ツケは相手を固めて自分も強い石にするという効果がある。その性質から、相手の強い場所で使うと効果的なので主にサバキを目的として使われる。相手の石が強ければ固めても惜しくないので、ツケで整形ができれば満足である。便利なツケであるが、ツケてハネられた時の継続手でノビや引きなどを選ぶと石が重くなってしまいサバキにくくなるので、ツケからの継続手は切りやハネとなる。後は全ての石を助けようとしなければサバくことができる。
では、ツケからハネや切りを打たずに、ノビたり引きで打つのはどのような場合か? それは、サバキを目的とした場合でなく、相手を固める目的とした場合である。つまり、自分の石が危険ではない場合に使う手である。
カタツキ(相手の辺の石から中央へコスミの位置を突く手)も同様の手で使いこなせれば絶大な威力を発揮する。攻められる危険がある場合にはトビで軽く打つのがよく、その心配がなければノビる。どちらの場合でも、相手の石を固めることになるが反対に自分の石も強くなる。このことから、カタツキもある程度強い石に対して打つといいと言える。
ツケとカタツキは相手を固めて自分も強くなる手なので、例えば相手が価値の低い方面へ打った際に使用すると効果的である。ツケもカタツキも相手へ応手を強要する効果があるので、本当なら打ちたくない方面へどんどん打たせることができる。結果として相手は価値の低い方面に強い石を作ることになり、それが自分の優勢へと繋がることになる。これを打たれた側の立場で見てみると、ツケやカタツキから連打されるのは大損害なので、打たれたらほとんどの場合応手しなければならない。具体的にどのように応じればいいのかは周囲の状況にもよるが、ハネは厳しい反面として相手へと調子を与えてしまうこともある。ノビは調子を与えにくいという長所があるが、今度は利かされ(その交換だけで得と見なすこと)となりやすい。