福島原発事故初期対応の拙さ考

 更新日/2020(平成31→5.1栄和改元/栄和2).8.6日

 (れんだいこのショートメッセージ)
 ここで、2011.3.11日の三陸巨大地震に伴う東電の福島原発事故の初期対応の拙さを確認しておく。
 2015.08.06日 れんだいこ拝


【東日本一帯に巨大地震が発生】
 「ふじふじのフィルター自分の頭で考えよう! 」の2012年3月24日 付けブログ「「善良」ではなかった日本の「指導者」  ~中部大 武田邦彦教授 」を転載する。
 イタリアでは、豪華客船座礁で真っ先に逃げた船長、警備隊に船に戻るよう促される(気ままなログ倉庫様)ということがありましたが、日本では原発爆発事故で、行政と官邸とマスコミが結託して住民・国民に危険を全く知らせず、「安全デマ」すら流布し被ばくさせる一方、米軍には教えて、行政と官邸とマスコミと米軍と米人が安全なところへ避難するという事態が起きていました。東大OBには避難呼びかけがメーリングリストで回っていたのです。

 今年の1月13日にイタリア沖の地中海で起きた、日本人乗客ら約4200人以上を乗せた豪華客船「コスタ・コンコルディア」が座礁する事故は、1月28日時点で死者17人、行方不明者15人となり、燃料の拡散の懸念も問題となりましたが、滑って落ちたところが救命ボートだったと信じがたいいい逃れをして乗客を捨て置いて真っ先に逃げたフランチェスコ・スケッティーノ船長(52歳)は、詐欺容疑で逮捕され、「自宅軟禁」のち裁判で懲役14万1078年の有罪判決となりました。

 このイタリアの豪華客船の船長は、キッチリと責任を問われたのですが、我が国の原発事故は、住民国民を騙して大量被ばくさせ、いまだに被ばくさせ続けているのに、責任を問われることもなく、もちろん何らの逮捕も罪に問われることもないという、異常事態になっています。住民国民を欺いていた連中がそのまま権力の座に行政の立場にい続けているのです。

 地震・津波・原発禍で避難している住民を何ら救済しないまま、加害者が責任を問われるどころか、東電は値上げして原発事故のしりぬぐいを電力使用者に押しつけ、野田政権は原発の再稼働と輸出をもくろんでいるというありさま。

 まったく異常な国となり下がっていますが、なぜそのような指導者となってしまったのかを、中部大学の武田邦彦教授が、長州新聞に「「善良」ではなかった日本の「指導者」」という題で寄稿、指摘しておられたとのことで、通りがけさんがコメント欄からタイプして紹介してくださっています。

 それをそのまま↓にご紹介しますので、ぜひお読みになってください。

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 Goodbye! よらしむべし、知らしむべからずさま
 2012年1月25日http://c3plamo.slyip.com/blog/archives/2012/01/post_2275.html

 「善良」ではなかった日本の「指導者」  ~中部大 武田邦彦教授

 今年2012年1月の長周新聞に中部大学教授武田邦彦氏が寄稿している。題は「「善良」ではなかった日本の「指導者」」。ほかのメディアで目に触れないので全文をタイプしてアップする。誤字脱字は各自で修正ください。

 「善良」ではなかった日本の「指導者」 中部大学総合工学研究所教授 武田邦彦

 2011年3月に起きた福島原発事故ほど「日本の指導者は善良でない」ということを白日のもとに晒したことは無かったかも知れない。これまでも第 二次世界大戦などで醜悪な指導者像が描かれてきたが、戦争はあまりにも要因が多いので、その評価は紛れが生じる。その点、福島原発事故は起こったことが単純で、その被害が甚大であるという点で、指導者の姿をハッキリと映し出した。

 ▼福島第一原発が爆発する可能性が高いことが判ったのは、現実に爆発した前日の夜だった。原子炉内の冷却が不能になり、温度が上がってきた時点で発電所 は「爆発の可能性が高い」と判断できる。その時点で発電所長は福島の119番(消防)に緊急の退避を要請する必要があった。

 原発を運転させてもらっているのは地元が了解しているからで、真っ先に運転を認めてくれた地元住民を避難させる必要があった。すでに石油コンビナートで は40年前から「火災の場合、上司に連絡せずに、現場が直接119番しろ」と指導しているし、法律でも「火事を見て119番に連絡しなければ放火同然」と されている。

 今回の事故で現場の活動が賛美されているが、事故を起こして通報もしなかった現場をほめることは誠意ある社会ではない。むしろ119番せずに東電本社に連絡した行為は実質的に「傷害罪」である。

 ▼福島第一原発から大量の放射線が漏れ出した3月12日夕刻、政府やNHKに出ていた東大教授は「遠くに逃げろ」と言った。原発事故では原発から放射線 が襲ってくるわけではなく、放射性物質が風で流れてくるのだから風下にと逃げることがもっとも被曝総線量を高める。事実、飯館村の人々は風下に逃げて一日以上、被曝した。

 さらに東大教授は「被曝は距離の二乗に反比例して弱くなる」と繰り返したが、それは原発から放射線が直接来る場合であって、そんな場合は起こりえない。 仮に強い放射線が原発から直接、発せられているとすると福島第一原発構内にいた東電関係者は強いダメージを受けるはずである。これほど簡単なつじつますら とらず、いたずらに住民を被曝させた。

 ▼伝え聞くところによると、NHKをはじめとした主要なマスコミの記者は数日内に無人の固定カメラなどを設置して福島から退避したという。そして地元には「直ちに健康に影響はない」と繰り返し、それを信じた住民は普通の生活をしていた。

 約一ヶ月後、退避した記者が防護服を着て線量計を携帯し、おそるおそる福島に入ってみると、住民は普通の格好をして生活をしている。聞いてみると「健康に影響はない」と言うからそのまま生活をしていると答える。線量計を持ちながら被曝を減らそうとしている記者は自分たちが何をしたのか理解していなかっ た。

 事故直後に起こったことをマスコミは正直に伝えたほうが良い。そのほうが今後のマスコミに対する信頼性が上がるだろう。マスコミだけが糾弾されないという状態は長期的にはマスコミを腐敗させるだろう。

