一間ハサミ定石 星&小ケイマがかり&小ケイマ(1間)ハサミ定石

1間ハサミ
(2−1-5−)
 小目&小ゲイマがかりに対し一間バサミの形。これを元図とする。小ゲイマがかりに対する最も厳しい着手である。白はどう応ずるべきか。
 応じ手として、A(1間トビ)、B(カケ)、C(小ケイマ上ツケ)、D(三三ツケ)が考えられる。
(2−1-5−1) (2−1-5−2) (2−1-5−3) (2−1-5−4) (2−1-5−5)

1間トビ系

元図のA(1間トビ)選択
(2−1-5−1)
 1間トビ。ハサまれて一間にトビ出すのは最も素直な応じ手である。これを「1間トビ系の基本図」とする。
 応じ手として、A(小ケイマ受け)、B(2間トビ)、C()が考えられる。
A(小ケイマ受け) B(2間トビ)
(2−1-5−11) (2−1-5−12)

 「1間トビ系の基本図」のA(小ケイマ受け)選択
(2−1-5−11)
 小ケイマ受け。右辺を受けながら攻める。
 応じ手として、A(カケ)、B(ハサミ返し)、C()が考えられる。
A(カケ) B(ハサミ返し)
(2−1-5−111) (2−1-5−112)

 上図のA(カケ)選択
(2−1-5−111)
 カケ。カケて上辺を攻める。
 応じ手として、A(コスミツケ)、B(下がり)、C()が考えられる。
A(コスミツケ) B(下がり)
(2−1-5−1111) (2−1-5−1112)

 上図のA(コスミツケ)選択
(2−1-5−1111)
 コスミツケ。
 応じ手として、A(抑え込み)、B()、C()が考えられる。
A(抑え込み)
(2−1-5−11111)

上図のA(抑え込み)選択
 抑え込み。コスミツケに応じずカケたところをオサエ込む。

指了図
 隅と辺でそれぞれ無難に治まることができる。右辺には黒A,白B,黒Cの味が残っている。

上図のB(下がり)選択
(2−1-5−1112)
 下がり。コスミツケにサガリで応じる。隅へのトビ込みを見て地にカラい打ち方である。 
 応じ手として、A(ハイ)、B()、C()が考えられる。
A(ハイ)
(2−1-5−11121)

 上図のA(ハイ)選択
 黒は9から一子を動き出す。

指了図
 指了図。黒は11と白の形にフシをつける。白は16と整形し、黒も17と備えて一段落する。

上図のB(ハサミ返し)選択
(2−1-5−112)
 ハサミ返し。黒のケイマに白4と迫る手もある。
 応じ手として、A(押し)、B()、C()が考えられる。
A(押し)
(2−1-5−1121)

 上図のA(押し)選択
(2−1-5−1121)
 押し。応じ手として、A(1間バサミの上ツケ)、B()、C()が考えられる。
A(1間バサミの上ツケ)
(2−1-5−11211)

上図のA(1間バサミの上ツケ)選択
(2−1-5−11211)
 1間バサミの上ツケ。白はツケからの調子で形を整える。
 応じ手として、A(ノビ)、B(コスミツケ)、C()が考えられる。
A(ノビ) B(コスミツケ)
(2−1-5−112111) (2−1-5−112112)

上図のA(ノビ)選択
(2−1-5−112111)
 ノビ。

指了図
 白は薄く忙しく打っているが周囲の配石次第では有力である。

 上図のB(コスミツケ)選択
(2−1-5−112112)
コスミツケ。黒が隅及び右辺を重視するならば白のツケには応じにコスミツケを利かす。

指了図
(2−1-5−1121121)
 白8と受けさせた後、9とトンで白10と備えさせ右辺の白を攻める展開もある。

「1間トビ系の基本図」のB(2間トビ)選択
(2−1-5−12)
 2間トビビラキ。白のトビに黒が二間にヒラく手もある。ケイマに比べて穏やかな手である。
 応じ手として、A(2間ハサミ)、B()、C()が考えられる。
A(2間ハサミ)
(2−1-5−121)

前図のA(2間ハサミ)選択
(2−1-5−121)
 2間ハサミ。白がカケればケイマと同様の変化になるが、上辺を2間にハサんで攻める手もある。
 応じ手として、A(上ケイマ)、B()、C()が考えられる。
A(上ケイマ)
(2−1-5−1211)

