WHERE−日本での発展史、ネットワーク.ビジネスの日本の歴史 |
(最新見直し2008.9.23日)
【「マルチ.レベル.マーケティング」(MLM) の日本での歴史初期】 |
既に見て来たように、マルチ商法は凡そ1950年代よりアメリカにおいて誕生した。このマルチ商法が日本に進出してきたのは、それより17年後の1967年(昭和42)頃(又は昭和44〜45年)になる。本格的には1972年(昭和47)頃から目立つようになった。代表的な進出会社として“APOジャパン”、“ホリデ ィ.マジック”、“ジェッカー.チェーン”の三会社が挙げられる。この時期を初期 マルチの時代として捉えることが出来るが、これらのうち前2社はアメリカにおいても名うてのマネーゲーム的志向の強い会社であり、こうして日本では、「MLM」は「ネズミ講」や「悪徳マルチ商法」から始まったという不幸な生い立ちを持つことになった。これら外資系に触発されて、日本人が経営する和製マルチ会社も登場することになった。“スワイプジャパン”が和製マルチ会社のはしりであり1969年(昭和44)に営業を開始している。 |
【APOジャパンについて】 |
1971(昭和46)年10月設立。本社/神奈川県横浜市山下町。製品/自動車用品。特徴/わが国に最初に設立された米国系大手マルチ業者。 |
【ホリディ社後日本ホリディ.マジックについて】 |
1972(昭和47年)8月設立。本社/東京平河町。製品/化粧品。 (ホリディ.マジック商法について) ホリディ.マジック商法は、APOジャパン商法に比べてより原始的とも云えます。 同商法は、サンプル程度の商品を用意していましたので通常きわめて粗削りの「マルチ商法」として受けとめられていますが、私説の区分上は、実態からみて「偽装ネズミ講 とみなしたいと思います。同商法は、どの段階の会員にも商品のサンプル程度しか渡し ておらず、商品販売そっちのけで会員を人狩りし、勧誘(リクルート)することにより 入手されるリクルート料を会員の最大の収入源としていました。 同商法は、悪徳商法の粋として強烈な洗脳(破壊的マインドコントロール)教育を採用していました。まずビジネス.プレゼンテーションと称する説明会に始まって、コン シューマー.セールス.セミナーという昇格の為の講習会、さらに幹部養成の講習会と 洗脳手法が組織の中で余すところなく駆使されました。その訓練方法は、ピンタの連打 など旧日本軍顔負けのスパルタ教育であり、リンチ.トレーニングを多用しており、岐 阜市内では、密室で訓練を受けた会員が精神に異常をきたし入院するという被害にあい ました。これは1974(昭和49)年10.24日の参議院決算委員会で明らかにさ れています。最盛時会員数1万数千人。 (ホリディ.マジックのその後) |
【ジェッカー.チェーンについて】 |
1973(昭和48年)1月設立。本社/東京銀座。製品/アイデア商品販売。 (ジェッカー.チェーン商法について) ジェッカー.チェーン商法は、商法の内容をコロコロと変えてはみたものの、洗脳催 眠的手法を用いた説明会で会員を獲得していくというやり方はAPO商法に近いものと云えます。同商法も又悪徳商法を全国的に展開して多大な被害を巻き起こしました。 この三社を旧三大マルチ組織と総称出来ます。これら三社が昭和48年から50年に かけて、日本全土に大きな被害をもたらすことになりました。APOは1975年(昭 和50)12月、ジェッカーは同51年11月に、ホリディは同52年4月に実質的に 倒産。こうして旧マルチ御三家は崩壊しました。 この後同51年から52年の短期間ではあるけれども、【ゴールデン.ケミカル.プ ロダクツ】と【ベストライン.プロダクツ】が活躍しました。共に外資系で洗剤を販売 し、日本法人は東京都内にありました。ゴールデン.ケミカル.プロダクツ日本支社は 同47年2月に設立。ベストライン日本支社は同48年11月に設立。両社は全く別法 人としてスタートしたのですが、実は米国ホリディ.マジックの傍系兄弟会社でした。 これら外資系洗剤マルチ商法は、相変わらず全国各地で洗脳的勧誘の説明会を頻繁に開 催しましたが、旧三大マルチ商法と変わった点は、まず、組織が複雑化し巧妙になった 点にあります。ベストラインの場合、講組織は本社の下に10ランクもありました。旧 三大マルチ商法が基本的に4ランクであったことを考えると一目瞭然です。変わった点 の第二は、きめ細かいマニュアルがつくられ、リクルート対象も百項目にわたって具体 的に分類するなどの工夫が凝らされました。第三点は、実際はカラ約束になったものの五カ年計画なるものを掲げ、将来の大企業を約束し、その際には幹部会員としての地位が保証されるという夢を与えました。 (ジェッカー.チェーンのその後) |
