たすけあい党規約の手引き |
更新日/2023(平成31.5.1栄和改元/栄和5).3.17日
(れんだいこのショートメッセージ) |
以下、「たすけあい党規約」の規定の根拠を順に解説していくことにする。特に「日共新規約」との対照式で検証してみたいと思う。 2005.9.29日 れんだいこ拝 |
【規約の意義について】 |
レーニンは、1903年の「党規約にかんする報告」の中で、「規約の本質は、機能を分けることである」と定式化させている。レーニンがこの観点を革命後にも持ち合わせたかどうかという点で疑義があるが、とりあえず機関運営主義を指針させていたことを確認しておく。ところが、宮顕党中央時代には、「重層制」等と称して「機能を分けない」方向へ規約改正していった。三権分立の否定、機関運営主義の否定を専らとしたということになるが、これをどう理解すべきか。 ちなみに、1789.8.26日に発布された「フランス人権宣言」は、第16条で「権利の保障が確保されず、権力の分立が規定されないすべての社会は、憲法をもつものではない」としている。 |
【規約前文の意義について】 |
たすけあい党規約は無論のこと、日共旧規約は、本文規定の前に「前文」を附している。その形式は日本国憲法の「前文」手法と同じで、意味するところは、各条項を貫く基本精神とでも云えるものを宣言していることにある。 |
【党の目的について】 | |
たすけあい党規約では、 「たすけ愛党」の活動目的を、「働く人民大衆の生活利益を擁護する為に働く政党」としている。「働く人民大衆」の部分は、従来「労働者階級」と言い回しされてきた。れんだいこ規約では、従来式の階級概念に疑義があることと、もう少し幅広く位置付けたいとする観点から人民概念を採用した。 従って、マルクス用語として継承されてきた「ブルジョアジー、プロレタリアート的階級概念」及び「資本主義的生産様式の止揚、並びに一切の階級対立と階級搾取の廃止」、「階級と私的所有のない新しい社会建設」、「社会主義社会−共産主義社会の実現」等々は意識的に記述を見合わせている。ということから、第一インターナショナル、第三インターナショナルの規約の前文に明記された「労働者階級の解放は、労働者階級自身の手でたたかいとられなければならない」も割愛している。 留意すべきは、国民概念を導入していないことである。これは、 「たすけ愛党」の活動を国家主義的な囲い込みの中で為す必要がないとの判断による。 れんだいこ規約では、この部分の記述は綱領として別にまとめることにする。これを簡略に記すとすれば、一例として仮にこうなる。(ブント.共産主義者同盟戦旗派の規約.『同志』7号(1995年10月1日号 戦旗社 から)
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【党組織の性格について】 |
れんだいこ規約では、 「たすけ愛党」の組織の性格を、「これを党是として自覚する者たちにより組織された政党である。党は、自発的意志と自覚的規律でむすばれた日本の『たすけあい主義者』の闘う組織である」としている。これは字句通りの意味である。 |
【党是におけるマルクス主義の位置付けについて】 |
れんだいこ規約では、「党は、マルクス、エンゲルス、レーニンらの学説と実践の経験を学ぶ。但し、これを教条として墨守するものではない。自主的創造的発展により我が国での適用を目指す。党は、この理論にもとづいて、世界の働く人民大衆と連帯し、社会の良質的進歩を促進し、その実践を期する」とある。これを解説する。 次に、「世界の働く人民大衆と連帯し」について。「たすけ愛党」は、党是を目指す運動につき、国際主義の立場に立ちことを宣言している。国際主義とは、「万国の労働者、被抑圧民族団結せよ!」の立場および被爆国日本として発信する反核・平和の国際連帯の精神を貫き、主権擁護、自主独立とする。 |
【前衛概念について】 |