 ▼原発事故では流れてくる放射性物質を避けるのがもっとも大切であり、そのためには風の向きが大切である。気象庁はIAEAに直ちに風の状態を報告した が、国民には「担当が違う」という理由で公表しなかった。一週間後に批判を受けて公表したが、「これは国民に知らせるものではない」という注釈をつけて英語で公表した。

 気象庁が風向きを事故後すぐにIAEAに報告していたのに、NHKは二週間経った後、「震災で壊れていた風向計が復旧した」という理由で福島の風向きを報道し始めた。初期被曝が終わってからだった。

 さらに重要なのは気象学会が「国民が混乱するから研究者は福島の風向きの情報を出さないこと」と驚くべきアナウンスをした。これに対して学問を守る立場の学術会議は何も言わなかった。もともと原子力基本法で「公開の原則」が決められたとき、学術会議は「すべての情報の公開を意味する」というステートメン トを出している。学術会議は学問から離れて権力と利権の場になった。

 ▼事故から数日経つと、東大教授は「胃のレントゲンが一回600マイクロシーベルトであるのに対して,線量は20マイクロに過ぎない。たった30分の1である」と繰り返して発言し、それをNHKが放送した。20マイクロというのは一時間で被曝する量であり、一日は24時間だから480マイクロになり、 10日間で8回のレントゲンを撮るのと同じになる。

 「かけ算のできない東大教授」ということだが、もちろん知っていてウソをついたのだから、実質的に傷害罪である。

・・・・・このような悪意のコメントと誤報が延々とつづき、多くの人が被曝した。政府は住民が退避するためのバスを一台も出さず、寒風吹く福島に置き去りにした。

・・・・・そして九ヶ月。政府は相変わらず国民を被曝させるのに懸命である。特に政府ばかりでなく、自治体、教育委員会、研究している医師などが国民を被曝させるのに懸命になっている。既に半減期が八日のヨウ素は無くなり、放射性ヨウ素で大量に被曝した子供たちの被曝履歴を調べることもできない。

 ▼セシウムだけで一年5ミリシーベルト(全核種で17ミリと推定、1キロ500ベクレル)と決められていた給食の基準を、政府はあまりにもひどいという ことで40ベクレルに下げる決定をしたところ、17都道府県の教育委員会が「測定する機械がない」という理由で500ベクレルを維持するように要請した。

 子供たちの被曝をどうするかの議論をせずに、「お金」だけを理由にしている。測定器は最高級(自然放射線を除けるもの)で300万円である。

 ▼日光は不幸なことに第一波の放射性物質が降下し、ホットスポットになった。観光客は外人が中心だが、事故前は一日三千人だったのに、二十人に減少し た。つまり、自由意思なら日光に行かないという状態なのに、東京を中心とした小学校、地方の中学校が日光に修学旅行などに行っている。私が「行かないで欲 しい」と校長先生に呼びかけると「昨年も行っているから」という返事があった。

 爆弾が落ちても新型インフルエンザが流行しても、昨年行ったので今年も行くという理由を言うのだろうか?

 ▼講演会でしっかりした栄養士のかたが「保護者が給食の不安を言って困る。ベクレルは測定していないし、どう答えてよいか判らない」と質問をされた。私が「腐っているかどうかわからないものや、毒物が入っているかどうか不明なものを給食に出すのですか?ベクレルが判らなければ捨ててください」と言ったら 会場は大爆笑になった。言われてみれば保護者の心配はまともなことが判ったようだった。

 横浜市は市長が先頭にたって「被曝など何でもない」というパンフレットを作り、ずさんな給食管理をやっていたら、国の暫定基準値(実質年間17ミリ)も 超える異常な牛肉や椎茸を給食に出していた。それが発覚すると横浜市の職員が「すみません」と謝った。謝って済む問題とすまないものがある。子供は食べた ものをはき出せないのだから、市長は辞職しなければならない。

 ▼チェルノブイリでは牛乳が原因した小児の甲状腺ガンが六千人にのぼった。さらに福島原発では牛肉が汚染された。このような事実から子供を持つ親が心配するのは当然だが、牛乳メーカーは断固としてベクレル表示をしなかった。

 すでに甲状腺ガンの原因となるヨウ素は無くなった。それでも雪印の(ママ。明治の間違いと思われる:筆写者註)粉ミルクの汚染が報じられた。子供に牛乳や粉ミルクを買って貰っていた乳業メーカーはまったく食材を扱う資格がないことが明らかになった。

 ▼群馬大学の早川先生(火山学)は早い時期から各地の放射線測定データをわかりやすい地図にして公表していた。その地図を頼りに移動したり、被曝を防い だりした人は多く、その功績は大きい。学問は国民が危機に陥ったときに、専門的な知識を活用して救うことが第一義である。ところが、群馬大学は原子力機関 と提携していることもあり、学長が早川先生を処分した。理由は「事実を言って福島の人に不安を与えた」ということだった。

 あるテレビ番組で私はセシウム137が青酸カリより毒性が強い(ほぼ二千倍)を知らせるために、セシウムで汚染されている田んぼに稲を植えるのは青酸カ リがまかれている田んぼに稲を植えるのと同じ」という趣旨の発言をしたところ、「学者が事実を言うのは不適切だ」というバッシングを受けた。学者が事実を 言うとバッシングする時代である。

 事故から九ヶ月を経過した現在、お母さんは日本政府に絶望して、「我が子を守るのに私は何ができるの?」という行動に走っている。お母さんとしては万策尽きたのでやむを得ないが、民主主義においては「何ができる」というのは「政治を変える」ということである。

 日本は民主主義だから、お母さんが決めたことが政府の決定でなければならない。でも、たっぷりとお金(電気代)は政治家、官僚、学者、マスコミに流れていて、その力は強力である。

 しかも、日本の指導者層、とりわけ東大を出た人は「その時、その時で上手い言い訳をできる人」であり、「人格軽薄、口先だけ」である。それは教育の責任であり、大学受験などを容認してきた日本社会にある。

 教育は本来、本人の希望にそってその人が人生において必要なことを身につけるためのものである。最低限の知識として「読み書きそろばん」は必要であるが、それ以上は本人と保護者の希望にそって行うものであり、決して「他人より優れているか」が問題になるものではない。

