2間ハサミ 2間高ハサミ定石

 更新日/2018(平成30).9.17日

2間高はさみ
(2−2−10−)
 小目&1間高バサミに対する2間高バサミの形。バランスの取れたハサミで広く愛用されている。これを元図とする。一間に比べて白に余裕がある分、サバキ方も多くなっており「村正の妖刀」と呼ばれる難解な変化も含む。
 応じ手としてA(1間トビ)、B(2間トビ)、C(大ゲイマ)、D(外ヅケ)がある。
A(1間トビ) B(2間トビ) C(大ゲイマ) D(外ヅケ)
(2−2−10−1) (2−2−10−2) (2−2−10−3) (2−2−10−4)

A(1間トビ)系

 元図のA(1間トビ)選択
(2−2−10−1)
 1間トビ。白の応手としては2と1間にトブのが最も自然である。これは一間高バサミのときと同様である。
 応じ手としてA(1間トビ)、B()、C()、D()がある。
A(1間トビ)
(2−2−10−11)

 上図のA(1間トビ)選択
(2−2−10−11)
 1間トビ。白2のトビに黒も3と同じトビで受けたことになる。
 応じ手としてA(1間トビ)、B()、C()、D()がある。
A(1間トビ)
(2−2−10−111)

上図のA(1間トビ)選択
(2−2−10−111)
 1間トビ。

 指了図
(2−2−10−1111)
 指了図。白はハサんで反撃する。一間高ガカリのときと同様、ハサむ前に白A、黒Bを交換しておくのも多い。   

B(2間トビ)

元図のB(2間トビ)選択
(2−2−10−2)
 2間トビ。ハサミの位置が遠いので、白は2と二間にトンでも差し支えない。 
 応じ手としてA(1間トビ)、B()、C()、D()がある。
A(1間トビ)
(2−2−10−21)

上図のA(1間トビ)選択
(2−2−10−21)
 1間トビ。黒が二間に受ければ穏やかな進行が続くが、黒の一間受けの手もある。二間の薄みを狙う手である。  
 応じ手としてA(コスミ)、B()、C()、D()がある。
A(コスミ)
(2−2−10−211)

上図のA(コスミ)選択
(2−2−10−211)
 コスミ。白はとコスんで働いて守る。 
 応じ手としてA(ツケ)、B()、C()、D()がある。
A(ツケ)
(2−2−10−2111)

上図のA(ツケ)選択
(2−2−10−2111)
 ツケ。

指了図
(2−2−10−21111)
 指了図。黒のツケにはハネ、ヒキと替わった後、ツケて裁くのが良い。方切り結んで、これからの戦いである。

C(大ゲイマ)

元図のC(大ゲイマ)選択
(2−2−10−3)
 大ゲイマ。白の大ゲイマはサバキの手法である。「村正の妖刀」(むらまさのようとう)と云われる難解な定石に入る。最初にこの二間高バサミを打ったのは、1928年の久保松勝喜代八段と言われる。
 応じ手としてA(ツケ)、B()、C()、D()がある。
A(ツケ)
(2−2−10−31)

上図のA(ツケ)選択
(2−2−10−31)
 ツケ黒は白の薄みをついてツケる。
 応じ手としてA(ハネ)、B()、C()、D()がある。
A(ハネ)
(2−2−10−311)

上図のA(ハネ)選択
(2−2−10−311)
 ハネ。白は大ゲイマを捨石に隅に食い込む手を探る。

 (次の着手) ノビ&ツキ当たり
(2−2−10−3111)
 ノビ&ツキ当たり。 
 応じ手としてA(1間トビ)、B(沿い押え)、C()、D()がある。
A(1間トビ) B(沿い押え)
(2−2−10−31111) (2−2−10−31112)

 上図のA(1間トビ)選択
(2−2−10−31111)
 1間トビ。

 (次の着手) 押し&ノビ 
(2−2−10−311111)
 ノビ&ツキ当たり&1間トビ&押し&ノビ。白のブツカリに黒のトビは形。白の押しは損な手だが、Aの切りを防いで仕方ない。黒は黙ってノビるのが良い。

 (次の着手) ハネ&ツギ
(2−2−10−3111111)
 ハネ&ツギ。 
 応じ手としてA(カケツギ)、B(下がり)、C()、D()がある。
A(カケツギ) B(下がり)
(2−2−10−31111111) (2−2−10−31111112)

上図のA(カケツギ)選択
(2−2−10−31111111)
 カケツギ。断点を守る穏やかな手である。

指了図
(2−2−10−311111111)
 指了図。

上図のB(下がり)選択
(2−2−10−31111112)
 下がり。白のサガリは地にカラい手である。
 応じ手としてA(キリ)、B()、C()、D()がある。
A(キリ)
(2−2−10−311111121)