たすけあい党規約では、階級概念には精査を要するという立場からその「前衛」としての用語も差し控えることにする。但し、運動全体の前衛と云う意味では差し支えないとしている。 |
【戦後憲法の位置付けについて】 |
れんだいこ規約では、「党は、戦後制定された新憲法を擁護する。その成立過程はGHQ草案の押し付けであったが、その内容を吟味するのに史上例のない民主人権保障憲法となっている。平和愛好と国際協調精神を称揚しその率先垂範を誓っている。これは明治維新以来先の世界大戦での敗北まで我々の祖父母人民が血であがない獲得した民族の知恵と合致する。党は、この精神を擁護し継承する為改憲勢力と闘う」としている。これを解説する。 この文節の意味は、党の国家の最高法規に対する態度を明示したことにある。憲法に対する態度の表明は、党派の第一の責務と判断することによっている。党は、大改正、部分改正、解釈改正、護憲等々の選択肢から護憲の立場を明確にしている。 |
【各国友好党間の相互関係について】 |
れんだいこ規約では、各国友好党間の相互関係を、「内部問題相互検証、兄弟党の立場を堅持」と表記した。これは、これまでの国際共産主義運動内の「負の遺産」に対応させている。その一つは、「内部問題相互検証」とした。これは、「排外主義的な自主独立路線」の間違いを指摘している。「いわゆる自主独立路線」は、「内部問題相互不干渉」主義に立脚しているが、これは民族主義と排外主義の規定である。各国友好党間の運動は相互に関連しており、その経験を交流しあう事は必要責務である。問題は、「押し付け」にならぬよう友誼を尽くすことが肝心であろう。 れんだいこ規約では、意識的に「一国型社会主義建設」と「世界革命型社会主義建設」の是非を問うていない。この問題の態度をめぐって党員を選別する必要がないする配慮によっている。 |
【左派運動の齟齬的潮流との関係付けについて】 |
れんだいこ規約では、「党は、世界の社会主義、共産主義その他の革命運動のなかに立ち現れた指導主義、覇権主義を認めない。わが国の革命運動に事大主義的な思想と行動が立ち現れる場合には、それらとも闘う」としている。 従来、「左」・右の日和見主義、現代修正主義規定も為されているが、いずれも概念規定とその判断が曖昧であり、党中央の恣意的な判断により指弾されてきた罪のほうが多いとして、敢えて削除している。 |
【「民主権限制」について】 | ||||
これは従来「民主集中制」という概念で云われてきたところの代替用語である。このたび、れんだいこが「創語」した。その理由は、「民主集中制」が、一向に「民主」の手続き要件を明らかにせぬまま「集中」の作法を押し付けてきた歴史を持ち、この用語の新解釈を為すよりもいっそのこと新語で説明したほうが有益と判断したことによる。
宮地氏曰く、概要党の現行「民主集中制論」は、「レーニン規約」、「スターリン規約」、「毛沢東規約」を模倣したものであると云う。いずれも「鉄の規律」に特徴がある。その源流は、「ロシア.ナロードニキの組織原理(1870,80年代)」にあると云う。以下「ナロードニキ規約」と云うことにする。ナロードニキは、ブランキらの組織と同じく、革命的テロルを公然と掲げていた陰謀的秘密結社であり、「ナロードニキ規約」の組織原理は、「徹底的な上意下達式中央集権制」に特徴があった。
この「1948年規約」は徳田書記長時代のそれであるので以下「徳田規約」と言い換えることにする。「徳田規約」は、「スターリン規約」を基調としつつ、常に党内反対派が存在していた党内の情況を前提にして「(玉虫色ながらも)討論の自由」を明記していることに特徴が見られる。
これを「宮本規約」と言い換えることができるが、「宮本規約」は、「徳田規約」をより精密に規定し直す裏で「党中央の敷いたレールからはみだしが許されない党中央集権制」に規約変えしていることが分かる。この下敷きとされていたのが中国共産党の「第8回党大会規約(1956年制定、毛沢東指導下)」であるとされている。以下これを「毛沢東規約」と言い換えることにする。「宮本規約」の目新しい条項は、「毛沢東規約」を導入したものであり、何れも集権化を強めていることに特徴が認められる。 このたびの新規約の特徴は、「宮本規約」の精密化による複雑さから「分かりやすくした」ことにある。「5つの柱」にまとめ次のように定式化している。
