囲碁手筋用語篇3(サ行)

 更新日/2021(平成31、5.1栄和改元/栄和3).2.4日

 (囲碁吉のショートメッセージ) 
 ここで、囲碁用語篇サ行を確認する。

 2015.01.17日再編集


 さ行さ

 最良のシノギは攻めにあり

 サガリ()(sagari)(descent)
 隅や辺で自分の石から下方に向かって下がる手のことを云う。多くの場合1線-3線に打つ手を指し、それより高い場合は「ノビ」や「ナラビ」という語が使われることが多い。動詞では「サガる」となる。昔は「オリる」という言葉も使われたが、近年では廃れている。
 黒C5コスミツケに対して、白B6サガリで受けてる。これをうたないと、C5とC8の黒が連絡してしまう。
 サガリとは盤端に向かって石をノバすこと。ノビは中央に向かって石をノバす。ちょうどその反対となる。白1と盤端に向かって石をノバしたのがサガリ。  黒1と中央に向かって打つのがノビ。白が2と切ってきたとき、黒3と打つのがサガリ。

 裂かれ形()()()
 石が接触しているところで、石の連絡が断ち切られた形のことを云う。
 例えば隅を守ることだけを考えて黒1・3とツケヒくのは、白4とツガれて黒▲との連絡を自ら断ち切ってしまう。▲は白の強い石に張り付いた形で、自軍の石を自ら弱体化させたことになる。このように、自ら分断されに行くような手を「裂かれ形」と称し、悪形の代表とされる。
 裂かれ形は負け形(裂かれ形は避けよ)

 先のないヒラキを打つな

 酒は別腸、碁は別智

 サシコミ()()()
 上図の黒1のように、三方を相手の石が囲んでいるところに入っていく手を「サシコミ」と称する。白2と応じても黒3と打って切断できる。
 サシ金型はむやみに切れぬ

 座談の名手

 錯覚良くない、よく見るよろし
 将棋の升田幸三の名言。

 サバキ()()()
 主に立場の弱い石団をツケコシ等の手段を使ってうまく立ち回るテクニックの
ことを云う。
 サバキは軽く

 サバキはツケよ(サバキはツケから)(捌き(サバキ)はツケにあり)
 敵の勢力圏内でサバくときには、相手の石にツケて調子を求めるとよい。下図
では、白1のツケから3とハネてサバキを
目指す。
 (Attatch to the strongest stone in a pinch.)

 サバキ許さぬブラサガリ(鉄柱)
 自分の勢力圏内に敵が打ち込んできた場合、相手に付け入る隙を与え
ないブラサガリ(4線から3線に向かって並んだ石)の形が有効。下図黒1
のような手。

 左右同形(対称)中央に手あり
 左右対称の形では、中央に急所があることが多い。下図では、白1が唯一の
脱出手段となる。aやbに出ても白5子は脱出できない。
 (玄玄碁経「亀勢」)
 (If a formation is symmetrical play at the center)
 (Play in the center of a symmetrical formation.)

 サルスベリ()(sarusuberi)(monkey jump)
 囲碁に現れる形のひとつで、2線の石から1線にスベリを打つこと。通常サルスベリといった場合大ゲイマスベリを指し、「大ザル」とも呼ぶ。小ゲイマスベリの場合は区別して「小ザル」と呼ぶことがある。大ザルは場合にもよるが先手8目ほどの大きなヨセであるため、ヨセの初期段階で打たれることが多い。サルスベリはヨセの重要な基本手筋であり、対策も記憶しておく必要がある。
 左上黒1が小ザルで白は2と止める。 下辺黒1のサルスベリに対しては、白2とコスミツケて受け、以下番号順に打って進出を止めるのが基本である。
 サルスベリ8目 
 (The monkey jump is worth eight points.)

