閣僚答弁2

 (最新見直し2013.05.19日)

 (れんだいこのショートメッセージ)
 ここで、角栄の大臣時代の答弁を確認しておく。「田中角栄の衆議院本会議発言一覧」を参照する。

 2013.5.19日 れんだいこ拝


【田中角栄の閣僚答弁】

 田中角栄の国会発言を確認する。「第45回国会衆議院本会議第6号(1963/12/10、30期)に於ける田中角榮発言」は次の通り。

 ここに、昭和三十八年度補正予算を提出するにあたり、その概要を御説明いたします。まず、一般会計予算の補正におきましては、国家公務員等の給与改善、食糧管理特別会計への繰入れ等、当初予算作成後に生じた事由に基づき緊要となった経費を追加することとなし、これに応じまして、法人税等経済の拡大に伴う租税及び印紙収入の自然増収を見込むことといたしておるのであります。その総額は、千二百四十二億円でありまして、これにより、昭和三十八年度一般会計予算総額は、歳入、歳出とも二兆九千七百四十二億円と相なるわけであります。

 歳出追加の第一は、国家公務員等の給与改善に関する経費であります。国家公務員の給与水準につきましては、民間給与との格差を是正するため、前年度におきましてもその引き上げをいたしたにもかかわらず、その後の民間給与の上昇に伴い、再びこれとの間に相当の格差を生じておるのであります。このため、先般の人事院勧告の内容を尊重いたしまして、本年十月一日から所要の改定を行なうこととなし、これに要する経費として総額二百六十二億円を計上いたしたのであります。

 第二は、食糧管理特別会計への繰り入れでありますが、昭和三十八年産米の買い入れ価格が当初予算における見込みを上回って決定されたこと等によりまして、同会計の食糧管理勘定における損失が大幅に増加する見込みとなりましたので、同会計の経理運営の改善をはかるため、同会計の調整勘定へ二百五十億円を追加繰り入れすることといたしております。
 第三は、農業共済再保険特別会計への繰り入れでありますが、本年春以来の長雨による昭和三十八年産麦の著しい減収に伴う農業共済再保険特別会計の支出する再保険金支払い財源の不足に対処する等のため、百六億円を計上いたしたのであります。

 第四は、災害復旧等事業に要する経費でありますが、昭和三十八年の発生にかかる災害の復旧につきましては、すでに既定の予備費をもって応急の措置を講じてまいったのでありますが、さらに今後の復旧等事業に必要な額百五十七億円を追加計上し、また、昭和三十七年以前の発生にかかる災害の復旧等事業費につきましても、極力その進捗をはかるために百五十八億円を追加計上いたしております。財政投融資計画におきましても、これらの追加計上に伴う地方公共団体の資金需要の増加に充てるため、所要の追加を行なうこととし、その復旧に遺憾なきを期しておるのであります。

 最後に、地方交付税交付金でありますが、所得税、法人税及び酒税を歳入に追加計上することに伴い、三百九億円を計上いたしたのであります。また、特別会計予算におきましては、一般会計予算の補正及び公務員の給与改善に関連して、食糧管理特別会計等につき所要の補正を行なうことといたしておりますとともに、政府関係機関の予算におきましても、日本国有鉄道につき、東海道幹線増設費に不足を生ずる見込みとなりましたので、四百四十三億円を追加し、予定どおり明年十月の開業を期することといたしておりますほか、日本電信電話公社に九十億円の予算を追加計上して、工事の円滑な進捗に資することといたしておるのであります。

 なお、予算の補正に伴い、財政投融資計画におきましても、すでに申し述べました地方公共団体に対する追加のほか、政府関係機関予算の補正に関連して、日本国有鉄道、日本電信電話公社について所要の資金措置を講ずることといたしておるわけであります。以上、昭和三十八年度補正予算の大綱を御説明いたしました。何とぞ、政府の方針を了とせられ、本補正予算に対しすみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。(拍手)

 田中角栄の国会発言を確認する。「第45回国会衆議院本会議第7号(1963/12/11、30期)に於ける田中角榮発言」は次の通り。
 輸送力激増に対応して、政府は積極的に財政援助をしなければならないという御説でありますが、国鉄は御承知のとおり戦後一個の企業体、公共企業体という新しい体制を整えたわけであります。しかし公共性の非常に強い企業体でありますし、通勤輸送、幹線輸送等の整備の事業がたくさんありますので、自己資金をもってこれをまかなうわけにはまいりませんので、政府もこれに重点的な投資を行なってまいったわけでありますが、しかし現在の政府の投資をもって足れりとも考えておるわけではありません。しかし、この国鉄に対しましては、公共企業体であり、独立採算制を要求せられており、しかも安全を確保しなければならないという、この戦後の新しい問題に対してお互いにもう一歩退いて新しく再検討する必要もあると考えておるのでありますが、私はこの事故を契機にして、国有鉄道の持たなければならない公共性というものをどの程度までということで、公共企業体というものの限度をお互いに検討しなければならないというふうに考えます。それから国鉄の輸送計画につきましては、長期の見通しを立てて、道路の輸送、鉄道の輸送、内国海運の輸送等、十分輸送計画のバランスを考えたいと思っておるわけであります。いずれにいたしましても、国有鉄道に対する財政投資に対しては、最も重点的に配慮をする考えであります。(拍手)

 田中角栄の国会発言を確認する。「第46回国会衆議院本会議第3号(1964/01/21、30期)に於ける田中角榮発言」は次の通り。
 昭和三十九年度予算の提出にあたり、その大綱を御説明いたしますとともに、財政金融政策の基本的考え方について所信を申し述べたいと存じます。本年は、わが国がOECD加盟、IMF八条国移行に伴い、名実ともに国際経済社会の有力な一員となる本格的な開放体制移行の年であります。貿易なくしては経済を営み得ず、貿易の伸長なくしては経済の拡大を期しがたいわが国にとりまして、開放体制への移行こそは、日本経済が、常に前進する国際経済社会の中にあって、さらに大きな発展の機会を見出していくために、みずからが選んだ発展への道であります。すなわち、これによりまして、わが国は、諸外国との経済交流を繁密化し、国際分業の利益を一そう享受するとともに、輸出市場をさらに拡大し得ることとなるのであります。しかし、同時に、わが国経済が国際経済の動向からくる影響をより直接的に受け、また、国際経済上の要請に一段と積極機敏に応じていくべきこととなるのも明らかなところであります。われわれは、この新しい段階に進むに際し、わが国経済の前途に自信と希望を持つべきではありますが、同時に、わが国経済の運営が複雑さを加え、その国際的責任が重さを増す事実に思いをいたし、決意とくふうを新たにするのでなければならないと考えます。

 近時、世界経済は、国際協調を通じ、貿易並びに資本交流の自由化をはかることによって、拡大均衡を実現する方向に進みつつあり、当面の景況も、米国景気の引き続く上昇、西欧経済の持続的堅調を中心に、総じて上昇傾向にあると判断されるのであります。しかしながら、米国のドル防衛の強化、国際流動性の確保、EECをめぐる域内、域外の利害の調整等、なお幾多の複雑な問題が存することもいなめない事実でありまして、わが国経済をめぐる国際環境は、必ずしも容易なものではないと認められるのであります。

 さて、わが国経済が、ここ数カ年にわたる急速な成長の成果として、産業構造の高度化、完全雇用への接近、国民生活水準の向上並びに所得格差の縮小等、顕著な進歩の実績をあげ得ましたことは、周知のとおりであります。

 この急速な成長の過程を通じて、農業、中小企業等、相対的に立ちおくれた部門の近代化、合理化の緊要性、若年労働力を中心とする労働需給の逼迫等の問題が生じてきており、着実な成長を保ちつつ、じみちにこれらの解決をはかることが今後の重要な課題となっておるのであります。また、後に述べますように、昨年来、輸出の伸びを上回る輸入の増加と貿易外収支の赤字幅の増大から、経常収支の逆調が続いており、国際収支の改善に一そうつとめる必要が生じております。わが国経済が国際経済からの影響を受けやすくなっている現在、この問題には従来以上に慎重な態度で対処いたしますとともに、その根本的な解決にあたっては、長期的、総合的な見地に立って、建設的な努力を傾けるべきであると考えます。

 以上、要するに、今後、わが国経済が開放体制下に堅実な発展を続けてまいりますためには、日本経済に内在する成長力を、世界経済の動向、国際収支、物価の動き等、内外諸要因の推移に即応しつつ、適切かつ弾力的に調整し、もって、調和のとれた適度な成長を実現するとともに、経済、社会の各部面において所要の体質強化を着実に進め、国民経済全体としての生産性を一段と高めることが基本的に肝要であります。

 政府は、このような見地に立ち、昭和三十九年度予算の編成にあたりましては、国際収支の改善と物価の安定を主眼とし、いやしくも財政が景気に対し刺激的な要因となることを避けるため、健全均衡財政の方針を堅持することといたしております。支出内容におきましても、将来にわたる国力発展の基盤を充実し、経済各部門の均衡ある発展に資するための重要施策に対しまして、資金を効率的、重点的に配分し、その着実な推進を期しておるのであります。また、税制面におきましては、国民負担の軽減、合理化をはかり、あわせて企業資本の充実等、所要の体質強化を進めるため、画期的な大幅減税を行なうことといたしておるのであります。さらに、財政と金融とは、もとより相補い、相助け、両者一体となって運営さるべきものでありまして、今後の金融政策の運用にあたりましても、財政上の諸施策と相まって、経済の安定的成長とその体質強化を期してまいる所存であります。

 以下、今回提出いたしました昭和三十九年度予算について御説明いたします。一般会計予算の総額は、歳入、歳出とも、三兆二千五百五十四億円でありまして、昭和三十八年度当初予算に対し、四千五十四億円、すでに成立いたしました補正予算を加えた予算額に対しては、二千八百十二億円の増加となっておるのであります。また、財政投融資計画の総額は、一兆三千四百二億円でありまして、昭和三十八年度当初計画に対し、二千三百五億円の増加となっております。

 政府が特に重点を置きました重要施策につき、その概略を申し述べますと、まず、中央、地方を通ずる減税を中心とする税制の改正であります。昭和三十九年度におきましては、最近の国民負担の現状及び経済情勢の推移に顧み、中小所得者に重点を置いて所得税の負担を軽減すること、資本の充実と設備の更新に資するとともに、中小企業の負担軽減をはかるため、企業課税の軽減を行なうほか、産業の国際競争力の強化など所要の特別措置をあわせ講ずること、市町村民税負担の不均衡を是正すること等、平年度二千百八十億円に及ぶ大幅な減税を行なうことといたしたのであります。

 すなわち、所得税におきましては、国民生活の安定に資するため、広く基礎控除、配偶者控除、扶養控除を引き上げるとともに、専従者控除及び給与所得控除の改正、譲渡所得課税の適正合理化、その他所要の改正を行なうことといたしました。この結果、たとえば、夫婦及び子供三人の給与所得者の場合、所得税を課されない限度は、現在の約四十二万八千円から約四十八万五千円に引き上げられることとなり、中小所得者の所得税の負担は著しく軽減されることになります。

 法人税におきましては、開放経済への移行に備えて、企業の経営基盤の強化をはかるため、機械設備を中心に、固定資産の耐用年数を平均一五%程度短縮するとともに、中小企業の負担の軽減をはかるため、軽減税率の適用所得限度額及び同族会社の留保所得課税控除額の引き上げを行なうことといたしました。さらに、企業の国際競争力の強化、科学技術の振興、企業資本の充実等、出面要請される諸施策に即応する特別措置をあわせ講ずることといたしておるのであります。

 また、地方税におきましては、昭和三十九年度における地方財政の実情を考慮しつつ、市町村民税の負担の不均衡を是正するため、その制度の合理化をはかるとともに、固定資産税の負担の調整、電気ガス税の引き下げ、法人事業税の軽減等の措置を講ずることにいたしたのであります。さらに、最近の道路輸送需要の増大に対処し、その整備財源の拡充をはかるため、道路整備計画の改定と見合って、揮発油税、地方道路税及び軽油引取税の税率をそれぞれ引き上げることといたしております。

 なお、関税率につきましては、経済の諸情勢に応じ、所要の調整を行なうことといたしておりますほか、とん税及び特別とん税につきましても、国際収支の改善に資するため、その税率をそれぞれ引き上げることといたしておるのであります。

 次は、農林漁業の近代化であります。
 農林漁業につきましては、農業構造改善事業、農業基盤整備事業等、農業基本法の定める方向に沿いつつ成長農産物の選択的拡大、生産性の向上、経営の安定強化に資するための諸施策を総合的に推進いたしますとともに、農林水産物の価格安定と流通機構の改善合理化をはかるため、所要の予算措置を講じておるのであります。

