やはり、そこで基本的なものを培っちゃったから、なんとかなったっていうのがあります。そしてもう一つ、五段の時、つまりプロになって7年目の昭和61年かな、その時にものすごく勝ったことがありました。その時にもう一つ飛躍があったと思います。これは仲間ではなく、もっと上の凄い人たちと対戦するところまで勝ち残っていったときがあったんです。それまでは下の若手のプロには勝てるんだけど、上の八段、九段の先生方には全く勝てなかったんです。それが7年目に上の人に勝てるようになったんです。時々は九段の先生にも勝てるという自信になってきて、今のこの状態でいいんだ、このやり方でいいんだって思えました。
自分のスタイルっていうのは、子供のころから鍛えてきた子と同じスタイルはできないんですよ。一応受験勉強してきたから、自分なりに東大生スタイルってのがあるんですよね。みなさんもあると思うけど、受験勉強するときに段取り決めて、こういうことを勉強しましょうとやって積み上げていくやり方です。私は天才派じゃないわけ。東大の中には天才はいっぱいいるけど、受験とかは努力でしょう。だからそのやり方で積み上げていってもある程度はいけるな、九段の先生にも勝てるってことは分かったんですよね。それで、そこまで行ったんで、後は何となくいけたっていう感じですかね。