<AI碁ソフト>欧州のプロ棋士に5戦全勝

 (最新見直し2016.01.28日)

 (囲碁吉のショートメッセージ) 
 ここで、「<AI碁ソフト>欧州のプロ棋士に5戦全勝」を確認しておく。

 2016.01.28日 囲碁吉拝


【<AI碁ソフト>欧州のプロ棋士に5戦全勝】
 2016.1.28日日付け毎日新聞「<AI碁ソフト>欧州のプロ棋士に5戦全勝」その他を参照する。

 2016.10月、米IT大手グーグルと英グーグル・ディープマインド社の研究チームが開発した人工知能(AI)のコンピューターソフト「アルファ碁」(AlphaGo)が、中国出身で日本のプロ棋士とも同等の実力を持つ2013~15年の欧州チャンピオン(二段)のファン・フイ/プロ棋士と対戦し、5戦全勝した。正式なフルサイズ碁盤の囲碁で、コンピューターが人間のプロ棋士に勝ったのは初めてで、開発チームは「偉業を成し遂げた」。2016.1.1.27日付の英科学誌ネイチャー電子版に発表した。この3月、ソウルで、世界最強とされる李世※(イ・セドル)九段(韓国)との対局が組まれ、実力が試される。

 2015.10月、アルファ碁が、グーグル社のロンドンオフィスで、2013~15年欧州王者で中国出身のファン・フイ(樊麾、フランス)2段と対局。公式戦と同じ広さの19路盤を使い、ハンディもなかった。初戦はアルファ碁が2目半勝ちし、残り4戦も同2段が途中で負けを認め、投了した。英国囲碁協会からの立会人と学術誌Natureのシニアエディターであるタンギ・シュアール博士が見守った。シュアールは年明け1月26日に行われた記者団とのカンファレンスコールで、「研究者としても編集者としても、わたしのキャリアで最も興奮した瞬間のひとつだった」と話している。

 アルファ碁は、「ZEN」(日本)など五つの市販ソフトとも対局し、495戦494勝(勝率99.8%)と圧倒したという。

 コンピューターと人間のゲームでの対戦は、すでにチェスや将棋で、コンピューターが人間のプロを上回る成績を収めている。チェスでは1996~97年、当時の世界チャンピオンだったロシアのガリ・カスパロフ氏と、IBMが開発したコンピューター「ディープブルー」が対局。最初の年はカスパロフ氏が勝ったが、翌年はコンピューターが勝利し、歴史的な転換点となった。将棋では日本将棋連盟会長も務めた故米長邦雄永世棋聖が引退後の2012年、将棋ソフト「ボンクラーズ」に敗北。トップ棋士の三浦弘行九段らもソフトに敗れている。

 一方、囲碁はチェスや将棋と比べて盤が広く、石を置くことができる場所が桁違いに多いことから、コンピューターでは計算が難しいとされ、人間の「最後のとりで」と言われてきた。たとえば対局のパターンは、チェスの場合は、およそ10の120乗、将棋の場合は、およそ10の220乗とされていますが、これが囲碁の場合、10の360乗以上になるとされている。このため、これまでの囲碁ソフトではアマチュア有段者レベルが限界とされ、プロとの対局では、ソフトが先に碁石を3~4個置くハンディを付けてきた。開発者などの間ではコンピューターがプロ棋士の実力に追いつくには、この先、10年以上はかかると言われていた。

 近年の囲碁ソフトはこの壁に挑戦している。これまでは初手から終局までの膨大なシミュレーションをランダムに繰り返し、最も勝つ確率が高いものを選び出す計算手法「モンテカルロ法」が主流だった。チームはこれを改良し、「ディープラーニング」と呼ばれるコンピューターがみずから学習する最新の技術で、「深層学習」と呼ばれるデータや経験を自ら学習するプログラムを導入した。このAIの新技術で判断力を大幅に高めた。そのうえで、碁石の位置データに基づいた戦況の見極めと、次に打つ手の選択を2種類の別々の人工知能を組み合わせて計算することで、より強い手を見つけ出す能力が格段に高まった。過去の対戦データから打ち方を学習し、盤上の碁石の配置を評価し、今後の展開で最も有利な手を効率的に読めるようになった。さらに自分同士で対戦する自習で腕を磨いたと云う。

 その結果、アルファ碁が読んだ手の数は、1996年に米IBMのスーパーコンピューター「ディープブルー」が当時の世界チェス王者、ガルリ・カスパロフ氏と対局した時の数千分の1に減った。 初手から終局までの可能な着手数はチェスが10の120乗、将棋が10の220乗、囲碁が10の360乗とされる。加えて、囲碁は局面を評価する力も問われる。

 AIの能力は、産業技術への応用も期待されている。電話取材に応じた開発チームのデミス・ハサビスさんは、スマートフォンなどの利用者に対して、価値があると思われる情報を個別に提示する「推奨システム」や病気の画像診断などを挙げ、「長期的には『AI科学者』が人間の科学者と共に科学の飛躍的な進歩につなげられる」と語った。

 コンピューター囲碁の研究が専門の電気通信大学、伊藤毅志助教は「囲碁は局面の有利不利を判断するのが難しくソフトの開発者にとってはいわば『最後の砦』として注目を集めるゲームだった。グーグルのグループがここまで早くプロ棋士に勝つという目標を達成したことは非常に驚きで、『大発見』と言っても過言ではないと思う。ディープラーニングの手法が、囲碁という難解な分野にも応用できることを示した非常に注目すべき成果だ」と話しています。











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