【質疑】
Q1.薪ストーブを使っていますが今までのように普通にあたっていてもいいものでしょうか。27,300ベクレル出ました。シーベルトも測ってもらいましたがシーベルトはそんなに高く無い。
A1.申しました通り、距離の問題です。薪を抱いていれば浴びるかもしれませんが、ストーブからの距離が遠くなれば遠くなるだけ自分には放射能は来なくなることが一つ。おそらくその程度の量で普通に使ってらっしゃるのでしたらお見受けしたところ生涯の寿命に影響が出ることはありません。
Q2.先生の話を聞いていると2重丸、3重丸あるいは花丸いただいたような気がします。私は先日、市役所の方の簡易測定器を借りて測定してみました。金曜、土曜とお借りして測りました。家の前にある庭、あるいは犬小屋、隣の塀の下、それはまあまあの数字でした。ところが残念なことに、私、朝晩散歩していますが、家の中、奥座敷もそうなのですが、玄関入ったロビー、ここら辺が若干ですけど数字が出てきている。コンマ001かコンマ002、その辺の原因はそれなりに素人で判断しましたが散歩行ったときに上着に付いているほこりとか、そういうものが影響しているのか。それともワンちゃんとか散歩したりして土を運んできてそういうのが運んでくるのかと思いましたがその辺はどうでしょう。
A2.まず、外よりは家の中の方が低いです。その程度でしたら、多分どなたもお測りになると家の中でその程度は出ます。ガンマ線は外に放射能がある場合、家なんか簡単に通過しますから、庭とか外にあるものが家の中に入ってきて若干は測れるというのが実は私たちはわかっています。そうじゃないとおかしい。
その中で測れているのは宇宙からきた宇宙線も測れています。あとは、もしおうちの下が岩盤だったら、地震に強いところだったら、下に大きな岩盤地帯があったとすると他のうちよりは高くなるります。岩は放射線が高いです。ですから、そこら辺が原因だと思います。ですから、特別高いわけではないだろうと思います。
これも雑学ですけど、同じモニターを持って新幹線に乗っていただくと新幹線のトンネルの中がぶわっと高くなります。要は山の中で岩をくりぬいているので、岩から出ていたものがしっかり測れるくらい、今おっしゃったのより高く値が出るくらい出てきます。ですから多分その程度の量なのでそんなに心配する必要はありません。
Q3.先生の話を聞いて尐ない放射能については心配することは無いのだろうということで話されたのですが、除染する意味があるのでしょうか。それよりも別な下水道の復旧とかそういうのにお金をかけた方がよっぽどコスト的にプラスになるのではないかとそういう風にさえ聞こえる内容でした。実際、角田は緑いっぱいの地域ですから、うちの前とか平なところは除染できたとしても、田んぼ、山を含めて除染なんか可能でしょうか。その辺の先生の答えを聞きたいのが一つ。
後一つは、私は女房と一緒に行きますけど、女房の実家は福島県の富岡町で、今埼玉県に避難しています。警戒区域なので個人の意志に関係なく逃げざるを得ないです。先生の話を聞いていると埼玉県に逃げること自体は、さっきの話ですと、南極以外無意味のようですから家族バラバラになって職場も何も全部失って政府の命令で逃げているわけですけど、これって何なのかなというふうに手を挙げたところが降ろすところ無くなる感じで、ずっと富岡町に住んでいた方が長生きするのではないかという風に聞こえてくるような内容だったので、この逃げ惑っている家族にしてみれば、今の話を本当にどういうふうに聞いたらいいのか。実際8万人以上の人が逃げているわけです。そのことが事実あるわけですから、私らも心配になります。先生の話を聞くとあっ大丈夫だなと思いますが、実際片方では逃げている。何日か前の新聞で、4号炉で何かあれば170キロ圏まで全部強制退去になるというシミュレーションが河北新聞で発表されました。170キロというと宮城県全部入ります。それがうちの女房の実家と同じように、ここ角田も逃げさせられるのかというのが実際商業新聞に載るわけですから、先生のいうそのそれで飯を食っている人たちの意見なのかもしれませんけれども、私はそれをみるとやっぱり心配です。だから私の脳も多尐小さくなっているかもしれませんけど、それを先生にぜひ戻してもらいたいと思います。よろしくお願いいたします。
A3.まず、除染すべきかどうかということに関してはおっしゃった通り角田のレベルであれば、除染に使うお金を他に使う方が、効果が高いとは私も思います。ただし、国がこれは後のともかぶりますが、ルールを決めた。これよりも環境放射能が高いところは除染した方がいいですというルールを決めてしまった。これよりも放射能が高いところは逃げなきゃいけませんというルールを決めてしまった。そうなってくると法律を守らなくてはいけないという法治国家にいる我々に義務が生まれてきて、これは科学とは違います。科学の問題でも何でもありません。単なる法律の問題です。
