新道路五カ年計画の発足に際して、ガソリン税の引き上げ等特別財源の整備を行なったけれども、それについては三十九年度一般会計歳出四百五十億では少ない、こういうような趣旨であったと思います。一十九年度の道路整備事業費は二千七日六十五億でありまして、うち一般財源を四百五十億円歳出に組んでおるわけであります。三十八年度の一般会計の歳出は三百六十億でありますので、対前年度比二五%アップになっておるわけであります。特定財源であるガソリン税は一〇%の増徴後、対前年の伸び率は二三%でありますので、この増税後の特別財源の伸び率以上に一般会計の支出を行なっておるわけであります。
道路整備につきましては、欧米各国も道路整備を急いでおるわけでありますが、おおむね自動車の関係収入及びガソリン税を主要財源としてまかなっておることば、御案内のとおりでありまして、日本のごとく一般財源を多量に投下しておる例はないのであります。しかし、先ほどから申し述べられましたように、道路整備の緊急性を考えまして、各一般財源の投下をはかっておるのでありまして、事情から申し上げて、ガソリン税の引き上げも道路整備の緊急性から見てやむを得ざる措置だと御理解賜わりたいと思います。(拍手) |
租税特別措置法の一部を改正する法律案の趣旨につきまして、御説明を申し上げます。政府は、昭和三十九年度税制改正の一環として、さきに提出いたしました所得税法の一部を改正する法律案及び法人税法の一部を改正する法律案等の改正諸法案に引き続き、企業の国際競争力の強化及び自己資本の充実、資本市場の育成並びに科学技術の振興等の措置を講ずる必要がありますので、ここにこの法律案を提出した次第であります。
以下、この法律案の内容について、その大要を御説明申し上げたいと存じます。第一は、輸出所得の特別控除制度は、今年三月末にその適用期限到来と同時に廃止するわけでありますが、国際収支の安定、改善をはかることが緊要でありますので、この際企業の国際競争力の強化等に資するため、次の措置を講ずることといたしたのであります。
その一は、輸出割り増し償却制度について、その適用期限を三年間延長するとともに、普通償却範囲額に輸出割合を乗じた額の八〇%相当額を割り増し償却の範囲額とすることとなし、制度の拡充と簡素、合理化をはかることであります。
その二は、技術輸出所得控除制度につき、その適用期限を五カ年間延長するとともに、取引基準にかかる控除割合を海外への技術提供による収入金額の五〇%から七〇%に引き上げ、さらにその適用対象に対外支払い手段を対価とするコンサルティング業務の収入及び輸出貨物の運送その他対外支払い手段を対価とする運送業務の収入を含め、この場合の取引基準にかかる控除割合をそれぞれ収入金額の二〇%または三%とすることであります。
その三は、海外市場の開拓に必要な特別な支出に備えるため、昭和三十九年四月一日から五カ年間、商社については輸出取引額の〇・五%、製造業者については一・五%相当額の損金算入を認める海外市場開拓準備金制度を創設することであります。なお、この準備金にかえ、中小企業が共同して行なう市場調査費用等に充てるため、特定の商工組合についても、中小企業海外市場開拓準備金制度を創設することといたしておるのであります。
その四は、新開発地域に対する投資を促進するため、昭和三十九年四月一日から五カ年の間に行なわれる新開発地域に対する特定の投資について、その取得価額の二分の一相当額以下の金額の損金算入を認める海外投資損失準備金制度を創設することであります。第二は、企業の資本充実に資する見地から、支払い配当に対する法人税率を二八%から二六%に引き下げるとともに、年所得三百万円以下の部分に対応する支払い配当及び特別法人の支払い配当に対する法人税率もこれに準じ、それぞれ引き下げることといたしております。なお、配当受け取り株主の益金不算入割合及び配当控除割合は、現行どをり据え置くことといたしておるのであります。
第三は、資本市場の育成に資するため、新たに次の措置を講ずることといたしております。その一は、証券投資信託の収益分配金について、昭和四十年三月三十一日までに支払われるものに対し五%の税率による源泉分離課税方式を採用することであります。その二は、証券取引において生ずる事故についての証券業者の補償責任の明確化をはかる措置の一環として、昭和三十九年四月一日から五年の間、株式数を基準として一定割合で計算した金額の損金算入を認める証券取引責任準備金制度を創設することであります。