「民間日本人3名人質、殺戮予告事件」考

 2004.4.8日、「民間日本人3名人質、殺戮予告事件」が発生した。事件の背景及び状況の全貌はまだ掴めないが、経緯をここに記しておく。

 「サラヤ・アル・ムジャヒディン(戦士旅団)」という軍事組織が4.8日午後4時(日本時間午後9時)ごろ、日本人3人を拘束し、カタールの衛星テレビ「アルジャジーラ」に人質の映像と「自衛隊の撤退か、人質の殺害か、三日以内に決断せよ」と迫るアラビア語の声明文を送りつけてきた。アルジャジーラは7日午後4時(日本時間午後9時)の緊急ニュースでこれを伝えた。

 声明文は黄色い紙に書かれており、次のように記されていた(和訳文が錯綜しており、れんだいこが意訳した)。

 冒頭コーランからの引用で「神の名のもとに」、「この世の中にいるいろんな国民がみな良い関係になるように生きなければならない」と書かれている。見出しは、「親愛なる日本の人民へ」とある。
@  我々は、ムスリム・イラク人民の子孫である。
A  我々イラクのイスラムの息子たちは日本人と非常に良好親愛な関係を保ってきていた。尊敬もしてきた。
B  しかし、残念ながらあなた方はこの友好関係を裏切り敵意を返してきた。あなたたちは我々の子どもを殺し、尊厳を踏みにじる米軍を支持し協力する残酷な人間になった。米国の不信心で堕落した軍隊に武器と兵士を提供した。
C  アメリカ軍は我々の国を占領し、我々の聖なる場所に侵略し、我々の血を流し、我々の子どもたちを殺した。
D  あなた方は、我々の子らを殺し、国民を痛めつけている米軍を支援している。それは、われわれの固有の権利(プライバシー)に干渉し、神聖な場所と土地を汚し、われわれの血を流し、われわれの名誉を損ね、われわれの子供たちを殺したことを意味する。日本は我々との友好関係を損ねた。
E  我々の義務として、あなた方に同じ報いを与えなければならない。おまえたちに告げる。殺りくにかかわったおまえたちを歓迎しない。われわれに戦争を宣言したおまえたちを歓迎しない。あなた方の3人の子はわが手に落ち、人質として捕まえたことを告げる。これはその報復である。
F  あなた方は二者択一をしなければならない。あなた達の軍隊がイラクから撤退させ帰国するのか、さもなくば彼らを生きたまま焼き殺し戦士たちの食物とする為に与えることになるだろう。(焼かれて死亡した米民間人の遺体が宙づりにされる事件が起きた)ファルージャでユダヤ人に対してやった以上のことを3人にもやるだろう。
G  おまえたちに3日間の猶予を与える。猶予期間はテープが放送されてから3日間とする。
H  拘束された3人の日本人の様子は映像でおさめた。

 番組の中でキャスターは、サラヤ・ムジャヒディンについて「知られていないグループ」と話した。人質の3名は目隠しをされてひざまずかされた様子で映し出された。目隠しをとった3人の姿も映った。3人とも無表情だったが、中心に座っていた女性が周囲に話しかける場面もあった。3人のパスポートなども映し出された。3人の背後には銃を持ち覆面をした5人が立っており、ビデオに音声はなかった。

 3人は高遠菜穂子さん(34)、郡山総一郎さん(32)さん、今井紀明さん(18)さんと判明した。郡山さんは、宮崎県出身の市民団体代表。今井さんは札幌市西区在住。高校在学中からイラクでの劣化ウラン問題に取り組んでいた青年で今春高校卒業したばかり。ボランティア活動家でTUPの翻訳メンバー。高遠さんは、北海道出身。イラクの子供たちを支援するNGOのスタッフ。

 高遠さんがイラクでの活動報告をしているホームページによると、高遠さんは今月1日、成田空港を出発しモスクワ、アンマン経由でイラクに向かった。アンマン空港が砂嵐で一時閉鎖されたため、約6時間遅れて3日午前0時半に同空港に到着した。一方、今井さんは5日午後9時過ぎ、アンマンのホテルで合流した。2人はアンマンで郡山さんと知り合い、3人でバグダッドを目指すことになった。


【用語解説「アルジャジーラ」】
 中東・カタールの衛星テレビ局。ハマド首長が「アラブ世界に言論の自由を」と約1億4000万ドルを寄付し、アラビア語によるアラブ諸国向けの24時間放送局として、1996.11月に設立された。中東のCNN、BBCなどとして期待された。

 世界が注目し始めたのは、2001.9.11日の米同時多発テロの首謀者とされるビンラディン氏のビデオメッセージを全編放映した事。アフガニスタン攻撃の生中継や、イラク戦争でも独自にイラク国内を廻るなど、現場主義に徹した報道スタイルを続けた。米兵の捕虜の映像を流し、物議をかもした半面、空襲で犠牲になった一般市民の悲惨な映像を流し、戦争の現実を伝えた。

 世界に30を超える支局を持ち、特派員は世界に移り住んだイスラム市民を採用。アラブ諸国では最も視聴率が高いとされ、2002年にはアラビア語のホームページへのアクセス数が8億1100万件にも上ったという。

 その一方で、社の幹部が暗殺などの脅迫を受けるのは日常茶飯事だという。(2004.4.11「NEWSことば」参照)

【用語解説「サラヤ・ムジャヒディン(聖戦士軍団)」】
 日本人3人を誘拐した「サラヤ・ムジャヒディン(聖戦士軍団)」と見られるイラクのイスラム武装組織の設立趣意書が、2204.3.17日付で、イスラム過激派系インターネットサイトに出ていることが分かった。サラヤ・ムジャヒディンは、イラクの25団体を傘下におく「イラク解放国民戦線」のひとつ。武装組織設立趣意書によると、「ムハンマド軍」、「イスラム抵抗」、「アンサール・イスラム」、「アンサール・アルスンナ」など、これまでイラクに存在した主要グループの連合体として設立されたという。 

 組織網は、バグダッド、サマラ、ティクリート、バクバ、キルクーク、バスラなどに広がるとし、指導者は「ムサンナ・ハーレフ・アルダーリー」とする。

 目標は「イラクを米占領から解放するために団結し、米国とその協力者に罰を下すこと」としている。

 同組織は、今年2月中旬に、イラク中部のファルージャでアビゼイド米中央軍司令官の車列を狙ったロケット砲攻撃事件について、「司令官を標的として拘束し、サダム・フセインと交換するため」と記している。さらに「今後、数週間に多数の米兵が誘拐される事件に遭遇するだろう」と、誘拐事件を予告している。

  (朝日新聞、04/09記事参照)



「民間日本人3名人質、殺戮予告事件」声明文について れんだいこ 2004/04/09
「民間日本人3名人質、殺戮予告事件」が発生しております。れんだいこには事件の背景を読み解く力はありませんが、声明文に付き一言コメントしておきます。

 「サラヤ・アル・ムジャヒディン(戦士旅団)」という軍事組織は今のところどういう組織かはっきりしないとのことです。彼らが、カタールの衛星テレビ「アルジャジーラ」に送りつけた声明文の内容は次の通りということです(翻訳のきちっとした全文が知りたいのですが)。

 声明文は黄色い紙に書かれており、次のように記されていた。
@・我々はイラクのムスリムの国民だ。
A・イラクのイスラムの息子たちは日本人と非常に良く、深い関係を持っていた。
B・しかし、あなたたちは我々の子どもを殺し、尊厳を踏みにじる米軍を支持する残酷な人間になった。
C・日本は我々との友好関係を損ねた。我々の子らを殺し、国民を痛めつけている米軍を支援している。
D・これはその報復である。あなた方の3人の子はわが手に落ちた。
E・二つの選択肢がある。自衛隊を撤退させて帰国するか、さもなくば彼らを生きたまま焼き戦士たちに与える。
F・猶予期間はテープが放送されてから3日間。
G・拘束された3人の日本人の様子は映像でおさめた。

 れんだいこの気になるところは、AからCの内容です。ここで、「かって、イラクのイスラムの息子たちは日本人と非常に良く、深い関係を持っていた」とあります。れんだいこに云わせれば、戦後日本は、日米同盟のかたわら賢明にも親イスラム政策を採り、イラン、イラクその他地域の社会資本充実に貢献してきたことは衆知の通り。このことを指摘しているのではないかと思います。実に、戦後保守本流となっていた自民党ハト派系の舵取りはそのようなものではなかったか。それは賞賛される政策ではなかったか。

 次に、「しかし、あなたたちは我々の子どもを殺し、尊厳を踏みにじる米軍を支持する残酷な人間になった。日本は我々との友好関係を損ねた。我々の子らを殺し、国民を痛めつけている米軍を支援している」とあります。

 れんだいこに云わせれば、「ロッキード事件」以降、自民党ハト派系が米日反動派と似非左翼、労組、マスコミの大合唱により閉塞させられ、中曽根以降小泉に至るまで次第に「シオニズム事大主義」的タカ派に牛耳られるようになった。この政界大変動を、彼らの眼から的確に表現しているように見えます。我々のほうがあまりにも中に居り過ぎてこの政権転換が見えていない。

 今や、中曽根−小泉一派は石油の必要から、親米イエスマンポチ化政策以外に日本の選択肢はないと公言して、官僚も財界もそう囃しているが、果たしてそうだろうか。れんだいこの眼にはむしろかってのハト派の苦渋辛吟政策こそ日本の針路ではないかと思われる。吉田−池田−角栄−大平ラインの舵取りはまさに有能であった、あの頃の官僚も又優秀にして気骨があったのではなかろうか、全部が全部そうだというわけではないにせよ。

 しかし、この政策を目指す党派がいない。このことが日本の政治を貧困にしているように思われる。民主党に期待しようにも、更にアメリカナイズされた若手タカ派を取り込んでおり、どうにもこうにも使い物にならないように思われる。社共の似非性はもはや語るにも値しない。そういう意味で、我が政界は閉塞している。この不毛の大地をどう耕し、維新の回天運動に匹敵するものを創りだすのか、それが問われているのではなかろうか。しかし、世は、新撰組ブームだというのだから笑わせられる。

 「民間日本人3名人質、殺戮予告事件」の今後の経緯を注意深く見守りたいが、どうせ田吾作政治しか見られないだろう。人質3名の無事を祈るが、あぁ先の外交官の惨殺然り、抗する術も無く米軍指揮の下でタガハメされ、更なる軍事出兵、予算計上の道へ誘われることになるのだろう。いずれ国庫は急直下空っぽにされてしまうだろうにはがゆいことだ。

 2004.4.9日 れんだいこ拝

声明文意訳 れんだいこ 2004/04/09 20:42
 声明文の原文はアラビア文字だという。従って、れんだいこが直訳することはできない。あちこちの翻訳をれんだいこなりに意訳してみた。恐らくこういう趣旨だろう。

 見出しは、「親愛なる日本の人民へ」とある。
@・我々は、ムスリム・イラク人民の子孫である。
A・我々イラクのイスラムの息子たちは日本人と非常に良好親愛な関係を保ってきていた。
B・しかし、あなた方は残念ながらこれを裏切った。あなたたちは我々の子どもを殺し、尊厳を踏みにじる米軍を支持する残酷な人間になった。
C・アメリカ軍は我々の国を占領し、我々の聖なる場所に侵略し、我々の血を流し、我々の子どもたちを殺した。
D・あなた方は、我々の子らを殺し、国民を痛めつけている米軍を支援している。日本は我々との友好関係を損ねた。
E・我々の義務として、あなた方に同じ報いを与えなければならない。あなた方の3人の子はわが手に落ちた。これはその報復である。
F・あなた方は二者択一をしなければならない。あなた達の軍隊がイラクから撤退するのか、さもなくば彼らを生きたまま焼き戦士たちに与えることになるだろう。
G・猶予期間はテープが放送されてから3日間とする。
H・拘束された3人の日本人の様子は映像でおさめた。

 これを読むのに、米軍ないしモサド系の謀略を読み取るのは少々しんどすぎる。むしろ、聖戦士側の対日(自衛隊)攻撃の前哨戦的小手調べであり、この解決如何で本格的な総攻撃を開始するという裏メッセージを読み取るべきだろう。

 何せ日本は米軍のイラク戦の財政を実質的に支えていることからすれば、そのイラクへのこのこと出かけ「平和の使者」然と振舞おうとも、闘う側からすれば「卑怯姑息憎き敵」であることは容易に見て取れる事である。それは、後方兵站基地を叩く意義を持つ。

 政府は、平和ボケした感覚のまま「シオニズム事大主義」で謂われる通り事を推し進めてきた。それが血生臭い戦場ではいかに無謀なことであったか思い知らされることになるだろう。それを思えば、声明文に脅されてではなく「引くことも勇気であり英断」である。

 れんだいこが願わくば、「戦後の国是としての内治優先、外へ向けての国際平和協調主義」に立ち帰れ。この政策こそ日本の国家百年の大計として望ましく、「シオニズム事大主義」は最も危険なり。

【小泉首相の「歴史その時」】 れんだいこ 2004/04/12 18:46
 2004.4.8日、「民間日本人3名人質、殺戮予告事件」が発生した。「サラヤ・アル・ムジャヒディン(戦士旅団)」と名乗る軍事組織がカタールの衛星テレビ「アルジャジーラ」を通じて、人質の映像と「自衛隊の撤退か、人質の殺害か、三日以内に決断せよ」と迫るアラビア語の声明文を送りつけてきた。日本左派運動はこの事件にどう対処すべきだろうか、れんだいこ党の見解を申し上げる。

 人質の3名はいずれも親イスラム系のボランティア活動家達である。こたびの人質事件は、その種の者達を標的にした点で衝撃を与えている。まず最初に思うに、この事件の背後事情である。4.12日、米国副大統領チェイニー来日に合わせるかのように降って沸いた事件だけに一考せざるを得ない。

 しかしながら、れんだいこが声明文を読み解くのに、シオニストの最も痛い点を衝いており、軽々に米国特務機関ないしはモサドのそれとは看做しがたい。ならば、抗米イラク人民戦線レジスタンス側と日本のボランティア平和活動家との共謀性狂言的自作自演劇であろうか。今後の進展により判明しようが、この線も一考に価する。

 しかし、最も考えられるのは、「イスラエル軍によるハマスの精神的指導者ヤシン師暗殺」以来燃え盛るイスラム戦士の国際組織による対日宣戦布告の前哨戦としての人質事件ではなかろうか。

 今や誰の眼にも日本が米英軍による対イラク戦争の後方兵站基地であることが判明しており、日本の財政支援無しには成り立たない仕掛けも衆知されており、こうした場合にスポンサー国が叩かれるのは戦争の常道であろう。

 彼らは、日本のボランティア平和活動家を人質に取り、声明文で「自衛隊の撤退」を声明することで、その際の日本政府の対応ぶりを満天下に明らかにし、その度し難いシオニズム事大主義ぶりを印象付けることにより、以後の対日武力闘争における聖戦的正義イデオロギーを獲得しようとしているのではなかろうか。

 れんだいこはそのように観る。イスラム世界が漸くというべきか、今や日本国家権力がシオニストの手に落ちていることを確認し始めた。親イスラムでもあったハト派の時代が終わり、戦後権力構造がシオニズム事大主義一辺倒へ質的転換していることを見抜き、かってのハト派系が扶植した故の親日的心情からの決別を公然と宣言した。その結節点となる事件がこたびの「民間日本人3名人質、殺戮予告事件」であると観る。

 このことは我々に次のことを教える。「『敵と味方』が容易ならざる形で問われる時代に入った。個人が平和活動家であろうがあるまいが、シオニズム事大主義に耽る当該国家との熾烈な闘いを組織しないそれは決して免責されない。そういう時代に入った」ということを。それは、パレスチナ、中近東の情勢の厳しさが生む戦争リアリズムであろう。ならば、我々はどう対応すべきか。如何に呼応すべきか。現代史のこの絶対戦争から抜け出す方法は奈辺にありや。

 以上から普通に理解すれば、自衛隊のイラク現地での存立基盤の危さが判明する。成り行きしだいで袋のねずみ的一挙的殲滅の危機に入ったと云える。この事態に対して、交戦可能防備化を指針せしめるのも一法であろう。あるいは更に完全に米英軍と一体化し軍事行動を共にせんとするのも一法だろう。ただ単に面子的意識から「自衛隊の撤退反対」を指針せしめる者よりはリアリズムさにおいて優れていよう。

 しかし、れんだいこ党はその道に強く反対する。事と次第では身命を賭して闘う。なんとならば、その泥沼の道に入り込むには何らの利益が無い。正義はもとより無い。結局、シオニズムとの一蓮托生路線は滅びの道だと信ずるから。

 戦前の軍部の動きを見よ。国際連盟脱退の頃までは確かに破竹の勢いであった。松岡外相を歓呼の声で迎えたのはマスコミであった。しかしその道は儚(はか)なかった。それは、歴史には様々なベクトルがうごめいており、一つのベクトルを信じて突き進んだときの弱さであった。今日シオニズムは最強のそれのように思える。我が日本の一群の官僚及び政治家はシオニズムに付き従いさえすれば万能と考えているように見える。しかし、そうはならない。むしろ、複数のカードを用意しておき、局面局面に能く対応しうることこそ、これに汗を流すことこそ本来の政治と云えよう。

 むしろこうだ。極東の小島国にして産業技術立国として特質を持つ日本は、今後ともハト派時代の「内地優先、軍事防衛軽武装」路線を国是とすれば良い。「内に向けての公共事業促進、平和産業昂進、社会保障充実、市民的自由社会創出、環境保全、外に向けての国際協調平和主義、海外支援援助」こそ目指せば良い。

 特殊的には、ハト派は日米同盟を主軸としながらその間隙で日台、日韓、日中、日ソ、日朝の国交回復を目指し実現してきたが、むしろその道の方が賢明だろう。そういう針路故に、現代史の最大矛盾パレスチナ戦争に日本ならではの関わり方が為しえるのではなかろうか。日本はそういう稀有な国になりうる可能性が有る。これに知恵を出すことこそ本来の政治と云えよう。

 従って、れんだいこ党は、「初手からの間違い」を是正するために、「今からでも遅くない、自衛隊の即時撤兵」を呼びかける。国是としてそうすべきだという理由に加えて、今やあらゆる兆候からしても危険極まりないという事由も加わっている。

 今後において少なくとも戦士には「今後において何らの不利益なき兵役拒否の自由」が与えられねばならない。元々違憲出兵であるので、法理論的にはそうは難しくない。自衛隊員を現地に留め置くべきであるなどと主張するマスコミ者は、国家賠償訴訟の際に相応の幇助罪が問われることになるべきであろう、今から覚悟しておけ。

 参考までに、事件が伝えられた時の小泉首相の「歴史その時」を確認しておく。

 2004.4.10日付ゲンダイに拠れば、小泉首相の「歴史その時」が次のように報ぜられている。イラクで日本人3名がテロリストを拘束されたとの情報が入った時、小泉首相は、安部幹事長や新聞社編集委員らと酒食の宴の最中であった。情報は小泉首相にも届けられ、外務省は急遽「対策室」を立ち上げたが、その間都合2時間酒を酌み交わし続けた。その後、五反田の仮公邸に戻り、特段の指揮監督をした様子も無い。この時のマスコミの参列者を明らかにせよ、君達は何たる不謹慎者か、俗に言う性根が腐ってもうとる。