 また、農林漁業金融公庫の新規貸し付け計画額を、昭和三十八年度の八百七十億円から一千七十億円へと拡大するとともに、融資条件の改善を行なうこととなし、農業近代化資金、農業改良資金の融資ワク拡大とあわせ、農林漁業金融の飛躍的拡充改善を期することといたしております。

 次に、中小企業の近代化、高度化であります。中小企業につきましては、昭和三十八年度に確立された基本的政策に基づき、設備の近代化、構造の高度化を通じて、経営基盤の安定強化に資するため、中小企業高度化資金融通特別会計への繰り入れを飛躍的に増額いたしますとともに、設備近代化補助、小規模事業対策等の諸施策を引き続き拡充強化することといたしております。

 また、税制面におきましても、前に述べましたとおり、法人税軽減税率の適用限度の引き上げ等、国税、地方税を通じまして、中小企業に対し、平年度六百億円を上回る減税を行なうことといたしたのであります。

 中小企業金融対策といたしましては、中小企業信用保険公庫に対する出資を格段に増額して信用保証協会の資金を充実し、保証機能の強化、なかんずく、手形割引保証の拡充をはかりますとともに、財政投融資計画におきましても、国民金融公庫、中小企業金融公庫及び商工組合中央金庫の貸し付けワクの拡大と商工組合中央金庫の貸し出し利率の引き下げのため、巨額の財政資金を投入するほか、新たに中小企業金融公庫に債券の発行を認める等の措置を講じ、民間金融機関の協力と相まって、中小企業金融の拡充、円滑化に資することといたしておるのであります。

 わが国の社会保障制度は、年々充実の一途をたどってまいったのでありますが、昭和三十九年度予算におきましても、経済の発展に応じた国民生活の均衡ある向上と社会福祉の増進に資するため、引き続き社会保障関係の諸施策にわたっての改善充実をはかることといたしておるのであります。

 すなわち、生活保護基準の大幅な引き上げを行ないますとともに、国民健康保険の世帯員に対する療養給付率を四カ年計画で七割に引き上げ、医療保険の充実に資することといたしております。また、福祉年金につきましては、他の公的年金との併給限度額の引き上げ、所得制限の緩和等の改善措置を講ずることといたしておるのであります。雇用対策につきましても、産業構造、雇用構造の変化に即応して、労働力移動の一そうの円滑化をはかることといたしておるのであります。以上、社会保障関係費の総額は四千三百七億円でありまして、昭和三十八年度当初予算に対して、六百九十二億円の増加となる次第であります。

 次に、住宅の建設及び生活環境施設の整備であります。住宅につきましては、昭和四十五年度における一世帯一住宅の実現を目標に、公営住宅建設のための予算を増額するほか、政府資金、民間資金を活用して、住宅金融公庫、住宅公団等の資金を充実し、三十一万七千戸に及ぶ政府施策住宅を建設いたしますとともに、民間自力建設の推進に資するため、固定資産税、不動産取得税の減税及び新築貸家住宅の特別償却制度の拡充を行なうごとといたしました。また、上下水道、し尿処理施設等生活環境施設につきましても、その整備が経済の成長と生活水準の向上に立ちおくれている現状にかんがみ、予算及び財政投融資計画を画期的に増額し、その積極的整備を促進することにいたしておるのであります。

 文教を刷新して、健全な青少年の育成につとめ、科学技術を振興して、現下の要請にこたえることは、政府の重大な責務であり、従来とも最も意を用いてきたところであります。これがため、昭和三十九年度におきましては、教育水準の向上と教育環境の整備改善に格段の配慮を行ない、小、中学校における教職員数の充実と、教室等施設の整備を一そう推進することといたしました。特に、国立学校につきましては、その管理運営の円滑化、なかんずく、施設設備の飛躍的整備をはかるため、新たに国立学校特別会計を設け、国立高等専門学校及び理工系学部、学科の増設等を積極的に行ない、産業の発展、高度化に伴う技術者の養成に遺憾なきを期しておるのであります。また、教育の機会均等を確保するための育英奨学、僻地教育の振興、私立学校の助成、学校給食の改善等につきましても特段の配慮を加えましたほか、義務教育教科書の無償給与制度の伸展をはかることにいたしておるのであります。科学技術の振興につきましても、宇宙開発推進本部を新設する等、各省試験研究機関の研究体制を強化し、原子力の平和利用、国産新技術の開発、防災科学等の重要研究を推進することといたしておるのであります。以上、文教及び科学振興費の総額は四千百三十六億円でありまして、昭和三十八年度当初予算に対し、三百九十億円の増加となっておるのであります。

 次は、社会資本の充実、産業基盤の強化であります。まず、道路の整備につきましては、新たな五カ年計画を策定し、昭和三十九年度以降五年間に、総額四兆一千億円の資金を投入し、もって、道路輸送需要の増大、地域開発の展開等、現行計画策定後の情勢変化に対処することとなし、このため、揮発油税及び地方道路税の税率を引き上げる等の措置を講じて、必要な財源の確保をはかることといたしております。昭和三十九年度におきましては、この新計画の初年度といたしまして、予算及び財政投融資計画を通じ、大幅な資金の確保につとめておるのであります。港湾につきましては、その重点的整備を促進するため、道路整備と並んで予算の著増をはかりますとともに、港湾貨物の増大、地域開発の進展等、最近の変化に対応して、昭和三十九年度を初年度とする新五カ年計画を策定することといたしておるのであります。

 また、日本国有鉄道につきましては、東海道新幹線の完成を期するとともに、安全輸送の確保と輸送力の増強をはかるため、改良工事を大いに拡充することとし、また、日本電信電話公社につきましても、電信電話施設の整備拡充をはかることにいたしておるのであります。

 なお、増大する産業用地、用水需要に対処するため、土地造成と水資源の総合的開発を推進するほか、新産業都市の建設等、地域開発を促進するため必要な資金につきましても、予算及び財政投融資計画を通じてその確保につとめる所存であります。

 さらに、治山治水事業につきましても、その大幅な推進をはかるため必要な予算を計上いたしまして、災害復旧等事業の進捗と相まち、国土保全に万全を期することいたしておるのであります。以上、公共事業関係費の総額は、災害復旧等事業費及び高潮対策事業費を除き、五千三百七十七億円に達し、昭和三十八年度当初予算に対し九百三十九億円の増加となっておるのであります。

 次に、輸出の振興につきましては、日本貿易振興会等による海外市場調査、国際見本市、広報宣伝等の海外活動を積極的に行ないますとともに、日本輸出入銀行に対する財政資金を増額して貸し付け規模を拡大するほか、税制面におきましても、企業の国際競争力を強化する等のための減税を行なうことといたしておるのであります。

 また、引き続き、対外経済協力を推進するほか、貿易外収支の改善に資するため、海運業の体質改善と外航船腹の拡充、国際航空事業の育成強化につきましても、所要の措置を講ずることといたしております。

 地方財政の内容は、幸いにして、良好な状況で推移しておりますが、昭和三十九年度におきましては、市町村民税及び電気ガス税の減税を行なう一方、市町村民税臨時減税補てん債の発行及び市町村たばこ消費税の税率引き上げによって、地方財政の運営に遺憾なきを期しているのであります。

 そのほか、地方税及び地方交付税の著しい増収等により、地方財政の基盤はますます強化されますので、地方における行政内容と住民福祉は一そうの向上が期待される次第であります。

 財政投融資につきましては、以上、それぞれの項目においても触れたところでありますが、計画の策定にあたりましては、農林漁業及び中小企業関係金融の充実、住宅の建設及び生活環境施設の整備に重点を置くとともに、輸出の振興、道路、鉄道等社会資本の強化及び地域開発の推進に特に配意いたしておるのであります。

 なお、この際、昭和三十八年度補正予算第三号について一言申し述べます。公務員の給与改善、災害の復旧等につきましては、さきに補正予算第二号をもって対処いたしたのでありますが、今回、さらに、産業投資特別会計及び同特別会計資金への繰り入れ、義務教育費国庫負担金等義務的経費の不足補てん、地方交付税交付金の増額等を内容として、総額八百二十六億円の補正予算第三号を提出いたしました。

 産業投資特別会計への繰り入れは、輸出振興の重要性にかんがみ、日本輸出入銀行に対して行ないます同特別会計の追加出資に必要な財源を繰り入れるものであり、また、同特別会計資金への繰り入れば、経済基盤の強化、企業の体質改善を強力に推進する等のため、出資需要がますます増大しておりますので、この際、その資金を充実することが急務と考え、これを行なうものであります。

 このほか、日本国有鉄道におきましても、改良工事を促進し、鉄道輸送の安全確保に資するため、改良費を追加することとなし、所要の予算措置を講ずることといたしました。また、これらに関連いたしまして、財政投融資計画におきましても、日本輸出入銀行及び日本国有鉄道につき、それぞれ所要の追加を行なった次第であります。

 次に、金融政策並びに資本市場育成の問題について申し述べます。最近における国際収支の推移、生産及び物価の動向、金融機関貸し出しの趨勢等にかんがみ、昨年十二月、日本銀行においては、準備預金の率を引き上げたのでありまして、企業の資金需要及び金融機関貸し出しの増勢は鎮静に向かうものと期待しておりますが、今後とも、経済の動向を慎重に見守りながら、機に応じて適切な施策が実施せられ、資金需給の調整を通じて、経済活動が適正に保たれるよう意を用いてまいる考えであります。もとより、金融の調整にあたりましては、近代化、合理化により、新たな発展への道を求めつつある中小企業等の真剣な努力が、いやしくもこれによって阻害されることのないよう、細心の留意をいたしてまいる所存であります。(拍手)

 次に、わが国が開放経済への移行に即応し、わが国経済の体制を整備してまいるにあたりまして、金融界の果たすべき役割りはいよいよ重きを加えつつあると認められるのであります。したがいまして、この際、各金融機関は、その公共的社会的責任について一段と自覚を深め、みずからの経営態勢の刷新合理化をはかるとともに、特に、融資にあたっては、いたずらに過当な競争に走ることなく、広く国民経済的視野に立って節度ある態度を堅持し、金融機関としての責務の達成につとめられるよう切に期待する次第であります。(拍手)

 さらに、わが国企業におきましても、その基盤を充実するため、戦前及び諸外国に比してきわめて悪化している自己資本比率の向上をはかり、長期安定資金の確保につとめることが、この際、特に必要と思われるのであります。

 このような見地から、政府といたしましては、今回、企業、投資家及び証券業者に対する一連の税制上の施策を実施することといたしておりますが、今後とも、資本市場の健全な発展をはかるため、各般の施策を着実に推進してまいりたいと存じております。もとより、資本市場の安定した運営と発展の基礎は、堅実な大衆投資家の支持と信頼を得ることにあるのでありまして、この点にかんがみ、証券業者におかれては、経営の健全化と投資勧誘態度の適正化に一段と努力されるよう強く要望いたす次第であります。

 わが国は、近く、OECDへ正式に加盟し、世界の主要先進諸国との協力関係を一そう緊密化するとともに、四月一日を目途とするIMF八条国への移行に伴い、わが国の円は、交換可能通貨として広く世界の諸国から認められることとなるのであります。

 このような新しい事態に対処するための努力の一環として、わが国がかねて強力に進めてまいりました対外取引の自由化につきましては、本年において、外貨予算制度の廃止、渡航制限の緩和等を行ない、経常取引に対する為替制限の撤廃を一応終了いたしたいものと考えております。もとより、このような自由化措置は、国際分業を通じ経済活動の効率を高めるためのものであり、外貨の放漫な使用を許容し、乱費を奨励するものではないのでありまして、国民がそれぞれの立場において、外貨の合理的、効果的な使用につとめ、国際収支の安定に寄与することが強く要望されているのであります。

 近時、国際金融協力の必要性はとみに高まりつつあります。これに即応し、昨年十月、日本銀行は、米国連邦準備制度と主要国中央銀行間のスワップ取りきめ網に参加し、国際的な通貨安定対策の一翼をになうこととなりましたが、さらに、わが国は、IMF借り入れ取りきめ参加十カ国蔵相会議の一員として、国際流動性確保のための対策の検討に積極的に参加しておるのであります。なお、このような機運が高まりつつある際に、本年秋のIMF、世銀等の総会がわが東京で開催されることになりましたことはまことに意義深いものがあります。

 また、世界の大勢は、為替の自由化から関税障壁の除去に向かっており、ガットにおいては関税の一括引き下げ交渉が引き続き行なわれております。さらに、低開発国問題につきましても、経済援助の強化に加え、新たに、ガットや国際連合において、これらの諸国に対し、特恵関税を許与する等、その貿易拡大のための方途が検討されるに至っておるのであります。
 政府といたしましては、これらの動きに積極的に対処しつつ、今後の関税政策を進めてまいる所存でありますが、この際、わが国産業が、かかる動向に即応する体制をできるだけすみやかに整備することが要望されておるのであります。

