民主党鳩山政権の原子力政策考

 (最新見直し2010.03.06日)

 (れんだいこのショートメッセージ)


 2007.7.26日 れんだいこ拝


 2010.3.6日、鳩山政権下、資源エネルギー庁が、5日に開かれた総合資源エネルギー調査会原子力部会で次のような報告をした。現在国内で稼働中の原発は54基、総出力は約4900万キロワット。鳩山政権が、20年までに温室効果ガス25%減(1990年比)という方針を打ち出しており、且つ温室効果ガス削減対策の一つとして原発を位置付けていることから総出力約6800万キロワットを目指す必要があり、その実現には原子力発電所の現在の新設計画(14基)がすべて実現しても、2030年以降の20年間にさらに150万キロワットの大型原発20基の新設が必要という試算をまとめた。既存原発の寿命による廃炉の目減り分を埋め合わせるためで、現在よりハイペースな「年平均1基の新設」を実現しなければならない困難な状況が浮かび上がった。既存原発には増設の余地は乏しく、新たな立地選定が課題となる。一方、寿命を40年のままとすると30年時点で3000万キロワット、寿命50年でも1500万キロワット分が不足する計算になるという。

 他方、鳩山政権は、原子力売りに精出している。

 2.27日、鳩山首相は、高知市内で記者団に、ベトナムでの原子力発電所の建設計画に関して、日本企業の受注獲得に向けて自らトップセールスに乗り出す意向を明らかにした。週明けにもグエン・タン・ズン首相に親書を送り、日本の原発を売り込む。国際的な原発受注競争が激化する中、官民一体となって取り組む姿勢をアピールする狙いだ。

 日本が受注を目指すのは、ベトナム南部で計画される第2期工事で、フランスなどと激しく争っている。親書では、政府が民間企業と共同で、海外の原発の事業化調査を請け負う新会社を設立する構想を説明。ベトナムとの原子力協力協定の交渉開始も打診するもようだ。

 原発受注に向けた国際競争は激化している。日本は昨年末にアラブ首長国連邦(UAE)アブダビ首長国の原発プロジェクトで韓国に敗れ、ベトナムでの第1期工事もロシアが受注する方向となっている。

 2.27日、政府は今夏をめどに、東京電力など民間企業と共同で、海外の原子力発電の事業化調査を請け負う新会社を設立する。日本の電力会社やメーカーの受注につなげるのが狙い。ベトナムの開発案件受注を念頭に政府は近く、原発機器の輸出を可能にする協力協定の交渉に入る。国際的な受注競争の激化に対応し、官民連携を強める。

 新会社には電力からは東京電力や関西電力、原発メーカーから東芝や日立製作所、三菱重工業などが出資する見込み。ほかに原発の部品メーカーなども参加する可能性がある。政府は官民ファンド、産業革新機構を通じた出資を検討する。新会社の規模は今後詰める。新会社は今年前半にも設立し、主に原発を建設するための地質構造や周辺環境への影響などの調査を手掛ける。日本の電力会社、メーカーによる受注に向けた橋渡し役になる。具体的には、ベトナム南部で計画される第2期工事の受注を目指す。

 3.2日、日本とカザフスタン両政府は原子力協力協定に署名した。岡田克也外相とカザフのカマルディノフ駐日大使が都内で署名した。両国の議会で批准次第、発効する。カザフはウランの埋蔵量が世界2位で、日本政府はウランの安定供給につながると期待している。原子力発電の燃料となるウランを煩雑な手続きなしに日本に輸出できるほか、日本は原発関連の技術や機器がカザフに輸出できるようになる。カザフは日本にとって同協定の署名はカザフが9カ国・地域目となる、とある。

 3.5日、参院予算委員会で自民党の加納時男氏が原子力政策の基本方針をたずねたのに対し、鳩山首相は「原子力はCO2(削減)に関しては優等生だ。推進すべきだ」、「世界に向けて原子力産業を売り込むのは重要だ」と答弁。直嶋正行経済産業相も「エネルギーの安定供給のため原発は不可欠だ。推進したい」と同調した。小沢環境相も「原発の稼働率を上げていく」とした。社民党党首の福島瑞穂少子化・消費者担当相は、「社民党は『脱原子力』だ。再生可能、新エネルギーを開発すべきだ」と強調し、原子力発電推進に慎重な立場を示した。加納氏が「内閣の(原発容認の)方針を認めるのか」と詰め寄ると、福島氏は「社民党単独政権ではないので(原子力利用は)認めている」と述べ、かろうじて追及をかわした。

 福島氏は同委員会に先立ち、国会内で平野官房長官に会い、温暖化対策の基本方針を定める地球温暖化対策基本法案(仮称)に「原子力発電の推進」を盛り込まないよう要求した。社民党の要求の影響もあり、同法案は予定していた5日の閣議決定を週明けに先送りする事態となっている。参院で与党会派が社民党抜きで過半数を占めたことで、民主党内からは「福島氏は閣内から去るべきだ」と反発の声も漏れている。






(私論.私見)