実際に除染活動に関して言うと、おうちの周りだけ一応高いところ、高いところはさっき言ったようにドブと葉っぱの吹き溜まるところとあとは屋根です。ここだけちょっときれいにしてもらえれば、あとは山の中に放射能がいっぱいあっても山の中で365日暮らさなければ大丈夫です。距離をとれば放射能は怖くないです。そういう意味では自分の普段暮らすところの近くにたくさん無ければいいという感覚を持っていてもらえばいいでしょう。ただ今こう言った言葉も今までの話と矛盾しています。それは放射能があると危ないという立場に立って話をしている。何故かというとメディアが皆さんに放射能は危ないということを刷り込んでしまって、不安を刷り込んでしまっている。皆さんは不安で、不安で仕方が無いから、県も仕方なくパフォーマンスとして除染しますということをしないと不安の方が大きくなってそのリスクが膨らむ一方だというのも除染活動する理由です。なぜ今、除染活動しているか、皆さんの不安を取り除くためです。皆さんの寿命を放射能影響によるガンから守るための影響はありません。ただ、皆さんが不安に思って高血圧になったりうつ病になったりするのを守る効果は除染活動にはあります。ですから、どちらかというとメディアによって我々が刷り込まれてしまった情報から守るために除染活動をしているという風に考えてください。
福島の、避難しなくてはいけない地域というのは法律の問題です。法律を決めた人たちは学術的な根拠があるところで話をしていません。学術的な根拠というのは一度に100ミリシーベルト浴びたらガンが0.5%増えるということだけしかない。人類の知恵はそこしか無いのでそこからみんな想像力をたくましくして、こうだら、こうだ、ああだら、こうだというのを決めて動かしています。
そういった中でも実は日本に対して、非常に厳しいレベルを国民に与えないといけないというプレッシャーをかけている国があります。これは今言った170キロという話もそこからきています。ドイツです。ドイツはそういったことを我々に対しても、国にもきましたし、日本中にプレッシャーをかけています。彼らは我々日本人のことを思って言ってくださるのかなと最初は思っていたのですが、どうもバックには放射能の測定装置のメーカーがしっかりついていることを私は知っています。不安になってみんなが測定器買えばぼろ儲けする人が実は世の中にいます。ですので、ぼくも性格がひねているのかもしれないですけど、今回の騒動で誰が得したということを考えていくと、誰がこの騒動を作ったかというのが尐し見えてきます。
一番はメディアです。メディアが騒げば騒ぐほど皆さん心配してテレビを見る、新聞を買う、週刊誌を買う。たくさん儲かります。危ないと言えば言うほど儲かります。あと、ものすごく伸びている、ぼろ儲けしている企業は実は放射能の測定器、日本よりもドイツが精密機をどんどん輸出して高いのを今日本人に買わせていますからその辺は騒動を作った主の一人だろうなとうがっています。これは科学ではないです。私のうがりです。まやかしたようなことを言いましたが、除染活動自体は科学的根拠があると私は思っています。根拠があるとすれば、皆さんの不安を取り除いてその結果として皆さんの寿命を伸ばすという効果はあるのではないかと推測はします。福島の避難地域ということに関しては、これは法律です。法律は科学ではありません。
Q4.今回の原発事故は、ちょっと他の話で長崎、広島の爆発とはレベルが違いますけど、それを除いて放射能のレベルで見たら、今回の原発と原子力爆弾の放射能というのはどの程度のレベルのものですか。
A4.これも実は福島原発はある地域で爆発しましたから、そこからの距離によって話が違います。角田で話しましょう。角田で言うと当時の方が高いです。昔の原子爆弾の実験をしていたときの方が角田で言うとその時の方が高いです。ただ、福島の飯館とかになってくるとやはり今の方が高いです。そういうレベルの話ではあります。間違いなくすでにこれ以上浴びた中をくぐられてきています。
Q5.先生の話を聞いていますと、放射能なんてどうってこと無いよとそんなにビクビクしなくても普通に生活して大丈夫ですというふうに聞こえまして大変ありがとうございました。
質問というより非常に幼稚なことですけど先生の話で岩盤だとか山の中だとか地球上に放射能の無いところは無い。南極以外は無い。地球自体が持っている自然の放射能でしょう。ところが、広島にしろ、福島の原発にしろ、自然というよりも人間が作為的に作ったものじゃないですか。私が聞いているものによると放射能は原子だって一応聞いている。詳しいことはわかりませんけれど。そこで、人為的に作ったものと地球自体が持っている自然のものと何か差があるのではないか。それとも全く原子は同じなのか、その辺の科学的なお話が聞けたらいいということが一点です。
A5.違いがあります。自然からくるのはガンマ線だけです。今、福島から出てきた放射能はガンマ線とベータ線を出す。ですからベータ線の分だけは人工放射能の影響があります。ベータ線は先ほど説明したようにアルミ箔一枚で止まります。それから体の外にあっても皮膚でそこから先に影響することはできません。そういう意味では総量で考えると誤差の範囲、ほぼ同じ。科学的に同じか違うかということを厳密に勘案するとベータ線の分だけ、ちょこっと違います。95%同じです。
