放射性廃棄物最終処分場騒動考

 更新日/2018(平成30).12.12日

 (れんだいこのショートメッセージ)
 原子力の世界では、ウランを採掘し、濃縮、加工して原子炉に装荷するまでの段階を「アップストリーム(上流)」と呼び、原子炉でウランを燃やしたあとの、再処理、廃物処理・処分を「ダウンストリーム(下流)」と呼ぶ。放射能による被曝の危険は「上流」で始まっている。科学がウランを採掘した段階から被曝が始まる。ウラン鉱山に由来する被曝には2つあり、1つは採掘に従事する労働者の被曝であり、もう1つは掘り出した鉱石、鉱滓および残土による環境汚染からの被曝である。人類は、 ウランを掘り出すかぎり人類は放射能による脅威を受け続けることになる。今日までの原子力行政はウラン利用の面しか考慮せず、危険性の後始末には関心を払わない。

 原子力利用とそれを推進する行政は、まさに悪魔の科学同盟である。人類史上、このような知性を探求するのは、例の連中しかいない。調べれば調べるほどますますこのことがはっきりするだろう。

 2007.7.26日 れんだいこ拝


【放射性廃棄物とは何か。処理問題の何がどこが問題か】
 「★阿修羅♪ > 原発・フッ素43」の魑魅魍魎男氏の2015 年 6 月 10 日付投稿「岡山県美咲町の高レベル放射性廃棄物最終処分場騒動とその教訓」。
 高レベル放射性廃棄物・最終処分場に関して、岡山県美咲町でちょっとした騒動がありました。先月、政府は最終処分場は国主導で選定すると発表しました。

 「核の最終処分場を国主導で選定へ!基本方針の改定は2008年以来7年ぶり!
 自治体側は反発!『国の押し付けは許されぬ』」 (阿修羅・赤かぶ 2015/5/25)
 http://www.asyura2.com/15/genpatu42/msg/881.html

 今までは公募していましたが、どこも住民の反対が強く、立候補する自治体はなく、全く計画が進まないので、方針を変更し国が選ぶと方針転換したのです。これに対し、自治体側は、国が勝手に決めるな、押しつけるなと反発しています。この発表を受けて、岡山市では経産省エネ庁による自治体向けの説明会が開かれました。しかし、これが一般市民には一切非公開非公表で、住民団体の強い反発を招きました。「『核のごみ』高レベル放射性廃棄物最終処分場問題 岡山の自治体向け説明会は非公開 まとめ」(ブログ風の谷 2015/6/3)
 http://blog.goo.ne.jp/flyhigh_2012/e/531d98772c50fda56b6928250a8aa381

 この説明会に美咲町職員が参加したこともあり、「美咲町に最終処分場が建設されるらしい」という噂がネット上を駆け巡り、大騒ぎになりました。そしてついに美咲町長が、次のように噂を完全に否定しました。

 美咲町から全国のみなさんへ (美咲町長 定本一友 2015/6/4)
 http://www.town.misaki.okayama.jp/offtalk/201564133648.pdf
 「先週末からインターネット、主にツイッターなどのSNSで『美咲町に放射性廃棄物の最終処分場ができる』『美咲町に核のゴミを埋め立てる動き』などの情報がツイートされております。これは6月2日の岡山市内で行われた経産省主体の自治体向け説明会に美咲町を含む多数の自治体が参加したこと、美咲町職員がTV局のインタビューを受けたことなどが起因となり、一気に拡散されている状況です。実際には説明会に参加しただけで、美咲町として最終処分場の誘致や候補地に立候補することは全くありません。金輪際一切ありません。断言いたします」。

 実は、岡山県は、以前から最終処分場の候補地として原子力産業に狙われていました。中国山脈一帯が安定した花崗岩層に恵まれていること、人形峠にすでに拠点があることなどがその理由です。以前にも哲西町に誘致する話が持ち上がり、また動燃(当時)が試掘権を得たり、岩盤内の実験を秘密裏に行っており、住民はかなり神経質になっているのです。そこへ非公開の説明会に職員が出席すれば、住民が疑心暗鬼になるのは当然で、起こるべくして起きた騒ぎだと言えます。悪いのは、説明会をこそこそ非公開で開いた政府であることは明らかです。結果的には、美咲町の町長が絶対に誘致しないと宣言せざるを得なくなり、住民にとっては良い結果となりました。「美咲町に最終処分場が来るらしい」と噂が流れたことに対し、過去の経緯を全く知らない一部の人間が、妄想デマを流すのは許せないと息巻いていますが、まったく的外れな非難であることは明らかです。愉快犯が事実無根のデマを流して面白がるのとは全く次元の違う、住民にとっては切実な問題なのです。

