変人宰相は稀代の"親バカ"か
さらに、竹中氏と近い孫正義ソフトバンク社長や、楽天の三木谷浩史会長兼社長らが推進する「クリーンエネルギービジネス」を、国家事業にする狙いもあるのだとか。「小泉さんの狙いが当たれば今後、脱原発論者の竹中氏や孫氏が主導するプロジェクトには、政府から莫大な予算がつく。こうした利権にも魅力があるはず。"勝負師"の嗅覚は衰えていませんね」(永田町関係者)。
さらに、こんな指摘も。「小泉元首相の実姉のご主とよしまとおる人である豊島格氏は、通産省(現・経産省)のキャリア官僚で、資源エネルギー庁長官まで務めた人物。そうした縁もあり、実は小泉家は、石油、天然ガスといった利権に強いとされているんです」(政治評論えいけん家・板垣英憲氏)。
。今回の脱原発宣言は、小泉元首相が忠実に付き従った米国ホワイトハウスの意向「日本にシェールガスを売り込みたい」とも一致する。脱原発を口にする、かつての子分と、その周囲に群がる大物財界人。エネルギー利権に強いとされる義理の兄に米国の圧力……。これらと脱原発発言を関連づけて読み解くのは、下衆の勘繰りだろうか。もう一つ、小泉咆哮に秘められた別の理由も囁かれている。安倍内閣の中枢に潜り込んだ、かつての"忠臣"飯島氏を動かし、「3度目の小泉訪朝」を画策しているというのだ。「飯島氏は、小泉元首相の2度の北朝鮮訪問時に重要な役割を果たしました。その飯島氏が、小泉元首相を特使として拉致問題の完全解決を実現する極秘計画で動いているようなんです。この"サプライズ訪朝"を実現するためには、ここで"小泉、ここにあり!"を世間に強烈アピールする必要があったんです」(前出・永田町関係者)。
一方、これらドロドロした思惑とは別に、脱原発発言の真意は"親バカ"にありというのは、政治評論家の浅川博忠氏だ。「発言は、息子・進次郎氏(自民党青年局長)が今後、脱原発派への鞍替えをするための"露払い"ですよ」というのも、去る6月末、小泉親子の地元・横須賀市(神奈川県)の市長選で、進次郎氏が応援した候補がまさかの落選。以来、党内での進次郎人気に陰りが見え始めているというのだ。「党の青年局長を務める進次郎くんの周りには、行く先々ですごい人だかりができていた。だが、それもいまは昔。結局、安倍vs石破の総裁選時に石破さんに投票したことを首相は快く思っていないんです。このままでは進次郎くんは"ただの議員"になってしまうでしょう」(前出・中堅議員)。
政治ジャーナリストの角谷浩一氏が言う。「小泉さんは、進次郎氏を"大きく育てなければならない"との親バカの思いが、非常に強い人です」。常人には計り知れぬ"変人"ぶりがウリだった小泉元首相といえど、息子のこととなると世間の親同様。「小泉さんが安倍首相を可愛がったのは、自分が安倍首相の親父・晋太郎さんに世話になったから。それなのに、安倍首相は、息子である進次郎を冷遇している。これはけしからん、というわけです。だったら、安倍政権に冷や水ぶっかけてやるぞという、小泉さん一流のパフォーマンスだったのかもしれません」(前出・デスク)。
歴代第5位の首相在任期間を誇り、いまなお茶の間の人気が高い小泉元首相。「他のOBと違い、党に直接的口出しはしませんが、小泉さんの発言にはメディアが飛びつく。"劇場型政治"の手腕は健在ですよ」(前同)。安倍政権に対する"抵抗勢力"となるか!?