「放射線のレベルと危険度」考

 (最新見直し2015.12.14日)

 (れんだいこのショートメッセージ)
 ここで、「放射線のレベルと危険度」を確認しておく。

 2011.03.14日 れんだいこ拝


放射線のレベルと危険度
 「★阿修羅♪ > 原発・フッ素7」の虹の仙人氏の2011.3.14日付け投稿「放射線のレベルと危険度」を転載しておく。
 「~「1時間あたりのマイクロシーベルト」で判断 ~ 
 あなたの放射線環境 『危険度・超早見表』
参照
 「1時間あたりのマイクロシーベルト」でご自宅の環境を判断出来ます。
危険ゾーン  要注意ゾーン  安全ゾーン 
 短期 ⇒ 長期 の換算式

短期の判断
μSv/h

換算

長期の判断
mSv/年

『1年継続すると』・・どのような環境か?
800  8000 ★ほぼ全員が死亡
8Sv/年÷365日÷24時間=800μSv/年
400  4000 ★半数が死亡 4Sv/年
200  2000 ★深刻な被爆量 2Sv/年
50 500 ★血液を作る機能が低下
40 400 ★宇宙ステーション滞在
宇宙ステーションの宇宙飛行士が浴びる放射線は1mSv/日÷
24時間=40μSv/h
●福島県飯館村(事故直後3月15日)⇒44.7μSv/h
25 250
★福島第一原発事故に限って認められた放射線量 250mSv/年

★緊急時・生命維持活動限度(米) 250mSv/年

★白血球の減少 250mSV/年
●福島市(事故直後3月15日)⇒24.2μSv/h
●福島県飯館村(事故後1ヶ月)⇒20~25μSv/h
●福島県浪江町(事故後1ヶ月以上 4月19日)⇒21.8μSv/h ⇒19.8mSv/40日間
20~10 200~
100
★飛行機搭乗
200μSv(東京/ニューヨーク間の飛行機往復)÷
10-15時間=10~20μSv/h
●南相馬市(事故直後3月15日)(20μSv/h)
10
100 ★緊急時・原発従事者限度(日、米)100mSv/年
★発ガン確率の増加

=100mSv/年÷365日÷24=10μSv/h
国際放射線防護委員会
50 ★平常時・原発従事者限度(日、米)
年間の許容被爆量は50mSv/年(最大)÷365日×24時間=5μSv/h程

★避難指示の基準(日本)
事故直後 半径20km  50mSv/年

★児童の校庭利用制限基準(日本)
事故後4月19日発表 3.8μSv/h

●福島県飯館村(事故後1ヶ月以上4月19日)(4.61μSv/h)
20
★計画的避難区域の基準(日本)
事故後2011年4月11日発表
最大半径50km程度 20mSv/年

★ICRP(国際放射線防護委員会)勧告
原発従事者の被曝許容量
20mSv/年 以下
●福島市(事故後1ヵ月)(2-3μSv/h近辺) 半径50km
10
★屋内退避(日本)
事故直後 半径30km 50-10mSv/年

★福島県・児童生徒の年間被曝許容量(4.14発表)読売新聞記事10mSv/年

★ブラジル・ガラパリでの自然界からの放射線10mSv/年
1~0.1
10~1
★300ベクレル飲食物 1kg/1日(放射線ヨウ素)
6.6μSv/日÷24時間=0.27μSv/h=2.7mSv/年

★自然界で浴びる放射線(世界平均)
食物、宇宙、大気、大地から2.4mSv/年
0~0.1 0~1 ★ICRP(国際放射線防護委員会)勧告
公衆の被曝許容量
1mSv/年 以下
通常時

 使用方

 1560マイクロシーベルトとあれば1.5ミリシーベルトとしてしまう。21マイクロシーベルト/h(時)を1回(急性)に照らして見るときは、仙人の独断的解釈で24時間(1日)をかけて計算する。21x24(h)=504マイクロシーベルトざっと0.5ミリシーベルトとする。年間はx8760(h)なので184ミリシーベルトとなる。下記のURLのグラフが張り付いてなければ、どなたか貼り付けて下さい。また、放射線障害はフリーラディカルによるので、ビタミンCが有効です。以上外部被曝、環境被曝に関する危険度です。内部被曝は対象外です。 取り急ぎ

 放射線のレベルと危険度 
 http://homepage3.nifty.com/anshin-kagaku/anshin_level.html

 放射線のレベルと危険度
 ( 解  説  )
 自然界には,地球の外からふりそそいでくる宇宙線、大地からのガンマ線、大気中のラドン、食物に含まれている放射性物質からの放射線などの自然放射線がある。人類は類人猿からわかれた数百万年前よりこのような自然放射線の中で暮らしながら進化してきた。放射線の量(線量)は地域的にかなりの差がある。年間線量は世界の平均では2.4ミリシーベルト、わが国では1.5ミリシーベルト程度である。ブラジルのガラバリ海岸の1部で大地からのガンマ線だけで175ミリシーベルト、市街地でも8?15ミリシーベルト、インドのケララ地域では平均3.8ミリシーベルトのところもある。しかし、このような高い線量の地域で生活している住民が他の地域で生活している住民と比較しても人体に悪い影響は認められていない。 

 科学技術が生活の中に溶け込むようになり、自然放射線以外に人工的な放射線も受けるようになった。その代表的なものは医療によるものである。医療エックス線の障害は最初に放射線科医に現れた。彼らのがん死亡率は一般臨床医の2倍に達した。しかし、国際放射線防護委員会が設立されてからは放射線科医の被ばく量は激減した。放射線医のがん死亡率は、最近では一般臨床医より低下し、人工放射線は適量あびるほうが健康に良いと言う結果が得られた。これらの調査結果から、年間30ミリシーベルト以下の人工放射線の被ばくは健康に悪い影響は起こらないということになる。従って、年間30ミリシーベルト以下を安心レベルと呼ぶ事にした。

 胃のエックス線集団検診では4ミリシーベルト、胸のエッツクス線検診では0.05ミリシーベルト、エッツクス線CTによる検査では40ミリシーベルトの放射線を局部に受ける。これらの値は1回に受ける線量で、検診及び検査の回数を増せば線量は増える。このような医療による放射線は自然放射線に加算されて受ける事になる。1回に500ミリシーベルト以下の放射線を受けても、ほとんど臨床的症状は起こらない。しかし、自然放射線の最高値に近い30ミリシーベルトを超える場合には、リスクは高まるかもしれない。そこで、30?500ミリシーベルトの範囲を注意レベルとした。

 500ミリシーベルト以上の線量では急性か慢性かによって異なるが、いろいろな種類の臨床的症状があらわれる。また、発がん等の健康影響が統計的に明らかになる線量域でもある。これは個人にとって受け入れる事が出来ない線量であるので、危険レベルとした。JCO事故で16.000?20.000ミリシーベルトを受けたO氏及び6.000?10.000ミリシーベルトを受けたS氏は死亡したが,1.000?4.500ミリシーベルトを受けたY氏はたすかった。5.000ミリシーベルト以上の放射線を受けると死亡する危険が急増する。多量の放射線をうけると危険であるが、年間30ミリシーベルト以下の放射線を受けても健康に悪い影響は起こらないので、このような線量の放射線を例え受けたとしても心配する必要はない。

 レ ベ ル 年間線量(mSv) 人体に対する影響
 安心レベル   30以下    悪い影響は起こらないので安心である。
 注意レベル  30~500    悪い影響があらわれる可能性がある
 危険レベル   500以上    臨床的症状があらわれる


【川島隆太教授講演会講演録】
 「★阿修羅♪ > カルト11」の会員番号4153番氏の2013.6.13日付投稿「福島原発事故による放射能汚染とどう付き合うべきか?」(「川島隆太教授講演会講演録」)は氏独特の奇妙な話法満載であるが、放射能絡みの知識を得ることができるので適宜にコメントしながら転載しておく。

 「放射能に関してメディアの報道が過敏すぎているといいますか、偏りすぎています。私達の放射能の防護の知識からすると、メディアの言っていることはおそらく皆さんを不安にさせたいだけです。それでメディアに注目を集めたいだけで、人々の幸せのことを一つも考えていません。メディアに登場する専門家と称する学者たちに対してひどい憎しみを感じています。我々のことを、どうなってもいいと思っているとしか思えないというふうに考えています」。

 川島隆太教授講演会講演録

 ●そもそも放射線って何?

 まず放射線とは何か、放射能とは何かという話をします。放射線というのは目に見えないから怖いと言われます。実は、放射線は光の仲間です。太陽から届く光の中でも、例えば紫外線と放射線のエックス線というのはほとんど区別がつきません。ほとんど親戚みたいなものです。さらに遠い親戚を見ていくと電波です。テレビやラジオ、電子レンジで使っている電波、これも全部親戚で、仲間内です。ただ、エネルギーが尐しずつ違ってきている。放射線はエネルギーが強いということで問題視されていますが、いずれも我々の体に何らかの影響を与えます。

 ●原発事故で問題となる放射能

 放射能というのは、放射線を出す能力を意味します。放射能から放射線が飛んできます。この放射線を飛び出させる放射能については、今回の原発事故では3つ知っていればお釣りがきます。1つ目はヨウ素131、もう1つは有名なセシウム、もう1つはストロンチウム、この3つです。

 この中で、最初の問題になったのがヨウ素です。ヨウ素の半減期が8日と書いてありますが、半減期とは何かというと、例えば放射能の量がもともと100だった時にこれが50に減るまでにどれぐらい時間がかかるか、ということを示しています。ですから、ヨウ素は8日たつと半分、16日たつと4分の1、24日たつと8分の1になっていくというふうに考えてください。もう約10カ月たちましたから、ここには原発から出たヨウ素はありません。全くない。ですので、このヨウ素の放射能を心配する必要はありません。逆に考えると、もし新聞やテレビで宮城県や福島県からヨウ素131が出ましたと言われたら、我々は東電と政府をギッっと睨み付けなくてはいけません。要は漏れている、ということです。漏れ続けなくてはヨウ素というのは飛んでこないというふうに考えてください。現状では、東北大学の測定でもヨウ素は測れていませんから漏れてはいないでしょう。

 続いてセシウムですが、今、セシウムが話題です。何が、根が深いかというと半減期が約30年ですので、30年たたないと半分にならない。ということは1年や2年ではずっとそこに同じだけあるのです。だから怖い、ということがあります。ただ、セシウムにはもう1つ面白い性質があります。これは体内被ばくに関する話なのですが、生物学的半減期と呼ばれているものがあります。体の中に入ったときにどれぐらい体の中にいるかということが測定されています。セシウムは怖い怖いと言いますが、なんと70日で半分が体から出て行きます。どこから出て行くかというと排泄物として出て行きます。ですので、1年もたてば体の中にあるセシウムはなくなってくれる。30年も体の中にいるというのは大嘘です。居続けられないのです。どんどん出て行ってしまいます。

 一方、メディアがあまり話をしないので私もちょっと不安なのですが、ストロンチウムという物質があります。これは半減期が約29年でセシウムと一緒ですが、体の中に入ると消えません。骨にひっつきます。ですから、これの内部被ばくをすると骨にずっとストロンチウムがいて放射線を出し続けるということになります。メディアはなかなかこれについて触れませんが、実測値はそんなに高くないということがわかっています。セシウムの方がかなり多いという現状ではありますが、ストロンチウムも出ています。どちらかというと内部被ばくを考えるとストロンチウムの方が要注意になってきます。

 ●原発事故で主に問題となる放射線

 放射線はベータ線、ガンマ線という2つが問題になってきます。これはあまり詳しく話しをすると混乱するのであまりふれませんが、この2種類が放射能から出てくると思ってください。そのうちベータ線と呼ばれているもの、これはすぐ止まります。例えばアルミ箔1枚でベータ線をストップすることができます。ですから、家の外にある放射能からベータ線が家の中に飛んでくることは100%ありません。放射能に手をふれたり体にふれたりしないかぎり、その放射線はぶつかってこない。かつ、皮膚で止まりますので体の中を放射能が傷付けることはありません。

 一方、ガンマ線と呼ばれているものがあります。これは理論上どこまででも飛びます。ここに放射能があって、ピッと出すと宇宙の果てまで理論上は飛んでいきます。これは分厚い鉛でも止めることが出来ません。ですから、家の外にある放射能から出てきたガンマ線は家を通り抜けて宇宙の果てまで実は飛んでいきます。我々の体も全部通り抜けてどこかに飛んでいくという種類です。

 ●シーベルトにベクレル??

