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偽イスラエル政治神話』
第2章:二〇世紀の諸神話
第4節:"民なき土地に土地なき民を"の神話
[英植民相暗殺のテロリストを“英雄廟”に埋葬]
[中略]
当時はカイロ駐在のイギリス植民地担当国務大臣だったモイン卿は、一九四二年六月九日、貴族院で、「ユダヤ人は古代ヘブライ人の子孫ではない[訳注1]から、聖なる土地の“正統な領土回復要求権”を持っていない」と言明した。パレスチナへのユダヤ人の移民を抑制する政策の賛成者だった彼は、《ヘブライ人の独立に対する執念深い敵》として非難の的となった(アイザック・ザール『救助と解放/イスラエル誕生にアメリカが果たした役割』54)。
一九四四年一一月六日、カイロにいたモイン卿は、イツァク・シャミール[のちのイスラエル首相]指揮下のシャミール集団のメンバー、二人によって射殺された[犯人二人はアラブ側に逮捕され、処刑された]。
その後、二〇余年を経て、オークランドの『イヴニング・スター』紙の一九七五年七月二日に掲載された記事によると、処刑された二人の死体をエルサレムの“英雄廟”に埋葬するために、二〇人のアラブ人の捕虜との交換が行われていた。イスラエルが暗殺者を褒めたたえ、英雄扱いしたことを知って、イギリス政府は慨嘆した。
訳注1:いわゆるユダヤ人、またはユダヤ教徒の約九割は、モイン卿の発言の通り、「古代ヘブライ人の子孫ではない」。ユダヤ教を採用したカザール帝国の末裔とその係累である。タタール系の民族を中心とするカザール帝国は、七世紀から一〇世紀に掛けて南ロシア周辺で栄え、その後に滅び、住民は離散した。巻末の「訳者解説」で資料等を紹介する。
[後略]
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以上のようなシオニストの矛盾に満ちた「建国」に対して、むしろ、本来の「古代ヘブライ人の子孫」のセファルディムが中心のユダヤ教正統派、ネトウレイ・カルタは、「シオニスト国家の解体」を主張し続けている。
アハマディネジャドの質問、「ユダヤ人はどこから来たのか」は、このような事情を熟知した上での決定打なのではないだろうか。歴史の真実を見極めなければ、自体の真の解決はできない。
私は、1992年に発表した拙著『湾岸報道に偽りあり』に、以下のように記した。
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『湾岸報道に偽りあり』
隠された十数年来の米軍事計画に迫る
補章:ストップ・ザ・「極右」イスラエル
真実を覆い隠したままでは真の中東和平実現は不可能
[中略]
イスラエルの民衆一人一人にまで、土地強奪の罪を問うことは酷かもしれない。しかし、もしもパレスチナ人が百歩譲って、ヨーロッパでのキリスト教徒からの迫害を逃れるための建国という動機を許容するとしても、今度はユダヤ教徒が加害者としてイスラム教徒を痛めつけてきたという実態は、最早おおうべくもない。しかも、その出発点にある「古代」の「居住権」主張自体に、これだけ大変な歴史的疑惑があるとすれば、その事実の解明なしには、相互不信の解消は不可能である。大国の思惑で一時は押え込んだとしても、歴史的なツケは、どこかで再び回ってくるものだ。[中略]「中東和平会談」の行方は、まさにいばらの道である。中途半端な「現実路線」報道は、かえって解決の困難を倍加するのではないだろうか。パレスチナ問題でも、まだまだ論じたいことが多いが、それは稿を改めざるを得ない。より良き明日を準備するためには、どんなに苦しくとも真実を明らかにすることが必要なのではないだろうか。そういう気持ちをますます強くしたということを、最後に訴えて、とりあえず本書を閉じさせていただく。[後略]
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つまり私は、今から14年前の1992年には、イスラエルの基本的な問題点が、ユダヤ人(教徒)の9割を占める元カザールの扱いにあることを、指摘したのである。
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憎まれ愚痴
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