 最近の国際収支の推移を見ますと、輸出は、主としてわが国産業の国際競争力の強化、海外環境の好調を反映し、順調な伸長を示しておりますものの、輸入が、国際商品価格の高騰等、一時的な要因もさることながら、生産の大幅な上昇から顕著な増加を見せ、海運その他の貿易外収支における赤字幅の拡大と相まって、経常収支は、昨年年初来一貫してかなりの逆調を呈するに至っておるのであります。この間、総合収支は、資本収支の黒字によって均衡を維持してまいったのでありますが、欧米諸国における資本市場の動向にかんがみ、今後、外資の流入に大きく期待することは必ずしも容易ではありません。したがいまして、財政金融政策等、各般の施策において万全を期しつつ、貿易収支の均衡回復と貿易外収支の赤字基調是正につとめてまいる所存であります。

 国際収支につきましては、経常収支を均衡させることが望ましいのでありますが、当面、国内資本の不足を補い、国際収支の波動に対処する準備を手厚くするためには、引き続き優良な安定外資の秩序ある導入をはかることが必要であると存じます。

 一方、対外投融資につきましては、わが国の海外市場を確保し、あるいは低開発諸国を援助するためのみならず、対外債務の見合いともなって、わが国国際収支の長期的安定に資するものでありますので、政府といたしましては、今後とも、国際間の協調を念頭に置きつつ、国力の許す範囲内において、堅実な対外投融資を積極的に進めていく所存であります。
 以上、財政金融政策の基本的な考え方と予算の大綱について御説明をいたしました。

 私は、開放体制への本格的な移行というまことに意義深い年に臨み、全く新しい気持をもって、この予算を編成したのでありますが、この機会に、私が日ごろ痛感いたしておりますところを率直に申し上げてみたいと存じます。まず、予算は国民すべてのものであるということを強調したいのであります。国民の委託を受け、予算の執行に当たる政府、地方公共団体等におきましては、予算の執行に適正を期することはもちろん、さらに進んで、地方の実情等、国民生活の実態を十分わきまえ、効率的にこれを使用するようくふうしなければなりません。しかし、このことは、国民各位の理解と協力がなければ、はなはだ困難であります。予算が、人つくり、国づくり等を通じてわれわれの今日の営みにつながり、あすの繁栄を築くためのものであることを十分理解せられ、政府の施策に協力を寄せられたいのであります。(拍手)

 次に、資本の蓄積と貯蓄の増強の重要性について重ねて強調いたしたいのであります。
 戦後十八年間、国民のたゆまぬ建設的努力により、わが国の国力は飛躍的に向上してきたのでありますが、国際経済に本格的に仲間入りしていくに際し、さらに一段と経済力を強化するため、従来にも増して、資本蓄積と貯蓄増強につとめなければならないと思うのであります。企業におきましては、あくまで自己責任の原則に立ち、慎重かつ合理的な経営を通じて、資本内容を充実し、設備を効果的に高度化し、もって、内外のきびしい環境にも耐え得る力をつちかうことが肝要であると存じます。また、家庭生活にありましても、この際、心を新たにして、むだを省き、健全な消費生活を営み、貯蓄につとめられることが望ましいのであります。(拍手)このような意味におきまして、このたびの大幅な減税を、企業及び家計において、資本の蓄積と貯蓄の増強に役立てられることを念願いたしておるのであります。私は、日本国民の勤勉と良識によって、わが国の経済が将来ますます発展し、より豊かな国民生活が築き上げられるとともに、この上に立って、わが国が世界の自由と平和の建設に大いに貢献してまいることを国民各位とともに信じて疑わないものであります。(拍手)

 田中角栄の国会発言を確認する。「第46回国会衆議院本会議第4号(1964/01/23、30期)に於ける田中角榮発言」は次の通り。
 予算に関するお答えの前に、利子平衡税問題に対してお答え申し上げます。いま外務大臣がお答えを申し上げましたとおり、利子平衡税に対しては、これが法案の審議経過を見守っておるわけでありますが、これが日本の経済及び国際収支に及ぼす影響に対しても十分の配慮をいたしております。しかも、利子平衡税の問題については、来たるべき日米経済閣僚会議の議題ともなっておりますので、十分日本の真意を伝えて、これが対日差別撤廃を求めるつもりであります。

 利子平衡税後の問題としましては、御承知のとおり、世銀から道路公団に七千五百万ドルの借款をいたしましたし、なお三十九年度分として一億ドルの借款を了解いたしておるわけであります。なお、英貨債は、その後五百万ポンドの発行が終わり、十二月には民間ドル建て債二千万ドルの発行もヨーロッパにおいて行なわれ、本年一月には、御承知のとおり、一億ドイツマルク債が発行せられておりますので、逐次他の市場においても外債の発行が行なわれておるわけであります。

 それから、六、七点にわたっての御質問がありましたのでお答えをいたします。その第一点は、国際収支の改善と物価の安定をはかるという予算か、こういう予算に対する基本的な御質問でございますが、御承知のとおり、昭和三十六年、七、八年の予算を見ますと、対前年度の比較は、三十六年が二四%余、三十七年が二四・四%、三十八年度が一七・四%、今年度の予算が対前年度比一四・二%であります。このような率から考えましても、一般会計が昨年の三月三十一日まで執行されてきた予算に一〇%も切り込んでおるのでありますから、現在の状態から考えて健全性を貫いておるということはこの数字だけでも明らかであります。(拍手)

 それから、国民所得に対する一般会計の規模を見ますと、三十八年度は一七・一%であったものが一六・四%になっておるわけであります。なお、財政投融資につきましても、御承知のとおり今年度は対前年比二〇・八%の増でありますが、昨年は二四%余の増であったという事実に徴しても明らかなことであると考えるわけであります。しかも、一般会計及び財政投融資、金融政策等の適切な運用と相まちまして、国際収支の改善、消費者物価等の安定に資してまいる予算にしたいと考えておるわけであります。

 それから第二点の問題は、財源をすべて自然増収に求めたのは妥当なのかという御質問でございますが、一般会計予算の編成にあたりましては、御承知のとおり、財源としましては、従来とも、租税及び印紙収入のほか、いわゆる税外収入と前年度剰余金をもって充てておるのでありまして、この見積もりも過大ではありませんし、しかも、これ以外に財源を求めるとすれば、確かに健全、均衡性は破れるわけでありまして、この経常収入をもって経常支出をまかなっておるという事実は、御承知のとおりまさに健全性を貫いておるのでありまして、当然かくあるべきだと考えておるのであります。

 それから昭和三十九年度の税の問題でありますが、六千八百二十六億円の自然増収を見込んでおるということでございますけれども、御承知のとおり、三十九年度の予算は、先ほど申し上げましたように、経常収入以外に財源を求めておらないという事実は、十分御承知を願いたいと思います。

 それから第三点は、二千億減税が貫かれておるか、それから現に昭和三十八年度の予算については二一・五%の負担率が、三十九年度は二・五%というお話でございましたけれども、現在推定をいたしますと、三十九年度は二二・二%程度に推算されるわけであります。しかも、二千億減税は平年度でありまして、第一には所得税の減税、第二には開放経済体制に移行するのでありますから、これに対する企業の体質改善その他の企業減税、第三は住民税等を中心とした地方税の減税、合わせて平年度二千百八十億の減税を考えておりますので、二千億減税の選挙公約は十分果たされたものと考えておるのであります。

 それから来年度の税負担率の問題でありますが、現行税法によりますと、二二・八%にもなるというふうに算定をせられるわけでありまして、この問題に対して大幅減税を行ないましたために、二二・二%程度まで圧縮しておるわけであります。この率は、御承知のとおりただ数字だけでいわれるものではなく、国民一人当たりの所得水準、御承知の財政支出を通じての国民に還元される公共サービスとの関連など、広範囲に考えてきめるべき問題でありまして、これが三十八年度よりも税負担率が高くなっておるということは当たらないと考えておるのであります。

 それからもう一つ、地方財源補てんのために実質的な赤字公債を発行したというお話でごさいますが、この問題は重要な問題でありますので、政府の考えをこの機会に明らかにいたしておきたいと思います。御承知のごとく、今回の市町村民税の減税は、従来、ただし書き方式ないし超過税率によっていましたものを、本文方式、標準税率に改めようとする減税であることは御承知のとおりであります。これらの市町村は、地方交付税交付金によりまして所要の財源が付与されていたにもかかわらず、超過課税を行なっていたものでありますから、その他の市町村との均衡を考えれば、理論的には今回の減税のために、さらに補給金等の財源を与える必要はないものと考えておるのであります。しかし、一方におきましては、今回の減税の規模は画期的なものであり、これが当該市町村に与える影響も非常に大きいので、当面の財政運営に与える激変を緩和するための措置をとることが必要であると考えまして、今回のような画期的減税が現在の住民のみの一時的負担によって解決せられるべきものではないという考え方で、将来数年にわたって分担をさせるほうがより実際的だという考え方に立ちまして、減収額を補てんするための地方債の発行をすることにいたしたわけであります。したがいまして、補給金等の財源付与を惜しんだ結果、これにかわるべきものとしての地方債を発行したものではないのであります。なお、地方公共団体の場合には、御承知のとおり、各種の目的のために起債を行なうことが、現在でも認められておるのであります。しかもこの起債は、通常の地方団体における財源の一部となっておるのであります。それならなぜ元利補給をしたかという問題であります。これは、この税制改正によって減収が起こる市町村が非常に恵まれない地方であり、僻地で、一般の税率ではどうにもならないという特殊な事情にあるのでありますから、これらの地域に対して、政府がより高い立場で財源を一部持ってやろうという考えに立って行なったわけでありまして、赤字公債などの類のものではないことは、過去の例に徴しても明らかなことであります。(拍手)これは非常に大きな問題となりますので、特に率直な考え方を申し述べたわけであります。過去において北海道の固定資産税に対しても、同種のものが行なわれておるわけでありますし、それから激甚災に対しても、皆さんがかかる措置を要求せられてそういう措置を行なっておるのでありますから、赤字公債に類するものではないということだけはひとつ十分御承知願いたいと思います。(拍手)

 それから、来年度以降に問題の多い農地報償とか、それから在外資産の補償とか、そういう問題に対して、なぜ約束をしたかという問題でありますが、御承知のとおり、農地報償の問題に対しては、いま内閣の調査会で検討中でありますし、しかも、在外資産の問題に対しては、皆さんもいろいろお考えになっておられるように議論の多いところであり、正規の機関で調査をする必要があるという国民世論を背景にしてかかる措置に出たものでありまして、これによって歳出を約束したものではありません。

 それから自然増収を過大に見積もっておるのではないか、そして経済成長率、物価等を上げなければ、かかる税収は期待できないというお考えのようでありますが、第一次、第二次補正で皆さんに申し上げましたように、本年度すぐに二千億の増収が見込まれるという現在でありますので、三十八年度の決算見込み額を基準として三十九年度税収見積もりをやりますと、約四千八百億の増収にしかならないわけでありまして。この見積もりが過大であるということは絶対にないと考えます。

 それからもう一つ申し上げますと、この税収は、法人税等非常に大きなものに対して考えていただけばわかるのですが、時期がずれますので、昭和三十九年度の税収は、三十八年の下期及び三十九年の上期のものが税収としてくるわけでありますので、そういうことで勘定していただくと、四千八百億が多いなどというお考えにはならぬと思います。

 御質問でありますからもう一つだけ申し上げます。満配予算を組んで補正予算は一体どうするのかということでございますが、現在の段階において補正予算云々を申し上げることはできないと思います。しかし、大きな災害等が起こった場合どうするかという問題は当然申し上げなければならぬと思いますから、それらの問題につきましては、二百億の予備費を百億プラスしまして三百億円の予備費を計上いたしておりますので、これをもって対処してまいりたい。以上、総じて申し上げますと、完全なる健全均衡予算であるということをどうぞひとつ御了承いただきたいと思います。(拍手)
 小坂さんにお答えいたします。第一は、沖縄に対する問題でございますが、御承知のとおり、三十五年一億、三十六年五億、三十七年十億、三十八年十九億というように、沖縄援助費につきましては十分な配慮をいたしてまいったわけでありますが、三十九年につきましては、二十億円の予算を組んでおるわけであります。それからマイクロの問題は、現在調整が行なわれつつありますので、近く結論が出ると思っております。