 放射能の報道でずいぶん有名になりましたが、シーベルトにベクレルという話があります。最初の頃はずいぶん混乱されたのではないでしょうか。今でもシーベルトでものを言う時と、ベクレルでものを言う時があります。ベクレルからいきましょう。
ベクレルとは、放射能から放射線がどのくらい出てきているかをベクレルといいます。お肉が何ベクレル放射能を持っていましたということはお肉の中からどれだけ放射線が出てくるか、という放射線の量を示しています。

 一方、シーベルトの方が我々にとって重要かもしれません。このシーベルトというのは、出てきた放射線で我々の体がどれだけ傷つくかという事を数値化しています。ですから、例えばどこかに1万ベクレルあってもそこから距離をとっていれば放射線はほとんど飛んでこないので、10キロ先の1万ベクレルのものは、0シーベルト。でも自分の体にくっついてしまった1ベクレルのものというのは、何シーベルトかの影響を体に与えます。ですから、何マイクロシーベルトという方を主に気にしてください。

 ●外部被ばくと内部被ばく

 外部被ばく、内部被ばくという言葉もよく出てきます。これは言葉の通りです。外部被ばくというのは、体の外に放射能があります。内部被ばくは呼吸や食べ物で体の中に放射能が入ってしまいました、という違いです。どういう影響の違いがあるかというと、ガンマ線に関しては何の違いも有りません。置かれたものをピュッと通りすぎてしまいます。中にあろうと外にあろうとガンマ線の影響は全部一緒です。

 一方、内部被ばくに関して問題になるのは、2点あります。その一、放射能の種類によっては体のある場所に集まりやすい性質をしています。例えば、ヨウ素は甲状腺で喉、ストロンチウムはさっき言った骨です。そこに集まりやすい性質をしているので、そこの放射線量が高くなるという心配があります。

 その二、ベータ線は体の外にあると皮膚を焼くだけで終わります。体の中に影響は与えません。でも体の中にあるとベータ線は、皮膚がないですから内臓を直接傷つける心配があるという違いがあります。内部被ばくの方がちょっと危ないというのは、ある場所に集まるということとベータ線の影響も受けるということで、ちょっと危ないという風に言われています。

 ●ベクレルとシーベルトの換算

 その内部被ばくの危なさをどう計算するかというと、計算式があります。この計算式を知ると結構面白いことがわかります。この計算式では、まずどれだけ食べたかということ、その中に放射能がどれだけあるかということが頭にきます。これがベクレルです。牛肉の中に何ベクレルあった、牛乳の中に何ベクレルあったという値があります。それをどれ位飲んだか食べたか、一口飲んだのと浴びるほど飲んだのではまったく意味が違います。ベクレルの方は大体1キロ当たり何ベクレルありますという情報が出ますし、それを我々は一回もしくは一日何キロ食べるかという計算をします。

 さらにここに換算係数というのがあって、この掛け算をして最終的に何シーベルトの影響を受けますという計算が行われます。どれだけの放射能があってどれだけ食べて、それにある換算係数を掛けたのが答え、体を傷つけるシーベルトになります。

 この換算係数ですが、例えばヨウ素131は乳幼児が0.18、幼児も0.18、成人は0.022です。何を意味しているか?要は成人よりも乳幼児の方が、10倍影響が強いですということを意味しています。子どもの方が危ないと言われている理由はここにあります。子どもの方が傷つきやすい、ヨウ素に関しては子どもの方が傷つきやすい、10倍危ないです。

 今、我々の身近に最もあるのはセシウムです。セシウムの換算係数は乳児が0.02、幼児は0.01、二歳から上の子どもは0.0096、大人は0.013ということは、乳児は大人よりも1.5倍~2倍位影響があるのですが、それ以降の子どもたちは大人より影響が尐ないです。子どもの方が危ないというのは嘘です。大人の方が危ないです。

 なぜかというと子どもの方が、代謝が高いので体の中に入ってきても排泄物と一緒に出ていってしまうのです。我々大人は代謝がちょっと鈍いので体の中にすこし長くセシウムを抱えています。そういう意味では子どもの方が危なくありません。一方、メディアが報道しないストロンチウム。これは乳児が0.245、幼児が0.131、成人は0.028、大人の10倍小さい子どもが危ないのです。

 ●年齢別の放射能の影響

 危ない放射能は何かというと、ヨウ素とストロンチウムであるということが見えてきます。グラフにして直感的にわかりやすくしたのがこれでヨウ素が青です。大人への影響がこれだけだとすると、子どもはこれだけあるし乳幼児はこれだけあります。セシウムに関して言うと、大人も子どももほとんど変わりがありません。子どもの方が危ないという図式はありません。ストロンチウムも大人がこれだけだとすると、子ども、幼児、乳児と小さくなるほど影響が強く出ますという事が見えてきます。これでセシウム以外は子どもたちの方が、影響が強いということが科学的に判っているということがまず見えてきます。
 ●放射線を浴びるとどうなるか

 何が怖いでしょう?放射線を浴びて我々に何が起こるのかということですが、
放射線を大量に浴びると、例えば脳の細胞が死んだり、腸の細胞が死んだりして、ひどいときには即死しますし、腸がやられるとだいたい一週間位で死にます。原爆の後に人が亡くなったのはそれです。大量に浴びた事による影響です。

 ●放射線被ばくにより何が起こるか?

 ただこの影響を皆さんがこうむる事は幸いにしてありません。一発で100ミリシーベルト以上を浴びないとこの影響は出てきません。でも、ほんの少しでも放射線を浴びるとその浴びた量に相関して遺伝子が壊れるということをみんなが心配しています。体の細胞の中に遺伝子というものがあって、その遺伝子をガンマ線が突き抜けると遺伝子を作っているタンパク質を弾き飛ばしてしまい、間違った遺伝子が偶然にできてしまう。それは、放射線を浴びる量によって相関的に増えていくということが予想され、だから尐量でも危ないと考える人たちがいるわけです。

 遺伝子が壊れると何が起こるかというと、実は私たちの体はそんな馬鹿じゃないので、ほとんど治します。正常な細胞にほとんど治しきってしまいます。ただどうしてもミスが起こります。治しきれない物が出てきます。治しきれないものはどうなるかというと、遺伝子の中におかしいものは自殺しろという命令が書いてある場所があり、治しきれない物のほとんどは自殺します。

 でも自殺しろという命令を出している所まで壊れていたらどうなるか?偶然残ったらどうなるか?異常な細胞になります。いわゆる、ガン細胞を作り出す可能性が出てきます。ガン細胞ができたら、すぐみんなガンになるかというとそうでもありません。実際には今度は、免疫細胞が出動してきて、その異常なガン細胞を、プチプチと潰してくれて、排泄物として体の外に出してくれます。

 でもそれでも潰しきれない、頑固なやつらがたまに出てくる。それが増殖すると、ガンになります。これがどれ位の割合で、ここに落ちてくるのかということが、非常に重要な問題なわけです。実際に、例えばみなさんがお日様を浴びたりとか、排気ガス吸ったりだとか、それだけでガン細胞は体の中にできています。毎日、約5,000個ガン細胞ができていることがわかっています。

 でも多くの方が、ガンにならない。日本人の30%の方がガンになりますが、残りの70%の方がガンにならないのは、要は一日5,000個ガン細胞ができても、潰してそのガンとして塊を作るまでに育たないからならないのです。ですからガンになるというのも、なかなか時間もかかるし大変なことではあります。ほとんどは、潰しきるということは判っています。では、どの位リスクがあるかということが大事なのですが、先ほど言った放射線を浴びる量によっておそらくリスクは変わるだろうという風に科学者は想定しています。ただ、現状の科学で判っていることは、100ミリシーベルト以上を一発で浴びる、細切れではなくて一度にドカーンと100ミリ浴びる。ただ普通は、それはできません。

 ●確定的影響とは

 100ミリ以下、今心配しているのは年間1ミリ以下の所を心配しているのですけれども、ここでは何が起こりえるかといいますと、ガンになる可能性が増えるだろうと予測されています。ただし、実際にこれまでの私達人類が持っている非常に多くの知識の中では、ガンの確率が増えていくのは100ミリシーベルト一発で浴びた時以上だということが硬いデータとしてあります。

 ●確率的影響とは

 それ以下の場合、ここの場合は実はガンの自然発生率の方が、よほど大きいので数値に表れないのです。ですから数値として見えてきません。科学的には、ですからここから下は推測でしかないのです。どう推測しているかというと0なら0だ。100以上だと0.5%ガンになる確率が増えていくということがわかっているので、100だと0.5%増えるとしよう。それで0なら0だからもうこの際データがどこにもないので、科学的に正しいかどうかは判らないが、直線的に割り振ってしまいましょうという風にしてリスクを計算しています。

 ですから、100ミリシーベルト、一発だったら、0.5%ガンになる確率が増えるという事だけが科学的な事実です。それ以下に関してはその知ったような事を言う人は全員嘘つきです。データは一つもありません。ですから推測値になります。

 ●電離放射線障害防止規則による規制

 この規制値というのが実は法律で決まっています。これはそれぞれ今まで、人間が放射能と付き合ってきた経験からこのぐらいだったら、まずまず何とか許せるでしょうという線です。皆様方一般人は年間1ミリシーベルトまでというのはご存知のとおりです。私たちは放射線科医でもありますが、放射線科医は年に50ミリシーベルトまで浴びていいです、というふうになっています。皆様方は1ミリシーベルトですが、我々医者は年に50ミリシーベルト浴びて、尐なくとも60歳まで仕事続けられるというふうに国はすでに判断している。法律で決まっているのです。女性であっても3カ月に5ミリシーベルトまで浴びていいですということになっている。たとえ妊娠していても9カ月の間に2ミリシーベルトまで浴びても大丈夫ですということが法律で決まっているのです。

 我々も皆さんと同じ人間ですから、同じようにリスクがあります。ガンになります。医療関係者がみんなガンになって死んでしまったら、医療は潰れます。そういう意味では、実は1ミリシーベルトまで、普段放射線を扱わない人は1ミリシ-ベルトまでといっていますが、多分科学的には年50ミリシーベルトまでなら目を半分くらいつむれるでしょう。尐なくとも年に5ミリシーベルトとか、10ミリシーベルトとか全然どうでもいいのではないかということを考えながら法律は出来ている。しかし、判らないからとりあえず危ないものは危ないとしておきましょうというのが現状です。

 ●どのくらい放射能がばら撒かれたのか?

 今回原発の事故ではどれ位放射能が出たのかというと、これは例えば仙台市では3月17日の時点で空間には0.25マイクロシーベルト位の放射能があります。それが青の線のように減ってきている。一方これが全部ヨウ素だったらどうなるかということを計算したのがこの赤の線なのですが、原発から出たのが全部ヨウ素だったら、ひゅっと無くなって今頃はもう全然無いはずなのですが、ずっとだらだら続いているということは、セシウムもしくはストロンチウムがあるという事を示しています。それだけです。

 ●ちなみに福島原発事故当初の環境放射能の動き(千葉市のデータ)

 一つ非常に面白いのが、宮城県や福島県の放射能モニターは地震と停電の影響で実は原発が爆発した頃のデータがありません。一方、離れた千葉県のあたりではちゃんと稼動していたのです。千葉県千葉市の環境放射能の動きをみると面白いことがわかります。3月11日で最初の水素爆発が起こり、爆発して高いところに跳ね上がって一時的にひゅっと上がる。ところがずんと下がります、空気中の放射能が。一方、ここからぐっと上がってそのまま高いレベルになります。

 ここで何があったかというと、雤が降ったのです。要はこの3月21日までは、実は本格的な雤が無かったので原発から吐き出された放射能が、風に乗って、空気中をあっちへ行ったりこっちへ行ったりしていました。これが、雤が降ったおかげでやっと地面に落ちて木の葉っぱにくっつき、地面にくっつき、屋根にくっつき、そしてそのままの状態でいます。ということを、このデータは意味しています。ですから、今私たちが測ることができる放射能は空中で測っていますが、空気中に放射能はありません。もしくは、あったとすれば土が巻き上げられてその土を測っているだけです。

 ほとんどのセシウムなどは、一つは屋根の上、雤によって屋根に引っ付いています。多くは木の葉っぱにくっついています。それから地べた地面にくっついています。地面にくっついた後に深くはあまり入っていきません。実は、表面にずっと残っているということが判っています。ですので、例えば乾燥して土の表面が飛べば、それと一緒にセシウムは飛びます。

 それから、冬になって落ち葉がわーと落ちました。落ち葉はセシウムがいっぱいくっついています。それがどんどんどこかに吹かれて集まってくると、そこは高濃度の放射能があるというふうに測れます。

  ドブとか谷間の線量が高いのは、主に落ち葉や泥がそこに集まったので高いのです。除染をするのであれば、実は壁をきれいにしたり、屋根をきれいにしたりするよりも、この時期一番いいのは落ち葉を何とかするということですが、これも困ったことに落ち葉はもう放射能だらけだということはわかっているのです。それを焼却場に持っていって焼くと焼却灰は落ち葉などよりもよほど濃い放射線が集められるということにはなります。それをどうするかは国の問題ですが、私は原発の敷地内に持っていって埋めてもらうのが一番だと思います。もともとたくさんあるわけですし、彼らが出したものですから。

 ●測定する場所によって放射線量は変わる

 実際にご自身で放射線のモニターを買って自治体の発表、例えば角田市の発表とうちのデータが違うといって怒る人がいますが、放射線量は測り方によって違います。放射能から放射線は360度ばらばらに適当な方向に飛び散ります。どこかに狙っていくわけではありません。いろいろな方向に飛びます。ですから例えば、近くで測ったときと遠くで測ったときでは、もちろん測る装置の面積は決まっていますから、その装置の中を通る放射線の量もまったく違います。何となく感覚でわかりますね。

 いろいろな方向に出てくるわけですから、近くで測ればたくさんこの中を放射線が通りますし、遠くで測れば拡散しますから尐ししか測れないわけです。ですから、1メートルの距離で測ったものと10センチの距離で測ったものとでは、全然意味が違ってきます。距離の二乗に反比例するということが科学でわかっています。ですから、ここで測ったデータが0.01ミリシーベルトで、こちらで測ったデータが0.5ミリシーベルトであっても、何ら不思議はないわけです。

 そこを皆さんご存知ないので、その大本営の発表は1メートルで測っているのに、うちの庭を10センチで測ったら全然高い。国は嘘ついているというふうにおっしゃるのですが、嘘ついているのでもなんでもない。測定方法が違うだけの話です。

 ですから、いま基準としているのは、1メートルの距離で測るのが全国大体の基準にしているか、違う距離で測っている場合は1メートルで測ったらどうなるという数値が新聞などでは発表されています。我々も大学で測っていますが、新聞の発表とそんなに大きな差はないので、恣意的に自治体がデータを隠すということはなさそうです。自治体が嘘をつく必要はないので自治体から出ているデータというのは信じて間違いないでしょう。

 ●放射能は危険なレベルか?