これを「不破規約」と言い換えることにする。 |
【反対派の処遇、分派活動の公認について】 |
ここは、れんだいこ規約のハイライト部分である。「党は、路線上の問題をめぐってあるいは個々の政策、方針に対しての留保ないし反対意見の存在を認める。反対意見を持つ者は、党内外に意見を表明し、その文書配布を含めた理論活動、次の党大会に向けての同一意見者のグループを横断的に形成し、機関紙.誌に見解を公表し、大会に議案を提出する権利が認められる。但し、党内反対派は、党中央執行部の権限を認め、その要請する具体的運動に対する撹乱行為は戒めねばならない。この基準を越す党内反対派は別党コースに向かわねばならない」とした。これを解析してみる。 A.党内反対活動の容認 B.党内反対派の撹乱行為の制約について これは@.Aを許容するれんだいこ規約にあっても厳守を要請するところの規定である。その理由は、結社は構成員の団結によってその意志がより強く貫徹されるからであり、その機能を無視する撹乱行為は保護されるに値しないからである。問題は、「撹乱行為」の判断を為しえる機関の設立が必要かと思われる。れんだいこ規約では「団結委員会」がこれを審査することにしている。従って、「この基準を越す党内反対派は別党コースに向かわねばならない」は理の流れというべきである。 |
【党員の党活動上の様々な規定について】 |
党員の党活動上の様々な規定について、羊飼い理論で行くのかあれするなこれするな理論で行くのか。これを解明せねばならない。 |
【党の任務と組織の拡大について】 | |
れんだいこ規約では、前段で「党は、以上の指針と組織に基づきわが国の社会変革事業達成のために先進的役割をはたすことを期す。党は、政策.方針をつくり、それを広く普及し、その実現のために闘い、その実践を総括して、党の政策と方針を更に検証し、発展させることを期せねばならない」とした。「わが国の社会変革事業達成のために先進的役割」と活動基盤を当該国家に措定していることには議論の余地があるが、当面「主権擁護、自主独立、国際主義の原則に基づく対等の立場での内部問題相互検証、兄弟党の立場を堅持し、世界の働く人民大衆の生活利益を擁護する運動、被抑圧民族の自立運動との統一戦線を志向する」と整合させている。 後段の「党は、この社会変革事業を成功させる為、不断に党の質量を拡大強化し、大衆的前衛党の建設と、統一戦線の結集、発展のために奮闘する。とくに未来の担い手である青年の役割を重視し、青年・学生のあいだでの活動をつよめる」において、「大衆的前衛党」と明記しているところも一考を要するところである。「青年の役割を重視」も一考を要するところである。 |
【党員の団結と挙党一致任務について】 |
れんだいこ規約では、「党員は、党機関の決定に対しては、決定に同意する者を核として相互に団結を求めて挙党一致に努力せねばならない。党員は、深く人民大衆のなかに入って活動し、その結びつきを広め、強めなくてはならない」とした。これは「反対派の処遇、分派活動の公認について」と整合的な理解を要するところである。 |
【党員の同志愛について】 |
れんだいこ規約では、「党は、この歴史的事業をなしとげるために、その活動の検証、欠陥と誤りの批判と自己批判、教訓化を作風とせねばならない。すべての党組織と党機関は、理論と実践の結合を求め、党員間の同志愛を育まねばならない。党員は、この作風に則り、言行を一致させ、創意をもって積極的に行動し、誠実に謙虚に忍耐づよく活動しなくてはならない。一人ひとりの党員のこの思想的政治的自覚こそ、「たすけ愛党」と党員のたたかう力の源泉である。党と党員は、この事業への貢献に自己の人生を結びつけようとする初心を生かし、発展させるようにしなければならない」とした。 |
(私論.私見)