 ブタもおだてりゃ木に登る

 三間に打ち込みあり
 三間にカタツキなし
 三線にウチコミあり
 三線の石は二目にして捨てよ
 三線は普通線、地域線は打ってよし打たれてよし
 三線は四死六生

 三々(さんさん)
 碁盤の隅から数えて(三、3)の地点。布石の段階で隅の着点として単独で打たれる他、星や高目、目ハズシなど位の高い着点に対する隅への侵入手段として打たれることも多い。
 三3、四5、五8、六12、七17(中手の攻め合いの手数)    
 中手の詰めの手数を示したもので、三目中手は3手、四目中手5手、
五目中手は8手、六目中手は12手、七目中手は17手掛かることを教え
ている。これを「攻め合いの中手の九九」と云う。
 三々打って憂いなし  

 三子の真ん中が急所
 ダメが詰まった三子の石は、その真ん中から一路離れた位置が急所中の急所である。ここに打つのを
「三子のまん中をノゾく」と云う。

下図黒1が「三目の真ん中」の急所にあたる。白から打つ場合も、同点に打って形を整える。
 (Against three in a row, play right in the center.、The vital point of  three stones is the center

 三思して後に行う
 三段コウは捨てて打つ
 三方カラミにシノギなし
 三本立ったらケイマ
 三本ハッテ飛び出せ
 三目の頭
 三目の頭は見ずにハネよ(三目の頭をハネよ)
 (At the head of three stones in a row, play hane.)
 3目(子?)の真ん中が急所
 三本鼻はタタかすな
 三立四析ヒラキの原則
 三手ヨセコウはコウにあらず
 三手読み(三手の読み)
 三度目の正直

 三間トビ()()()
 自分の石から3つスペースを空けて真っ直ぐに跳ぶこと。

 三間バサミ()(sangenbasami)(three space pincer)
 自分の石から3つスペースを空けて真っ直ぐに跳ぶこと。

 三間ビラキ ()(sangenbiraki)(three space extension)
 三間空けた場所に開く手のこと。

 三コウ(三劫)(sankoh)(triple ko)
 コウの一種。接触する味方石と相手石にコウが3つある状態。黒が○部分のコウを取り白をアタリにすると、白は□部分のコウを取り逆に黒をアタリにする。 次に黒は△部分のコウを取り白をアタリにすると、白は○部分のコウを取り逆に黒をアタリにする。このように三順すると同形が現れる。この場合、両者が同意すると無勝負となる。
 盤上に3つコウができて、そのコウをお互いが順番に取り続けると、いつまで経っても対局が終らないので、そのような場合は双方の合意をもって対局を無勝負とすることがあり、これを「三コウ」と言う。単に盤上に3つコウができただけの場合を指すわけではない。発生することは極めてまれ。次の図はよっぽどのことがない限りお互いに譲れない形なので、三コウ無勝負になる可能性が高い。本能寺の変の直前に織田信長が観戦していた対局に現れたという伝説があり、そのため不吉の前兆と言われることがある。

 三三()(sansan)(3-3 point)
 碁盤の隅の外側から数えて縦横3番目の線が交わった場所を云う。全部で4ヶ所ある。相手のスミの地に侵入するためによく打たれ、「三々入り」と云う。
 白が右上の黒模様のエリアに三々から侵入してきたところ。
 三々入り歓迎!
 三々に打込みあり
 三々に打って憂いなし

 三段コウ ()()()
 上図が三段コウと呼ばれる形。白からはeに抜くかaにツゲば勝ちだが、黒が解消しようとすると、まずaのコウでコウダテに手を抜いて勝ち、bのコウでも勝ち、cのコウにも勝ち、dに抜くか1にツイでやっと勝ちになる。白は1手で解消できるが、黒は3手かけないと解消できない。そのため、3手かけて取っても、他で3手得されるほうが大きいので、黒はあきらめるのが妥当である。

 三連星(さんれんせい)(sanrensei)()
 布石の打ち方のひとつ。同じ側の隅の星上下とその間の辺の星に打つ布石を云う。辺を打たず、同じ側の隅の星上下に打つのは二連星と呼ばれる。中央に勢力を持たせることを主眼としたスタイルで、武宮正樹が有名な使い手である。

