(CNN) イスラエルの裁判所は3日、ナチス・ドイツのアウシュビッツ強制収容所で使われていた入れ墨器具とされる品の競売について、停止を命じた。ホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)の生存者から非難の声が上がったことを受けた措置。アウシュビッツ強制収容所では130万人あまりが殺害された。その大半はユダヤ人で、他にもポーランド人やロマ人、障害者、同性愛者が犠牲になった。収容者は数字を刻印され、入れ墨器具はナチス強制収容所の非人間性を示すシンボルの一つになってきた。競売商はこの入れ墨器具を「最もショッキングなホロコースト関連品」と形容。予想落札価格は3万~4万ドル(約340万~450万円)とされている。
今回の裁判所の判断により、競売は2週間停止されることになった。競売会社は手数料を25%に設定する考えだが、アウシュビッツの生存者はこれを犯罪的と批判。96歳の生存者の男性は「もし本当なら犯罪だ」と述べ、自身の腕から切除した数字の入れ墨の写真を見せた。競売商は今回の競売について、意識啓発や入れ墨器具が適正な持ち主の手に渡るようにするためと説明している。ただCNNの記者は、不正な所有者の手に渡ることを心配するなら、博物館に寄贈すべきだと指摘し、アウシュビッツに4年間収容されていた自身の祖父も「1088」という入れ墨を刻印されていたと語った。
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