医師のヘレン・カルディコット博士の2012.11.19日講演

 (最新見直し2016.01.20日)

 (れんだいこのショートメッセージ)
 ここで、「医師のヘレン・カルディコット博士の2012.11.19日講演」を確認しておく。

 2016.01.20日 れんだいこ拝


【医師のヘレン・カルディコット博士の2012.11.19日講演】
 「★阿修羅♪ > 原発・フッ素47 」の赤かぶ氏の2017 年 5 月 04 日付投稿「あなたが原発事故を忘れかけているなら、オススメの情報があります。「小児科医の警告」(お役立ち情報の杜(もり))」を転載する。
 あなたが原発事故を忘れかけているなら、オススメの情報があります。「小児科医の警告」
 http://useful-info.com/caldicott-warning-fukushima-reminder
 2017年5月3日 お役立ち情報の杜(もり)

 今回は、原発事故の深刻さを思い出すために、海外の専門家の情報を紹介いたします。

 ノーベル平和賞を受賞したIPPNW(核戦争防止国際医師会議)の生みの親で、医師のヘレン・カルディコット博士が2012年11月19日、東京都内で講演を行いました。福島原発事故発生から、1年8か月経過した時のものですが、内容的には今でも日本人が心に留めねばならないことばかりです。講演の様子を以下のYouTubeビデオでご覧ください。

 「移住費用は国が負担すべき」カルディコット博士(9分38秒):日本語字幕付き

 上記YouTubeビデオの日本語字幕を以下に転載いたします。

 転載始め

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 本日は子どもを看る小児科医の立場から、福島の事故について医療的な側面からお話しします。福島の事故は、人類の歴史上最悪の産業事故です。3つの炉が連続してメルトダウンする人類史上初の極めて深刻な事故でした。莫大な量の放射性物質が放出されました。ひとつ幸運だったのは最初の数日間、風が太平洋に向かって吹いたことです。そのあと風向きが変わり、南の方向に放射性物質が拡散しきました。その間、日本政府はSPEEDIによって、放射性物質の拡散評価を持っていました。しかし、パニックを避けるためという理由で、国民に情報を与えませんでした。それにより、中には最も放射線の高い方向へ逃げる人が出てしまいました。私自身、チェルノブイリ事故の推移をずっと追ってきましたが、その中で言えるのは、ロシア政府は日本政府よりも、もっと積極的に人を避難させて国民を守ったということです。政府も東電も理解していないことですが、子供の放射性物質に対する感受性は大人の10~20倍あるのです。放射線被曝に由来するガンにかかるリスクは、男の子と女の子を比べると、女の子の方が2倍になります。成人と胎児では、胎児の方が何千倍というリスクの高さになります。

 福島県には200万人の人が住んでいます。線量の高い福島市にも25万人が住んでいます。日本政府が子どもを線量の高い地域に住むのを許していることに驚いています。ロシア政府はチェルノブイリ事故の際、福島と同じ水準の汚染地域から子供どもたちを避難させました。日本政府が、東電や原子力産業から強い影響を受けたり、時にはコントロールされたりすることを私は知っています。

 政治家の皆さんは、医療的・科学的な知識をあまり深くは持っていません。子ども・妊婦・出産ができる年齢の方々が、福島などの高線量の地域にいることは、医療的に見て極めて深刻な問題です。子どもたちは今後の長い人生の中でがんになる可能性がでてくるのですが、5~17年の長期間潜伏し、がんになることが広島や長崎の経験からわかっています。

 福島県では18歳以下の子どもたち8万人の検査をしたと聞きました。甲状腺の超音波検査をしたということです。検査の結果、40%の子供に甲状腺になんらかの異常が見つかりました。このような数値は、小児科の見地からすると、極めて稀な話です。今後必ず甲状腺のがんにかかる子どもたちが出てくると思われますが、既に12歳の男の子で甲状腺がんが見つかっていますし、16歳の女の子もがんの可能性が高く、さらに検査を受けています。チェルノブイリでがんが出はじめたのが、事故後5年ぐらい経ってからでしたが、日本で既に症状が出ているということは、子どもたちは相当高い線量を受けたのです。チェルノブイリよりも高い線量です。

 医師としての立場から見ると、政府は国民よりも東京電力を守ることに注力しているようです。線量の高い地域にいる子どもたちや妊婦、子どもを産める若い女性の方たちを、その地域から避難させることは極めて重要だと考えます。また、その移住のための費用は国が負担するべきなのです。そういった弱い立場にある人たちよりも、東電を守るために予算を使うのが、今の日本の政治ではないでしょうか。