 日頃危機管理の重要性を語り、テロとの戦いで国民に覚悟を求めている小泉首相のこれが「歴史その時」である。その後小泉は、面会を求める人質事件の被害者家族に対し、外務省を通じて概要「会うつもりはない。自衛隊は撤退させない」と回答している。川口外相もピンボケメッセージを発信しようとし内部からさえ顰蹙を買った。

 福田−安倍−石破は「行け、進め、もっとやれ」の方がお叱りを受けない事を知っているのだろう、相変わらず事有るごとに悪乗りしている。いずれもシオニズム事大主義者の病膏肓ぶりが分かるが、こうなると暗愚というより痴呆一統ではなかろうか。

 2004.4.12日 れんだいこ党党首・れんだいこ拝

 こったら小泉君でいいのかなぁ、酒席のお供者は何も感じなかったのかよぉ れんだいこ 2004/04/13 20:19
 「アサヒ芸能4・22」(P.32〜33)に「森前首相やブッシュ大統領以下の無責任男=小泉は解決後辞任しろ!:対策室ができた後2時間も安部らと酒を酌み交わし続けた首相」(http://www.asyura2.com/0403/war50/msg/1033.html)なる記事が掲載された。

 「表現の自由、言論の自由」はこのように行使するのだとばかりにスクープしている。週刊文春はこういう方面の記事になるとダンマリかな。まさか小泉首相のプライバシー漏洩はけしからん、などと記事を書くのではないでせうね。立花はんはどうコメントするのかな。

 記事内容は次の通り。見出しは、「小泉『公邸引きこもり』で決断丸投げ:事件一報にもワイン宴会を続行した」。以下記事地文のれんだいこ意訳。「」内は引用。

 事件発生時の小泉首相の様子が概要次のように書かれている。
 その日、マスコミ関係者4人との酒席が予定されており、小泉首相は東京・紀尾井町にある高級ホテルへ向かう車中にあった。「邦人人質事件」情報がアルジャジーラから外務省に入ったのが18日の午後6時20分。午後7時に川口順子外相が外務省に駆けつけたほか、午後8時20分には福田官房長官が官邸入り。さらに石破防衛庁長官、外交、防衛、警備担当の主要官僚が勢ぞろいして、慌ただしい対応に追われていた。

 しかし、そこに、小泉首相の姿はなかった。

 それもその筈。小泉首相は、車中時の午後6時45分に外務省から「邦人人質事件」の第一報を聞いたが、この時点で、官邸に引き返すことも可能だったにも拘らず酒席場に直行したと云う。

 つまり、「首相官邸は人質テロ事件が発生してから緊迫した空気に包まれている。ところが、一国の最高責任者たる小泉純一郎首相は事件の一報を知らされた直後も高級ホテルで酒宴に興じていた」ことになる。

 酒席場での様子は次の通り。同席した安部幹事長は、ビールに口をつけただけであとはウーロン茶を飲んでいた。携帯電話が鳴り続け、連絡を取るために頻繁に席を外していた。「ところが小泉首相は、ビールやワインのグラスをぐいぐいと空け、ステーキを平らげていた。赤ら顔で上機嫌そうに熱弁を振るっていたといいます。

 会食の途中で、外務省幹部が同席した自民党幹部に『男性2人、女性1人が拘束され、まもなく、ビデオの模様も放送される』と、緊迫した状況を伝えていたが、小泉首相が安部幹事長に『そろそろ』と促され退席したのは、さらに1時間後。第一報から約2時間もたった午後8時41分でした」。

 「しかも、あろうことかホテルを出た小泉首相はそのまま、品川区にある仮公邸に直行。翌朝までそこから出てこなかったのだ」。首相官邸には多数の取材陣が到着を待っていたが、酒宴の直後とあっては顔を出すにも出せなかったのか「仮公邸へ引きこもり」の身となった。

 小泉首相は仮公邸から指示を出し始める。福田官房長官への指示内容は驚くべきものだった。「康夫さん(福田官房長官)、あなたに任せますから。会見もあなた、やってください」。関係閣僚への指示も、「とにかく、情報収集お願いします」 この一点張りだったという。

 翌日になると、人質の家族が小泉首相に直訴するため上京。報道陣を前に、涙ながらに、「総理にお会いして、自衛隊の早期撤退と息子たちを返してもらうよう、お願いしたい」と訴えた。

 ところが、こうした家族の訴えに小泉首相は、「それは外務省が対応することですから」と、家族との面会もせず、午後から再開された衆院厚生労働委員会に出席した。野党側は事前に「緊急事態でもあるし、(審議の)政治休戦をしてはどうか」と申し入れていたが、「予定どおり審議を行うことを指示した」と云う。

 「かつて小泉首相の後見人でもある森喜朗前首相がゴルフのラウンド中、ハワイ沖で米原子力潜水艦と漁業実習船えひめ丸が衝突事故を起こしたと知らされてもなおプレーをやめなかったことが、与野党から猛批判を受けた例がある。

 ある官邸関係者も言う。『そのときですら、森前首相は、第一報から約3時間後に、首相官邸にいちおう戻っています。それに、『えひめ丸』の事故は森氏の責任とは無関係でしたが、今回の人質事件は、いわば小泉首相の『自衛隊派遣』という決断が招いたものとも言える。責任はより重大でしょう」 。

 以上より総括して、アサヒ芸能の編集担当者は「こんな『決断丸なげ』、許されるのか!?」と告発している。

 2004.4.13日付け「阿修羅戦争52」にあっしら氏による概要「小泉首相の歴史その時」投稿が為されている。その中であっしら氏は、「普段は芸能・ヤクザ・エロを主要なネタにしているアサヒ芸能がこれだけの記事を掲載しているにも関わらず、『テロに屈するな』や『テロには屈しないほうがいい』を社説に掲げて小泉政権の対応を後押ししている大手新聞社やニュース番組で今回の事件に対する小泉政権の対応に同調している(批判していない)TV局がこの問題を取り上げないのは『己の生き恥』を晒しているものと断じる」と批判している。

 そして、「酒宴に同席していた新聞社の論説委員などの所属会社や名前も晒して欲しい」と告発している。

 れんだいこも思う。真紀子の娘のプライバシー晒しに提灯記事を書き付けていたマスコミ諸君、今度は君の番だ。「表現の自由、言論の自由」において、「酒宴同席新聞社の論説委員などの所属会社や名前を晒せ」。君達の同じ論法で十分可能であるし、事はもっと重大で社会的責任性も重い。「晒せ、明らかにせよ、詭弁を弄するな」。

 2004.4.13日 れんだいこ拝
(私論.私見)【当夜に小泉首相と同席した新聞人判明:岩見隆夫氏(毎日)・橋本五郎氏(読売)・早野透氏(朝日)[週刊文春4・22]】

 「週刊文春4・22」(P.28〜29)の「総力取材:イラク3邦人人質事件」記事は、小泉首相事件当夜の同席新聞人の氏名を告げている。記事の内容は次の通り。「事件発生当夜、小泉首相は大手新聞社の幹部と懇談していた」、「毎日新聞特別顧問の岩見隆夫氏、朝日新聞コラムニストの早野透氏、読売新聞編集委員の橋本五郎氏など数名で食事会を開いていたのです。安部幹事長も同席していました。赤坂プリンスホテルの一室に部屋をとってフランス料理を運ばせ、首相はワインを結構飲んでいたと聞いています」、「席上の発言は完全オフレコということですが、微妙な話題も出ず、『この前、顔がおかしいとかいわれたけど、見たとおり、元気だよ』などと、首相は終始上機嫌で喋りっぱなし。首相はすでに事件のことを知っていたんですが、八時過ぎに退席するまで、そのことはおくびにも出さなかったそうです」(官邸関係者)、とあるとのことである。他にも毎日新聞の松田論説委員が居たのではないかと推測されている。

 小泉首相の「酒宴居続け責任」は厳しく問われねばならない。併せて、マスコミ人の「酒宴居続け責任」も問われるべきであろう。彼らは、酒宴中、事件の発生を知らなかったのだろうか。どちらにしても問題が発生するが。首相もマスコミ人も不見識の極みの醜態を見せている。


 木村愛二氏は、「首相を取り囲んでのマスコミトップ級幹部(新聞人と放送人)の政治懇話会」は1960年代からあり、「彼らは常時、政権と談合しているが、その首根っこが戦前からの朝毎読3大紙なのである」と付記している。


小泉糾弾、内閣打倒へまっしぐらに突進しよう れんだいこ 2004/04/14 17:46
 「ボランティア活動邦人人質事件」対応がまるでなっていない。この事件の本質は、自衛隊のイラク駐留に対する是非を喧々諤々するところにある。それは「脅しに屈する屈しないの問題」ではなく、イラク救国戦線レジスタンス側が遂に日本を標的にすることを公然宣言したことに意味がある、とれんだいこは観る。

 こうなると自衛隊の安全は風前の灯火に陥ったことになる。この有事危機に対する日本政府の対応が問われているのではないのか。「まだまだ安全」、「引き続きブッシュの戦争政策を支持する」、「更に能動的な役割を果たしませうか」というのが小泉ご一統の対応である。

 特に小泉の冷血ぶりは尋常ではない。こういう御仁に政局を委ねるなんて馬鹿な事態が許されて良いわけが無い。この御仁には重要な何かが欠損している。今や心理学者は対象とせねばならない。

 ここ数日の無能対応を見て、これで良いのかの喧々諤々論議が為されねばならないのではないのか。実にけったいなことに、日本政府要人のことごとくが今やシオニストの言いなりピエロでしかない。それは弱みを握られている者もいるだろうし狂信的なシオニストになっている者もいるだろうし変質的軍事マニアもおるだろうし利権被れも居るだろうし、強いものに巻かれろ式のものも居るだろしで様々であろうが、シオニズムの息のかかっていない者は居ないというのが実情だ。

 我々には、この面々を如何に叩き出すのか、シオニズム事大主義政権を如何に打倒するのかが問われているのではなかろうか。その意味で、イラク救国戦線レジスタンス側の真の意図と通底することになる。なぜなら、各国の人民闘争は今や対シオニズム闘争的性格を帯びざるを得ず自然に結びつくことになる訳だから。

 そう思うと、「ボランティア活動邦人人質事件」の人質三人組の真の無念とは犬死させられることでは無かろうか。我々はそれをさせてはならないのであり、政府は主権国家であるなら当然に邦人救出に熱意を見せるべきである。被害家族と会う会わないに理屈はいらない。当然会うべきなのである。

 それをせずに、あたかも人質家族が聞き分けの無い者達であるかのように想定してか忌避し、自らは事件勃発情報の只中で酒宴に興じていたなどという痴態をどうして許せよう。これ一事で内閣打倒すべきであり、同席マスコミ者は免職されるべきであろう。

 民主党がまるでダメ夫で、社共があてにならない。マスコミは政府のプロパガンダ機関でしかない。それはそれで結構だ。今や我々は、怒るときに怒るという真っ当な精神を発揮すべきではなかろうか。国会前集会が呼ぶのなら我も我もと群がらねばなるまいか、れんだいこは今そう考えている。

 2004.4.14日 れんだいこ拝

「自己責任論」に思うこと れんだいこ 2004/04/18
イラクでの人質及びその家族に対する「自己責任論」に基づく損害賠償請求の動きがあると云う。考えてみれば、これは示唆的だ。なるほど、こたびの人質者は政府の意向に反する形で渡航しその挙句に捕捉されたのだから、「政府に救出依頼」するのは筋違いだったかも知れない。

 人質は、イラク救国戦線レジスタンス側にうまく利用された。それはレジスタンス側を非難する意味ではない。れんだいこがレジスタンス側の者なら当然取りうる手段であり、いわば質ゴマとして有効活用するのは一法であろう。

 レジスタンス側は、人質釈放との交換条件で「自衛隊の撤退」を要求した。真意は、この警告を無視するなら、今後において自衛隊の安全保障はないと思え、これがメッセージであった。それは、戦後日本を一時統治したハト派の政策の賜物であった一定の友好的交流史との決別を意味する。

 これに対して、小泉首相以下政府要人は直ちに「自衛隊の撤退拒否」回答で答えた。これは人質の生命が危くなったことを意味する。もし人質が政府系の者であれば、処刑されただろう。実際には、人質が平和運動ボランティア系の者である事から釈放された。

 人質はまさかそのような目にあうとは思いもよらなかったのだろうか。しかし、戦争という局面では、その当人の意識が平和運動ボランティア系の者であるかどうかよりも、政府の行為そのものが問われ、右同罪的取り扱いとなるのはある種仕方ないことかも知れない。

 そう思わないのならある種の平和ボケ的甘えかも知れない。逆に言えば、イラクでは情況がそれほど厳しく命がけとなっていることを意味する。ならば、戦地イラクへ行く者も又その情況を共有せねばなるまい。命がけの平和運動ボランティア活動にならざるを得ないということだ。万が一、意に反して捕捉されても、政府に救出頼むなどということは愚かということだろう。

 実際に、日本政府は、「自衛隊の撤退拒否」回答で自ら人質の生命保障の道を閉ざした。論議すべきは、この「英断」が人質解放に向かったのか逆であったのかの詮議であろう。今政府要人が「自己責任論」に基づく損害賠償請求をするのなら、自分達の行為が人質解放に繋がったことを論証せねばなるまい。

 いくら金を使ったなどということは事態の解明には関係なかろう。れんだいこに云わせれば、「自衛隊の撤退拒否」回答する事で人質の生命を危機に瀕させたのが日本政府であり、その後において20億使おうが30億使おうがそれは政府のいわば世論受けのパフォーマンスに過ぎない。使った金、画策したルートの多さに誤魔化されてはいけない。

 実際に人質解放に繋がったのは、一つはレジスタンス側の見識の高さであり、一つは我が国内において反戦平和運動の盛り上がり、国会前での必死の叫びをする者達の悲痛な訴えではなかろうか。これに彼らが耳を貸したことが実を結んだのではなかろうか。そしてもう一つは、レジスタンス側は、日本政府がブッシュご一統の忠実な下女でしかないことを、世界にアッピールすることで目的を達した事も要因だろう。

 政府が人質解放に正面から取り組んでいたのなら、派遣された逢沢の手持ち無沙汰をどう説明できるのか。あらゆる線から努力すべきところ単なるアリバイ的に差し置かれただけではなかったか。逢沢はとんだババを引かされたもんだと消沈しているだろう。小泉一派のお気に入りの者に何億手渡そうが、そんなものが何の甲斐になったか。川口外相の「自衛隊は平和の使者です」声明ビデオが何の役に立ったというのか。れんだいこはこれら全てがムダガネになったと思料する。

 人質解放の立会者となったイスラム法学者協会のクバイシ師は、「日本政府とは一切接触していない」と明言している。レジスタンス側の人質及び家族への配慮が解放につながったことも示唆している。それは、日本政府が「米国をはじめとした諸外国に協力を求めるとともにイラクの宗教指導者や部族長など幅広い人たちにも支援を要請した」と云い為そうとも、何ら奏功しなかったことを明らかにしている。

 さて、そうであるのに、人質及び人質家族は損害賠償の憂き目に遭わされねばならないのだろうか。事態の経緯にもよろうが邦人が危機に瀕したときそれを救うのは、主権国の権利であり義務である。この主権概念を失念して損害賠償を論ずる者の痴愚ぶりを笑え。

 「自己責任論」を云うのなら、それは結構だ。我々は一段と厳しく日本政府の統治行為に対して政治責任を指弾していくことができよう。君達はそれを引き受ける用意があるともう一度言明してみたまえ。自衛隊を窮地に追い込み、甚大な死傷が発生したとき、あるいは被爆帰還した時、当初に戻って政策遂行者たちに政治責任を追及しよう、併せて損害賠償も請求しよう。

 小泉一派が胸を張って引き受けるというのなら、それなら辻褄は合っているわさ。それとこれも云っておこう。解放された人質は、自らの意思において帰国せねばならない。イラクに残りたいのなら、今度人質になっても政府に救出を依頼しないという証文を入れてイラクに残ればよい。それが意地というものではなかろうか。少々外野席からではあるが、れんだいこはそう思う。


 最後に。この間の人質経緯、救出経緯を見て、世の中理屈通りにはいかないことを教えられた。しかし、なんで自衛隊の撤退問題が真剣に議論されないのだろう。管の馬鹿は面子論で屈服するななどと云っていたが、市民運動上がりつうのはこの程度のものなのかな。

 2004.4.18日 れんだいこ拝


解放人質者は国家に対して訴訟で応戦せよ れんだいこ 2004/04/22
 小泉一派とその提灯派の解放人質者に対する「イジメ」が相変わらず続いている。特に、逸早く、「3人の日本人人質を救出するために掛かった政府の費用を、被害者本人とその家族らに負担させるように求める」などと声明した公明党の冬柴幹事長の責任は重い。れんだいこに云わせれば、政治家の不用意な発言、政策責任の方も又拉致された人質の平和ボケとお似合いで、否むしろこちらの方がより重い。

 そこでれんだいこ党は党首判断で次の要望を提起したい。解放人質者に対する国家側からの損害賠償請求に対して支払い拒否の訴訟を起こしてもらいたい。なぜなら、この提訴により「邦人人質事件」の全経緯が暴かれることになるであろうから。政府の救出作戦の実態がどのようなものであったのか、その一端が明るみにされるであろうから。

 小泉の下半身気質と小泉政策との関連性において、小泉の過去の事件を洗うことに就いて木村愛二氏は既に訴訟で決起している。その他靖国訴訟も為されている。解放人質者は第三弾の訴訟で呼応せよ。小泉一派の売国犯罪を暴け。

 れんだいこの思うところ、政府はレジスタンス側の「自衛隊撤退要求」に対して無慈悲なほどに直ちに拒否回答している。果たして、この対応は人質の生命を保障する策であったのか。以降の救出作戦も米英ユ軍の指揮下での裏工作に専念していただけだったのではないのか。それは人質の生命の安全確保に多少でも役立ったのだろうか。

 そういう対応しかしなかった小泉一派が、「自作自演やらせ事件」とみなす官邸情報を頻りに流し続け、人質が解放されるや「自己責任論」を煽り、投下費用の応分責任に伴う損害賠償請求しようとしている。逢沢はお役目柄とはいえ損な役回りばかりさせられている。この逢沢が現地で何をなしたのかなさなかったのか、なしえなかったのかも暴け。

 官邸情報は全て、糾弾必死の「事件発生時の小泉首相の酒宴居続け事件」に対する「目そらせ」プロパガンダではないのか。提灯マスコミは、何食わぬ顔で酒宴し続けた小泉の太っ腹を賞賛している。この手合いにかかったらどんなことでも逆さに描き出すことが可能な事が分かる。

 事実は、小泉のアナクロ的反共思想によってと思われるがそういう個人趣味的政治対応に終始し、国家の長としての首相としての責務を放棄した結果の「事件発生時の小泉首相の酒宴居続け事件」発生ではなかったか。これに同席し続けたマスコミ重鎮の見識も問われよう。