上図のA(キリ)選択
(2−2−10−311111121)
 キリ。黒の切りが白の味悪をつく手段である。

 (次の着手) 当たり&ノビ&押し&コスミ
(2−2−10−3111111211)
 当たり&ノビ&押し&コスミ。

 (次の着手) 当たり&下がり&押し&ノビ&ツギ
(2−2−10−31111112111)
 当たり&下がり&押し&ノビ&ツギ。

(次の着手)  キリ&一間トビ&コスミツケ&ツギ。
(2−2−10−311111121111)
 キリ&一間トビ&コスミツケ&ツギ。

指了図
(2−2−10−311111121111)
 指了図。白28まで、隅の攻め合いは白勝ち。但し、黒aのシチョウが成立すれば白のツブレ。黒はシチョウ不利でも,シチョウアタリが打て、また五子を捨石にシメツケを狙える。

上図のB(沿い押え)選択
(2−2−10−31112)
 沿い押え。黒は愚形ではあるが、白のダメを詰めて7とオサエても良い。
 応じ手としてA(ハネ)、B()、C()、D()がある。
A(ハネ)
(2−2−10−311121)

 上図のA(ハネ)選択
(2−2−10−311121)
 ハネ。白はオシは打たず8とハネオサエする。
 応じ手としてA(ツギ)、B(カケツギ)、C()、D()がある。
A(ツギ) B(カケツギ)
(2−2−10−3111211) (2−2−10−3111212)

上図のA(ツギ)選択
(2−2−10−3111211)
 ツギ。黒9とカタツグ。  

指了図
(2−2−10−31112111)
 指了図。白は10の守りが必要で、黒11のハネを利かして一段落する。

上図のB(カケツギ)選択
(2−2−10−3111212)
 カケツギ。黒カケツギもあるところである。

指了図
(2−2−10−31112121)
 指了図。白はアテを利かしてに守り、黒は切り取る。後手ながら地と根拠に関して大きい。
 前図と比較すると、白は先手を得たが黒の形が安定しているので一長一短である。

D(外ヅケ)

D(外ヅケ)
(2−2−10−4)
 外ヅケ。  
 応じ手としてA(ハネダシ)、B(ブツカリ)、C()、D()がある。
A(ハネダシ) B(ブツカリ)
(2−2−10−41) (2−2−10−42)

上図のA(ハネダシ)選択
(2−2−10−41)
 ハネダシ。

 (次の着手) キリ&当たり&ノビ
(2−2−10−411)
 キリ&当たり&ノビ。黒ハネダシ、アテから引くのは力自慢の好みそうな打ち方である。

 (次の着手) 下がり&曲がり&ノビ
(2−2−10−4111)
 下がり&曲がり&ノビ。白のマガりに黒ノビてと上辺を押さえつける。

指了図
(2−2−10−41111)
 指了図。隅の黒は捨石として利用し外勢を得る。黒15まで進んで一段落する。この後、黒A、白Bか、黒C、白D、黒E,白Bのどちらかを先手で利かすことができる。

上図のB(ブツカリ)選択
(2−2−10−42)
 ブツカリ。ブツカる手もある。

(次の着手) 沿い&キリ&ヒキ
(2−2−10−421)
 沿い&キリ&ヒキ。白は引くのが正着。
 応じ手としてA(下ハネ)、B(沿い)、C()、D()がある。
A(下ハネ) B(沿い)
(2−2−10−4211) (2−2−10−4212)

上図のA(下ハネ)選択
(2−2−10−4211)
 下ハネ。

指了図
(2−2−10−42111)
 指了図。黒のハネツギに白シチョウにカカエて簡明。これはシチョウ白有利でなければならず、従ってシチョウ不利なら外ヅケがやや危険だということになる。

上図のB(沿い)選択
(2−2−10−4212)
 沿い。  
 応じ手としてA(ハネ)、B()、C()、D()がある。
A(ハネ)
(2−2−10−42121)

上図のA(ハネ)選択
(2−2−10−42121)
 ハネ。

指了図
(2−2−10−421211)
 指了図。黒シチョウ不利とあっては,9~13と強引に押さえつける手を考える。白は傷の多い黒の形を咎めて,14のハネでシノいでいる。
以下,黒は整形しながら隅を生きるのが相場で,白14に黒aとオサエるのは,白bとカケツガれて失敗する。

手抜き

 手抜き

 二間高バサミに対して、白が手を抜くことは少ない。というのは、次に黒5と構えたときに、ハサミが非常に良い位置にあるからである。ここで白aとコスむのは重く、かと言って,黒からaにカケられるのも苦しい。




(私論.私見)