イルミナティの歴史

 (最新見直し2010.09.08日)

 (れんだいこのショートメッセージ)
 近代に活躍したフリーメーソンを更にネオ・シオニズム的にイデオロギッシュにしたのがイルミナティーで、今やフリーメーソンは過去形で語られるべきではなかろうか。そういう訳で、現代版フリーメーソン即ちイルミナティを考察せねばならない。

 2006.4.7日 れんだいこ拝


【「イルミナティ」の創設者アダム・ヴァイスハウプトの家系】
 「イルミナティ」の創設者は、アダム・ワイスプト(Adam Weishaupt、1748〜1830年)と云われている。アダム・ワイスプトについては、「イルミナティー」に概述されている。それによれば、アダム・ヴァイスハウプトは1748年、バイエルン王国のインゴルシュタッドで生まれた。

 父親のヨハン・ゲオルグ・ヴァイスハウプトは著名な法学者であった。当時のパヴァリアを支配したマクシミリアン3世が進歩的思想の持ち主で、インゴルシュタッド大学に科学アカデミーを創設し、そこの責任者に進歩的なイックシュタッド男爵を任命した。男爵は、法学の硬学として名の通っていた甥に当るヨハンを教授として招聘し教育改革に当らせた。

 当時のインゴルシュタッド大学は、カソリックのイエズス会系学者たちの支配下にあり、この改革は、旧体制的なイエズス会系の学者たちと摩擦を引き起こした。ヨハンの息子アダム・ヴァイスハウプトはイエズス会神学校に学び、インゴルシュタッド大学法学部に入学した。 

 青年期のアダム・ヴァイスハウプトは、フランスの啓蒙主義や百科全書派の影響を受け、次第にイエズス会の宗教的規制を逃れ、学問的領域を広げていった。古代エジプト、ピタゴラス学派、ユダヤ教エッセネ派、グノーシス派について研究し、さらにはフリーメーソンに興味を持っていく。そういう思想遍歴を経ながら、「早熟な天才ユダヤ人」として頭角を現し、わずか20歳で法学の学位を取り、若干24歳にして教授、27歳のとき、法学部長となっている。

 アダム・ヴァイスハウプトは、次第に反イエズス会の思想に染まってゆき、反カトリックの熱心なオカルティストとなった。シンボルによる人間の意識への働きかけを考察し、オカルティックな古代の魔術的宗教性に凝った。その一つに数字的な拘りが認められ、例えば“666”数字を重視する。それは、宗教から政治への関心を強める道のりでもあった。アダム・ヴァイスハウプトは、カントに反対し、ロックを信奉し、理性の支配と世界主義の立場を主張した。これを「リーズン」( reason )(ratio、 ラチオ、レイシオ)主義と云う。

 アダム・ヴァイスハウプトは次のように述べている。
 「理性が人間の唯一の法典となるだろう。このことが私たちのもっとも大きな秘密のひとつである。ついに理性が、人間の宗教となるときに、その時に、問題が解決するだろう」。

 ヴァイスハウプトは、超エリートによる世界統一政府を構想し、暴力革命や陰謀、策略を巧妙に活用して現存する国家のすべての廃絶を主張し始めた。 急進的な社会改革思想を持ち、徹底した自由と平等を唱え、反キリスト教、反王制を唱え、ユダヤ王を世界の中心とする原始共産主義的な共和制国家の樹立を主張した。

 1773年、クレメンス15世によりイエズス会の解散命令が打ち出された。これにより、インゴルシュタッド大学内にイエズス会系と非イエズス会系学者の暗闘を引き起こした。アダム・ヴァイスハウプトのこの頃の立ち回りは不明であるが、一時期、大学での講義を禁止され、ミュンヘンに逃げるまでになる。その後、秘密結社の創設を企図し始める。アダム・ヴェイスハウブトは、ロスチャイルド家の財政的支援とオカルト的支援を受けつつ、「シオンの長老の議定書」、「陰の書」、「ネクロモニクロン」などを元にイルミナティ教義の編集に向かい始めた。

 この頃、ヴェイストハウブトとロスチャイルド家とは彼らのプライベイトな魔術師集団ゴールデンドーンを発足させた。この集団は今でもロスチャイルド家のプライベイト魔術師集団である。ゴールデンドーン(黄金の夜明)はイルミナティの重要な結社。ここで魔術師集団と訳した語は英語のcovenであるが日本語には適切な訳語がない。ゴールデンドーンは幼児の生け贅などを含む悪魔礼拝の祭司団である。メーデーが五月一日であるのはこの関わりである。

【「イルミナティ」の創設】
 1773年、ドイツのフランクフルトで、初代ロスチャイルドら13名の国際ユダヤの巨頭が秘密重要会議を開き、「フリーメーソンに代わるより生硬な」ユダヤ・シオニズムによる世界征服と、その手段としての世界革命綱領と、それを実行するための地下組織イルミナティの創設を決定した。アダム・ヴァイスハウプトがイルミナティ責任者として選抜された、と云う。(ウィリアム・ギー・カーの「将棋の駒」参照)。
 ヴァイスホープトは1773年〜1775年にかけて何度もフランスを訪れ、ラファイエット侯爵と親交を深めている。ラファイエットはアメリカ独立革命とフランス革命の双方における活躍によって「両大陸の英雄」と讃えられた軍人・政治家でフリーメイソン。彼はジョージ・ワシントン、並びにベンジャミン・フランクリンと昵懇だった。

 ワシントンはアメリカの初代大統領、フランクリンはアメリカとヨーロッパの間を行き来した政治家にして武器商人。この二人はアメリカ建国に大きく関わった重要人物にしていずれもフリーメイソン。そしてフランスのラファイエットを通してイルミナティを設立したドイツのヴァイスホープトとつながる。また独立宣言の草稿を書いたトーマス・ジェファーソンもヴァイスホープトと連絡を取り合っていた。ジェファーソンもフリーメイソンだったと思われる。ちなみにイルミナティが結成されたのは1776年、アメリカ建国の年です。フリーメイソンの中でも特にイルミナティはアメリカ建国に力を注いだとされている。
 1776.5.1日、改宗ユダヤ人にしてイエズス会士にしてインゴシュタット大学法学部長アダム・ヴァイスハウプト(1748〜1811、当時26歳)が、ドイツのバヴァリアで、秘密組織イルミナティ(Illuminati)を創設した。イルミナティとは、「神や人間についての内的な啓示」という意味を持つ言葉として、古くから多くの宗派に用いられてきたものである。

 アダム・ヴァイスハウプトは、かってイエス・キリストがユダヤ教を激しく論難した事跡と丁度逆の観点からキリスト教的知の体系に批判の刃を向け、ユダヤ教義の知の体系を称揚し、更に古代ギリシャ哲学のプラトン、ピタゴラス哲学、エジプトの神秘主義的哲学、グノーシス派哲学等々を渉猟した成果を吸収し、新知の体系を打ち出した。驚くべき「知の熱」、「知の炎」の結実であった。

 
イルミナティが掲げた政策は次のようなものである。1・全ての国家の廃止。2・全ての個人財産の廃止。3・全ての相続権の廃止。4・全ての愛国心の廃止。5・全ての家族、結婚、子供の公共教育の廃止。6・全ての宗教の廃止。これに加えてこの新しい秘密結社の八つの階級が発案されていた。1・(国王)、2・(キリストの誕生の時に来た三人の博士の称号、占星術師、魔術師)、3・(摂政)、4・(僧侶)、5・フリーメーソン、6・ (少しだけイルミネイトされた者?)、7・ミネルバル、8・(見習い修道士)。僧侶から上の階級だけが秘密を守る誓いをさせられ、イルミナティの本当の計画を教えられる。

 こうして得られた世界観、社会観で武装する同志の糾合に向った。イルミナティの目的は、知的能力を実証された人々が世界を治める「世界単一政府」を生み出し、連中によって世界を支配することにあった。イルミナティは、この運動に参画する同志の会であり、啓蒙、開化を意味するラテン語で、「“啓発された人々”あるいは“光を持す人”の結集による完全可能性主義者の会」という意味を込めて「バヴァリア啓明会」または「光明結社(Illuminatitenordem)」等とも称した。

 5.1日は、悪魔の王ルシファーが地獄から地上に戻ってきて、空の上に宿る日とされるベルテーン祝祭日である。アダム・ヴァイスハウプトがイルミナティを創立したときに制定したシンボルマークが「ピラミッド・アイ」であった。アメリカの国璽のデザインにこれが使用されている。

