安保無効訴訟考

 (最新見直し2010.02.16日)

 (れんだいこのショートメッセージ)
 「安保無効訴訟」が提訴されている。これを確認しておく。

 2010.02.16日 れんだいこ拝


 「米諜報員だった岸首相の安保無効訴訟始まる山崎康彦2009/03/09」を確認しておく。

 30年以上にわたりCIAや国防総省などの情報を専門に調査報道してきたNYタイムズの1988年のピュリッツァー賞記者・ティム・ワイナーうじが、著作「Legacy of Ashes(灰の遺産),The History of the CIA」(邦訳版「CIA秘録(上・下)」、2008.11月初版、文藝春秋社)で、概要「60年安保条約改定の日本側の責任者・岸信介首相が実はCIAのエージェントであり、米国の利益」のために働いて多額の報酬を得ていた」ことを暴露した。

 同記者は2007年に公開された日本占領中のマッカーサーの諜報活動を詳述しているCIA文書を含む5万点に上る機密解除文書を解読し、10人の元長官を含む300人以上のインタビューをベースに、すべて実名証言で「Legacy of Ashes」を出版した。同書で、岸氏の実弟である佐藤栄作元首相も、米国に対し「共産主義と戦うため、アメリカの財政援助を願い出ていた」事実も同様に暴露されている。


 これを受け、「日米安保条約無効訴訟の会」代表の長岩均氏(九条改憲阻止の会)を原告、山崎康彦氏らを「選定当事者選定人」として、「今の日米安保条約を締結した岸首相は相手国・アメリカCIAのエージェントだった事実が当のCIA機密解除資料で暴露された。今の日米安保条約は、旧条約を改定する形で1960年1月に当時の岸信介首相が署名締結し、同年6月に国会で強行採決して批准した。このような条約は初めから無効とする確認を求める。締結前の状態に戻せ」、 「国は精神的苦痛を与えた国民に対し賠償金7万円を支払うよう損害賠償を求める」民事訴訟として東京地裁に提訴したとのことである。


 3.4日、東京地裁631号法廷で第1回口頭弁論が開かれた。被告(国)の指定代理人で法務省法務局の6名が出廷した。次回公判期日を4月22日と決めて、わずか3分で閉廷が宣告された。

 この「日米安保条約無効確認訴訟」は大変ユニークな訴訟であるとして、次のように説明している。
 今回の訴訟は弁護士に訴訟代理してもらうのではなく、原告個人が主人公である本人訴訟であることです。それも裁判所も初めてのような、「選定人」が「選定当事者」を選ぶという全く新しい「選定当事者方式」の裁判となっている点です。選定当事者方式のメリットは、裁判費用が格段に安く済むことと「選定人」と「選定当事者」を数多く集めて裁判を一緒に闘うことが出来る点です。

 デメリットは、強大な権力を持つ国を相手に、法律の専門家ではない素人が裁判の主役となるので、準備書面などの煩雑な訴訟書類を作成する知識や技術や時間やエネルギーが十分確保できるか否かの点です。この点はそのつど、支援してくれる弁護士さんに相談してサポートしていただいています。

 この訴訟で判明したこととして、1970年の安保改定で、それ以降は1年ごとの更新により継続していることを伝えている。次のように説明している。
 新しく分かったことですが、この条約は10年後の1970年に佐藤栄作内閣によって多くの国民の反対を押し切って自動延長されました。それ以降は実は1年ごとに延長されていたのです。しかし、政府は国会に条約延長の是非を問うこともなく、野党も問題にせず、マスコミも一切報道せず、要するに国民は一切知らされない中で、政府によって勝手に「延長」されてきたのです。今日まで38年間、事実上の「無期限条約」化されてきた、その事実が暴露されたことです。1971年以降、毎年条約の有効期限が切れる前に一方の当事国から条約破棄通告がされなければ条約は自動的に延長され、一方の当事国から条約破棄通告があれば1年後に破棄されることになっているのです(条約第10条)。外務省日米安保条約課は、「毎年省内で検討し、アメリカ側と協議して」延長を繰り返してきたと言います。日本にとって最も重要な条約の延長問題を、政府の1窓口機関に過ぎない外務省が秘密裏に「自動延長」させていました。これだけでも、すでに憲法違反の条約です。

 2004.12.3日 れんだいこ拝




(私論.私見)