陰謀論批判の批判

 更新日/2020(平成31→5.1栄和/令和2).3.5日

 (れんだいこのショートメッセージ)
 ここで「陰謀論批判の批判」を考察する。

 2006.10.29日 2009.5.21日再編集 れんだいこ拝


【適菜収の陰謀論批判/考】
 れんだいこは、陰謀存在論の見地から陰謀論を唱え、これを歴史再検証主義論と銘打って研究を深めようとしている。ところが、これと真逆の見地からの陰謀否定論を唱える者に出くわした。これを採り上げ適宜のコメントをしておく。適菜 収・氏の2012.10.26日付「日本をダメにしたB層の研究」がそれである。ちなみに「B層」とは、「二〇〇五年九月のいわゆる郵政選挙の際、自民党が広告会社スリードに作成させた企画書『郵政民営化・合意形成コミュニケーション戦略(案)』に登場する概念です。この企画書では、国民をA層、B層、C層、D層に分類して、『構造改革に肯定的でかつIQが低い層』、『具体的なことはよくわからないが小泉純一郎のキャラクターを支持する層』をB層と規定しています」とのことである。

 「B層は陰謀論が好き」のタイトルで次のように述べている。
 たとえば陰謀論です。陰謀が存在するのは歴史的事実ですが、私は陰謀論・陰謀史観には与しません。陰謀論は最初に結論があるので、容易に情勢を説明することができる。要するに、B層の「世界をわかりやすく理解したい」という欲望、あるいは「世界はわかりやすく理解できるはずだ」という妄想が、陰謀論の土壌になっている。

 以前、某氏と対談した際、陰謀論の構造を全否定したことがあります。それは書籍になったのですが、太田龍(一九三〇~二〇〇九年)という元新左翼の陰謀論者が絡んできました。まともに対応する相手ではないので無視しましたが、陰謀論者の思考回路を垣間見ることができるので、ここで紹介しておきます(「太田龍の時事寸評」)。

 このひとによれば、ニーチェは、反ユダヤ主義を否定した、と言う。そのことが、繰り返し強調されて居る。しかし、それではこのひとは「ユダヤ主義」をどのように考えるか。それが、実に信じられないくらい、浅薄である。(中略)このひとは、ユダヤ教に「タルムード」が存在することを、全く知らないのであろうか。「タルムード」を知らずして「ユダヤ」を云々するとは、およそあり得ない話しであるが、ひょっとしたら、本当に知らないのかも知れない。「タルムード」は、ユダヤ教の「ラビ」と結び付いて居る。するとこのひとは、「ラビ」とは、正確に何者なのか、そのことすら、何も知らないのかも知れない。(中略)つまり、このひとは、ユダヤの歴史を知らない可能性がある。ユダヤの歴史を知らずしてユダヤについて、ご大層なことを言う。このひとは、自分の「無学」と「無知」が恥かしくないのであろうか。

 繰り返しますが、陰謀は存在します。CIAの公開文書を読むと、謀略が歴史を動かしてきたことがわかります。証拠と論理を積み重ね、それを追及するのがジャーナリズムの仕事です。しかし、陰謀論者は結論から原因を演繹する。つまり思考回路がおかしいのです。
(私論.私見)
 適菜収・氏(以下、Tと記す)の陰謀論批判の真意が分かりにくいが、もし本気で陰謀論批判しているのであれば、れんだいこのスタンスと真逆の立場で思想しようとしていることになる。当人が何層に位置しているとしているのかが言及されていないが恐らくA層を自認しているであろう。そのA層たるTの知性を危ぶみたい。その論拠を以下記す。

 Tは、「太田龍の時事寸評」を引用しているが、その意図如何。以下略。

 




(私論.私見)