 サッカーが好きな子がサッカーをやり、もし世界レベルに達すれば日本の力を世界に示すことになるが、それは最初から「日本のため」にサッカーをするので はない。それと同じように学業も「日本のために」という奉仕型ではなく、個人の幸福のために学び、その結果、世界的な学者も誕生するのが教育本来の目的で ある。

 ところが、現在の教育、特に国立大学の教育は「いかにして他人を蹴落すか」に主眼が置かれており、著者の経験では国立大学の大学院ですら、教授の講義に 際して一番前の席に座り、講義中、ずっとグーグーと寝ていて恥じない学生は多い。「私は君たちを人間として見ているが、君たちは目の前の相手が寝ていても 90分、話し続けることができるのか?」と諭さなければならないのが現状である。

 今、日本を指導している多くの人は、ゆがんだ教育と評価方法の中で、言い訳、裏切り、利己性などが巧みであることによって栄達している。このような社会体制こそが今回の事故とその後の政府、自治体、専門家、マスコミの言動となったと考えられる。善良な国民と誠実な国家・・・・・それこそが日本の基礎になるべきであり、東京で消費される電気を製造する原発は東京から50キロ圏内と決めることが求められる。 (中部大学総合工学研究所教授)(了)


 「★阿修羅♪ > 原発・フッ素52」の2020.8.4日、 てんさい(い) 「放射能汚染地帯から子供たちを避難させなかった人々(東海アマ)政府を断じて許さないが、それ以上に、日本共産党や立憲民主党などのエートス容認を許さない。東京大学を許さない。」。
 木村とものブログより 全文引用
 http://blog.livedoor.jp/medicalsolutions/archives/51966467.html

 『原発事故被害地おける、医師らによる「被曝調査活動」の本質』

 福島第一原発事故により放射能汚染された地域では、福島県立医大、弘前大、長崎大、東大などの医師らが住民の被曝調査活動を行っている。医師らによる住民に対するこうした調査活動は、一見「人道的活動」にも見えるが、その本質を十分に見極めないと、後々大きな禍根を遺すことにもなりかねない。特に、東大医科学研究所が主体となって浜通りで展開されている「活動」については不審な点が多く、今後十分監視していかねばならないと考えている。一昨年10月、南相馬市において住民の被曝による危険をいち早く注意喚起し、南相馬市長をはじめ、他の南相馬市議が積極的注意喚起行動をとらないなか、孤軍奮闘されてきた大山こういち市議と連絡をとるようになってから、私は一層東大による被曝調査活動に対し疑念を抱くこととなり、彼らの活動、言動についての矛盾点をことあるごとにTwitterで発信してきた。それらを総括して、今までの彼らの「活動」を一言で言うならば、それは、住民を使って「低線量被曝研究」を行い、それにより住民に「安心」を与える、つまり政府の「福島県民を避難させない政策」に「科学的根拠(?)」を与える使命をも兼ねたもの、「医療活動」というよりもむしろ「政治的活動」というのがその「本質」である、と結論できる。

 そもそも浜通り地域で「実働部隊」としてこの活動を行っている坪倉正治医師は、先輩の上昌広東大医科研特任教授に南相馬行きを命じられた、医師になって未だ十年にも満たない「大学院生」であり、放射線医学の専門家でもなければ、ましてや被曝医療の専門家でもない。そしてこの上昌広教授という人物は、数多くのメディアに度々登場する有名な医師で、MRICという医療系メルマガの編集長もしており、私も過去十数本の医療関係の記事をこのメルマガに投稿してきた。http://medg.jp/mt/ 彼は新聞記者、メディア関係者に顔が広く、作家の村上龍氏のJMMというメルマガと、このMRICも連動しており、過去も医療現場のさまざまな問題を、これらメディアを駆使して広めてきた方である。今回、こんな名も無い「単なる大学院生」が新聞を始めとした数多くのメディアに登場し、ややもすると「内部被曝の専門家」のように扱われてきたのは、この上教授の得意技である「メディア戦略」に他ならない。坪倉医師は言わば、上教授によってメディアを通じ「作られた専門家」、単なる彼の「パペット」に過ぎないと言える。また上教授は政治家とも親交が多く、民主党の仙谷由人前衆議院議員、鈴木寛元文部科学副大臣らとは親密であることは、多くのひとが知るところである。今回、彼が南相馬を中心とした浜通りに入り込んだのは、その仙谷由人氏から「相馬市の立谷市長を助けてやってくれ」との依頼を直接発災4日目に受けたことが発端である。(仙谷由人氏は原発推進派として有名) 相馬市の立谷市長は、相馬市で病院を経営する医師。彼はその自分の地位と利権を失いたくなかったのであろう、事故直後から「米と味噌があれば生きて行ける」などと、住民とともに「籠城」を決め込んだ市長として有名な人物。すぐに立谷氏と上教授は懇意となった。

 (これは私の推測だが、当時の政府執行部は福島市、郡山市の汚染が甚大であることを把握していた。しかし彼らを避難させると「経済的損失」は甚大。そんななか福島市、郡山市よりも線量の低い浜通りから多くの避難者が出てしまったら、中通りからも多くの住民が流出してしまう。だから浜通りを死守せよ、という指令だったのではないか、と思っている)

 南相馬では、彼は原町中央産婦人科医院の高橋亨平氏という末期ガンに冒された産婦人科医と共同、除染研究所などを設立して、住民らの手で除染させる活動を始める。そしてこの高橋医師が、私財を投じて精度の高いキャンベラ社のホールボディカウンターを導入、南相馬市立病院で内部被曝調査を開始。このころから、坪倉医師の名前が出始め、おそらく早野龍五教授もこのころから関わってきたようである。(早野教授は震災直後から精力的にツイッターを駆使して、「安全論」を拡散してきた人物として有名。当時の投稿はツイログでは読めるが、TLからはすでに削除している)

 この高橋医師は「子どもはセシウムに強い」などと、汚染地域での出産育児を奨励している人物。逃げ出す医師が多いなか、留まって診療活動を行い続けたことに対して称賛する声は多いが、妊婦や子どもを避難させようという行動、言動は一切なく、いかに子どもたちが安心して暮らせるようにするか、つまり子どもたちが逃げ出さないよう、いかに汚染地域で暮らし続け復興させるか、を最優先に考えていた人物として、その活動については強い違和感を覚えずにはいられない。(過日、ご逝去された)
 http://www6.ocn.ne.jp/~syunran/