 それから第二は、減税問題でございますが、減税につきましては、今後長期減税計画を立ててはどうかということでございます。御承知のとおり、歳出の面については、各省でも、また政府自体が長期計画を法律で明定をいたしましたり、いろいろつくっておりますが、税に対して相当長い期間にわたって長期的な減税計画をつくるということについては慎重に考えなければならないと考えております。税制調査会、経済計画の審議会等の意見も聞きながら、安定的な経済成長に対する考え方や、また国民所得の状況等、非常に広範にわたって検討をしなければならない問題でありまして、現在すぐ長期減税計画を立て得るかどうか御答弁できないと思います。

 第三点は、昭和三十九年度の予算に関して、まあ大体いい予算だと思うけれども、一部の方々は財源を目一ぱいに見積もっておるので予算の弾力性がなくなっておるということに対して、長期歳入見積もりをつくってはどうかという御質問でありますが、先ほどもお答え申し上げましたとおり、三十九年度は過去の実績、経済の見通し等から考えまして、目一ばいというよりも、通常の見積もり内にある歳入というふうに考えておるのでありまして、正常な歳入を考えておるわけであります。長期歳入見積もりという問題に対しては、検討いたしたいと考えます。それから、輸出体制と国際収支改善問題に対しての具体策を示せというお話でございますが、御承知のとおり、開放体制に向かいますので、今後為替制限によって国際収支を安定せしむるということができませんので、かかって輸出の振興にあるわけであります。海運対策、観光政策等に対しては、三十九年度の予算で御承知のとおり、格段の施策を行ない、貿易外収支等の改善に対しても、積極的な施策を行なっておるわけであります。

 第五点は、中小企業金融の拡充についてでございますが、通帳大臣からお答えがあると思いますけれども、中小企業信用保険公庫への四十五億の出資等の施策にも見らるるとおり、中小企業の金融の問題に対しては、十分なる施策を行なってまいりたいと考えます。(拍手)

 田中角栄の国会発言を確認する。「第46回国会衆議院本会議第5号(1964/01/24、30期)に於ける田中角榮発」は次の通り。
 税制、金融、国際収支の問題に対しては、ただいま総則大臣からお等えがございましたので、管理物価を引き下げるか、間接税、特に砂糖及びたばこの引き下げを断行する意思はないかという御質問に対してお答えを申し上げます。御承知のとおり、間接税は昭和三十七年に大幅な減税をいたしました結果、おおむねその税負担は妥当な水準にあるものと認められるのであります。その意味におきまして、現在減税の緊急性がないものとして、来年度の間接税の減税は行なわなかったわけであります。 それから砂糖の問題でありますが、国際価格が上がったり、税負担の問題等がありましたので、去る十二月に砂糖消費税の減税を行なったわけであります。平年度約七十億になると思いますが、これらの減税を行なったのでありまして、現在消費税体系の中でほぼ妥当な水準にあるものと考えております。たばこにつきましては、いつもお話に出るのでありますが、御承知のとおり、葉たばこの収納価格は年々引き上げられておるにもかかわらず、たばこの小売り価格は昭和三十一年から据え置かれておるのであります。その意味から言いますと、たばこは値下げになっておるのでありますから、現在の状態においてたばこの価格を引き下げようという考えはありません。(拍手)
 横山さんにお答えいたします。中小企業対策につきましては、一般会計の予算百六十五億円だけをごらんになってのお話のようでありますが、中小企業対策に対しては、政府も最も重要な問題として考え、一般会計、財政投融資、税制、金融等を通じて万般の施策を行なっておるわけであります。それから、先ほど八つの御提案の中で、総理大臣からお答えになった分もございますが、一応簡単に申し上げます。その第一番目は、昨年末より日銀が金融調整段階に入っておりますが、この間において、中小企業の努力や、また、近代化や合理化というような面について悪影響を及ぼさないように、特に金融に対しては万全の処置をとれということでございますが、政府もそのように考え、開放経済体制に向かいながら、これからようやく設備の合理化、近代化をやらなければならない中小企業の熱意が阻害せられるようなことがあってはならないということで、金融に対しては遺憾なきを期してまいる考えであります。公定歩合の問題に対して御質問がございましたが、公定歩合は、御承知のとおり、日銀の金融調節の権限処置でありますが、現在までは、公定歩合の問題に対して日銀が考えておるような状態は承知をしておりません。

 第二の問題は、銀行法の改正をして、市中金融機関の資金のうち三〇%程度だという含みだと思いますが、中小企業に貸し付けるように法定をしてはどうかという従来からの御主張でございますが、御承知のとおり、金融の正常化は、できるだけ統制の方向ではなく、自主的な方向に進めておりますので、法定をしなくとも、政府関係機関の資金量をふやすということや、あわせて市中金融機関の中小企業向けの資金量の確保をはかりながら、貸し出し条件等を優遇していくことによって解決するほうが、より適策だと考えておるわけであります。

 第三の、歩積み、両建ての問題につきましては、これは毎回御質問がございますが、まず、できるだけ自主的に解消をはからせなければならぬと考えております。自主的をいつまでもと考えておるのではなく、行政措置を強力に推し進めながら、歩積み、両建ての解消をはかってまいりたいと思います。しかし、そのような状態においてこれが解消できない場合どうするかという、たたみ込んだ御質問でございますが、もちろん、独禁法等によっての処置をするということになると考えておるわけであります。

 それから、零細の企業に対する法人税率の刻みをふやしてはどうか、それから事業税の撤廃、固定資産税の増大取りやめというような、税に対する問題がございますが、御承知のとおり、ことはし、中小企業の二百万円――従来年二百万円以下の所得には軽減税率を適用しておったのを、三百万円に引き上げておりますし、また、法人税は個人所得税の前取りだという観念でおりますので、これ以上細分化をする考えはございません。

 それから、事業税は、御承知のとおり、応益負担の原則によって都道府県に納めておる税金でありますし、都道府県の税収の二分の一以上がこの事業税によっておるという事実から考えましても、廃止は不可能だと考えております。それから、固定資産税の問題については、自治大臣がお答えをいたしておりますとおり、評価がえによって大きく増大しないように万般の措置をとる予定であります。(拍手)

 田中角栄の国会発言を確認する。「第46回国会衆議院本会議第6号(1964/02/11、30期)に於ける田中角榮発言」は次の通り。
 OECDに対する加盟の利益があるかということでございますが、その問題に対しましては、総理大臣、外務大臣からお答えになりましたが、大蔵省関係としまして、財政金融、特に国際流動性の問題、経済、貿易等につきまして、これから国際的に開放経済に対処して、いろいろ日本も前向きで利益を守っていかなければならぬことは言うをまたないわけであります。これらの問題につきましては、御承知のとおり、国際連合及びIMFで討議をされるのでありますが、この討議に先立ちまして、主要国はOECDで特に議論をいたすのであります。その意味において、日本が事前に討議をせられるOECDに加盟をすることによって、国際通貨の問題、財政金融、経済、貿易等の問題に対して協議に加わるということが、いかに大切であり、日本のためになるかということは言うをまたないわけであります。その問題が一番OECDに対する加入の必要性だとさえ考えておるのでございます。特に、このOECDの第三作業部会で行なわれる財政金融政策が重要なものであるということは、皆さんも御承知のとおりであります。

 第二点は、OECDに加入することによって、資本、経常両面により自由化義務を迫られることによる国際収支の悪化に対してどう対処するかということでございますが、御承知のとおり、自由化義務につきましては、十七項目にわたる留保をいたし、免除を受けておるのであります。なお、この免除を前提としてOECDに加盟をいたしますと、今度は満場一致の決議を必要とするわけでありますから、日本に対して不利益になるようなものに対しては日本の発言力が非常に強く確保せられることも、皆さま御承知のとおりでございます。

 それから第三点は、貿易外収支のうち、特にロイアルティーの問題についてのお話でございましたが、技術導入は経済の発展に大きく貢献するものでありますので、政府は、従来とも、簡単にかつ迅速に承認をする政策をとってきておるわけであります。しかし、特に、わが国固有の問題、すなわち、過当競争の広範な存在及び中小企業等の問題がありますので、最終目的としては完全なる自由化を考慮する旨を表明しておりますが、期間一年以上、対価三万ドルをこえる技術契約につきましては、自由化を留保しておるわけでございます。このような措置をとっておりますので、実際の承認にあたっても、また、審査にもこのような立場をとっておりますので、御質問のような心配はないと存じます。

 それから次に、海運収支の対策についてのお話でございましたが、OECDに加入をするということで、まず外航船腹の拡充をはかることによって、国際競争力を強化して、海運収支の長期的改善をはかろうといたしておるわけでございます。具体的な問題につきましては、御審議を願っておりますとおり、開銀融資建造は、三十八年五十万トンを六十四万二千トン、融資ワクは二百三十億から二百八十三億、また、開銀の融資比率七〇%を八〇%に、このように行なっておりますし、新造船の金利は、開銀において四%、市中において六%になるように利子補給等を行なっておりますので、OECDに加盟をすることを契機として、とくに船腹拡充により長期の貿易外収支の改善をはかろうとしておるのであります。(拍手)

 田中角栄の国会発言を確認する。「第46回国会衆議院本会議第7号(1964/02/12、30期)に於ける田中角榮発言」は次の通り。
 所得税法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。政府は、今後におけるわが国の社会経済の進展に即応する基本的な租税制度を確立するため、一昨年、税制調査会を設け、鋭意検討を加えてまいりましたが、昨年末、同調査会から、最近における経済情勢の推移に応じて、現行税制につき、さしあたって改正を必要とする事項について、「昭和三十九年度の税制改正に関する臨時答申」を得たのであります。その後、政府におきまして、同答申を中心にさらに検討を重ねた結果、昭和三十九年度におきましては、中小所得者に重点を置いて所得税の負担を軽減するとともに、当面要請されている企業資本の充実と設備の更新を促進し、産業の国際競争力の強化に資する等のための措置を講ずることとなし、国税において平年度千三百七十億円程度の減税を行なうことといたしたのであります。これらの税制改正諸法案のうち、今回ここに所得税法の一部を改正する法律案を提出した次第であります。

 以下、この法律案の内容について、その大要を御説明申し上げます。まず、所得税につきまして、中小所得者を中心とする所得税負担の軽減をはかることといたしております。すなわち、基礎控除を現在の十一万円から十二万円に、配偶者控除を現在の十万五千円から十一万円に、それぞれ引き上げることとするほか、五万円の扶養控除額が適用される年齢区分を現在の十五歳以上から十三歳以上に引き下げて、その範囲の拡大をはかるとともに、十三歳未満の扶養親族の扶養控除額についても、現在の三万五千円を四万円に引き上げることといたしております。また、最近における給与支給額の上昇等を考慮いたしまして、専従者控除について、青色申告者の場合は、年齢二十歳以上の専従者の控除限度額を現在の十二万五千円から十五万円に、二十歳未満の専従者の控除限度額を現在の九万五千円から十二万円に、白色申告者の場合は、その専従者の控除額を現在の七万五千円から九万円に、それぞれ引き上げることとするほか、特に、給与所得者の負担の現状に顧み、給与所程控除について、定額控除を現在の一万円から二万円に、控除限度額を現在の十二万円から十四万円に、それぞれ引き上げることといたしております。

 以上申し述べました諸控除の引き上げにより、夫婦子三人、計五人家族の標準世帯を例にとりますと、所得税が課されない所得の限度は、給与所得者では、現在の約四十三万円までが約四十八万円までに、事業所御者のうち、青色申告者については、現在の約三十九万円までが約四十三万円までに、白色申告者については、現在の約三十三万円までが約三十七万円までに、それぞれ引き上げられることとなるのであります。

 次に、退職所得の特別控除額について、現在、在職期間の年齢区分に応じまして控除額に差が設けられておるのを、年齢区分を廃止しまして、一律に勤務一年につき五万円に引き上げるほか、住宅または家財について支払った損害保険料について、保険期間等が十五年未満の短期の火災保険の場合は二千円を、保険期間等が十五年以上の長期の建物更生共済等の場合は五千円を、それぞれ限度としてこれを課税所得から控除する損害保険料控除制度を創設することとし、なお、生命保険料控除の限度額、譲渡所得等の特別控除額、寄付金控除の控除対象限度額等についても、それぞれその引き上げをはかることといたしておるのであります。その他、所得税制の整備合理化措置の一環として、短期保有の資産の投機的な譲渡による所得に対する課税について半額課税等の方式をとらないこととする等、所要の規定の整備をはかることにいたしたわけであります。以上、所得税法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第でございます。(拍手)
 私からお答えいたしますものが四、五点ございますから、お答えをいたします。その第一点は、三十九年度の成長率九・七%と見た場合、六千八百二十六億は過大ではないか、しかも、当初案一二%と成長率を算定した場合、六千億ないし六千五百億と言ったのに、いずれが正しいかという御質問でございますが、いずれも正しいのであります。出初一二%と見ましたのは、御承知のとおり、三十八年度の経済成長率が非常に低いものだと考えて、まだ未確定要素の状態において三十九年度を算定したわけでございます。ところが、御承知のとおり、三十八年度の下期、すなわち第三・四半期、第四・四半期の経済成長率が非常に高いので、しかも、いま御審議を願っております第三次の補正予算案をごらんになればおわかりになるとおり、今年度において自然増収がすでに二千億余見込まれるわけであります。そのように経済成長率が商いので、三十八年度の基本ベースが高くなりましたので、三十九年度の経済成長率を、三十八年度の八・一%より下げても、税の自然増収は多くなるわけであります。でありますから、六千八百二十六億円の税収見積もりは、名目九・七%、実質七%で、積み上げ方式によって算出したものでありますから、適正な歳入見積もり規模だと考えておるわけであります。そこで、ちょっと申し上げますと、経済成長率と税収との関係は、時期的にズレがございます。でありますから、三十八年度の下期の成長率の高い時代の法人税収入等が三十九年度の上期にずれ込みますので、このように見積もられることは御承知のとおりでございます。