 これを暴く事は、小泉一派の軍事防衛政策が主権国家論に依拠してのものではなく、ひたすらなシオニズムへの身売りに傾斜してのものである事を明確にするためにこそ必要なように思われる。今や、我が政界は前代未聞の売国奴どもによって牛耳られている。この認識を共有したい。

 解放人質者側からの訴訟提起は、小泉首相の政治責任論、「自作自演やらせ」の実態解明、政府の救出活動の全容解明、自己責任論の背景等々を暴くために是非なされねばならない。

 マスコミの「言論及び表現の自由」に対する不退転の決意についてはついこの間聞かされたところである。ぜひその決意をこういうところへ向けて欲しいと思う。本来の「言論及び表現の自由」とは、まさにこういう国家行為をチェックするためのものであり、これに向かわずして角栄−真紀子一家のプライバシー暴きの時にのみ使うものではなかろう。

 付言。こたびの経験から、ボランティア平和活動家は以後一切我が国家をあてにしてはならない。救出策動なぞ頼むとろくな結果にならない、ということが分かった。この闇について深く心せよ。

 為すべき事は、政府をあてにするのではなくて、イラク救国レジスタンス側の声明に屈する云々ではなく、我が国の国策の有り様をそれなりに議論するよう政府を追及していくことだったのではなかろうか。国会があてにならないのなら十重二十重の国会包囲デモをぶつけるべきだった。

 自衛隊派遣が、戦後形成された一定の日本−イスラムの交流史に対するご破算化であり、米英ユ軍に要請されての更なる増強化を見据え、いっそのこと撤退の方が賢明ではないのか等々に就いて国会も街頭でも論議を深めていくべきだったのではなかろうか。

 思えば、外交官が惨殺されても、その調査を米英ユ軍に任せるような骨の髄からシオニストの手先的活動しか為し得ない小泉一派である。国家主権も何もあったものではなかろう。こういうときに右翼がえらく大人しいのも気分が悪い。要するに時の権力に対する太鼓持ちでしかないのか。

 2004.4.22日 れんだいこ拝


高遠さんら解放三人組は政治責任を果せ れんだいこ 2004/04/27
 高遠さんら解放三人組に対して、外務省は自己責任分担金として約200万円を請求していると云う。れんだいこは、解放三人組は安易にこれを支払ってはならないと思う。少なくとも、支払請求の是非を問う裁判闘争に持ち込み白黒つけることこそ政治責任であり、これを為すことが必要であると考える。

 一体、小泉政権は、人質の生命安全及び平和的解放に向けて本当に努力したのだろうか。為したことは逆のことばかりで、見殺し作戦又は自作自演視の二面作戦を採り、むしろ政治利用しようとしていたのであり、そのお粗末振りが指弾されるべきではないのか。あらゆる状況証拠がこれを証左している。

 従って、高遠さんら解放三人組は小泉政府に対して救出の労に対する謝辞などする必要は無いと考える。むしろ、国会前デモを連日繰り広げた人民大衆運動に対してこそ御礼せねばならないと考える。高遠さんら三人組の解放は、実のところこの運動のお陰でもたらされたのではないのか。

 このことは、現在進行中のイタリア人人質4人組の例を見れば分かる。2004.4.26日付けでイラク救国レジスタンス側は、「イタリア軍撤退への国民的抗議行動を起こさなければ、残りの人質殺害を辞さない」声明を送りつけてきている。これによれば、レジスタンス側が政治主義的に人質政策を採用していることが分かる。「イタリア軍撤退への国民的抗議行動」により人質が解放されることが分かる。高遠さんら解放三人組は、国内での抗議行動の盛り上がりにより解放されたことが分かる。

 してみれば、真に救出に向かったのではない小泉政府の奏でる自己責任論及び救出費用の応分責任論とは何ものだろうか、醜悪の極みではなかろうか。そういえば、事件発生時の小泉首相の対応からして問題であった。緊急事態発生にも拘らず酒宴し続け、ろくでもない政治談議にうつつを抜かしていた。公邸に戻ってからも、自作自演劇の可能性を問い続け、救出活動に手を打ったと云っても米英軍にまる投げしただけであり、その系統の胡散臭い連中にカネを鷲づかみにさせただけではないのか。20億使おうが30億使おうが、外務省が不眠不休で対応しようが、さようなピンボケ活動は何の自慢にもならない。

 れんだいこは思う。小泉首相は、解放三人組に対して費用請求を指示するなら、併せて税金20億円の使途明細をも明らかにせよ。この20億の使途が精査されずに、「解放三人組に対する200万円請求」がもっともらしく語られるのは馬鹿らしい。

 外務省よ、請求すれば良かろうが、邦人救出は主権国家としての外交行為では無いのか。それを登山行方不明者の救出の例になぞらえて費用請求する愚昧さを知れ。手前達の海外での王侯貴族生活は有名だが、それは許されるのか。自分たちは浪費し放題、邦人救出には応分の負担を強いるという論理の正当性をもうちっと聞かせてみてくれ。

 しかし、この国家は急速に脳軟化症候を見せつつある。ひょっとして未だにバブルぼけを演じ続けているのではなかろうかと思われる。そういう頭脳で年金問題をいじってみても悪化させるだけだろう。

 議員年金も含めた議員のお手盛り、高級官僚のお手盛り、景気に左右されない官の優遇、軍事防衛費の更なる突出、必要な公共事業の抑制化、何の意味も無い道路公団、郵政の民営化論等々。みんなでよってたかってせんでもええことにばかり夢中になり、忙しい忙しいと云っている。ご丁寧なことに民主党側からの消費税アップ、これも加えておこう。れんだいこはそれらのヘンチクリンを笑ってしんぜよう。

 2004.4.27日 れんだいこ拝


【抗議運動史】
 「止めよう戦争の道!」より。
4.9日  4.8日夜、事件の報を受け、「ワールド・ピース・ナウ」(WPN)が呼びかけ、正午過ぎの国会・首相官邸前に急きょ500人が集まった。午後4時30分、百万人署名運動は内閣官房あてに申し入れに向かった。夜6時30分から日比谷野外音楽堂で20労組などが呼びかけの集会が開かれ、労働組合など4000人が集まった。
4.10日  WPNの呼びかけで正午から議面集会と官邸抗議行動が行われ、約1000人が集まった。午後2時から百万人署名運動が主催する派兵・有事法制反対集会を開き、450人が集まった。午後6時から新宿駅西口で「3人を救おう!撤兵の決断を求める緊急署名」活動を約90人の参加で行い、1時間半で1600の署名を集めた。
4.11日  WPNの呼びかけで正午から議面集会と官邸抗議行動が行われ、この日は2000人以上が集まった。3人の家族もかけつけ、発言された。涙をながす人も多く見られた。午後1時半から集会実行委の主催で「群がって悪いか!のさばるな警察!共謀罪・警察大増強・イラク派兵反対」集会が開かれ、370人が集まって銀座をデモ行進した。6時過ぎ、ふたたび2000人が官邸前にあつまった。
4.12日  この日もWPNの呼びかけで正午から議面集会と官邸抗議行動が行われた。平日にも関わらず600人が集まった。終日座り込みを行っている若者たちもいる。夜6時、ふたたび議面集会と官邸抗議行動が行われた。警察が不当な阻止線をはったので参加者が強く抗議した。1200人が集まって怒りを官邸にぶつけた。
4.13日  5日目の夜、首相官邸前に約1000人が集まった。毎日友人を誘って来る人も多い。なんとかしたい、小泉政府は許せない。必死の思いと怒りがぐるぐるまわっている。

 「レイバーネット」より。
 3人の解放を! 自衛隊撤退求める4/18行動へ

 「人質事件」から5日目の4月13日夜も、議員面会所には約800名の市民・労働者が集まった。3人の解放・自衛隊撤退だけでなくイラク虐殺への抗議のシュプレヒコールが続いた。また全労協は加盟組合に小泉首相への要請FAX(03-3581-3883)を呼びかけた。ワールド・ピース・ナウは4/15(木)15.30〜緊急国会内集会(衆院議員会館)、4/18(日)14時〜渋谷・宮下公園集会&パレードを計画し自衛隊のイラク撤退を広く訴えていく。また、4月16日(金)午後7時から日本人人質事件を考える緊急集会が東京・なかのゼロ小ホールで開かれ人質になっている3人の家族とジャーナリストが話す。4/13報告(片柳)4/13国会前4/12行動の一日4/12国会前(写真)4/11家族の訴え(音声)4/11国会前4/10国会前(昼)4/10国会前(夜)渋谷で署名緊急の訴え行動予定サイバーアクション(GREENPEACE)


【事件発生、8日の動き】
 2004.4.8日、18.20分、カタールの衛星テレビ、アルジャジーラから外務省に「3人が拘束された映像があるので放映する」と一報。
 18.40分、小泉純一郎首相が一報を受ける。
 19.10分、首相官邸に人質事件官邸対策室設置。
 21・00分、アルジャジーラが人質3人の模様を放映。「3日以内に自衛隊が撤退しなければ殺害」と武装グループ。

【9日の動き】
 2004.4.9日、11.10過ぎ、3人の家族が上京し外務省に到着。
 11.35分、小泉首相が記者団に「(撤退させる考えは)ありません」。
 14.30分、家族が北海道東京事務所で会見。小泉首相との面会や自衛隊撤退を訴え。

【政府の対応】

 4.8日夜、福田康夫官房長官は、首相官邸で緊急に記者会見し、自衛隊撤退要求について「そもそも自衛隊はイラクの人々のために人道支援を行っている。撤退する理由はない」と述べ、要求を拒否する考えを表明した。また「正確な事実関係を把握するため情報収集に全力をあげる方針だ。誘拐が事実なら許し難く、強い憤りを覚える。直ちに解放を求める。テロ防止に全力をあげる」と述べた。さらに現地で指揮をとるため、9日朝、逢沢一郎外務副大臣をヨルダンに派遣する方針を表明した。

 政府は、在イラクの連合国暫定占領当局(CPA)や日本大使館を通じて詳しい状況について確認を急ぎ、福田康夫官房長官、二橋正弘官房副長官らが首相官邸に急きょ集まり対応を協議している。「人質事件の対策本部」が設置され、「米に全面協力を要請」した。

 4.9日午前、小泉首相は閣議で「無辜(むこ)の邦人の拘束は許し難い行為であり、正確な情報把握に努め一刻も早い解放へ全力を挙げる」と述べ、閣僚が協力して取り組むよう指示した。

 閣議後には、福田康夫官房長官を本部長とする「在イラク邦人人質事件対策本部」の初会合を開き、川口順子外相が拘束場所の特定を含め米国や連合国暫定当局(CPA)に情報提供を要請したことや、逢沢一郎外務副大臣を首相特使としてヨルダンに派遣し現地対応の態勢づくりを急ぐ方針を説明。小野清子国家公安委員長は国内でのテロ警戒を徹底する考えを表明した。

 4.9日午前、小泉首相は首相官邸で記者団の質問に答えた。「(イラク邦人人質事件について)三人の無事救出に全力を挙げるのが一番大事だ」と強調。その上で、テロリストは、早く自衛隊を撤退させようという脅しの一環で動いている。(自衛隊は)派遣前から安全には十分配慮してやる方針で、今もそういう状況だ」、「(犯人グループが要求している自衛隊撤退について)ありません。テロリストの卑劣な脅しに乗ってはいけない」と述べ、自衛隊は撤退せず、今後も活動を継続していく方針を明らかにした、とある。 首相は事件に関する自らの政治責任については「まず無事救出。私自身の問題じゃありません。国全体のイラクに対する安定復興支援にどう取り組むかということにかかわる問題だ」と述べた。今後の対応については「各方面といろいろ連携を緊密に、情報交換、事実確認をして、しかるべき国に協力を求めたい。日本でできることは最大限やります」と述べ、米国など関係国に協力を求める方針を示したとある。

 福田康夫官房長官は同日午前の記者会見で、「自衛隊を目指したものかどうか、どういう状況か至急確認する」と述べ、陸自を標的にしたものなのかどうかを含め情報収集を急ぐ考えを表明。イラクの治安状況については「全般として予断を許す状況ではない」としたものの、現地が「非戦闘地域」かどうかについては「慌てず、冷静に見極めてじっくり判断することが必要だ」と述べるにとどめた、とある。


【政党、各界の反応、声明】
 バグダッドに向かっていた日本人3人がイスラム過激派と見られる犯人グループに拘束された事件について、自民、公明の与党は9日、自衛隊を撤退しない政府方針の支持をあらためて確認した。一方、民主党はこうした事態を招いたとして小泉首相の責任は指摘しつつも、今回の事件と自衛隊撤退とは切り離して考える方針を強調。共産、社民両党は自衛隊の即時撤退要求を強める構えだ。
自民党 執行部

 役員連絡会で、自衛隊撤退には応じず、人質救出に全力を尽くすとした政府の方針の支持を確認。安倍晋三幹事長が首相官邸で首相と会い、こうした方針を直接伝えた。役員連絡会では出席者から「退避勧告を無視して行ったNGO関係者にまで責任を持たなければならないのか」と自らの判断で渡航禁止区域のイラク入りした3人に厳しい指摘も出た。

党内の動き  党外交部会、外交調査会などの合同会議では中山太郎外交調査会長が政府方針を説明。会議後、高村正彦元外相は「政府の判断を全面的にバックアップするのが党の役割だ」と述べた。
公明党 執行部  対策本部の初会合を開き、週末の連絡体制などを確認。執行部は「自衛隊の撤退はあり得ない。歴史的な汚点を残す」(幹部)と政府方針を支持する。
党内の動き  党内には「うまく解決できればいいが、撤退してもしなくてもきつい。小泉政権の命運がかかっている」(別の幹部)と厳しい見方も出始めた。
民主党 執行部  臨時役員会で対応を協議。終了後、岡田克也幹事長は「まずは3人の救出に全力をあげるべきだ。こういう事態を招いた小泉首相には大きな責任がある」と指摘した。岡田氏は「自衛隊派遣には反対してきたし、今のイラクの状況を見れば、イラク特措法上も大きな疑義がある」としながらも「犯人の要求を受けて撤退すると敵に塩を送ることになる。今回の事件とは切り離して考える」と語った。
党内の動き  但し、民主党の生方幸夫、岡島一正、小林千代美氏ら中堅・若手の衆院議員5人が10日、国会で記者会見し、自衛隊のイラクからの速やかな撤退を求めるアピール文を発表した。同党の衆参議員27人が署名したもので、生方氏によると、署名者以外でも、小沢一郎代表代行や横路孝弘副代表も賛同しているという。生方氏は「『戦闘地域には自衛隊を派遣しない』とするイラク特措法に基づいて撤退を決断すれば、(テロに屈したと)国際的に非難されることはない」と述べた、とある。
共産党  不破哲三議長や志位委員長らが出席して緊急指導部会議を開いた。9日夕には不破氏らが撤退を求めて街頭演説する。
社民党  自衛隊の撤退を求め、福島党首が9日中に首相官邸に要望する予定だ。

社民党が臨時党大会、再生へ「第三極」路線

 社民党は10日午前、党本部で臨時党大会を開いた。党の再生に向けて、自民党や民主党と一線を画す「第三極」路線を掲げ、その象徴となる「社会民主主義宣言2005」の第1次草案も提案。また、イラクで3邦人が人質となった事件に関連し、自衛隊の即時撤退を求めるアピールも採択した。

 あいさつで福島党首は邦人人質事件について「犯人との接触すらかなわないうちに小泉首相は自衛隊撤退の意思がないことを早々と表明した。憲法に違反するイラク派兵を強行した小泉首相にこそ責任があり、退陣に値する」と述べ、民主、共産両党と連携して自衛隊の撤退に全力を挙げる姿勢を示した。

 今回の大会は昨年12月の定期党大会で先送りした05年までの運動方針案を採択するため開いた。

 7月の参院選に向けた運動方針案では、昨年の総選挙で18議席から6議席へと惨敗したことを受け、参院選を「党の命運を決する、後のない戦い」と位置づけた。自民、民主両党を中心とした最近の改憲論議に危機感を強め、「憲法問題が大きな争点」と指摘し、「憲法を守り、生かす勢力の結集」を呼びかける。比例区450万票で4人、選挙区3人の計7人の当選を掲げた。

 社会民主主義宣言の第1次草案は、戦争放棄の憲法9条と生存権を定めた25条の条文を「平和的生存権」と規定し、最も根源的な権利だと重視する姿勢を示したのが特徴。北東アジア地域に多国間の総合安全保障機構の創設を打ち出す一方、自衛隊を侵攻能力を伴わない最小限の装備へと縮小させることも盛り込んだ。 (朝日新聞、04/10 11:26)


【10日の動き】

 2004.4.10日、8.30過ぎ、首相特使の逢沢一郎外務副大臣がヨルダンのアンマン到着。
 9.45分、政府がアンマンの日本大使館に現地対策本部設置。
 22.30頃、アルジャジーラが家族とのインタビューを放映。


【首相、人質家族の面会拒否 「会っても話すことは何もないだろう」】
 2004.4.10日、外務省は、小泉純一郎首相との面会を求めていたイラクの日本人人質事件の被害者家族に対し「首相は会うつもりはない」と連絡した。これを受け家族側は記者会見し、「面会拒否の方針は今後も変わらない、との説明も受けた」ことを明らかにした。外務省幹部は「首相官邸側の意向を踏まえた上で、現段階での首相との面会について家族側に『難しい』とは応答した」と述べたが「将来にわたっても面会できないと、拒否を示したわけではない」としている。

 家族は9日の上京以来、川口順子外相を通じるなどして小泉首相との面会を要請。犯人グループが要求している「自衛隊のイラクからの撤退」を人質救出の選択肢として検討するよう、首相に直接求めることを決めていた。

【アムネスティ声明「イラク:あらゆる勢力に対し、民間人の保護を訴える」】

 
2004.4.10日、「国際アムネスティ」は次のような声明を発表した。(アムネスティ日本
 イラク:あらゆる勢力に対し、民間人の保護を訴える
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 アムネスティ・インターナショナルは、イラクで行動中の連合軍、関係国部隊、および武装勢力に対し、イラク全土で現在進行しつつある武力衝突や混乱の中での事件に巻き込まれている民間人を守るため、ありとあらゆる手段を講じるべきであると発表した。

「ここ数日、イラクで多くの生命が失われた。これは悲劇であり、受け入れられない結果である。紛争当時者たちは、ただちにイラクにいる民間人を守るための必要な措置を講じるべきである。それが国際人道法が求めることである。」アムネスティはそのように語った。

 深刻な人権侵害に対しては、独立した、中立な調査が行なわれなければならない。民間人が国際法に反して殺害された事件も調査されるべきである。そして人権侵害に責任ある者は、国際法の基準に則って、裁かれるべきである。

 イラクを占領している勢力として、連合軍および関係国部隊には、イラクにいる人びとの安全と福祉を保障する主たる責任がある。また武装勢力側も、国際人道法の基本的な原則を尊重しなければならない。