【スワイプジャパン】 |
1969(昭和44年) 月設立 |
こうした時代背景の中、昭和51年12月にマルチ商法を規制する訪問販売法(訪問
販売等に関する法律)が施行されることになりました。同52年5月にベストラインは
同法違反の第一号として摘発されました、このあと同社は急速に崩壊へと向かうことに
なりました。最盛時会員数数万人。 |
【第二期マルチ】 |
このような経過を受けつつ、新しいマルチ会社が登場して参りました。この時期のマ
ルチ会社の特徴は、過剰在庫を禁止して教育システムを作り、ランクごとの平均収入の
情報公開などで、販売員に配慮した仕組みを持つ企業が増えました。 |
【第三期マルチ】 |
株アイスター本社 |
【愛用者活用方式】 |
製品の愛用者の中から意欲のある人をセールスの先兵として活用していく販売方式。
そのルーツはマルチ商法と同様にアメリカであり、この方式をはじめて日本に持ちこん
だ外資系企業としては、世界最大の化粧品会社であるエイボンプロダクツ本社東京や、
プラスチック台所用品のタッパーウェア本社東京などが知られている。エイボンの場合、登録料2000円で会員になれ、同時にエイボンレディとよばれる販
売員になる。3週間ごとに送られて繰るカタログを見て本社に商品を卸値で注文するこ
とが出来、定価販売で小売すると小売利益が上がる。更に時分の傘下の製品愛用者を増
やし注文学をアップしていくとマージン率も上がって行くというシステム。ピックアッ
プ方式とも云われている。 愛用者活用方式ならマルチとは別ものと考えられる。 米国の悪徳商法の実態を調べた経済企画庁など6省庁合同調査団の「資産形成取引に 係る米国実情調査報告書」(昭和61年3月)は、「違法な商法と健全な商法との間の 明確な区分けはないが、一般に違法性の高い商法は、商品の販売よりも新規参加者のリ クルートに重点が置かれており、利益は主にここから生まれるシステムになっている。 これに対し、そうでない商法の場合は、あくまで商品の販売が主目的であり、販売員に ついてみると、 @、リクルートをしたからといって、それほど急速に収入が増えるとは約束しないこ と A、最初の事業開始に要する費用は少額であること、 B、商品を大量に抱えこむ必要はなく、もし販売員がやめたい場合はいつでも在庫を 返品することができる ことが一応の目安になっている。 愛用者活用式は、最近大手上場会社も導入してきており、商品的にみると女性用下着 や、化粧品、健康美容食品などを扱っているところが圧倒的に多く。 【女性用下着】 シャルレ本社(昭和50年11月設立) 本社/神戸市.林雅晴社長、婦人下着の訪問販売。 カネボウ本社大阪市化粧品セモア事業部 エクスワン 本社/大阪府吹田市、折敷郁也社長、ダイエーの100%出資子会社、折敷氏は元日本アムウェイの社長。 セシール 本社/香川県高松市通信販売。 トロピア販売 本社/東京都新宿区シルバー精工グループ。 |
【化粧品】 エイボンプロダクツ 東京都渋谷区、外資系訪問販売。 ノエビア 東京都港区及び大阪市東区、訪問販売、健康美容食品。 メイプ 東京都中央区、明治製菓グループ。 エスエス.ヘルスケアーアンドフーズ 東京都中央区、エスエス成約の子会社 イセライフデザイン 東京都台東区、鶏卵最大手のイセグループ クラレ 大阪市、ファミリー製品事業部 ユニー 名古屋市、東証1部上場のスーパー ニチメン 大阪市、総合商社 三基商事 大阪市、訪問販売 |
相関図 |
島津幸一 サンフラワーの藤本聖二会長 日本健康増進研究会 桝田勇む社長 ナチュラルグループ本社 中垣洋一社長 ダイヤモンド社 元社長川島譲 KKCの運営会社「ケイケイシー」社長 放馬茂 (APOジャパンノ東京支社長 |
(私論.私見)