1、水の働き |
「主なる神が地と天を造られたとき、地上にはまだ野の木も、野の草も生えていなかった。主なる神が地上に雨をお送りにならなかったからである。また土を耕す人もいなかった。しかし、水が地下から湧き出て霧が地から立ち上り、土の面をすべて潤していた」。 |
2、エデンの地理 |
「エデンから一つの川が流れ出ていた。園を潤し、そこで分かれて、四つの川となっていた。第一の川の名はピションで、金を産出するハビラ地方全域を巡っていた。その金は良質であり、そこではまた、琥珀の類やラピス・ラズリも産出した。第二の川の名はギホンで、クシュ地方全域を巡っていた。第三の川の名はチグリスで、アシュルの東の方を流れており、第四の川はユーフラテスであった」。 |
3、エデンの園 |
「主なる神は、その土地に、見るからに好ましく食べるのに良いあらゆる木を生えさせられた。園の中央には、いのちの木、それから善悪の知識の木とを生えさせられた」。 |
4、人がエデン入園 |
「土(アダマ)の塵で人(アダム)を形造り、その鼻に命の息を吹き入れられた。人はこうして生きるものとなった。主なる神は、東の方のエデンに園を設け、自ら形づくった人をそこに置き、耕させまた守らせた」。 |
5、主の戒め |
「神である主は、人に命じて仰せられた。『あなたは、園のどの木からでも思いのまま食べてよい。しかし、善悪の知識の木からは取って食べてはならない。それを取って食べるその時、あなたは必ず死んでしまう。それ以外の木からなら自由に取って食べるが良い』」。
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6、生き物の命名 |
「主なる神は、野のあらゆる獣、空のあらゆる鳥を土で形づくり、人のところへ持って来て、人がそれぞれをどう呼ぶか見ておられた。人が呼ぶと、それはすべて、生き物の名となった」。 |
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7、女の創造 |
「人はあらゆる家畜、空の鳥、野のあらゆる獣に名を付けたが、自分に合う助ける者は見つけることができなかった。主なる神は言われた。『人が独りでいるのは良くない。彼に相応しい助ける者を造ろう』。主なる神はそこで、人を深い眠りに落とされた。人が眠り込むと、あばら骨の一部を抜き取り、その跡を肉でふさがれた。そして、人から抜き取ったあばら骨で女を造り上げられた。人は、男と女に創造された」。
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8、夫婦の契り |
「主なる神が彼女を人のところへ連れて来られると、人は言った。『ついに、これこそ わたしの骨の骨 わたしの肉の肉。 これをこそ、女(イシャー)と呼ぼう まさに、男(イシュ)から取られたものだから』。こういうわけで、男は父母を離れて女と結ばれ、二人はやがて一体となる定めとなった。人と妻は二人とも裸であったが、恥ずかしがらなかった」。 |
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9、女と蛇の遣り取り |
「主なる神が造られた野の生き物のうちで、最も悪賢いのは蛇であった。蛇は女に言った。『園の木のうち食べても良い木といけない木があるなどと神は言われたのか』。女は蛇に答えた。『園の木の果実を食べてもよいのです。でも、園の中央に生えている木の果実だけは食べてはいけない、触れてもいけない、死んではいけないから、と神様はおっしゃいました』。蛇は女に言った。『決して死ぬことはない。それを食べると、目が開け、神のように善悪を知るものとなり、人が神のようになることを恐れているだけさ』」。 |
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10、女と男が神の戒めを破る |
「女が見ると、その木はいかにもおいしそうで、目を引き付け、賢くなるように唆していた。女は実を取って食べ、一緒にいた男にも渡したので、彼も食べた。二人の目は開け、自分たちが裸であることを知り、二人はいちじくの葉をつづり合わせ、腰を覆うものとした」。 |
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11、神の尋問 |
「その日、風の吹くころ、主なる神が園の中を歩く音が聞こえてきた。アダムと女が、主なる神の顔を避けて、園の木の間に隠れると、主なる神はアダムを呼ばれた。『どこにいるのか』。彼は答えた。『あなたの足音が園の中に聞こえたので、恐ろしくなり、隠れております。わたしは裸ですから』。神は言われた。『お前が裸であることを誰が告げたのか。取って食べるなと命じた木から食べたのか』。アダムは答えた。『あなたがわたしと共にいるようにしてくださった女が、木から取って与えたので食べました』。主なる神は女に向かって言われた。『何ということをしたのか』。女は答えた。『蛇がだましたので、食べてしまいました』」。 |
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12、神の裁き |
「主なる神は、蛇に向かって言われた。『このようなことをしたお前は あらゆる家畜、あらゆる野の獣の中で呪われるものとなった。お前は生涯這いまわり、塵を食らう。お前と女、お前の子孫と女の子孫の間に私は敵意を置く。彼はお前の頭を砕き お前は彼のかかとを砕く』。
神は女に向かって言われた。『お前の腹みの苦しみを大きなものにする。お前は、苦しんで子を産む。お前は男を求め、彼はお前を支配する』。神はアダムに向かって言われた。『お前は女の声に従い、取って食べるなと命じた木から食べた。お前のゆえに土は呪われるものとなった。お前は、生涯食べ物を得ようと苦しむ。お前に対して土には茨とあざみを生えいでさせる。野の草を食べようとするお前に。お前は顔に汗を流してパンを得る。土に返るときまで。お前がそこから取られた土に。塵にすぎないお前は塵に返る』」。
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13、エデン追放 |
「アダムは女をエバ(命)と名付けた。彼女がすべて命あるものの母となったからである。主なる神は、アダムと女に皮の衣を作って着せられた。主なる神は言われた。『人は我々の一人のように、善悪を知る者となった。今は、手を伸ばして命の木からも取って食べ、永遠に生きる者となるおそれがある』。主なる神は、彼をエデンの園から追い出し、彼に、自分がそこから取られた土を耕させることにされた。こうしてアダムを追放し、命の木に至る道を守るために、エデンの園の東にケルビムと、輪を描いて回るきらめく剣の炎を置かれた」。 |