが、今国会に提案をするには、重要な法律案であり、皆さんから慎重に審議をしていただく機会をつくりたいということで、次の機会に提案をし御審議をわずらわしたいと存じます。もちろん、日銀法の改正につきまして、政府、日銀の間は、もう十分御承知のとおり日銀の中立性はあくまでも確保せられておりますが、しかし、国会、国民に対する金融政策の最終責任は政府にあるのでありますから、日銀法、いわゆる中央銀行の中立性と政府の国会、国民に対する金融政策の責任というもののバランスを十分とった理想的案を御審議いただくつもりでございます。

 なお、日銀法の改正にあたって、中小企業金融に対して別ワク等を設けてはどうかということでございますが、日銀が中小企業のために別ワクを設けるということは好ましい姿ではないと思いますので、中小企業金融につきましては、日銀法の改正とは関係なく、あらゆる角度から金融確保に努力してまいりたいと思います。

 第七点は、山陽特殊鋼の会社更生法適用に対していかに処置したかということでございます。関連企業の倒産を防止するため、まず第一に、日銀総裁が特別談話を発表いたしまして、これらの下請企業を守っていくために必要な金融については特に原資を出してもいいということさえいたしたわけでございます。なお、地方金融機関の協力も求め、信用保証協会の保証能力の拡充等、また政府関係三機関の出動等を見まして、万全の体制をとったわけでございます。その結果、現在まで、山陽特殊鋼関係の下請企業に倒産がないという事実を御承知いただきたいと思います。(拍手)
 第一点は、経済安定成長政策を遂行していく上において、不要不急の面等に金が出されておるような金融の現状を見るときに、金融政策をいかにするかということでございますが、設備の行き過ぎを押える、また、金融面におきましても、銀行が大企業向けに金を出すことに対して何らかの規制措置が必要である、こういう面から、金融制度調査会におきまして、現在融資ルールの問題に対して検討をいたしておるわけでございます。先ほどの有馬さんの御質問にもお答え申し上げましたが、金融界も産業界もその必要性を十分認識しておりますし、また、経済が現に鎮静をいたしておる状態でございますので、いまの状態において融資ルール等が確立せられるということは、時期的に非常にいい状態でありますから、健全金融ルールが早期に確立せられることを期待いたしておるわけでございます。日銀法及び銀行法の改正という問題を第二点目に御質問がございましたが、日銀法につきましては、先ほど申し上げたとおりでございます。銀行法につきましても、非常に古い法律でありますので、これが改正が必要であるということで、現に検討を進めておりますが、金融制度調査会の意見等も聞きまして、できるだけ早い機会に新しい時代の要請に適合するような銀行法をつくってまいりたいと考えております。(拍手)

 田中角栄の国会発言を確認する。「第48回国会衆議院本会議第41号(1965/05/07、30期)に於ける田中角榮発言」は次の通り。
 私からお答えするものは三点であります。その一つは、貿易外収支の改善のため観光振興に努力をせよということでございますが、御説のとおりでございます。渡航の自由化を行なってから、ずっと実績を見てまいりますと、日本人が出ることが多く、入ることが少ないという結果、観光収支におきましては千数百万ドルの赤字ということになっておりますが、御承知の経常収支のバランスをはかるためにも、貿易外収支の中で特に観光収入の増大をはかるべく努力をしなければならぬということで、諸般の施策を進めておるわけであります。第二点は、出入国の簡素化の問題でございますが、税関等につきましても整備を行ない、近代化を行ないまして、あのオリンピックの大きな人員につきましても非常にスムーズにさばかれましたことは、出入国が簡素化をされ十分整備をされておるという事実を証明しておるわけでございます。

 それから国際会議の誘致でございますが、国際会議を誘致しますと、財政支出も当然あるわけでございますが、しかし、大きな意味で、国際会議を誘致することが日本のためにもプラスになるということで、できるだけ誘致をするように政府としても努力いたしております。そのおもなものとしては、昨年IMF及び世銀の東京総会等が行なわれ、近く会計検査官会議等が東京において行なわれるという事実で御承知をいただきたいと思います。

 最後に、義務教育費の国庫負担の原則に伴いまして、義務教育期間中の学童の修学旅行の費用は全額国庫負担にすべきであるという御議論でございますが、これはもう教育費国庫負担法の規定に基づきまして、教職員の給与とか教材とか、こういうものについては二分の一の国庫負担を行なっておりますし、特に要保護世帯の児童につきましては多額の補助をいたしておるわけでありまして、学童全部が修学旅行する費用を全額国庫負担すべきだという考えはありません。(拍手)

 田中角栄の国会発言を確認する。「第48回国会衆議院本会議第43号(1965/05/13、30期)に於ける田中角榮発言」は次の通り。
 私からお答えをいたすものは二点でございます。その第一点は、去る三月三十一日に出された中央森林審議会の答申、及びただいま農林大臣からお話がございましたが、非収益事業に対する負担の問題でございます。この答申は出されたばかりでございまして、現在種々検討中のものであり、確定的な意見を申し上げられる段階にはございません。とにかく地元に対する行政的要請による非収益事業という費用につきましては、その事業の性質に応じまして一般会計なり国有林野特別会計なりが負担すべきものであるという考え方でございます。しかして、企業としての国有林野特別会計の収益全部を地元に還元するというお考えには、遺憾ながら賛成いたしません。第二点は、今後の国有林野のあり方についてでございますが、財政上の見地のほか、経営上の見地あるいは国有林野事業の果たすべき公共的使命等、総合的な見地から慎重に検討すべきものと考えます。(拍手)





(私論.私見)