 さ行し

 死活(しかつ)    
 「相手に絶対に取られる事のない石」と「取られても新しく取られない石を置ける石」を活き石、それ以外の相手に取られる石を死に石と表現する。これを合わせて死活と呼ぶ。詰碁などの死活を扱った問題のことを死活問題(しかつもんだい)といい、現代日本語で「わが社にとっての死活問題」などと言うのは、囲碁の死活に由来している。

9.死活問題(しかつもんだい)

「死活問題」とは、「死ぬか生きるかの重大な問題のこと」です。

囲碁では、「相手に絶対取られることのない石」「取られても新しく取られない石を置ける石」を「活きた石」、「それ以外の相手に取られる石」を「死んだ石」と表現するため、これを合わせて「死活」と呼びます。

 死活はまず広さ、次に急所

 死はハネにあり(ハネ殺しが基本)  
 相手のフトコロを狭めるハネは、しばしば敵の死命を制する。下図では、
黒1のハネで白はどう打っても死ぬ。
(There is death in the hane)

 死に形()(sinigatachi)(dead shapes)  

 死んだ子の年を数える

 死んだら動くな 

 死んで花実が咲くものか
 【意味】 死んで花実が咲くものかとは、枯れて死んだ木に花が咲いたり実がならないことの意味から、どんな状況にあっても、生きていればこそいつかよいこともめぐってくる、どんなことがあっても生きていなければならない、むだに命を捨てるものじゃないと言い聞かせる言葉。囲碁では、一線、二線、3線を這うのは良くないとしたものだが、這い出したら生きるまで辛抱の手を打たねばならない、途中で止めて殺されるほど馬鹿臭い手はないと云う戒めの言葉になる。「死んで花実は咲かぬ」「死んで花実がなるものか」ともいう。「死んで花見が咲くものか」と書くのは誤り。 「命あっての物種」。
 Death is the end of all.(死はすべての終わり)
 Debt is better than death.(死より借金)

 地()(ji)(territory)
 白黒双方の対局者が自分の生きた石だけで囲い込んだ空間のところを云う。最終的にはこれの大きいほうが勝ち。囲碁において地(じ)とは、白黒双方の対局者が自分の生きた石だけで囲い込んだ空間のことを指す。囲碁は、地を大きく囲んだ方が勝ちとなるゲームなので、極めて重要な概念である。地の中に相手の死んだ石がある場合、終局後に取り上げられて敵の地に埋められることになる。上の図では△の白石は生きられないため、終局を確認した後取り上げられ、白地に埋められる。
 終局図で、aの点が白地、bの点が黒地となる。cはどちらの地でもないダメである。黒地は21目、白地は17目で黒の盤面4目勝ちとなる。
 地はヨセになってから考えろ

 地獄極楽、紙一重

 持碁(じご)
 囲碁の対局で互いの地が同じになり引き分けになること。「ジゴ」とカタカナで表記されることが多い。元々、玄玄碁経の「囲碁三十二字釈義」では「持」とはセキのこととされ、ジゴには「芇(べん、くさかんむりに巾)」の字を当てている。通玄集にも「勝負なきを芇と云う」とあるが、歌合せにおける引き分けを「持」というのに倣って「持碁」の字を当てるようになった。コミ出しルールが採用されて以来は半目単位のあるコミをつけることにより持碁はあり得なくなった。コミのない置き碁や定先の対局でも、トーナメント・リーグ戦などの都合で勝敗をつけなければならない場合には、持碁は白勝ち、ないし黒勝ちといったルールを決めて行われる。なお、長生の出現などによる引き分けは無勝負と扱われジゴとは称されない。

 シチョウ(四丁・征とも書く)(shichou)(ladder)
 石を取る手筋(テクニック)の一つで、アタリから逃げる相手の石団を階段状にアタリ、アタリで追いかけて石を取る方法。[下図左の図のような形の場合、白が○に逃げたとしても、活路は二つしかなく、次の黒の手によってアタリにされてしまう。 逃げきれるつもりでこの手順に入ると非常に大きな被害を受ける。シチョウアタリを打つことにより攻守逆転変化があることから「シチョウ知らずに碁を打つな」という格言もある。シチョウによって石を取ることを「シチョウに取る」などと活用する。
 シチョウのノビ出し一手7目の損
 シチョウは六丁
 シチョウ知らずに碁を打つな
(If you don't understand the ladders, don't play go.)

