観戦記者、観戦棋士系譜考

 更新日/2020(平成31、5.1栄和改元/栄和2).7.20日

 (囲碁吉のショートメッセージ) 
 ここで、「観戦記者、観戦棋士系譜考」をものしておく。

 2013.8.28日 囲碁吉拝


【囲碁将棋の観戦記者系譜考】
 「ウィキペディア(Wikipedia)観戦記者」その他参照。

 様々な競技を観戦し記事を執筆する記者のことを観戦記者と云う。主に新聞の囲碁将棋欄やこれらの専門誌で「観戦記」の執筆を担当する記者について呼ばれる事が多く、スポーツ競技を観戦する記者については俗にスポーツ記者などと呼ばれる。本項目では主に将棋・囲碁などにおける観戦記者について述べる。

 観戦記

 明治時代から現代に至るまで新聞社主催のいわゆる新聞棋戦では、新聞にプロの対局(時にはアマ)の棋譜が掲載される。この棋譜に対局者の紹介、対局の模様、指し手の解説等を加えた記事を観戦記と言う。テレビやインターネットといった伝達手段が発達していなかった時代には、観戦記はプロ棋士と一般のファンとの間を結ぶ唯一の伝達手段であり、それだけ観戦記の役割も大きかった。将棋の観戦記では、将棋そのものの内容の解説に加え、棋士の食べる食事・おやつ等が紹介される特徴がある。その歴史は古く、現在確認されているところでは1932年(昭和7年)に國民新聞に掲載された倉島竹二郎筆の観戦記で食事の内容が取り上げられたのが最古。囲碁では以前は食事の内容が取り上げられることは少なかったが、将棋の影響もあり、近年は観戦記に食事の話題が出ることも増えている。

 観戦記者は、棋戦が行われる会場に詰めて、プロ棋士の対局を観戦し、対局者の様子や対局の雰囲気を記録することが主な仕事である。ただし、棋戦の主催者(所属記者、あるいは委託を受けた者)以外は対局開始・終了時や感想戦などを除いて対局室に入れないため、その場合は対局中控室でモニター越しに棋戦を観戦する。また控室等で他の棋士達の検討を聞き、取材もする(新聞棋戦の場合は対局ごとに解説役の棋士が付く、あるいは副立会人等の棋士が解説を行うことも多い)。タイトル戦などは長時間の滞在となるため、時には麻雀やトランプ等ほかのことに興じる場合もある。対局の終了後は感想戦で対局者の読み、指し手の解説等を取材して、観戦記を執筆する。

 一口に観戦記者と言っても、作家や文筆家など色々なタイプが存在する。が、新聞・雑誌の記者とフリーの記者が最も多い。作家や文筆家は基本的にタイトル戦などの大きな勝負のみのゲスト執筆者である。新聞記者・雑誌記者は主に自分の社が主催する棋戦の観戦記を執筆する。フリーの記者には新聞記者・雑誌記者のOBも多い。新聞の将棋・囲碁欄はスペースの制約が厳しく、文字は一文字でも節約したいという要求から、新聞紙上で観戦記を執筆する場合は短い(1 - 2文字)ペンネームを用いることが伝統となっている。

【囲碁観戦記者系譜考】
 史上の観戦記者は次の通り。
筆名
井上宅治 初代/三代覆面子 (読売新聞)
西川勉 二代目覆面子 (読売新聞)
三堀将 四代目覆面子 (読売新聞)
多賀谷信乃 五代目覆面子 (読売新聞)
山田虎吉 六代目山田覆面子 (読売新聞)
三谷水平 芦屋伸伍 (毎日新聞)
田岡敬一 白鳥人 (朝日新聞)
長谷川耕 阿修羅 (朝日新聞)
田村孝雄 田村竜騎兵 朝日新聞「田村竜騎兵」、将棋欄「龍」)
谷口牧夫 牧風 (朝日新聞」囲碁・将棋)
林裕 (フリー記者、『共同通信』『東京新聞』『毎日新聞』)
相場一宏 (フリー記者、天元戦・新人王戦)
高林譲司 信濃桂 (三社連合将棋・囲碁。『将棋世界』『将棋マガジン』の編集者出身)
井口昭夫 (毎日新聞囲碁・将棋)
小堀啓爾 (毎日新聞)
堀田護 堀田五番士 (朝日新聞や産経新聞)
伊藤敬一 (フリー)
山村英樹 (毎日新聞)京都大学囲碁部。将棋・囲碁。
金沢盛栄 (毎日新聞)アマチュア強豪。弟は金沢東栄。
秋山賢司 春秋子 (朝日新聞)
内藤由起子 (フリー朝日新聞)。お茶の水女子大学囲碁部。

【内藤由起子】
 囲碁観戦記者・囲碁ライター。神奈川県平塚市出身。1966年生。お茶の水女子大学大学院修士課程修了。お茶の水女子大学囲碁部OG。会社員を経て現職。朝日新聞紙上で「囲碁名人戦」観戦記を担当。「週刊碁」「囲碁研究」等に随時、観戦記、取材記事、エッセイ等執筆。囲碁将棋チャンネル「本因坊家特集」「竜星戦ダイジェスト」等にレギュラー出演。著書に『井山裕太の碁 AI時代の新しい定石』(池田書店)『囲碁ライバル物語』(マイナビ出版)、『井山裕太の碁 強くなる考え方』(池田書店)、『それも一局 弟子たちが語る「木谷道場」のおしえ』(水曜社)等。囲碁ライター協会役員、東日本大学OBOG囲碁会役員。