 話は前後するが、2011年4月、ある勉強会の後に上教授と飲んだ際、彼が私に酔っ払って言っていた言葉には驚いた。「福島市も郡山市も、とてもじゃないが避難させられん。将来奴ら(福島県民のこと)は、集団訴訟とかするんやろなあ」。福島県民のことを「奴ら」と言った彼の口元を、思わず見返した記憶が今も鮮明に残っている。また、昨年4月ころ、医療ジャーナリストの伊藤隼也氏から直接聞いた話だが、上教授は伊藤氏に「南相馬はアブナイですよ」とハッキリ仰っている。つまり上教授は、そもそも浜通りの住民の健康被害が発生することを予測しながら、住民避難を訴えずに活動している、ということである。伊藤氏は「彼は確信犯だよ」とも言っていたが、私自身のなかで東大の「活動」に対する疑念が「確信」に変わった瞬間であったと同時に、かつてはむしろ懇意にしていた人物がこのような言動を、住民の知らないところで平然と言い放っているという事実に接して、さすがの私も愕然とした。

 また、上教授の側近医師にも、彼の主導する活動について疑問を述べている医師もいる。その医師の立場もあるので名前は現時点では明かせないが、以前お会いした折に、「上教授は浜通りの汚染地域に、多くの若い医師や医療関係者を送り込んで、『来たれ若者』のように各所で言っているがどう思うか」と問うたところ、「自分も非常に危惧している。特に妊娠可能な若い女性医療関係者に汚染地域へ行かせることには強く反対なのだが、とてもじゃないが彼に言える雰囲気ではない」と苦渋の表情をしていた。内部でもこのような声が上がっているという事実に、さらに驚くと同時に、問題の深刻さを改めて感じる。

 一方、東大のHPには、「原発災害で大きな影響を受けた福島県浜通り地方において、住民の健康不安を解消する目的、および低線量被ばくを含む原発災害が人体へ及ぼす影響について調査するため、一般健診および健康相談会を行う。福島県浜通り地区の市民の方を対象に、住民の健康不安を解消する目的で、放射線が人体に及ぼす影響などについて説明をする」とある。こちらもぜひご覧いただきたい。彼らの「活動」は、あくまで「不安を解消し安心をもたらす」ものであって、決して住民に「危険を解消し安全をもたらす」ものではないことが、ここでもハッキリと理解できよう。
 http://www.u-tokyo.ac.jp/public/recovery/project_list.html

 また彼と昔から懇意の鈴木寛元文科副大臣は、子どもの年間20mSv問題での「戦犯」の一人であることは、皆さんご承知の通りと思う。知人の参議院議員からの話だが、ある民主党内の会議の場で、その知人が鈴木寛氏に20mSvについて異論を唱えたところ、別人のような剣幕で激昂して恫喝されたとのことだ。当時の民主党内でも「子どもを避難させるべき」との声は、必ずしも少なくなかったと聞いているが、そのような良識派の声を、恫喝により握り潰し、今も福島県の子どもたちに被曝を強いるという、非人道的行為を推し進めた鈴木寛元文科副大臣の責任は、今後厳しく追及されるべきものである。そんな鈴木寛氏や原発推進派の仙谷由人氏と懇意の上教授が、子どもたちに関する避難や原発の是非を一切述べないのは、ある意味納得出来ることと言えよう。これらの人脈を見ても、彼らの言う「住民目線に立った活動」というのは、住民を守るものなどでは決してなく、それを装い「調査研究」し、その結果をもって住民を「安心」させ、住民を汚染地域に縛り付けているという、誠に非人道的なものであることは明白である。さらに彼らは、福島県や福島県立医大を徹底的にメディアを使って攻撃することで、「自分らこそが住民を守る、真の医療活動をしている」とことあるごとにアピールしている。確かに、発災直後からの彼らの医療活動については賞賛されるべきものもあるが、医療活動をしながらも、本来医師として一番行わねばならない、住民を避難させ住民に被曝回避させるといった行動、活動、言動を「除染」のほかには一切行ってこなかったことは、医師として到底許されるべきものではない。

 最近の坪倉医師、上教授らの決まり文句は「地元住民の家庭菜園、未検査食材の摂食が、高い内部被曝の原因であり、継続的な検査が必要。汚染食材を食べなければ内部被曝は減少している。現在の内部被曝レベルでは健康被曝は起きると考えられないが、油断は禁物」だ。いかがであろうか、これぞいわゆる「東大話法」ではないか。「安心」させつつ、ちょっと注意喚起という、なかなか巧妙な「東大話法」だ。

 以前、山下俊一氏の100mSv発言のことを「やり方がヘタだ」と、亀田総合病院副院長の小松秀樹氏が指摘していた。小松秀樹氏は「立ち去り型サボタージュ」の著作で有名な医師の「論客」だが、彼はさんざん前述の医療系メルマガMRICで「放射能トラウマ」という言葉をつかい、被曝よりも「心配」のほうがデメリットであると主張した。つまり彼らの主張は「食べ物にさえ注意すれば汚染地域でも住み続けることは可能、心配しすぎずに復興しましょう」ということなのである。因みに、これも私が何度も指摘してきたことだが、上教授は南相馬市の復興有識者会議の委員も務めている。
 http://www.city.minamisoma.lg.jp/kikaku/fukkousimin.jsp

 この地域を「新たな放射線医学の研究フィールドに」、などという恐ろしい計画まで立案されているが、以前、上教授もネットメディアで、「浜通りの被曝データは世界が喉から手が出るほど貴重なものとなる、これらを蓄積して世界に発信する、この地域を廃墟にするも聖地にするもやり方次第」などとも論じていたことからも、彼らの活動が、決して住民の健康を被曝から守る活動でないことは明白である。
 http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/9497

 そもそも汚染地域の汚染もそのままに復興推進に協力する立場の人間が、住民に居住が危険であるとの根拠になるデータなどを示すことなど考えられない。彼らの「活動」の本質を、一刻も早く多くの県民、国民に気づいて欲しいと切に願うばかりである。坪倉医師らは、さかんに「内部被曝は思ったほどではない、健康影響が出るとは考えにくい」と、さも内部被曝による健康影響に「閾値」があるかのごとく喧伝しているが、それに対する「科学的根拠」は一切示すことは出来ていない。さて以下の問いに対して、彼らは果たして正確にそして誠実に回答できるであろうか。