 シチョウ当り()(shichouatari)(a ladder break、ladder breaker)
 シチョウで追いかけられた場合、シチョウの進行方向の先に待ち構えて石を取られないようにしている石、またはそのような場所に打つ手のことを云う。次の図の三々の白1子のような石。この石があるので、黒は[A]からシチョウに追いかけても白石を取ることができない。シチョウの途中にある石。これがあるほうがシチョウで有利となる。なにもないと追いかけるほうが有利。
白bの位置は様々です。
白bの様にシチョウを失敗させる石を、シチョウアタリといいます。

 実利線(じつりせん)()()
 3線のこと。1線に石を置いても陣地は作れないから、必敗線という。2線に石を置いても1つしか陣地ができないから、敗線という。3線に石をおくと2つ陣地が取れて何とかなるので、これを実利線という。4線に石を置くと、3つも陣地が取れるので、これを勢力線という。33に石を打つことは自分の陣地の宣言になり、44に石を打つことは攻めて行こうという意志表示になる。また3線目にひとつ飛びに3石打った状態も強い防御になる。

 してはならない兄弟ゲンカ

 しのぎ
 囲碁のシノギとは、相手の勢力が圧倒的に強い場所で、相手の攻めを巧みにいなして自分の石を生存に導くこと。シノギの名手として、坂田栄男や趙治勲が有名である。
 しのぎの術

 シボリ(絞り)(shibori)(squeeze)
 相手の石を団子石にしてしまう手のこと。
 相手の石をアタリにし、自分の石を相手に取らせた上でもう一度相手をアタリにする一連の打ち方を指す。途中、さらに捨て石なども交えることもある。多くの場合、相手を凝り形にし、自分が形を整える目的で打たれる。また、攻め合いの場面で相手の手数を詰め、攻め合い勝ちに導く手筋としても用いられる。また、あまり効果のないシボリを「西洋シボリ」と称することがある(前田陳爾の造語)。

 四本鼻叩かすとも三本鼻叩かすな

 シマリ()(shimari)(corner enclosure)
 すでに自分の1子が打たれている隅の石(小目・星・目ハズシ・高目など)に、もう一手かけてしっかりと強化する手のこと。隅にある味方の石の近くに、もう1手打って隅の地を囲う手のこと。シマリには、小桂馬ジマリ、大桂馬ジマリ、1間ジマリ、2間ジマリがあります。単独のスミの石を補強するような手。動詞としては「シマる」という言い方をする。
 シマリの両翼理想なり
 シマリは敵にひびく方が先

 小を捨てて大につけ(捨小就大)
 (Sacrifice small to take large)

 秀策流()(shuhsaku-ryuh)()

 秀和の三本サガリ()(shuwa's three sagari)()

 柔よく剛を制す

 十で神童、十五で才子、二十歳(はたち)過ぎればただの人

 循環コウ()()()
 この図では、黒1のホウリコミに対し、白が3の点に抜くと黒5にコウを取られてアタリになってしまう。そこで白は2の点にホウリコミ返し、黒3の抜きに対して4に抜く。黒は5にコウを取ると、当初の黒白の立場が入れ替わった形になってしまっており、どちらかが譲らない限り無限にこの応酬が繰り返されることになる。この形を「循環コウ」と呼び、双方が譲らなければ無勝負となる。ただしこの形が実戦に生じた記録はなく、知名度も低いルールとなっている。

 初碁(しょご)にコウなし(初コウにコウ(だて)なし)

 定石
 (囲碁で)定石、(将棋で)定跡(じょうせき)とは、昔から研究されてきて最善とされる、きまった手の打ち方(一連の手)。囲碁や将棋に限らず、アブストラクトゲーム全般に広く存在する概念・用語であり、石を用いる囲碁、オセロ、連珠などでは「定石」と「石」という漢字を用い、駒を用いる将棋、チェスなどでは「定跡」と「跡」という漢字が用いられる。チェスでは「オープニング」とも。
 定石にこだわるな
 定石の手抜き、許すべからず
 定石覚えて二目弱くなり(定石見えて二目弱くなり)  