 その時の、結成の演説(説教)の中で、イルミナティの組織結成の目標を次のように説いている。
 概要「われわれイルミナティは、理性(りせい、reason , vernunft フェルヌンフト)すなわち、利益欲望の思想、金銭崇拝の精神を、われわれ人間にとっての唯一の法典(規則の体系)にするであろう。これこそが、これまで人間(人類)が解明できなかった最大の秘密なのだ。金銭崇拝(利益欲望の精神、すなわち理性)が、人間にとって信じるべき信仰、宗教となる時に、その時に、ついに、人類が2千年来抱えてきた最大かつ唯一の大問題が、解明され、解決されるのである。我々は、自分たちの団体の祭壇には、リーズン(金銭と強欲の信念)を神としてかかげる」。

 「1776.5.1日付イルミナティ(啓明会)の創設者(アダム・ワイスプト)の手紙」には次のように記されている。偶然かどうか「メーデーの日」は、「アダム・ワイスプトの手紙の日」に当っている。

 「我々の秘密を見よ。キリスト教と全宗教を破壊する為に、我々こそ唯一真の宗教を保持していると宣伝してきた。銘記すべきことは、目的は手段を正当化し如何なる手段も許されるということである。邪悪な者があらゆる手段を使って悪をはびこらせるように、賢者は善を行う為にあらゆる手段を採用すべきである。それは秘密結社によってのみ実行可能である。秘密結社は、徐々に、そして気付かれぬようにして各国の政府を掌握する。その為に、悪人が下劣な目的を達成する為に用いる手段を全て用いる。本指令の目的は、キリスト教を完全に破壊し、全ての市民政府を転覆することである」。

 イルミナティとは「光からきたもの」という意味であるが、イルミナティの光は「ルシファー」を指しており、「ルシファー」とは聖書によれば「サタン」であり「悪魔の王」である。旧約聖書によればかつては光の天使として絶大な力を持っていたが、その力を過信して自らが神になろうとして地獄に落ちたとされる堕天使として描かれている。 ルシファーというのが、彼らの神である。ルシファーが堕天使(だてんし)である。悪魔や魔王の、サタンやデビルというのも頻出する。

 イルミナティの最高幹部のひとりだった人物Albert Pike アルバート・パイクは、後にイルミナティの秘密を暴いた本を書いた。次のように記している。

 (原典からの引用はじめ、p332)
 Albert Pike ( in a lettter ・・・・July 14 , 1889) : “  That which we must say to the crowd is We worship God,  but it is the God that one adores  without superstition.
・・・・You may repeat it to the 32nd・・・ degrees --- The Masonic religion should be , by all of us initiates of the high degrees , maintained in the purity , of the Luciferian doctrine .

 If Lucifer were not God , would Adnay ( Yahaweh ) and his priests calumina him ? “

 「もし、私たちの神であるルシファーが、本当の神でないのならば、アドナイ(Adney ヤハウェ、キリスト教徒の神)とそれを崇める聖職者たちが、我らの神、ルシファーをこんなに誹謗中傷するだろうか」。

 私たちの神であるルシファー Lucifer が本当の神である故に、キリスト教徒たちや司祭たちは、私たちの神ルシファーの悪口を言う、という裏意味になる。ここに、Masonic religion (マゾニック・レリジョン)、フリーメイソンの教団の教義(組織原理)が現れている。

 初期のイルミナティの位階は単純で、新参入者、ミネルヴァル、ミネルヴァル天啓の3つしかなかった。 新参入者からミネルヴァルに昇進するときは、イニシエーションが存在し、ここで彼は上層部の幹部から祝福を受け、「戦士名」を授かった。それは古代古典に出てくる英雄の名が使われた。例えば、創立者のヴァイスハウプトはスパルタクスを名乗り、彼の弟子で幹部のマッセンハウゼンはアヤックス、友人で幹部のツヴァイクはカトーであった。

 参入者は団員の紹介が必要である。そして、「保証人」がつく。保証人は新参入者を観察し、彼が団の規則を守っているか、道徳的に正しい人間であるかを調べ、毎月それを書類にして団の上層部に提出する。また新参入者も、同様に自分の保証人について観察を行い、これを上層部に提出しなければならない。要するに「相互監視制度」があった。イエズス会の組織論を真似ていたことになる。下級団員達には、上層幹部のことは絶対に秘密であり、首領の「スパルタクス」の正体を知っているのは、一部の側近達だけだった。

 次のように解説されている。
 「イルミナティが支配する秘密結社には、秘儀参入の秘密の階級がある。イルミナティの会員になりたいと思っても、本人の希望だけでは、加入することは許されない。少なくとも、すでに会員になっている2人の人物からの推薦が必要がある。そして、加入が認められる前には、経歴が調査される。もし評議会のメンバーの中に、1人でも反対する人がいたら、その人は入会を許されない。このことからも、彼らが人を慎重に選び、その人物が彼らにとって役に立つかどうかを判断していることがわかるのである」。

 彼らはしばしば集会を行い、反イエズス会や啓蒙思想の本を回覧したり、情報交換を行った。そして、独自の暦を作り、これを用いていた。イルミナティは次第にフリーメーソンと混交した。

【「ヴァイスハウプトと「シオンの議定書」の関係】
 かの「シオンの議定書」は、ロスチャイルドの依頼を受けて、1776年、ヴァイスハウプトが完成させたものであるという説がある。イルミナティが結成されたのが、同年5.1日であることからすれば、イルミナティを創設したヴァイスハウプトが「シオンの議定書」を書き上げ、イルミナティが「シオンの議定書」の指針を実行するために組織されたということが考えられる。

【ヴァイスハウプトとマルクスの関係

 「共産主義者の宣言」の起草をマルクスに依頼したバルーフ・レヴィは、マルクスに宛てた手紙の中で彼らの目的を次のように記している、とのことである。れんだいこは、「バルーフ・レヴィがマルクスに宛てた手紙」について知識が無いので手紙の真偽に対して判断留保せざるを得ないが、由々しき内容になっている。

 「救世主とは、我々ユダヤ民族のことです。ユダヤの世界支配は、まず第一に、世界各地の多民族の統合を進めることにより、次いで、独立した主権に基づき民族分断の壁をなしている国家と君主制(天皇制、南ユダ王国イザヤの子孫を建てた国)を廃止することにより、そして最後に、未だ全面的には認められていないユダヤ人の権利を至るところで認める『世界共和国』の建設を進めることによって達成されます」。
 「この新しい人類の社会組織(コミューン)の中で、我々ユダヤ人はいかなる国家に属することもなくまた他の民族から何ら抵抗を受けることなくして指導的勢力となり、やがてその影響は全世界に及ぶことでしょう。そして、若し彼らの中の何人かの賢者が、これら労働大衆のうちに確固たる指導権をうちたてることに成功するなら、プロレタリア(無産者)の勝利によって次々に世界共和国の一部となっていく諸国家の支配権は、これらプロレタリアを指導する我々ユダヤ人の手に容易に収めることが出来ます。

 要するに、プロレタリアの勝利は私有財産の廃止をもたらし、こうして公有財産となった他民族のあらゆる私有財産は、公有財産を管理するユダヤ人の支配下に入るのです。かくしてわれわれユダヤ人のメシアが到来する時、ユダヤ人は全世界の民の財産をことごとくダビデの星の下につかさどるであろうと言い伝えられてきたタルムードの予言が実現されることでしょう」。

【「イルミナティ」のその後】
 イルミナティは、ドイツバイエルン地方で誕生した。結成初期の団員は、いずれもヴァイスハウプトの弟子や友人たちであった。ヴァイスハウプトは、ミュンヘンのメーソン・ロッジに入団し、その組織力を利用しようとした。彼は忽ち頭角を現し、まもなくミュンヘン・ロッジ内に中心的人物となっていった。「その後、ヴァイスハウプトはフリー・メーソンのロッジに潜入し、最高位に昇りつめ、結社員にも秘密結社(フリー・メーソン)内に秘密結社(イルミナティ)を組織するよう指示を与えたとされている」。これが史実とすると、イルミナティは、フリーメーソンリーの33階級の更に上部の司令塔ということになる。

 ネオ・シオニズム系組織としてフリーメーソンよりもより目的性の強いのがイルミナティであり、イルミナティ創設後はフリーメーソンの教義は色褪せ、ユダヤ的本質はイルミナティに純化された。イルミナティは完全な秘密組織で、一部フリーメーソンと重なりながら独自の歩みを見せていった。  

