高目&1間カカり&ケイマガケ&高目下ツケ定石

 更新日/2018(平成30).2.23日

小ケイマカカリ
(3−1−2)
 小ケイマカカリ。これを元図とする。1間カカリに黒1とカケるのは中央を重視する高目にとって最も自然な手法である。とはいえ手厚い決め方のほかにも難解な戦いとなる変化を含んでいる。応じ方として、A(ツケ)、B(逆ヅケ)、C()がある。
A(ツケ) B(逆ヅケ)
(3−1−21) (3−1−22)

元図のA(ツケ)選択
(3−1−21)
 ツケ。ケイマガケには,白4と右辺にツケるのが一般的である。  
 応じ方として、A(ハネ)、B(ぶつかり)、C(ハネダシ)がある。
A(ハネ) B(ぶつかり) C(ハネダシ)
(3−1−211) (3−1−212) (3−1−213)

上図のA(ハネ)選択
(3−1−211)
 ハネ。
 応じ方として、A(ヒキ)、B()、C()がある。
A(ヒキ)
(3−1−2111)

上図のA(ヒキ)選択
(3−1−2111)
 ハネ&ヒキ。格言どおり黒ハネ、白ヒキ。
A(ツギ) B(下がり)
(3−1−21111) (3−1−21112)

上図のA(ツギ)選択
(3−1−2111)
 ツギ。これで隅は生きており双方一段落する。
 この後、黒からはAの利かし、Bのトビ込み狙いなどが大きい。白からもBのスベリが計算外の大きさである。

上図のB(下がり)選択
(3−1−21112)
 下がり。黒ツガずにサガるのは地にカラい打ち方である。 
 応じ方として、A(小ケイマ走り)、B(キリ)、C()がある。
A(小ケイマ走り) B(キリ)
(3−1−211121) (3−1−211122)

 上図のA(小ケイマ走り)選択
(3−1−21121)
 小ケイマ走り。白はスベリが大きい。

 指了図
(3−1−211211)
 指了図。黒も7と備えれば厚い。黒は後手を引くのでは不満と見て右辺にヒラいて白からの切りを迎え撃つ手法もある。

上図のB(キリ)選択
(3−1−21122)
 キリ。白がでスベらずに切る手である。

指了図
(3−1−21122)
 指了図。黒7のトビが形。白のノビには黒はアテコミを利かしつがせて11とトンでこれからの戦い。部分的には黒のやれる戦いで、白は挑発に乗った感がある。

上図のB(ぶつかり)選択
(3−1−212)
 ぶつかり。

(次の着手) 沿い
(3−1−2121)
 沿い。 
 応じ方として、A(キリ)、B(ハネ)、C()がある。
A(キリ) B(ハネ)
(3−1−21211) (3−1−21212)

上図のA(キリ)選択
(3−1−21211)
 キリ。黒がブツカって切るのは、白に変化の余地を与えない決め方である。

 (次の着手) 当たり&ノビ&ハイ&当たり&ツギ
(3−1−212111)
 当たり&ノビ&ハイ&当たり&ツギ。

指了図 
(3−1−2121)
 指了図。白のアテに黒は二子にして捨て、9と11の両方を利かすのが常用の筋である。白16は無駄のない利かしで、一段落する。  

上図のB(ハネ)選択
(3−1−21212)
 ハネ。黒は切らずにハネ押えするのも有力な手である。

指了図
(3−1−212121)
 指了図。白6とツゲば普通である。Aのサガリは地にカラい打ち方だが右辺をハネられて不利になる。共に穏やかな進行で互角のワカレである。

上図のC(ハネダシ)選択
(3−1−213)
 ハネダシ。ツケにとハネ出すのは最も厳しい手段である。

 (次の着手) キリ&ノビ&ハネ&押え
(3−1−2131)
 キリ&ノビ&ハネ&押え。
 応じ方として、A(ツギ)、B(ヒキノビ)、C()がある。
A(ツギ) B(ヒキノビ)
(3−1−21311) (3−1−21312)

上図のA(ツギ)選択
(3−1−21311)
 ツギ

 (次の着手) ハネ&ノビ&ハイ&ノビ&ヒキ
(3−1−213111)
 ハネ&ノビ&ハイ&ノビ&ヒキ。

 (次の着手) ハネ&ツギ&2間トビ&1間トビカケ
(3−1−2131111)
 ハネ&ツギ&2間トビ&1間トビカケ。

 (次の着手) コスミ&ノビ&ハネ&ノゾキ&ツギ&下がり
(3−1−21311111)
 コスミ&ノビ&ハネ&ノゾキ&ツギ&下がり。コスミは手筋。

指了図
(3−1−213111111)
 指了図。黒は19−25と隅を生きなければならず、それから上辺に手を戻す。白も上辺を生きた後に右辺にヒラいて一段落する。

上図のB(ヒキノビ)選択
(3−1−21312)
 ヒキノビ。シチョウと白11のツギを見合いにする簡明な打ち方である。

指了図
(3−1−213121)
 指了図。黒が隅を切り取れば白はカカえ、実利と厚みの互角のワカレとなる。

 元図のB(逆ヅケ)選択
(3−1−22)
 逆ヅケ。白のトビツケは、黒のオサエに切る狙いである。  
 応じ方として、A(ハネ)、B()、C()がある。
A(ハネ) B(ノビ) C(手抜き)
(3−1−221) (3−1−222) (3−1−223)

 元図のツケ後のA(ハネ)選択
(3−1−221)
 ハネ。

 (次の着手) キリ&当て&下がり&ツギ&ワタリ&ヒキ
(3−1−221)
 キリ&当て&下がり&ツギ&ワタリ&ヒキ。黒5、白6のあと、黒Aと引かれるシチョウは白有利が条件。シチョウ不利な黒は7とツグ。 
 応じ方として、A(1間トビ)、B(ブツカリ)、C()がある。
A(1間トビ) B(ブツカリ)
(3−1−2211) (3−1−2212)

 上図のA(1間トビ)選択
(3−1−2211)
 1間トビ。

指了図
(3−1−22111)
 指了図。白10と黒を固めず隅を生きれば、双方、中央に進出して戦いとなる。

上図のB(ブツカリ)選択
(3−1−2212)
 ブツカリ。白アテ込ミは黒の形を崩しながら生きる手である。

指了図
(3−1−22121)
 指了図。黒は愚形にツイでおけば右辺はかえって固まる調子がつく。黒19まで、主に上辺が焦点となる戦いに向かうことになる。

【実践図】
実践図  第41期十段戦予選、白・九段・高木祥一、黒・九段・林海峰

 元図のツケ後のB(ノビ)選択

指了図
 トビツケ−ノビ。黒は切られて戦うのを嫌うならトビツケには5とノビておけば穏やか。白は右辺でもツケ引いた後、10とハって大きく生きる。一方、黒の構えも勇壮であり互角のワカレ。

 手抜き。白が手を抜けば,黒は5と攻めるのが普通。白は手を抜いたからには,直接動き出すのは重く,6と外して捨てるのが軽い。白8と右辺にヒラいて,足早である。この後,白a,黒bの交換の損得は,白cの価値との兼ね合いで判断する。





(私論.私見)