柯潔(かけつ)九段(中国)とAlphaGoの対決考

 更新日/2017(平成29).5.25日

 (囲碁吉のショートメッセージ) 
 ここで、「柯潔(かけつ)九段(中国)とAlphaGoの対決」を確認しておく。その他参照。

 2017(平成29).5.25日 囲碁吉拝


 4/10/2017【速報】人類代表 囲碁棋士 柯潔(かけつ)九段(中国)が人工知能 AlphaGoと対決

 囲碁の神秘を求めて ーー Future of Go Summit 開催ー Google Japan Blog 

 これは間違いなく日本どころが全世界が注目するレベルですね。現在世界最強と謳われている囲碁棋士 柯潔(かけつ)九段(中国)が、Google傘下のDeepMindが開発した囲碁AI「AlphaGo」と5月下旬に全3局真剣勝負をするそうです。それだけでなく他にもバラエティに富んだ対局があります。<ペア対局>アルファ碁とペアを組んだ中国のプロ棋士同士が対局。「共に学ぶ」というコンセプトのもと、棋士とアルファ碁が交互に手を打つ。<チーム対局>アルファ碁が中国のトッププロ棋士 5 人のチームを相手に対局。棋士たちが力を合わせて、アルファ碁の創造性と順応性を試す。<柯潔 対 アルファ碁>大会の目玉として、アルファ碁が世界最強の棋士である柯潔と伝統的な全 3 局の 1 対 1 対局に挑みます。アルファ碁の能力の限界が試される対局になる見込み。 

 ーGoogle Japan Blog より引用 

 AlphaGoといえば、ちょうど昨年の今頃、世界トップクラスの囲碁棋士 李世ドル(イセドル、韓国)と全5局戦い、4勝1敗で勝ち越し。 

「人工知能vs世界最強の棋士」囲碁対局は人工知能のAlphaGoが勝利、5番勝負の初戦を制する

 当時は日本どころが世界中も震撼していました。元グーグル日本社長 辻野 晃一郎さんも驚いていたくらいでした。ご本人のAlphaGoの説明の記事が2つあります。

「アルファ碁」を育てた人工学習知能「DQN」の正体 

 グーグルの人工知能開発 ~人工知能が人類の知能を超越する~ 

 これまで囲碁は人類最後の牙城のゲームのひとつと言われ、絶対人工知能に負けるはずがないと言われていたのです。それがこの結果になりました。対決した本人曰く、アルファ碁は人の思いつかない手で打ち出してきたとか。あくまでもプログラミングではまだまだど素人のレベルなため、推測なだけにすぎませんが、人工知能は計算速度が速いだけで人間にしかできないクリエイティビティな部分はまだと思われていたところが、もしかしたら人間の考えうるパターンの推測レベルをはるかに超えるパターンで針の穴かそれ以下を通すような隙を通したのかもしれません。クリエイティビティは、インスピレーションから生まれるのですが、よくよく見極めると、あるものとあるものの組み合わせにすぎなかったりすることがあるのです。残念ながら何もないところから生まれてきたわけではないのです。 

 囲碁の打ち出せるパターン数は、10の360乗と19×19の基盤に詰まっているそうなので、この無限に近いパターンを人工知能AlphaGoが計算しちゃっているのかもしれませんねぇ。。。 

 先の見えない変化の時代は、囲碁がいい 

 詳しくはAlphaGoを作ったスタートアップ DeepMind 社長のデミス・ハサビス氏がイセドル氏を打ち破ったあとのインタビューに応えているので、詳しく読めば、どのように作ったのかわかってくるかもしれません 笑 

 囲碁チャンピオンを打ち破ったGoogleの人工知能「AlphaGo」を作った天才デミス・ハサビスが人工知能を語る

 この勝負が日経新聞など大手メディアにも載ったほど世間のインパクトが強かったので、すぐに週刊チャンピオンにプロ棋士と人工知能の囲碁ソフト対決のマンガすら出ちゃったほどですね。 

 プロ棋士とコンピュータの対決を描く将棋漫画「永遠の一手」、チャンピオンで連載開始。期待大ーtogetter

 このマンガは人工知能囲碁ソフトとは何か、どのように作られているのかの点でそのソフトの作り手の意図をさらに知るにはちょうどいいと思います。たとえば、これまでプロ棋士は人間を相手に対局してきたのが、これからは人工知能ソフトと対局するようになり、対人工知能とした囲碁の戦い方が進化するとか。囲碁が発明されて以来、数千年間培われてきた対人間の歴史が根本的に覆されるレベル。この話を見ると、あながち漫画の中の話だけでは済まなそうですね。2040年代、あるいは量子コンピューターの出現で人工知能の進化がさらに早まると言われているので。