前図のA(上ケイマ)選択
(2−1-5−1211)
 上ケイマ。

 指了図
(2−1-5−12111)
 指了図。黒5の逃げ出しには白6から12までが常用の筋で治まる。

カケ系

元図のB(カケ)選択
(2−1-5−2)
 カケは積極的な手段である。これを「カケ系の基本図」とする。
 応じ手として、A(上ケイマ)、B(出)、C(2間トビ)が考えられる。
A(ノビ) B(出) C(2間トビ)
(2−1-5−21) (2−1-5−22) (2−1-5−23)

「カケ系の基本図」のA(ノビ)選択
(2−1-5−21)
 ノビ。

 (次の着手) ノビ&1間トビ
(2−1-5−21)
 ノビ&1間トビ。応じ手として、A(2間バサミ)、B()、C()が考えられる。
A(2間バサミ)
(2−1-5−211)

 前図のA(2間バサミ)選択
(2−1-5−211)
 ノビ&1間トビ。

指了図
(2−1-5−2111)
 指了図。

「カケ系の基本図」のB(出)選択
(2−1-5−22)
 出。

 (次の着手) 押え&キリ&当たり&ノビ&カケツギ
(2−1-5−221)
 押え&キリ&当たり&ノビ&カケツギ。
 応じ手として、A(抱え)、B(ハネ)、C()が考えられる。
A(抱え) B(ハネ)
(2−1-5−2211) (2−1-5−2212)

上図のA(抱え)選択
(2−1-5−2211)
 抱え。白は2の石を捨石として当たりをかけ黒1を抱えたことになる。

 指了図
(2−1-5−22111)
 指了図。白10まで互角のワカレである。この定石はAが双方の勢力の要点になるほか、黒Bか白Cかでヨセとして20目以上の出入りとなる。

 上図のB(ハネ)選択
(2−1-5−2212)
 ハネ。白8に黒が上辺をハネれば戦いになる。

 (次の着手) ハネ返し&ノビ&ノビ&ノビ&ノビ&ノビ
(2−1-5−22121)
 ハネ返し&ノビ&ノビ&ノビ&ノビ&ノビ。白は上辺をオシて強化する。
 応じ手として、A(トビ置き)、B()、C()が考えられる。
A(トビ置き)
(2−1-5−221211)

 上図のA(トビ置き)選択
(2−1-5−221211)
 トビ置き。白16のトビ置きが手筋である。
 指了図
(2−1-5−2212111)
 指了図。白16の手筋で一子を逃げ出す。黒23まで地と厚みのいいワカレである。途中で複雑な変化がいくつもある。

「カケ系の基本図」のC(2間トビ)選択
(2−1-5−23)
 2間トビ。

(次の着手) 出&ハネ
(2−1-5−231)
 出&ハネ。応じ手として、A(ケイマ守り)、B(嵌め手誘われのハネ)、C()が考えられる。
A(ケイマ守り) B(嵌め手のハネ)
(2−1-5−2311) (2−1-5−2312)

前図のA(ケイマ守り)選択
(2−1-5−2311)
 ケイマ守り。こう手を戻すのが良い。

指了図
(2−1-5−23111)
 黒7とカケツギ白8と逆ガケするのが良い。 

 前図のB(嵌め手誘われのハネ)選択
(2−1-5−2312)
 嵌め手誘われのハネ。

 (次の着手) ツギ&ツギ
(2−1-5−23121)
 ツギ&ツギ。

 (次の着手) 
(2−1-5−231211)
 

 嵌め手誘われの指了図
(2−1-5−2312111)
 黒1、3と出ギル。隅を捨てるまえに最大限の働きを考えているます。黒15、17と先手で全部シメツケ、「大塗り」となる。黒のハメ手大成功である。

小ケイマ上ツケ系

元図のC(小ケイマ上ツケ)選択
(2−1-5−3)
 小ケイマ上ツケ。一間バサミの中では最も複雑変化の多い型である。

 (次の着手) ハネ
(2−1-5−31)
 ハネ。応じ手として、A(ヒキ)、B(ノビ)、C()が考えられる。
A(ヒキ) B(ノビ)
(2−1-5−311) (2−1-5−312)

前図のA(ヒキ)選択
(2−1-5−311)
 ヒキ。幾分消極的であるが早治まりを目指す堅実なサバキである。
 応じ手として、A(カケツギ)、B(2間ビラき)、C()が考えられる。
A(カケツギ) B(2間ビラき)
(2−1-5−3111) (2−1-5−3112)

前図のA(カケツギ)選択
(2−1-5−3111)
 カケツギ。応じ手として、A(大ゲイマガケ)、B(大大ゲイマガケ)、C(1間ツメ)、D(ツケ)が考えられる。
A(大ゲイマガケ) B(大大ゲイマガケ) C(1間ツメ) D(ツケ)
(2−1-5−31111) (2−1-5−31112) (2−1-5−31113) (2−1-5−31114)