 第二点は、補正財源はあるのかということでありますが、一般会計の予算を組んで御審議を願っておるときに、補正財源云々を申し上げることはいかがかと思います。しかし、災害等に関しましては、御承知のとおり、三十九年度の予算に百億の災害予備費を計上してございますので、これによって対処いたしたいと考えておるのであります。

 それからその次に、租税特別措置の整理統合、廃止について、どう考えるかということでございますが、御承知のとおり、租税特別措置法というのはいろいろ議論のあるところでありまして、租税の公平の原則から考えますと、できるだけ整理統合すべきであるという議論が存することは当然であります。しかし、日本のように、戦後の困難な情勢に対処して今日の経済を拡大してき、われわれ国民の生活基盤を確保してまいるには、ある時期において時間を限って特別な措置が必要であることもまた事実であります。御承知のとおり、三十九年度の減税を契機にして考えますと、IMF八条国への移行、OECD加盟等の開放経済に向かう特殊な条件がありますので、これらの国際競争力に対処する等のため租税特別措置が必要であることもまたお認めいただけると思うわけであります。これらの問題に対しては、税制調査会の答申をまちながら処置してまいりたいと考えます。

 その次は、三十九年度の減税規模が小さいのではないかということでございますが、卸承知のとおり、六千八百二十六億の自然増収を見積もりましたけれども、三十九年度の特殊な事情として、前年度剰余金の減が千八百余億になるわけであります。六千八百億から千八百億ないし千九百億を引きますと、四千九百億程度の歳入増であります。この当該年度における歳入増と当該年度における減税額との比率が問題なわけであります。この問題につきましては、十分御承知のとおり、一七・一%でありまして、昭和三十二年以降最大の減税規模であるということも御承知のとおりであります。

 それから、課税最低限五人家族の場合が少ないではないかということでありますが、減税によりましては、四十七万一千円というふうに見込まれる最低限を四十八万五千円程度まで引き上げておるわけであります。ところが、五人家族においては、わずかその差が一万四千円しかないのでありますけれども、三人家族、二人家族、独身者によって見ますと、多いものは五万円も開きがあるわけでありますので、これらの計数に対しては御検討をわずらわしたいと思います。

 もう一つ、税制調査会の答申を守らなかったということでございますが、御承知のとおり、最高限度額三万円を引き上げるようにという答申に対して、二万円の引き上げを行ない、二〇%の控除率の適用範囲の拡大ということが答申にございましたが、これは見送ったということでございますが、これは所得税及び企業減税、地方税等の勘案もありまして、先ほども申し上げました開放体制に対処する特殊な事情もありますので、二千億減税という政府の当初の方計を、二千百八一億までワクを広げて前向きに対処したわけでありますので、これらを見送ったことは事情御了承いただけると思うわけであります。税制調査会の答申は二千三百八十億余でございましたけれども、これは輸出所得控除の当然増徴分を引かない数字でありまして、政府原案ではこれを引いてありますので、総体的な結論的な数字から申し上げますと、税制調査会よりも約五十億上回る減税を行なっておるという事実を申し上げて答弁といたしたいと思います。(拍手)

 田中角栄の国会発言を確認する。「第46回国会衆議院本会議第8号(1964/02/18、30期)に於ける田中角榮発言」は次の通り。
 新道路五カ年計画の発足に際して、ガソリン税の引き上げ等特別財源の整備を行なったけれども、それについては三十九年度一般会計歳出四百五十億では少ない、こういうような趣旨であったと思います。一十九年度の道路整備事業費は二千七日六十五億でありまして、うち一般財源を四百五十億円歳出に組んでおるわけであります。三十八年度の一般会計の歳出は三百六十億でありますので、対前年度比二五%アップになっておるわけであります。特定財源であるガソリン税は一〇%の増徴後、対前年の伸び率は二三%でありますので、この増税後の特別財源の伸び率以上に一般会計の支出を行なっておるわけであります。

 道路整備につきましては、欧米各国も道路整備を急いでおるわけでありますが、おおむね自動車の関係収入及びガソリン税を主要財源としてまかなっておることば、御案内のとおりでありまして、日本のごとく一般財源を多量に投下しておる例はないのであります。しかし、先ほどから申し述べられましたように、道路整備の緊急性を考えまして、各一般財源の投下をはかっておるのでありまして、事情から申し上げて、ガソリン税の引き上げも道路整備の緊急性から見てやむを得ざる措置だと御理解賜わりたいと思います。(拍手)
 租税特別措置法の一部を改正する法律案の趣旨につきまして、御説明を申し上げます。政府は、昭和三十九年度税制改正の一環として、さきに提出いたしました所得税法の一部を改正する法律案及び法人税法の一部を改正する法律案等の改正諸法案に引き続き、企業の国際競争力の強化及び自己資本の充実、資本市場の育成並びに科学技術の振興等の措置を講ずる必要がありますので、ここにこの法律案を提出した次第であります。

 以下、この法律案の内容について、その大要を御説明申し上げたいと存じます。第一は、輸出所得の特別控除制度は、今年三月末にその適用期限到来と同時に廃止するわけでありますが、国際収支の安定、改善をはかることが緊要でありますので、この際企業の国際競争力の強化等に資するため、次の措置を講ずることといたしたのであります。

 その一は、輸出割り増し償却制度について、その適用期限を三年間延長するとともに、普通償却範囲額に輸出割合を乗じた額の八〇%相当額を割り増し償却の範囲額とすることとなし、制度の拡充と簡素、合理化をはかることであります。

 その二は、技術輸出所得控除制度につき、その適用期限を五カ年間延長するとともに、取引基準にかかる控除割合を海外への技術提供による収入金額の五〇%から七〇%に引き上げ、さらにその適用対象に対外支払い手段を対価とするコンサルティング業務の収入及び輸出貨物の運送その他対外支払い手段を対価とする運送業務の収入を含め、この場合の取引基準にかかる控除割合をそれぞれ収入金額の二〇%または三%とすることであります。

 その三は、海外市場の開拓に必要な特別な支出に備えるため、昭和三十九年四月一日から五カ年間、商社については輸出取引額の〇・五%、製造業者については一・五%相当額の損金算入を認める海外市場開拓準備金制度を創設することであります。なお、この準備金にかえ、中小企業が共同して行なう市場調査費用等に充てるため、特定の商工組合についても、中小企業海外市場開拓準備金制度を創設することといたしておるのであります。

 その四は、新開発地域に対する投資を促進するため、昭和三十九年四月一日から五カ年の間に行なわれる新開発地域に対する特定の投資について、その取得価額の二分の一相当額以下の金額の損金算入を認める海外投資損失準備金制度を創設することであります。第二は、企業の資本充実に資する見地から、支払い配当に対する法人税率を二八%から二六%に引き下げるとともに、年所得三百万円以下の部分に対応する支払い配当及び特別法人の支払い配当に対する法人税率もこれに準じ、それぞれ引き下げることといたしております。なお、配当受け取り株主の益金不算入割合及び配当控除割合は、現行どをり据え置くことといたしておるのであります。

 第三は、資本市場の育成に資するため、新たに次の措置を講ずることといたしております。その一は、証券投資信託の収益分配金について、昭和四十年三月三十一日までに支払われるものに対し五%の税率による源泉分離課税方式を採用することであります。その二は、証券取引において生ずる事故についての証券業者の補償責任の明確化をはかる措置の一環として、昭和三十九年四月一日から五年の間、株式数を基準として一定割合で計算した金額の損金算入を認める証券取引責任準備金制度を創設することであります。第四は、科学技術の振興に資するため、従来から設けられている試験研究用機械設備等の特別償却制度を統合して、昭和三十九年四月一日から三年の間に取得した開発研究機械等については、初年度において取得価額の九五%相当額を償却できることとするほか、鉱工業技術研究組合に対する支出金の特別償却制度について、その償却割合を初年度七〇%、自後二年間にそれぞれ一五%とする現行制度を、初年度一〇〇%とする制度に改め、さらに重要国産技術の開発に資するため、国産一号機の取得につき、初年度三分の一の特別償却制度を創設することとしております。第五は、以上述べたもののほか、特別償却制度について次のような措置を講ずることといたしておるのであります。その一は、住宅建設の促進に資するため、現行の新築貸し家住宅の翻り増し償却制度について、その適用期限を昭和四十二年三月三十一日まで延長するとともに、昭和三十九年四月一日から三年の間に新築したものについては、その割り増し率を現行に比し、それぞれ十割ずつ増加することといたしておるのであります。その二は、工業用水法に規定する井戸から工業用水道への強制転換施設につき、初年度三分の一の特別償却制度を創設することであります。その三は、現行の重要産業用合理化機械の特別償却制度につき、その償却割合を初年度三分の一から四分の一に縮減することであります。第六は、海運業再建整備に伴う措置の一環として、船舶の減価償却に関し、運輸大臣の承認を受けた整備計画の実施中は、船舶についての償却不足額の打ち切りを行なわないこととするほか、その整備計画に基づく合併等に際しては、償却不足額の引き継ぎを認めることといたしております。第七は、協同組合に対する課税の特例といたしまして、農業協同組合、漁業協同組合、専業協同組合、事業協同小組合及び商工組合等のうち、一足の要件に該当するものに対しましては、留保金が出資の四分の一に達するまでは、昭和三十九年四月一日から五年の間に終了する各事業年度における留保所得の二分の一について、法人税を課さないこととする制度を創設することとしております。

 第八は、医療法人に対する課税の特例として、医療法人のうち、その産業が公益の増進に著しく寄与し、かつ公的な運営がなされるものとして大蔵大臣の承認するものについては、その所得に対する法人税率を、現行年二百万円超三八%、年二百万円以下三三%から一律に二八%に軽減することといたしておるのであります。

 第九は、法人の交際費の損金不算入制度の改正であります。すなわち、この制度の適用期限をさらに三年間延長するとともに、最近における交際費支出の状況にかんがみ、その控除額を、現行の年三百万円と資本金額等の千分の一との合計額から、年四百万円と資本金額等の千分の二・五との合計額に引き上げるとともに、損金不算入割合を二〇%から三〇%に引き上げることといたしております。

 第十は、贈与税の課税の特例でありますが、農業を経営する個人が推定相続人に農地を贈与して、その農業経営を行なわせる場合には、一定の条件のもとに贈与税の納期限の延長を認めるとともに、その後相続があったときには、その農地を相続財産に含めて相続税を課することとし、贈与税との調整をはかることといたしておるのであります。

 最後は、昭和三十八年度末に期限が到来する特別措置のうち特定のものについての期限の延長であります。すなわち、航空機の通行税の軽減措置については一年、増資登記に対する登録税の軽減措置等については三年と、それぞれその適用期限を延長することといたしております。以上、この法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。(拍手)
 根本的には総理大臣からお答えになりましたから、私に対する御質問の一点だけ申し上げます。 医療法人に対する特別措置に対しては減収計算が出ておらないが、一体どういうことなのか、こういう御質問でございますが、公共性が強く、かつ公的に運営されておる医療法人として、大蔵大臣の承認を受けたものにこれからこういう特別措置を与えよう、こういうことで制度の道を開いたのでありますから、事実上三十九年度には減収はほとんど立たない、このように見ておるわけであります。(拍手)
 金融問題につきましては農林大臣からお答えがありましたので、財政に限って御答弁を申し上げます。昭和三十九年度の農林関係予算三千五百六十億、昭和三十八年度の二千五百三十一億に比べて三三%のアップになっておるわけであります。しかも昭和三十九年度の財投計画につきましては九百三十八億円を計上いたしておりますが、三十八年対比二九・六%のアップになっておるのでありまして、財投二〇・八%アップに比べると重点的に配慮いたしておるわけであります。なお、これにより農林漁業公庫の新規貸し付けワクは千七十億円と、三十八年度に比べて二三%も拡大しておるわけであります。政府は将来とも財政、金融、税制等を通じまして、農業基本法の精神に沿って、財政上も大いに配慮してまいります。(拍手)