 定先(じょうせん)(josen)()
 囲碁の手合割の一つ。対局者の棋力にわずかに差がある場合用いられる方式で、置石なし、コミなしで行われる対局。下手が常に黒石(先手)を持ち、上手が常に白石(後手)を持つことでゲームの特質としての「先手の有利性」を下手のハンデとして対局が行なわれる。ハンデの隙間を埋めるために逆コミが設けられることもある。その場合、逆に黒がもらえる逆コミ6目半までというのが普通である。なお、「定先」という言い方は先二や先相先といった複数局を一組とするハンデに対し、「常に先番で対局している」ハンデであるということ強調するための呼び方であり、その意識がなければ単に先と呼ぶこともある。棋力の差が1つしかないときのハンデのこと。例えば25級の人と24級の人が対局するとき、1級の人と初段の人が対局するときなどは定先で打ちます。定先は下手が黒を持ち、上手が白を持ちますが、互先と違ってコミがありません。つまり、コミがない分だけ黒が有利になります。

 勝負は凛々しく、一手は美しく、空気は清清しく

 小は大の源(小山靖男、関西棋院九段)
 小を捨てて大に就け

 証文の出し遅れ

 初心忘べからず

 上手(じょうず)まっすぐ下手(へた)コスム

 尻注射(尻注)

 白黒(しろくろ)つける
 「白黒(しろくろ)つける」も囲碁由来用語である。「物事の是非、善悪、真偽、勝負などの決着をつけること」を云う。「黒白(こくびゃく)をつける」とも言う。囲碁が白石と黒石で勝負をつけることから来た言葉です。

 陣笠(じんがさ)(jingasa)(double empty triangle)
 愚形の一種。アキ三角2つで出来ている。
 白5までの姿は、その形から「陣笠」と呼ばれる。空き三角にさらに石がくっついた愚形。眼形も乏しく、黒に攻撃目標を与えるだけとなる。白5ではaとコウで戦うなどが普通。
 陣笠馬脚(陣笠馬脚つくって馬脚出す)
 陣笠の悪形

 さ行す

 好いた水仙好かれた柳
 好きこそものの上手なれ

 鮨は別腹、酒は別腸、碁は別智(知恵)

 筋()(suji)(line of play、technique)
 通常より大きな効果を挙げることのできる着手のこと。平凡な発想では達し得ない、やや意外性を含んだ効果的な手を指すことが多い。単に「筋」(すじ)と呼ぶこともある。将棋やチェスなどにおいても同様の意味で使われる。正しい手筋を身につけることは、囲碁上達の大きな要諦である。このため様々なレベルの手筋だけを反復練習する本が多数出版されている。手筋には、相手の石を取る手、自分の石が生きる手、連絡を図る手、攻め合いに勝つ手、形を整える手、相手の地を削減する手、先手を取る手などが含まれる。これらはツケ、ハサミツケ、トビツケ、ハナヅケ、ツケコシ、オキ、ワリコミ、キリ、ハネとオサエ、コスミ、コスミツケ、サガリ、ゲタ、シチョウ、ワタリ、捨て石、目を欠く、アテコミ、オイオトシ、ダメヅマリ、シボリ、オシツブシ、トビなどの形で現れる。手筋ではない筋の悪い手を俗筋、イモ筋という。また一見手筋風の手、本物の手筋の一路違いだが効果がない手を筋違い・異筋などと称することがある。なお、依田紀基は、最近手筋をより合理的に定義できる「筋場理論」を提唱している。

