囲碁手筋用語篇4(タ行)

 更新日/2022(平成31.5.1栄和改元/栄和4).10.3日

 (囲碁吉のショートメッセージ) 
 ここで、囲碁用語篇タ行を確認する。

 2015.01.17日再編集


 た行た

 大局観
 大局観(たいきょくかん)とは、部分的な優劣や目先の利益にとらわれず、全局を俯瞰しながら、今後の展開を視野に入れた的確な形勢判断を行う能力のことです。上記の目算による形勢判断と比べると感覚的な要素が強く、碁の総合力の反映ともいえるものです。
 大局観(たいきょくかん)とは囲碁用語が世間用語になった言葉の一つで囲碁用語が語源である。日常語への転用では、物事の全体をつかむ能力があることを云う。

 大争碁に名局なし
 大局に目を配れ
 大石(たいせき)死せず(Big groups never die)
 大胆にして細心    

 大斜定石()(taisha joseki)(the taisha joseki)
 

 大大ゲイマ()()()
 自分の石から縦と横に1路と4路(4路と1路)離れた場所に跳ぶ手、またはその場所のこと。

 太閤碁
 黒が第一着を天元へ打ち、あと白の真似をして打つ碁。太閤秀吉が打って相手を困らせたという話からきている。

 16世紀後半のある日、日蓮宗の僧侶である日海(後の初代本因坊算砂)が豊臣秀吉に請われて碁を打つことになった。秀吉は先で第一着を天元に打ち、3手目以降は日海の打った石の天元を挟んだ対角の位置に打ち続けた。結局、秀吉が勝った。この真偽の程が甚だ怪しいが、太閤秀吉が考え出した作戦と言う意味で、マネ碁のことを「太閤碁」と呼ぶ。

 高目()(takamoku)(the five-four point)
 アキスミへの着手を指す言葉のひとつ。碁盤の隅、第四線と第五線の交点に打つことをいう。下図黒1またはaの点が高目である。

 一つの隅に高目に該当する位置は2箇所あるが、どちらに打つのも同じ意味である。ただし盤上の他の石の配置によっては、戦略上異なる意味を持つ。


 タケフ(たけふ)(takefu)(bamboo joint)
 2子ずつ1路を隔てて並んだ形。竹の節に似ていることからこう呼ばれる。交互着手のルール上、着手放棄をしないかぎり絶対に切れない。タケフの両ノゾキするべからず。
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 タケフは切れない(タケフにキレたためしなし)
 タケフの心配ダメツマリ(タケフが抜けるダメズマリ)
 タケフの両ノゾキするべからず
 (Never try to cut bamboo joints)
 タケフが抜けるダメヅマリ(タケフのダメヅマリ)  
 (There is damezumari at the bamboo joint)
 タケフの両ノゾキ、見るに毒(悪形)
 タケフも切れる時がある

 たすき型(たすきがた)()()
 両方がたすき掛け状態に布石したもの。黒の初手、右上隅に対して、白が対角線上の左下隅に打ってくるとたすきにはならない。黒初手右上隅・白二手左上隅と打たれても、黒の第三手が右下隅ならたすきにはならない。つまり、たすきになるのは両者がその戦い方に同意した時のみである。

 多勢に無勢

 棚から牡丹餅
 思いがけず予想外の幸運にめぐり合った時の情景語であるが、これも
囲碁用語ではなかろうか。

 タヌキの腹ツヅミ()(tanukinoharatsudumi)()
 たぬきの腹づつみ
 

 種石
 要になっている大事な石を云う。
 種石とカス石を見極めろ

 ダメ(駄目)(囲碁用語が語源)
 「ダメ」(駄目)は、囲碁用語が世間用語になった言葉の一つで囲碁用語が語源です。「どちらから打っても利益も価値もない地点」のことを指しており「」、終盤の小ヨセも終わり他に打つところがなくなると「ダメ場」だけが残り、そのスペースを詰めて終局となります。これを「ダメ詰め」という。なお、囲碁の攻め合いの場面では「ダメ」の意味が変わってきて「ダメ詰め」が重要な意味を持ち、白黒それぞれのダメ数が攻め合いに勝つか負けるかを左右します。「ダメ詰まり」は、打てば当りになるので打ちたくても打てない「ダメ」の箇所のことをいう。