【作家・文筆家の囲碁観戦記者系譜考】
倉島竹二郎 毎日新聞に執筆。
坂口安吾 (囲碁・将棋)
大岡昇平 (囲碁・将棋)
川端康成
江崎誠致
秋山春秋子 名観戦記者。
真継伸彦
石井妙子 毎日新聞・本因坊戦。のち、ノンフィクション作家に。
高見亮子 劇作家、脚本家。読売新聞囲碁欄など。
佐野真 フリー囲碁ライター、スポーツライター。
高成謙 フリー囲碁観戦記者。ネット中継でのハンドルネーム黒衣子。

【囲碁の観戦棋士系譜考】
 観戦棋士。
前田陳爾
中山典之追贈7段 1932-2010
福井正明九段 1944- 昭和55年、第5期棋聖戦七段戦優勝、第24期首相杯戦優勝、さらに棋道賞殊勲賞受賞。ベストセラー「囲碁講談」。“囲碁史探偵”。
大矢浩一九段 日本経済新聞・王座戦
吉田美香八段 日本経済新聞・王座戦
寺山怜六段 朝日新聞・名人戦
首藤瞬八段 新聞三社連合・天元戦、新聞囲碁連盟・碁聖戦、共同通信・女流本因坊戦
大橋成哉七段 読売新聞・棋聖戦
柳澤理志六段 中日新聞・王冠戦

【将棋の観戦記者系譜考】
 過去の観戦記者は次の通り。
三木愛花 筆名 萬朝報(将棋観戦記者の元祖、相撲記事も担当)
菅谷要 菅谷北斗星 読売新聞
山本亨介 (天狗太郎) 将棋史についての本多数
田村孝雄 朝日新聞(将棋欄では「龍」、囲碁欄では「田村竜騎兵」)
下里正樹 奥山紅樹 しんぶん赤旗記者
田辺忠幸 共同通信記者、後にフリー
山田史生 元読売新聞記者、フリー(将棋)。囲碁の観戦記者として名高い山田覆面子の息子
谷口牧夫 牧風 (朝日新聞「」名義、囲碁・将棋)
関則可 酔象 (フリー朝日新聞)アマチュア将棋強豪(元アマ名人)
柿沼昭治 玉虫 (フリー朝日新聞)アマチュア将棋強豪。
中平邦彦 原田史郎 (神戸新聞将棋記者)
能智映 (三社連合将棋記者)
高林譲司 信濃桂 (三社連合将棋・囲碁記者)『将棋世界』『将棋マガジン』の編集者出身
東公平 (フリー朝日新聞)
津江章二 (共同通信社、将棋・ボクシング)
木屋太二 (フリー)
小田尚英 読売新聞
西條耕一 読売新聞
山村英樹 毎日新聞(京都大学囲碁部OB)。将棋・囲碁ともに観戦記を執筆。
神谷浩司 日本経済新聞
村上耕司 朝日新聞
湯川博士 (フリー)元将棋ジャーナル編集長。
湯川恵子 (フリー)元・将棋女流アマチュア名人。将棋がメインだが囲碁の観戦記も担当。
鈴木宏彦 (フリー)元将棋世界編集部員。
小暮克洋 (フリー)元東京大学将棋部・学生名人。
椎名龍一 (フリー)元週刊将棋記者。プロボウラーのライセンスを持つ。
加藤昌彦 (フリー)元新進棋士奨励会二段。一時期芸能界に身を置いていた。
池田将之 (フリー)元新進棋士奨励会三段。妻は女流棋士の村田智穂
後藤元気 (フリー)元新進棋士奨励会出身。
藤田麻衣子 (フリー)将棋の元女流棋士。
大川慎太郎 (フリー)将棋。元講談社、現在「将棋世界」編集部。
松本博文 (フリー)将棋中継記者。
北野新太 (報知新聞)
高橋呉郎 (フリー)元「女性自身」「宝石」編集者。元・梶山季之主宰の月刊誌「噂」の編集長

【作家・文筆家の将棋観戦記者系譜考】
倉島竹二郎 毎日新聞に執筆(将棋・囲碁)
坂口安吾 (囲碁・将棋)
大岡昇平 (囲碁・将棋)
吉井栄治 朝日新聞記者

【将棋の観戦棋士系譜考】

 将棋の観戦棋士は次の通り。
金子金五郎
山川次彦 香取桂太 元『将棋世界』編集長
加藤治郎 三象子
山本武雄 陣太鼓 独特の口語文。新聞の観戦記に2つ図面を載せることを考案した。
永沢勝雄 仏法僧
高柳敏夫 中原誠は高柳の内弟子時代、大手町日本経済新聞社まで観戦記を届けるのが日課だった。
芹沢博文 二上達也森雞二との棋聖戦5番勝負第一局を30日間連載して話題になった。
原田泰夫
河口俊彦




(私論.私見)