 放射性元素は食物の中に蓄積します。きのこ・ほうれん草・お米・お茶・魚。放射性物質は、味はしません。匂いもしないし、目にも見えません。福島から来る汚染された食品を人々は口にしていますが、残念ながら日本には放射性を帯びた食品に実質的には規制がありません。放射性物質セシウム137によって汚染された食品を食べていると、何年か後に悪性の脳腫瘍や筋肉腫がんになるという可能性が出てきます。

 福島県の学校や幼稚園では、放射性物質を含んだ食事を子どもに与えていますが、これは医療的には非道徳的です。福島からの食品は毎週すべて検査をする必要があります。検査をしていない福島からの食品は販売をしてはいけません。太平洋の魚からは高いレベルの放射線量が検知されています。これは放射性物質が大量に海に投棄され放出されたからですが、太平洋に放出された放射性物質は、人類史上最高の量なのです。

 私は400人の一般市民に講演させていただきましたが、彼らは一体どうしたらいいのかを知りたいという気持ちで必死でした。福島で何が起きているのかを、一般の人に知らせる責任がメディアにはありますが、今のところ全体的に見て、その責任は果たされていません。

 福島の事故はまだ終わっていません。40年の時間をかけてクリーンアップするということですが、それは科学的に不可能です。セシウム137は300年残ります。福島など汚染地域も汚染されたままです。食品や人の汚染も、300年かあるいはそれ以上続きます。今回の事故がどれだけ長くかかるものか、その現実を政府は理解していないのです。

 疫学的に見ても白血病やがん、あるいは先天性の異常は、今後70年以上にわたって次々に出てくるのではないかと思います。そういった現状を、実は原子力産業も知っているのではないでしょうか。なぜなら、福島に、がんに対応するための大きな施設を作ろうとしているからです。

 また福島原発の処理作業員についても、記録が公表されていません。作業員の放射線被害の状態は記録され、公の情報として出される必要がありますが、それが可能になっていくかどうかは、メディアによるところが大きいです。

 そして最も重要な点、多くの日本人に知ってもらいたい点ですが、もし福島でマグニチュード7以上の地震が発生したら、使用済み核燃料プールのある4号機が崩壊する可能性があります。その場合、チェルノブイリの10倍の放射性物質が放出されると予想されます。

 もしそのようなことが起こると、日本の大半の部分が終わってしまいます。それほどの大事であるにもかかわらず、多くの国民がその現実に気づいていません。もし4号機に崩壊事故があった場合、東京からも避難しなければならないと政治家の方はおっしゃっていますが、それほど多くの人を一体どうやって避難させるんでしょうか。

 外国企業やアメリカのNRCの助け、海外専門家からの支援を受けることを、日本の政府も東電も認めていませんが、4号機の補強をするために、その協力を仰ぐべきだと考えます。現在、東電がクレーン設置して使用済み燃料を取り出そうとしていますが、その作業には2年かかるということです。それを待つ2年の間に何が起きてもおかしくありません。

 最後に申し上げたいのは、がれきの問題です。放射能で汚染された地域のがれきを、他の地域で焼却すると聞いています。焼却するということは、灰が出ます。その灰を広めるということは、犯罪的な行為です。

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 転載終わり

 注釈)
 東京電力は2014年12月20日、福島第1原子力発電所4号機の使用済み核燃料プールから全ての核燃料を取り出す作業を終えたと発表しました。重要工程の一つが完了しましたが、放射線量の高い1~3号機からの核燃料取り出しはについては目途が立っていません。

 以下、ヘレン・カルディコット博士のプロフィール(出典:ヘレン・カルディコット財団)

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 オーストラリア・メルボルン出身の小児科医。これまで53年にわたり、オーストラリアとアメリカの医学界に貢献し、またその間、ハーバード大学の医学部において、遺伝的嚢胞性線維症の治療。さらには、ハーバード大学医学部教員として小児科をめざす医学生の育成にあたる。レーガン大統領時代の1980年、核戦争の脅威からくる医学的影響に心を寄せるようになっていったのをきっかけに、グローバル予防医学の臨床実践へと専門を移す。また、「医学的見知から、原子力発電並びに核戦争がもたらす人体への影響」について、人々の認識を向上させることを主たる目的として、医師としての社会的責任を追及するための組織(総称PSR)を設立する。世界各国から23,000人の医師たちがメンバーとして集結。1985年、この組織は、「核戦争防止国際医師会議」(IPPNW)の傘下の元、ノーベル平和賞を受賞。その後、ヘレン・カルディコット財団を設立し、各職種に就く者の立場から「核」の存在を憂い、「放射能」が女性や子供たちに及ぼす人体的影響に関する研究結果をアピールし続ける中で、2011年3月の東日本大震災が発生し、「東京電力福島第一原子力発電所」の惨事が起こる。以後、「フクシマ」の女性や子供たちを「放射能被曝」から救済すべく、世界各国の専門家を集結させ奔走している。