 上図のA(大ゲイマガケ)選択
(2−1-5−31111)
 大ゲイマガケ。

 (次の着手) ツケ&ハネ&キリ&当たり&下がり
(2−1-5−311111)
 ツケ&ハネ&キリ&当たり&下がり。

 (次の着手) ヒキ
(2−1-5−3111111)
 ヒキ。このヒキが手筋である。

 指了図
(2−1-5−31111111)

前図のB(大大ゲイマガケ)選択
(2−1-5−31112)
 大大ゲイマガケ。黒7のカケツギに対して、白は大ゲイマのシチョウが不利なバアには大々ゲイマガケの手がある。
 応じ手として、A(コスミツケ)、B(コスミ)、C()が考えられる。
A(コスミツケ) B(コスミ)
(2−1-5−311121) (2−1-5−311122)

 上図のA(コスミツケ)選択
(2−1-5−311121)
 コスミツケ。黒が手堅く治まるなら9とコスミツケの手がある。

 指了図
(2−1-5−3111211)
 15のスベリまでで悪くない。白も後手ながら16と厚く補強して互角。

 上図のB(コスミ)選択
(2−1-5−311122)
 コスミ。白8の大々ゲイマガケに対しては、黒は9と一旦コスミ出しておくのも有力な手である。

指了図
(2−1-5−3111221)
 白8と受けさせた後、黒は隅を治まり、白は12と整形する。黒からAの狙いを残している。

前図のC(1間ツメ)選択
(2−1-5−31113)
 1間ツメ。白6と一間にツメる手もある。
 応じ手として、A(コスミツケ)、B(コスミ)、C()が考えられる。
A(上ツケ)
(2−1-5−311131)

 上図のA(上ツケ)選択
(2−1-5−311131)
 上ツケ。

 指了図
(2−1-5−3111311)
 黒はツケ引きからさばく。白10とノビて中央を厚くし、黒は一子を切り取って治まる。白16の補強まで。これも白の厚みに黒の実利というワカレである。

前図のD(ツケ)選択
(2−1-5−31114)
 ツケ。応じ手として、A(下ハネ)、B()、C()が考えられる。
A(下ハネ)
(2−1-5−311141)

前図のA(下ハネ)選択
(2−1-5−311141)
 下ハネ。応じ手として、A(上ハネ返し)、B()、C()が考えられる。
A(上ハネ返し)
(2−1-5−3111411)

前図のA(上ハネ返し)選択
(2−1-5−3111411)
 ハネ返し。黒の下ハネに白8とハネ返して戻る。

 (次の着手) 当たり&ツギ&下がり
(2−1-5−31114111)
 当たり&ツギ&下がり。黒は9、11と整形して白の手を待つのがサバキの形である。

 指了図
(2−1-5−31114111)
 白はシチョウが不利なら14と外側を切ってカカエさせる。

 上図のB(2間ビラき)選択
(2−1-5−3112)
 2間開きは穏やかな手である。
 応じ手として、A(キリ)、B()、C()が考えられる。
A(キリ)
(2−1-5−31121)

 前図のA(キリ)選択
(2−1-5−31121)
 キリ。

 (次の着手) 当たり&ノビ
(2−1-5−311211)
 当たり&ノビ白は6から8まで一子を取って目的を達成する。
 応じ手として、A(ツギ)、B(ウソ手の下がり)、C()が考えられる。
A(ツギ) B(悪手の下がり)
(2−1-5−3112111) (2−1-5−3112112)

 前図のA(ツギ)選択
(2−1-5−3112111)
 ツギ。黒は黙って堅ツギするのが良く先手取りの正解である。と押さえると断点が残り後手を引く。

 指了図
(2−1-5−31121111)
 

 前図のB(悪手の下がり)選択
(2−1-5−3112112)
 下がり。

 指了図
(2−1-5−31121121)
 黒9の出押えは白10に戻られて黒11を余儀なくされる。先手で治まるところが後手を引いたことになる。

 前図のB(ノビ)選択
(2−1-5−312)

(次の着手) 突き当り
(2−1-5−3121)
 突き当り。応じ手として、A(ヒキノビ)、B(押え)、C()が考えられる。
A(ヒキノビ) B(押え)
(2−1-5−31211) (2−1-5−31212)

前図のA(ヒキノビ)選択
(2−1-5−31211)
 ヒキノビ。応じ手として、A(小ケイマ)、B(1間トビ)、C()が考えられる。
A(小ケイマ) B(1間トビ)
(2−1-5−312111) (2−1-5−312112)