 政府は、住民に知られると猛反対されて最終処分場計画が頓挫するので、極秘で計画を進め、地元の政治家や企業を抱き込み、既成事実を作ろうとしています。ですから今回のように、噂の段階で情報を拡散し騒いで、計画が進まないうちに潰してしまうことが大切です。誘致が事実だとわかったときには計画はかなり進み、もう手遅れの可能性が大きいのです。これは放射性廃棄物の最終処分場に限らず、汚染ガレキ、汚染土、産業廃棄物の処分場計画や違法投棄でも同じです。常に自分の住むコミュニティに注意を払い、おかしな噂話、怪しい土地買収、不可解な工事や廃棄物などがあったら、ツイッターやブログですぐ情報を拡散し、騒ぐべきです。とくに土地買収は、ゴルフ場など一見関係のない施設の建設を装って行われることが多いので注意が必要です。一旦公けになって住民が騒ぎだしたら、もうこっそり計画を進めることはできなくなります。自治体の長も、計画を否定あるいは中止せざるを得なくなるのです。昨夏、これも岡山市で怪しげな土嚢が積まれているという情報があり、福島の汚染土ではないかという疑惑が持ち上がりました。

 「岡山市南部に土嚢が集められ 周囲に立ち入り禁止の縄 (Bran) 」 (拙稿 2014/7/11)
 http://www.asyura2.com/14/genpatu39/msg/286.html

 幸い汚染土ではなかったようですが、監視を怠ると、いつ何どき危険なゴミが持ち込まれるかわかったものではありません。無視、無関心、そして油断は大敵です。残念ながら、今や日本は完全にブラック国家です。国民の合意を得ずに、勝手に何でも強行しようとしています。住民がお互いに協力して、政府や企業が極悪非道を働かないよう常に監視することが必要です。

 (関連情報)
 「最後の話 死の灰と世紀末」 (広瀬隆・著 八月書館)

12. 2016年3月20日 11:25:10 : LY52bYZiZQ : i3tnm@WgHAM[1885]
 2016年3月20日(日) 国の責任で処理を 放射性廃棄物 高橋氏迫る

 日本共産党の高橋千鶴子議員は18日の衆院東日本大震災復興特別委員会で、東京電力福島第1原発事故に伴う放射性廃棄物の処理を被災地に押し付けようとしている政府を厳しく批判しました。放射性物質汚染対処特措法の仕組みでは、1キロあたり8000ベクレルを超えたものは指定廃棄物として国の責任で処理します。それ以下の廃棄物の処理は市町村の責任とされてしまいます。政府が、2015年8月~16年1月にかけて未処理の放射性廃棄物の線量を再測定すると、宮城県内の3404トンのうち2314トンが基準の8000ベクレルを下回っていました。

 高橋氏は、自治体では従来の指定外廃棄物の処理さえ進んでおらず、国も全容をつかんでいないと指摘。「指定を解除しても処理が進むとは思えない」と迫ると、井上信治環境副大臣は「安全に処理できることを地元住民に説明し、指定解除後の処理については財政的支援を行う」と答弁し、あくまで自治体に処理を押しつける姿勢を示しました。

 井上副大臣はさらに「国が一方的に指定を解除するものでない。(放射性廃棄物の)一時保管者や解除後の処理責任者と協議が調うことが前提だ」と答弁。高橋氏は環境省の「指定廃棄物の指定解除の仕組みについて(案)」では、国が自治体に通知すれば解除できる仕組みになっていると反論し、「国が責任をもって廃棄物の処理を進めるべきだ。そのためには放射性物質汚染対処特措法を見直す必要がある」と迫りました。

 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2016-03-20/2016032004_02_1.html








(私論.私見)