 日常会話でダメ(駄目)とは、「してはいけないこと」、「できないこと」、「良くない状態」を表す言葉として使われている。「駄目詰まりだなあ」と言えば、「万策が尽きた」、「手立てがない」というような意味になる。野球などで「駄目押しの追加点」などのように使われることもあるが、この場合は、「逆転可能域から不可能域への追加点」と云う風に使われているので囲碁の場合とは若干ニュアンスが違う。
 ダメ詰まり
 石又は石団の呼吸点がなくなっている状態を云う。
 ダメの詰まりが身の詰まり(ダメ詰まりは万病の元)

 足りん足りんは工夫が足りん

 短気は損気

 団子石は愚形の見本
 (Don't make compact groups of stones)
 団子石をつくるな
 (Don't make dangos)

 断点
 石が接触しているところで、キリを入れられて切られる状態になっている
箇所を云う。
 断点をノゾクな(断点ノゾクべからず)断点ノゾクべからず
 (Don't peep at cutting points)

 た行ち

 小さい
 着手の小さいは、価値が小さい手のことを云う。その石を取るのは小さい。そのヨセは小
さい、などと使う。局勢の小さいもある。碁の差が小さい細かい碁(細碁)のことを云う。

 力碁()()()
 力の強い碁。乱戦やねじり合いになると力を出す碁風。アマチュアで力碁というと筋のいい碁と対比されて冷やかしていう場合もあるが、囲碁に力の強いことは重要で、本来は誉め言葉でもある。

 力自慢の出切りかな

 チキリトビ()()()
 自分の石から1つスペースを空けて斜めに跳ぶ手のこと。

 ちぎる()()()
 相手の石のしっぽをちぎり取ること。

 血溜まり(ちだまり)()()
 碁盤の裏面にあるくぼみをいう。音響効果や、ひびが入るのを防ぐ意味がある。助言者の首を斬ってのせたという俗説もある。

 着手禁止点()(chousei)(long life)
 そこへ石を打ってはいけないとルールで禁じられている点を云う。

 中国流(chuugokuryuu )(the Chinese opening)
 盤の片側で星、小目、辺の星脇がコンビになっている布石を云う。隅のシマリよりも、隅から辺へとスピードを重視する布石法である。
中国流
高中国流

 隅の星、辺の星脇、小目に、石を配置して打つ作戦のこと。布石の型の1つ。中国流は、3連星と同じく中央の方へ勢力を広げていく打ち方ですが、一方の隅が小目にあるので、隅の地も多少囲いやすくなります。なお、辺の星脇の石が高い位置にある場合は、「高中国流」と呼びます。


 着眼大局、着手小局
 将棋の升田幸三の名言。

 着手順序決定基準は石の強弱と大きさ

 チャンスを逃すな

 中央
 盤の中央。また石の形の中心点や左右同形の中央のことをいう。
 中央の一目は隅の十目に値する
 (One point in the center is worth ten in the corner)
 中央を地にするな
(There is no territory in the center)

 中押し(ちゅうおし)(囲碁用語が語源)
 作らずにどちらかが途中で投了して勝負が決まる碁のこと。途中押しきり勝ちの略。最期
のダメ詰めまでして作らないのはマナーに反する行為である。

 中原(ちゅうげん)()()
 一般的には第五線から天元へ向かう中央域をさす。

 中盤(ちゅうばん)()()
 布石の次、終盤の前の中間の段階を云う。実戦的には「戦いが起こってから大ヨセに入るまで」をさす。碁によっては布石からすぐヨセに入ることもあるし、布石らしい布石がなく一方面からたちまち戦いが始まり中盤戦に入る碁もある。

 注文(ちゅうもん)()()
 相手の応手を予想して、それに対して立てる作戦。「こう打つと相手の注文どおりになる」などという。碁は相手の注文どおり打つのでは気合が悪いので、反発して勢い波乱が巻き起こる。