 どれぐらいの放射能が今我々のもとにあるかという話です。それを世界の各都市の自然の放射能と福島県、宮城県と並べてみます。例えばイランのラムサールとかブラジル、ここはものすごく高いと世界的に有名ですが、ここに住んでいる人の発ガン率はすごく低いです。この放射線はどこから出ているかというと岩からバンバン出ています。

 例えば玉川温泉という温泉があります。なぜ皆さんがあそこに行くかというと、あの岩盤から放射線がバンバン出ていて、その放射線を浴びに皆さん行くのです。それによって免疫機能が高まってガンが治るということが民間で言われていて皆さん浴びに行くわけです。角田市はこれです。宮城県内では丸森町の次に高いですが、香港とほぼ同じです。皆さん角田から逃げようという方がいらっしゃると聞いたのですが、その方がそうだと香港の方みんな他に逃げなければいけなくなります。

 ヨーロッパで有名なローマ、全然高いです。ですから、私たちがすごくナーバスになっている放射線の、今我々身の回りにある量はその程度です。いいですか。普段もっともっと浴びている人たちが、例えばローマといっても大都市にいらっしゃって、彼らは皆知っています。テレビ番組でもローマ市民をつかまえて、あなた福島より高いと言われてもしょうがないというインタビューをしてきたものがありますが、その程度の放射能が今ここにあります。

 ローマよりよっぽど低い、香港並みの環境に我々は住んでいて、住めないじゃないかと心配をしているのが現状です。これがまず科学的な事実です。ただ、もちろん落ち葉が集まっているところや濃くなっている場所はあります。ですから平均的に言うとそんなものだということです。

 普通の人が普通に8時間程度仕事をしてその家に住んでいた時にどれだけ被ばくするかということの換算式は、県のホームページで東北大の医学部を中心に式をつくりました。皆さん自分たちでも見てみてください。それで計算すると仙台市で年間約200マイクロシーベルトぐらい浴びそうです。角田市で普通に暮らしている人は650マイクロシーベルトぐらい一年間に浴びそうです。国の規制値は1ミリシーベルトですから現状でいうと国の規制値以下しかありません。

 他に何か比べるものないかと思って調べたのですが、例えば飛行機に乗ると飛行機は非常に高いとこを飛びますが、空気は放射能を守る非常に強い役割があります。空気がないと我々は太陽から来る放射線でみんな死に絶えます。みんな遺伝子があっという間に壊されてしまうのですが、我々が生きていられるのは空気の層があるからで、その空気の層の薄い所を飛ぶので、例えば東京からニューヨークを1往復すると約180マイクロシーベルトぐらい被ばくができてしまいます。

 ぼくは年に5回ぐらい海外出張するので、そういう意味では皆さんが1年に浴びるぐらいの量は常に余計に浴びて暮らしています。ビジネスマンは年に20回30回ぐらい海外に行く人がいますが、彼らがガンになって死に絶えているかということを考えてもらうとわかりやすいかもしれません。その程度の量です。

 これを、ほかのリスクと比較してみましょう。角田の人で言うと年に0.6ミリシーベルト浴びるかもしれないということで心配しています。例えば、皆さんが放射能に汚染された野菜が危ないと思い野菜を食べないようにしたらどうなるか。野菜を食べないという影響が年間にして100から200ミリシーベルト被ばくしているのと同じくらい発ガンの確率が高まります。我々0.6ミリシーベルトの心配をしていますが、野菜を食べる量が減ると100から200ミリシーベルト放射能を浴びたのと同じだけ発ガン確率が高まります。

 ご自宅で煙草吸う人と暮らしている方はもう環境放射能の心配をしてもしょうがないです。受動喫煙だけで100から200ミリシーベルト浴びているのと同じだけガンになる確率があります。それにプラス0.6ミリシーベルト分加わって何か見えてくるかといえば何も見えないでしょう。太りすぎの方、やせすぎの方、しょっぱい食べ物が好きな方、200から500ミリシーベルト浴びたのと同じぐらいガンになる確率があります。今、皆さんは0.6ミリシーベルトの心配をしています。

 お酒を毎日2合飲まれる方、積極的に除染活動に関わってください。500から1,000ミリシーベルト浴びているのと同じぐらいガンになりやすくなっています。除染活動して1ミリ2ミリシーベルト浴びてもガンになる確率は動きません。もうすでにかなりガンになる確率が高いところにさらに上乗せというのはほとんどないです。煙草吸われている方、1,000から2,000ミリシーベルト浴びているのと同じぐらいガンになる確率が高いです。ですから煙草吸っている人が放射能怖いと言う資格はいっさいありません。煙草の方がずっと怖いのです。

 ガンになるという出口で考えると煙草とか酒のほうがよっぽど怖い。煙草の煙、アルコールそれから紫外線太陽の光、これは発ガンするということがわかっています。明らかにガンになります。その次にガンになる可能性が高いのが排ガスです。それで、今私たちが心配しているものはどれぐらいのリスクかというと、コーヒーを飲んだり、携帯電話を使ったりしているときのガンになる確率と同じか、それよりも低いところで大騒ぎをしています。

 ●内部被ばくは怖い!?

 内部被ばくは怖いという専門家の方がいらっしゃいます。特にはヨウ素が甲状腺に溜まって甲状腺ガンになると盛んに言われています。実際にチェルノブイリの周囲では子どもの甲状腺ガンがたくさん増えたということで、丸森でも福島でもその甲状腺の調査を一生懸命おこないました。ただ、マスコミが口を閉じている事実があります。大人が甲状腺ガンになった例はありません。チェルノブイリ周囲で大人は甲状腺ガンになっていません。増えていません。

 それからヨウ素剤を飲んだ地域では小児の甲状腺ガンも増えていません。これは雑学ですがヨウ素剤は、ちゃんとしたタイミングで飲まないと駄目です。適当に飲むとかえって甲状腺がヨウ素を取り込むようになって被害が広がるというのがわかっています。

 もう一つこれがとても重要ですが、甲状腺ガンが多発した地域はきわめて特殊な地域のみです。これは土の中にヨウ素がほとんどないというきわめて特殊な環境にいた子どもたちが甲状腺ガンになっています。甲状腺というのはヨウ素を取り込んでホルモンを作ります。その地域の子どもたちは食べ物でヨウ素をほとんど取れないので外からヨウ素が入ってくると積極的に甲状腺に集めてしまいます。そこの地域の子たちが甲状腺ガンになってしまいました。

 一方、我々日本人は海に囲まれていますから海草を食べなくても、土壌にたくさんヨウ素が含まれていますので、普段食事をしている人は、甲状腺はヨウ素で満たされています。ということで、日本とは環境のまったく違うところでガンが多発しました。もう1つは今更慌ててもしょうがないです。ガンがでてくるのは5年10年もっと後ろですから心配をしてもしょうがありません。

 それよりもちょっと怖いのは、私はストロンチウムだと思っています。子どもへの影響が強くてなぜかメディアが騒ぐ割には報道してくれなくて、これが世の中にたくさんあったとすると結構深刻だというふうに思っていますが、現状で測定した報告例では割りと尐ないというのが言われているので安心かとは思っています。けれど、ストロンチウムはこれからも注意してください。

 セシウムに関してですが、よくメディアに言われていて牛乳の中にいくらあるとか、牛肉の中にいくらあるとかという話がありますが、セシウムの内部被ばくでガンになったという例は世界中ありません。これも覚えておいてください。理由は排泄物で全部出るからです。ガンを作ろうとたくさん長い間体の中にいることができないということです。食べ物にセシウムが入っているからといって怖がる必要は科学的には一切無いということが分かっています。

 ●メディアが伝えたがらない科学的事実 この道はいつか来た道!

 怖いものは怖いというのは分かります。しかし、本当にどれだけ怖いのかということについては、これもメディアが言いたがりませんが、私などの世代、今40代後半から60代ぐらいまでの方々、今以上に放射能に汚染された環境の中ですでに10数年暮らしています。1954年から1962年アメリカ、ロシア、イギリス、フランスが核実験を大気圏内でやってくれました。この後、大気圏内の核実験が禁止されて、日本もあわてて測定を始めたのがこの実験が終わって1963年、実験が華やかなころはこのデータが隠されているのか残っているのかわからないですが、手元にはありません。大気圏内で核実験を行ったので、福島原発とは比較にならない放射能が空気中に振り撒かれて、それが偏西風などに乗って世界中にばら撒かれました。

 実際にこれは新宿のデータですが、実験が終わったところで普段の一万倍の放射能が新宿にありました。さらに実験中はもっと高かったので、十万倍、百万倍高かったでしょう。今の放射能のレベルは4、5月の東京のレベルとあまり変わらないので、そういう意味では核実験が終わったレベル以下のところしかありません。ですので、人体実験は実は終わっています。我々はすでにこの時期にセシウムまみれの水を飲み、セシウムまみれの米を食べて、セシウムのプールで泳いで暮らしてきたわけです。というのは国民誰も知りませんでしたから。今の子たちはよほど恵まれています。除染、除染とやってくれますから。我々はその中でずっと暮らしてきました。

 それから、これはストロンチウムですけどこれも同じです。今のおそらく一万倍から十万倍ある中で私たちは暮らしてきました。

 もっと怖いことに、プルトニウムが劇毒だということを聞いたりしたと思いますが、プルトニウムはやっぱり実験終わった後でも千倍以上ありました。おそらく、実験中はもっと高いところに残念ながらありました。ですから実は、世の中プルトニウムまみれの、ストロンチウムまみれの、セシウムまみれの中で私たちは暮らしてきました。

 そして、その世代に発ガン率が高いかどうかということを医療統計で調べると、まだ若いということもあるのですが、他の世代と比べて発ガン率の上昇はありません。ですからそういう意味では、尐量の被ばくの影響を我々は知りません。

 実際、我々がどの位浴びたかというデータはありませんが、想像するに今の我々以上に浴びた世代の人たちの発ガン率が高くないというデータは、すでにもう計算的には出ていて、私が恐るるに足らないといっている一番の大きな根拠もここにあるのです。もう人体実験は終わっている。私たちが何を心配しなければいけないか、リスクは何か、どの程度のものかということを心配しなければいけません。

 まとめになりますが、ごく尐量の被ばくでガンになる確率だけを考えればいいというのがまず一つ。毛がぬけたり、脳が死んだり、腸が死んだりというのを考えても仕方がありません。ガンになる確率だけ心配すればいい。そしてガンになる確率がどれ位上がるかというと一度に10万マイクロシーベルト浴びると、人口の中で0.5パーセントの人がガンになっていきますという事だけが判っています。

 一度に皆さんはそんなに浴びません。年間に600マイクロシーベルトくらい浴びると計算されています。一度に10万マイクロシーベルト以上浴びた時にはガンになる確率が0.5パーセント増えます。こっちからまっすぐ線を下ろしていくと、何パーセント位になるかっていうことは計算で分かると思いますけど、角田の人口で直線的に0なら0というふうに計算していくと、角田市で今回の放射能の影響でガンが出る人数は1人以下だと思います。そして、ただ今言ったように何らかの影響があるということも科学者は否定してはいけない。ぼくも否定はしていません。ごくごくちょっぴりだけども影響はあるはあります。0ではありません。0ではないけれども、それがどれ位危ないかを考えながら暮らさないと損をします、というのがぼくの考えです。

 ●リスクは何であり、どの程度のものなのか?

 繰り返しになりますがストロンチウムは心配です。ですから、そのストロンチウムに関してはメディアの報道には注意してください。セシウム、セシウムと騒いでいる方々がいますがセシウムは心配してもしかたがありません。内部被ばくはほとんどしません。体から出ていきます。

 ●リスクの度合いは深刻か?

 
どれぐらいのリスクかという事を先ほどお見せしました。今の放射能の危なさは、煙草とかアルコールと比べたら目に見えないくらいの危なさしかないということを是非知っておいてください。ですから、活動家の方とかいらっしゃいますが放射能と騒ぐなら排気ガスを何とかしろ、それから煙草を人に吸わせるな、煙草の値段を一箱10,000円位にして、どうしても命を縮めても吸いたい人だけ吸って、それも周りに受動喫煙でガンになる迷惑をかけますから、隔離して周りにまったく煙がこないところで吸わせるという事をした方がよっぽど寿命が延びる。その方が、放射能の除染をするよりもよほど我々の命は延びます。

 アルコールを飲むなというとこれは暴動が起こるかも知れませんから飲みたい人は飲めばいいです。飲みたい人はリスクがあって飲んでいるということも知っておくといいでしょう。煙草を吸っている方、アルコールを飲んでいる方、それから年齢が50歳、60歳よりも上の方はすごく積極的に除染活動に参加してもらって問題ありません。ガンになるのに大人ですと20年から30年は最低かかりますから。まったく心配なさらずに、地元のものをバンバン消費して頂きたい。たくさん食べてもらってなんら問題ありません。皆さんの寿命に影響を与えません。どちらかというと産業を守るのは、もしかしたら中高年の人間が、どちらにしろ、風評被害で宮城県のもの福島のもの岩手のもの買ってもらえないですから、我々が内側でバンバン消費するしかないので、そういう意味ではその中高年の人は何のリスクもありませんから。特に煙草吸う人、アルコール摂取する人は完璧に0です。ですから、がんがん地元の野菜食ってがんがん地元の魚食ってバンバン地元の肉食って暮らしてください。

 それから若い人たちにとってもどれくらい怖いかというということが重要ですが、感覚としてはコーヒーを飲んだり、携帯電話を持ったりするのと同じかそれ以下だと思ってください。ですから、子どもが心配だ、自分がガンになるのが心配だという人が携帯電話持っていたら指差して笑えばいい。あなたちょっと違っているということです。大人の皆さんは、どちらかというと今の環境放射能がみなさんの寿命に与える影響は無いということをぜひぜひ知っておいてください。

 長生きしようと思ったら、禁煙、節酒、適度な運動、バランスの良い食事、これをしていただくのが一番です。このバランスを崩すとまずいです。何か食べてはいけない、飲んではいけない。水にセシウムが入っているから尐し水を飲むのをやめようなんていうと、あっという間に血管が詰まってパッともっていかれますから、そんなことは絶対しないでください。