 しょっちゅうコンビニで立ち読みをしているのですが、素人の僕でさえも面白くてワクワクしましたねw

 そして。

 李世ドルが負けたあと、世界最強の柯潔(かけつ)九段は「アルファ碁はイ・セドルに勝てても私には勝てない」と当時は強気を言い、あまりもの凄まじいフルボッコぶりからもしかしたら自分もイ・セドルとの対局と同じ条件であれば負けるかもしれないと訂正しちゃったそうですが、ちょうど1年ほど経った今回の対局でどうなるのでしょうかね。最近の中国政府は、アメリカとは引けを取らないくらい人工知能に力をいれているそうです。当然軍用に応用できることもあってむしろ警戒されるレベル。

 人工知能分野への投資で、中国企業が米国を追い越す勢いー MIT TECHNOLOGY REVIEW

 今回の対局はGoogle Japan Blog に書かれていたように中国政府の協力もあるので、アメリカ全体の人工知能の動向の一部としてAlphaGoから情報収集がてら柯潔(かけつ)九段に対AlphaGoのスペシャルな訓練と投資を国家を挙げて行っているのではと予想しています。対局は1ヵ月半ほど先ですが、結果がどうなるのか気になりますね。

米グーグル傘下の英グーグル・ディープマインド社が開発した囲碁の人工知能(AI)「アルファ碁」と、中国のトッププロ棋士、柯潔かけつ9段との対戦が23日から中国・浙江省烏鎮で始まる。対戦は27日までで3局行われる。「アルファ碁」は昨年3月、世界でトップクラスの強豪、韓国の李世●(イセドル)九段に4勝1敗と圧勝。頭脳ゲームで人間に追いつくことが最も難しいとされてきた囲碁でも、コンピューターの力がトップ棋士と肩を並べたことを証明した。(●は石の下に乙)囲碁棋士では世界最強と称される柯九段と、進化を続ける囲碁AIとの対局に、世界から注目が集まっている。

 「進化を遂げた囲碁AI「AlphaGo」の勝利に、人工知能の未来を見た:『WIRED』US版リポート」その他参照。

 2017.5.23日、グーグル、中国囲碁協会、浙江省体育局が共催する「囲碁の未来サミット」の目玉イベントとして、米グーグル傘下の人工知能(AI)開発ベンチャー「ディープマインド」(DeepMind、英国)の囲碁AI「アルファ碁」と、囲碁世界レーティング1位の「世界最強」とされる中国人棋士、柯潔(かけつ)9段(19歳)による3番勝負「The Future of Go Summit」の初戦が中国浙江省(せっこうしょう)烏鎮で行われた。

 AlphaGoは2016.5月に世界トップ棋士の李世ドル9段との5番勝負で4勝1敗し、2016年末から17年にかけてインターネットの囲碁サイトオンラインに「Master」、「Magister」という名で登場、60連勝するなど驚異の強さを見せている。この間、囲碁の数々の定石を変えている。

 柯潔九段は浙江省出身の19歳。11歳でプロ棋士となって以降、世界戦を3度制しており、レーティングでも堂々の第1位に君臨している。AlphaGo対李世ドル戦が決した後、「AlphaGoは李世ドルに勝っても、僕には勝てない」と中国のSNS「微博」でコメントしていた。一方、オンライン囲碁ソフト上では2017.1月に「潜伏」の名で「Master」(AlphaGo)と非公式に戦い負けている。

 初戦。対局は同社の研究員が柯九段と対面し、碁盤のそばに置かれたパソコンに示されたアルファ碁の手を盤上に打つ形式で行われた。握って柯潔九段が先手の黒を選んだ。の序盤、AlphaGoがMasterとして戦った際によくつかっていた「三々入り」と呼ばれる手を繰り出した。解説者の棋士、マイケル・レドモンドはこう評した。「Masterと対局して以降、彼は変わりました。Masterのような手をたくさん使うようになっています」。DeepMindのデミス・ハサビスCEOはTwitterで「柯潔が早々に三々に着手したのは興味深い。AlphaGoの好きな手を知っているようだ。AlphaGoがどう対応するか興味をそそる」とコメントした。日本の囲碁AI「DeepZenGo」に昨年勝ち越した趙治勲名誉名人は、ニコニコ生放送での盤面解説に登場し、AlphaGoに対して「僕には考えられない良い手を打つかと思えば、想像を絶する悪い手も打っている。自分の形勢が良いと見ると、DeepZenGoもこういう悪い手を打つことがあった」と指摘。