 田中角栄の国会発言を確認する。「第46回国会衆議院本会議第11号(1964/02/27、30期)に於ける田中角榮発言」は次の通り。
 一年間公共料金抑制の立場から、地方公営企業に対して利子の補てん、一般会計からの補充、なお、企業債の金利の引き下げ、償還期限の延長等ができないかということでございますが、物価抑制のために政府が一年間行なっておりますこれらの施策に対しては、地方公共団体も十分協力を願いたいことでありますし、一時的な資金不足を補うために延長するというようなこと、また、金利の引き下げ等につきましては、資金運用部の資金コストは御承知のとおり六分五厘でございますし、また、公営公庫の金利は七分三厘でありますが、資金コスト一ぱいの数字でありますので、これを引き下げるというわけにはいかないと思います。なお、このような特別な事情において一部の企業にだけ引き下げを行なうというようなことになりますと、補助金を交付するということにも通じますので、現在政府はこのようなことを考えておらないわけであります。ただし、地方公営企業につきましては、制度調査会を設けまして、この答申をまって検討をいたすということに政府は決定をいたしておるのであります。
 住民税の減税補てんに関しましては、本議場を通じまして何度か申し上げておるとおりでございます。しかも、交付税率二八・九%を引き上げよという御説でございますが、御承知のとおり、地方税は非常に増収をされておりまして、三十九年度国の予算は一四・二%の対前年度伸びにもかかわらず、地方財政においては一九・二%も大きく伸びておる現状を考えますと、この交付税率は将来引き下げる方向にはあると思いますけれども、これを引き上げるというようなことは考えておらないわけであります。以上、お答え申し上げます。(拍手)
 住民税減税による補てんにつきましては、財源補てん債によらずして、地方交付税率の引き上げによるべしということでございますが、この御質問につきましては、先ほどお答えを申し上げたとおりでございます。地方債で補てんをすればいいという考え方に立っておるわけでありますが、市町村の実際の財政の負担は、御承知のとおり、初年度で約八十七億円にとどまると見込まれるものに対しまして、市町村税の自然増収は減税後なお七百八十億という巨額にのぼっておるのでございます。なお、三税の増加に伴う地方交付税の増加等を考えますと、この処置によって財政運用には支障はないという考え方でございます。

 第二点は、固定資産税の税率の引き下げ及び資産の圧縮記帳課税等の問題でございますが、本件につきましては、固定資産税の基本にも触れる問題でございます。しかも、税制調査会におきまして、かかる問題を取り上げ、固定資産税の恒久的なあり方につきまして今後検討するという段階に至っておりますので、この答申をまって検討いたしたいと考えます。電気ガス税につきましては、電気ガス税は悪税なりという認定でございますが、悪税とも考えておりません。三百円の現行免税を千円に引き上げるべしということでございますが、現行の免税点三百円は、御承知のとおり、低所得者層の大部分を占める定額電灯料の約八〇%をこれによって免除しておるのであります。これを千円に引き上げますとどういうことになるかというと、農村地帯が大体この千円の中に入るわけでありまして、千円に引き上げることによって農村地帯の市町村の税収入が大幅に一挙に減る、こういう問題がありますので、これはなかなかたいへんな問題であります。現在の段階においては三百円が適当であり、千円までに引き上げられる階段にない、このように考えるわけであります。(拍手)

 田中角栄の国会発言を確認する。「第46回国会衆議院本会議第15号(1964/03/19、30期)に於ける田中角榮発言」は次の通り。
 公定歩合引き上げ後の中小企業金融に対しての御質問でございます。総理大臣がおおむねお答えをいたしましたが、二、三申し上げます。第一点は、公定歩合引き上げが決定せられた直後に、日銀総裁を大蔵省に招致いたしまして、これが引き上げによりまして中小企業にしわが寄らないように、万全の措置をとられることを要望しておるわけでございます。第二点は、御承知のとおり、昭和三十八年の第四・四半期につきましては、政府三機関の資金の追加、融資ワクの拡大、買いオペレーションの運用等によって、万全の対策をはかっておるわけでございますが、なお、昭和三十九年度につきまして、三十八年対比二一%資金量のアップをはかっておると同時に、四月の買いオペレーション二百億円、なお、四月に期日のまいっております売りオペレーションの百五十億円の延期もいたしておるわけでございます。なお、銀行その他金融機関の協力をまって、中小零細企業の金融に遺憾なきを期したいと存じます。最後に、歩積み、両建ての排除によりまして、実質金利負担の軽減をはかることによって、中小企業の育成強化に資したい、このように考えておるのでございます。(拍手)

 田中角栄の国会発言を確認する。「第46回国会衆議院本会議第16号(1964/03/24、30期)に於ける田中角榮発言」は次の通り。
 小松さんにお答えをいたします。画一、一律的な引き締めを行なわないと言っておったものが、なぜこのように二厘も大幅に公定歩合を引き上げたのかということでございますが、このおおよその問題に対しては、いま総理大臣からお答えをしたとおりでございます。この公定歩合は、御承知のとおり、日銀が中央銀行としての中立性を保ちながら、機に応じて適切な処置の一つとして行なう金融調節手段でございます。御承知のとおり、十二月にはもうすでに預金準備率の引き上げを行ない、なお、一月には窓日規制も行なっておるわけでございます。総理の施政方針演説にも、私の財政演説にも、金融は引き締め基調にありますが、機に応じて適切なる処置をとります。とこう言っておるのでございます。総理がいま申されたとおり、公定歩合に対して質問をしても、私からお答えができないということは御承知のとおりでありますから、その間の事情は御了解願いたいと存じます。

 それから第二点には、国際収支の逆調の問題について御質問がございましたから申し上げます。政府見通しは、御承知のとおり、今年三月末、すなわち昭和三十八年度の国際収支につきましては、特別借款一億ドルを返済して、九千九百万ドルないし一億ドルの赤字を予想をいたし、発表をいたしておるわけでございます。三月末の期末外貨準備は十七億六千四百万ドルでございますが、私が国会においてお答えをいたしておりますとおり、インパクトローン、ユーロダラーの流入等もございましたが、大体三月末には外貨準備高十八億ドルの現状で越年をするという見通しでございます。その上に、なお、八条国移行を契機にしまして、統計にはすでに入っておりますゴールド・トランシュ分一億八千万ドルを加えますと、二十億ドルに近い期末外貨準備高で越年をするわけでございますので、当面、国際収支には不安がないといったことは間違いないと考えております。

 ただ、国際収支の長期的な見方につきましては、御承知のとおり、経常収支の赤字を資本収支の黒字でまかなっておるというのが日本の状態でございますので、貿易の振興を第一に考え、特に貿易外収支の改善を早期にはかることによって経常収支の黒字基調を確立しようと、いま鋭意努力をいたしておるわけでございます。

 第三点は、企業間信用が膨張しており、特に手形の増発、また手形のサイトの長期化、不渡り手形の乱発等の問題に対して、一体どう考えるかということでございますが、手形法、小切手法等は非常に古い状態でありまして、現状に対処して、一体これでいいのかという問題は確かにあると思います。この手形法及び小切手法等の改正の必要ありと考えまして、これらの問題に対しては、法務省当局に検討をしてもらっておる次第でございます。

 なお、公定歩合の引き上げを行なって、中小企業に対する金融はどうかという問題でございます。これは通産大臣から詳しくお答えをいたすと存じますが、大蔵省、通産省としましても、十分意思の疎通をはかりながら、昭和三十八年度の第四・四半期の政府三機関の資金量を大幅に増額しておることは、戦後二回目の大幅であるということを考えても、おわかりになるとおりでございます。しかも、三十九年第一・四半期には、中小企業向け政府資金による買いオペレーションを二百億円行なうとともに、四月中旬に期限の到来する分のうち、百五十億円の期限の延長をはかっておるわけでございます。

 なお、それだけではなく、公定歩合引き上げの直後、日銀総裁を招致いたしまして、全金融機関あげて中小企業対策に努力を要請して、日銀の了解も得ておりますので、政府、金融機関一体となって、しかも、公定歩合の引き上げというようなものを契機にして、まじめな意味で健全な経営をしておる中小企業にしわが寄らないように、万全の体制をとっておる次第であります。

 なお、その次には、株価についてでございます。株価に対する御質問が非常に多いようでございますけれども、御承知の通り、政府の株価に対する態度は、株価そのものには絶対に干渉をしないということが原則であることは、言うをまたないわけであります。政府が株式市場に対して関心を持つものは、言うまでもなく、投資家保護が第一であります。第二は、これからからの八条国移行後の国際競争力を培養しなければなりません。日本の現状から考えまして、資本市場の育成強化ということは、私が申すまでもなく、重大な関心を持つものでございます。戦前六一%の自己資本比率が、今日三〇%を割り、もうすでに二五%を割り、二〇%台に近づいておるという事実を見るときに、資本市場の育成がいかに重大であるかは、あえて私が申すまでもないわけであります。その意味において、株式市場の育成強化をはかっておるわけでございます。

 共同証券の力は一体どのくらいあるのかという御質問でございますが、こういう質問があるので、ちょろっとお答えをするということで、まあいろいろ御批判があるわけでございますが、共同証券は、御承知のとおり、政府関係機関ではありません。また、特殊な会社でもありません。証券取引法によって自主的に設立をせられた証券業者でありますが、しかし事実は、御指摘になったとおり、あのような証券市場の状態においてつくられた共同証券なるものでございますので、これらの問題に対しては、私は、絶対に干渉しないということでおります。しかし、せっかくの御質問がございましたから、私が知り得る範囲の御答弁を申し上げるといたしますと、共同証券は小さな資本金しか持たないものでございますけれども、日銀、またその他の都市銀行、他の金融機関、また経済界もあげて株主になるような方向になっておるようでありまして、資本金の多寡等の問題でこの共同証券の力を評価すべきでないというくらいに大きなものであるというふうに聞いております。

 それから、増資の調整を一体どうするのか、こういう問題でございます。増資の問題につきましては、御承知のとおり、民間金融機関、及び業界が自主的に判断をしてきめる問題でございますが、これらの問題に対しては、政府機関の間でも慎重に考慮をし、推移を見てまいりたい、このように考えるのでございます。もう一つは、政府保証債の消化は一体できるのかという問題でございますが、財投計画では昭和三十八年度千八百八十二億、三十九年度二千五百億の民間公募債及び借り入れ金を予定いたしておりますが、もうすでに御承知のとおり、昨年の十一月、十二月の消化ベースで大体三十九年度も予定をいたしておりますので、公定歩合の引き上げ等があったことによって、起債市場が逼迫する、民間資金の調達が二千五百億円できないというような状態ではないというふうに考えておるわけでございます。(拍手)
 白浜さんの私に対する質問は、共済団体の負担し狩る責任部分をこえる部分については、国の再保険を行なうことが必要であるという点が一点。共済掛け金の異常危険部分について国が負担する方途を講ずべきであるというのが二点。第三番目は、事務費についても国が積極的に助成を行なうべしという御議論のようでございます。以上について申し上げます。

 漁業災害補償制度は、わが国の漁業の実情と、これまでの漁業共済に関する試験実施の実績に基づきまして、その制度化をはかることにしたものであります。まずもって漁業共済団体の組織の整備と漁業共済への加入の確保をはかり、今後の事業の実施状況に応じまして共済責任の負担区分、共済掛け金率等につきまして、御質問の点をも含めまして所要の検討を加え、その結果に基づいて整備をはかってまいる所存であります。しかし、本法案におきましては、国の再保険措置につきまして、昭和三十二年度以降行なってまいりました試験実施の実績その他の資料からは、まだ通常災害、異常災害という区分ができないのであります。農業共済のような超過再保険の方式をとることができないという事情もありますので、都道府県段階の共済団体が実施する共済事業を全国段階の連合会が再共済するという方式で実施をすることが適当だと考えられるので、特別会計の設置による国の再保険は行なわないことにいたしたわけでございます。なお、共済団体が支払う共済金には、再共済金の資金が不足する場合の対策といたしまして、資本金五億円の漁業共済基金を設けまして、支払い資金の確保をはかっておるのであります。