 また、去る8日、日本人3人を含む外国の民間人が武装勢力に拉致され、人質となる事件が発生した。武装勢力は、三日以内に自衛隊をイラクから撤退させるべく表明することを要求しており、それが容れられない場合には、人質を焼き殺すと述べている。

 アムネスティ・インターナショナル日本は、イラクでの武力紛争および各勢力の活動に際して、民間人の犠牲を防止するための有効な措置が十分にとられていないことに、極めて大きな懸念を表明する。人質行為は、国際人道法に反する行為であり、いかなる場合であっても許されるものではない。すべての人質はただちに無条件で解放されなければならない。

 暫定占領当局(CPA)および日本政府は、人質の生命の安全と人権の保護を最優先の課題とし、現在展開中の自衛隊の活動を停止するかどうかも含め、人質を救出するためのあらゆる方策を考慮すべきである。人質の生命の安全を危険にさらすような措置は断じて避けなければならない。

 政治のために人質の生命を危険に陥れるようなことがあってはならない。


【犯行グループが衛星TV局に送った声明文(要旨)】

 
カタールの衛星テレビ、アルジャジーラが10日伝えた「サラヤ・アル・ムジャヒディン(戦士旅団)」の声明文全文は次の通り。(各種訳文を参照してれんだいこが一括文を作った。原文を読めないのでもどかしいが、恐らく次のような文面ではなかろうか)

 慈悲深く慈愛あまねく神の名において

 我々は、拘束した日本人3人についての日本政府のコメントに対し、自国民の生命を軽んじる評価を行ったことを強い痛みを持って聞いた。これにより、我々は、日本政府に代わって日本国民の生命を守る完全なる正当性を与えられた。日本政府は、人質の3人や日本国民に対して最低限の尊重の念を払っていない。その気持ちを尊重する意図が全く感じられない。こういう日本政府がイラク国民の命については敬意を払うことが有り得るだろうか。

 悲しい状況の中、我々がイラク国民のためにどうするかを考えるときがきた。日本政府の指導者は高慢な発言をしている。確かなことは、日本の政治家たちは日本国民の意思を代表しておらず、戦争犯罪者ブッシュ(米大統領)やブレア(英首相)の犯罪的な振る舞いに従ったまま考えを改めず、自衛隊を撤退させようとしない。

 日本の市中での声も聞き、我々は、日本の国民の声に耳を貸すことにした。日本の市民に訴えたいのは、米国が広島と長崎への原爆投下によってあなたがたを傷付けたということだ。

 米国は広島や長崎に原子爆弾を落とし、多くの人を殺害したように、ファルージャでは、米国による国際的に禁止された爆弾兵器使用の為に同じことが起きている。抵抗している多くのイラク国民をより残虐に殺し、破壊の限りを尽くしている。

 我々(イラク抵抗勢力)は、イラクの抵抗は、いかなる宗教、人種、党派に属していようとも、あるいは責任者のレベルであろうと、平和な文民の外国人を狙ったものではないということを全世界に知らせたい。われわれが信頼し、勇気あり英雄的なイスラム教聖職者委員会が、今日の夕方、我々に殺害をとどまるよう日本人人質の釈放するよう求めたことを今晩の報道や特別な情報源から知った。

 我々は、独自の情報源を通じ(3人の)日本人たちがイラクの人々を助けており、占領軍に協力しておらず、占領国への従属に汚されていないことを確認した。(人質の)日本人たちがイラク国民を応援していることや、家族の痛みを考慮し、日本人の(事件への)姿勢も評価した。我々は、イスラム教聖職者委員会の原則、純粋性、勇気を信頼して、外国の友好的な市民を殺すつもりはないことを証する為に、次のことを決めた。

(1)、我々は、イラクのイスラム教聖職者委員会の日本人人質を即時解放せよとの呼び掛けに応じ、3人の日本人を今後24時間以内に解放する。神のご意志のままに。

(2)、我々は、いまだに米国の暴虐に苦しんでいる友人たる親愛なる日本の民衆に対して、日本政府に圧力をかけ、違法な駐留を続ける自衛隊をイラクから撤退させるよう求める。何故なら自衛隊の存在は不法なものであり、米国の占領に貢献するものであるからである。

 神は偉大なり。ジハード(聖戦)を勝利するまでささげる。

 ヒジュラ暦(イスラム暦) 1425年サファル月19日  西暦 2004年4月10日 サラヤ・ムジャヒディン



【11日の動き】

 2004.4.11日、2・40頃、アルジャジーラが「3人を24時間以内に解放する」との武装グループの声明報道。
 7・50分、川口外相が「解放の確証があるのか」との記者団の問いに「複数のソースから」。
 14・18分、家族が泣いて「本当に戻ってくるのでしょうか」。
 15.00分頃、犯人グループが3人を解放したとの情報が流れた。カタールの衛星テレビ「アルジャジーラ」が速報したとされたが、同局は「そうした報道はしていない」と否定。故意か現場の混乱によってか不明であるが、この頃から情報が錯綜し始め、どれが本当の情報か分からなくなっていく。
 15・50分、家族が記者団に「希望的観測の持てる情報に期待している」。
 17・25頃、家族が内閣府で、無事解放を求める約15万人分の署名を提出。
 20・35分、3日間の期限切れを前に家族らが会見。「助けてください」。
 21・00分、武装グループが要求した自衛隊の撤退期限。
 22・15分、福田康夫官房長官が、官邸で記者団に対し「身柄保護の状況には至っていない」。


【川口外相がビデオで人質解放訴え「3人はイラクの友人です」

 4.10日、イラクでの邦人3人の人質事件で、犯行グループが自衛隊撤退要求の期限と設定した11日午後9時(日本時間)が迫る中、政府は10日、アラブ諸国への協力要請を進めた。政府は米英などの協力を仰ぎながら、現地の情報収集に努めており、部族長らにも3人の消息を問い合わせている。

 川口外相は11日未明、ロイター通信などを通じて、犯行グループに、3人の無事解放を訴えるビデオメッセージを出す。メッセージは3人のイラクとのかかわりを紹介したうえで「自衛隊もイラクの復興のために派遣されている」と説明する。外相はシリア外相、パレスチナ外相には電話で直接、支援を求めた。 外務省は夜、堂道秀明中東アフリカ局長がエジプト、ヨルダンなどアラブ13カ国の駐日大使らを招き、「3人はイラクの友人で、イラクのために働いていた。3人の無事解放のため、どんな協力でも検討していただきたい」と要請。アラブ社会の理解を求めた。

   ◇

 川口外相が収録したビデオメッセージの全文は以下の通り。

 イラクで日本人3人を人質にしているサラヤ・アル・ムジャヒディンのメンバーへ。

 私は日本の外務大臣の川口順子です。日本国民全体が3人の人質が一刻も早く解放されることを待ち望んでいます。あなた方が人質にしている3人は、純粋の民間人で、イラクの友人です。高遠菜穂子さんは、たびたびイラクを訪れ、子供たちの医療と教育に取り組んできた方です。今井紀明さんは、何年も前から、イラクの人々の戦争被害の問題に取り組んできました。郡山総一郎さんはイラクの人々の生活を日本に伝えてきたフリージャーナリストです。その3人を人質にしたことについて、日本の国民は驚きと怒りを感じています。

 日本の国民は、イラクの人々に敬意と友情を持っています。日本は、長年病院や学校の建設などで積極的に協力してきました。今も、多額の資金と人員をもってイラクの復興に取り組んでいます。我が国の自衛隊もこのために派遣されているのです。

 私たち日本の国民は、3人の人質が一刻も早く安全に解放されることを強く求めています。


家族の声明
 我々被害者家族は、イラクのアルジャジーラ放送による速報より「拘束者3名の24時間以内の解放」という報道を確認しました。言葉にできないほどの安堵感を感じています。我々の家族の解放に尽力いただいたアルジャジーラとイラク・ムスリム・ウラマー協会をはじめとする、世界中の仲間に対して、心からの感謝をささげますと同時に、改めてこのような混乱を招いたことをお詫びいたします。

 しかしながら、家族の心境としては無事な姿を確認するまでは不安は依然ぬぐえないのも事実です。引き続き、我々は自衛隊の即時の撤退と、イラクからの全ての武力の廃絶を訴え続けます。即刻の停戦を求めます。同時に我々は、継続してイラクを初めとするアラブ諸国の皆様と共に、平和な社会を目指したいと考えております。

 また解放の速報以前にワールド・オファーより配信された川口外務大臣のコメントに対して、その文中に使用された「怒り」・「わが国の自衛隊もこのために派遣されているのです。」という表現を、配信以前に削除することを要求しました。削除することができないなら放映の中止を求めました。

 繰り返します。我々は継続して、イラクを初めとするアラブ諸国の皆様と共に平和な社会を目指したいと考えております。

 2004年4月11日 AM4:43 家族一同

「レジスタンスへの手紙」
 2004.4.11日、人質の一人高遠菜穂子さんの友人である細井明美さんの、イラクの友人が、アルジャジーラ、アルアラビアを通して、高遠さんたちを拘束しているレジスタンスに向けて届くよう「レジスタンスへの手紙」が送られ、ファルージャ、ラマディ近辺に10,000枚配られたそうです(原文はアラビア語)。呼びかけ人のアル・サラム・アライクムさんは、高遠さんと一緒にストリートチルドレンのために働いていた人だそうです。(池田真里)
 神の名において
 サラヤ・アル・ムジャヒディーンの兄弟たちへ

 神が、わたしたちの国のためのよき計らいを祝福してくださいますように。神が、わたしたちの祈りをお聞きとどけくださって、この国から悲しみが取り除かれますように。

 この手紙が、あなたがたのもとに届きますように。神は、この手紙が真実のものであると知っておられます。この手紙があなたがたのもとに届き、あなたがたが読むことは、神の思し召しでもあります。あなたがたの捕らわれ人となっている日本の女性、菜穂子さんについて、神はあなたがたの知らないことを知ってほしいと望んでおられるからです。わたしたちは、アルジャジーラの放送で、彼女が捕らえられている3人のうちの一人であることを知りました。

 わたしたちは、菜穂子さんとほかの二人の日本人を、あなたがたが大切に遇してくださっていると信じています。わたしたちの信ずる神がそれを命じておられるからです。それは、わたしたちが偉大な先師たちから学んできたことでもあります。

 この手紙は、あなたがたの行いまた企図を裁こうとして書かれたものではありません。そしてまた、わたしたちは、日本の軍隊(それが正規の軍隊であろうと、日本政府がいうように復興支援の防衛軍であろうと)の入国を支持するからこの手紙を書いているのでもありません。

 この手紙と添えられた写真は、ただひとつの願いから書かれたものです。菜穂子さんは、(もしあなたがたが人質を必要としているとして)、けっして人質とされてはならない人だということを知ってほしいのです。

 この日本女性は、一個の人間として自ら強く望んで2003年5月からバグダッドに来ています。その日から、イラクのホームレスのこどもたちの手に食物を、衣服を、医薬品を届け、長い間働いて貯めたお金をそのためにすっかり使いきってしまうのです。この前、日本に帰ったとき、菜穂子さんは、1カ月半ほど働いてお金を貯めて戻り、イラクのホームレスのこどもたちのために使おうと計画しました。だが、活動はとても困難で、日本のお母さんといって菜穂子さんの帰りを待つこどもたちのために必要な品々を買うお金を十分貯めることができませんでした。あなたがたが、菜穂子さんを捕らえたちょうどその日、バグダッドでは、多くの人々が彼女を待っていたのです。

 サラヤ・アル・ムジャヒディーンの兄弟たち、わたしたち自身とイラクの孤児たちのために、3人の日本人の人質たちを解放してほしいという願いを聞きいれてください。中でも、菜穂子さんは、自分はひと切れのパンで満足し、わたしたちのこどものためにはたっぷりとパンを求めてくるような人です。彼女は、イラク国民への深い思いやりをいかに示すか、日本人にとってのよいお手本となっています。

 神が望まれ、あなたがたが3人の日本人を解放するなら、あなたがたは、日本人に対し、あなたがたとわたしたちがともに望むことをなす、善きチャンスを与えることになります。日本の人々は、いつもわたしたちに味方しわたしたちの主張を支持していました。信仰と国を同じくするわたしたちの兄弟たちの多くがただ見ていただけのときにも。

 なすべきは神のために。アル・サラム・アライクム

 ストリートチルドレン・イラク人活動家グループ
 2004年4月9日

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 TUP速報 萩谷 良 hagitani ryo 電子メール: TUP-Bulletin-owner@egroups.co.jp
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【12日の動き】

 2004.4.12日未明、日本政府関係者が3人は安全でファルージャ付近にいると言明。
 8・00、外務省の対策本部会合。登庁した幹部は「忍の一字だ」。
 9・00、家族が会見し「もうどこかで解放されていると望んでいる」。
 10・45、福田官房長官が「無事と判断してもいい時期もあったが、今は確認できていない」。

 11・20 小泉首相が米国のチェイニー副大統領と会談。副大統領は記者団に「首相の取った対応を全面的に支持する」。

 15・00すぎ 「人質が解放される」との未確認情報が関係者の間に流れる。
 16・00すぎ、逢沢副大臣がアンマンでの会見で、人質解放の情報に「接していない」と否定。 
 16・48 外務省の竹内行夫事務次官が会見で、退避勧告の出ていたイラクに入った人質3人の行動に疑問を呈し「邦人保護には限界がある」。


首相が菅代表と会談、「テロに屈せず」で一致

 2004.4.12日、小泉首相と民主党の菅代表は首相官邸で会談し、イラク人質事件について見解をすり合わせた。会談は、民主党の求めに応じて開かれたもので、福田官房長官、自民党・安倍、民主・岡田両幹事長らが同席した。菅氏は被害者家族と首相との面会を要請したが、首相は「今の段階では、申し上げられないことが多い」と述べ、ただちに面会に応じるのは難しいとの考えを示した。

 小泉首相と菅代表は、武装グループの要求に屈する形で自衛隊を撤退させることはあり得ないとの認識で一致した。首相は、人質事件への対応で、「共通の認識を持っていただいて感謝する」と表明した。菅氏は、「脅しに屈して自衛隊を撤退させるという態度はとらない。今日に至るまで、その認識は変わっていない」と応じた。

 ただ、菅氏はイラクの治安情勢について、「(イラク復興支援特別措置法に基づく)『非戦闘地域』という状況が崩れているのではないか。再検討する時期に入っている」と指摘し、自衛隊撤退も含め、復興支援のあり方を再検討するよう要請した。首相は「現段階ではそうは思っていない。イラク特措法の中で活動を行いうる状況だ」として、自衛隊を撤退させる状況にはないとの認識を示した、とある。


【フラッシュバック:ブッシュ、48時間サダム退去要求「誘拐犯と論理展開の一致」】
 2004.4.13日、「阿修羅・戦争52」に、投稿者 FakeTerrorWatche氏より【フラッシュバック:ブッシュ、48時間サダム退去要求「誘拐犯と論理展開の一致」】なる投稿が現れた。貴重と考え転載する。

 以下の赤字部分は日本人3人誘拐犯の犯行声明である。

 信頼してきた→しかし裏切られた→悪業の具体的説明→だから行動する(した)→退去の期限設定

 ブッシュ演説はより細かな合理化が行われているわけだが、この論理展開は見事に一致する。

 ブッシュ大統領、サダム・フセインに対し、48時間以内の国外退去を通告
 http://japan.usembassy.gov/j/p/tpj-j20030319a1.html
 (大統領の国民向け演説)2003年3月17日


 親愛なる米国民の皆さん。イラク情勢は今、最後の決断の時を迎えた。10年以上にわたり、米国とその他の国々は、武力に訴えることなくイラクを武装解除するため、忍耐強く崇高な取り組みを続けてきた。イラクは1991年、湾岸戦争を終結させるための条件として、全ての大量破壊兵器を開示し破棄することを確約した。

われわれは、おまえたちに友情と尊敬、愛情を抱いてきた。

 以来、国際社会は12年にわたり外交努力を続けてきた。国連安全保障理事会は12以上の決議を採択した。また、武装解除監視のため何百人もの査察官をイラクに派遣した。しかしながら、われわれの信頼は裏切られた。

だが不幸なことに、おまえたちはそれに対して恩知らずにも敵意を返してきた。

 イラクは外交を時間稼ぎの策略に利用し、事を有利に運ぼうとしてきた。完全武装解除を求める安保理決議を一貫して無視し続けた。長年にわたり、国連査察団はイラク政府職員による脅迫を受け、盗聴され、また組織的に欺かれてきた。イラクを平和的に武装解除する試みは幾度となく失敗に終わった。なぜなら、われわれが相手にしているのは平和を愛する人間ではないからである。

 米国やその他の国が収集した情報によると、イラクが最も破壊的な武器のいくつかを保有し隠ぺいし続けていることは疑いがない。フセイン政権は、イラクの近隣諸国とイラク国民に対し、それらの武器をすでに使用してきた。

 イラクはこれまで、中東において無謀な侵略を行ってきた。また、米国や友好国に対し深い憎悪の念を抱いている。そして、アルカイダの工作員を含むテロリストを支援し、訓練し、かくまってきた。

 危機は明白である。テロリストたちは、イラクの支援により手に入れた生物・化学兵器や核兵器を使用することにより、米国その他の国々の数千あるいは数十万の罪の無い市民を殺害するという野望を遂げる可能性がある。

米国の不信心で堕落した軍隊に武器と兵士を提供した。それにより、われわれのプライバシーに干渉し、神聖な場所と土地を汚し、われわれの血を流し、われわれの名誉を損ね、われわれの子供たちを殺した。

 米国もその他の国も、そうした危機を招く、あるいはそれに値するいかなる行為も行っていない。しかし、われわれはそのような残虐行為を阻止するためにあらゆる手段を講じる。悲劇の発生にただ手をこまねいていることなく、安全の確保を目指す。恐怖の日がやってくる前に、あるいは手遅れになる前に、危険は取り除かれなければならない。

そこで、われわれはおまえたちに同じ方法で応えなければならない。

 米国は、自国の安全を確保するために武力を行使する権利を有している。そしてその責務は、最高指揮官としての任務を全うすると宣誓した私にある。

 米国が直面する危機を認識し、連邦議会は昨年、圧倒的多数でイラクに対する武力行使を承認した。米国は国連と協力し、この危機に対処しようとしてきた。それは、われわれがこの事態を平和的手段で解決することを望んでいたためである。米国は、国連の使命を信じている。第2次大戦後に国連が創設された目的のひとつは、専制的な独裁者が罪の無い人々に危害を加えたり、平和を脅かす前に、そうした行為を積極的かつ早期に阻止するためである。

 安保理はイラクに関し、1990年代初期には行動を起こした。現在も効力を持つ国連決議678および687は、米国と同盟国がイラクの大量破壊兵器を廃棄するため武力を行使することを承認している。これは、権限の問題ではなく意志の問題である。

 昨年9月、私は国連総会で、各国に対し、この危機を阻止するため結束するよう呼びかけた。11月8日に安保理事会は、イラクの義務不履行を認め、また、イラクが完全かつ即時に武装解除しない場合は深刻な結果に直面することになるとの決議1441を全会一致で可決した。

