人生論メッセージその6 「労働考」

 (最新見直し2008.7.22日)

 (れんだいこのショートメッセージ)

 ここで労働の意義について考察する。

 2008.7.22日再編集 れんだいこ拝



 聖書に、「働かざる者食うべからず」(新約聖書)という名格言がある。この言葉は戦後日本において二つの意味で使われた。一つは、食糧も富も何もない時代に人々は働くしか生きる道はなく、労働者の勤労意欲を高め、ときには自らに言い聞かせて労働意欲を奮い立たせるために、この言葉が使われた。もう一つは、大地主や財閥など自らは働くことなく勤労者を搾取し、その富で贅沢に暮らす支配階級、闇取引で大儲けしている悪徳商人、勤労を嫌う怠け者などを批判し、労働者階級の闘争意欲を鼓舞するために使われた。労働運動の指導者が演説や講演のなかでこの言葉をよく引用した。左翼のなかには、レーニンの著作のなかにこの言葉があったためにレーニン作だと思い込んでいる者が多かったが、これは、実は、聖書のなかの言葉である。

 新約聖書「テサロニケ人への第二の手紙」(日本聖書教会『聖書』、1955年)のなかに次の記述がある。

 「兄弟たちよ、主イエス・キリストの名によってあなたがたに命じる。怠惰な生活をして、私たちから受けた言伝えに従わないすべての兄弟たちから遠ざけなさい。(中略)また、あなたがたの所にいた時に『働こうとしない者は、食べることもしてはならない』と命じておいた。ところが、聞くところによると、あなたがたのうちのある者は怠惰な生活を送り、働かないで、ただいたずらに動きまわっているとのことである。こうした人々に対しては、静かに働いて自分で得たパンを食べるように、主イエス・キリストによって命じまた勧める」。

 森田氏は次のように述べている。

 「ここにみられるとおり、この聖書の言葉は、怠け者を戒めるものだった。昭和20年代、私たちはこの言葉を繰り返すことによって、怠惰な精神を叱り、労働を愛する心を培った。同時に飢餓の時代の労働運動の基本理念となった」。  






(私論.私見)