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 カルディコット博士は、2014年3月8日にも日本で講演を行っており、親身な警告をして下さっています。下記にリンクを貼りますので参考にしてください。

2014/03/08 【京都】「子どもたちを守らないなら、私は私自身を許せない」 ~ヘレン・カルディコット氏・小出裕章氏 講演会


 「「子どもたちを守らないなら、私は私自身を許せない」 〜ヘレン・カルディコット氏・小出裕章氏 講演会 2014.3.8」。
 (IWJテキストスタッフ・関根/奥松)

 「ベラルーシの18歳未満の人たちでは、甲状腺がんは、平常時の200倍の発症を確認した。手術したうち30%は他に移転。かつ、女性の死亡率は男性の5倍だ。また、甲状腺がんは、ヨウ素131、129だけではなく、テクネチウム、ルビジウム、セシウム134、137でも発症する」──。

 2014年3月8日、京都市上京区のKBSカルチャーで、ヘレン・カルディコット財団主催の講演会が開催され、「未来を担う子どもたちの為に、今、私たちにできること」と題し、医師のヘレン・カルディコット氏と京都大学原子炉実験所の小出裕章氏が講演を行った。

 カルディコット氏は「チェルノブイリ事故の影響により、ヨーロッパでは1986年から2056年までの間に、甲状腺がんの発生が9万2627件と見積もられ、そのうち、死亡者数は2万6584人と予想されている」とした。質疑応答で、「このような調査をしていて、権力側からの弾圧はあるのか」と尋ねられると、「今までに8回、殺害予告などの脅迫があった。CIAからも妨害は受けた」と答えた。

 小出裕章氏には、「4号機の使用済み燃料の移動作業が、失敗したらどうなるのか」との質問があり、小出氏は「もし、作業中に事故があっても、破局的な事故にはならないと思う。ただし、地震などでプール全体が崩壊したら終わりだ。しかし、仮にそうなっても、燃料が溶け始めるまでは10日間ぐらいかかると思う。逃げる猶予はあるだろう」と答えた。

※3月8日の講演の模様を、3月18日に配信しました。

 ■ハイライト

  • 講演 ヘレン・カルディコット氏(医師)/小出裕章氏(京都大学原子炉実験所)

 京都聖護院門跡の宮城泰年氏は、開会のあいさつで、「日本は、536年に仏教が来るまで、自然すべてに神がいた。私たちは、今まで、あまりにも自然を顧みずに生きてきてしまった。そういう人間の生き方について、学び、反省する必要がある」と述べた。

 ベラルーシで健康な子どもは20%だけ

 カルディコット氏が登壇。「今回、使用するデータは、5000種類の論文を網羅した、ニューヨーク医学アカデミーの報告書(2009年)をもとにする」と述べ、まず、放射線被害を調査した範囲や医療機関、症例などの詳細を説明した。

 「チェルノブイリの大惨事は、広島・長崎の原爆と同じ、何百万人に対する人体実験だ。28年後の今でも、13ヵ国の領土50%が、長期的に放射性物質で汚染され続けている。ベラルーシには、20%しか健康な子どもはいない。広島、長崎では4年間、チェルノブイリでは3年間にわたり、すべての医学的データは隠蔽された」と語り、チェルノブイリ事故に関する健康被害などを話した。

 環境に放出された有害物質の数々

 カルディコット氏は、福島の原発事故に関して、「日本政府と東電は、事故で放出された有害物質をすべて発表していない」とし、特に影響が長期に及ぶものとして、「セシウム137とストロンチウム90は、300年の有害性。トリチウムは120年。コバルト60は50年。ルテニウム106は10年。テクネチウム132は78時間ののち、ヨウ素131になり、80日間。プルトニウム238は877年。プルトニウム239は25万年。プルトニウム241は140年の有害性をもつ」と列挙した。

 そして、「放射性物質は土壌に落下し、濃縮され続け、食物連鎖によって危険度を増加させていく。中でも、プルトニウム241は、アメリシウム241に変化し、より体内に吸収されやすくなる。甲状腺がんや白血病は、被曝から2~5年後に発病すると言われている。そのほか、肺、乳房、腎臓などの腫瘍は、15年後ぐらいに出てくる」。

 次に、倦怠感やめまい、うつ、吐き気などの、放射線由来による症状を挙げて、「チェルノブイリでは、子どもたちに早期の老化現象も認められ、事故処理にあたった80万人の若者たちにも同様の症状を確認。12万5000人が死亡した」と語った。

 また、福島原発の汚染水が太平洋に流れ込み、海産物に著しい汚染があることについても深い懸念を示し、「福島原発から32キロ離れた海で捕れたクロダイは、1キロあたり1万2400ベクレルを検出。相馬市の川魚は1キロあたり2670ベクレル。アメリカ西海岸にも、アラスカ経由で福島の汚染水が到達している」と話した。