 序盤は互角とみられたが、中盤にアルファ碁のリードがはっきりし、対局は6時間以上かかると予想されていたが、ゲーム開始からたった3時間半で盤上を制し、そのまま押し切って白番のAlphaGoが271手までで半目差(1/4子)で勝利した。4時間15分。

 解説者たちも柯が挽回するチャンスをほとんど見出せなかった。 「なにが興味深いかって、AlphaGoがとにかく進化し続けている点です」と解説を担当していた棋士の李夏辰(イ・ハジン)が話す。「もちろん、これまでも非常にいい出来でしたけれども」。 

 柯九段は対局後の会見で、「人間だと思い付かないような手もあり、本当に強かった。対局が進むにつれ負けると感じた」、「AlphaGoは完全に違う打ち手になっていた」、「まるで囲碁棋士の神様だ」と話し、アルファ碁の強さを認める発言をした。。アルファ碁は昨年3月の韓国の李世ドル9段との5番勝負圧勝に続いて、今回、李九段より実力が上とされる柯九段を下したことで、改めてAIの強さを印象づけけた。

 アルファ碁が三番勝負の初戦を制した。25日の第2局も勝てば、アルファ碁の勝ち越しが決まる。第2局の結果にかかわらず27日に第3局を行う。トップ棋士5人のチームがアルファ碁と対戦する「チーム碁」なども予定されている。
 5.25日、柯潔九段とAlphaGo三番勝負の第2局が行われた。結果は155手までで黒番のAlphaGoが中押し勝ちをおさめた。

 2局目を終えた柯潔九段のコメント。
 (一部)チャンスがあったのではないかと思うが緊張してしまいました。次も、私なりにいい試合を見せていきたい。(ハサビス氏から接戦だったという指摘を受け)こんなにほめていただき感動しました。もう少し時間をつかっていればよかったと今さらながら思います。対戦相手に感謝します。アルファ碁とはあと一局。全力を尽くしたい。
 5.27日、3番勝負第3局。209手までで黒番のAlphaGoが中押し勝ちをおさめた。柯潔九段が序盤からポイントを稼ぐ戦術をとったが、誤算があったようで劣勢に陥った。終盤、勝負手を繰り出したものの完敗。対局後、次のように語った。「アルファ碁は完璧過ぎた。苦しくてたまらなかった」、「人間では想像もつかない手を打ってきた。強かった」。

 アルファ碁が3連勝して幕を閉じた。英国ディープマインドのデミス・ハサビス最高経営責任者は、「人間と対局するのはこれが最後になる」と語り、アルファ碁の事実上の引退宣言をした。

 「進化を遂げた囲碁AI「AlphaGo」の勝利に、人工知能の未来を見た:『WIRED』US版リポート」。
 囲碁の人工知能(AI)「AlphaGo」が、世界最強とされる囲碁棋士・柯潔(カ・ケツ)との三番勝負で、初戦を制した。プロ棋士たちとの勝負を積み重ねてきたAlphaGoは、自ら学習して進化する頭脳となり、圧倒的な強さを身に付けていた。AIはいったいどこに向かうのか、そして中国という地で対局を仕掛けたグーグルの狙いとは──。『WIRED』US版による現地リポート。
 世界最強とされる囲碁棋士・柯潔(カ・ケツ)が、グーグル傘下のDeepMindによる囲碁の人工知能(AI)「AlphaGo」 と対局した2017年5月23日。“見えない”相手と対峙していた柯は、AlphaGoの「普通とは違う」囲碁のスタイルを逆手に取って打ち負かそうとしていた。ところがこの策は、19歳の最強棋士が思っていたようには運ばなかった。4時間15分を経て、AlphaGoが三番勝負の初戦を制したのである。

 関連記事AlphaGoの初戦勝利:開発者は「人間の勝利である」と言う

 AlphaGoは2016年、韓国のトップ棋士であるイ・セドルを下し、プロの囲碁棋士を破った最初の“機械”となった。古い歴史がある囲碁というゲームの複雑さを考えれば、これは大半のAI研究者たちが達成には何年もかかると信じていた偉業だといっていい。