 長生()(chousei)(long life)
 長生は生きでも死にでもない

 丁々発止

 直四は生きなり、角四は死になり  

 鎮神頭(ちんしんとう)()()
 中国の古棋書にある図で、一手で両シチョウを防ぐ手。


黒45が鎮神頭。
次の話が『玉海』にのっている。

唐の宣宗の大中七年(八五三年)四月、日本の王子が来朝した。宣宗が顧師言に命じて王子と碁を打たせた。顧師言が鎮神頭の手段を読んでいたが、王子は知らず、ついに負けた。王子は旅館に帰り接待役の鴻慮に「師言は国中第何位の人か」と聞いた。鴻慮は、師言が国中第一の名手なのをいつわって第三位だと答えた。王子は「ああ小国の第一位は大国の第三位に及ばざるか」とおおいに嘆息したという。

 珍瓏(ちんろう)()()
 詰碁で、尊い玉の響きという意味から転じて「作り物」となった。玄玄碁経の詰碁は「珍瓏の部」に収められている。

 た行つ

 追撃はケイマが有利

 ツキアタリは悪手

 突くなら急所を

 ツキアタリ()()(bump、butting play)
 ツキアタリ。

 ツキダシ()()()
 石を連ねて関(イッケン)に突入する。ケイマのツキダシ。

 ツギ(接、粘、連)()()
 相手に切断されそうな場所をつなぐ手のことを云う。アタリにされた石を助けるような手、またはキリを防ぐような手。キリ(断)の前にツギ繋がる。ツギ方にはカタツギとカケツギ(虎)、ケイマツギがある。アタリ(打)にツギ、キラレル前にツグ。「ノゾキにはツギ 」。
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カタツギ。白に1と切られると黒▲の石は弱くなります。黒は切られないように黒1と打ってつながります。 これを「ツギ」といいます。このような石と石を直角に完全につなぐのを「カタツギ」と云う。
カケツギ。石と石を直接ツガないで、一路ずらしてつなぐのを「カケツギ」と云う。
 ツギ方はカタツギ、カケツギ、ケイマツギ
 ツギは堅ツギが基本
 継ぐ場合は、的にきかせて継げ

 ツケ()(tsuke)(attach、attachment, contact play)
 相手の石の隣に打つこと。打った石の隣に自分の石がある場合は「ツケ」とは言わない。単独でいる相手の石の横に自分の石をくっつけるような手。アタマツケ、巓(テン)(托) ツケ、下ツケ。(靠) 上ツケ等がある。
 単独で相手の石にくっつけていく手をツケと云う。白1と単独で黒▲の石にくっつけていくのがツケ。ツケられた黒は、aとハネたり、bと受けることになる。
 黒1と白△にツケ。これに対して白2とハネ、黒3とノビたとき白4と打つのもツケ。

 ツケオサエ()(tsukeosae)(attach and block)

 ツケ切り()(tsukegiri)()
 ツケギリ一方をノビよ

 ツケコシ()(tsukekoshi)(cutting across the knight's move)
 ケイマの位置にある相手の石と石の間を裂くように、自分の石から一路以上開けて相手の石にツケ、相手の石の分断を図る手を云う。
 ツケコシ切るべからず

 ツケにはハネよ(ツケにはハネよ、ハネにはノビよ)
 敵にツケられたらハネて受け、ハネられたらノビるという基本的な打ち方の教え。下図がその例。

 ツケノビ()(tsukenobi)(the attach-and-extend)
 ツケてノビる二手セットの手を云う。
 ツケノビ
 ツケにはノビよ

 ツケヒキ(ツケ引き)()()
 ツケてヒク二手セットの手を云う。相手の石にツケ、相手がハネたら、つけた石を引いてくる一連の手順のこと。

 包むように攻める

 ツッパリが有力な武器

 強い石、厚い石に近づくな
 強い時には三羽烏
 強い方につけよ
 星に両ガカリされた時、ハサミのない強い方の石にツケた方がよい。
ただし近年は考え方が変わり、ハサミのある方にaとツケていくことが
多くなっている。下図が1例で、黒1がハサミのない強い方の石へのツケ。