 次に、農家共済の掛け金につきましては、経営規模が一定規模以下の加入者に対しまして、その経営規模等に応じまして、共済掛け金に対する国庫補助を行なうことといたしておるわけでございます。また、漁業団体の事務費につきましては、その一部について国庫補助を行なうことといたしておるのでございますが、その経費の性質上、これを法律の規定に置かないことにいたした次第でございます。以上、お答え申し上げます。(拍手)
 再保険制度を設けるつもりがあるかという御所見でございますが、先ほど白浜さんに申し上げたとおりでございます。現在のところ、国の再保険は行なわないことにいたしております。しかし、今後は、この事業の実施状況に応じまして、共済責任の負担区分等、御質問の点等をも含めて所要の検討を加え、その結果に基づいて整備をはかってまいりたい、このように考えます。

 それから第二は、政府の共済掛け金補助だけであって、政府の財政負担が不十分であるということでございますが、御承知のとおり、農業共済と違いまして、強制的加入は予定をいたしておらないものでございます。なお、この補助につきましては、漁船二十トン未満の漁業者に対して共済掛け金の二分の一とか、また、二十トン以上の階層につきましては、五十トン未満は三分の一、百トン未満は四分の一というようにいたしまして、農業共済との均衡をはかっておるわけでございます。なお、漁業共済団体の事務費につきましては、先ほど申し上げたとおりでございます。

 第三点は、今後五ヵ年間の事業計画をどうするのかということでございます。本法案に予定をいたしております漁業共済事業は、新しい制度でございますので、現在の段階において五ヵ年計画を予測することはきわめてむずかしい問題でございます。まずもって漁業共済団体の組織の整備と加入の推進をはかって、必要な財政措置につきましても、そのつど確保につとめてまいることにいたしたいと存じます。

 それから、昭和三十二年度以降行なわれました試験実施の赤字補てんに対しての具体策でございますが、御承知のとおり、昭和三十二年度以降、毎年度、国庫債務負担行為によりまして、一定の限度を限って補助金を交付することにいたしておるわけでございます。補助限度額をこえない部分に対しましては、このような処置によって補てんをいたしておるわけでございます。

 最後に、漁業者の経営安定に資するため不漁準備金制度等を設けるつもりはないかということでございますが、利益留保の準備金の設定を認めるという問題につきましては、他にも議論を誘発することになるわけでありまして、この意味におきましても適当でないというふうに考えておるわけでございます。(拍手)

 田中角栄の国会発言を確認する。「第46回国会衆議院本会議第17号(1964/03/26、30期)に於ける田中角榮発言」は次の通り。
 外国為替及び外国貿易管理法及び外資に関する法律の一部を改正する法律案の趣旨を御説明申し上げます。わが国は、世界経済の趨勢に即応し、国際分業を通じて経済活動の効率を高め、わが国経済の一そうの繁栄をもたらすため、解放経済体制への移行を進めており、その一環として、来たる四月一日に国際通貨基金協定第八条に規定する義務を受諾することとして着々諸般の準備を進めておるのでありますが、これに伴い、外国為替、外国貿易その他の対外経済取引に関する法制を整備することが必要となっておるのであります。

 次に、今回提案いたしました法律案の概要を御説明申し上げます。まず第一は、外国為替及び外国貿易管理法の一部改正であります。現行の外国為替及び外国貿易管理法においては、貿易及び貿易外取引を通じ、外貨資金の使用はすべて外国為替予算の範囲内で許されるものと規定しておるのであります。ところで、わが国が国際通貨基金八条国へ移行するためには、輸入代金の支払いのような経常的国際取引のための支払いに対する為替制限を撤廃しておくことが必要となりますので、外国為替予算制度を廃止することとし、このため所要の改正を行なうことといたしておるのであります。

 また、外国為替予算制度の廃止に伴いまして、外国為替予算の作成を主たる任務としております閣僚審議会はその存在理由がなくなりますので、これを廃止することといたしました。
 さらに、現行の輸入貿易の管理は、外国為替予算を前提として行なわれておりますが、外国為替予算制度の廃止に伴いまして、今後の輸入貿易の管理は、為替制限によらない方法でこれを行ない得るように所要の改正を行なうことといたしたのであります。

 第二は、外資に関する法律の一部改正であります。その第一は、外国為替予算制度の廃止に伴う規定の整理でありまして、外資に関する法律に基づいて対外送金が認められるものの支払い予定額を外国為替予算に計上する制度を廃止することといたしたのであります。

 その第二は、届け出のみによる株式または持ち分取得制度の廃止であります。これは、従来、外資に関する法律では、外国投資家の株式取得には原則として主務大臣の認可を要することとし、例外として、新株の取得であって、果実または元本の回収金の送金を希望しないものについては外国為替及び外国貿易管理法の許可を要することとしておったのでありますが、今後は、適用法律を一にするため、送金希望のない新株取得についても、原則として、外資に関する法律の認可を要することとするよう改正しようとするものであります。

 その第三は、契約期間または対価の支払い期間が一年をこえる技術援助契約の締結並びに受益証券、社債及び貸し付け金債権の取得に関する規制の一元化であります。従来、これらの外資につきましても、その対価、果実または元本の回収金の対外送金を希望する場合にのみ外資に関する法律の認可を要することとし、それ以外の場合は外国為替及び外国貿易管理法の規制を受けることとしておりましたが、適用法律を一にし、制度を簡素化するため、今後は、送金希望の有無にかかわらず、原則として外資に関する法律の認可を要することとするよう改正しようとするものであります。

 その第四は、外国為替公認銀行への事務の一部委任であります。これは、従来、主務大臣の事務の一部を日本銀行に委任し得ることとなっておりましたのを、国際経済取引の自由化を促進し、外資導入関係事務処理の円滑化をはかるため、さらに外国為替公認銀行にも委任し得るよう改正しようとするものであります。以上、外国為替及び外国貿易管理法及び外資に関する法律の一部を改正する法律案の趣旨につきまして御説明申し上げた次第であります。(拍手)
 お答えいたします。第一点は、わが国の対外債権債務の問題でございますが、御承知のとおり、国の対外資産、負債の残高につきましては、種々の影響がありますので、いずれの国でもこれを公表しておらないわけでございます。わが国の場合も同様でありますので、御質問のような状態にはないということだけは明確に申し上げられると思うわけでございます。対外債権債務につきまして、従来からその内容の健全性を維持すべく努力をいたしていることは、御承知のとおりでございます。なお、この三月の期末外貨も、いま総理大臣からお述べになりましたように、ゴールド・トランシュの一億八千万ドルを含めて、二十億ドルに近い外貨保有で年を越すわけでありますから、対外債権債務及び外貨の事情等につき・ましても不安はないことは、御承知のとおりでございます。

 第二点は、八条国移行後、四月一日以後、この大きな負債の絶対額は増大すると思うというようなお考えでございますが、この問題は、今後の国際収支の動向にかかっているわけでありまして、八条国に移行したがゆえに困難が生ずるという問題ではないわけでございます。もちろん、政府としましては、国際収支の改善のために各般の施策を行なう予定でございます。
 第三点は、外資導入及び国際収支の見通し及び対策についてでございますが、外資の導入につきましては、良質、長期、日本経済の発展のために益する外資はこれを取り入れていくという基本方針を進めてまいるつもりでございます。しかし、どこまでも外資の導入だけということではなく、国内的にも自己資本比率を上げるように資本の蓄積に努力しながら、国際収支の長期的安定に資するように改善を進めてまいりたいと考えます。

 それから、外貨準備の適正水準について総理がお答えになりましたが、これは総理の御答弁のとおりであります。ただ、念のために六十三年の九月末の各国の準備高で申し上げますと、ドイツは六カ月分であります。フランスも六カ月分であります。イタリアは七カ月分、イギリスは三カ月分、カナダは五カ月分、日本は四カ月分、こういうことで御了解いただきたいと思います。

 それから、最後に、IMFのスタンドバイ借り入れば、非常に国際収支に不安があるからということでございすすが、これは国民にも全世界にも通ずる御発言でありますので、はっきり申し上げておきます。IMFから三億五百万ドルのスタンドバイを行ないましたのは、外貨準備が不安であるということで行なったのではないのであります。四月一日を期して八条国に移行する歴史的な事態に対処しまして、外貨の第二線準備を厚くして国際経済の波動に対処する、当然かくあるべき立場に立っておる日本としてかかる措置をとったのでありまして、借金をすることはいかぬのだ、こういう考え方でいつもお話しになりますが、IMF等は、こういうことをするためにこの機関があるのでありますから、どうぞその事情も十分お考えの上、御理解いただきたいと思います。(拍手)

 田中角栄の国会発言を確認する。「第46回国会衆議院本会議第18号(1964/03/27、30期)に於ける田中角榮発言」は次の通り。
 江田さんの御質問の第一点は、春闘に対する態度でございますが、春闘における賃上げにつきましては、労使の自主的交渉によってきまるものでありまして、政府としまして、春闘に対して具体的規制を行なう考えはないのであります。しかし、開放経済への移行に備え、また、今後の経済の安定成長を期する上にも、労使双方の良識ある判断を望む次第でございます。第二は、人事院勧告の問題について、私が尊重をしないような発言をしたような御発言がございましたが、人事院勧告の出ておらない現在、このような発言をしようはずはないのであります。人事院勧告についてこの際申し上げますと、従来、人事院勧告につきましては、政府としましては、できるだけこれを尊重して実施をしてきたところでございます。三十九年度におきましては、人事院勧告が出るかどうかは、現在のところ明確ではないのでございますが、かりに勧告が出された場合には、例年どおり、一般的経済情勢及び財政事情等を総合勘案した上で、態度を決定することになると思われるのであります。(拍手)

 田中角栄の国会発言を確認する。「第46回国会衆議院本会議第22号(1964/04/09、30期)に於ける田中角榮発言」は次の通り。
 騒音等基地対策費の増額をはかれないか、なお、公共施設以外の個々の住民に対しての民生安定上の見舞い金というような形で交付金等を出せないかということでございます。学校、病院に対する防音工事につきましては、事業はかなり進捗いたしておりますが、大蔵省といたしましても、すみやかにこれを完了せしむるように、三十九年度におきましても、従来、一件三年ということで処理をするようにいたしておりましたものを、二年ないし一年で処理をするように、所要の予算を計上いたしておるわけでございます。

 なお、基地があることによりまして被害を受けておる基地所在市町村につきましては、いわゆる基地交付金を交付することに三十二年以来なっておるわけでございます。三十九年度におきましても一億五千万円程度の増額をいたしまして、十三億五千万円といたしたわけでございます。個人の騒音被害者に対しましては同情にたえないわけでございます。しかし、公害との関係等もございまして、法的に検討すべき点も多々あるわけでございます。しかし、実情に応じまして、今後この問題に対しては検討してまいりたいと存じます。

 それから、演習地、基地の道路、河川の工事費の補償のための予算は、経済ベースで行なっておることはどうかということでございますが、御承知のとおり、農地の問題、河川の問題等は、防衛庁から建設省及び農林省に振りかえて使用いたしておるわけでございますが、こうすることによって、事案の処理はより能率的に処理されるという観点に立っておるわけでございまして、経済ベースということだけを考えておるわけではないわけでございます。

 なお、基地関係被害者の現行補償基準をすみやかに改定増額すべしという考え方につきましては、先ほど防衛庁長官から申されましたが、事故補償につきましては、従来、労災補償の例にならいまして、収入日額の千日分、遺族補償の最高百五十万円でございますが、それにプラス六十日分の葬祭料が基準でございました。しかし、国鉄その他加害者側の過失、無過失を問わない世間一般の補償レベルが、ホフマン方式その他だいぶ改善されておりますので、大蔵省といたしましても、時勢に応じた改定について前向きに検討いたしたいと考えておるのでございます。それから、基地の周辺市町村に対しての問題が提起をせられてございますが、問題の性質上、公害との関連、その他住民に対しての補償はなかなかむずかしい問題がございます。法律上の問題等もあるわけでございますが、実情に応じて今後検討をしてまいりたい、このように考えます。(拍手)

 田中角栄の国会発言を確認する。「第46回国会衆議院本会議第23号(1964/04/10、30期)に於ける田中角榮発言」は次の通り。
 私の関係の職場は、印刷、造幣、専売等でございます。ストは、国民に多大の影響を及ぼし、世論のきびしい批判を受け、組合員にとりましてもマイナスとなる面が非常に多いことでありますから、組合員各位に強く訴える等いたしまして、こうした違法のストを回避するためにあらゆる努力を傾けたいと考えます。しかし、万一ストが行なわれた場合には、遺憾ながら法の規定にのっとりまして断固たる処置をとらざるを得ない、こう考えるのであります。(拍手)
 国務大臣(田中角榮君) 林業に関し予算上、金融上、税制上、手厚い措置を講ずるようにということでございます。まず、予算について申し上げますと、林業の振興につきましては、林道、造林の促進、また林業経営の協業化、林業技術の普及、向上等、各般の施策を進めるために、財政上必要な配慮をいたしておるわけでございます。しかし、今後と本法案の趣旨に沿いまして、林業総生産の増大、生産性の向上、林業所得の向上等のために施策を行ない、必要な予算の確保につとめてまいりたいと思います。