 ・南相馬市は内部被曝より外部被曝のほうが問題となる、と以前早野教授も仰っていたが、坪倉医師らの見解は。

 ・汚染食材の摂取さえ気をつければいいと、メディアで発信しているが、それはホールボディカウンターの結果が汚染食材摂取の前後で低下傾向にある、ということのみから導き出したものか。

 ・食品汚染や内部被曝のリスクはセシウムだけにあらず、ということについての見解は。
 ・空間線量に反映されない南相馬市に散在している超高度汚染物質についての見解は。
 ・内部被曝測定をホールボディカウンターのみで行う理由は。なぜバイオアッセイを併用しないのか。ホールボディカウンター結果とバイオアッセイの結果を突合させるつもりはないのか。

 ・南相馬市で捕獲された野生猿の各臓器における汚染状況について知っているか。
 ・ホールボディカウンターで正確に測定出来ない子どもらについては、その家族を測定することで推測するかのような言説があったが、その見解に相違ないか。
 ・「子どもはセシウムに強い」という医師が南相馬市の復興に関与しているが、坪倉医師らの見解も同様か。

 ・上司の上教授は「本当は南相馬市は危ない」と仰っているようだが、坪倉医師らの見解も同様か。
 ・浜通りで子どもを産み育てることについて、坪倉医師らの医師としての見解は。
 ・よく「このくらいの値なら健康影響は考えられないレベル」との表現を使っているが、内部被曝に閾値は存在するのか、存在するならその数値はいかほどか。

 彼らの行っているホールボディカウンターによる内部被曝調査の結果が、将来住民に何らかの健康被害が生じた場合に「内部被曝は少ない」ゆえに「被曝と健康被害に因果関係なし」という根拠に使われてしまうことが、非常に危惧される。

 彼らの活動、言動に疑問を感ずる医師、市民らが、これら事実を多くの方々と共有し、彼らの活動について、多くの問題提起をし、多くの意見を発信していくことが、今後早急に必要と感じている。引用以上

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 私が、フクイチ事故後に行われた政府や福島県の対応で、もっとも激しく憤ったのは、汚染地域の年間被曝許容量を、それまでのICRP勧告の1ミリシーベルトから、20倍に引き上げたことで、これによって、福島県汚染地の子供たちを安全地帯に避難させない根拠にすり替えたことだ。現実問題として、2011年当時、南相馬市・伊達市・郡山市・福島市など重汚染地域では、現地で毎時10マイクロシーベルト、年間換算すれば9ミリシーベルト近い被曝地はざらにあった。 私が現地を8回訪れて、直接調査した範囲でも、福島市渡利地区では、数十マイクロシーベルト、郡山市で宿泊したルートインホテルの植え込みでも10マイクロシーベルトを確認して、度肝を抜かれた。飯舘村では、4台持参したGM測定器が、すべて振り切れてしまった。友人と宿泊した新野地温泉では、出された極上の鮎の天ぷらを食べたところ、友人の耳下腺が真っ赤に腫れ上がりゴルフボールのようになった。当時、米軍の戦闘規定で、毎時0.3マイクロシーベルトが確認されれば撤退することになっていた。(資料がネット上から消されている) それなのに、日本政府は、年間20ミリを毎時に換算した2.3マイクロシーベルトを超えるのが普通の福島県汚染地域から、子供たちを一切避難させず強制被曝させ続けている。こんな国は世界中のどこにもない、日本だけだ。

 私が、とてつもなく異様さを感じたのは、日本共産党が、エートスを容認し、子供たちを避難させないで被曝地域に住まわせる政策を推進したこと、それを民主党政権まで容認したことだ。このエートスを容認するか、子供たちを避難させるかの判断が、日本の子供たちを被曝で死滅させるか、健全な環境の未来を確保するかの分かれ道なのだ。

 エートス運動とは何か? 2019年06月06日
 http://tokaiama.blog69.fc2.com/blog-entry-767.html

 東大医学部の児玉龍彦教授は、福島第一原発事故後、国会証言で感動的な演説をおこなった。
 https://blog.goo.ne.jp/wa8823/e/3da6e6b6efeda5c2eb1afb848d394ab6

 これほど被曝のイロハを分かっている人は滅多にいないが、その人物でさえ、「除染」という虚構を持ち出して、住民を避難させない国の方針に加担した。

 東京大学は、東京電力から年間数十億円の協力金を受け取り続けてきたといわれる。
 https://www.ombudsman.jp/nuclear/todaikogakubu.pdf

 おそらく、児玉教授の医学部にも莫大な協力金が渡っていたのだろう。民主党や共産党がエートスを受け入れたのも、おそらく東電による政治献金など鼻薬が効いていたせいだろう。民主党は、フクイチ事故後も、原発再稼働や輸出推進に実に熱心で、枝野や菅が、電力総連から多額の金を受け入れていたことが分かっている。言い換えれば、児玉氏も、民主党も共産党も、こうした東電の支援金と引き換えに、重汚染地の住民の安全と健康を売り飛ばしたのだ。だから、自民党安倍政権による犯罪的なジェノサイドともいうべき、年間20ミリシーベルト被曝許容量は、ほとんどどこからも反対されずにスムーズに実現してしまった。

 それでは、ICRP勧告における世界的な放射線被曝リスク係数は何を意味しているのか?
 http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/etc/13-10-3Nitiben.pdf

 日本国民全員(1億3000万人)が毎年1ミリシーベルトの被曝を受けたら2007年勧告のガン死リスク係数は、1ミリシーベルト当り5.5×10-5なので、 1(ミリシーベルト/年)×5.5・10-5(ガン死/ミリシーベルト)×1.3・108(人)=7150(ガン死/年) ICRPが導入しているDDRF(低線量・低線量率低減係数)=2を無視したら1万4300(ガン死/年)となる

 上の京大原子炉実験所による説明では、1億3000万人の日本国民が、等しく1ミリシーベルトの被曝を受けると、年間7150人が癌死する(別に致死的な重度障害者が800名生まれる) これは低線量では被曝が低減されるという仮説に基づいた計算だが、これは根拠が脆弱で、実際には年間14300名が死亡する可能性があるという意味である。

