グロービス(堀義人代表)の国産AI開発論考

 更新日/2019(平成31、5.1栄和改元).7.11日

 (囲碁吉のショートメッセージ) 
 ここで、「グロービス(堀義人代表)の国産AI開発論考」をものしておく。

 2019(平成31、5.1栄和改元).7.11日 囲碁吉拝


【グロービス(堀義人代表)の国産AI開発論考】
 2019.7.8日、「囲碁AI開発は日本の経営者育成につながる グロービス堀義人代表が国産AIで世界一を目指す理由」。
 経営大学院、ベンチャーキャピタルなどを手がけるグロービスが、囲碁AIで世界一を目指す。日本棋院の理事も務める堀義人代表が旗を振り、世界2位(2018 中信証券杯 第2回世界電脳囲碁オープン戦・準優勝)の囲碁AI「AQ」開発者・山口祐氏、公益財団法人日本棋院、囲碁AI「Raynz」を開発し国際大会4位(博思杯 2019 囲碁 AI 世界大会)の実績がある株式会社トリプルアイズによる4者、さらには国立研究開発法人産業技術総合研究所、東京大学・松尾研究室が協力する合同のプロジェクト、囲碁AI「GLOBIS-AQZ」がスタートした。目的は若手棋士育成やAIの研究開発のさらなる発展だが、堀代表はさらに国産AIが日本人経営者を育てることにつながるという。世界一を目指すことがなぜ経営者を育てることになるのか、理由を聞いた。

-グロービスという企業

 1992年に創立された会社で、もともとのビジョンはヒト・カネ・チエの生態系を作って、社会に創造と変革を行うのが目的です。

-囲碁AIの開発を始めたきっかけは何でしょうか。

 もともと僕は40歳のときに囲碁を始めて、男の子ばっかり子供が5人いるんですが、みんな囲碁を打っています。小学校の全国大会に7回出て、うち3回優勝しました。そんな囲碁ファミリーなんですが、日本棋院の理事を拝命した時に、「グロービス杯世界囲碁U-20」を始めました。若手プロ棋士を育成していこうと思ったんです。

 その後、「AlphaGo(アルファ碁)」や、中国のテンセントの「絶芸(ぜつげい)」が出てきて。その中で、日本ではなかなか世界一が取れないのをなんとかやりたいと思いました。テンセントに行く機会があって、絶芸の開発チーム5人に会ったんですが、話を聞いたら、たった2年間で開発をしたというんです。その前には囲碁AIの知識もなかったのに。AlphaGoの論文を研究して、それを元にテンセント全体に囲碁AIの知見が広がりました。

 グロービスも日本において、AIの碁に強い人を集めて、プロジェクトチームを作れば、世界No.1の囲碁AIソフトを作って、テンセントやフェイスブックを破ることができるんじゃないかと。そこで考えたのが、「AQ」の開発者である山口さんにコンタクトをし、「Raynz」の開発社であるトリプルアイズさんにコンタクトして「GLOBIS-AQZ」という、プロジェクトが始まりました。
-堀さん自身が経営者であり、グロービスとしても経営大学院で未来の経営者を育成しています。囲碁と経営の共通点はありますか。

 (囲碁と経営は)ほとんど一緒ですが、3つだけ違うと思っています。1つ目に、経営は複数の人が全く違うポジションで戦っていきますが、囲碁は1対1です。2つ目に、経営には人という要素があって、リーダーによって変わってくる。囲碁は人の要素がなくて、石が同じ力を持っている。3つ目は経済が動いたり、リーマンショックが起こったり、地震が起こったりするんですが、囲碁の場合はそういったことがない。

 逆にその3つの要素を加味していくと、囲碁とAIは基本的に一緒。3つの要素を排除すれば、囲碁と経営の複雑性は一緒です。囲碁AIで人間を凌駕するものが作れるならば、経営においても、人間を凌駕するAIができてくる。ゆくゆくはAIが経営をする時代が来る。そのために何が必要か。複数のもっと複雑な経営環境の中で戦っていくということを、ディープラーニングを通して考えていく。人の能力をジャッジする力が必要になってきて、組み合わせた場合の組織の力を考えたり、経済的な要素とか、さまざまな自然災害などの不可抗力を加味していくと、囲碁と経営が、同じAIで判断できるようになる。囲碁AIの開発は、経営のAIを開発する一歩手前だと思っています。

-囲碁AIの開発目的を教えてください。

 「GLOBIS-AQZ」によって強い囲碁AIを作ると、今度はそれを使って教育ができる。「グロービス杯世界囲碁U-20」という大会を運営していますが、そこで若手プロ棋士を強くしていこうと考えています。今度は経営の教育を行っていることを考えた場合、囲碁AIを使った教育を考えていきたい。つまり若手プロ棋士、10歳の仲邑菫さんとかもっと若い子に、AIを使った育成の方法論を作ることで、囲碁と経営が近いことを考えれば、経営教育でAIを使っていくこともできるはず。経営教育をやっているグロービスの目的は明確で、AIによって人間の経営者が強くなる可能性があります。
-海外に優秀な囲碁AIがある中で「国産AI」こだわる理由はなんですか。

 自動車のF1のように、自ら開発した研究が残り、成果としてそれが日本に残っていくことが大きいと思っています。今度は作ったものを教育に活かしていくことができる。国産であることで研究レベルは上がっていくし、使うことの効果も大きい。AIで日本が戦っていき、日本で活かされることに大きな意味があります。

-囲碁の教育において人間とAIの違いはどこになりますか。

 人間が間違えているというと語弊がありますが、定石がガラッと変わってしまったんです。昔はこうやるんだと思っていたもの、人間が言っていたものが(AIによって)否定されている。何が正しいかわからないんですね。今、正しいと言われているのがAIで、神みたいなものが出てきた。神に教わらず、間違ったものに教わってしまうと、間違った方向に育ってしまう。純粋にAIのみで育った方が、強い棋士が生まれていくと思う。変な発想ではなく、AIの頭にしていくことが、これからの棋士の育成法なんではないかなと思います。

-囲碁の世界では「AIネイティブ」という言葉も定着してきました。

 これからはAIネイティブのみが生き残っている時代。若い棋士ほど強いですし。七冠を独占していた井山四冠も若手も負け始めている。10代のAIネイティブが、どんどん強くなっていく。AIの進化によって、人間の進化が加速している状況はすごくおもしろいです。

 「GLOBIS-AQZ」は世界大会に向けて強化学習の成果を測るとともに、若手棋士育成の一環としてとして、強化学習1日目となる7月10日に天才少女・仲邑菫初段(10)、同5日目となる7月19日に10代ながらトップクラスの実力を誇る芝野虎丸七段(19)と対局を行う。世界一を目指す国産AIの挑戦が、いよいよ本格化する。(C)AbemaTV













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