 メーソン本部では、こうした傾向を警戒し、ヴァイスハウプトの支配力をくいとめようとしたが、すでにロッジ内のイルミナティの勢力はゆるぎないものとなっていた。1782.7.16日、メーソンとイルミナティの話し合いの会合がもたれた。その結果、ヴァイスハウプトの計算通りに両者は合体することになった。この時点で、フリーメーソンは、団員300万人を越す組織となっていた。

 1785年、イルミナティの急使が雷に打たれて死んだ。この急使はイルミナティの秘密文書を運んでいた。パバリア政府はこの文書を入手し、イルミナティの本部を急襲した。それでイルミナティは以後地下にもぐった。パパリア政府の報告にも関わらず、多くの国や教会はイルミナティが社会を脅かす事などないと考えた。

 1787年、ヴァイスハウプトは、「イルミナティ結社の原著作集」と題する著作を発表し、イルミナティ結社のねらいと目的を明らかにしている。 基本的に集産主義、社会主義、宗教の撲減、すべての政府の転覆、個人財産権の廃止を呼びかけていた。

 1778年頃に、多くの市民と下級貴族が大挙入団し、組織は巨大化した。バヴァリア・イルミナティは急速に膨張し、ヨーロッパに広がっていった。最も有名なのはバイエルンで1776年に設立されたイルミナティで、1784年にバイエルン政府がフリーメイソン、イルミナティを含む全ての秘密結社を禁止するまで続いた。沈滞状況にあったフリーメーソン団員の多くを獲得し、主として学者、弁護士、裁判官、学生、薬剤師、貴族らの知的エリートが参加した。

 1789年、フランス革命が勃発した。この時、フリーメーソン、イルミナティが暗躍した。
結社が禁止された1785年から4年後のことである。

 稀代の魔術師カリオストロは、革命勃発時、ローマの天使城に監禁されていたが、異端審問法廷で、「国家転覆を企んだのは自分ではなく、ある秘密結社に命じられての行為だ」と弁明し、その結社はバヴァリア・イルミナティだと主張した。カリオストロによれば、イルミナティはアムステルダムや、ロッテルダム、ロンドン、ジェノヴァなどの銀行の巨大な資産を用いて、専制国家体制の転覆を裏から着々とはかっているという。フランス革命の随所にイルミナティの影がさしていたことだけは間違いない。フランス革命の推進者の多くはフリーメーソンだったが、彼らはヴァイスハウプトの影響を深く受けており、実際、ミラボー伯のように、イルミナティとフランス・フリーメーソンを結合させるべく動いた人物が、多数記録されている。そのフランス大革命は最後にャコバン党を生み出し、フランス大革命後の血なまぐさい大混乱のさなか、彼らは多くの人々をギロチンに送り、やがて自分等も自滅してしまう。

 イルミナティの最盛期には各国に支部が置かれ、会員は学者、弁護士、裁判官、学生、薬剤師、貴族ら知的エリート等、2千人に及んだという。その中には、かのゲーテもいた。哲学者ヘルダーがいたし、ベートーベンの師クリスチャン・ネーフェもいた。楽聖モーツァルトもその一員だった可能性がきわめて高い。後の米国大統領トマス・ジェファーソンもいたといわれている。

 イルミナティは、クニッゲ男爵の加盟により組織を大きく拡大させた。このことが、領のヴァイスハウプトとクニッゲ男爵の深刻な内部抗争を発生させた。1874年、クニッゲ男爵は退団し、その後はあらゆる秘密結社を否定する論者となる。
 
 当初は政治的な団体ではなく、伝統や因習に縛られないリベラルな知的交流を目的としていた。やがてその反体制性が警戒されて弾圧を受け、1785年、「政府の許可無く組織を作ることを禁止する」という禁令が下され結社が禁止された。

 更に、致命的なスキャンダル事件が起こる。国立アカデミーの教授でイルミナティ幹部だったヨーゼフ・ウイッツシュナイダーの密告により、イルミナティがオーストリアのヨーゼフ2世と結託し、ドイツを転覆させ、ドイツをオーストリア帝国の支配下に置く陰謀を企んでいる。そのために毒殺や短剣を用いた要人の暗殺を企んでいる、とする陰謀が暴露された。政府はイルミナティの調査を命令する。結果、反キリスト教的思想、反王制思想、革命思想が発覚した。同年、2回目のイルミナティを名指しで禁止する法令が出される。一連の指導者は逮捕され、政府高官は左遷、公職追放された。

 ヴァイスハウプトはレーゲンスブルクに亡命し、イルミナティの弁護の著書を次々に出したが、無駄であった。この頃、彼は私生児を設け、これを堕胎させた。これは結果的に赤ん坊殺しのスキャンダルに発展し、終いには「イルミナティでは赤子を生け贄にする黒ミサを行っている」というデマまで生まれた。

 さらに、イルミナティの元団員達が裏切り、曰く、イルミナティは毒殺と私刑に満ちた恐怖支配の黒魔術結社であり、テロによる政府転覆を狙う陰謀結社である云々と告発した。反フリーメーソン論者として知られたバリュエル神父やロビンソン教授らが、イルミナティを悪魔崇拝の政治的陰謀結社とする本やパンフを出版し告発した。政府も世論も完全にイルミナティの敵となった。主な団員は公職追放され、団員達も退会した。オーストリアとワイマールの支部は、その後も何とか存続しようとしたが、1786年、壊滅する。イルミナティの寿命は、わずか十年間であった。

 1826年、キャプテン・ウイリアム・モーガンがイルミナティによって最初の死刑を執行された。モーガンは、ルミナティの計画に反対したフリーメーソン員として舌を抜かれ、はらわたをえぐり出され、手足を切られた。モーガンの死に様を知ったフリーメーノンの会員の40%がこの結社を離れた。

 1829年、イルミナティの集会がニューヨークで開かれ、イルミナティの英国人メンバー・ライトが演説を行い、「イルミナティがあらゆる破壊分子組織とニヒリストおよび無神論者を総合し、共産主義として知られるひとつの国際組織とするつもりである」と公表した。この新たな企てのために基金を募る委員に指名された一人が、フランクリン・ D ・ルーズべルトの直系の先祖クリントン・ルーズべルトで、集められた基金の一部が、マルクスとエンゲルスの共産主義活動費用に提供された、との説がある。

 ヴァイスハウプトは、その後も、ほうぼうを亡命しなら著作活動続けたが、ドイツ中部のゴータ公領に逃げ込み、彼の支持者だったエルンスト公爵に庇護され、そこで余生を過ごした。

 1830年、イルミナティの創設者アダム・ヴァイスハウプトが死去した。臨終の枕に集まった弟子たちに、ため息まじりにこう語った。
 「我々の理想を歪め、世間に悪評をばらまき、世のあらゆる陰謀をイルミナティになすりつけようとする黒魔術団がある。注意するのだ……闇のイルミナティに!」。

【「イルミナティ」のその後】  

 ヴァイスハウプト死去後イルミナティは一人歩きし始めた。その後も、アメリカ独立戦争第一次世界大戦ロシア革命スペイン内戦第二次世界大戦と重要な転換点でフリーメーソン、イルミナティの影が見え隠れすることになる。

 「ヴァイスハウプトが死んだ後も、秘密の目標は生き続け、ロスチャイルドはイルミナティの支配者であり続けた(現在でも、ロスチャイルドは、デビッド・ロックフェラーと共にイルミナティを支配している)」。

 カリオストロ伯爵がローマで逮捕された。伯爵はこの時、イルミナティなる国際的巨大な陰謀結社があり、自分はその命令通り動いていただけだ、と弁明した。フランスの外交官ミラボー伯がドイツでスパイ活動を行っていたが、彼はここでイルミナティに入団しその人脈を政治的にも利用した。さらにフランスのフリーメーソンの実力者をイルミナティに入団させようとした。

 そして、ドイツで壊滅状態に陥ったイルミナティの難民としてヨハン・ヨアヒム・クリストフ・ボーデなる男が、ミラボー伯の手引きでフランスに現れる。ミラボーは、彼をフランスのメーソンの顧問的指導者にしようとする。当時フランスのフリーメーソンはオカルト色が強かった。ボーデはこれを排そうとする。しかし、カバラの替わりに政治思想を、ヘルメスの大作業のかわりに暴力革命を持ち込もうとする彼らの思想ははなはだ不評であった。

 また、この時期、イルミナティのもうひとつのグループが、フランクフルト大学のカール・リッター教授に、共産主義のアンチテーゼを執筆させ、リッターの仕事はニーチェに引き継がれ、ニーチェ哲学はファシズムに、そしてナチズムに進展し、世界大戦を生じされることに貢献したとされている。