 そしてAlphaGoが満を持して臨んだのが、今回の柯との対局だ。AlphaGoを開発したDeepMindの創業者でCEOのデミス・ハサビスによると、AlphaGoは囲碁だけに限らず現実世界での広範な応用にも適した、より強力な新しいアーキテクチャーに支えられているのだという。

 すなわち、人間の手で生成されたデータへの依存を抑え、自分自身との対局からゲームをほぼすべて学習できる新しいアーキテクチャーを引っさげて公の場に出たのである。これは理論上、DeepMindのテクノロジーがどんなタスクであっても、もっと簡単に学習できることを意味している。

 AIが囲碁の“定石”まで変えた

 今年1月、AlphaGoの“化身”が「Master」(マスター)という別名でインターネットの囲碁サイトに現れ、柯を含む世界トップクラスの打ち手と立て続けに対局。全60局すべてで勝利を収めた。

 23日の初戦は、その流れを汲んでいた。柯は先手の黒を選び、「三々入り」と呼ばれる手を繰り出した。これはAlphaGoが1月にMasterとして戦った際によくつかった手だ。解説者の棋士、マイケル・レドモンドはこう評した。「Masterと対局して以降、彼は変わりました。Masterのような手をたくさん使うようになっています」。

 確かにMasterと対局して以降、柯はほかの有力棋士との対局中に、よくこの手の初手を打つようになった。事実、柯は対局後に「AlphaGoから受けた影響は、かなり広範にわたっています」と語った。この発言はDeepMindのハサビスにとって、伝統ある囲碁というゲームの手法そのものに、AlphaGoが変化をもたらしている証左でもあった。それと同時に、いかにAIが人間に取って変わりうるのか、いかにAIが人間の力を“拡張”できるのかも示したといえる。

 実際にAlphaGoは、DeepMindの開発チームの予想さえも上回る早い段階で、試合の流れをつかんだ。対局は6時間以上かかると予想されていたが、ゲーム開始からたった3時間半でAlphaGoは盤上をすっかり制し、対局の解説者たちも柯が挽回するチャンスをほとんど見出せなかった。それから1時間もしないうちに、勝負はついた。

 「なにが興味深いかって、AlphaGoがとにかく進化し続けている点です」と解説を担当していた棋士の李夏辰(イ・ハジン)が話す。「もちろん、これまでも非常にいい出来でしたけれども」。

 仮の姿だった「囲碁AI」

 Masterとして戦った一連の対局における60連勝という恐るべき成績を考えれば、たとえ世界最強とされる柯であっても、残り2回の対局で勝利を収めるのは難しいだろう[編註:柯とAlphaGoの対局は25日と27日に行われる予定]。だがこの対局は、AlphaGoのみならず、AI全般の継続的な進化を評価するよい機会といえる。すでにインターネットサーヴィスからヘルスケア、ロボット工学にいたるまで、ありとあらゆるものに革新を起こしている機械学習のテクノロジーに支えられたAlphaGoは、AIの未来の姿を映し出している。

 この点を、実は最初の対局が始まったときから、DeepMindのハサビスは強調していた。AlphaGoの新しいアーキテクチャーが、ゲーム以外のタスクのほうが適していることを明らかにしたのだ。なかでも彼が強調したのは、このシステムが科学の研究の進展を加速させるだけでなく、送電網の効率を大幅に向上させられる可能性までもつことだった。

 DeepMindの親会社であるグーグルにとって今回の対局は、将来的に同社のサーヴィスを中国で再開するための絶好のPRの機会でもある[編註:グーグルは2010年に中国でのサーヴィス提供を終了し、実質撤退した]。グーグルのAndroid OSは中国でも普及しているが、当局の規制によってGmailやGoogle検索といったオンラインサーヴィスの公式な提供ができていない。しかし同社は将来的に、再び中国でサーヴィスを提供できるようになることを望むとの見解を出している。

 世界中から集まった報道陣が今回の対局会場に到着したとき、彼らにはGoogle翻訳のアプリについて、英語と中国語の両方で説明されたチラシが渡された。Google翻訳は、AlphaGoを支える機械学習の一種、ディープニューラルネットワークによって稼動しているのだ。

 AlphaGoの進化が示唆するのは、アーキテクチャーの刷新が実にうまくいったということだ。その変化に、対局が始まったときから柯は気付いていた。「AlphaGoは完全に違う打ち手になっていた」と、対局後の記者会見で彼は語ったのである。「まるで囲碁棋士の神様だ」。[2017.05.28 8:00 翻訳に誤りがあったため本文の一部を修正]














(私論.私見)