(私論.私見)
 この「どれぐらいのリスクかという事を先ほどお見せしました。今の放射能の危なさは、煙草とかアルコールと比べたら目に見えないくらいの危なさしかないということを是非知っておいてください。ですから、活動家の方とかいらっしゃいますが放射能と騒ぐなら排気ガスを何とかしろ、それから煙草を人に吸わせるな、煙草の値段を一箱10,000円位にして、どうしても命を縮めても吸いたい人だけ吸って、それも周りに受動喫煙でガンになる迷惑をかけますから、隔離して周りにまったく煙がこないところで吸わせるという事をした方がよっぽど寿命が延びる。その方が、放射能の除染をするよりもよほど我々の命は延びます」が暴論だと判明すれば、犯罪的な発言だと考える。

 ●現状を分析しての私の見解

 それでも心配な人は、煙草もお酒もやるなということです。後は、もともと浴びているので、何今さら心配しているのかはちょっと疑問です。心配すると逆に悪いことが起こることも知っておいてください。われわれは放射能が心配だと思うと血圧が上がります。そうすると、動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞の一番のリスクになりますから、どちらかというと今のリスクを考えると心配するほうが危ないです。ぼやらーんとして普段通り暮らしていく方が安心です。怖い怖いと思っているだけで寿命を縮める方の影響が強い。これが私の中でのバランスです。今の放射能の直接の影響よりも心配するほうが、影響が強いです。子どもたちに関して言うと、長生きするとガンになる確率は尐し上がってくるのですが、ストロンチウムだけ心配しておけばいいかなというふうに思っています。

 でも、それよりも親の態度のほうが実は危ないです。そっちを本当に心配しています。いまだにマスクをさせて、登下校させている親がいます。インフルエンザだったらいいですけど、そうじゃなくて空中に放射能があると勘違いして、体育の授業でもマスクをさせている。かわいそうです。ここにありません。無いのに何をマスクして防ぐのか。子どももバカじゃないですからマスクして苦しいですからずらしたりしています。それで周りから、なんか、あいつだけちょっとやっているといじめにあっているわけです。

 給食を食べさせない親がいます。県や市は気をつけています。給食の中にたくさん放射能が入っていることありません。でも、測れば0ということはありません。必ずあるのです。なぜなら、50年前から放射能まみれの土壌に住んでいます。それを、いや、うちだけは給食を食べさせないで他のものを食べさせます、というのは親心としてはわかります。でも、子ども心がわからない親のエゴです。いじめにあいます。なんでおまえだけ弁当食ってんだ。それは言わなくてもみんなそういう眼で見ています。無言の圧力があります。また、重要なのは、心配しても文句言っても出たものは無くならないということです。ですから、この環境でいかに付き合うかということを考えるのが健全でしょう。

 そして、最近我々が見つけた怖いデータを教えます。心配している人、今回の震災で心配の大きい人の脳に影響がすでに出始めている。脳の一部がちっちゃく縮み出しているのです。放射能の影響でガンなど一切出ていないにもかかわらず放射能騒動で心配をするあまり脳が縮み始めている。ですので、どちらのリスクが大きいかというのは、私は科学者として、今の環境放射能であれば心配するほうがリスクが大きいということを、胸を張って言うことができます。

 ですので、普段通りに暮らす。もしくは、何の後顧の憂いもなく放射能も何も無い南半球に家族そろってバーッと行っていただいて幸せに暮らしていただくしかないでしょう。南半球でもたぶん風の流れを考えると昔の放射能はありますから、南極あたりはおすすめです。

 ただそれも南半球に行くときに飛行機に乗ったらアウトです。被ばくします。ですから、そういった過敏に考える人は飛行機に乗ったらいけません。矛盾しています。放射能が怖かったら、飛行機に乗るというのは危ないです。今より被ばくします。ですから、船で行っていただくのがベストかなというふうに思いますし、ご両親が煙草吸っていたりしたら、これもうアウトです。何の意味もありません。ご両親が携帯電話を持っていてもほとんど同じだけリスクがすでにあります。紫外線が強いのは尐し心配ではあります。

 野菜不足になったり、運動不足で太ったりすると、これまた放射能と比べものにならないくらいリスクが上がってしまいますからこれも危ないです。そういう意味では、結構幸せに暮らす道は遠いかもしれません。

 また、妊娠中の方は特に心配されると思います。これは心配の気持ちはわかります。医学の常識でも胎児の放射線感受性が非常に高いということからレントゲンの写真一枚撮るのもちょっと気をつけるくらいです。どれくらい放射線の感受性が高いのかというとだいたい一度に10万マイクロシーベルトくらいやると胎児に異常が出るということがわかっています。10万マイクロです。そこを心配しています。

 本当の意味で計算していくと出るとは言えないですけれども、リスクが高まる可能性は高いですが、普段通りに家で暮らしている分には現状では胎児にそれが元で影響が出ることはありません。

 もっと影響があるとすると、心配する親の心や体のホルモンの変化の方が悪い影響を確実に与えます。ですので、よく放射能の反対派の人が危ない危ないと言ってきますが、私は彼らに聞きたいのは、何のために危ないとおっしゃっているのかをぜひ聞きたいです。この中にいたらぜひお聞きしたいと思っております。というのは、その人たちが危ないということが実は周りの人にすごい逆のリスクを与えています。放射能よりも危ないリスクを与えているのです。心配させていろいろな影響を周りの人たちに与えていて、その影響のほうが科学的にはリスクが高いということがこれだけ証拠が出てきてわかっています。それでも危ないと人前で宣伝工作する人は何のためにしているのだろう。おそらく、私たちの幸せを願ってしているのではないのだろうと思います。

 メディアもそうです。メディアに関してもわれわれの幸せを願って放射能が危ないと過敏に反応する親がいると報道しているのでは無ないのだろうというふうに思ってしまいます。もし、本当に私たちの幸せを願っているのであれば、今のレベルの放射能の量であったら別に普段通りで大丈夫ですよ、普段通りみんな暮らしていますよということを報道してくれればいいのであって、それ以外というのは実はわれわれを苦しめようとしてやっているとしか思えません。

 現実的に考えると、東北だけではなくて、角田よりも栃木とか群馬の方が汚れています。東京の方も地域によっては、ここよりも放射能濃度が高いです。何となく福島に近いというだけで、みなさんこう我々が汚れているような感じで見ていますけれども、どちらかというと被ばくの量はあちらのほうが高いところがたくさんあります。

 ●子どもの将来を現実的に考えよう

 子どもを被ばくから守ろうとする過剰な態度は慎むべきでしょうという風に思います。それが子どもを幸せにすることにはつながりません。不幸せにすることには確実につながります。ですから、これ以上放射能が出てこなかったことを考えれば過敏に我々が何かするのは間違っているというのが私の考えです。

 ただ、放射能は先に話したように土や葉っぱが集まった場所は、局所的に非常に高いです。そこで子どもがずっと趣味で遊ばないとも限りません。ですから、そういったところの除染活動をするというのは当たり前です。ごみが溜まるところ、落ち葉が溜まるところ、水が流れこむところに溜まります。そこの泥や葉っぱをさらってビニールなどに入れて近づかないようにすればいいです。距離の二乗に反比例します。

 河原の放射能が高いのが分かっていたらちょっと離れていればいいです。要は距離をとることが一番の防護ですから、除染でも持って行き先が無ければとりあえず人が近づかないところに拡散しないようにビニールに入れて置いておけばそれで全部おしまいです。ただ、そうなった場合に無くなるのには、20年以上かかってしまうので結構大変かもしれませんがそうするべきだというふうに思います。

 ●結語

 結論としては、今は健康被害を与えるレベルでは無いということです。それで飯を食っているメディアの方々、学者の方々には大変申し訳ないですけれども、彼らがやっている行為というのは、逆に人間を苦しめる非常に不幸にする行為であるというのが私の結論です。

 ただこれは個人的な感覚ですが、今回東電に1兆円の公的資金が投入されるなんて戯けたことを政府がやっていますが、まず東電の社員たちが自分たちの全財産を吐き出して仮設住宅に入っていただいて、それでも足りなければ自分たちの持っているもの全部売り出して、当時の政府の連中は全部財産投げ出して仮設に入ってもらってそれでも足りなければ税金出してもいいですが、まずそこからやりなさいと私自身は実は思っています。

 一つ言い忘れた大事な点があります。これを見てもらうともう一つ面白いことがわかるのですが、セシウムは30年で半分になります。例えばこのときの東京でこれだけあったのが30年で半分になる。実はよく見ていくと、だいたい10年で10分の1になるぐらいの勢いで減っています。これは自然の浄化力、さきほど言ったように、葉っぱとか、土についているので、大雤が降れば川に集まって海に流れていきます。海はでっかくてまだまだ、われわれ人間が犯した過ちを治めてくれるだけの力がありますから、現状で言うと海まで流れていって環境が20年、30年できれいになりました。福島の周りに百年住めませんといっている人は、過去のデータを知らない人たちです。10年で10分の1くらいの勢いで地上からどうも放射能というのは無くなっていくくらい、地球には自浄能力があります。この角田にしても特に除染活動をしなくても10年で10分の1のスピードで減っていくことはほぼ保障されていますから、まずまず10年後われわれ何を騒いでいたかねとみんなで笑える日が来るというふうに私は思っております。

 ということで話を終わりたいと思います。ぜひここ聞き足りないとか聞き落とした、もしくはお前はこう言ったがおれはこう考える、こんな話がありましたら、次の質疑の中でおっしゃっていただけると幸いでございます。ご清聴ありがとうございました。

 【質疑】
Q1.薪ストーブを使っていますが今までのように普通にあたっていてもいいものでしょうか。27,300ベクレル出ました。シーベルトも測ってもらいましたがシーベルトはそんなに高く無い。

A1.申しました通り、距離の問題です。薪を抱いていれば浴びるかもしれませんが、ストーブからの距離が遠くなれば遠くなるだけ自分には放射能は来なくなることが一つ。おそらくその程度の量で普通に使ってらっしゃるのでしたらお見受けしたところ生涯の寿命に影響が出ることはありません。

Q2.先生の話を聞いていると2重丸、3重丸あるいは花丸いただいたような気がします。私は先日、市役所の方の簡易測定器を借りて測定してみました。金曜、土曜とお借りして測りました。家の前にある庭、あるいは犬小屋、隣の塀の下、それはまあまあの数字でした。ところが残念なことに、私、朝晩散歩していますが、家の中、奥座敷もそうなのですが、玄関入ったロビー、ここら辺が若干ですけど数字が出てきている。コンマ001かコンマ002、その辺の原因はそれなりに素人で判断しましたが散歩行ったときに上着に付いているほこりとか、そういうものが影響しているのか。それともワンちゃんとか散歩したりして土を運んできてそういうのが運んでくるのかと思いましたがその辺はどうでしょう。
A2.まず、外よりは家の中の方が低いです。その程度でしたら、多分どなたもお測りになると家の中でその程度は出ます。ガンマ線は外に放射能がある場合、家なんか簡単に通過しますから、庭とか外にあるものが家の中に入ってきて若干は測れるというのが実は私たちはわかっています。そうじゃないとおかしい。

 その中で測れているのは宇宙からきた宇宙線も測れています。あとは、もしおうちの下が岩盤だったら、地震に強いところだったら、下に大きな岩盤地帯があったとすると他のうちよりは高くなるります。岩は放射線が高いです。ですから、そこら辺が原因だと思います。ですから、特別高いわけではないだろうと思います。

 これも雑学ですけど、同じモニターを持って新幹線に乗っていただくと新幹線のトンネルの中がぶわっと高くなります。要は山の中で岩をくりぬいているので、岩から出ていたものがしっかり測れるくらい、今おっしゃったのより高く値が出るくらい出てきます。ですから多分その程度の量なのでそんなに心配する必要はありません。

Q3.先生の話を聞いて尐ない放射能については心配することは無いのだろうということで話されたのですが、除染する意味があるのでしょうか。それよりも別な下水道の復旧とかそういうのにお金をかけた方がよっぽどコスト的にプラスになるのではないかとそういう風にさえ聞こえる内容でした。実際、角田は緑いっぱいの地域ですから、うちの前とか平なところは除染できたとしても、田んぼ、山を含めて除染なんか可能でしょうか。その辺の先生の答えを聞きたいのが一つ。

 後一つは、私は女房と一緒に行きますけど、女房の実家は福島県の富岡町で、今埼玉県に避難しています。警戒区域なので個人の意志に関係なく逃げざるを得ないです。先生の話を聞いていると埼玉県に逃げること自体は、さっきの話ですと、南極以外無意味のようですから家族バラバラになって職場も何も全部失って政府の命令で逃げているわけですけど、これって何なのかなというふうに手を挙げたところが降ろすところ無くなる感じで、ずっと富岡町に住んでいた方が長生きするのではないかという風に聞こえてくるような内容だったので、この逃げ惑っている家族にしてみれば、今の話を本当にどういうふうに聞いたらいいのか。実際8万人以上の人が逃げているわけです。そのことが事実あるわけですから、私らも心配になります。先生の話を聞くとあっ大丈夫だなと思いますが、実際片方では逃げている。何日か前の新聞で、4号炉で何かあれば170キロ圏まで全部強制退去になるというシミュレーションが河北新聞で発表されました。170キロというと宮城県全部入ります。それがうちの女房の実家と同じように、ここ角田も逃げさせられるのかというのが実際商業新聞に載るわけですから、先生のいうそのそれで飯を食っている人たちの意見なのかもしれませんけれども、私はそれをみるとやっぱり心配です。だから私の脳も多尐小さくなっているかもしれませんけど、それを先生にぜひ戻してもらいたいと思います。よろしくお願いいたします。

A3.まず、除染すべきかどうかということに関してはおっしゃった通り角田のレベルであれば、除染に使うお金を他に使う方が、効果が高いとは私も思います。ただし、国がこれは後のともかぶりますが、ルールを決めた。これよりも環境放射能が高いところは除染した方がいいですというルールを決めてしまった。これよりも放射能が高いところは逃げなきゃいけませんというルールを決めてしまった。そうなってくると法律を守らなくてはいけないという法治国家にいる我々に義務が生まれてきて、これは科学とは違います。科学の問題でも何でもありません。単なる法律の問題です。