 今中哲治氏は、チェルノブイリ事故地域に入って、被曝被害の調査を行ったが、最初のうちは、被曝被害を、ひどく軽く見積もっていたので、私は今中氏に激怒していたが、後に彼は、ある程度訂正したようだ。

 今回、転載した木村とも氏のブログでは、東京大学が、どれほど悪質な被曝問題のすり替えを行って、重汚染地帯から住民を避難させずに、それを正当化しているかを告発している。上のICRPリスク係数からは、東京大学や日本共産党、旧民主党勢力が容認する年間20ミリシーベルトという被曝量で何が起きるのか鮮明に明らかになる。被曝被害の係数は一次関数なので、被曝量が20倍になれば、被害も20倍になる。 つまり、日本国民1.3億人が年間20ミリシーベルトの被曝を受けた場合、年間143000名が癌死(根拠の不明瞭な低減係数を無視すれば、年間286000名)するのである。これを「ジェノサイド」といわずして何と言うのだ!

 ナチスのT4作戦で、ドイツの障害者をジェノサイドしたが、この総数が40万人と言われている。それほど大きな違いはないのだ。この恐ろしい被曝強要を、日本政府は福島県の放射能汚染被曝者たちに強要しているのだ。私は、政府を断じて許さないが、それ以上に、日本共産党や立憲民主党などのエートス容認を許さない。東京大学を許さない。 


 「★阿修羅♪ > 原発・フッ素47」の魑魅魍魎男氏の2017 年 4 月 14日付投稿「(放射性廃棄物)『燃やして減らしましょう、再利用しましょう』。東大の児玉龍彦氏が南相馬で講演 (民の声新聞) 」。
 「【放射性廃棄物】『燃やして減らしましょう、再利用しましょう』。東大の児玉龍彦氏が南相馬で講演。
『初めからダメダメ言うな』『日本は環境技術大国だ』」 (民の声新聞 2017/3/10)
http://taminokoeshimbun.blog.fc2.com/blog-entry-130.html

 東京大学アイソトープ総合センター長・児玉龍彦氏の講演会「福島における放射性廃棄物のリサイクル化が可能になった!」が9日午後、福島県南相馬市で開かれた。児玉氏は「21世紀の日本は環境技術大国。焼却して減容、100Bq/kg以下にする事は可能」と強調。「あれは駄目、これは駄目と言っていたら永久に解決しない」と懸念を封じ込めた上で「除染廃棄物の無理な膨大保管はやめ、減量・リサイクル・濃縮保管を」「日本経済の新しいエンジン、馬力になるものが福島の環境回復の中にある」と呼びかけた。福島県社会保険労務士会の主催。

 【「バグフィルターで取り除ける」】
 穏やかな口調で被曝リスクの存在を否定し続ける山下俊一氏(長崎大学副学長、福島県立医科大学副学長)とは違い、児玉氏は時には語気を強め時には国を痛烈に批判しながら、除染で生じた放射性廃棄物の焼却と再利用の必要性を訴えた。
 児玉氏は、環境省が推進している「8000Bq/kg以下の除染土壌の公共工事での再利用」について「原子炉等規制法で『施設から外に持ち出して良い』と定められているクリアランス基準は『100Bq/kg』だ。だから東京で基準を議論させては駄目なんだ。では、3000Bq/kgの放射性廃棄物を東京に持ってくるかと言えばノーだろう」と批判。再利用の必要性は認めた上で「21世紀の日本は環境技術大国になっている。何も今から新しい技術をつくろうというのでは無い。今の技術で100Bq/kg以下に濃縮出来る事が分かった。科学は目標があると必ず進歩する」と強調した。
 「至る所に山積みになっている膨大な数のフレコンバッグ。このまま放置していたら紫外線で駄目になってしまう」、「可燃物は仮設焼却炉で燃やした方が減容出来るし、野焼きをやるよりもよほど安全だ」と語った児玉氏は、放射性セシウムを大気中に放出させないための「バグフィルター」に関し「大きな誤解がある」と斬ってみせた。環境省は「バグフィルターで99.9%取り除ける」と胸を張るが、一部がすり抜けて「二次拡散」されるのではないかとの懸念もある。実際、岩手県宮古市の岩見億丈医師の調査では、市内の焼却炉周辺の土壌のセシウム濃度が高い事が分かり、2015年9月.「廃棄物資源循環学会」で「数割は漏れ出しており、バグフィルターの除去能力の見直しが必要」などと警鐘を鳴らしている。
 聴衆からもバグフィルターの性能に関して疑問視する質問が出たが「エアフィルターとは違うし、今はバグフィルターを二重にして使っている。ポジティブに考えてやってみる事が大事。フレコンバッグで放置しているよりも、10年経ったら結果に大きな差がつく」と反論した。

 【「いかに濃縮して取り除くか」】
 児玉氏はさらに「もう一つの誤解」についても言及。「一般に口にされる懸念とは逆で、我々から見たら小さくて濃度が濃くなった放射性物質ほどコントロールしやすい。薄いものが広く存在するから問題だ。濃縮する方が管理がしやすい。いかに濃縮して取り除くか、だ」と語った。その上で「除染で生じた放射性廃棄物の入ったフレコンバッグをそのまま中間貯蔵施設に運び込むのではなく、焼却で生じた高濃度の焼却灰をコンテナに入れて持って行くのが良い。燃やせば量は20分の1に減らせる。それらは地中に埋設して保管するのではなく、地上に施設をつくって見える形で管理する方が良い。減らせるだけ減らせば次の技術が出てくる。そうして一歩ずつ日本は進んできた」などと持論を展開した。

 「最初から問題点ばかり指摘しても何も生み出さない」、「穴があると言うのは良いが、今ある技術でやってみないと解決しない」、「あれは駄目です、これは駄目ですと言っていたら永久に解決しない」と、終始〝前向きの解決策〟を考えるよう求めた児玉氏。南相馬市の除染推進委員長、楢葉町の除染検証委員長、浪江町の避難指示解除に関する有識者検証委員として避難指示解除と住民帰還の旗振り役となってきた。除染で生じた放射性廃棄物の再利用に関しては、除染推進委員会として2016年12月に南相馬市に提言書を提出
 (  http://www.city.minamisoma.lg.jp/index.cfm/10,23071,c,html/23071/20170112-152219.pdf)。