 筋悪の力碁

 スソアキ
 模様の下方が空いていて、相手から侵入の余地がある状態。
 (両)スソアキ囲うべからず  
 スソアキに近寄るな 

 スソガカリ
 三々入りの代用として使われる。

 捨て石(すていし)
 捨石(すていし)も囲碁用語が世間用語になった言葉の一つで囲碁用語が語源です。「捨て石」とは、「将来、または大きな目的のために、その場では無用とも見える物事を行うこと」や「大きな目的を達成するために、見捨ててしまう事柄」、「将来のためにあえて犠牲になること」を意味している。囲碁では、別の利益を得るための作戦として、又は止むを得ない場合の犠牲として、石の一部をわざと相手に取らせる石を云う。一部を犠牲にすることで、犠牲以上の成果を挙げる囲碁テクニックである。取られずに済む石を意図的に相手に取らせたり、取られる石を上手に取らせたり、隣接するより大きな相手の石を取ったり、外側を強化して厚みを築いたり、生き死にのかかっている大石を救出する等々の際に使われる。初心者のうちは石を取られるのは損だという観念が強いので、石を捨てて得をするという考え方ができにくいが、強くなるにつれて石を捨てる技を身につけていくことになる。世間でも、「我々が捨石となって頑張りますから…」などというように使う。 
 捨て石を使って形につけ
 (Sacrifice for shape)
 捨て石ができれば一歩前進
 捨てると死ぬ(と)は大違い

 スベリ
 盤面の辺において、高い位置にある相手の石に対し、自分の石を低く滑り込
ませるように打つ手のことを指す。線の石から二線、又は二線の石から一線へ
、ケイマや大ゲイマで相手の石の下に打つ手を云う。相手の地を荒らす手とし
て、また自らの根拠を確保する手として大きな価値を持つことが多い。

 隅()()()
 碁盤の四隅のカドに近い部分。


 隅の急所は2の一、2のニ
 絶隅(一の一)は、一手でアタリになる、二手で眼を作れるなど特殊な環境にある(隅の特殊性)。これを利用し、その隣である二の一の点が、死活や攻め合いの急所になる場合が多い。下図では、黒1と「二の一」の点に打つのが急所で、攻め合い勝ちとなる(ただし反対側のaに打ったのでは負け)。

 隅の板六(いたろく)()()
 6目の空点を囲んでいるが、ダメヅマリになると手入れが必要な形を云う。隅にある場合は隅の板六(すみのいたろく)と呼ばれ、ダメヅマリになると手入れが必要な形になる。

 隅の曲がり四目(すみのまがりよんもく)(suminomagarishimoku)(dead four in the corner)は死に
 「隅のマガリ四目は死に」。1989年制定の日本囲碁規約では、死活判定において「コウの取り返しはないものとみなして」お互いが石を置いたとして生きられるかで判断されると定めたため(第7条の2)、やはり死にとなる。すなわち、白はここに石を追加で打って自分の地を損する必要はない。中国ルールでは自分の地に手を入れても損はないため、実戦的に白側が黒石をアゲハマとして打ち上げて解決することが可能である。日本ルールでも、隅のマガリ四目を取り囲んだ外部の石に眼がない場合は、コウを実際に仕掛けたりすることによって解決することになる。
 上図は隅のマガリ四目の一例である。一見セキのように見えるが、白からaに4目にして捨てる手段があり、これが隅のマガリ四目の名の由来である。白aに対して黒がbに抜くと次図のようになる。  続いて白aと打てば黒bにホウリコみ、白はcに抜いてコウとなる。
 しかしこの形は、白からはいつでもコウを仕掛けることができるが、黒からはそれを解消する手段がない。白はまず黒からのコウダテを全てつぶした上でコウを仕掛ければ、黒を取ることができる。日本ルールでは、実戦的には死ぬとは限らなくても(「盤面の他の部分に両コウゼキがある」など)、白に一方的にコウを仕掛ける権利があることを重視して、この部分を単独で死にと扱う。

 隅のマガリ四目になる形

 これらの形も、最終的にダメが詰まると隅のマガリ四目の形にたどり着くため、単独で死である。

 隅のマガリ四目にならない形

 上図のような形は手を詰めていってもコウの形にはならないため、隅のマガリ四目ではない。このままセキとみなされる。

 隅の6目は死に形(隅の六目は先に打っても死に)、隅の8目は生き形(隅の六死八生)
 