 実際に除染活動に関して言うと、おうちの周りだけ一応高いところ、高いところはさっき言ったようにドブと葉っぱの吹き溜まるところとあとは屋根です。ここだけちょっときれいにしてもらえれば、あとは山の中に放射能がいっぱいあっても山の中で365日暮らさなければ大丈夫です。距離をとれば放射能は怖くないです。そういう意味では自分の普段暮らすところの近くにたくさん無ければいいという感覚を持っていてもらえばいいでしょう。ただ今こう言った言葉も今までの話と矛盾しています。それは放射能があると危ないという立場に立って話をしている。何故かというとメディアが皆さんに放射能は危ないということを刷り込んでしまって、不安を刷り込んでしまっている。皆さんは不安で、不安で仕方が無いから、県も仕方なくパフォーマンスとして除染しますということをしないと不安の方が大きくなってそのリスクが膨らむ一方だというのも除染活動する理由です。なぜ今、除染活動しているか、皆さんの不安を取り除くためです。皆さんの寿命を放射能影響によるガンから守るための影響はありません。ただ、皆さんが不安に思って高血圧になったりうつ病になったりするのを守る効果は除染活動にはあります。ですから、どちらかというとメディアによって我々が刷り込まれてしまった情報から守るために除染活動をしているという風に考えてください。

 福島の、避難しなくてはいけない地域というのは法律の問題です。法律を決めた人たちは学術的な根拠があるところで話をしていません。学術的な根拠というのは一度に100ミリシーベルト浴びたらガンが0.5%増えるということだけしかない。人類の知恵はそこしか無いのでそこからみんな想像力をたくましくして、こうだら、こうだ、ああだら、こうだというのを決めて動かしています。

 そういった中でも実は日本に対して、非常に厳しいレベルを国民に与えないといけないというプレッシャーをかけている国があります。これは今言った170キロという話もそこからきています。ドイツです。ドイツはそういったことを我々に対しても、国にもきましたし、日本中にプレッシャーをかけています。彼らは我々日本人のことを思って言ってくださるのかなと最初は思っていたのですが、どうもバックには放射能の測定装置のメーカーがしっかりついていることを私は知っています。不安になってみんなが測定器買えばぼろ儲けする人が実は世の中にいます。ですので、ぼくも性格がひねているのかもしれないですけど、今回の騒動で誰が得したということを考えていくと、誰がこの騒動を作ったかというのが尐し見えてきます。

 一番はメディアです。メディアが騒げば騒ぐほど皆さん心配してテレビを見る、新聞を買う、週刊誌を買う。たくさん儲かります。危ないと言えば言うほど儲かります。あと、ものすごく伸びている、ぼろ儲けしている企業は実は放射能の測定器、日本よりもドイツが精密機をどんどん輸出して高いのを今日本人に買わせていますからその辺は騒動を作った主の一人だろうなとうがっています。これは科学ではないです。私のうがりです。まやかしたようなことを言いましたが、除染活動自体は科学的根拠があると私は思っています。根拠があるとすれば、皆さんの不安を取り除いてその結果として皆さんの寿命を伸ばすという効果はあるのではないかと推測はします。福島の避難地域ということに関しては、これは法律です。法律は科学ではありません。

Q4.今回の原発事故は、ちょっと他の話で長崎、広島の爆発とはレベルが違いますけど、それを除いて放射能のレベルで見たら、今回の原発と原子力爆弾の放射能というのはどの程度のレベルのものですか。

A4.これも実は福島原発はある地域で爆発しましたから、そこからの距離によって話が違います。角田で話しましょう。角田で言うと当時の方が高いです。昔の原子爆弾の実験をしていたときの方が角田で言うとその時の方が高いです。ただ、福島の飯館とかになってくるとやはり今の方が高いです。そういうレベルの話ではあります。間違いなくすでにこれ以上浴びた中をくぐられてきています。

Q5.先生の話を聞いていますと、放射能なんてどうってこと無いよとそんなにビクビクしなくても普通に生活して大丈夫ですというふうに聞こえまして大変ありがとうございました。

 質問というより非常に幼稚なことですけど先生の話で岩盤だとか山の中だとか地球上に放射能の無いところは無い。南極以外は無い。地球自体が持っている自然の放射能でしょう。ところが、広島にしろ、福島の原発にしろ、自然というよりも人間が作為的に作ったものじゃないですか。私が聞いているものによると放射能は原子だって一応聞いている。詳しいことはわかりませんけれど。そこで、人為的に作ったものと地球自体が持っている自然のものと何か差があるのではないか。それとも全く原子は同じなのか、その辺の科学的なお話が聞けたらいいということが一点です。

A5.違いがあります。自然からくるのはガンマ線だけです。今、福島から出てきた放射能はガンマ線とベータ線を出す。ですからベータ線の分だけは人工放射能の影響があります。ベータ線は先ほど説明したようにアルミ箔一枚で止まります。それから体の外にあっても皮膚でそこから先に影響することはできません。そういう意味では総量で考えると誤差の範囲、ほぼ同じ。科学的に同じか違うかということを厳密に勘案するとベータ線の分だけ、ちょこっと違います。95%同じです。

Q6.半減期というのが1週間とか30年とかお話ありましたけど、これは先生の話聞いていると自然に消滅するという風に受け取りましたが、東北大学のようなところで半減期が30年も50年もあるものをそこらに置いとかないでもっと早く消滅できるようなことを科学者さんとして研究していただければ、我々ももっと安心できるのではないのかなと思います。

A6.我々科学者も手をこまねいているわけではありません。体の中に入った放射能をどうすれば早く出すことができるかという研究はたくさん今始まりだしています。ですから手は打っています。セシウムを放射能出なくしようということは研究できるかというとできます。ただそれをするにはもっと大量の放射能をそこに浴びせないとできません。要は原子核を作り替えるくらいの強いエネルギーを当てれば違うものになります。でもそれはもっと危険なことですから、危険が無い方法でそれをするというのは論理的にはまだ無理です。これから大天才が現れて論理的には無理だということを解いてくれれば別ですが、現状の科学では天才を持ってしてもそこにあるセシウムから放射能を無くすということは不可能です。

Q7.今回の福島の中でプルトニウムは無かったのですか。

A7.これはぼくも報道によるしか無いのですが、プルトニウムは出ていないはずがありません。なぜならメルトダウンをして水素爆発を起こしていますからプルトニウムは飛び散ったはずです。プルトニウムの計測結果というのがあまりきれいに出てないです。東北大学でも測っていますが、尐なくともこっちには飛んできてはいません。理由は重たいからです。だから相当大きな爆発、ボカンと無い限り遠くには飛ばないです。福島原発の敷地の中で出てきたという報道はありましたけど、これも原発から出たものか、50年前の実験で出たものかは区別がついてないです。ごく尐量です。だからわからないというのが答えです。普通に考えると出たはずだけども測れるだけのものが我々の身近にあるという情報は無いというのは言えます。

Q8.一つだけお聞きしたい。先ほど学生の方を対象に放射能の不安で脳が萎縮するという話がありましたが、人間はそれだけで生活しているわけじゃないから、あの結論は何人で測って、あそこの結論を導きだしたのはちょっと乱暴な結論ではないかと言うふうに思ったのですがその辺はどうですか。

A8.これは偶然震災の前に脳の計測をしていた学生たちで震災後に心理学の調査を全部行って、どれだけ不安に思っているかを全部点数化してきちっと調べて、不安に思う思い方と脳の体積の変化を調べるという科学的には間違いが無い方法で行った実験でのデータをもとにして話をしています。ですから乱暴でも何でも無いという風に私たちは思っています。これは恐ろしい科学のデータだと逆にぼくなどはそれを見て怯えたくらいです。ぼく自身も震災の後いろいろ不安に思った一人ですから、そういう意味ではぼくの脳もこうなっているかなと非常に悲しくなったデータです。ですからどちらというと柔らかく言ったつもりですけど事態は非常に深刻です。ぼくが言った以上に深刻なのを実はお見せしたという風に思っていただいた方がいいかもしれません。

Q9.お医者さんは先生のように意外と楽観的というか厳しく見ながらもどちらかというと楽観的です。物理学者というかそちらの方は大変厳しく評価されています。その辺の違いはどういう風に考えられているのでしょうか。

A9.実はこれ医者だけじゃなくて、私の研究所も私のように人間と付き合ってきた、これ臨床といいますが、臨床医と基礎研究しかしてないお医者さんがいます。基礎研究しかしてないお医者さんはヒステリックに言います。放射能が危ない、危ない、遺伝子壊すと。物理的に言うと放射能がちょっとあれば先ほど言ったように遺伝子を壊す。それは量が増えれば増えるだけ、量は確率的に増えていく。これはもうわかっています。そこを取り上げて危ないと言います。ぼくたち人間を見ている立場の人間は遺伝子が壊れてもガンにならなければいいという立場です。要は寿命が縮まるようなことが起こらなければそれはリスクでも何でも無いというふうにとらえるのが人間を見ている医者の考え方です。

 一方で、体の中で何か変化が起こるのが気持ち悪いと考えるのが分子や遺伝子しか見ていない、もしくは原子核しか見てない人たちの考え方です。これは科学の両面性だと思っています。科学的に精緻な事実で言えば、遺伝子が壊れる量が増えるのでそれはそれで気持ちが悪いと言って危ないではないかという理論が成り立つ。それは正しい。ぼくたちはガンで死ぬという出口にどれだけ人がたどり着くかというデータから考えると影響が無い。これも科学的に正しいわけです。そういう意味ではそこの差だと思います。

 物理屋さんたちはどちらかというと遺伝子、分子を見ている人と同じ感覚。一個ガンマ線が通れば、それが遺伝子のどこかのタンパク質に当たってはじき飛ばして、それが悪いことを起こす数が増えてきますという立場の考え方でしかありません。

 ぼくたちが正しいと思っているのは、人間がガンになって死ぬ確率が増えなければ遺伝子がどこか痛んでも別にいいではないか、自分の子どもを作ったときに奇形を作らなければそれでいいのではないか、そういう感覚でしかありません。そこの温度差が多分、言葉で出てきていると感じます。(H24.3.14)

(私論.私見)

 

【スターングラス博士の放射能の危険性指摘考】
 「★阿修羅♪ > 原発・フッ素35 」のてんさい氏の2013.12.2日付け投稿「アメリカの最高の科学者が原発のすべてについて語るー癌がなぜ世界中で増加しているのか?:21世紀のヒューマン・リテラシー」を転載しておく。「川島隆太教授講演会講演録」との違いが分かろうろ。

 https://twitter.com/junko_in_sappro/status/407055416443424768
 アメリカの最高の科学者が原発のすべてについて語るー癌がなぜ世界中で増加しているのか?:21世紀のヒューマン・リテラシー  http://wp.me/p3zyjC-1GU @vegaliveinhopeさんから
 https://twitter.com/junko_in_sappro/status/407055416443424768

 http://www.e22.com/atom/page09.htm
 「僕と核」(2006)

 9. スターングラス博士のまとめ

 スターングラス博士のインタビューの内容を、まとめたいと思います。

 まずは、「自然放射線と、人工放射線は、人体への影響は違う」ということです。人工の放射線は、今までに地球に存在しない放射性同位体をつくります。 ウランの核分裂生成物の中には、食物や水、空気を通して体内に取り込まれると、ふつうの栄養素と勘違いされて、数%は骨や内臓などの局部に蓄えられて、そこで濃縮されながら長期的に放射線を出すものがあります。なぜ勘違いされるかというと、周期表で同じ縦の列に並んでいる元素は電子構造が似ているため、体内で似たような化学反応をしてしまうのです。

 例をあげると、ストロンチウム90はカルシウムと間違えられて、骨や血、脳に送られます。セシウム137はカリウムと間違えられて、細胞内の電解質として取り入れられます。また、ヨウ素131は、甲状腺に蓄えられます。これらの元素が体に入ることよりも、それぞれ放射性の同位体であることが問題なのです。

 更に大事なのが、「短期間で高レベルの外部被ばくと、長期間で低レベルの内部被ばくは、放射線の被ばく量による人体への影響が、比例しない」ということです。これはどういう意味かと言うと、100の衝撃を一度に受けた人間が100のダメージを受けたとして、1の衝撃を100回に分けて受けた人間へのダメージが、合計で100以上になる可能性が強いということです。従来の教育では、「線量率効果」と言って、100のダメージを100回に分ければ、その間に体は回復するので総合的なダメージは100以下である、よって低レベルは無害である、と考えていたのです。

 数字だけだと分かり難いので、人間に例えてみると、「百人の人に一度に蹴られてボコボコにされる」のと、「一人の人に百日間つきまとわれて、毎日一回蹴られる」のでは、どっちがダメージを受けるでしょう?もちろん、どちらも嫌です。でも、一度のケガは治るかもしれないけど、何日間も蹴られる方がしんどい、と思う人も多いでしょう。これが放射線にも言えることなのです。

 ネガティブな例だけもあれなので、ポジティブな例をあげると、「同じ日に百人の異性とデートをして、豪遊する」のと、「憧れの人につきそってもらって、百日間愛情をもらい続ける」のと、どちらが良いですか?両方ってのは駄目です。たいていの人は、冷静に考えれば後者を選ぶでしょう。そうでもないか。

 つぎに、S博士の研究の中でも、もっとも大事に扱っているテーマが、 「胎児や乳児が放射線によって受けるダメージは、健康な成人が受けるダメージより更に何百倍、何千倍も拡大される」 ということです。これは、当たり前のことですが、胎児や乳児というのは、脳や心肺機能など、大事な器官の細胞がもの凄い勢いで成長しているため、正常な細胞の増殖を妨げる因子があると、発育や知能の障害など、その子の一生に渡って支障をきたしてしまう可能性があります。