 提言では「比較的濃度の低い除去土壌については、これまでの福島県における土壌中の放射性セシウムの挙動をみれば、細粒分への吸着により地下水に流出することや大気に放出される可能性は低く、長期にわたる管理が可能な区域において、常磐自動車道や海岸防災林事業等の公共工事での盛土材等の資材として、再生利用が可能と考えられる。なお、再生利用を進めるにあたっては、大型土のう袋の内容物の適切な分別処理が必須である」などと取り組みを求めている。
 再利用にあたっては、セシウム回収型焼却炉で1500℃で気化し冷却する事で濃縮させた放射性セシウムを取り除くという。郡山市内の焼却炉で行われた試験では、5万6000Bq/kgに汚染された土壌が、45Bq/kgに〝浄化〟す事が出来たとするデータを提示。飯舘村蕨平地区に設置された仮設資源化施設でも、5200~8万7000Bq/kgの放射性廃棄物を76~86Bq/kgに出来ているという。重量は17トンから2トンに減容。〝副産物〟と呼ばれる26万~55万Bq/kgもの焼却灰が生じるが、重量としては約1トンであるため、児玉氏の理論では減容が実現出来ているという事になる。100Bq/kgを下回った廃棄物は、被曝線量を年1mSv以下に抑えるようにした上で高速道路建設などで埋め込むという。

 【「日本経済の新しいエンジン」】
 児玉理論でいけば、プルサーマルにも似た〝夢のような放射性廃棄物リサイクル〟が実現するようだ。デメリットを口にするのは「後ろ向きな考え」と切り捨てて前進するのが科学なのだろうか。児玉氏は森林の汚染にも触れ「バイオマス発電が長期的には一番可能性がある」、「木を伐ったら膨大なごみになる。単なるごみとせず、燃やして燃料源とする事で環境への負荷も抑えられる」などと語った。
 「『そんな事出来るわけが無い』と口にする〝おねだり学者〟は必ずいる。彼らの言うことは全部ウソです。米の全袋検査でもそうだった。東大では学食で浪江町の米を提供するなど生産地と消費地をつなごうとしている。大学にはそうやって一生懸命やっている者もいる。ぜひ信頼してください」
 自身は決して〝おねだり学者〟では無く、「原発事故前の美しい福島の環境を取り戻すため」に努力していると強調した児玉氏は、2015年3月に取りまとめた「楢葉町除染検証委員会第二次報告書」の中で「住民が帰還して町を復興していくためには、妊婦やこどもも含めて住民が胸を張れる環境を回復することが必須」、「こどもが胸を張れる地産地消の楢葉町を目指す」と述べている。しかし、国の設定した避難指示解除の基準「年20mSv」を否定せず、浪江町が「除染で生活環境は概ね整った」とした結論の一翼を担った。住民帰還に軸足を置いた〝復興〟は避難の権利を否定する。
 児玉氏は「日本経済の新しいエンジン、馬力になるものが福島の環境回復の中にあると思う」とも語ったが、果たして〝おねだり学者〟では無い児玉氏が本当に主眼を置いているのは環境回復なのか日本経済なのか。別子銅山(愛媛県)で起きた公害事件(精錬所から排出された亜硫酸ガスによる農作物被害)を例に挙げ、「対策に取り組んだ住友は立派な企業になった。一方、対策を怠った足尾(栃木県)は日本最大のハゲ山地帯となった」とも話した。「日本の自動車産業が大きくなったのは公害問題があったから。その後、日本の環境技術が世界を席巻した」とも。
 2011年7月27日の衆議院・厚生労働委員会に参考人招致され、「実際に何十兆円という国費がかかるのを、今だと利権絡みの公共事業になりかねない危惧を私はすごく持っております。国の財政事情を考えたら、そんな余裕は一瞬もありません」、「七万人の人が自宅を離れてさまっているときに、国会は一体何をやっているのですか」などと語気を強めて一躍、時の人となった児玉氏。6年の時を経て、主張は除染廃棄物の焼却・再利用に移ってきた。除染廃棄物の焼却は本当に二次汚染につながらないのか。注視していく必要がある。(了)

------(引用ここまで)-------------
 さすが東大の教授だけあって、デタラメ、マヤカシだらけである。バグフィルターで放射性物質が99.9%取り除けるというのは大ウソで、実際は6割程度しか取り除けないことが実験で判明しており、バグフィルターのメーカーも放射性物質除去を目的としたフィルタではないと明言している[1][2]。焼却によりセシウムはいったん気化し、さらに小さな微粒子となるので捕獲はより困難になる。二重にしても大して性能は上がらない。長期間フィルタ性能を維持できるかどうかも怪しい。放射性物質除去フィルターの開発はこれからであって、すでに十分な性能が得られるかのような発言は問題である。しかも児玉教授は医学者でありフィルターの専門家ではないのだ。「あれは駄目です、これは駄目ですと言っていたら永久に解決しない」と言うが、
そういった超楽観的な甘い考えこそがとりかえしのつかない原発の大爆発事故を起こしたのだ。使用済み核燃料の処理、核燃サイクル、もんじゅなど、そのうち何とかなるだろうと見切り発車をして、どうにもならなくなったものばかりではないか。できもしない夢をさもできるかのように語るのが原子力ムラの悪癖であり、児玉教授もその悪癖にどっぷりとはまっている。

 高濃度の放射性廃棄物を数十ベクレル/kgに出来ると効果を強調しているが、大気中に放出される放射性物質の量を議論しなければ意味がない。超高濃度に汚染されたフィルターをどうするかという問題もある。焼却炉作業員の被ばくも深刻な問題である。一般ゴミでさえ有害物質が発生するため、ゴミの焼却は行なわないのがいまや世界の常識である[3][4]。児玉教授は焼却が引き起こす汚染問題の基本的な知識すらないのだろう。

 「『そんな事出来るわけが無い』と口にする〝おねだり学者〟は必ずいる。彼らの言うことは全部ウソです。米の全袋検査でもそうだった。東大では学食で浪江町の米を提供するなど生産地と消費地をつなごうとしている。大学にはそうやって一生懸命やっている者もいる。ぜひ信頼してください」