 さ行せ

 せいては事をし損じる

 セキ(持、和)(seki)(stalemate)
 攻め合いの関係にある二つの石が、お互いが相手の石を取ろうとすると逆に取られてしまうという、どちらも手が出せずに生きとなる特殊な配石をセキと云う。どちらの石も生きとなるが、眼を持っていても地にはならない。
 内側の黒3子と白9子はどちらもセキで活きている。囲いあっていて2眼をもっていないが、双方とも活きているような形。理由:白からA1,E1などに打って黒を取りにいけないし、黒がA1,E1に打つと4子とられて2眼をつくるスペースをあたえてしまうので、どちらからも手出しできない。だから両方活きているとする。 但し、外の黒石が生きているのが条件となる。もし生きていないと「一時セキ」であり、その後の展開で仮に取られることになりと、中のセキが「セキ崩れ」になる。
次の一手を間違うと、黒は死んでしまいます。
白から攻めるなら、白1で黒は死にます。
双方、中に石を放り込んだら死にます。
とりあえず、知っておいて下さい。
 セキも活きのうち

 石塔シボリ()(sekitohshibori)(two stone edge squeeze)  
 石塔の手筋

 説教碁()()(  

 攻め
 相手の石を攻撃して利得を図ることを指す。必ずしも相手の石を取ることを意
味しない。相手の石を挟撃する、
厚みを活用する、根拠を奪うなど、様々なパタ
ーンがある。また、「美人は追わず」(
苑田勇一)と言われるように、やみくもに追
って逃がしてしまい逆に自分が薄くなることが最も戒められる。攻めの強い剛腕
家としては、
加藤正夫武宮正樹井山裕太などが有名である。
 攻めて地を取れ(攻めながら地を取れ)
 攻めの基本はカラミとモタレ
 攻めは分断にあり
 攻めはケイマかボウシ、逃げは一間。 
 (Use the Knight's move to attack, the 1-point jump to defend)
 攻めはボウシからのケイマ
 攻めは緩めの網が良い(お酒はぬるめのカンが良いのもじり)
 攻める石にツケるな(攻めたい石にツケるな) 

 攻め合い(せめあい)
 白と黒の眼のない石が接触し、先にダメの詰まった方が取られてしまう状態
をいう。
 攻め合いは一手勝ち
 攻め合いは外から詰めよ(攻め合い、ダメは外ダメから)
 攻め合いのコウは最後に取れ

 攻(責)め取り()()()
 攻め取りとは相手の石のダメを全部詰めて取らなければならないことを云う。正しくは責め取りではないかと思われる。日本囲碁規約では終局のとき死石はダメを詰めなくても取り上げることができる。しかし、責め取りの場合は、相手の石との攻合いに勝って取れる状態なので、相手からダメを詰められるとその石のダメを詰めて取らなければ逆に自分の石が取られてしまう。無条件に取っている石はダメを詰めなくても取り上げることができるが、責め取りの場合は、ダメを詰めなければならない。ダメの数だけ自分の領地が減ることになる。

 千載一遇

 先手(せんて)
 二人で交互に着手する展開型ゲームで、最初の一手(初手)を着手する側である。初手を着手しない側のことを後手という。先手と後手の双方を合わせて先後という。先手は先手番(せんてばん)、先番ともいい、後手は後手番ともいう。
 先手は媚薬
 先手をとる(囲碁用語が語源)

 千両マガリ()()()
 両者の勢力の接点など、絶好点となるマガリを「千両マガリ」と表現する。

 さ行そ

 相場
 着手や一段落した形が、ほぼ妥当と見なせること。

 外から攻めよ   
 外ダメから詰めよ(外から攻めるは死活の基本)(攻め合いは外ダメから詰め
るのが原則)  
 (Fill in a semiai from the outside.)

 外ヅケ()(sotoduke)()
 攻め合いになっている石のダメの内、攻め合いの関係にある相手の石のダメではないもののこと。

 備えあれば憂いなし
 

 そばコウあって大いばり
 損コウ打って碁に負ける
 損コウたてるべからず





(私論.私見)