イラク平定利益の分け前談議考

 新聞報道によれば、「米国防総省 イラク復興事業の受注、連合国に限定」なる見出しで、「米国防総省は、イラクを占領統治する連合国暫定当局(CPA)によるイラク復興について、石油、電力など総額186億ドルとなる26事業について、受注先を、米、イラクのほかは、連合国パートナーである日本や韓国などイラク戦争や復興に協力している61か国の企業に限定する方針を決めた」とある。5日付でウォルフォウィッツ米国防副長官名で出された通達は、復興事業は「国家安全保障と国防に不可欠」だとして、受注企業も連合国に限定するのが適切だと強調している。ただ、仏独などの企業が受注企業から孫受けをすることまでは禁じておらず、結果的に連合国以外の企業が参入する道は残されている。

 2003.12.10日、これに対し欧州連合(EU)は、外国企業の参入を促す世界貿易機関(WTO)の政府協定違反の疑いもあるとして調査に乗り出す方針を明らかにした。米側は「イラクで米国とともに奮闘している国が、米国民の税金が使われる事業の元請けにふさわしいと考えるのは適切だ。苦労している国の受注は当然だ」と反論しており、米欧の対立が再燃しかねない様相だ。国務省のバウチャー報道官は、これまでの米国による復興事業の発注先は米国企業に限られていた事実も挙げ、「今回の措置は、特定の国を排除するためではなく、受注先を広げるためにとられた」とも語った。

 仏外務省のラドスス報道官は欧州委員会と協議していることを明らかにし、「競争を原則とする国際法に反していないか調べる」とのコメントを発表している。ドイツ政府報道官は10日、記者会見で、「受け入れがたい。過去にとらわれず未来に目を向ける精神に反するものだ。話が違う」と反発した。訪独中のイワノフ露外相も「イラク復興に協力する意思のある国すべてに機会を与えるべきだ」と反発した。アナン国連事務総長は、「努力を結集すべき時に分断の種は避けるべきだ」との見解を披瀝した。AP通信によると、ブッシュ大統領は10日、仏独ロの各首脳と、事前に日程が組まれていた電話協議をしたが、その中でもこの問題が取り上げられた。




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