 鶴の巣ごもり()(tsurunosugomori)(the crane's nest)
 石を取る基本テクニックの一つで、放り込みの石を使って両側から締め付け万事休すの形にする手筋を云う。
 下記のような図形。黒は逃げられない。放っておくしかない。
 ┌┬┬┬┬┬┬┬┐
 ├┼┼○○○┼┼┤
 ├┼○●●●○┼┤
 ├┼○┼┼┼○┼┤
 ├┼┼┼●┼┼┼┤
 ├┼┼┼┼┼┼┼┤

 た行て

 デ(出)()(push through)
 相手の石の間を出て行く手のこと。
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 デギリ(出切り)(degiri)(push and cut)
 出てキル二手セットの手を云う。相手の石の間を出て、押さえられたら、そこを切る一連の手順のこと。

 出てはならないケイマの腹

 手数を詰めるホウリコミ(欠眼に放り込むと手数を1手縮められる)

 手抜き
 相手が打って来たところの折衝をせずに、そこを手抜いて他の方面に向
かう打ち方を云う。囲碁用語が語源である。

 手拍子に打つことなかれ
 手拍子はコウで誘え

 手戻りは避けよ、手戻りに注意せよ
 (Beware of going back to patch up your plays)

 手を抜いて石取らせ、そこで「アイタタ」いわなあかん。

 敵地で活きはツケて打て
 敵はさる(猿)者、引っかく者
 敵は前に座っている
 敵の急所は我が急所(敵の打ちたいところに打つ)
 (The enemy's key play is my own key play)
 敵陣のコウは大歓迎

 鉄柱(てっちゅう)(tecchu)(iron pillar)
 隅か辺の星の自分の1子から下がる手、またはその形のこと。ただし、あらかじめ固く打っておくような意味合いの手に使う言葉で、この2子の隣に他の石がある場合などは、「鉄柱」とは呼ばない。

 天狗の鼻ヅケ

 天元(てんげん、、)



 た行と

 度胸千両

 同形は先着に利あり
 同線ではツケるな、異線でツケよ(4線より上では、同じ高さの石にツケると不利になる可能性が高い

 ド方殺すにゃ刃物はいらぬ

 どちらにもヒラけるワリウチの手段

 トックリ形()(tokkuri)()
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 上図のように、一間にトンだ石からケイマに打った形を俗に「犬の顔」または「徳利」、もう一路遠くaの大ゲイマに打つのは「馬の顔」と云う。

 トックリ形はコリ形

 隣に手数をかけすぎるな

 トビ()()()
 上へ向かって一路以上あけて打つ手のことを云う。

 トビツケ()()()
 トビながらツケる手を云う。

 トビマガリ()()()
 黒1のように曲がった形に飛ぶ手は、「トビマガリ」と表現する。

 土俵を割る

 朋あり遠方より来る楽しからずや(囲碁諺)

 共に打ちたい両先手

 取らず三目(とらずさんもく)()()
 下図のような形が代表的なもの。黒から打てば白地3目(場合によれば最大8目)になり、白から打てば白地2目(場合によれば1目)になるため、先に打ったほうが損をする。そのため、何目の地とするかがルール上の問題とされてきた。
 黒から打てば白地3目になる。  黒1で黒のアゲハマは1個になる。
 白2で白のアゲハマは5個になる。黒5で黒のアゲハマは1個増えて2個になる。結果として白のアゲハマが3個多くなり、白地3目になる。なお、白にコウ材が多ければ、白地は最大8目になる。  白4とコウにする手があり、白6で白のアゲハマは1個増えて6個になり、盤面に3目の白地が残る。このとき黒のアゲハマは1個なので、この隅の白地は8目になる。黒にはコウダテによる他の箇所での得がはかれる。逆に白から打てば白地2目になる。
 白1で白のアゲハマは4個になる。 黒4で黒のアゲハマは3個になる。
 白7で白のアゲハマは1個増えて5個になる。結果として白のアゲハマが2個多くなり、白地2目になる。なお、黒にコウ材が多ければ、黒6で7の左に打つ手があってさらに白地は1目減る。

 取らぬタヌキの皮算用
 取りたいほうの逆をキレ
 (コウは)トリ番に回れ
 取ろう取ろうは取られのもと 

 「トントンの筋」()()()
 オイオトシ。別名をトントン、ツギオトシ、バタバタとも。





(私論.私見)