 今日、イラクが武装解除したと主張できる国はひとつも無い。フセインが権力の座にとどまる限り、イラクの武装解除は実現できないであろう。過去4か月半、米国と同盟国は、安保理の枠組みの中で、長年にわたる国連の要求をイラクに遂行させるため努力してきた。しかし、安保理の常任理事国のいくつかは、イラクの武装解除を強制するいかなる決議案にも拒否権を発動すると公式に表明してきた。それらの国々は、われわれと危機についての認識を共有してはいるが、それに対峙する決意を有してはいない。しかし、多くの国は平和に対する脅威に立ち向かう強い決意を持っている。国際社会の正当な要求を達成するための広範な連合が形成されつつある。国連安保理はその責務を果たしていない。だからこそ米国が立ち上がるのである。

 ここ数日間、いくつかの中東諸国が独自の努力を続けてきた。かれらは、イラクの独裁者に対し、平和的な武装解除のため国外退去するよう、公式・非公式に求めた。しかし、フセインはこれまでのところそれを拒絶している。欺まんと残虐の数十年は終わった。

おまえたちに告げる。殺りくにかかわったおまえたちを歓迎しない。われわれに戦争を宣言したおまえたちを歓迎しない。われわれはおまえたちの子供3人を人質として捕まえたことを告げる。

 フセインとその息子たちは、48時間以内にイラクを去らねばならない。彼らがそれを拒絶するなら、米国は自らが選択した時期に軍事行動を開始する。ジャーナリストや査察官を含む全ての外国人は、安全のため直ちにイラクを出国すべきである。

おまえたちに2つの選択肢を提供する。われわれの国からおまえたちの軍隊を撤退させ帰国するか、あるいは、3人を生きたまま焼き、血に飢えた戦士たちの食物とするかだ。(焼かれて死亡した米民間人の遺体が宙づりにされる事件が起きた)ファルージャでユダヤ人に対してやった以上のことを3人にもやるだろう。このビデオテープが放映された後、おまえたちに3日間の猶予を与える。

 (後略)

******
 Counter News by Fake Terror Watcher http://counternews.blogtribe.org/

(私論.私見)【フラッシュバック:ブッシュ、48時間サダム退去要求「誘拐犯と論理展開の一致」】投稿文の精査

 この指摘の説得力如何が問われるが、これにより事件はますます混迷を深めることになったように思われる。「信頼してきた→しかし裏切られた→悪業の具体的説明→だから行動する(した)→退去の期限設定」という論理展開が、ブッシュ演説よりは雑であるが「見事に一致する」という指摘であるが、これをどう受け止めるべきであろうか。

【「邦人人質事件の特異性」(東京新聞)】
 2004.4.13日付特報

 邦人人質事件の特異性 明確要求なぜ日本だけ

 邦人人質事件がこう着状態を続ける中、イラクでは中国人が新たに拘束されるなど、誘拐は拡大の一途をたどっている。多くの拘束の中で、邦人事件に際だつのが、時限と殺害予告を伴った「自衛隊撤退」という具体的要求だ。しかも声明文や人質らのビデオを衛星テレビで公開。犯行目的をこれほど明確にしている例はない。他の事件と比較し、「特異性」を検証した。

■外国人の拘束 期限設定や殺害予告なし

 これまでにイラクで行方不明になっている外国人は米国やカナダなど少なくとも六カ国、二十数人に上る。だが、事件の頻発にもかかわらず、犯人側の要求は必ずしもはっきりしない。

 八日に発生した、韓国人牧師七人が一時拘束された事件では、当初「聖職者と分かったため解放された」と報じられたが、米誌は身代金として三万ドルが支払われたと報道。拘束理由を含めてすべては闇の中だ。

 同日、イラン国営テレビで、人質になったアラブ系イスラエル人とシリア系カナダ人の映像が流された。犯人グループは二人を「(イスラエルの)シオニストのスパイ」と非難し、「米軍に拘束されたすべての宗派に属する囚人、とくに女性の即時解放」を求めた。要求が漠然としているうえ、期限設定や人質の殺害予告もない。

 十日に豪ABCテレビで「トーマス・ハミル」と名乗る米国人とみられる男性が拉致される衝撃的な場面が放映されたが、男性は「彼ら(犯人グループ)がわれわれの車列を襲撃した」と話しただけで、犯行の目的は一切不明だ。

 同日、米国人男性を人質にしている犯人グループが、米軍のファルージャ封鎖解除を要求した。内容は具体的だが、これも録音テープのみだ。「三日以内の自衛隊撤退」という極めて明確な要求を声明文書の形で出した邦人人質事件は特異なケースともいえる。

 外国人を巻き添えにする事件が頻発するようになったのはバグダッドの西六十キロにあるファルージャの治安が悪化した先月末以降。ファルージャはフセイン元大統領の支持者が多い「スンニ派三角地帯」に位置し、反米武装闘争を象徴する町だ。ここで米民間人四人が惨殺されたのを受け、米軍は今月五日、約千三百人の兵力を投入、町を完全包囲し、スンニ派武装勢力と交戦した。

 「人質事件の頻発は明らかにファルージャ情勢と連動している。まともに交戦したら米軍に太刀打ちできないスンニ派が戦術の一つとして人質作戦をとっている」と軍事評論家の神浦元彰氏は見る。

■『米への支持失わせたい』 

 「人質の出身国の政府に圧力をかけるのが目的ではなく、米国への国際社会の支持を失わせ、その結果、米軍の立場を弱めることが狙いだ。だから外国人ならばだれでもいい」(神浦氏)ということになる。

 実際、仏独中といった米英軍の対イラク武力行使に反対した国の人々も誘拐の被害に遭っている。しかしなぜ日本に対する要求だけが具体的で明確なのか?

 イスラム圏の紛争問題を中心に取材するジャーナリストの恵谷治さんは「アラブでこの手の(邦人人質事件のような)映像を流す際は、人質に危害を与えるようなふりはせず、要求を人質自身にしゃべらせるのだが…」と首をひねる。

■『声明、日本の動き詳しく』

 さらに恵谷さんが疑問を感じるのが、「犯行声明」と十日に出されたとされる「解放声明」文の内容だ。特に解放声明では、アラビア語での誤字脱字が目立つ一方で、「日本政府が拘束された三人の人質について自国民の生命を軽んじる評価を行ったことを…」「日本の街の声に、われわれは耳を傾ける」などと日本国内の情勢について、詳しく言及している。

 「日本政府のこれまでの動きに対しても詳細に書いてあり、批判も随所にあるが、現地のイラク人には通常そこまでの情報はない。一体どんな背後関係があるのだろうか…」

■『最も目立つ米追随の国』

 これに対し、中東調査会上席研究員の大野元裕氏は邦人事件の要求が明確なことについて「スペインがイラク駐留部隊の撤退を表明した今、米国に追随してきた国として最も目立つのは日本だ。日本に具体的な要求を突きつけるのは、犯人グループが日本をターゲットとして価値があり、世界の反響も大きいとみているためだろう」と話す。

 アジア経済研究所の酒井啓子地域研究センター参事も「日本はほかの外国に比べて要求をのみやすい国というイメージがある。だからこそ狙われた」とみる。

 ただ、イラクでは一年前のフセイン政権崩壊直後から、バグダッドなど都市部を中心に、無政府状態に乗じてイラク人の子供や女性を標的にした誘拐が横行している。政治的要求を掲げるグループから、こうした誘拐ビジネスをしているグループまで、混然としており、「誘拐グループは組織的にも思想的にも統一されてはいない」(大野氏)のが実情のようだ。

 一九九〇年、イラクのクウェート侵攻で企業駐在員ら日本人約二百人が人質となった際、駐イラク大使を務めた片倉邦雄さんも「当時、人質はイラクの国家政策だったが、今回はサダムが倒れ、六月に政権移譲が予定される前の部族間の勢力争いが原因だ。だから、勢力誇示のため誘拐事件があちこちで起きているのでは」と指摘する。

 当初から国際的インパクトを計算しつくし、入念な作戦を立てた上での邦人の拘束であったかどうかについては疑問の声も多い。

 拓殖大学政経学部の立花亨・助教授(中東政治)は「邦人事件自体、そもそも金目当ての誘拐だったのではないか」と推測する。

 「本気で自衛隊撤退を求めるなら、三日以内というはじめから実現不可能な条件を持ち出さないはずだ。たまたま人質にしたのが日本人だと気づいたため、金目当てをカムフラージュするために自衛隊撤退を持ち出した可能性がある。最初の犯行声明と解放声明の文書のニュアンスに違いがあったり、片方だけに西暦のほかにイスラム暦があったり、声明の内容に混乱がみられるのもプロの手口ではないことを示している」

 その上で、邦人人質事件を取り囲むイラクの情勢について、こう分析する。

■盗賊や誘拐は1年前も横行

 「ファルージャの治安悪化後に外国人の人質事件が続発しているのは、フセイン政権崩壊後に盗賊や誘拐ビジネスが横行したのと全く同じ構図。犯行グループの行動に政治目的があるかは疑問だ」と言い切る。

 時事通信でイラン・イラク戦争などを取材した静岡産業大学の森戸幸次教授は警告する。「今年三月の開戦一周年を記念した演説でブッシュ大統領は、イラクを対テロ戦の舞台として位置付けており、日本政府の主張する“戦後復興支援”とは大きく認識が異なっている。事件が解決し、人質が無事解放された場合でも、原因などを徹底解明しなければ日本人を狙った同種の事件は続発する」


【13日の動き】

 10・30、天皇陛下がチェイニー米副大統領と会見。「一刻も早く無事に解放されることを願っています」と述べる。
 12.00分頃、自民党の加藤紘一元幹事長は13日、東京都内の日本外国特派員協会で講演し、イラク情勢について「米軍が引かない限り混乱は続く」と指摘したうえで「邦人人質事件は多くのいろんな事件の第一歩だ。七転八倒するような話がこれから二つ三つ起こる可能性がある」と警告した。

 16・50 家族が各党本部などを回り、救出に向けた要望書を提出。
 20.00分頃、民主党の菅直人代表は、衆院補選の応援のために訪れた埼玉県所沢市と鹿児島県鹿屋市で街頭遊説し、イラク南部サマワに派遣されている自衛隊について「一時的にせよ、クウェートの方に部隊を移動させることも検討すべき時ではないか。首相のメンツだけで行動が遅れれば、3人の日本人だけでなく600人の自衛隊員そのものが、サマワで孤立することにもなりかねない」と、自衛隊の「一時撤退」論を主張した。


【14日の動き】
 夜 バグダッド郊外で日本人2人が何者かに誘拐されたとの電子メールが日本のNGO関係者に届いた。

【箕輪登さんらが身代わり申し出】

 2004.4.14日、札幌でイラク派兵差止訴訟の原告となっている、元自民党議員の箕輪登氏が4月11日、アルジャジーラに、坪井主税氏と連名で、自分が身代わりとなるとのメッセージを送ったとの情報が入った。次のような文面が送られたとのことである。

 日本人人質に関して

 アルジャジーラ ネットワーク スタッフ様

 私たち2人は、日本北海道の小樽市に居住する日本人です。以下は、私たちからサラヤ アル ムジャヒディンというグループに宛てたメッセージです。
貴社記事「日本人、韓国人拘束さる」「人質問題で日本混迷」の筆者が、次の記事・テレビ番組において私たちのメッセージを活用され、グループの目・耳に届くようにしていただければ幸いです。

 箕輪登(男性、80才、元郵政大臣、元防衛庁政務次官)のメッセージ

 私は、元日本政府閣僚の1人でした。私は現在、日本の自衛隊をイラクに派遣するという小泉首相の誤った政治選択に関して裁判所に提訴中です。私は十分に長く生きてきました。私は、あなた方が拘束した3人の日本人の代わりに人質になる覚悟があります。

 坪井主税(男性、62才、札幌学院大学教授、専攻 平和学)のメッセージ

 私は、これまでずっと、アメリカがあなた方の国を攻撃し占領していることに反対してきました。私は、これまでずっと、わが日本政府がブッシュ大統領を支持してきたことに反対してきました。私は、これまでずっと、日本政府があなた方の国に自衛隊を派遣することに反対してきました。

 私は、あなた方の国から自衛隊を撤退させたいと思っている唯一の日本人ではありません。多くの日本人がそう思っています。私は、あなた方が拘束した3人の日本人もそう思っていると確信しています。

 3人を無傷で解放してください。


 更に、木村愛二氏も身代わりを申し出たとのことである。「私も今、外務省イラク担当に身代わりを名乗り出て、誘拐犯の身元も不明であるが、自衛隊の撤退がなく、命を失っても悔いはないと告げた。一応、60歳以上、家族に心配掛けないという条件を付すが、大募集! 外務省の代表電話:03-3580-3311」とある。



【中核派の見解声明】

 中核派は逸早く、「占領をやめ 自衛隊撤退を 小泉政権は拘束の3人を殺すな」(週刊「前進」、2146号)を声明した。
 
4月8日にイラク・イスラム武装解放勢力であるサラヤ・ムジャヒディンが3人の日本人を拘束、米軍の暴虐と日本の加担を糾弾し、3日間の期限を切って自衛隊撤退を要求し、それが入れられない場合は報復すると宣言した。情勢は刻々と進展している。この事態をどう考えるべきなのか、そして闘いの方針は何か、さらに4〜5月決戦の課題は何かをはっきりさせよう。

 イラク人民の血叫びと糾弾

 第一に、サラヤ・ムジャヒディンはなぜ今回の非常手段に訴えたのだろうか。その背後にあるイラク人民の置かれている軍事占領下のせっぱ詰まった現実を直視しなければならない。
 サラヤ・ムジャヒディンが日本政府と日本人民にあてたメッセージは、「米軍はわれわれの土地に侵略したり、子どもを殺したり、いろいろとひどいことをしているのに、あなたたちはその米軍に協力した」「自衛隊が撤退しなければ、ファルージャでやった以上のことを3人にもやるだろう」と糾弾している。

 実際、米英日帝は、3・20開戦以来、この1年以上にわたってイラクの民間人を無差別に虐殺し続けている。今、ファルージャでモスクを空爆し、民家を砲撃し、すでに280人もの民間人を虐殺している。ムクタダ・サドル師とその宗教系列に対して新聞発禁、逮捕、事務所銃撃、そして壊滅作戦を強行している。いたる所で夜間に民家に押し入り、理由もなく逮捕し、投獄している。米帝の侵略戦争が明らかにもう一段エスカレートしているのだ。

 十数万人の帝国主義有志連合軍がイラクの土地をじゅうりんし、イスラム社会の規範や文化を踏みにじり、軍事占領を押しつけている。そのもとで国営企業の解体・民営化・大失業を強行している。米帝資本が各種事業を独り占めにして石油を強奪している。

 統治評議会は、米帝が任命した亡命イラク人中心の米帝の手先である。6月30日を期限として暫定政権に委譲すると言うが、それはイラク人民の民意とはかけ離れた、米帝のカイライ政権である。イラク人民の民族自決を一貫して全面否定しているのだ。

 サラヤ・ムジャヒディンのメッセージが告発し糾弾しているように、日本人3人の拘束は、3・31ファルージャでの米警備会社の4人の社員(元軍人)への報復を含め、今、イラクのほぼ全土で軍事占領・植民地化反対、占領軍撤退要求の反帝民族解放闘争が武装的大衆蜂起となって燃え上がっていることの一環だ。

 そこでは「シーア派もスンニ派もない、イスラムは一つだ」「外国軍の占領反対」「労働者の権利を認めろ」「イラク基本法反対」「政府は民意によって選べ」の切実な要求が爆発的に強まっている。

 われわれは、昨年3・20開戦以来、5・1軍事占領開始以来、そしてこの4月に入って、米帝・米軍がイラクで強行している現実をもうこれ以上許してはならない。占領軍である日帝・自衛隊をただちに撤退させなければならない。

 撤兵拒否する小泉打倒を

 第二に、3人の拘束に対する小泉政権の対応は何だ。日帝・小泉政権は早々と「自衛隊を撤退する理由がない」と自衛隊撤退要求拒否を正式に声明し、テロリストに屈するな、問答無用だと扇動している。まさに3人の日本の民間人を見殺しにしてもいいという暴挙を行っているのだ。何が「人道復興支援」か。

 イラク人民の友たらんとしてイラクに入国し拘束された3人を解放する道は何か。答えは一つだ。イラクから自衛隊を撤兵させることだ。イラク侵略戦争と日米同盟護持と有事法制完成を国是とし、それをただただ強行する小泉政権を今すぐに打倒することだ。

 日本帝国主義・小泉政権は、イラク人民虐殺を続ける米帝とともにイラク人民に戦争と軍事占領を強制し、イスラムを踏みにじっている。また同時に帝国主義国家の国益のためには自国の労働者人民の人命をかえりみず、犠牲にしてはばからないのだ。この日帝・小泉政権を、スペインの労働者人民がアスナール政権を打倒したように、今こそ実力で打倒しよう。

 <米英日帝はこれ以上の軍事占領をやめよ。小泉政権は自衛隊の軍事占領をやめ、ただちに自衛隊を撤兵させよ。小泉政権は3人を殺すな。侵略戦争と植民地主義的略奪と自国人民の人命無視の小泉政権は退陣せよ><すべての外国軍はただちに撤退せよ。イラクはイラク人民のものだ>――この声を結集し、ありとあらゆる方法で行動を起こし、小泉政権を倒そう。

 これ以外に、今、シーア派のサドル師支持勢力を先頭として、イラク全土で蜂起し、特殊的・極限的ゲリラ戦にも訴え、民族の自決を求めるイラク人民に連帯する方法はない。3人の若者を救う道はない。3・20日比谷公園6万人決起を始めとする全世界1000万人決起の地平に確信をもって、4〜5月闘争に総決起しよう。


【革マル派の見解声明】

 2004.4.13日、革マル派は、次のような声明を出した。 「人質解放声明」をわが革マル派と結びつける悪辣なフレームアップを弾劾する!蜂起したイラク民衆と連帯し、アメリカのイラク占領支配粉砕のために闘おう!」(革マル派解放)

 
同声明の中で、産経新聞が4.13日付記事の中で、「警視庁捜査員」の言と称して「革マル派の文章に似ている」、「背後に日本人の影?」などと書かれているとして、「荒唐無稽の解説記事」として批判し、「まさにそれゆえに小泉政権は、『反米・反占領』闘争を闘うムスリム人民と連帯し、3・2シーア派信徒爆殺事件、3・11スペイン列車爆破事件などの謀略性を果敢に暴きだしてたたかってきたわが同盟への憎悪と恐怖にかられて、このようなフレームアップを開始したのだ」とある。

 続いて、「いやそもそも、チェイニー来日の直前に引き起こされたこの日本人人質事件そのものが、疑惑に満ちみちている。西暦だけを用いた第一声明、女性を人質にするというイスラムの教義に反するやり方などなどからして、この事件は、他の外国人誘拐・人質事件とも異質であり、米諜報機関やその出先としてのPMC(民間軍事会社)、イスラエル・モサドなどの関与さえをも推測しうるのだ」とも述べ、事件は、「米諜報機関、PMC(民間軍事会社)、イスラエル・モサド」などが関与する謀略事件の臭いがする、としている。

