広瀬隆・著「赤い盾」考

 (最新見直し2007.5.21日)

 (れんだいこのショートメッセージ)
 広瀬隆・氏の著作「赤い盾」()は特別に言及されるに値する。れんだいこの知る限り、ロスチャイルド家の生態をこれほど実証的に解明した書はない。もっとも、その分析は、ホロコーストを盲信しており、ナチス対ユダヤでは一方的に親ユ的である等々、今日でははっきりと古典に属するように思われる。しかしながら、ロスチャイルド家歴代の世界史的暗躍史をこれほど克明に記したものはないという意味で貴重である。

 れんだいこは、「一家に一冊」の中に入れてもおかしくはないと考える。日本左派運動は本書に精通し、咀嚼する義務を負うと考える。これを踏まえて、鬼塚英昭氏の「20世紀のファウスト」(2005.12.1日初版)、「天皇のロザリオ」、太田龍・氏の一連のロスチャイルド研究、「シオン長老の議定書」習熟に向かえば、なお味わい深いと考える。

 日本左派運動は、この方面に関する歴史的理解をすっぽり欠落させているので情況対応能力を持たないのではなかろうか。というか、意味不明の陰謀史観というレッテル貼りで、この問題から逃げている。意味不明と云う意味は、告発側が、現代パリサイ派とも云うべきロスチャイルド一統の世界支配的陰謀を指摘し、警鐘乱打しているのに、それを陰謀史観だとして門前払いで却下しているからである。従って、いわば論の太刀打ちになっていない。

 しかし、こういう対応がありえてよいのだろうか。この論法が通用するのが不思議と云えば不思議である。れんだいこには左派圏の頭脳構造が理解できない。思えば、今日流布されている程度の左派理論でいっぱしの左派を気取れているものは幸せ者である。恐らく暗愚幸せというものだろう。それを思えば、れんだいこは幸せになれずに苦労していることになる。この場合、どちらが良いのだろうか。

 れんだいこが察するのに、日本左派運動の却下対応はマルクス主義の階級史観にやられ過ぎていよう。マルクス主義の階級史観はいわば歴史の概念論であり、ひとたび学べば後は具体的実際的事例で弁証法的に確かめられねばならないものである。これをやれば必ず現代史最大の権力体であるロスチャイルド派の支配力に目が向かうはずなのに、具体的実際的な分析に着手しないので不問にしてしまう。そういう訳で、いつまでも歴史的概念論で説き続けており、掛け声だけは良くても役に立たない。こういう対応は本来のマルクス主義ではない。単に「群盲象を撫でる」の例えに似ているに過ぎない。

 こういう情況の中で、広瀬隆・氏は著作「赤い盾」で、極力非イデオロギー的にロスチャイルド家の生態を暴いている。これをどう活用するのかはその人次第と云う姿勢で火を灯している。れんだいこは、感銘を受けた。受けない者と談じても詰まらないので、受けた者同志が更に認識の精度を上げていく為の共同研究に向かいたいと思う。

 2007.5..21日 れんだいこ拝






(私論.私見)