 がんと原発事故との因果関係

 カルディコット氏は「福島原発事故では、80%の放射性物質が太平洋上に行った。しかし、福島での健康被害のデータはない。『放射性物質に由来する疾病を、決して患者に伝えてはならない』と、医師たちは指示されている」と述べ、このように続けた。

 「福島県とIAEAは、除染や放射性廃棄物に関して、どちらかが要望すれば情報を非公開にできる条項が含まれている同意書を交わした。福島県立医大も、放射能の健康影響調査において、同様の書類を交わしている。事故での重要な資料が出てこない上に、甲状腺がんに関するデータも、今後、隠蔽される」。

 その上で、「IAEAは、福島に事務所を設置。さらに、がん専門病院を建設しはじめている。裏を返せば、福島原発事故とがんの因果関係を認めているということだ。残念だが、安倍首相が特定秘密保護法を通し、福島原発事故やがんなど、医療情報が封じ込められるようになってしまった」と懸念した。

 そして、「今回、自分の発表にも危険があると思い、アメリカ人の青年たちが、ボランティアで身辺警護に駆けつけてくれている」と話した。

 チェルノブイリの3倍の希ガスも放出

 カルディコット氏は「福島原発事故では、チェルノブイリの3倍のノーブルガス(希ガス)が放出された。それには、キセノン、クリプトン、アルゴンが含まれ、太ももや腹部の脂肪に蓄積、生殖機能に影響を及ぼす。また、高エネルギーのガンマ線を放出、遺伝病などの異常を起こす」と語った。

 さらに、「ヨーロッパにおける科学および環境政策委員会」が発表した報告書「福島2013年以後の汚染の広がりに関する新たなる考察」で示された、1平方メートルあたり4万ベクレルの地域に関して、「せめて、若い女性や子どもたちは避難させるべき」と主張した。

 最後に、放射性物質への対処方法を聴衆に伝えた。「放射性物質をホコリのようなものと考えてほしい。家の中を清潔にする。ぬれタオルなどでホコリを除去し、拡散しないようにする。食事の準備に、水道水はなるべく使わない。家の中で着る服は外では着ない。外出着は、家の中には持ち込まない。外に出たペットの足は丁寧に拭く。子どもたちは、手をよく洗うこと」などと話し、「福島原発事故は、まったく収束してはいない」と結んだ。

 法治国家ではなくなった日本

 次に、小出裕章氏が登壇。まず、原子力発電の仕組みを説明し、「広島原爆で使われたウランの量が800グラム。100万キロワットの原発を1年稼働させるためには、1トンのウランが必要だ」と話した。その上で、「福島の事故は、まったく収束していない。炉心は2800度にならないと溶けないのだが、それが100トンも溶けてしまった。1500度で溶ける鋼鉄の圧力釜に落ちてしまった」と顔を曇らせた。

 小出氏は、日本政府がIAEAに報告した「セシウム137の放出量は、広島原爆168発分」というデータの信憑性に疑問を呈した。続けて、 1平方メートルあたり6万ベクレルの汚染地域の地図を示し、放射線管理区域での規定を例に上げて、「通常、人は住めない場所だ」と指摘した。

 「日本は法治国家。悪いことをすると逮捕される。法律を決めた国家は、最低限その法律を、自ら守るのが常識だ。しかし、その法律を反故にし、緊急時だからと、通常は住めない場所に人を住まわせるのか」。

 猛烈な汚染食品は原発推進派が食べてくれ

 続いて、「被曝のリスクには低線量に至るまでしきい値はない」と明言したBEIR-Ⅶ(2005年、米科学アカデミーからの電離放射線の生物学的影響)の報告と、100ミリシーベルト以下の被曝も危険を伴うという、ICRPの2007年勧告を紹介。にもかかわらず、「安全だ」と喧伝していた山下俊一氏を非難した。

 さらに、小出氏は、若ければ若いほど健康被害が増す、放射性がん死の年齢依存性について解説し、「子どもを被曝から守るには、逃げるしかない。できなかったら、キャンプ疎開。次に、校庭、園庭の土のはぎ取り。福島第二原発を放射能のゴミ捨て場にするべきだ」と訴えた。

 「学校給食の材料を厳選してほしい。猛烈な汚染食品は、原発を推進した人たちに食べさせるべきだ。食べ物も汚染の度合いごとに、10歳以下は食べてはいけない『10禁』、20歳以下なら『20禁』などと仕分けをするべき」と主張した。

 最後に、小出氏は「子どもたちを守らないなら、私は私自身を許せない」と熱く語って講演を終えた。

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