(私論.私見)産経新聞のくだんの記事に就いて

 れんだいこに云わせれば、革マル派をこのように「持ち上げ」るのは産経新聞の「逆やらせ記事」で、日本赤軍系あるいは中核派系ならともかくなぜ革マル派を槍玉にあげるのだろう。革マル派がこれをもっともらしく叩いて自画自賛しているのも見え透いている。


「人質事件対処=「対テロ」を口実とした日本国軍の米占領軍との一体化弾劾」(革マル派)

 人質事件対処=「対テロ」を口実とした 日本国軍の米占領軍との一体化弾劾! 反米蜂起に決起するイラク人民と連帯して闘おう

 スンナ派武装勢力に率いられた民衆は、いま、スンナ派三角地帯の要都ファルージャを拠点として、米占領軍の包囲を内と外から打ち破る闘いを果敢に・かつ激烈にくりひろげている。これと呼応して、若き宗教指導者ムクタダ・サドルの率いる民兵組織マハディを先頭にシーア派民衆は、イラク南部全域において反米反占領の武装闘争のうねりを巻き起こしている。 

 米軍の重包囲を突破して聖都カルバラに入ったサドルは、シーア派の大祭典アルバイーン開催の前日に、アメリカの軍事占領を最後的に打ち破る蜂起に決起すべきことを熱烈に訴える檄をとばした(四月十日)。イラク人民はまさにいま、シーア派・スンナ派両派の結束のもとに、反米反占領の闘いを革命的人民蜂起へとおしあげようとしている。

 ついに開始されたムスリム人民蜂起のうねりに直撃された米占領軍は、ファルージャ蜂起とサドル派蜂起とを軍事的に鎮圧するための「二正面作戦」をくりひろげてきたものの、アルバイーンを目前にしてファルージャでの「一時停戦」を申しこまざるをえなくなった。ヤンキー帝国主義のイラク軍事占領支配は、もはや完全に破産した。

 まさにこうした情勢のただなかで、日本人反戦活動家・ボランティア・フリーカメラマンの三名の人質事件が惹き起こされた。「サラヤ・アル・ムジャヒディン(戦士旅団)」と名のるグループから「三日以内に自衛隊を撤退せよ」とつきつけられた小泉政権は、ラムズフェルドやチェイニーらアメリカ権力者の激励≠受けながら、「絶対に撤兵しない」と傲然とつっぱねている。

 ほうはいと巻き起こった「即時撤兵」の声を、家族の悲痛な訴えをも踏みにじってはばからないこの極悪政権にたいして、今や「退陣」を迫る声が日本全土にとどろいている。――まさにこのゆえに小泉政権は「サラヤ・アル・ムジャヒディン」グループの第二声明(「人質解放」声明)をわが革マル派の「文章と似ている」などという許しがたいフレームアップ攻撃にのりだしているのだ。

 すべての労働者・学生諸君! 日本国軍を米軍と合流させ、たたかうムスリム人民掃討戦へと駆りたてる小泉政権を断じて許すな! 今こそわれわれは、蜂起したイラク人民と連帯し、アメリカ帝国主義のイラク占領支配反対の闘いの一大高揚をかちとろうではないか。この闘いの爆発によって小泉ネオ・ファシスト政権を打倒せよ!

 ムスリム人民蜂起とイラク占領の泥沼化

 反米反占領の一斉蜂起にたちあがったムスリム人民は、これへの恐怖と焦りに駆られて軍事的殲滅戦にうってでた米占領軍にたいして、不屈にたたかっている。サダム軍残党・ムジャヒディンに牽引されたファルージャ民衆の蜂起は、米占領軍に甚大な打撃を与え、全ムスリム人民を鼓舞している。現にいま、バグダッドをはじめとしてイラク各地で、「ファルージャを救え!」を合い言葉として、米軍による包囲殲滅戦にさらされながらも不屈に抵抗を続けているファルージャのスンナ派系住民たちを励まし、医薬品や食糧をおくりとどける運動が、シーア派・スンナ派の垣根をこえて広汎に広がっている。

 このムスリム人民の闘いのまえに米占領軍は頭をたれ、ファルージャでの「一時停戦」とその「延長」を申しこまざるをえなくなった(四月十日)。どうあがいてもファルージャ人民を鎮圧しえないのみならず、シーア派の大祭典アルバイーン(四月十一日から開催)がさし迫ったことのゆえに、米占領軍は、もはや「二正面作戦」を維持しえない窮地に追いこまれたのだ。これこそは、米占領軍の軍事的敗北(四月初め以来の米軍および「友邦同盟」諸国軍の死者は七十名を越えた)の証しであるのみならず、ブッシュ政権の政治的敗北=イラク軍事占領の全面的破産を象徴する事態にほかならない。

 米民間軍事会社要員四名を血祭りにあげたファルージャ住民の決起(三月三十一日)にたいして、ブッシュ政権・米占領軍は、狂気じみた復讐心≠ノかられて凄惨なジェノサイド攻撃をかけてきた。都市を包囲しライフラインを遮断したうえで、空爆をしかけクラスター爆弾を雨あられと投下し、老人・女性・子供も含めて無差別に住民を殺りくした。礼拝に集まった人びともろともにモスクにミサイルをぶちこみ爆破した。病院関係者が確認できたかぎりでも四月九日の時点で死者は五〇〇名近くにも達した。まさに米軍版「ゲルニカ」とも言うべき狂気の無差別爆撃のあまりのひどさのゆえに、アメリカ傀儡のイラク統治評議会のなかからさえも「抗議の辞任」をする者が続出したほどなのだ。

 そもそも、ブッシュ政権がファルージャへの攻撃の理由にあげている三月三十一日の事態は、「米民間人への凄惨なリンチ」などというものではまったくない。ファルージャの民衆によって黒こげにされ鉄橋に吊るされた四人は、ブラックウォーター・セキュリティー・コンサルティングという民間軍事会社(PMC)に雇われたシールズ(米海軍特殊部隊)などの元隊員たちであり、CIAやDIA(米軍諜報部)から破格の報酬をうけて数々の謀略工作に手を染めてきた正真正銘の謀略部隊要員いがいのなにものでもない。こうした徒輩のあいつぐ摘発によって3・2シーア派信徒大虐殺事件の謀略性が歴然と明るみにだされてきたからこそ、焦燥感を募らせたブッシュ政権は、目を血走らせて「報復」のジェノサイドにうってでたのだ。

 このヤンキー帝国主義の暴虐のゆえに、ムスリム人民の憤激と憎悪は沸点に達している。人民蜂起の気運がいよいよ高まっている。

 マハディ軍団を中核とするサドル派の武装勢力は、中部ナジャフとクートから連合軍を駆逐するという成果を収め、これをバネとしてイラク南部全域において米英占領軍との攻防戦をくりひろげている。彼らは、イラク内外の信徒数百万人がカルバラに結集するシーア派の最大の宗教行事アルバイーンを舞台として、この祭典じたいを「十字軍の占領」からの解放をかちとる人民蜂起へとおしあげようと追求している(4・10カルバラでのムクタダ・サドルの声明)。

 このかんサドル派は、連合軍暫定当局(CPA)によるサドル派の週刊紙発禁処分(2・10イスカンダリアの警察署爆破が実は米軍のミサイル攻撃によるものだったことを暴きだしたことなどへの報復的弾圧)に抗議するとともに、逮捕拘束されたサドル師の側近の解放を求めて、大衆的抗議行動を波状的にくりひろげてきた。

 バグダッドのCPA本部を包囲し、バスラの州知事公舎を占拠するというように闘いを拡大してきた彼らは、ナジャフでのデモにたいするスペイン軍の発砲を契機として、平和的デモンストレーションから、連合軍にたいする武力的抵抗へと闘争形態をおしあげた。ナシーリア、アマラ、バスラなど中南部の諸都市においていっせいに連合軍との戦闘をくりひろげた。焦りにかられたブッシュが「ならず者サドルを逮捕する」とわめき、バグダッドのサドル派の事務所を戦車や武装ヘリで急襲したことに抗して、サドル師は「米軍の即時撤退」を求め「徹底抗戦」を呼びかけ、たたかいつづけている。

 シーア派の最高権威である大アヤトラ・シスターニ師の「説得工作」をも拒絶して闘いを続行しているサドル派は、ムスリム民衆の反米感情の高まりを背景にして、シスターニ師の「熟柿作戦」にあきたらない部分や、さらにはスンナ派信徒からも共感を急速に集め、勢力を拡大しつつある。

 こうして人民蜂起が開始されつつある情況のもとで、イブラヒム(サダム政権NO2)を新たな頭目としたサダム軍残党や、これと連携しているスンナ派部族武装勢力・ムジャヒディンは、アメリカならびにその「友邦同盟」諸国のイラク滞在民間人を「人質」にとる作戦にうってでている。「友邦同盟」諸国にイラク撤兵を迫り・それらの国内での派兵反対運動を煽ることを目的として、またファルージャからの米占領軍の撤退を迫ることを目的として、この「人質」作戦が展開されている。スペインの親米ファシスト・アスナール政権の倒壊=サパテロ社会労働党政権の成立とイラク撤兵の意志表示、これをインパクトとして「友邦同盟」諸国内においてイラク撤兵を要求する気運が盛りあがっていることを見てとったがゆえに、彼らはこうした新たな作戦を練りあげ実行しはじめたのである。

 「人質問題」で再びブッシュに強姦された「男妾」コイズミ

 「サラヤ・アル・ムジャヒディン」を名のるグループが、日本人三名(郡山さん、今井さん、高遠さん)を「人質」にとったことを示す映像とともに、日本政府が三日間以内に自衛隊を撤退しなければ人質を焼き殺す、という声明を、カタールの衛星放送アルジャジーラをつうじて発表した(四月八日)。日本時間十一日未明にこのグループは、スンナ派のイスラム・ウラマー(聖職者)協会の説得に応じて、三名を二十四時間以内に解放する、という声明を、再びアルジャジーラをつうじて発表した。〔この後者の声明は、小泉の「冷酷で傲慢」な対応を非難するとともに、政府とは区別して「日本国民」に向けて自衛隊の撤退を要求する、という形式がとられている。〕

 このグループがつきつけた「自衛隊撤退」の要求にたいして、首相・小泉は、「卑劣なテロリストの脅しには断じて屈しない」「自衛隊は絶対に撤退しない」と傲然と言い放った(八日)。その直後、米国防長官ラムズフェルドはいかにも満足げなニヤケ笑顔で「それは正しい判断だ。歓迎する」と賛辞≠送った。四月十日に来日した米副大統領チェイニーも、――おそらくは米軍特殊部隊による武装集団急襲・人質救出作戦計画≠フ手土産≠もたずさえて――小泉の「決断」を誉めたたえ激励した。アメリカ権力者どもは、ハーケンクロイツ同盟の一員たるにふさわしい「テロリスト」への対応・対処を、小泉に押しこんだのだ。

 いっせいに開始されたムスリム人民蜂起のゆえに、ブッシュ帝国のイラク占領支配は完全に破産した。それゆえにまた、ウクライナはすでに撤兵を決定し、スペインのサパテロ次期政権は六月末の駐留期限内に撤兵するという意志を固め、イタリアのネオ・ファシスト=ベルルスコーニ政権すらも国内での反対運動の高揚に見舞われて動揺しはじめている。こうして「友邦同盟」諸国がわれ先に泥沼化したイラクから逃げ出しはじめたことに、ブッシュ政権は焦り狂っている。この「友邦同盟」のなだれうつ崩壊を食い止めるために、ブッシュ政権はなによりも忠犬コイズミのひと吠え≠必要としたのだ。

 それだけではない。三月から四月初めにかけて米軍死傷者がまたぞろ増大していることにさいなまれているヤンキー帝国主義権力者からするならば、「治安の悪化」を理由にして宿営地に完全に亀の子になって閉じこもっている自衛隊のブザマな姿は、なんとも我慢がならない。ハーケンクロイツ同盟の一員たる日本国の軍隊の名にふさわしく、宿営地からうって出て、CPAの統治に歯向かう野蛮なゲリラ勢力に向けてわが米軍とともに銃を撃て!=\―まさにこのように小泉に押しこむためにこそ、チェイニーが来日したのである。

 こうしたアメリカ権力者の腹の内を嗅ぎとっているがゆえに、小泉は、「人質」事件を契機として国内では自衛隊撤兵を要求する労働者・人民の声と闘いが高まっているにもかかわらず、これを踏みにじって日本国軍の米占領軍との一体化を一段とおしすすめることに踏みだしている。このゆえにこの極反動政権は、「人質」事件をみずからのイニシアチブで解決≠キるなんらの手だても案出しえず、対応不能をさらけだしている。ブッシュ政権に一切ゲタをあずける不様さをさらしているのだ。

 〔この日本人「人質」事件は、サダム軍残党・スンナ派部族武装勢力が「友邦同盟」切り崩しのための揺さぶり戦術として「人質」作戦をとりだした渦中において惹き起こされた。とはいえ、疑惑も多い。

 自衛隊派遣に反対していた三人のメンバーを意図的に選び、しかもイスラームの教義に反する女性の誘拐が強行されたこと自体が異常である。このことひとつをとっても、他の外国人人質事件とは異質なのである。

 そもそも、「サラヤ・アル・ムジャヒディン」を名のるこのグループは、アルジャジーラのアナウンサーが言明しているように、イラク国内においても国外においてもまったく知られていない。当初の「声明」は、イスラム暦ではなく西暦を使うというように、イスラム色がきわめて薄い。第二「声明」も、イスラム暦と西暦を併用しているが両者の間に不一致があり、また組織名じたいの表記も第一声明では「イラクの……」とついているのに、これにはない。第一声明にはない「ヒロシマ、ナガサキ」に言及されているが、アラビア語表記のそれを日本語に直訳すると「ホロシマ、ナザキ」となってしまう。これらに見られるうさんくささにくわえて、日本国軍の実戦参戦を迫ったチェイニー来日の直前にピシャリとタイミングを合わせて事件が惹き起こされたことからして、CIA関与の疑惑もあるといえる。〕

 命運つきたブッシュ政権

 シーア派・スンナ派両者の結束にもとづくムスリム人民蜂起のゆえに、ブッシュ政権が掲げてきた「六月末までのイラク人への主権移譲」などというプランは完全に破綻しつくした。ブッシュが「主権移譲」の母胎≠ニしようとしてきたIIAさえもが、いまや空中分解を開始している。

 「主権移譲」策を逆手にとってのシーア派主導の反米政権の樹立を恐れているがゆえに、ブッシュ政権は、シーア派とスンナ派の間の宗派的対立をかきたて、シーア派の力をそぐことを目的として、アシュラ祭におけるシーア派信徒大量爆殺の謀略(三月二日)を仕組んだ。このブッシュ政権の工作にもかかわらず、シーア派・スンナ派の両派指導者は、事件の謀略性を的確に見抜き、反米・反占領闘争における提携をいっそう強めた。この3・2謀略によって完全に墓穴を掘ったブッシュ政権は焦りにかられつつ、「ベトナム戦争の英雄」(民主党の大統領候補ケリー)の向こうを張ってみずからを「対テロ戦争の英雄」としておしだすために、「アルカーイダの国際テロ」にみせかけることを狙ってスペインの列車爆破の謀略(3・11)
を仕組んだ。だが、これもまた、アスナール政権の倒壊、社会労働党の次期首相・サパテロによるイラクからの撤退の意志表明を招く、というかたちで完全に裏目に出たのだ。

 〔この列車爆破事件の「犯人グループ」と決めつけた「モロッコ解放戦線」のアジトをスペイン治安部隊が急襲し、「自爆」したはずの部屋から大量の爆薬と起爆装置という「証拠品」を押収した、と発表したのは、あまりにミエミエな、謀略を隠蔽するための謀略にほかならない。〕

 3・2や3・11をはじめとするアメリカ帝国主義の数々の謀略をわが同盟が敢然と暴きだしてきただけではない。イラク人民じしんが、アーミリヤにおいて、モスクと警察署の爆破工作を実行中のアメリカ人CIA要員をとりおさえたように、破綻した占領統治をとりつくろうための米軍(およびこれにつらなるPMC=「民間会社」のかたちをとった謀略部隊)による謀略的工作の実態をつかみ暴きだしている。

 しかも今、アメリカ国内では、「大量破壊兵器保有疑惑」のねつ造工作の実態暴露にひきつづいて、ブッシュが今や唯一の頼みの綱としている「テロとたたかってきた大統領」という看板≠ひっぺがすことを狙って、9・11の直前の時点でブッシュ政権はアルカーイダのテロに無警戒無対応であった≠アとを浮き彫りにする暴露が、東部エスタブリッシュメントの手によっていっせいに開始されている(元テロ対策担当大統領補佐官リチャード・クラークの証言など)。

 イラク占領の泥沼化は、同時に、経済的には膨大な財政負担のふくれあがりをもたらしている。双子の赤字がますます増大しているだけではない。石油価格の高騰にも直撃されて、「ジョブレス・リカバリー(雇用なき景気回復)」ならぬ「ジョブロス・リカバリー(雇用そぎ落しの景気回復)」と言われているアメリカ経済が、いっそう悪化を遂げることは必至なのである。

 これらの諸事態に促迫されて、ブッシュ政権の支持率は目に見えて急落している。このままでは大統領選挙での敗北が必至であるがゆえに、ブッシュはいよいよ焦燥感を募らせている。この窮地を脱するために、ブッシュ政権は謀略的手段をさらに駆使してでもイラク占領の崩壊的危機を強引にのりきろうと血眼になっているのだ。

 「テロ根絶」に唱和する日共中央を弾劾して闘おう!