 現在、イルミナティには少なくとも2つのグループが存在していると思われる。すなわち、ホワイト・イルミナティとブラック・イルミナティである。

 アダム・ヴァイスハウプトの跡を継いだのが、伊太利統一の功労者ジュゼッペ・マッチーニである。又、マッチーニとのメーソン盟友が、メーソンの教皇と云われたアルバート・パイクだ。つまり、パイクは主にメーソンの秘密典礼を担当し、マッチーニは政治部門を担った。

 そのマッチーニが1834年に『イルミナティ』の指導者になってまもない頃、『ジャスト支部』と呼ばれるイルミナティの支部組織に一人の無名の知識人が入会した。その人物の名前は、カール・マルクス。云うまでもなく、唯物論による共産主義思想を展開したあのマルクスである。

 マッチーニは、この若き才能溢れるマルクスに思想的示唆を与えたり、経済的支援をした。例えば、彼がロンドンに逃亡し、大英博物館に通って経済学の研究に没頭していた時も、ニューヨークのイルミナティ支部長であるホレイス・グリーレイの『トリビューン』紙に寄稿をすすめたり、何かと困窮生活を支えている。

 そのマルクスが『共産党宣言』を起草したのが1847年。その内容は、イルミナティの創立者であるアダム・ヴァイスハウプトの国家廃絶による世界政府思想と、ヴァイスハウプトの門弟だったクリントン・ルーズベルトが書いた『政治体の科学』にマッチーニの革命実践思想を加味したものに過ぎなかった。つまり、マルクスの共産主義理論の萌芽そのものが、『イルミナティ』から生まれていたのである。

 メーソンがブルジョアジーによる世界帝国を目指すなら、共産主義はプロレタリアートによる世界帝国を目指している。又、共産主義が唯物論によって神(天帝)を否定するのなら、メーソンは悪魔崇拝によって神(天帝)を否定する。形は違っても、両者は同じ目的を持つ「双頭の龍」である。

【イルミナティ 悪魔の13血流―世界を収奪支配する巨大名家の素顔】
 フリッツ スプリングマイヤー( Fritz Springmeier)氏の著作「イルミナティ 悪魔の13血流―世界を収奪支配する巨大名家の素顔」( 太田 龍(翻訳)は、イルミナティ 悪魔の13血流としてアスター家、バンディ家、コリンズ家、デュポン家、フリーマン家、ケネディ家、李家、オナシス家、ロックフェラー家、ロスチャイルド家、ラッセル家、ファン・ダイン家、「聖なる」ダビデの血流を挙げている。周辺の二家としてレイノルズ家、クルップ家を挙げている。

 次のように述べている。
 「あらゆる機会を通じて、一般人を取り込まねばならない。それは主に教育によって達成される。そして、開放的で心のこもった振る舞いによって、彼らの偏見に対する謙虚さ、大衆性、寛容を示す。そんなものは、都合のよいときに捨ててしまえる。あらゆる方法を使ってわれわれの思想を浸透させねばならない。そのためには、若い文筆家の助けを借りて一般人に広めるのがよいだろう。一般人には人類に対する熱烈な関心を説き、それ以外のことに関心を払わぬようにさせねばならない」。

【イルミナティ世界権力シオニスト評議会の決定した十項目の秘密の行動目標】

 2003.10.10日付け「太田龍の」時事寸評」は、「イルミナティ世界権力シオニスト評議会の決定した十項目の秘密の行動目標」と題して次のように述べている。http://www.pavc.ne.jp/~ryu/

○テックス・マーズ主宰「預言の力」二〇〇三年十月号。ここに、最近開かれた「イルミナティの最高評議会」が決定した、十項目の目標、なるものが暴露されて居る。以下にそれを要約紹介する。

 (1)イルミナティの忠実な召使に対しては、褒賞を与える。ヒラリー・クリントンは米国大統領に。ビル・クリントンは、国連事務総長に。

 (2)国際刑事裁判所の権限は、飛躍的に強化され、新世界権力ニューワールドオーダーに反抗する米国市民は訴追される。

 (3)憎悪犯罪法は、イスラエルは、イスラエルユダヤ主義、ユダヤを批判するキリスト教徒を犯罪人とするべく適用される。

 (4)インターネットは監視され、自由な言論は禁止される。

 (5)イスラエルは、米国軍を傭兵として使役し、中東を制圧する。イスラエル王国が建設される。

 (6)私有財産は次第と没収される。

 (7)世界的強制集中収容所が建設される。

 (8)新世界権力ニューワールドオーダーに抵抗する人々に対する戦争が遂行される。

 (9)キリスト教は、ユダヤ主義、シオニズムによって更に汚染され、吸収される。

 (10)全世界、とくに米国に於て、悪魔術が急速に浸透する。

○ADLの会長、エイブ・フォックスマンは、ブッシュに対し、彼(ブッシュ米大統領)は、イエスだけが天国に至る唯一の道である、とのキリスト教の教義を、否定しなければならない、と要求したと言う。ADLは、「ユダヤ名誉毀損防止連盟」、と訳される。そして、白痴そのものの日本のインテリ学者マスコミ人宗教人政治家財界官僚などは、この「ADL」を、ユダヤの人権団体、などと呼ぶ。「ADL」(アンティ・ディファーメーション・リーグ)の正体は、ブナイブリスの下部機関即ち、ブナイブリスの諜報機関、である。

○「ブナイブリス」についてはここでは省略する。もちろん、日本のキリスト教徒は、お話の外の痴呆である。テックス・マーズは、米国の愛国的反シオニスト的キリスト教伝道者の一人であるが、日本のキリスト教徒は、ことごとく、(1)白痴か。(2)売国奴。明確な例外は存在するのであろうか。テックス・マーズのような人の、「爪のアカ」でも煎じて飲んでもらいたい。(了)

 〜関連注意事項
 この世の果てにあるものは何か?そして、それを覆い隠す何かとは? 〜近代とは何か(すぐそこにある、理論と現実との隔たり。)
 http://www.asyura2.com/2us0310/dispute14/msg/131.html


【ジョセフ・R・マッカーシー上院議員の悲劇】

 米国で、イルミナティの陰謀についてもっとも激しく言及したのは、「赤狩り」で悪名高いジョセフ・R・マッカーシー上院議員であった。マッカーシーは議会で次のように演説している。

 「イルミナティがアメリカ合衆国に存在し、何年間も存続しつづけてきたという完全、かつ疑う余地のない証拠を握っている。諸君、私の手許にイルミナティの幹部ならびに団員の氏名、年齢、生誕地、職業などを記入した本物のリストがある」。

 ※マッカーシーの主張については「共産中国はアメリカがつくった−G・マーシャルの背信外交」参照のこと。

 ちなみに、アイゼンハワー政権でCIAの心理戦争局の幹部であったC・D・ジャクソンは、ビルダーバーグ会議に出席したあと次のように発言した。

 「マッカーシーが暗殺の銃弾に倒れようと、生体から腫瘍を切除する通常のアメリカ式手続きで排除されようと、ここに予言します。次回のビルダーバーグ会議までには彼はアメリカ政治の表舞台から消えているでありましょう」。

 その予言通り、マッカーシーは議会から排除され、失意のうちに、1957年、死因不明のまま死亡している。


 「阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK94」の氏の2010.9.8日付け投稿「悪魔に愛された女 解説(イルミナティ解説) by 林陽 1」を転載しておく。
 悪魔に愛された女 解説(イルミナティ解説) by 林陽 1

 秘密結社イルミナティの存在については、これまでにも様々に取り沙汰されてきた。それは、神秘の学校、見えざる大学、白色同胞団、ブラザーフッド、インナーサークルなど数々の名前を持つ、謎の世界的秘密組織である。この分野の研究者によれば、イルミナティはその実体がつかめないようにするために、多岐にわたる看板組織を通して、世界情勢を背後から操作しているという。外交問題評議会(CFR)、ビルダーバーグ、ローマ・クラブ、三極委員会、シュライナーズ、フェビアン協会、神智学、薔薇十字、そして国連など、一万を超す看板組織が存在すると言われている。

 その存在はあまりに謎めいていて、部外者には、本当のことがまったく分からない。ことの真実を知るのは内部に生きる人間だけだが、その秘密が漏れることは少なかった。会員は死の誓約とともに、秘密厳守の誓いをさせられるからである。