 冗談ではない。米のインチキ10秒スキャンが成功だとでも思っているのだろうか。汚染米の検査は地元民も全く信用せず決して口にしない。それが全国に流通して、深刻な被ばく被害が生じているのである。東大の学者の言うことは全く信頼できないと言ってよい[5]。「原発は絶対に爆発しません。信用して下さい」と言ったのはどこの大学の教授か。児玉教授がデタラメ焼却計画をぶち上げる裏には、汚染ガレキを詰めたぼう大な数のフレコンバッグが猛烈な放射線で劣化し破れ始めているという切迫した事情がある。これも、そのうち何とかなるという甘い見通しによって生じた問題だ。除染自体が大きな間違いであり、やるべきではなかったのだ。除染後も線量はすぐ元に戻りほとんど効果がないことが判明している。だからこそチェルノブイリでは除染を完全に放棄したのだ。除染しようがしまいが福島が二度と復興しないことは誰の目にも明らかだ。しかし彼らにとって復興は大義名分であって福島がどうなろうと知ったことではない。復興費という甘い蜜をたらふく吸えればそれでいいのだ。無意味な除染を続ける理由はただ一つ、復興予算を湯水のように使って作業を請け負うゼネコンを大もうけさせるためだ。
除染で儲けて、今度は焼却炉の建設でまた儲ける。ゼネコンは笑いが止まらない。ゼネコンに天下る役人も、莫大な政治献金を受ける政治家もホクホクである。児玉教授がゼネコンとべったりと癒着していることも指摘されている通りである[6][7]。

 児玉教授が極めて悪質なのは、一見政府と対立するような言動で、さも国民の味方のような
振る舞いをすることだ。しかしやっていることは御用学者そのものである。だまされてはならない。米の汚染検査と同じく、焼却で放射性ガレキを減容できると言っても、実は二次汚染により
汚染を悪化・拡大させるだけであることは目に見えている。児玉教授の「夢のような放射性廃棄物リサイクル」も、絵に描いた餅に終わった「夢の核燃サイクル」の後を追うことはまちがいない。いくら東大の権威をふりかざそうが、何度も同じ手口にだまされるほど国民はバカではない。深刻な2次汚染を引き起こす可能性があるので、汚染ガレキは絶対に燃やしてはならないし、再利用もしてはならない。

 (関連情報)

[1] 「島田市の試験焼却結果。バグフィルターによるCs137除去率は60%程度。
災害がれきの焼却は2次汚染の危険性大」 (阿修羅・mainau 2012/4/1)
http://www.asyura2.com/12/genpatu22/msg/473.html

[2] 「バグフィルタの会社に電話確認したかた、「放射性物質が除去できる保障はないし、
試験したこともありません」と言われた。」 (阿修羅・石井広国 2012/3/23)
http://www.asyura2.com/12/genpatu22/msg/239.html

[3] 「なんと世界の焼却施設の7割は日本にある 焼却で放射性物質は超微粒子化 
被ばく被害はさらに深刻になる」 (拙稿 2016/4/3)
http://www.asyura2.com/16/genpatu45/msg/418.html

[4] 「ものを燃やす行事や儀式がさらに健康被害を拡大させる 汚染地帯では全面禁止すべきだ」
(拙稿 2016/4/5)
http://www.asyura2.com/16/genpatu45/msg/432.html

[5] 「地に堕ちた最高学府・東京大学の権威と信用 溶融燃料とともに地下深く沈降中」
(拙稿 2012/5/7)
http://www.asyura2.com/12/genpatu23/msg/521.html

[6] 「南相馬市の400億円の除染利権と東大の児玉教授の関係。一押し企業が、利権獲得に
大成功してて分かりやすすぎる。 」 (阿修羅・山田花子 2012/2/29)
http://www.asyura2.com/12/genpatu21/msg/461.html

[7] 「南相馬市長と竹中工務店のバブルな宴(月刊FACTA)」 (阿修羅・やきとり 2013/5/6)
http://www.asyura2.com/12/lunchbreak52/msg/782.html

コメント
 放射性物質は燃やしても減りません。つうかむしろ拡散させたいんだろ。東大教授に言わせといたらみんな信じるから。汚染空気にしろ汚染水にしろ放射性物質を安全なレベルまで除去できる確実な技術はまだ存在しない。だから汚染水のタンクで1Fは満杯状態なわけで。
7. 2017年4月14日 06:31:12 : lv7vbj53vM : R5TUbJyqZ1g[2194]
>(現状はまだ試験で安全性を確認する段階と考えている)

 もうフレコンバッグはボロボロになってきているわけで、そんな悠長なことを言っている状況ではないでしょう。除染をするのなら、各原発が行なっているように汚染ガレキを黄色いドラム缶に詰め、何百年にも渡って厳重に保管管理しなければならない。それが金がかかってできないというのなら、除染は無意味。焼却したら二次汚染が拡がるだけ。再利用を認めたら、九州の工事にも汚染土が使われるようになりますよ。

8. 2017年4月14日 06:56:44 : lv7vbj53vM : R5TUbJyqZ1g[2195]
 そもそも児玉教授は医学者でフィルタや燃焼の専門家ではないのになぜ除染の音頭をとっているのか。物理学者が健康に影響はありませんと言ったり、医学者がバグフィルタで放射性物質は完全に取り除けると言ったり、原子力ムラはめちゃくちゃだな。
14. 2017年4月15日 11:53:28 : a8N8t4UwQk : sCjfCbYARTA[4]
 東京大学アイソトープ総合センターのHPを見ましたが、放射線を用いたがん治療の研究をすすめたいようです。福島の方々は、放射線医療の研究に協力の同意をしているのでしょうか?
18. 2017年4月15日 15:00:36 : lv7vbj53vM : R5TUbJyqZ1g[2202]
それは昔の認識。福島原発事故後は、「原子炉は構造上爆発しません」「炉心溶融はありえない」「格納容器が壊れるのは1億年に1回」「プルトニウムは飲んでも大丈夫」 「プルトニウムは重いので飛散しない」など東大御用学者の妄言だらけで信用はガタ落ち。今や東大と聞いただけでうさんくさい、ウソ・デマだろうと疑われる体たらく。ウソやデマばかり流していれば、東大であろうと信用されなくなる。灯台下暗し、東大先暗し。





(私論.私見)