 日本共産党の不破=志位指導部は、日本人三名を人質にした者たちを「卑劣」「野蛮」と口を極めてののしりながら、人質の命を救う≠スめに小泉政権に「自衛隊の即時撤退」をお願いしている。そもそも、現代版十字軍=アメリカ同盟軍の占領支配からのイラクの解放をめざしているムスリム人民の反米・反占領の闘いにたいして「野蛮なテロ」だの「荒廃のきわみ」だのと罵倒したうえで、「テロを根絶する」ためにも「国連中心の復興支援」という代案を対置しているのが日共中央なのだ。

 現にいま、蜂起したイラク人民にたいする軍事的殲滅戦を強行しているブッシュ政権を全面的に支持し、日本国軍を米占領軍と一体化させている小泉政権にたいして、人質の人命尊重≠お願いしつつ「自衛隊撤退」を要請することが、いったい何の力になるというのか。よりよいテロ根絶策≠ネどという観点から「復興支援」=「民主化促進」という代案を対置することは、「テロとの戦い」などという小泉やブッシュの欺瞞的論法に労働者・人民がからめとられるのに棹さすことをしか意味しないではないか。日共中央は、米軍の占領支配へのイラク民衆の憤激にたいするこれっぽっちの共感もなければ、アメリカ帝国主義の残忍な侵略・占領にたいする労働者階級的な怒りもない。それは彼らが、帝国主義諸国権力者どもの「テロ根絶」のキャンペーンに資本主義的秩序∴ロ持派として唱和しているからであり、「自由と民主主義」のブルジョア的理念に骨の髄までおかされ、「非暴力」を絶対の尺度としてしまっているからなのである。

 すべての労働者・市民・学生諸君! われわれは、「国連中心の復興支援」への転換を政府にお願いするにすぎない日共中央や、「人質解放のためには自衛隊撤退要求を棚上げする」「政府に全面協力する」(「テロリスト殲滅」のために協力する、ということだ!)などと申し出てさえいる民主党指導部の犯罪的対応を弾劾しつつ、アメリカ帝国主義のイラク占領反対・日本国軍の米占領軍との一体化弾劾の闘いをたたかいぬくのでなければならない。今こそ、人民蜂起を開始したムスリム人民と固く連帯し、アメリカ帝国主義のイラク占領支配に反対する闘いを、わが日本の地から高揚させ国際的に波及させるために奮闘しようではないか。

 決起したイラク人民にたいする米軍のジェノサイド攻撃を許すな! 日本国軍隊がこの米軍と一体化してイラク人民に襲いかかるのを断じて許してはならない! ブッシュ政権に庇護されたミニ・ヒトラー=シャロン政権によるハマス指導者ヤシン師の虐殺と、パレスチナ軍事侵攻・人民虐殺を弾劾しよう! 断末魔のブッシュ政権が、「ブッシュの戦争」の「大義」をねつ造し「友邦同盟」諸国をこの戦争に駆り出すために仕組むであろう国際的な謀略テロを警戒し、その本質を暴きだしつつたたかおう。「自衛隊は絶対に撤退しない」とつっぱり、火だるまのブッシュとの心中の道を選んだ小泉政権を弾劾せよ。「テロ警戒」を口実とした戦時下の治安弾圧を許すな。わが革命的左翼へのフレームアップ攻撃を許すな! 緊急事態対処法の自公民での共同提案というエサにとびついた民主党を弾劾し、有事関連七法の今国会での制定を阻止しよう!

 たたかうムスリム人民と連帯し、この日本の地において、イラク反戦・反安保・改憲阻止の闘いをおしすすめ、小泉ネオ・ファシスト政権を労学の実力で打倒しよう! すべてのたたかう労働者・学生は、 4・25反戦・反安保労学統一行動に決起せよ!


【*緊急アッピール「政府は直ちに自衛隊を撤退させよ!政府の「人道的復興支援」の欺瞞を批判する。3人の同胞の「人質問題」について」(「自主日本の会」・塩見孝也)】

 4月8日、「アルジャジーラ」の報道を通じて、3人の無辜と思われる、我が民衆、同胞がイラク人の武装組織によって誘拐され、人質にされていることが明らかになりつつある。この事件は日本民衆にとってもイラク国民、民衆にとっても痛ましい事柄であるが、日本政府、支配階級が理不尽きわまる無道、不正義、大義なき侵略・征服の自衛隊海外派兵らを中心とする帝国主義政治を実行している限り、起こるべくして起こった事件といえる。

 我々は3人の民衆・同胞が早急に無事解放されることを切に願ってやまない。我々はイラク民衆や武装民衆が、民衆と民族の国際連帯の原則的見地からして、この問題を早期に解決する英知ある行動をとって下さるように切望するものである。

 侵略と征服の覇権行為を推進せんとする帝国主義のアメリカや日本政府の侵略に反対し、全くの非武装で、心からイラク復興を願って、イラク民衆の立場に立って行動する無辜の日本民衆、同胞を区別できず、無差別に、それがたとえイラク人の反侵略・国と民族の自衛を推進する民族的英雄、愛国者達の武装組織であっても、暴力でもって強制的に、人質にし、あまつさえ、殺害しようとするのであれば、それは全くの間違いである、と考える。

 この行為は「樹を見て、森を見ない」近視眼的な非人間的・反民衆的行為といわなければならない。

 しかし、このようなイラクの武装組織の過ちはブッシュ・アメリカ帝国主義とそれに協力してきた日本対米従属の支配階級のイラク民衆、国民に取ってきた侵略と征服の仕打ち、劣化ウラン弾らによる残虐な仕打ちを考えれば、避けがたい過ちの性質が含まれており、両者の行為には月とすっぽんの違いがあり、我々は、ミソと糞を一緒にするように、両者の行為を同じ平面、同列の問題として論じることは断じて出来ない、と考える。

 イラク民衆のこの過ちは侵略と征服に反対して、国と民族の主権、民衆と国民の基本的な人権を守る正当な自衛のための闘いの中での過ちである。

 アメリカと日本の帝国主義者、支配階級の侵略、占領の無法、無道行為は強者がその連中の私的営利の為に、軍事的には、いまは弱い、イラク民衆、国民を残虐に、殺すことを意識した何の道義性もない、否、道義性もないことを意識し、虚偽の人騙しの理屈を作り、正当性を粉飾せんとした二重、三重に天人許さぬ破廉恥行為である。

 これは断じて過ちではなく、始めから、終わりまでの、足の爪先から頭のてっぺんまで意識的な反民衆、反人間、反民族、反人類の邪悪行為である。

 このような悪業の行為を日本や世界の民衆、民族が、日本帝国主義とアメリカ帝国主義との勢力と闘争し、それを阻止し、自衛隊を撤退させない限り、イラク民衆は、このような過ちをやめさせることは出来ないであろう。

 我々日本民衆、民族は米・日帝国主義のイラク侵略阻止の闘いの不十分性こそを、深く反省しなければならない。

 政府・福田官房長官はその日の夜、「我々はイラクの人道的復興支援を行っているのであって、自衛隊派遣をやめない。日本人がこのような理不尽を受ける謂われはない。怒りに耐えない。」と如何にも正義面、被害者面をしつつ、意見表明をした。この記者会見は全く欺瞞に満ち、イラク民衆、国民と日本民衆、日本国民を愚弄し、徹頭徹尾、両民衆、両国民の尊厳を地に貶める、ペテンそのものの態度であり、日本民衆を犠牲にしても、この侵略の悪業を止めないと言う、断じて見過ごすことの出来ない、許しがたい態度表明である。

 しかも、この言説は、「テロに屈しない」と、自分達にかけられてくる、イラク、アラブの民衆の怒りの報復攻撃への自らの恐怖を隠し、浮き足立ちつつある、帝国主義者たちの動揺を静めんとする、日和見主義の苦肉の言い草でもある。これは、自らが取った、全く間違った大義なき侵略行為としての不正義の自衛隊海外派兵の言い訳であり、自らの過ちを「屋上屋を重ねる」形で開き直る、醜い責任回避の態度とも言える。

 果たして、自衛隊の海外派兵は「イラクへの人道的復興支援」であろうか? だんじて否である。これは徹頭徹尾の全くの欺瞞である。

 ブッシュ・アメリカ帝国主義は昨年国連決議や世界の反対意見も無視し、核兵器も生物兵器も見つけ出しえないまま、イラク侵略戦争に乗り出した。これは、軍隊を他国に侵入させてはならない、という国際法の基本原則において、又石油利権を目指している点で、全くの義のない利だけの軍事行動、戦争行動である点で、紛れも無い帝国主義特有の侵略戦争であった。

 昨年の侵略戦争の支持に続いて、日本小泉政権は今年になって、明瞭な理屈付けも出来ないまま、アメリカの要求にしたがって、この2月〜3月自衛隊を派兵した。日本支配階級はこれをもって具体的に、アメリカの目下の従属帝国主義として、イラク国への共同の侵略行動に踏み切ったのである。わが日本国執権帝国主義者たちは、アメリカの無道なイラク侵略とその上でのイラクの占領支配、征服をアメリカ帝国主義と共に共同で開始したのである。

 これが、どうして、「人道的復興支援」と言えようか。

 自衛隊の「復興活動」をメディアは「人道的復興の福祉活動」と、称し臆面もなく報道しているが、「人道的復興活動」は、侵略行動を補完する侵略をカムフラージュする狡猾きわまる欺瞞策以上の何者でもない。一方でイラク民衆を欺瞞しつつ、他面では日本民衆をも同時に欺瞞し、アメリカ帝国主義の侵略を軍事的・政治的に補完しつつ、アメリカが独占せんとするイラク利権のおこぼれに預からんとする、全くの小ずるい大義のなき破廉恥行為といえる。

 この行動にイラク民衆、国民が憤激するのは道理のあることである。自衛隊はありていに言えば、アメリカ・ブッシュ帝国主義の派遣した侵略軍隊と手を組んでイラク民衆を殺しに出かけたのであり、抵抗するイラク民衆の反侵略の自衛行動を圧殺しに出かけて行ったのである。

 これが今回の事件の根源であり、直接の原因でもある。

 言ってみれば、庶民の家族が暮らしている家屋に、二人の強盗が、無法に武装して、侵入し、不法占拠し、押し込み強盗を働き、居座るべく、一方は家族を殺害したり、縛り上げたりして「服従する」ように、恐喝し、他方は自分の占拠のために、「壊れていて、不便である」からと「お為ごかし」を言い、侵入の際、壊した、家屋を恩着せがましく「普請してやる」と 言っているようなものである。

 これが、日本小泉政権がやり、福田がいなおり、強弁している主張の本質である。

 この際その家の家庭内問題がどうあろうと、問題にならないのである。問題の核心は、この強盗たちが不法な押し込み強盗を働いたことである。その際、この強盗どもを家人たちの一人が、「強盗の係累に属する」と、勘違いする間違いをおかし、この強盗どもを批判し、家人たちを助けようとしている人を傷つけようとしている、ということである。

 これが、正しい今回の事態の大局的認識であり、我々は、断じて、「樹を見て、森を見ない」近視眼に陥ってはならないのである。

 政府ら執権勢力やブッシュア・アメリカ帝国主義の思惑は、このような近視眼的認識をイラク人への敵視、排外主義的感情に育て上げ、その感情を侵略と征服を正当化する帝国主義者の感情に変質させ、日本民衆、国民を帝国主義者に育て上げようとしているのである。

 今こそ、日本民衆、国民は国と民族、民衆の英知と勇気を発揮する時である。

 暴力に対して、暴力で対する悪循環を断ち切り、人民大衆中心・人間自主・民族自主・非暴力の見地で、物事の根源からしっかりと捉え返しつつ、帝国主義の侵略、征服の行為、その要としての自衛隊のイラク派兵を日本人民、日本国民の名において、その名誉において阻止していかなければならないのである。

 この闘いの具体的前進のなかで、人質問題を正しい民衆的、民族的国際連帯の中で迅速に解決してゆかなければならない。

 日本民衆は、もう一度、戦前の侵略戦争や帝国主義同士の覇権争いに巻き込まれてはならないのである。

 愛国心が問題になっている。愛国心とは何か、愛国心はどのように発揮されるべきか、をしっかり考えるべき時と思う。

 この問題は多岐にわたる沢山の深い大論議が必要であるが、さし当たって明確にしなければならないのは、愛国心とは日本国民が、日本民衆一人ひとりが自主的に生きれるように、他民族を侵略せず、他国から侵略されないよう国と民族の自主権を擁護しぬくことである。

 したがって、アメリカの言いなりになって、侵略を推進する自衛隊が即時撤退することを徹底追及し、この行為を推進している政府支配勢力と徹底的に闘う事が真の愛国心であると考える。

 海外派兵の是非善悪を、民衆中心で、従って民衆の国際連帯を中心に考えず、ただ国と国、民族と民族の利害得失、優勝劣敗の思想、観点で、この問題ら国際紛争を考えることは、帝国主義者に乗じられ、偽の「愛国心」の泥沼に引きずりこまれてゆく。

 愛国心ある日本民衆、国民はこう確認し、人質問題に展むべきである。断じてアメリカとつるみ、軍事力増強、増派兵でもって侵略の殺しの泥沼世界にのめり込んで行ってはならない。

 逆にアメリカの日本従属化・支配、日本従属支配階級の売国と侵略の政治、自衛隊の海外派兵継続、強化と闘って、これを阻止することで、真の愛国心を磨きぬくべきべきであろう。
    −2004年4月9日、ニュースを聞いて、一晩集中して書き上げたー



【15日の動き】

 2004.4.15日、午前1時ごろ 外務省関係者が「イラクで日本人拘束の情報」と述べる。
 2・40 バグダッドのアパートにフリージャーナリスト安田純平さん、渡辺修孝さんが戻っていないことが判明。
 16・05 福田康夫官房長官が会見で2人の拉致情報について「確認中。事実とすれば救出に全力を挙げる」。
 20・40すぎ カタールの衛星テレビ、アルジャジーラが「3人を解放」と速報。20・43 NHKなどテレビ各局がテロップで速報。
 21・00前 「3人はバグダッドの日本大使館で引き取ることになっている」と自民党幹部。
 21・04 アルジャジーラが、泣きじゃくる高遠菜穂子さんら解放された3人の姿を放映。


【イラク人質:日本人3人を解放 アルジャジーラに元気な姿】

 2004.4.15日、カタールの衛星テレビ「アルジャジーラ」はイラク時間の15日午後3時45分(日本時間同8時45分)ごろ、人質3人がバグダッド市内で解放されたと報じた。イラク・イスラム聖職者協会が保護し、3人とも健康状態は良好という。アルジャジーラは3人の喜ぶ姿などを中継した。日本政府を混乱させた3人の人質事件は、発生から8日ぶりに解決した。

 アルジャジーラが10日夜(日本時間11日未明)、「犯人グループが3人を24時間以内に解放するとの声明を出した」と報じたことから、いったんは解決ムードに包まれたが、約20時間後には一転して仲介役を自称するイラク人が「(イラク人を苦しめる米国を支援したことに対する)日本政府の謝罪と自衛隊の撤退がなければ人質を殺害する」との犯人グループの声明を伝えていた。犯人グループは不明だが、ファルージャ周辺の反米武装勢力組織とみられている。

 政府は15日午後8時30分(日本時間)、バグダット市内で、在イラク日本大使館の館員が3人の無事を確認した。政府は今後、解放された3人について、バグダットの日本大使館に保護したうえで、現地緊急対策本部(本部長=逢沢一郎外務副大臣)が設置されているヨルダンの首都アンマンに移送する予定だ。移送方法は今後検討する。



【イラク人質:新たに日本人2人が人質】

 政府は15日、バグダッド郊外で、新たに日本人2人が武装グループに拉致されたとの情報の事実確認を急いだ。福田官房長官は15日午後の記者会見で、「きちんと確認して事実だということになれば、救出に全力を挙げる」と述べた。

 バグダッド郊外のアブグレイブでは14日、フリージャーナリストの安田純平さん(30)と、市民団体メンバーの渡辺修孝さん(36)が取材中に武装組織に誘拐され、行方不明になっていることが明らかになった。

 16日になっても、武装組織側から犯行声明も要求もない。政府もCPAの協力を得て捜索を続けているが、いまだに行方は分かっていない。



【武装勢力、口止めと免責…解放3人質---「次は許さない」不気味な予告】
 2004.4.16日、「聖戦士旅団」は保身から3人に口止めしたうえ、聖職者協会に免責を要求していることが16日、分かった。「次の人質は許さない」と不気味な殺害予告も。

 【解放声明】

 聖戦士旅団名でクベイシ師に手渡した声明には、「日本で自衛隊撤退の機運が高まり、東京のデモではアラーの名を掲げてくれた。人質の家族の気持ちにも共感し、解放を決めた。日本政府が方針を変え、部隊を撤退させるように圧力をかけ続けてほしい」などと書かれていた。しかし、「日本人が次に人質になったら、許さない」と殺害予告もしたという。



【表舞台にいたクバイシ師電話取材】「日本政府とは一切接触していない」 [TV朝日:ワイドスクランブル]】
 2004.4.16日、テレビ朝日の「ワイドスクランブル」で、今回の「イラク人質事件」において、犯行グループに解放を呼びかけたり、解放された3人を客人として迎えたりしてイラク側の表舞台に立った人物であるイスラム法学者協会のクバイシ師に電話取材した様子を報じた。要点を列挙すると、

● 解放の呼びかけはしたが、自分から犯行グループに接触したことはない。
● 解放呼びかけ後に、犯行グループのほうから電話で連絡してきた。
● 家族の思いなどを汲み取り解放を決意したそうだ。
● 日本政府とは一切接触していない。
● 自衛隊撤退要求の声明を出したのは、犯行グループそのものではなく別のグループである。

(私論.私見)「クバイシ師証言」の重要性

 日本政府(小泉政権)は、「米国をはじめとした諸外国に協力を求めるとともにイラクの宗教指導者や部族長など幅広い人たちにも支援を要請した」として、人質事件の解決が自分たちの尽力の賜物であるかのように説明している。しかし、「クバイシ師証言」は、人質解放の立会い者となったクバイシ師とは一切接触していないと述べている。

 自衛隊撤退要求の声明を出したのは、犯行グループそのものではなく別のグループであるという情報も注目される。政治的部門と軍事的部門の分協業構造なども含めて反「ファルジャー虐殺」を象徴とする反占領闘争が幅広い反占領勢力の連携のもとで行われていることを示唆していると思われる。


【自作自演説の情報源、実は官邸(週刊誌報道)】

 「自作自演説」の情報源が、実は総理官邸であるという記事が次の3誌で取り上げられている。●週刊文春4月22日号P28〜29 「自作自演ではないか」との疑念、●週刊新潮4月22日号P34〜35 「官邸」にまで達していた「自作自演情報」、●FRIDAY 4/30 P10〜11 小泉&官邸「許されざる家族への暴言!」オフレコ言行録。

 週刊新潮によると、警察庁から出向中の小野次郎首相秘書官と飯島勲秘書官との間で、当初から自作自演の可能性が話し合われていたとのこと。週刊新潮ですら「被害者に対して失敬な憶測」と評しています。「“ぶったまげの逆ギレ”小泉首相が「俺たちが一生懸命救出に奔走しているのにあの家族は何だ」と激怒! [週刊新潮4・22]」
http://www.asyura2.com/0403/war52/msg/605.html

 週刊文春によると、事件発生当夜「自作自演」の疑念が官邸で蔓延し、事件翌日、疑念を裏付ける証拠のごとくネット上に飛びかった書き込みが「捏造物」だったことが明らかになった後も疑念は根強く残り、このために初動が遅れたことは否めないと官邸記者が語っているそうです、とあるとのこと。

 FRIDAYでは、小泉首相の側近や公安担当部門が、記者たちに「調べてみろ」と圧力をかけていた形跡があるという全国紙政治部記者の発言を紹介している。(閣僚や外務事務次官そして小泉首相のそれぞれの「家族への暴言」を紹介したあと)「そこには不可解極まる、ある政府内の動きがあった」、「誰が煽っているのかと情報源を辿ってみると、どうやらそれが、官邸周辺なのです。小泉首相の側近や警察の公安担当部門が、記者たちに『調べてみろ』と圧力をかけていたという形跡がある」(全国紙政治部記者)、「いま政府は、イラク現地での情報収集能力ゼロ、頼りはアルジャジーラと米軍のみ、という無能ぶりを曝け出している。外務省も、川口順子外相が「確認した」と“断言”した人質解放の報がガセだったり、逢沢一郎副相がイラク入りもせず「情報がない」と嘆いていたり、対応はお寒いの一言だ。ところがそのウラで、彼らは特定の方向にせっせと世論を誘導していたのである。いかなる理由であれ、こんな行為は許されるはずがない。これは小泉政権が国民を完全に舐めており、実は民主主義を根幹から否定しているという、恐るべき事実を示している」。