 「イルミナティ」とは、「光明を伝授された者」「啓発された者」の意味である。この名称が頻繁に使われるようになったのは、フリーメーソンの大統合が行なわれた一七一七年以降のことだ。驚くかもしれないが、スウェーデンの千里眼能力者として知られるインマヌエル・スエデンボルグの教義を枢軸とする「スエデンボルグ儀礼メーソン」は、別名をストックホルム・イルミナティと呼ばれていた。設立は一七二一年だ。

 それはフランスに流れ込み、一七六〇年にアヴィニョン・イルミナティ[Avignon Illuminati]をパリに創始、催眠学の創始者であるマルキ・ド・ピゥイセギュー、マルキ・ド・テーム、動物磁気療法の開発者フランツ・アントン・メスメル、魔術的詐欺師で有名なカリオストロが中心になって、スエデンボルグ教義の「正しい」解釈と実践を目標に、活動を展開し始めた。このカリオストロは、後述するバイエルン・イルミナティの会員でもあり、のちに逮捕され、極刑を逃れようとイルミナティの悪魔的内情を裁判で暴露した人物である。彼の告白は、その後のイルミナティの批判研究に役立っている。

 本書に直接かかわってくるイルミナティは、この一連の流れを受けて一七七六年に結成された「政治」結杜だが、前述のオカルト系イルミナティとも密接にリンクしていた。

 この結社の研究の先駆者、イギリス・エジンバラ大学自然哲学教授、ジョン・ロビソンの本から簡単にまとめてみる。

 バイエルン・イルミナティは、ドイツのバイエルン、インゴルシュタット大学教会法教授のアダム・ヴァイスハウプト[Adam Weishaupt, 1748-1830]が一七七六年五月一日に結成したものである。

 結社は六年後の一七八二年に、ヴィルヘルムスバートで開催された世界フリーメーソン大会議で、メーソンとの合同本部をフランクフルトに置き、世界財閥のロスチャイルド家とその配下のユダヤ資本を動員して、とてつもない力を生み出しつつあった。 組織は、表向きはイルミニズム(超人創造のための高度な知恵を伝授するの意)の仮面を被り、「自由・博愛・平等」の世界建設という大目標を掲げたため、政界はもとより、多くの文化人、芸術家、知識人が加入した。文豪ゲーテとヘルダーは、一七八二年の大合同の際にこの会員になった。

 だが、内輪組織の真の目標は世界征服にあったのである。この結社は、諸国家の破壊、諸宗教、特にカトリックの撲滅、教育や家族の破壊等の「カオス」を通して、「統一世界政府」という名の新しい世界秩序を推進するという、きわめて過激な世界革命思想を眼目に据えて、極秘活動を展開し始めた 「オルド・アブ・カオ(混沌から秩序)」がその合言葉であった。

 そのテストケースに選ばれたのが、カトリック信仰のもっとも篤いフランスである。

 ところが、何とも不思議な出来事が起きて、この極秘計画が露見してしまうのである。一七八五年に、ランツという名のイルミナティエ作員が、悪天候のなかをフランクフルトからパリに向けて馬を走らせていた。バイエルンにさしかかった頃、突如落雷が彼を襲い、ランツは一瞬のうちに息絶えた。発見された彼の遺体から、ドイツのイルミナティ大ロッジから、パリ大ロッジのロベスピエールヘ宛てた極秘書簡が見つかった。そこには何と、まだ起きてもいないフランス革命(一七八九〜九九年)、王政および諸宗教(ユダヤ教は含まれていなかったそうだ)撤廃の大計画が書かれていたのである。

 事の重大さに驚いたバイエルン警察は、イルミナティ本部を急襲、ヴァイスハウプトの文書を没収して、イルミナティが事実、世界支配を目論んでいることの証拠を握った。

 ある文書にはこう書かれていた。 「社会にとって致命傷となるべき世界革命を行かうことがわれわれの目的である。この革命が秘密結杜の仕事になるであろう。われわれの『大いなる奥義』はここにある」

 バイエルン政府はこの組織を国家的に禁圧し、すぐに大英帝国、パリ、ミュンヘン、オーストリア、ロシアヘ警鐘を鳴らしたが、ときすでに遅く、各国政府の重要ポストに配置されていたイルミナティの厚い壁に遮られ、警告は効を奏さなかった。真面目に耳を傾けたのは、メーソン破門令(一七三八年)を出した教皇クレメンス十二世以来、一貫してフリーメーソンに対抗してきたローマカトリック教会ぐらいだ。 四年後、フランス革命[French Revolution]は予定通りに勃発し、九時間のうちに千二百人あまりのカトリック信徒の首がはねられ、打倒された王政の代わりに、恐怖政治が国を支配した。

 一方、政府の禁圧にあって国外に逃れたヴァイスハウプトは、スイス、次いでロンドンに拠点を設け、フランスに続き、イギリスメーソンを呑み込む計画を立てていた。この目的を遂げるため、エジンバラ大学自然哲学教授で英国学士院会員、メーソンであったジョン・ロビソンを助手に雇い、計画書の保管を委ねるが、ロビンンは一枚うわてだった。

 すでにイルミナティの危険性を知っていた彼は、熱心な助手と見せかけ、イルミナティの謀略をできるかぎり吸収、『すべての宗教と国家を滅ぽす陰謀の証明』という、その後二百年間、世界で読み継がれることになる本を命懸けで書きあげたのである(一七九七年)。

 ここで分かることは、メーソン=イルミナティという単純な図式が成り立たないことである。上級メーソンといわれる人々でさえ、イルミナティの高イニシエート(高位の秘儀伝授者)からすれば、真実を知らされずに使役されているだけの、下級会員に過ぎないのだ。

 ぞの翌年には、フランスのイエズス会士アヴェ・バルエルが『ジャコバン党の歴史覚書』という四巻に及ぶイルミナティ告発書を書きあげた。 ジャコバン党とは、フランス革命期にイルミナティが使ったもう一つの名前である(引用注:「ヤコブ」の党ですが)。この二種の詳細なイルミナティ告発書を調べたバイエルン政府は、没収したヴァイスハウプトの文書をまとめ、『イルミナティ結杜の原著作集』と題する文書を出版し、あらゆる国々に送付した。

 そこから、次のような事実が浮かびあがった。ヴァイスハウプトは、一七四八年二月六日に生まれた。彼はユダヤ人だったがイエズス会士(カトリック)になる振りをした。だが、実際に信じていたのは、ルシファー礼拝とヒューマニズム(人間至上主義)だった。ルシファー(「光の子」を意味)とは、キリスト教神学で言うところの悪魔、サタンのことだが、彼らはこれを理性の神(理神)の象徴として祀りあげていたのである。ヴァイスハウプトは、インゴルシュタット大学で教会法の第一人者として教鞭を執っていたときに異端を説き、イエズス会から破門された。

 ロスチャイルドの要請と財政支援のもとに五年を費やして世界革命の方法論を書きあげ、『ノーブス・オルド・セクロルム』とこれに銘打ち、結社結成の日、一七七六年五月一日に出版した。 このタイトルを翻訳すれば、「事物の新秩序」あるいは「新世界秩序」となる。同じラテン語の文句は、アメリカの一ドル札に印刷された「国璽」にも見られる。実際、この国璽に使われている「目のついたピラミッド」は、イルミナティの紋章と同じものたのだ。国璽を作成した者とイルミナティとの関係を物語るものであろう。

 (お金は「ない」ところから作り出すのがわからないのは認知障害。他方、こんなふうに「ある」ものをないというのも認知障害?)