Q6.半減期というのが1週間とか30年とかお話ありましたけど、これは先生の話聞いていると自然に消滅するという風に受け取りましたが、東北大学のようなところで半減期が30年も50年もあるものをそこらに置いとかないでもっと早く消滅できるようなことを科学者さんとして研究していただければ、我々ももっと安心できるのではないのかなと思います。
A6.我々科学者も手をこまねいているわけではありません。体の中に入った放射能をどうすれば早く出すことができるかという研究はたくさん今始まりだしています。ですから手は打っています。セシウムを放射能出なくしようということは研究できるかというとできます。ただそれをするにはもっと大量の放射能をそこに浴びせないとできません。要は原子核を作り替えるくらいの強いエネルギーを当てれば違うものになります。でもそれはもっと危険なことですから、危険が無い方法でそれをするというのは論理的にはまだ無理です。これから大天才が現れて論理的には無理だということを解いてくれれば別ですが、現状の科学では天才を持ってしてもそこにあるセシウムから放射能を無くすということは不可能です。
Q7.今回の福島の中でプルトニウムは無かったのですか。
A7.これはぼくも報道によるしか無いのですが、プルトニウムは出ていないはずがありません。なぜならメルトダウンをして水素爆発を起こしていますからプルトニウムは飛び散ったはずです。プルトニウムの計測結果というのがあまりきれいに出てないです。東北大学でも測っていますが、尐なくともこっちには飛んできてはいません。理由は重たいからです。だから相当大きな爆発、ボカンと無い限り遠くには飛ばないです。福島原発の敷地の中で出てきたという報道はありましたけど、これも原発から出たものか、50年前の実験で出たものかは区別がついてないです。ごく尐量です。だからわからないというのが答えです。普通に考えると出たはずだけども測れるだけのものが我々の身近にあるという情報は無いというのは言えます。
Q8.一つだけお聞きしたい。先ほど学生の方を対象に放射能の不安で脳が萎縮するという話がありましたが、人間はそれだけで生活しているわけじゃないから、あの結論は何人で測って、あそこの結論を導きだしたのはちょっと乱暴な結論ではないかと言うふうに思ったのですがその辺はどうですか。
A8.これは偶然震災の前に脳の計測をしていた学生たちで震災後に心理学の調査を全部行って、どれだけ不安に思っているかを全部点数化してきちっと調べて、不安に思う思い方と脳の体積の変化を調べるという科学的には間違いが無い方法で行った実験でのデータをもとにして話をしています。ですから乱暴でも何でも無いという風に私たちは思っています。これは恐ろしい科学のデータだと逆にぼくなどはそれを見て怯えたくらいです。ぼく自身も震災の後いろいろ不安に思った一人ですから、そういう意味ではぼくの脳もこうなっているかなと非常に悲しくなったデータです。ですからどちらというと柔らかく言ったつもりですけど事態は非常に深刻です。ぼくが言った以上に深刻なのを実はお見せしたという風に思っていただいた方がいいかもしれません。
Q9.お医者さんは先生のように意外と楽観的というか厳しく見ながらもどちらかというと楽観的です。物理学者というかそちらの方は大変厳しく評価されています。その辺の違いはどういう風に考えられているのでしょうか。
A9.実はこれ医者だけじゃなくて、私の研究所も私のように人間と付き合ってきた、これ臨床といいますが、臨床医と基礎研究しかしてないお医者さんがいます。基礎研究しかしてないお医者さんはヒステリックに言います。放射能が危ない、危ない、遺伝子壊すと。物理的に言うと放射能がちょっとあれば先ほど言ったように遺伝子を壊す。それは量が増えれば増えるだけ、量は確率的に増えていく。これはもうわかっています。そこを取り上げて危ないと言います。ぼくたち人間を見ている立場の人間は遺伝子が壊れてもガンにならなければいいという立場です。要は寿命が縮まるようなことが起こらなければそれはリスクでも何でも無いというふうにとらえるのが人間を見ている医者の考え方です。
一方で、体の中で何か変化が起こるのが気持ち悪いと考えるのが分子や遺伝子しか見ていない、もしくは原子核しか見てない人たちの考え方です。これは科学の両面性だと思っています。科学的に精緻な事実で言えば、遺伝子が壊れる量が増えるのでそれはそれで気持ちが悪いと言って危ないではないかという理論が成り立つ。それは正しい。ぼくたちはガンで死ぬという出口にどれだけ人がたどり着くかというデータから考えると影響が無い。これも科学的に正しいわけです。そういう意味ではそこの差だと思います。
物理屋さんたちはどちらかというと遺伝子、分子を見ている人と同じ感覚。一個ガンマ線が通れば、それが遺伝子のどこかのタンパク質に当たってはじき飛ばして、それが悪いことを起こす数が増えてきますという立場の考え方でしかありません。
ぼくたちが正しいと思っているのは、人間がガンになって死ぬ確率が増えなければ遺伝子がどこか痛んでも別にいいではないか、自分の子どもを作ったときに奇形を作らなければそれでいいのではないか、そういう感覚でしかありません。そこの温度差が多分、言葉で出てきていると感じます。(H24.3.14)
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