 赤ちゃんは妊婦さん共々、環境から来るマイナスのインパクトからもっとも守るべき存在です。健康な成人を許容量の対象にしていては、赤ちゃんにはとうてい迷惑なのです。つまり、産まれてくる赤ちゃんの健康状態というのは、その時代の環境のバロメータでもあるのです。これは、免疫力が下がっている成人や老人が受けるダメージにも同じことが言えるでしょう。

 これらのことを踏まえて、あらゆる放射線は、現在の「安全値」では、思っているより100倍から1000倍のダメージを体に与えている、ということです。

 博士は、原子力産業の歴史も説明してくれました。歴史というものは、本当に多くを物語っています。要約すると、「民間の原子力発電は、軍需産業をサポートするために始められ、リスクを完全に把握する前に広められた未熟なテクノロジーであったため、これまで世界中で何度も事故を起こして来た」ということを、この50年の実績が充分に証明しています。

 今の原子力発電の技術は完成度も高く、特に日本は危機管理も厳しく、安全装置が何重にも設計されています。しかしながら、発電という目的を達成している以上、「微量」の放出を正当化しているのが原子力産業の真の姿ではないでしょうか。

 (ちなみに、原子力発電所からどれくらいのストロンチウムやヨウ素の放出があるのかがどうしても気になったので、東京電力の人に詳しく聞こうとメールでやり取りしていたら、最後には「フィルタやホールドアップ装置など、原子力発電所における各種設備の設計上の性能や実際の性能については,当社の知的財産となっており,お教えすることができませんのでご了承願います」と言われました。「実際の」ってどういう意味でしょうか。)

 失敗しながら学ぶのは人間の性です。これが他のテクノロジーであれば、これまでの大事故も、まだ大火災で済んだでしょうし、簡単な誤作動や停電で大きな心配をする必要もありません。原子力発電所のように、その確率が何%であろうが、天災を含め、大事故が起きれば何百万人規模、何百世代と後遺症を残すようなリスクは、有史上、類を見ぬスケールであることは否めません。被害を抑える作業のためだけで、何万人もの人間が命を切り捨てなければいけないのです。

 ウランの核分裂が出すエネルギーは、化学反応による燃焼とは次元も桁も違います。通常の汚染とはっきり区別しなければいけないところは、やはりここに由来すると思います。原子力発電も、いつかは必ずなくなります。しかし、その時が先延ばしになればなる程、処理場に困った核廃棄物は増え続ける一方です。電力は一瞬で消費しますが、廃棄物は永遠に残ります。地球市民は、どちらを選ぶでべきしょうか。その話し合いの場を持って、核を捨てる選択をした国は沢山あります。そして日本は、核の道を選んでいるのです。

 http://www.e22.com/atom/page08.htm

 「僕と核」(2006) 

 8. スターングラス博士インタビュー

 ここで、スターングラス博士にお話をお聞きしたいと思います。彼は、原子力の本場アメリカで、60年代から、核実験や原子力発電による低レベル放射能の影響を訴えて続けて来た、数少ない科学者の一人です。2006年の二月には念願だった来日を果たし、青森県の六ヶ所村も訪ねています。

