島根原発訴訟

 更新日/2023(平成31.5.1栄和改元/栄和5).1.19日

 (れんだいこのショートメッセージ)
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 2020(平成31→5.1栄和改元/栄和2).1.19日  れんだいこ拝



 島根原発の再稼働を止められるかどうかの天王山は、広島高裁松江支部に係属している運転差し止めの仮処分の帰趨である。美しい宍道湖、中海が放射能汚染されたらしじみやのどぐろはどうなる。県庁所在地にあり、10キロ圏に国宝松江城、30キロ圏には出雲大社が位置する。島根原発の再稼働を許すな。
 (Yuichi Kaido
 1 島根原発をめぐる裁判  

 今日26日は松江の裁判所で島根原発の裁判でした。島根原発で再稼働がスケジュールに乗っているのは島根二号炉です。島根一号・二号炉に関する訴訟は、地裁で住民が敗訴し、広島高裁松江支部で控訴審で争われています。建設途中の三号炉については松江地裁に裁判が係属しています。今日は、三つの裁判がありました。

 2 3つの裁判

 午前10時30分から島根一号・二号炉に関する訴訟の本訴について広島高裁松江支部の進行協議期日、島根一号・二号炉に関する仮処分事件についての広島高裁松江支部の審尋期日。このふたつは同じ裁判体(松谷佳樹裁判長)が審理しています。 仮処分は地裁に申し立てるものと思われると思いますが、この事件は本訴が高裁に係属しているため、同じ裁判所が本訴も仮処分も判断することとなっています。 午後は14時から島根三号炉に関する本訴の口頭弁論期日 の三つでした。

 3 なぜ3号炉の裁判が進まないのか

 裁判終了後には、記者会見と、住民の皆さんへの説明が行われました。住民の皆さんは、公開法廷の傍聴はできたのですが、島根一号・二号炉の裁判手続きは、非公開でしたので、仮処分についてのやり取りなどはよく理解できなかったかもしれませんので、ここで少し説明しておきます。 島根3号炉をめぐる裁判は、国による変更許可が出されていないため、中国電力は中味に入った主張をしないし、国は、安全審査基準に関する全国共通の準備書面を出しているだけで、裁判は、全く進んでいないように見えます。 しかし、それは安全審査の段階からして当然ことでなのです。  

 4 島根原発二号炉の再稼働を止められるかどうかは、この仮処分の帰趨にかかっている

 今日は仮処分の審尋でした。中国電力からは私たちの申立に対する答弁書と主張書面1が提出されました。次回の審尋は9月25日の午後1時半からとなりました。 双方が1時間半ずつ、主張をプレゼンすることになります。 このようなセッションは、これから何度か応酬が続くと思います。

 仮処分という制度は、公開の法廷で審理されない、証人尋問なども実施されない、「仮」のものですが、運転差し止めが命じられると、高浜原発や伊方原発などの例を見てもわかるように、現実に原発の運転を止めることができるのです。 このように仮処分手続きの審理方法には制約がありますが、専門家の意見書を提出したり、弁護士や専門家が尋問ではなく、説明=プレゼンをするなどの工夫をすれば、裁判所に理解を助けることができ、このような方式の審理が定着しています。裁判所が熱心に質問してくれた事件では、住民側に有利な判断が示される傾向があると私は思います。 このやり方が、最初に行われたのが、もんじゅ訴訟の名古屋高裁金沢支部の控訴審でした。 私は、裁判官が疑問点をフランクに当事者に問いただす環境としては、マスメディアが傍聴していない非公開の審理の場は、優れた部分を見っていると思います。 そして、広島高裁松江支部の裁判官は、少なくとも、公平に裁判をすすめようとしているように見えました。 迫る島根原発二号炉の再稼働を止められるかどうかは、この仮処分の帰趨にかかっているということになるのです。

 5 仮処分の争点はわかりやすい5点に絞った

 仮処分の争点は、1、司法判断の枠組み。2、基準地震動を超える地震が起こる可能性があること。3、敷地のすぐ近くに活断層があり、地震による地盤の変状に耐えられない可能性があること。4、本州に位置する数少ないカルデラ活火山である三瓶山の大噴火時の降灰厚さ★センチに達すると想定される火山灰に対して、原子炉の燃料プールの冷却を維持することが困難であること。5、東海第二原発に次ぐ、人口密集地に位置し、10キロ圏に松江城、30キロ圏に出雲大社が位置する状況で、実効性のある避難計画を立てることが不可能であることの五点を争点にしています。いずれも、普通の裁判官が、簡単に理解できるように簡明な争点を選びました。

 6 政府が、原発推進にのめり込む中で、次なる重大事故を防ぐために、司法に求められる役割

 いま、ウクライナにおける戦争、電力の供給の不安定化、地球温暖化対策などを理由に、岸田政権は、歴代の政権が維持してきた、原発依存度の低下、原発の寿命を原発の寿命を40/60年に限定するという、なだらかな脱原発政策を反故にし、原発の新増設、原発寿命規定の無効化、次世代革新炉としてのナトリウム高速炉の日米共同開発、などを内容とする、異常ともいえる原発回帰の政策転換が原発GX関連法の制定として強行されました。そして、福島原発事故の最大の教訓の一つというべき、原子力規制委員会の経済産業省からの独立性までが、事実上否定されようとしています。まるで、福島原発事故などなかったかのような、集団的な忘却が起きているのです。 国の行政と国会の多数派が、福島原発事故の悲惨な事故によって日本国民が得た貴重な教訓を忘却しようとする中で、司法には、次なる重大原発事故を未然に防ぐという、極めて重い任務が課されていることを自覚してほしいと思います。






(私論.私見)