 第二の金融につきましては、政策金融といたしまして、農林漁業金融公庫の三十九年度をごらんになっていただくとおわかりになるとおり、一部金利の引き下げ、償還期限の二十年から三十年へと長期化をはかる等いたしておるわけでございます。しかも他方、資金量につきましても、昭和三十八年の八十一億を九十六億に増額いたしております。なお、その他系統金融はじめ民間金融機関からの融資の円滑化に資しますために、債務保証を目的といたしまして、三十八年度に創設しました林業信用基金に対しましては、三十九年度三億五千万円の追加出資をいたしておるのでございます。

 それから税制につきましては、御承知のとおり、山林所得は、長期間にわたる山林経営の結果生じました所得でありますことに着目いたしまして、他の所得と分離いたしまして、五分五乗方式による課税を行ない、累進課税率の緩和措置をはかっておるわけでございます。法人税につきましては、再建整備を行なう森林組合の留保所得に対する課税の特例や、森林組合が合併した場合における課税特例等を講じておるわけでございます。相続税におきましては、相続において取得した立木の評価等につきましては、時価の八五%に相当する金額による特例を設けておるわけでございます。以上申し上げましたように、林業に対しましては、財政、金融、税制上、今後とも十分の配慮をいたしてまいりたいと存じます。(拍手)

 田中角栄の国会発言を確認する。「第46回国会衆議院本会議第24号(1964/04/16、30期)に於ける田中角榮発言」は次の通り。
 私に御質問の第一点は、地方制度調査会等からの答申によりまして、地方財政健全化のためにどのような改善策をとったかということでございます。この問題につきましては、三十九年度の予算編成にあたりまして、公立小中学校校舎の単価を引き上げております。工業高校建物等の単価も五・五%程度引き上げておるわけでございます。公営住宅においてもしかりでございます。農業改良普及員等の給与の改定、保健所職員等の問題もこの線に沿って改善をはかっておるわけでございます。ただ、国庫補助を実際の額まで補助すべしという議論につきましては、標準単価をもって行なっておるわけでありまして、実際の経費の補助をするということになりますと、地方公共団体間の格差をより以上につくるというような問題もありますので、補助単価につきましては標準単価を使うという原則を変えるわけにはいかないと思います。

 第二は、国立高専等の設置に対して用地費を国が全然見ておらないということでございます。これは地方財政に対して非常に圧迫をもたらしておるということでございますが、御承知のとおり、国有地の使用、また、地方公共団体等の持っておる土地と国有地との交換、また、地方公共団体及び設置期成同盟会等の無償借用というようなもので、この国立高専の用地費を計上しなかったわけでございます。これをもって、税外負担を強化したり、また地方公共団体の財政を圧迫しているという考えには立っておらないわけでございます。

 第三は、地方交付税の、三税の二八・九%相当額を充てることになっておるものを引き上げる考えはないかということでございます。これは何回も御議論になっておるわけでございますが、御承知のとおり、地方交付税の率は国税三税の二八・九%となっておりますが、この制度のたてまえは、地方交付税法第六条の三に規定するとおり、普通交付税の額が地方団体ごとに積み上げた財源不足額の合算額に比し、引き続き著しく異なるときという場合に、地方行財政制度の改正ないし交付税率の変更を行なうという基準があるわけでございます。御承知のとおり、地方財政の現況は、数年前に比しまして著しく良好な状態にありますので、現在の状態において、この二八・九%を改正する考えはございません。(拍手)
 まず第一番目には、外国人観光客に対する通関手続の簡素化の問題でございます。オリンピック等につきましては、横浜、東京の税関等には、他の税関から人を集める。なお、観光船等に対しましては、こちらから船に出張して通関検査を行なうというような配慮をいたしまして、手続等につきましては十分な配慮をいたすつもりでございます。
 それからホテルの整備の問題でございます。ホテルの整備につきましては、御承知のとおり、開発銀行から融資を行なっておりますし、なお、北海道東北開発公庫、中小企業金融公庫等からも融資を行ない、外国人の旅客に対して旅館設備を整備いたしておるわけでございます。

 第三は、日航の太平洋線整備の助成の問題でございます。この問題につきましては、御承知のとおり、本度年は三十八年に比して四十七億円余を計上いたして、国際線の乗員訓練等につきましても三億五千万円新たに計上いたしておるわけでございます。日航の運賃を引き下げろという問題につきましては、国際航空運送協会の協定がありますので、困難と思います。

 それから旅行者のために旅行金庫を新設せよということでございますが、旅行金庫を必要とするとは、いま考えておりません。それから低廉な宿泊施設をもっとつくらなければいかぬということにつきましては、国民宿舎、ユースホステル、文部省の青年の家等の施設を十分整備いたしておるわけでございます。なお、修学旅行の問題につきましては、要保護児童等に対して、三十八年度の予算よりも八千万円余増額いたしまして、四億一千数百万円の補助を行なっておるわけであります。(拍手)

 田中角栄の国会発言を確認する。「第46回国会衆議院本会議第25号(1964/04/23、30期)に於ける田中角榮発言」は次の通り。
 中央中小企業調停審議会の予算の件でございます。御承知のとおり、専門委員を置きまして、具体的案件の調査、検討、資料の収集等をはかりますために必要な経費を計しいたしております。三十九年度の予算は百八十五万五千円でございます。(拍手)

 田中角栄の国会発言を確認する。「第46回国会衆議院本会議第28号(1964/05/07、30期)に於ける田中角榮発言」は次の通り。
 厚生省の原案と提出政府案と違う、この違うのは大蔵省が反対したからだというような御説でございますが、法律案作成の過程においていろいろな議論がございましたが、最終的政府案として決定をしたものは、いま御審議を願っておるものでございます。第二点は、国庫補助率を五%引き上げたと仮定した場合、一体幾らかかるのかということでございます。厚生年金の受給者は、三十七年度末におきまして御承知のとおり三十八万人でございますが、三十九年度予算におきましては四十六万人を見込んでおるわけでございます。給付金の総額は、三十九年度の予算において百八十六億円、国庫負担額は二十九億円であります。かりに国庫負担率を五%引き上げるといたしますれば、三十九年度において約十億円の増額を要することになるわけでございます。しかしながら、厚生年金は現在創設以来二十年に達しまして、本格的な老齢給付が始まる段階に入ったところでございます。被保険者は約千七百万人に達しておるのでございまして、年金受給者数は著しく少ないのでございますが、今後は年を追いまして年金受給者が急増いたすわけでございます。これに伴いまして給付費も増額をするのでありまして、三十九年度、四十年度というような短期の財政負担だけで国庫負担率を論ずるわけにはまいらないわけでございます。(拍手)

 田中角栄の国会発言を確認する。「第46回国会衆議院本会議第29号(1964/05/12、30期)に於ける田中角榮発言」は次の通り。
 第一は、今回の凍霜害につきまする農業所得に対する減免措置の問題でございます。御承知のとおり、減免につきましてはこれらの措置を適切に行なうという考え方に立っておるわけでございます。損失につきましては、農業所得の計算上控除が認められておりますし、また、当該年度で全部が片づかない場合には、三カ年間にわたりまして後年度もこの控除を認めるという考え方をとっておるおかげでございます。なお、地方税につきましても、条例の定めるところによりまして減免措置を行なうという考え方でございます。

 第二点は、天災融資法の融資限度の十五万円では少ない、これを三十万円ぐらいに引き上げられ、ないかということでございますが、現在の段階では調査中でありまして、つまびらかにしておらないわけでありまして、激甚災害法を適用するかどうかという問題は未定でございます。これらの問題は、被覆の実態が判明いたしましたら検討をいたしたいというふうに考えております。

 第三点は、肥料、農薬の補助金についてでございますが、御承知のとおり、肥料とか農薬に対する補助金は、一戸当たりの交付金が非常に零細でございます。しかもこの問題につきましては、会計検査院からしばしば指摘せられておるのでございまして、昭和三十四年以降はこの種の問題に対しては補助金を出しておらないということでございますので、経営資金の融資というようなことで片づくのか、しかし、調査の結果を待たなければわかりませんので、調査結果を見た上十分に検討してまいりたい、このように考えております。(拍手)
 農業共済組合の共済金の仮払いに必要な資金につきましては、農業共済組合連合会の保険金の仮払いを早急に実施できるように指示いたしますとともに、国の再保険金の仮払いにつきましても、請求があり次第、遅滞なく実施できるように準備を進めておる次第でございます。第二は、激甚災害法の適用についてでございますが、先ほど申し上げましたとおり、目下のところ問題がありますが、なお、被害の実態の判明を待って検討をしてまいりたいという考えでございます。第三に、自作農維持資金につきましては、従来の基準に従いまして災害特別ワクを設定いたしまして、融資を行なっていく方針でございます。(拍手)

 田中角栄の国会発言を確認する。第46回国会衆議院本会議第38号(1964/06/19、30期)に於ける田中角榮発」は次の通り。
 災害復旧に対する財政及び金融その他の問題に対してお答えを申し上げます。関係地方公共団体及び自治体等が現在救助作業を行なっておるわけでございます。鉄道、電信、電話等の施設被害につきましても応急対策を努力いたしております。これらの費用に対しまして、お説のように、いやしくも予算上の拘束によりまして救助作業や復旧作業が制限を受けないようにという基本的な考えでございます。

 それから、災害復旧毒薬につきましては、被害額の判明次第、これに見合った十分な財政措置を講じていく所存でございます。なお、地方公共団体が財政措置をする前に、緊急に応急復旧工車中をやらなければならない面につきましては、当面のつなぎ資金といたしまして、資金運用部の短期資金を融通するようにいたしておる次第でございます。

 税制面につきましては、御承知のとおりの国税通則法、災害減免法その他各税法における規定を最大限に活用いたしまして、税の申告、納付または徴収期限の延長、申告所得税の予定納税額の減額、納税の猶予、給与所得者層に対する租税の減免、被災の酒数等の酒税等の軽減等も実施をいたしまして、被災納税者の措置に万全を講ずるつもりでございます。なお、これらの措置につきましては、国税局長また税務署長に直ちに通達を発しておりますし、国税出局からも現地に係官を派遣いたし、被災者の側になって万全の処理をいたしておるわけであります。

 金融主の問題につきまして申し上げます。まず、日本銀行関係から申し上げますと、現金につきまして、現地日銀支店長に指示をいたしまして、十分な量の確保をいたしております。それから、現地の金融機関からの要求があれば、日銀支店で十分処置できるようにいたしておりますし、日銀支店及び現地の民間金融機関で相互の連絡を十分にとりながら、資金需要に対応できるようにいたしておるわけでございます。なお、現地の財務部、日銀支店及び地方銀行等で連絡会議もつくっておるわけでございます。それから、小切手、手形等の不渡り処分等の問題につきましては、十分猶予をして、期日を延期するということを実施いたしております。

 それから、政府関係三機関の問題につきましては、直ちに現地に係官を派遣もいたしておりますし、被災中小企業に対する貸し付け手続等につきましても簡易迅速化をはかり、また、既往の貸し付け償還条件の緩和等の応急処置もとりまして、遺憾のないようにいたしておるわけでございます。それから、証券等につきましては、つなぎ融資をいたしますとともに、また、顧客に対する株式の担保金融等も行なっております。いずれにいたしましても、財政、金融、税制上遺憾なき処置をとりたい、こう考えておるわけであります。(拍手)
 第一点につきましては、激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律を適用するかどうかという御質問でございますが、御承知のとおり、現在災害復旧事業費について所要額を見込みつつあるわけでございます。地方公共団体等の財政事情を勘案するわけでございますが、私は現地を見た立場において、本法が大体適用されるのではないかというふうに考えております。確定をすれば、可及的すみやかに激甚災害としての政令指定を行ない、同法に定める特別措置を行なう所存でございます。

 第二点の災害保険につきましては、総理大臣がいま申し述べられたとおりでございますが、この災害を契機にして、地震を含む災害保険制度につきまして、前向きで積極的な立場で検討してまいりたいと考えるわけであります。見舞い金につきましては、先ほど当院の大蔵委員会の附帯決議もございましたので、損保各社の前向きの体制を待ちつつ、適切なる指導をしてまいりたいと考えます。補正予算の問題につきましては、御承知のとおり年度当初でございますので、三百億に近い予備費を現在持っておるわけでありまして、現在のところこの予備費で十分まかなえると思うわけでございますが、本件については、先ほど総理大臣がより高い立場で御答弁をいたしましたので、それ下御了解いただきたいと思います。(拍手)





(私論.私見)