 こんにちは、今日はよろしくお願いします。
S博士  「まずはじめに、日本には55基もの原子炉が運転しているのを知ってるよね」。
 はい。
S博士  「それに、ほとんどが海岸沿いの国土の2割程度の面積に人口が集中していて、原発も割と近くに配置されている。だから、日本政府が2003年度に発行した、過去100年の日本人の死因の推移を見たとき、あまり驚かなかった」。
 と言いますと。
S博士  「日本では、戦後の50年で、がんの死亡がずっと増え続けている。1900年台の前半は、がんはそこまで存在しなかった。日本に原爆が落とされて、アメリカ製の原子力発電所が導入されてから、一気に増え始めたのだ。今でも日本にある原発の八割がアメリカ製だ」。
 はい。
S博士  「そして、本場のアメリカで分かって来たことが、原子力発電所というのは、公に発表されているよりも、ずっと大量の放射性物質を放出しているということだ。大半は、細かい分子になった、核の分裂によって産まれる物質で、大気や海に放出されている。核分裂生成物というやつだ」。
 はい。これが、自然放射線と混同されると、訳分からなくなりますね。
S博士  「その通りだ、そもそも自然放射線というのは、海抜0メートル付近では、0.8 から1mSV(ミリシーベルト)が普通であって、それ以上はラドンなどごく特定の地域しか関係のないものや、0.15mSVほどのカリウムなどを大げさに数えている場合が多い。しかも、ほとんどの自然放射線が外部被ばくを起こすガンマ線で、体の中の特定な器官に蓄積して内部被ばくを起こすものじゃない。ストロンチウム90やヨウ素131などの放射性物質は、体の中に入り込むのと、それと同じ量を地面にばらまいたのでは、威力が全然違うのだ」。
 分かります。
S博士  「ヨウ素131は、ほとんどが一週間の半減期だが、これは首にある甲状腺に集中する。甲状腺というのは、体全体の新陳代謝をコントロールしていて、多くの器官が甲状腺のホルモンによって動いている。だから甲状腺が壊れると、大人だと、甲状腺に異常が生じたり、がんになることがある。また、ストロンチウム90は骨に集中する。これはカルシウムと似ているためで、カルシウムは、骨をつくったり、神経の伝達にも欠かせない。要するに、脳みその働き、考える力に貢献している。よって、ストロンチウム90が引き起こす問題というのは、あまり知られていないのが、カルシウムと同じように骨だけじゃなく、脳にも入り込んで、神経にダメージを与えるため、特に脳の発達に支障をきたすようになる」。
 赤ちゃんですね。
S博士  「赤ちゃんもそうだし、お母さんのお腹の中いる胎児のときからだ。それに、脳みそは10代まで発達し続ける。だからそこに問題が生じると、普通の読み書き、理解する力、計算する力、全体的に影響を受けてしまう訳だ。健康な脳みそをつくる過程でだよ」。
 母親は知っておくべき情報ですね。
S博士  「これは、本当に伝えなければいけないことだ。繰り返すが、ストロンチウム90やヨウ素131は自然には存在しないもので、ウランやプルトニウムが核分裂を起こしたときのみ、産まれるのだ。原子炉の中で起きていることは、原爆の核分裂が起こす環境破壊と同じなのだ。つまり、核実験などが広めた汚染を、原子力発電所がそのまま引き継いだに過ぎないのだ」。
 なるほど。
S博士  「これは数年前にJournal of American Medical Associationで発表されたばかりなんだが、妊婦が歯科医でX線を数回受けただけでも、散ったX線が、ヨウ素131のように甲状腺に影響を与えて、それが早産につながる確率が数割高くなることが分かった。こうした未熟児は、現在の医学ではほとんどを救うことができるのだが、X線のせいですでに脳の発達に影響が出てしまっている。それが思考力や、集中力の欠如に表れる。脳の発達に支障をもった未熟児は、自閉症になる可能性も出てくるのだ」。
 このように器官に集中する放射性物質は、どのようにダメージを与えているんですか?
S博士  「ヨウ素131の場合、ガンマ線というのは、X線と一緒で、とても強いエネルギーを持った光を出す。そして、ベータ線は電子なんだが、数ミリしか飛ばなくても、臓器に埋め込まれると周りの細胞を破壊する訳だ。変異を起こしたり、遺伝子を傷つけてしまう。そして、フリーラジカルが産まれる。フリーラジカルとは、マイナスの力を帯びた酸素分子で、寿命も一瞬なんだが、これがプラスを帯びた細胞の粘膜に引き寄せられて、穴を空けてしまうので、大変なことだ。これらのことは、60年代の後半から70年代にかけて分かったことで、原子力発電を始めたずっと後の話だよ」。
 はい。
S博士  「初めての原発が1942年のシカゴだったから、そのおよそ30年後に分かったことだよ。もう一つ興味深い発見だったのは、X線などの強くて短い刺激がつくる多くのフリーラジカルは、実はお互いとぶつかり合って、そこまでダメージを引き起こせないんだ。これを、私は『混んだナイトクラブ効果』と呼んでいる。分かるだろう、狭い空間に人が入りすぎて、身動きが取れないのだ。これで分かったことが、X線などが与える、自然放射線の一年分に値する1mSVほどの一度の衝撃は、思ったほど効果がなく、同じ量を一週間、一ヶ月の間に分けて微量を受けた方が、細胞あたりのフリーラジカルが少ないために、ずっと大きなダメージを与えるのだ」。
 そうなんですか。
S博士  「このことは、衝撃だった。つまり、X線や原子爆弾のように、集中された強い放射線よりも、永続的な低レベルの放射線の方が、ダメージは100倍から1000倍も大きいことが分かったのだよ」。
 なるほど。
S博士  「我々はヒロシマやナガサキで集めたデータを信じきってしまったのだ。原爆は、主にガンマ線と中性子線を一瞬で放出したから、本当に強くて大量のエネルギーを放出した。ましてや、その頃はフォールアウト(『死の灰』と訳される)のことも良く分かっていなかった。要するに、長期的な低レベル放射能の影響を、今日でも、完全に間違って計算しているのだ。2003年にイギリスのクリス・バズビー (Chris Busby) 氏らが、ヨーロッパのECRR機構(European Commission on Radiation Risk) に頼まれて、原子力発電所のリスクについて過去50年の様々な論文やケースを完全に洗い直したところ、同じ結論にたどり着いたのだ。我々は、低レベルの内部被ばくによる影響を、少なくとも100倍から1000倍、過小評価して見積もっているのだ」。
 はい。
S博士  「もう一つ言いたいのが、ストロンチウム90は骨に入って、強い電子を放出する。骨髄では赤血球と白血球もつくられているから、ここで異常が起きると、白血病を起こす。また、白血球というのは、体のありとあらゆる病源と戦っているから、白血球がちゃんとつくられないと、これは大都市で警察のストを起こすと犯罪率が一気に高くなるようなものだ。分かるね。ストロンチウム90が白血球を壊せば、体中にがんが起きても止めることができない。ストロンチウム89の半減期は50日で、ストロンチウム90の半減期は28年だから、体に蓄積されていくものだ」。
 そうですか。
S博士  「さきほどの低レベルの放射能の話に戻るが、人々が間違いを犯した原因のひとつに、放射線によるがんの治療による。これは動物実験で、一週間おきに集中した放射線をあてれば、健全な細胞は元に戻るということから、放射量を細かく分ければ、体には影響が少ないと信じられていたのだ。ところが、内部被ばくの場合は、少ない量でも常に体の中にある訳だから、慢性被ばくと言っても良い。これが何十年間と蓄積されると、ストロンチウム90のように白血球が壊されていけば、肺炎やさまざまな感染が起き易く、免疫力が激しく低下することに繋がるのだよ」。
 では、質問を変えます。原子力発電所は、すべての排出物をモニタして、環境もモニタして、すべては安全だと言います。何がいけないのでしょうか?
S博士  「何回も言うが、0.1~0.2mSVほどのX線の影響と、核分裂生成物を比べて、影響を少なく見積もりすぎているから、誤った安全の基準を適用しているところが間違っている。2005年に発行されたUS Academyの論文には、『どんな微量の放射能でも、必ず何らかのダメージを与えている。無害ということなどない』と書かれているくらいだ。一時期、『微量なら健康に良い』と信じられていたのもまったくの間違いで、『一定値以下なら安全』と信じられていたことも、間違いだった。これはようやく最近、世界中で発表されている論文で認められてきたことだ。更に、1000倍もダメージを少なく見積もってものだから、0.1mSVだったものが、実質的には100mSVと同じダメージを加えているのだ」。
 これらの核分裂生成物は、化学的にフィルタすることってできるんですか?
S博士  「完全には無理だ。中空糸フィルタやイオン交換樹脂など、どんなにテクノロジーが進化しようと、完璧なフィルタなど存在しない。例えば、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドンなどの希ガスは、化学的にフィルタすることはできない。トリチウムなども水分と同じような性質なので、なかなかフィルタできない。モニタリングは、結局、役割を果たしていないのだ。自然界はストロンチウム90やヨウ素131をつくらないから、自然放射能と比べるのはおかしい。更に、X線などは刺激が短か過ぎる。だから、安全だと思っていた放出量が、実はそうではなかったということだ」。
 それでも、核実験からの残量放射能が減って来ていて、今では食物に含まれている値も示していますが。
S博士  「良いかい。基本的に原子力発電所が自ら検出して発表しているデータはそこまで信用しない方が良い。電力の生産があがるほど、放射性物質の排出はぜったいに免れられないのだ。それに、原子力発電所がどのくらい排出しているかを心配したり論議するよりも、人間にどのくらい入って来ているのかを検出する方がずっと早いのだ。私たちの90年代の研究で分かったことは、アメリカで原子力発電所の近くに住んでいる子供たちの乳歯から検出されたストロンチウム90は、かつての核実験の時代と同じくらい高くなってきているということだ。これは原子力発電所が放射性物質を出し続けている確固たる証拠だ。このプロジェクトもアメリカの政府がデータを公表しなくなったために、独自で始めたのだ。ストロンチウム90の値は、すでに胎内で蓄積されていることが分かることと、ストロンチウム以外の放射性物質も入って来ていることを裏付けるから大事な訳だ。これらはすべて、いわゆる通常の運転で起きていることだよ」。
 それは日本にも言えることですか。
S博士  「繰り返すが、日本の八割はアメリカ製の原子力発電所であるからして、まず間違いないだろう。原子力発電所の放射性ガスや放射性物質の粒子は、日本の美しい山脈に降り注ぎ、それがきれいな湧き水に混入して、田んぼや畑、飲み水に入って行ってしまうのだよ。風がどっちに吹いていようが関係なく、これがいちばん起こりうる被ばくの方法で、私はこれが日本でがんが急増している要因のひとつだと考えている。ちなみに、ロレン・モレーが日本で集めた乳歯のサンプルからもストロンチウム90が充分なレベル検出されている。これはどこで産まれたか、どこで育ったかによって大きく異なるし、もっと大規模な研究が必要だが、アメリカと同じような状況であると予想される。小児がんを主に、健康な発育が妨げられる確率が数割は高くなるということだ。もちろん、放射性物質による害は成人にもあてはまることだ」。
 そうなんですか。
S博士  「ついでに、もう一つ重大な話をしよう。ストロンチウム90から出来るのが、イットリウム90だ。これは骨じゃなくて、すい臓に集中する。すい臓というのは、糖尿をおさえるホルモン、インスリンを分泌しているから、ここに異常が出ると糖尿病になる。世界中で、糖尿病が急増しているのは知ってるね。日本は、すでに人口の割合から言えば、アメリカの二倍もいる。そのアメリカだって、イギリスより率が高いのだ。日本では、戦後から現在にかけて、すい臓がんが12倍にもふくれあがっている。50年代の終わりにドイツの動物実験で発見されたのが、ストロンチウム90が電子を放出してイットリウム90になると、骨から肺、心臓、生殖器などに移動するのだが、すい臓に最も高い集中見られたのだ。インスリンがうまく生産されないようになって、血糖値が上がってしまうのだ。今までは放射能が糖尿病と繋がっているなんてまったく認知されていないのだ。これで分かっただろう、国際放射線防護委員会(ICRP)は、当初、放射能の影響として、特定のがんと奇形児くらいしか認めなかったのだ。未熟児、乳児の死亡や、肺、心臓、すい臓、これらの部位への影響はすべて無視されてきたのだ」。
 はい。
S博士  「民間エネルギーの最初の原子力発電所は、ピッツバーグに57年に、私が15年間勤めたWestinghouse社によって建てられた。私たちは、汚い石炭の発電所よりも、安くて、きれいなエネルギーだと思っていた。微量の放射性物質が逃げても、大したことないと思っていたのだが、それは大間違いだった。これと同じ原子炉が、今でも日本でたくさん稼働している。70年代にカナダのエイブラム・ペトカウ (Abram Petkau) 博士が発見した、低レベル放射能によるフリーラジカルの影響を、未だに反映できていないのだ。フリーラジカルの性質を分かっていなかったのと、放射線量と人体への影響が比例的な関係だと勘違いしていたのだ。低レベルで起きる様々なことは、ヒロシマとナガサキの生存者を調べただけでは、まったく予期できなかったのは当然のことだ」。
 はい。
S博士  「だから、原爆の生存者や、X線のデータによって計算された国際的な許容量はまったく間違っている。これは、原子力発電所が大規模に建てられるようになって、何十年も後に分かったことだが、誰もその過ちを認めることが出来ずに、今日まで来てしまった。その理由の一つとして、すでにウラン鉱山に巨額の投資がされてしまっていたことがあるだろう。だから、ウランの利益を受けている人たちは、過ちを認めないどころか、それを絶対に隠したいのだ。ウランは核分裂以外には役割がないから、それがただの粉末のゴミになることを本気で危惧しているのだ。世界中の政府や企業、イギリスの皇室などが所有しているウランは、原子力発電所が他の燃料で動くようになったら困るのだ」。
 日本企業もかなり先行投資していますよね。他の燃料と言いますと?
S博士  「天然ガスだ。天然ガス発電に切り替えれば、なんと、設備投資の7~8割は無駄にならない。天然ガスはあと数十年は持つと言われているから、その間に自然エネルギーを開発すれば良いのだ。コロラド州のフォート・セイント・ブレイン (Fort St. Vrain) は、すでにこの成功例だ。原子炉だけを閉じて、天然ガス用のボイラーを横につくって、タービンの建物など、ほかのものはそっくりそのまま使えたのだ。そう、原子力はお湯を沸かしているだけだからね。原子炉の中の水も放射能を持っているために、配管が錆びて出てくる鉄、マンガン、コバルトなどにも中性子がぶつかって、普通の元素まで放射性になって大気に飛び出てしまうのだよ。これが体内にも必要な物質の場合、放射性の鉄分だって血液に入ってしまう訳だ」。
 原子炉を解体しただけで、その付近は大丈夫なんですか?
S博士  「そうだ。その証拠にコロラド州は、あらゆるがん、小児がんの率が全米でいちばん低いのだ。解体すれば、新しい核分裂や放射性ガスを止めれば、燃料自体は、まだ残っているが隔離することはできる。それが素晴らしい点だ。もちろん、完全に廃棄するにはたいへんなコストがかかるよ。これはもっと大変な問題だ。だから、原子力産業は、古くなった発電所を解体する巨額のコストを考えていなくて、将来のコストを少なく見積もりすぎているのが、大問題だ。でも、運転を止めることさえすれば、せめて新しい放射性ガスが発生することは抑えられるのだからね」。
 環境的には、それがいちばん良い訳ですね。
S博士  「とりあえずは、だ。その代わり、何万年、何億年と放射能を持つ核廃棄物をどうするのかを、まだ誰も解決できていない。何故かというと、長い時間が経つと、地下に埋めようが、山に埋めようが、放射線が缶から漏れ始めることが分かっているからだ。缶が空気中のバクテリアに侵されて行くからだ。そうすれば、今度は地下水が汚染される」。
 はい。
S博士  「環境的な問題はそれにとどまらない。日本のロッカショで起きようとしていることは、全国の55基分の廃棄物を集めるから、どうがんばっても大量の放射性物質を大気と海に捨てることになるだろう。そうすれば魚も死ぬし、近辺の入江に生息する貝や生物が放射性物質を吸い込んで、人間と同じように免疫力が低下して行って、死んでしまうのだ。60年代に核実験が盛んに行われていた時期も、北大西洋では、魚が激減して、核実験が終わったあと、一気に元に戻った。決して乱獲のせいなどではなかったのだ。このことは、今でも世界中の原子力発電所の近くで起きている。クジラやイルカも、川に流した放射性物質によって、みんな影響されているのだ」。
 何度も言いますが、それでも原子力発電所は、海への放出をフィルタして、ちゃんとモニタしていると言いますが。
S博士  「だから、そんなフィルタがあれば、固形の廃棄物の心配だけで済むから嬉しいよ。でも現実的には、一部の放射性物質しか取り除けないことは、実績で分かっているのだ。しかも、事故や人為的ミスの可能性も計算にいれてなくても、この状況だ。過去には放出しなくて済んだ放射性物質も、大量にあった訳だ。スリーマイル、チェルノブイリ、これらは、世界中に多大なるインパクトを与えたのだ。我々はチェルノブイリが起きた翌年のアメリカでも、統計データとEPAによるストロンチウム、ヨウ素、セシウムの測定量から、数万人規模で過剰な死者が出たと考えている」。
 そうなんですか。
S博士  「特に日本の場合は、地震国だということを忘れては行けない。日本の面積にあれだけの原子炉が集中していることと、ロッカショの再処理工場の最大の問題点は、さきほど言ったように全国の燃料棒を集めてプールにいれていることだ。これらは、本当に強い、本当に高レベルの廃棄物で、なんかの拍子に、このプールの冷却水にもしものことがあったら、大惨事では済まないことになるだろう」。
 質問を変えます。なぜ、人間はそのような強い放射性物質を扱うことになったのでしょうか?
S博士  「まず、自然の中で人間が経験してきた放射性物質は、カリウム40だけだ。これは体内に入っても、骨など、どこにも集中しないし、放射線量はストロンチウム90より多くても、体に蓄積もされないから、割とかんたんに体から抜けて行くのだ。地球ができたときに、ウランやたくさんの放射性物質ができたが、どれもストロンチウム90のようにカルシウムに化けて、核分裂生成物が体内に蓄積されるようなことはなかった。一部のアフリカの地下の鉱山の例外をのぞいて、核分裂の連鎖反応は自然ではぜったい起きないのだ」。(註:20億年前に西アフリカにあるガボンのウラン鉱山で自然核分裂があったとされる)
 はい。
S博士  「例えば、普通の水の中にある水素は、宇宙線の影響でトリチウムになることがある。トリチウムも、特定の部位で濃縮されない。人間は、自然放射線の中で進化してきたが、これらも体に蓄積はされなかったし、フリーラジカルを長い期間にわたって体内に取り込むこともなかったのだ。海の中に微量に存在するウランも同じことだ。1938年に人間が核分裂を発見してから、すべてが変わってしまったのだ」。
 分かりました。では、日本は島国ですから、海の汚染についてもう少し詳しく教えてください。
S博士  「海を守ることは、とても大事なトピックだ。我々が予測できなかったエピソードをもう一つ、教えてあげよう。昔、科学肥料が海に流れ込んで、藻が異常発生すると、魚貝類の酸素を奪ってしまうと疑われていた。その結果、酸欠になった魚や貝が死んでしまう訳だ。ミシシッピ川が流れ込むメキシコ湾で藻が大量発生したときは、窒素、つまり酸化窒素を含む化学肥料が原因だと思われていた。でも最近、新たに分かったことは、キセノンやクリプトンなどの放射性ガスのエネルギーが、大気の酸素と窒素を反応させて、酸化窒素をつくることが分かったのだ。雨が海に運んでくる土砂が化学肥料と同じ役割を果たして、間接的に魚の酸素を奪ってしまうのだよ。この容量で、原子力発電所は、酸化窒素だけでなく、酸素原子が三つくっついたオゾンもつくっている。つまり、原子力発電所が藻の激増に繋がっていることも、誰も予想できなかったことの一例だ」。
 そうですね。
S博士  「だから、発電所が出す液体廃棄物は、始めは誰もが海は広いし、とても深いので、人間社会にはまったく影響がないと計算していた。しかし、先ほどから言っているように、微量だから大丈夫ということは決して有り得ない。また、Busby氏らの発見が論文で細かく発表されたように、海に放出した放射性物質は、必ず波に乗って浜に返ってくる。イギリス、ウェールズ、スコットランドの原子力発電所付近の砂浜でも、このことが確認されたのだ。日本でもきっと同じことが起きているだろう。海水で薄まると期待していた放射性物質が、波に運ばれて返って来て、それが雨にも混ざって、また土の中にも入ってくるのだ」。
 それでも、魚からは放射性物質が検出されてないと言われますが。
S博士  「だから、まずそれは安全値がニ、三桁ずれたままだからだよ。もちろん遠洋の魚の方が、放射線を受ける量が少ないし、日本は遠洋漁業が多いから、まだ安全な方かもしれない。それでも、50年前の安全基準が残っていることが問題だ。たいていのガイガー・カウンターは分かり易いガンマ線を計っているだけで、アルファ線やベータ線のことは計れないので、これにはもっと複雑な機械が必要なのだ」。
 そうなんですか。
S博士  「ガイガー・カウンターは、砂浜にたまったガンマ線を読むことはできるが、魚のアルファ線やベータ線などの正確に計るには、魚の肉や骨をとって、化学的に調べる必要がある。これには大変な技術と計算力が必要になるのだよ。化学的に分離させた液体を、放射線検出用のシンチレーション計数管に通すのだから。つまり、骨にたまるストロンチウム90のように、いちばん強力で、いちばん厄介な放射性物質ほど、かんたんな計器では探知できないのだ」。
 はあ。
S博士  「分かったかい?原子力発電所ができてから30年後に、ペトカウ氏が発表して初めて分かったことがあったように、知らなかったことが多過ぎたのだ。ひとつの細胞が放射線を受けると、周りの細胞が影響を受ける『隣人効果 (Neighboring Effect) 』のことも知らなかったし、いろいろなことだよ。我々は、世界を壊してしまうような原子爆弾をつくってしまった償いとして、原子力発電を急ぎすぎたのだ」。
 どういうことですか?
S博士  「核分裂が発見されたとき、多くの物理学者は大学の研究室を出て、マンハッタン・プロジェクトに参加した。当時はヒットラーが世界的な脅威だったからだ。ドイツに原爆を渡してはいけない、と。同じことがイギリス、フランス、ロシアでも起きた。そのうちに、スターリンが出て来て、今度は冷戦が始まって、多くの物理学者は核戦争を避けるためにと、核爆弾の開発に一生を捧げたのだよ。と同時に、そんな軍事目的に利用されただけで死ぬのは良心が耐えられなかったのだろう、アイゼンハワー大統領が提唱した『平和な核利用』のアイディアに皆が飛びついたんだ。アイゼンハワーは、『クリーンな原子力』をつくる原子力発電所を世界中に売り込もうと躍起になって、物理学者はそれを喜んでその手助けをした。ヒロシマとナガサキで起きたことや、人類を滅亡させる核兵器をつくってしまったことへの罪悪感のためにね」。
 とても興味深いです。でも彼らは、放射能の影響を予知できなかったのですか?
S博士  「そのときは、本当に経験とデータが少なかった。いろいろな不幸が重なって、今の状況をつくってしまったのだよ。多くの人は、核爆弾がないと不安でしょうがなかった。私の孫みたいに、お気に入りの布団がないと眠れないのと一緒でね。共産主義が世界を食い尽くしてまうのを止めるには、核爆弾が必要だと本気で思ってたのだ。これが核の軍拡の原因であり、それに乗っかって、アイゼンハワーがきれいなエネルギー政策と称して原子力を勧めたものだから、誰もが信じきってしまった。日本の場合は、国民がたいへん丁寧できれい好きだから、モクモクと汚い煙が出る発電所と違って原子力は魅力的だったに違いない」。
 では、これだけの知識が今あって、それを知っている専門家も世界中にいると思うんですけど、根本的なところで変えて行けると思いますか?
S博士  「これが実は難しいのだ。何故かと言うと、大学の研究室などのリサーチのほとんどは、政府の補助金で成り立っているからだ。その政府が、原子力発電はクリーンだと信じ切っていたものだから、今になって過ちを認めたくないのだ。例えば最近でも、コネチカット州の原子力発電所で問題があったのが分かっているにも関わらず、微量だから問題ない、と繰り返すだけだ。EPA(米環境庁)も、原子力産業を守ろうと、必死になっているのだ。石炭による発電が産むスモッグや水銀と違って、クリーンなエネルギーだと言う、昔の謳い文句そのままだ。でも水銀では、爆弾はつくれない。分かるかい」。
 それは、今だと強く言われてますよね。二酸化炭素を排出しないから良いんだと。
S博士  「それはいつの時代も言われてることだが、でも、本当は、ウラン鉱山の採掘、ウランの運搬、ウランの濃縮、多くのエネルギーを使って、石炭を使ってウランも濃縮すれば、世界のCO2排出量は、原子力発電所を増やすことで解決できないことは、誰の目にも明らかだ。その上に、今知られているウランの埋蔵量もたった数十年でなくなってしまうことを、誰も気にとめていないようだ。現在では、石炭が排出するガスを地中に送り返して岩に変えることによって、CO2の排出を防ぐ方法も出て来ているのだ」。
 石炭が見直されてるのは聞いたことあります。
S博士  「その他にも海洋エネルギーや、地熱エネルギー、風力、太陽、沢山方法はあるし、水素だけでもさまざまな活用法がある。これを原子力産業がひた隠しにしているのだ。ウランに莫大な投資している人たちが、新しい発電方法の浸透を防いでいるばかりか、健康への害も隠している。私が何十年も経験して来たことだが、体質的にモラルを忘れた産業だと言わざるを得ない」。
 一般の人へのメッセージとして、自分の健康を守るには何をおすすめしますか?
S博士  「アメリカでは記録を公表することも止めてしまったので忘れられてしまっているのだが、原子力発電所付近の農場がつくった牛乳は、まず飲まない方が良いだろう。また飲み水は、逆浸透装置を使えば、ほとんどの重い放射性物質はフィルタすることができる。本当は行政がやれば良いことなのだが、コストが高過ぎるのだ」。
 それでは、今日はここまでにします。ありがとうございました!
S博士  「ありがとう。ほかに質問があれば、何でもきいてくれ」。