 ヴァイスハウプトは、会員たちを「イルミナティ」(光明を受けた者たちの意)と呼んだが、これは薔薇十字から借用した言葉であった。下級会員は、「完全者」と呼ばれる上級会員に対し絶対服従の義務を負った。

 位階制度は次のようだ。最低の位階は、内輪では「劣るイルミナティ」と呼ばれていた。この上に、象徴的メーソンとスコッチメーソンに分かれる「メーソン」の位階があった。これら二種の下部組織のメンバーは、人類すべてが自由と平等を享受する理想世界を地球上に現出することが結杜の目的である、と教え込まれた。暴高階級は「摂政」と「王」の二つに分けられた。

 秘伝者たちは、永遠の沈黙と組織への絶対服従を誓わされた。「何かを漏らすようなことがあれば、自分にも、家族にも、友人にも、仲間全員に死が臨みます」。「結杜の敵は自分の敵になります。結杜の友は自分の友になります。わたしは、友にも敵にも、イルミナティ結杜から命じられる通りに行動し、結杜の拡大のためにわが身を捧げます」。

 このような生命を懸けた誓いは、イルミナティの目標を覆い隠すためのものであろう。その目標は五つに分けることができる。

一、すべての既成政府の廃絶とイルミナティの統括する世界単一政府の樹立。
二、私有財産と遺産相続の撤廃。
三、愛国心と民族意識の根絶。
四、家族制度と結婚制度の撤廃と、子供のコミューン教育の実現。
五、すべての宗教の撤廃。

 この五ヵ条は、今「カルト」と呼ばれている集団が行なっていることに、無気味なほど共通しているが、イルミナティが目指しているのは、これをカルトレベルから国家レベルに拡大することなのである。

 ヴァイスハゥプトから押収した文書に、プロテスタントを礼賛する言葉が書かれていたのは、皮肉としか言いようがない。彼は「プロテスタントは自分以上にカトリックを憎んでいる」と言い、この憎しみを利用してプロテスタントを引き込むことに成功したのだ。彼はずいぶんプロテスタントに期待をかけている。「何にも増して有り難いのは、優れたプロテスタントと、改革の神学者たちが、わが光明会に所属しているということだ。キリスト教の真の精神が我々とともにある」。

 彼は、プロテスタントとカトリックを統合する考えを持っていたが、この思想は今のエキュメニズム[Ecumenism](教会一致運動)に引き継がれているように思われる。この目的を遂げるために、彼はプロテスタントしか入れない結社とカトリックしか入れない結社を新たに作り、この双頭戦力を通して、目的達成のための資金源を得た。

 「わたしは、誰の利益にもなる一つの説明を考案している。それは、すべてのキリスト教団体を招くための計画だ。それによって、徐々に彼らはすべての宗教的偏見から自由になり、杜会主義的徳を育成するようになるだろう」(引用注:「宗教的偏見からの自由」には賛成ですが、宗教心のよい面まで捨てさせようとしていると思われるのが現実である)

 当時、アメリカ初代大統領の職(一七八九〜九九年)にあったジョージ・ワシントンは、メーソン大統領として研究家が度々紹介する人物だが、この人がイルミナティを攻撃する態度を貫いていたことは案外知られていないようだ。彼はマウントヴァーノンのG・W・スナイダー神父からロビソンの本を手渡され、貧るように読んだ。一七九七年九月十七日に行なわれたワシントンの最後の大統領演説は、イルミナティそのものがテーマだった。

 「イルミナティのような連合体はやがて、狡猜な野望を持つ、無節操な者たちが独力で政府を強奪し、民衆の力を何もかも覆し、憲法の核心部分を破壊する原動力になるだろう」、「彼らが採用する方法の一つは、イルミナティが民衆から土地と財産を盗むための法律を施行できるよう憲法を改正することにある」、「アメリカが自由であり続けるためには、ヨーロッパを避けることが第一原則である。落とし穴だらけの連合を、何としても避けなければならない」

 ワシントンは最後に、「できるかぎりヨーロッパと政治的関係を持たぬよう」熱心に国民に呼びかけた。ワシントンの演説の影響は大きかった。翌年の一七九八年七月九日、エール大学総長のティモシー・ドワイトが、卒業生を前にこの悪魔的秘密結社の危険性について講演し、イルミナティ打倒の十字軍結成さえ叫ばれた。(引用注:これは皮肉なものだ。ドワイトは悪魔的秘密結社:アヘン・奴隷売買の「どくろ団」じゃないの。とぼけているのか、「インサイダー」とは言い難いのか?本当のインサイダーは項目2には自分達は含まれないと知っている。結局、その中核はロスチャイルド家を中心としたインサイダーたちだということだろう)

 ジョージ・ワシントンは、大統領職を解かれてから自分がメーソンになったことを非常に後悔し、死ぬ直前に最終秘蹟を受けカトリックに改宗している。スナイダー神父に書簡でしたためたところによれば、ワシントンはメーソンがイルミナティの道具になっていることを知らずにいた。一七九八年九月二十五日の書簡にはこのようにある。

 「私がロッジに加わったのは、イルミナティの邪悪な綱領を推進することがフリーメーンンの目的ではない、と信じたためでした。だが、今や、ロッジ内にイルミナティが忍び込んできているのです。彼らは民衆を政府から引き離し、われわれの国を手中に入れんとしているのです。合衆国に拠点を築いたそのときから、彼らがこの計画を持っていたことは、もはや疑う余地がありません」

 第二代大統領のアダムズは、ワシントンとともにイルミナティに反旗を翻したが、第三代のトマス・ジェファーソンは、「完壁な」(「」は引用者)イルミナティだった。(引用注:全体主義には反対していたように思われるのでレオ・ザガミのような「お人好しの」イルミナティだったかも。完璧なイルミナティは独裁専制全体主義がすきです)

 ジェファーソンに関連して、一ドル札に刻印された「合衆国国璽」にまつわる無気味な話が語り伝えられている。報告したのは、ヴァージニア・ブラシントンというジャーナリストだ。その話によると、ジェファーソンがある晩ひとりで庭を歩いていたとき、マントを翻す不思議な黒ずくめの男に接触された。男は、ジェファーソンに基礎的デザインを施した羊皮紙を手渡した。そのデザインから、今の政府が使っている国璽が作られたというのである。前にも述べたように、この国璽のなかに、イルミナティの標語「新世界秩序」が刻印されている。

 実際、ジェファーソンは、イルミナティを積極的に擁護した人物だった。ヨーロッパで国賊と見なされているヴァイスハウプトを「熱心な人道主義者」と宣伝し続け(引用注:そんなふうに幻想的に思っていた?そんな人間は初期には多かっただろう)、フランス革命については「これが起こらないなら人類の半分が死んだほうがまだまし」とまで言っている。無線電信の発明者モールスの父で、開拓時代の優れた地理学者、牧師で名を知られていたジェディー・モールス博士は、ジェファーソンはイルミナトス(イルミナティの単数形)だった、とはっきり記録している。国璽のデザインを手渡したのは、ヴァイスハウプトの使者であろう。

 四代目のモンローはワシントンの遺志を継ぎ、旧大陸との相互不干渉を約束する「モンロー主義」と呼ばれる危険防止策を講じた。第一次大戦後にウッドロー・ウィルンンが裏切るまでの百二十年間、この政策がアメリカ外交の主軸となった背景には、このような事情があったのだ。

 イルミナティは、バイエルン政府に禁圧されてから地下に潜ったとされているが、実際には名称を様々に変えたに過ぎず、すでに結合していたメーソンを通して世界を動かしてきた。フランスではジャコバン党、フレンチ・マルチニストの名で革命の推進力になった。イルミナティという名を公には使わなくなっただけだ。ロシアでもマルチニズムの運動は活発になった。ツァー・ニコライニ世のオカルト顧問になりすまし、暗殺を手引きしたパプスは、この組織のグランドマスターだったと言われている。ロシア革命を起こしたのもイルミナティなのだろうか。本書はそれを肯定している。

 ヴァイスハウプトは死ぬ前にイタリアにも手を伸ばし、そこにカトリックの愛国者、組織を装う、カルボナリ党を結成させた。ジュゼッペ・マッチーニが党首に就任し、全世界のメーソンをイルミナティに統一するというヴァイスハウプトの遺志を継ぐことになった(一八三一年)。このマッチーニと手を結び、アメリカに純粋なイルミナティの教理を導入したのが、メーソンの教科書『倫理と教理』を書いた南軍将校のアルバート・パイクであった(一八七〇年)。

 この新しい結杜は、知恵と謀略の神の名をとり「パラジウム儀礼」と呼ばれているが、その「倫理と教理」がどのようなものかは、次のパイクの文章を読めば一目瞭然だ。

 「メーソンの宗教は、われわれ高位階のイニシエート全員によって、ルシファー教理の純粋性のなかに保たれるべぎである。ルシファーは神である。だが悲しむべきことに、アドナイ(注:これはキリスト教の神のこと)もまた神なのだ。影なくして光なく、醜さなくして美はなく、黒なくして白があり得ないというのが、永遠の法則だからである。真の純粋な哲学的宗教は、アドナイと同等のルシファーへの信仰である。光と善の神ルシファーは、人類のために、暗黒と邪悪の神アドナイと戦っている」(一八八九年七月十四日、「世界二十三カ所の最高会議に宛てた指導要綱」)

 これは、ヴァイスハウプトの思想をそのまま踏襲したものだ。マッチーニとパイクは、全世界のメーソンをイルミナティの配下に統合することこそが、世界統一に必要不可欠と見た。そのための布石として、世界戦争を起こす計画を立てた。その証拠は、戦前まで大英博物館に展示されていた二人の往復書簡に見ることができる。一八七一年のものだ。