 官邸が自作自演説を流していたとは、驚きを通り越してしまいます、とある


【人質及び家族に対して「自己責任論」が浮上し、損害賠償請求の動き】

 「人質及び家族に対して「自己責任論」が浮上し、損害賠償請求の動き」が出てきた。「退去勧告をしているのにそれを無視してイラクに入国した3人には自己責任がある、無責任だ。権利には責任が伴うということを肝に銘じるべきだ。救出にかかった費用を弁償させるべきだ」なる論が為されている。

 政府与党自民党及び公明党の冬柴幹事長から、「3人の日本人人質を救出するために掛かった政府の費用を、被害者本人とその家族らに負担させるように求める」、「我々は彼らに自己責任を負わせるべきだ」、「全部でおよそ20億円掛かった」発言が為され、日本厚生相の言として「厚生省としてはこのような費用支出は馬鹿馬鹿しい!」。

 外務省首脳の言として「チャーター機や健康診断の代金は請求することになるだろう」、外務省の竹内行夫事務次官の「非政府組織(NGO)メンバーによるイラク国内での活動について「自己責任の原則を自覚して、自らの安全を自らで守るということを考えてもらいたい」。
日経新聞 4.13日社説 「自己責任がイラクにおける基本的な行動原則である」。
読売新聞 4.13日社説 「自己責任の自覚を欠いた、無謀かつ無責任な行動が、政府や関係機関などに、大きな無用の負担をかけている。深刻に反省すべき問題」。

 2004.4.26日、イラクで人質になったボランティア高遠菜穂子さん(34)ら3人の支援をしている市民団体「北海道ピースネット」メンバー越田清和さんが東京都内で記者会見し、外務省がた高遠さん)ら3人に対して、ドバイでの診察費や滞在費など計約198万円を請求していたことが判明した。同省から家族側に請求書が届いたという。費用請求内訳は、@・診察費約45万円、A・現地入りした家族を含めた3人のホテル代、B・解放された3人のバグダッドからアラブ首長国連邦のドバイまでと、ドバイから日本までの片道の航空運賃、C・出迎えに行った家族2人と弁護士1人は日本とドバイの往復料金となっている模様であるが、詳らかでない。診察費については現地で既に支払っており、残る150万円余りについても近く支払うという。越田さんによると、同省邦人特別対策室は「それ以上、請求するつもりはない」と話している、という。

【危険な国・地域への渡航禁止、与党が法的措置を検討】

 自民、公明両党は16日午前、国会内でイラク人質事件の与党対策本部を開き、邦人保護策の一環として、危険な地域への渡航を禁止できるよう法的措置などを検討する考えで一致した。政府の退避勧告にもかかわらず、あえて危険地域に飛び込んで誘拐されたような場合には救出費用の一部を被害者本人に負担させる案も浮かんでいる。



【「イラクで行方不明の邦人2名保護」とアルジャジーラ報ず】
 2004.4.17日、17.00、NHK:「イラクで行方不明の邦人2名バクダットで保護」と午後5時前に、アルジャジーラ字幕情報で報ず。イラクイスラム聖職者協会に引渡された。

 不明の2邦人を無事保護 バグダッド市内で
http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20040418k0000m030003000c.html

 イラクのバグダッド西方郊外のアブガリブ付近で14日、武装集団に拘束されたとみられていたフリージャーナリスト、安田純平さん(30)=埼玉県入間市=と市民団体メンバーで元自衛官の渡辺修孝さん(36)=栃木県出身=が17日午前11時(日本時間午後4時)ごろ、バグダッド市内で無事保護された。カタールの衛星テレビ「アルジャジーラ」が同日、伝えた。2人の健康状態は良好だという。

 解放された場所は、バグダッドのウムアルクラ・モスク(イスラム礼拝所)で、武装勢力から、「イラク・イスラム聖職者協会」の幹部、アブサラム・クバイシ師(54)に引き渡された。日本大使館員も立ち会っていたという。同モスクは同聖職者協会の事務所を兼ねている。クバイシ師は15日に解放された3人の解放も仲介した。

 NHKの取材に対し、渡辺さんは「2人とも病気もけがもない。拘束された後は食事を与えられ、扱いは丁重だった」と話した。また、武装勢力から(1)日本はイラクの友人で我々は友人を傷つけたくない(2)日本の自衛隊にはイラクから撤退して欲しい−−との口頭でのメッセージを託されたと明らかにした。



【イラク人質解放:3人が羽田に到着 会見には出席せず】

 イラク日本人人質事件で15日に解放された3人はドバイから関西空港を経由して同日夜、東京・羽田空港に到着した。同行した弁護士は同日夜、都内のホテルで行われる記者会見には、本人たちは出席しないと表明した。家族の代理人の高見沢昭治弁護士らの連絡によると、ドバイの医師が「3人はPTSD(心的外傷後ストレス障害)で、記者らと面会せず、安静と休養が必要」と診断したという。関西空港に到着した3人は、表情が硬く、報道陣の問いかけにも一切応じなかった。

 3人はバグダッドで解放後、アラブ首長国連邦のドバイに移って病院で検査を受けた。帰国には、現地緊急対策本部長の逢沢一郎副外相のほか、ドバイまで出迎えた高遠さんの弟修一さん(33)と今井さんの兄洋介さん(23)らが付き添った。

 外務省は今後、事件の状況について3人から事情を聴く。また、警視庁と北海道警の合同捜査班も事件解明を目指して本格的な事情聴取を行う。

 ■ことば PTSD(心的外傷後ストレス障害)とASD(急性ストレス障害) 犯罪や災害など非日常的な体験から、心にダメージを受けて発症する精神障害。発症直後は、ASDとされ、症状が1カ月以上続くとPTSDと診断される。どちらも不眠や食欲不振、情緒不安定のほか、被災時の感覚や光景、恐怖体験がよみがえる「フラッシュバック」などの症状がある。



【イラク人質解放:渡辺さん、自らの信念に基づいた行動】

 2004.4.18日付け毎日新聞によると、バグダッドでの解放から一夜明けた18日、安田純平さん(30)と渡辺修孝さん(36)はイラクを出国し、アンマンに到着した。民間機を降りた2人は、日本大使館職員に繰り返しおじぎした。報道陣の問いかけには一切答えず、大使館が用意した車に乗ってアンマン市内のホテルに向かった。2人に同行してきた大木正充・イラク担当大使は「元気で精神的にも落ち着いている」と話し、2人の希望で健康診断をしていないことを明らかにした。

 この日昼、渡辺さんから、所属する市民団体「米兵・自衛官人権ホットライン」事務所(東京都中野区)に電話がかかり、「皆に迷惑をかけた。心配をかけたことは申し訳ない」と言いつつも、「『ごめんなさい』とは言わない」などと、自らの信念に基づいた行動であることを語ったという。

 ホットライン事務局次長の片岡顕二さんによると、電話はバグダッドの日本大使館からかけられ、渡辺さんは「本当は残ってバグダッドの現状、事実を伝えたい」と話したという。しかし、拘束中に旅券などを取り上げられたままで、大使館員に「これ以上の滞在は無理だ」と言われ、帰国を決めたという。片岡さんは「胸を張って帰って来い」と話したという。片岡さんは「危険は承知していたが、それ以上に『行かねば』という思いだったのだろう」と思いやった。



【武装勢力がイラクの伊人質に対し、「デモなければ5日以内に殺害と脅迫」】
 2004.4.26日、アラブ首長国連邦の衛星テレビ、アルアラビーヤは、イラクで今月12日に拉致された米国の警備会社DTSに勤めていたイタリア人警備員ら3人の映像を放映した。武装勢力は声明で「カタイブ・ハダラ(グリーン・ブリゲード、緑の軍団)」と名乗り、同テレビを通じ、「イタリア人がわれわれの大義に共鳴して、われわれと連帯し、首都で(ベルルスコーニ)首相の政策に反対する大規模なデモを行い、政府にイラク撤退を訴えるならば、われわれは善意を示し、人質を解放する」、「5日間の猶予を与えるが、その後は、何のためらいも、警告を発することもなく、彼らを殺害するだろう」との声明を読み上げた。イタリアのベルルスコーニ首相はこれまで犯人側の要求に応じない姿勢を貫いているが、イラクで拉致されたイタリア人4人のうち既に1人が殺害されており、さらに人質が殺害されれば同政権にとって大きな打撃となるのは必至だ。報道によると、犯人側は「緑の旅団」を自称。3人が食事する様子を映したビデオとともに同テレビに送り付けた声明で「イタリア国民がわれわれと連帯し、ローマで政府のイラク政策に反対する大規模な反戦デモを行えば人質を解放する」と言明。5日以内に要求に応じなければ人質を殺害すると脅した。

 拘束された4人のうち、1人(ファブリツィオ・クワトロッキさん)を殺害する様子を映したビデオが14日に別の衛星テレビ、アルジャジーラで放映された。このとき武装勢力は「カタイブ・ムジャヒディン」と名乗り、ベルルスコーニ首相によるイスラム社会への謝罪や軍の撤退などを要求していた。






(私論.私見)


国家の責任 小泉流『自己責任論』がかき消した イラク邦人人質事件
http://www.asyura2.com/0403/senkyo3/msg/164.html
投稿者 クエスチョン 日時 2004 年 4 月 21 日 19:39:46:WmYnAkBebEg4M

国家の責任 小泉流『自己責任論』がかき消した イラク邦人人質事件
http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20040421/mng_____tokuho__000.shtml

 各種世論調査によると、イラク邦人人質事件について、約7割が小泉政権の対応を支持しているという。政府の危機管理が問われる事件でありながら、矛先を被害者の「自業自得」に向けることで、巧みに世論を操ったともいえる。だが、個人の「自己責任論」が世間を覆う中で、見過ごされ、かき消されそうな「国家の責任」もある。

『非戦闘地域』どこに? 崩れる自衛隊派遣の前提

 「『非戦闘地域』の理屈はまったく成り立っていない。無意味であり、一種のごまかしだ。戦闘は一度、始まってしまえば、自分の都合でどうこうできない。一番不安なのは現地の自衛隊員たちだろう」

 軍事評論家の藤井治夫氏は、そう看破する。

 自衛隊派遣の前提は「非戦闘地域」の存在だ。それが崩れれば、自衛隊をイラクに派遣した小泉政権の責任が問われる。だが、川口順子外相は二十日の衆院本会議で、その点には触れず邦人人質事件をテーマに事件が「許されざる犯罪」ゆえ、自衛隊撤退はないと繰り返した。政府がそう言い張れるだけの状況がイラクにはあるのだろうか。

 イラクに兵力を派遣している米国主導の「有志連合」が崩れつつある。スペインの撤退声明に続き、三百七十人を派兵する中米ホンジュラスも十九日、早期撤退を決定。エルサルバドルやドミニカ共和国も追随の動きをみせている。

 二十日現在、イラク中部ファルージャでは米軍と反占領勢力との「停戦」が続き、中部ナジャフに立てこもるムクタダ・サドル師一派と連合国暫定当局(CPA)との交渉も継続中と伝えられる。しかし、十七日にはナジャフ近郊を含め、イラク全土で米兵十一人が死亡するなど、平穏という状況とはほど遠い。

 今月に入り、イラク「抵抗勢力」の側は確実に様変わりしている。十一日付の米紙ニューヨーク・タイムズは「銃をとらないと妻からどやされる」「友人仲間で道に爆弾を仕掛けている。組織名称なんてない」という「一般市民」の声を報じた。派閥によらない総力戦での反米闘争の様相を見せ始めている。

状況が悪化し隊員に失望感

 自衛隊の派遣先、南部サマワでも七日に宿営地、八日にCPA事務所を狙った迫撃砲攻撃があった。四日から中断されていた給水を除く支援活動は十三日、一部が再開されたが、十四日には「オランダ軍と自衛隊に告ぐ」とした反占領を訴える学生デモ、十七日にはオランダ軍とイラク人グループの銃撃戦が発生した

 こうした状況が自衛隊員に及ぶ危機を強めている。ある防衛庁関係者は、こう危ぐする「隊員たちは非戦闘地域なんて信用していない。政府のへ理屈にへきえきしている。心配なのはその副作用だ。制服組が、失望感から、文民統制を軽視しないかという点だ」

 邦人人質事件そのものについては、多くの与党幹部が「危険地帯に入った無謀な人たち」を政府あげて救出する「迷惑」の大きさを強調してきた。しかし、そもそも政府は人質解放のために水面下で有効な救出策を打てたのか。疑問の声は多い。前出の藤井氏は「解放されたのは、人質になった人たちが占領や自衛隊派遣に反対だったというのが第一の理由」と話す

 政治評論家の森田実氏も、同様の見方を示す。

 「イラクの聖職者協会の人が言った『日本政府から働きかけはなかった』が本当だと思う。政府はバタバタと救出策をとり、逢沢(一郎)外務副大臣がアンマンに行ったりしたが、本当の交渉をやった形跡はない」

18日、疲れ切った表情で羽田空港に姿を見せた高遠菜穂子さん(前列左)、今井紀明さん(後列中央)、郡山聡一郎さん(後列左)。前列右は菜穂子さんの弟、修一さん、後列右は紀明さんの兄、洋介さん


"救出なき"解放 人質が「派遣反対」だから

首相の発言が 反日感情刺激

 小泉首相が来日していたチェイニー米副大統領にファルージャ停戦を申し入れたかの報道もあるが、森田氏は「本当であれば、米国のメディアはそう報道するだろう。停戦の継続は(米国の政策上)独自に決まった話で、小泉首相が関与したように言われるのも世論操作だ」と推測する。
 
 むしろ小泉首相は人質事件の発生当初、武装グループを「テロリスト」呼ばわりしたことで、イラク国内の反日感情を刺激し、解放を遅らせたとも伝えられるが、政治評論家の小林吉弥氏は「小泉さんはもともと言葉を選んでしゃべる人ではない」と話す。
 
 結局、人質解放の決定打は、「彼ら(人質)がイラクの敵ではなかったからだし聖職者協会の人たちの理性」(森田氏)のようだ。実際、解放されたフリージャーナリストの安田純平氏はNHKのインタビューで、政府の対応に謝意を表しながらも、「(イラクと)日本の歴史に救われた」と率直に語った。
 
協力の見返り 巨額の請求書
 
政府は機密を盾に解放までの経緯を明かさない。だが、漏れ伝わってくるのは有効策よりも無策ぶりだ。解決のため政府から情報提供を求められた中東研究家の一人はこう苦笑する

 「政府が困っているのは打ち寄せてきた請求書の処理です。例えば、ヨルダンは(解放に向けた情報提供や協力の見返りとして)約二千億円に上る債務の帳消しを求めてきた。日ごろから情報がなく、役に立たないルートまでボタンを押しまくったツケです」

 逆に解放の立役者で、反占領勢力のイラク聖職者協会幹部アブダルサラーム・クバイシ師は「われわれは日本政府より日本人の生命を大切にした。(中略)人質解放後も、日本の外務省はわれわれに感謝していない」と憤りをぶちまけた

 こうした政府の対応には多くの疑問符がつく。本来なら「責任論」も噴出しかねないが、世論は小泉内閣を後押しする結果となっている。十七、十八日に読売新聞が行った世論調査では人質事件についての政府の対応を「評価する」が74%に上った。自衛隊のイラク派遣を「評価する」人も60%で、一月の同様調査の53%を上回ったという。内閣支持率も「支持する」が59・2%で三月調査より増えた。朝日新聞の世論調査でも同様の傾向が見える

世論操り「撤退」に逆風 政権守ったすり替え術

 森田氏は「本当は、イラクには非戦闘地域などない時期で、小泉首相は窮地にあった。ところが、人質事件で出た自己責任論が、逆に小泉首相や政府を利する結果となり、自衛隊派遣をも合理化する結果となった」と分析する。

家族の状況を利用に成功し

 メディアと政治の問題に詳しい明治学院大学の川上和久教授は、そのからくりを、こう解き明かす。
 「政治の駆け引きの中で人質事件が論じられ、自己責任論が出たため、自衛隊の派遣が正しかったのか、国際社会の中でどういう意味を持つのかという議論が隠れてしまった。特に、人質家族が、政治の土台に乗るような形で、『自衛隊撤退』を言うと、そこに世間の非難が集まった。本来、人質問題とは距離を置いた自衛隊派遣反対の意見にまで『人質家族と一緒になって騒いでいる』というような逆風をもたらす構図ができてしまった」

 その上で、自己責任論にも言及する。「国民、皆が後味が悪い。自衛隊の撤退という問題が、国際的な政治問題の中でなく、国内政治の問題として出てきた。小泉首相にすれば、家族の置かれた状況を利用し、逆に『自己責任』を出すことで自らの責任をすり替えることに成功した

※デスクメモ
 小泉首相が人質事件の一報を聞いたのは会食の席だ。ワインを飲みステーキを食べ懇談を続けたと言う。前任の森首相はえひめ丸事故の一報をゴルフ場で聞きながら、プレーを続けたことで批判を浴び、政権を降りた。これに限れば、森さんは「自己責任」を全うした。政治も世論も健全だった気がする。(熊)



やがてまもなく、小泉の"自己責任"が強烈に問われるであろう。
http://www.asyura2.com/0403/senkyo3/msg/167.html
投稿者 クエスチョン 日時 2004 年 4 月 21 日 20:19:07:WmYnAkBebEg4M

やがてまもなく、小泉の"自己責任"が強烈に問われるであろう。


 つい、3ヶ月前の世論調査では、過半数がイラク派遣に反対であった。

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Kyoto Shimbun 2004.01.18 News

 自衛隊派遣反対が51・6% 世論調査 内閣支持率は上昇
http://www.kyoto-np.co.jp/news/flash/2004jan/18/CN2004011801003125A1Z10.html

 共同通信社が陸上自衛隊の先遣隊派遣を受けて17、18両日に実施した全国電話世論調査によると、イラクへの自衛隊派遣に反対が51・6%と過半数を占め、賛成42・8%を上回った。

 内閣支持率は昨年12月の前回調査に比べて8・7ポイント増の52・5%に上昇、不支持率は4・5ポイント下落の39・9%で、2カ月ぶりに支持が不支持を上回った。

 派遣した自衛隊員に死傷者が出るなど不測の事態が起きた場合の小泉純一郎首相の政治責任について、「退陣すべきだ」が35・9%、「政治責任はあるが退陣の必要はない」が50・0%で、政治責任があると考える人が計85・9%に上り、「政治責任はない」は10・9%にとどまった。その場合、自衛隊は「撤退すべきだ」は53・2%で、「撤退すべきではない」の41・9%を上回った。

 首相の国民への説明が「十分でない」と思う人は前回比5・0ポイント減の84・2%、「十分だ」は5・6ポイント増の12・0%だった。

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 それにも関わらず、先遣隊派遣後、世論に逆行して本隊までも派遣した。もし、自衛隊に戦死者が出たら下記の投稿をする予定である。やがてまもなく、小泉の"自己責任"が強烈に問われるであろう。時間の問題だ。