上図のA(小ケイマ)選択
(2−1-5−312111)
 小ケイマ。小ケイマは切断を狙う手である。

(次の着手) ツケ&ノビ
(2−1-5−3121111)
 ツケ&ノビ。白のツケは黒の狙いの切断を防ぎ、先手で次の着手に向かう手である。
 応じ手として、A(1間バサミ)、B()、C()が考えられる。
A(1間バサミ)
(2−1-5−31211111)

上図のA(1間バサミ)選択
(2−1-5−312111111)
 1間バサミ。 白は上辺をハサんで攻める。

(次の着手) 出&ハネ&ノビ
 (2−1-5−3121111111)
 出&ハネ&ノビ。

(次の着手) 三三ツケ&ハネ&キリ&当たり
 (2−1-5−31211111111)
 三三ツケ&ハネ&キリ&当たり。

(次の着手) 下がり&ヒキ
 (2−1-5−31211111111)
 下がり&ヒキ。白18の下がりが筋である。

  指了図
 (2−1-5−312111111111)
 以下黒25までとなる。白20からの切り取りに黒23も手筋である。

上図のB(1間トビ)選択
(2−1-5−312112)
 一間トビ。応じ手として、A(コスミ)、B()、C()が考えられる。
A(コスミ)
(2−1-5−3121121)

 上図のA(コスミ)選択
(2−1-5−3121121)
 コスミ。切断に備えた手である。以下、黒は上辺を補強し、白は右辺をサバくことになる。

(次の着手) 3間ヒラキ
(2−1-5−31211211)
 3間ヒラキ。

(次の着手) 出&押え&キリ
(2−1-5−312112111)
 出&押え&キリ。応じ手として、A(キリ石取り抱え)、B(ツギ)、C()が考えられる。
A(キリ石取り抱え) B(ツギ)
(2−1-5−3121121111) (2−1-5−3121121112)

  A(キリ石取り抱え)系指了図
(2−1-5−3121121111)
 白のデギリに対し、黒は切った方を取り、実利と厚みのワカレとなって一段落する。黒17は手抜きも可能で、白17の眼取りにはAのツケコシでしのいでいる。

  B(ツギ)系指了図
(2−1-5−3121121112)
 白のデギリに対し、黒が辺を重視するな場合には黒13とツグ手もある。白も先手を得ているので隅と辺のいいワカレとなる。白はツケノビて上辺を固めたからには棋理うえから13から切ることはありえない。

上図のB(押え)選択
(2−1-5−31212)
 押え。一間バサミへのツケノビから白7のオサエは形が悪い。黒のキリを誘っている。
 応じ手として、A(誘われのキリ)、B(カケツギ)、C()が考えられる。
A(誘われのキリ) B(カケツギ)
(2−1-5−312121) (2−1-5−312122)

 前図のA(誘われのキリ)選択
(2−1-5−312121)
 キリ。黒のキリは誘われた手である。

  指了図
(2−1-5−3121211)
 黒の出キリに対し白はサガる。黒は白2子を取りにいく。白はアテを利かし出キリする。以下、黒7から白14まで、黒のハマリで白良しの図となる。

前図のB(カケツギ)選択
(2−1-5−312121)
 カケツギ。黒がハマリを避けるにはカケツギが分かりやすい。

 指了図
 白2と守らせ黒3と両方打てれば不満はない。

ツケ系

元図のD(三三ツケ)選択
(2−1-5−4)
 三三ツケ。応じ手として、A(ハネ)、B()、C()が考えられる。
A(ハネ)
(2−1-5−41)

上図のA(ハネ)選択
(2−1-5−41)
 ハネ。

 (次の着手) ふくらみ&当たり&当たり返し&抜き&当たり
 ふくらみ&当たり&当たり返し&抜き&当たり。白はフクラむくらいで,黒は当たりからマクる。

指了図
 黒は上辺としっかり連絡する。白はまだ不安定な形である。

手抜き系

(手抜き)
 ハサミに手抜きもある。

(手抜き1)ツケ
 中を厚くしたい場合、ツケて封鎖する。

(手抜き1)ツケ指了図
 白はシチョウが有利なら6とハネ込んで治まるのが一般的。黒は11と断点を消しながら隅を狙うのが手筋。白は後手でも12とサガって黒の傷を残しておくのが手筋である。

(手抜き2)コスミツケ
 実利を得たいなら5とコスミツケる。

(手抜き2)コスミツケ後の指了図
 白8の両ニラミのコスミには黒9としっかり守る。白10とカケて一段落。この後、黒は窮屈な3の動き出しは狙わず、aやbの利かしを狙うのが本筋である。




(私論.私見)