 マッチーニは、一連の世界戦争という「混沌」をつくりだし、そこから「秩序」をつくりだす案を提起した。それ以上の殺戮を避けるために、各国は主権も愛国心も放棄し、国際連盟や国連のような超国家機関に主権を譲るようになるだろう。一番目の世界戦争で帝政ロシアを根こそぎにし、イルミナティの独裁制を設立、莫大な人口と資源をさらなる計画達成に振り向ける」

 たび重なる皇帝の暗殺と一九一七年のロシア革命によって、これは現実のものとなった。二番目の世界戦争では、新ロシアがヨーロッパを併合することになっていたが、この計画は少なくとも半分は成功したと見ていいだろう。

 イルミナティの標語「新しい世界秩序」が、これら世界戦争の勃発とともに各国指導者によって頻繁に使われ始めたのは、はなはだ興味深い。「混沌から秩序」が彼らの合言葉であったことを思い出してほしい。第一次世界大戦という混沌から国際連盟という新世界秩序が誕生した。アメリカの基本通貨に「新世界秩序」のラテン語を含む、無気味なシンボルが刻印されたのもこの頃だ。「混沌」も「秩序」も、彼らがつくったものなのだろうか。

 そして、第二次世界大戦という混沌が起こった。当時の有名なチャネラーだったエドガー・ケーシー[Edgar Cayce, 1877-1945]は、「混沌から秩序」の方程式を知っていたようだ。彼は終戦の四年前にこう予言している。「フリーメーソンの秩序に代表される普遍的思想を持つアメリカ主義が、世界情勢を解決する究極のルールになる。世界中がメーソンになってくれるわけではない。だが、メーソンの採用する原則に基づいて、一九四四年、四五年に平和の新秩序が設置されることになっている」

 これは、国連設置を指した「当たり」予言として紹介されているものだが、メーソンが国連の指導原理になること、それが「新世界秩序」をつくることに彼が期待をかけていることを示す、重要な言葉だ。いったい、彼のチャネリングの源は何だったのだろうか?


                (4x8=32、32+1=33)

 シスター・マリー・エメリー 悪魔に愛された女 訳者解説 p225-236 より


 悪魔に愛された女 解説(イルミナティ解説) by 林陽 2

 イルミナティが究極的に目指しているのは、通商、金融、資源、何から何まで人類を一元管理できる、世界政府という名の「新世界秩序」だ。 それを導入するための「第三の混沌」までが計画されているのだろうか。彼らの歴史的文書は、確かにそれを裏付けている。パイクがマッチーニに宛てて書いた書簡は、第三次世界大戦についてのものだった。

 それによれば、三度目の世界戦争は、中東でユダヤ人とイスラム教徒の間で起こすことになっていて、これは聖書に予告されたハルマゲドンと広く宣伝される。この「やらせ」ハルマゲドンは、相当ひどいものにする予定のようである。 各国は戦争と流血に疲れきり、平和が約束されさえすれば、ルシファーの教理だろうと何だろうと飛びつくに違いない、と大見得を切っている。

 これは、あくまで「計画」であって預言ではない。訳者はこの通りになるとは思わないが、オウムと同じく、黙示録に預言されているハルマゲドンを「演出」するために、とどめの一撃を入れようと、彼らが本気で企んでいることだけは確かだろう。パイクの書簡は、まるで悪魔の大予言のように聞こえるが、これは長期計画なのである。

 「この世果戦争は、もっとも凄惨な社会変動と血みどろの動乱を招来する。そのとき、革命を起こす少数派から防衛せざるを得なくなった民衆は、全世界でこれら文明の破壊者を殺戮するだろう。一方、大部分の者たちはキリスト教に幻滅し、方向性を見失い、理想をあがき求めながらも、それをどこに求めるべきかを知らぬまま、最終的に民衆に提示されるルシファーの純粋な教理の世界的台頭を通して、真の光をつかむのだ。キリスト教と無神論の同時的征服と壊滅によって起きてくる広範囲にわたる反動から、これは現実のものとなる」

 イルミナティは、聖書でサタンと呼ばれているルシファーを神と崇め、その啓示の下に本気で世界支配を企んでいる集団なのだ。

 悲惨な世界大戦も、中東で何度も起きている戦争も、これまで述べてきたことから、彼らが背後で動いていることは疑う余地はない。金融破綻はこのための重要な手段であろう。

 クロチルドの日記には、フランスを革命に追い込むために莫大な資本を海外に流出させ、国家財政を破綻に追い込み、無数の失業者を出したうえ、国の銀行をイルミナティ系の銀行に合併させていった話も明らかにされている。 これなど、最近の日本での金融界の動きに無気味に符合する。日本を始めとするアジア各地でのバブル崩壊も、あらかじめ仕掛けられたものだったのではないのか。(引用注:もちろん、今の世界こそ)

 彼らの計画は、今後三十年間に焦点を集めている。イルミナティの大思想家と目されている故マンリー・ホール[Manly Palmer Hall, 1901-1990](メーソン33位階)は、『古代哲学講義』のなかでこう述べた。「民衆が自分を治められるほどに強く、賢明な時代はまだ到来していない。治めるに値するのは、エキスパートだけである。二百年以内に、人類はプラトンとアリストテレスの神々にかしずくとの予言が、今から百年前になされている。哲学の神々がふた,たび世界を支配するのである」

 エキスパートあるいはオリンポスの神々とは、イルミナティの高イニシエートを意味している。 プラトンは『国家論』のなかで、十人の王が支配するアトランティスの理想世界を描いている。アトランティスは、神に反逆したがために大洪水で滅ぽされた失われた世界だが、この世界をふたたび実現することがイルミナティの中心的計画なのだろう。

 これに関連して、聖書に「十人の王」が獣と呼ばれる偽キリストにかしずいて世界を治めるとの預言があるのは、実に興味深いことだ。この十王国は、短期間で滅亡すると預言されている(ヨハネ黙示録十七章)。獣とは世界政府であり、その統治者であろう。今後三十年の間に世界政府を実現させようとしているイルミナティの計画とその結末がここに読み取れる。

 オカルト面からコメントすれば、精神世界、ニューエイジにはまっている人々も、本書から学ぶこと大であろう。ニューエイジは、オカルト・イルミナティの再現と言っても過言ではない。オウム事件は、その典型的な例である。彼らは、星占い、生まれ変わり、自然食、密教、ヨガ、超能力開発、東洋医学、気功法、チャネリング、風水など、精神世界の「美味しい」知識を凝縮した思想で若者を入信させる一方、幹部連中は最新技術を駆使して「ハルマゲドン計画」を練り、それを実行に移そうとした。百年、二百年前のイルミナティのやり方を現代的に応用しようとしたわけだ。

 そこで、今のニューエイジは、当時の「善良たる理神論メーソン」に対比でき、その中核で「イルミナティ」にあたる、オウムその他のオカルトテロ集団を培養する役割をしているとも言えるのである。 ニューエイジを追求している人々は、自分はこの教団とは何の関係もないと思うかもしれないが、本当にそうなのかどうか、次のニューエイジ指導者たちの言葉を読んでいただきたい。

 フィンドホーン[Findhorn Foundation]で霊的照明を受けた欧米ニューエイジ運動の指導者、デピッド・スパングラー[David Spangler, b.1945]は、その著『キリストの省察』(フィンドホーン・ブック)のなかで、ルシファー意識との合一が霊的覚醒には不可欠だ、と繰り返し説いている。

 「ルシファーの真の性質は、善でも悪でもない。彼は進化を通して活動する神の愛である」(41ぺージ) 

 「ルシファーが解放されるときに、人に内在するルシファー要素はもはや試験官ではなくなり、真の光の啓示者、光の天使、知恵の光になる」(43ぺージ)

 「人間の完全性の時代、ニューエイジに入るときに、人は何らかの形でルシファー・イニシエーションと呼ばれる地点を通る。ルシファーは、完全性という最後の賜物を我々に与えるために来る。それを受ければ、人は自由になり、我々も自由になる。それがルシファー・イニシエーションである」(44〜45ぺージ)
−−こんなのもあります
"No one will enter the New World Order unless he or she will make a pledge to worship Lucifer. No one will enter the New Age unless he will take a LUCIFERIAN Initiation." (David Spangler, Director of Planetary Initiative, United Nations)
−−