  アーネスト・J・スターングラス博士 (Dr. Ernest J. Sternglass)
 1923年、ベルリン産まれ。14才の時に家族とアメリカへ移住。若き頃に、既に世界的権威だったアインシュタインと議論を交わし、科学の志を新たにする。1960年から1967年は、ウェスティングハウス社の研究室でアポロ月面科学ステーションプログラムの局長を務める傍ら、アメリカの大気圏核実験に反対するようになる。彼が国会で発表した研究の成果は、ケネディ大統領が'63年にまとめた部分的核実験条約(PTBT)の締結に大きく貢献した。(ケネディはその僅か三ヶ月後に暗殺されてしまう) 70年代に入って、今度はそれまで安全だと信じていた原子力発電所の危険も公に問うようになる。'81年に出版した「Secret Fallout: Low-level Radiation from Hiroshima to Three Mile Island」 (邦題:赤ん坊を襲う放射能)は、低レベル放射線研究の代表的な本となった。1983年よりピッツバーグ医大、放射線医学名誉教授を務める。過去にスタンフォード大学、インディアナ大学、フランスのアンリ・ポアンカレ大学、ジョージ・ワシントン大学、コーネル大学で放射線医学と物理学の教壇に立つ。1995年より、Radiation and Public Health Project (放射能と公共健康プロジェクト)局長。
(photo by Leuren Moret, Februray 2006, Japan)

04. 佐助 2013年12月02日 23:23:24 : YZ1JBFFO77mpI : IM2dcPt2KE
 ほぼその通りですが,抜けていることがある。だが日本の原子炉は致命的な振動応力の発生を抱えています。

 日本の原発54基を点検すると,すべてに腐食・穿孔・発熱が見つかっている。原発は原子炉建屋と核燃料集合体の「固有振動数」が同期しているからである。腐食・穿孔・発熱がイオン化で加速するとマグネシュウムやナトリウムの分子が多い海水等で容器や配管,肉盛り部にクラックから孔が開く。孔が開くと『燃料棒が入っている原子炉容器の密閉性が』崩れることになるから,原子炉圧力容器内で発生する水素が格納容器内に漏出し、格納容器内で可燃限界濃度に高まり水素爆発を起こす。

 仮に不活性な窒素ガスを格納容器内に注入し、水素爆発を防いでも極めて高濃度の放射性物質を含んだ汚染水の海洋への放出や高濃度放射性物質を大気に放出しなければならない。この「固有振動数」は共振共鳴振動応力が加速するし水の中でも地下でも関係なしに発生します。これらは共鳴振動数の一致/不一致により、振動応力・腐食・穿孔・発熱を発生させ自己崩壊するのです。

 そして水の分子に氷結されていた放射能が、空気より軽いので放射能物質は空中に舞い上がり1万メートルから雨や雪と共に地上にバラまかれる。地下水脈から海洋に流れてまた上空へが繰り返される。そのために地下や埋めるのではではなく鉛で吸収,石棺で覆い囲まなければなりません。安全冷却システムがいらないベントするから大丈夫だとECCS(非常用炉心冷却装置)も外してしまったが,このベントは放射能物質が大気に薄められても空中に舞い上がり1万メートルの上空から分子に氷結され,ばらまきしていることになる。


【桑原豊(元東電社員) 氏のレクチャー】
 「★阿修羅♪ > 原発・フッ素35」の赤かぶ氏の2013.12.14日付け投稿「<1ベクレルの怖さ>だからこれを身体の中に飲み込んだらどうなるのか?という事がわからない。12/4元東電社員桑原豊さん」を転載しておく。
 <1ベクレルの怖さ>だからこれを身体の中に飲み込んだらどうなるのか?という事がわからない。12/4元東電社員桑原豊さん(文字起こし)
 http://kiikochan.blog136.fc2.com/blog-entry-3447.html
 2013-12-14(10:01)  みんな楽しくHappy♡がいい♪

 2013年12月4日 参議院議員会館  子どもの安全な場所での教育を求める ふくしま集団疎開裁判 記者会見

 放射線管理区域での防護服の実演とお話をしていただきます。

 文字起こし部分のYoutube→http://youtu.be/3qYP47HRpfo?t=43m43s

 元東電社員という話なんですが、もう30年前の話です。一応辞めたおかげでね、いろんな事が出来ましたので。これから「管理区域でどのような事を守ってやっているのか」ということをまず知って頂きたい。

 一応放射線防護教育というのがあります。A・B・Cとあります。テキストがあってこれに基づいてやります。放射線とは何か?という事で。

 これは見飽きているとは思うんですけれども、放射線そのものは自然放射線も人工放射線も変わりありません。いいですか。なんか言っていますよね、自然放射線と人工放射線は違うんだ。嘘だからね。影響は一緒です。だから、人工放射線の分だけみなさんはリスクを負うことになるんです。勘違いしないでくださいね。

 で、放射線はなにか?と言ったら、ここに電球の球があるんですけれども、そこから光を出す能力があります。それを放射性物質。電球の球は「放射性物質」。皆さん勘違いしているんです。放射線の光の方をね、放射性物質と勘違いしている人がいますんで、ここを理解していただきたい。これを理解しないと皆さん内部被ばくで死にます。

 その光を出す能力が「放射能」。いいですか。この電球の球がセシウムの場合、1ベクレルというのは1秒間に、1秒間ですよ、「原子核が一個崩壊する」ということなんですね。「崩壊する」で、放射線が出るんです。それが1ベクレルですよ。

 いま山本太郎さんが言われた通りなんです。1ベクレルの怖さをいま教えます。1ベクレルというのはセシウムの場合13億7000万個のうちの1個が1秒間に核分裂を起こすんです。核分裂というか崩壊を起こすんです。いいですか。「13億7000万個セシウムを身体の中に入れるんだよ」という事です。ストロンチウムだったら13億1000万個。 セシウムというのはアルカリ金属の中でも、水酸化セシウムというのはすごく強いんです、アルカリ性が。だから溶けるんですよ。だから心臓に穴があくと私と前田が言っているんです。だからそういう事が分かっていれば1ベクレルの怖さが分かるでしょ。

 100ベクレルだったら何個あるんですか?これ。それが要するに水と反応して水酸化セシウムとかそういったものに変わるんです。その怖さを知って下さい。 こんなつまようじの様なものをバケツの中に落としただけで爆発するんですからね。ナトリウムどころじゃないですよ。そういう特性を持っているんだという事を知って下さい。 こういう事を知らないと騙されますから。

 こういった放射線は、放射性物質から放射線が通るとですね、原子が飛ばされます。そういったものを電離作用というんですね。だから電離放射線防止法というのは、こういった電子が飛ばされる作用、電離放射線。ね、そういった作用があるから「危険だよ」と言っている訳です。

 半減期というのがあります。半減期というのはたとえば今セシウムが100万ベクレルあったとして、それが30年後に50万ベクレルになるんですよ。60年後に4分の1ですから25万ベクレルね。 私のところは100万ベクレルを超えていますけれど、ですからもう、30年、60年無理なんですね、私のところは。これは物理的半減期と言います。 ですから全員の新しい村をつくって下さいと私は言っているんですけれど、なかなか言う事を聞かない。

 それで、放射線と放射能の単位という事でベクレル、それからシーベルトという事であるんですけれども、皆さんが言っているのはこの表面ね。実はここに放射性物質があるんです。ガンマ線で測ると、なんら音がしませんね。これはガンマ線で測るものは大体シーベルトでやっているんですね、皆さん。ところが、今度はアルファ線、ガンマ線、ベータ線全部測ります。48:49。どうですか?音がしますよね。 ガンマ線が低いから、放射線が低いからと言って、放射線が出てない訳じゃないんだという事。いいですね。 だからこれを身体の中にのみ込んだらどうなるのか?という事がわからない。

 それで、私はこれを袋の中に入れています。という事は、ここに放射性物質、さっき言った電球の球がここに入っているわけです。だけど私はこれを素手で触っています。放射線は受けるけれども、放射性物質は散らばらない。ね、そういった事をまず分かって頂きたい。だから封じ込めなければダメだという事です。

 私たちが管理区域で働いた場合、外部被ばくを調べるためにAPDアラームポケットデジメーターと言って、0.1だったら、0.1でその時点でアラームが鳴ります。「早く出なさい」って。1日1ミリシーベルトまで受けていいんですけれど、1ミリシーベルトを1日中受けていたら、20日しか働けません。だから0.1なら0.1と決めて、それで出て下さいよ、ね。

 それからここにFB(フィルムバッチ)って言うのがあります。フィルムバッチとAPDは必ずつけて、実はこれは私のガラスバッチなんですけど、そういったものを必ず付けて入域しなければいけない。 それから管理者に関しては内部被ばくを起こしていないかどうかホールのディカウンターで検査しなさいよ、という事になっています。それでですね、内部被ばく。1.登録時 2.登録後3ヶ月毎 3.登録を解除する時 4.必要と認められた時測定を行います。

 入る前にやります。それから登録して作業者になってから3ヶ月毎に受けます。それから登録解除、仕事が終わって原発から出ますよ、という時に、解除する時にそういったホールボディを受けます。それから表面汚染で、ここら辺汚染しましたよという時にも医者の指示で受けなければなりません。

 今の子どもたちがどんな状態におかれているかを考えながら聞いて下さい。

 それと身体に放射性物質を付けたまま出ちゃいけませんから、管理区域から。ですから退室モニタ(ゲートモニタ)というものがあります。今のホールボディよりいいやつですよ。これね、体が縮まるんです。幅がね。頭からも縮まるし身体もこうなるし、ですから正確に測ってくれるんです。そういう機会を使っていただきたいですね。

 まず作業をする前に放射S年がどの位あるのかという事が分からなければいけないし、それから今言ったように表面に放射性物質が付いてないかどうか身体に付着しますので、あるかないかを確認しながら。 で、これはすみやっていうんですが、すみやふき取ってですね、ここに付着していればそのすみやに付着する訳です。そうやって汚染があるかどうかをフィルム管で確認したり、それからまた別な、特殊な機械がありますけれどもそれで測定します。

 空気中に放射性物質が散らばっていないかどうかという事で、ダストサンプラーというものを使って、空気中の放射性物質を検査します。あと、連続モニタもあります。そういったもので空気中が汚れていないかどうか?法律に触れていないかの基準を見ております。

 先程山本太郎さんの方からあったと思うんですが、放射線の影響という事で、急性障害というものを、すぐに表れる状態のものとか、、それから6ヶ月ぐらいで白内障になるとかね、そういったものを急性障害と言います。そういうものを昔は非確率的云々って言ってたんですけれども、今は確定的影響と言っています。

 さっき遺伝子の話がありましたけれど、遺伝的影響という事で、後でなるであろう晩発性障害と遺伝的影響というのが確率的影響と言われています。しきい値というのがあって、確定的な場合はこれまで受けたら影響が表れるというもの。確率的影響は要するに遺伝的なものとか発がん性に関しては「しきい値はないよ」と言われます。ですから、「放射線がある限り影響があるよ」と認める形になります。 それで法律があります。

 実効線量限度というのがあるんですけれども、1年間に50ミリシーベルトまでですよですけど、5年間で100ミリシーベルトですよ。ですから東芝さんとか日立さんは年間18ミリで抑えています。5年で100ですから20ミリまでしか受けられません。だけどそれを目一杯やっていると余裕が無くなっちゃっう。

 あと1分?じゃ、ここだけ。 妊娠中の内部被ばくは1ミリシーベルトです。妊娠中の2ミリシーベルト1年ですよ。これはおかしいですよね。5ミリシーベルト、20ミリシーベルトの中で妊婦さん達抜けられますか?という話、法律違反でしょ。そういうことを頭に入れてやってください。
 
 防護服の実演
 54:30~
http://youtu.be/3qYP47HRpfo?t=54m30s
 (この部分は動画でご覧ください)

 (ハサミでチョキチョキ) こうやって脱ぐと身体を汚さないでしょ。だから放射性物質は皮膚に付着させてはいけないんです。直接付着すると影響を受けます。






(私論.私見)