第四は、科学技術の振興に資するため、従来から設けられている試験研究用機械設備等の特別償却制度を統合して、昭和三十九年四月一日から三年の間に取得した開発研究機械等については、初年度において取得価額の九五%相当額を償却できることとするほか、鉱工業技術研究組合に対する支出金の特別償却制度について、その償却割合を初年度七〇%、自後二年間にそれぞれ一五%とする現行制度を、初年度一〇〇%とする制度に改め、さらに重要国産技術の開発に資するため、国産一号機の取得につき、初年度三分の一の特別償却制度を創設することとしております。第五は、以上述べたもののほか、特別償却制度について次のような措置を講ずることといたしておるのであります。その一は、住宅建設の促進に資するため、現行の新築貸し家住宅の翻り増し償却制度について、その適用期限を昭和四十二年三月三十一日まで延長するとともに、昭和三十九年四月一日から三年の間に新築したものについては、その割り増し率を現行に比し、それぞれ十割ずつ増加することといたしておるのであります。その二は、工業用水法に規定する井戸から工業用水道への強制転換施設につき、初年度三分の一の特別償却制度を創設することであります。その三は、現行の重要産業用合理化機械の特別償却制度につき、その償却割合を初年度三分の一から四分の一に縮減することであります。第六は、海運業再建整備に伴う措置の一環として、船舶の減価償却に関し、運輸大臣の承認を受けた整備計画の実施中は、船舶についての償却不足額の打ち切りを行なわないこととするほか、その整備計画に基づく合併等に際しては、償却不足額の引き継ぎを認めることといたしております。第七は、協同組合に対する課税の特例といたしまして、農業協同組合、漁業協同組合、専業協同組合、事業協同小組合及び商工組合等のうち、一足の要件に該当するものに対しましては、留保金が出資の四分の一に達するまでは、昭和三十九年四月一日から五年の間に終了する各事業年度における留保所得の二分の一について、法人税を課さないこととする制度を創設することとしております。
第八は、医療法人に対する課税の特例として、医療法人のうち、その産業が公益の増進に著しく寄与し、かつ公的な運営がなされるものとして大蔵大臣の承認するものについては、その所得に対する法人税率を、現行年二百万円超三八%、年二百万円以下三三%から一律に二八%に軽減することといたしておるのであります。
第九は、法人の交際費の損金不算入制度の改正であります。すなわち、この制度の適用期限をさらに三年間延長するとともに、最近における交際費支出の状況にかんがみ、その控除額を、現行の年三百万円と資本金額等の千分の一との合計額から、年四百万円と資本金額等の千分の二・五との合計額に引き上げるとともに、損金不算入割合を二〇%から三〇%に引き上げることといたしております。
第十は、贈与税の課税の特例でありますが、農業を経営する個人が推定相続人に農地を贈与して、その農業経営を行なわせる場合には、一定の条件のもとに贈与税の納期限の延長を認めるとともに、その後相続があったときには、その農地を相続財産に含めて相続税を課することとし、贈与税との調整をはかることといたしておるのであります。
最後は、昭和三十八年度末に期限が到来する特別措置のうち特定のものについての期限の延長であります。すなわち、航空機の通行税の軽減措置については一年、増資登記に対する登録税の軽減措置等については三年と、それぞれその適用期限を延長することといたしております。以上、この法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。(拍手) |
根本的には総理大臣からお答えになりましたから、私に対する御質問の一点だけ申し上げます。 医療法人に対する特別措置に対しては減収計算が出ておらないが、一体どういうことなのか、こういう御質問でございますが、公共性が強く、かつ公的に運営されておる医療法人として、大蔵大臣の承認を受けたものにこれからこういう特別措置を与えよう、こういうことで制度の道を開いたのでありますから、事実上三十九年度には減収はほとんど立たない、このように見ておるわけであります。(拍手) |
金融問題につきましては農林大臣からお答えがありましたので、財政に限って御答弁を申し上げます。昭和三十九年度の農林関係予算三千五百六十億、昭和三十八年度の二千五百三十一億に比べて三三%のアップになっておるわけであります。しかも昭和三十九年度の財投計画につきましては九百三十八億円を計上いたしておりますが、三十八年対比二九・六%のアップになっておるのでありまして、財投二〇・八%アップに比べると重点的に配慮いたしておるわけであります。なお、これにより農林漁業公庫の新規貸し付けワクは千七十億円と、三十八年度に比べて二三%も拡大しておるわけであります。政府は将来とも財政、金融、税制等を通じまして、農業基本法の精神に沿って、財政上も大いに配慮してまいります。(拍手) |