 ニューエイジの核心部分はルシファー秘伝にあることを、指導者自らが認めているのである。このスパングラーという人物は、今や国連の「プラネタリー・イニシアティブ[Planetary Initiative]」代表の任にある。 

 日本のニューエイジの母と慕われているY.Aという人も、ルシエルを名乗る霊的存在から同様のことを啓示され、フィンドホーンの客となった。ルシエルとは、サタンが堕落する前に天上で持っていた名前である(彼は、地獄の光を意味するルシファーよりも、この名を使うことを好むと言われている)。それは、ルーシェル、ルキエル、ルキスとも呼ばれている。

 ニューエイジの母体組織とも言える神智学の創設者ブラバッキーは、大作『秘密教理』のなかで度々、ルキスあるいはルシファーを礼賛する言葉を述べている。

 彼女にとって、ルシファーはキリスト教によって悪魔にされてしまった真の光の神であり、宇宙開闢のときに現われた最初の神であった(第1巻70ページ。ブラバッキーは一八七五年にこの協会を創設したが、そのとき幹部に名を連ねたのが、何とアルバート・パイクだった。 

 実際、神智学協会の幹部は、全員メーソンだったことが明らかになっている。

 ブラバッキーの遺志を継いだのが、イギリスの神智学者のアリス・べーリー[Alice Ann Bailey, 1880-1949]だ。彼女は「ルキス・トラスト」という組織を発足させ、そこから世界政府と世界宗教を実現するための計画案を明らかにする、膨大なチャネリングの本を発行した。この組織を日本語に訳せば「ルシファー企業合同」となる。何とこの機関は、その後国連の下部組織に組み込まれている。国連は、ルシファー秘伝の場になってしまうのだろうか。

 もう一人、欧米のニューエイジで偉大な思想家のように礼賛されている哲学者、マンリー・P・ホールがいるが、この人もルシファー秘伝主義者だ。『フリーメーソンの失われた鍵』のなかで、彼はこう書いている。「メーソンは、活ける力のダイナモの正しい使い方を知ってこそ、結杜の奥義を知ったことになる。そのときに、彼はルシファーの燃え盛るエネルギーを手にするのだ。さらに高きへと踏み出す前に、彼はそのエネルギーを正しく使う能力を証明しなければならない」(48ぺージ)

 ここで言う「ルシファーの燃え盛るエネルギー」とは、ヨガで言うところのクンダリニー(蛇の火)である。東洋でも、西洋でも、密教が教えるところは、この蛇の火を内に目覚めさせて霊的た光明を得るというものだ。それは、オウム真理教の信者たちが目指していたものである。

 ソフトニューエイジの生みの親、エドガー・ケーシー[Edgar Cayce,1877-1945]は、健康相談では優れた力を発揮したが、その思想は、キリスト教の衣で覆った神智学だった。彼も、クンダリーニを目覚めさせることをしきりに説いていた。 ケーシーの一番の財政支援者であったデーブ・カーンというユダヤ人富豪は、戦時中にロスチャイルドの右腕として働いた高位のメーソンだった。 彼は、メーソンの神殿からケーシーヘの補助金が出ていたと自叙伝に記している。ケーシー財団の建物は、一九五〇年代にフリーメーソンのバージニアビーチロッジが使っていた場所だ。この団体がマンリー・ホールの団体と提携を結んでいるのも、まったく自然なことなのである。

 ケーシー信者たちがイルミナティの思想を受け入れていることは、アメリカで彼らが張っているホームページや出版している本に、平気でイルミナティのシンボルを使っていることからも分かる。 このような動きは、先代にはなかったことだ。今は昔とは異なり、キリスト教を装う必要がなくなったためであろう。ケーシーを宣伝するアメリカのホームページには、「事物の新秩序」の大きな文字とともに、目のついたピラミッド(一ドル札の裏に印刷されているイルミナティのシンボル)が使われている。 そして、「新世界秩序はキリストが治めるものなので恐れることはない、陰謀研究など愚かしい」とさえ書かれている。これには本当に驚かされた。イエズス・キリストが、反キリスト集団イルミナティの標語を使う、と彼らは本気で信じているのだろうか。ケーシーの研究グループも、数年前に国連に所属した。

 このように、ニューエイジとメーソン、あるいはイルミナティは、密接にリンクしているのである。 しかも今や、イルミナティの計画は最終段階に入り、国連がその本拠地に変わりつつあるのだ。

 本書の主人公のクロチルドが、「聖霊」を称するルシファーから啓示された話は、今の精神世界の教えとなんら変わるところはない、七つのチャクラや生まれ変わりの思想さえ、そこには登場する。彼女は、ニューエイジで中心を占めているチャネリングの先駆者であったばかりか、クンダリニーを目覚めさせ、空中浮揚さえやってのけた。だが、それを自分の力とは見なかった。

 「何たる瞬間!わたしは、自分を超えるいかなる自然の法則も、重力さえも、どのような秘密も存在しないことを感じた。この世の人間の弱さをわたしは思い知った。彼らは、どのような力も、自分自身から出てくるものだと考えているからだ。だが、彼らに力を与えているのは霊なのである」

 これは、天井にまで空中浮揚したときの、彼女の感動の言葉である。人間は、霊的に神か悪魔か一方を選択する権利を持っている。しかし、悪魔は悪魔として初めからその姿を現わすことはない。ルシファーは得意の七変化を使い、精霊やキリストの名前さえ騙り、神々しい霊的存在として人の前に姿を現わす。そして、崇高な理神論によって、人間は独力で神に似た超人になれるとの神秘思想を吹き込むのである。だが、体験を極めた人は、それが誰弁に過ぎないこと、人間はいずれかの霊的力を通す媒体にしか過ぎないことを知っているのだ。

 悪魔という存在は、今の心理学では、人間の自我の象徴にしか解釈されてはいない。しかし、奥義を究めた人は、霊的世界には二つの極性が存在することを知っているのである。悪魔が存在するとすれば、もう一つの霊的極であるイエズス・キリストも、同じように存在する。(引用注:引用者は「超自然的」というのは信じていません。神話はどちらも天空の星の話だろう)

 「獣と出会うそのときまで、わたしは超自然的な原理を否定し続けてきた。そして今、さらに二つの原理を受け入れねばならなかった。カトリックのそれと、洗礼の神が存在することの二つである。洗礼の神により力があることは、獣自らが認めていたことだ。だがわたしの目は塞がれ、この神が力ある神であるばかりか、心優しく、知恵に満ち、聖たる完成にあることを結論するまでには至らなかった」

クロチルドが回心したときの告白である。キリストを知った彼女は、以前には「聖霊」と呼んで親しんでいたその力を「獣」と呼び、完全に挟を分かったのである。ここに希望が見える。

クロチルドはイルミナティの破壊的計画を立案するために、ルシファーから啓示を受ける役割にあった(引用注:神懸かりの巫女ですか)。その彼女が、最終的に真の「神」に救いを見出し、イルミナティに大打撃を与えたことは、われわれにとっては大きな希望である。当時の教皇レオ十三世は、四回も反フリーメーソン回勅を出したが、その背景には彼女の告発文書の存在があったと言われている。

 この世は戦いの場である。闇は真の光に対抗するために、光を偽婆して戦力を集めようとする。しかし、見極める目を養えば、真の光と、光を偽装する闇とを区別することは可能である。

 この本は、陰謀者側の弱点を知ることによって、彼らに対抗する力を与え、彼らの策略を詳細に知ることによって、陰謀に打ち勝つ知恵を与えてくれる、きわめて重要な資料である。

 読者が、世界史をつむぐ見えざる糸を本書からつかみとり、巧妙な光の偽装の背後に隠された真実に目を開かれることを念願している。

 二〇〇〇年三月 訳者

 シスター・マリー・エメリー 悪魔に愛された女 訳者解説 p236-244 より

 http://satehate.exblog.jp/10391571/

 「コメント」

 この問題はまだ解決されいない、着々と国際金融で実行されている内容である。そして、世界の司法関係者は真面目に捜査しない。世界でこの問題を考えるようになったのは、一国の警察から来ている内容である。古典中の古典の暴力団関係者である。この認識がまったく欠如しているのが今の現在である。この種の事件は、つい最近でも、血を抜いてあった奇怪な島根県の殺人事件が起きたk事を忘れていないのか。事件は未解決だが、それは、この種の問題は、世界中で起きている内容であり、吸血鬼とは昔からあった内容である。それがないと思わせている所に、唯物詐欺論犯された今の警察(司法関係者)の態度が、政治の問題である。  







(私論.私見)