JASRACの利権運動の広がりウオッチ

 (最新見直し2007.4.1日)

 (れんだいこのショートメッセージ)
 最近の東京における超高層ビルの乱立競い合いを見て、更なる建設ラッシュに向うのを是とする観点を持つなら、その御仁はJASRAC運動にも同じく容易に賛意を示すであろう。なぜなら、通底する論理が似ているから。しかしながら、超高層ビルが観光用の為ならともかく生活し仕事するには全く不向きではなかろうかと訝り、一体どのような建築物が望ましいのかを考える御仁であれば、同様にJASRAC運動にも疑いの眼を持つであろう。思想における一事万事とはこういうことを云う。

 問題は決して難しくは無い。大項目として類としての人間社会はどう有るべきか、権利(この場合、社会的生活権はともかく社会権益権として措定される権利とする)とはどのような抑制の下で行使されなければならないのか、というテーマの確認を為せば良いだけのことである。我々はこの種の法哲学的考察が滅法弱く、徒に法文を増やす時代に突入しているのでは無かろうか。

 2004.9.12日 れんだいこ拝


【JASRACの法改正の流れ】
 詳細情報はURL(http://www.johnnycash.com/)で知ることができる。「作曲家/ヴァイオリニスト 玉木宏樹ホームぺージ 」「音楽著作権とJASRAC問題」、「JASRACについて考える」のSWAN氏の2007.6.6日付け投稿「文化庁返信」その他を参照する。それによると、音楽著作権使用料規程策定は次のように改訂されている。
 1886(明治19)年、ベルヌ条約がヨーロッパ諸国を中心に創設された。ベルヌ条約に関する事務は、全世界の知的所有権保護の促進・改善を目的とする世界知的所有権機関(World Intellectual Property Organization、略称WIPO)が行っている。数次の改正を経て、パリ改正条約が最新のものとなる。
 
 ベルヌ条約の主な原則は、次のとおり。
 内国民待遇
 同盟国が外国人の著作物を保護する場合に、自国民に与えている保護と同等以上の保護及び条約で定めている保護を与えねばならない。
 法廷地法原則
 著作権の保護範囲及び救済方法については、条約の規定によるほか、保護が要求される国の法令による。
 無方式主義
 著作権の享有には登録、作品の納入、著作権の表示などのいかなる方式も必要としない。
 遡及効
 条約は、その発行前に創作された著作物であっても、発行時にその本国又は保護義務を負う国において保護期間の満了により公有となったものを除き、すべての著作物に適用される。

 1899年、日本がベルヌ条約加盟。

 1899(明治32).3.4日、旧著作権法制定。この時点では、演奏、歌唱、録音媒体の使用ごとに著作権料を支払うという制度は無かった。

 1970.5.6日、著作権法を全面改定し新著作権法公布。1971.1.1日、同法施行。

 国民生活への多大な影響を懸念した政府(第三次佐藤栄作内閣)は、第22条(上映権及び演奏権)の権利が及ぶ範囲を、原則として生演奏、レコード演奏の区別なく権利が発生するとしつつも、著作権法附則14条と著作権法施行令附則第3条によって権利が及ぶ範囲を1.音楽喫茶(喫茶店その他客に飲食をさせる営業で、客に音楽を鑑賞させることを営業の内容とする旨広告し、または客に音楽を鑑賞させるためのの特別の設備を設けているもの)。2.キャバレー、ナイトクラブ、ダンスホールその他フロアにおいて客にダンスをさせる営業。3.音楽を伴って演劇、演芸、舞踏その他芸能を客に見せる事業に限定し、他の音楽利用は自由(無料)とした。

 1971.2.20日、使用料規程の一部変更許可申請(著作物使用料規定一部変更認可申請理由書、著作物使用料規定新旧対照表)。1971.4.1日、使用料規程の一部変更認可。

 1986.6.2日、使用料規程の一部変更認可申請(著作物使用料規定一部変更認可申請理由書、著作物使用料規定一部変更案)。1987.3.27日、使用料規程の一部変更認可(使用料規程改定、使用料率改定、現行の社交場既定制定、カラオケ管理開始)。

 1997.9.26日、日本音楽著作権協会は、業務用通信カラオケ向けの音楽著作権料の規定について、音楽電子事業協会(AMEI)と合意した。この規定では、これまで複製権、優先送信権などの権利ごとに定めていた使用料の考え方を改め、通信カラオケのシステムを1つのくくりとして使用料を定めた。今後、家庭向け通信カラオケ、パソコン通信、インターネットなどを含めた利用形態に対応する規定も作られる。

 1998.5月、JASRACとネットワーク音楽著作権連絡協議会は、インターネット上の音楽配信に関する著作権使用料について、暫定的な支払い規定を作成することに合意し、1998.6月に発表した。

 1998.8月、日本音楽著作権協会など6音楽関連団体は、著作権者の許可なく音楽を配信している違法なMP3サイトについて注意を呼びかけるホームページを開設し、1998.8.6日日から違反者には直接メールで警告していくキャンペーンを開始した。

 1998.10.1日、
日本音楽著作権協会、日本レコード協会、日本芸能実演家団体協議会、音楽出版社協会、日本音楽事業者協会、音楽制作者連盟の音楽関連6団体が、著作権を無視した音楽利用について共同で撲滅キャンペーンを開始し、国内700社のプロバイダへの協力要請を実施し、問題のあるホームページを検索できるソフトの開発に着手した。

 1998.11.26日、電子ネットワーク協議会やマルチメディア・タイトル制作者連盟、ソフト制作関係の業界9団体で構成するネットワーク音楽著作権協議会と協議していたネットによる音楽ソフト配信の著作権使用料について、有料の音楽ソフト配信は売り上げの6〜8%、インターネット放送はパソコンなどに音楽データを保存できないことから売り上げの1〜3.5%にするといった大筋で合意し、最終調整することになった。これにより、インターネットによる音楽配信の可能性が大きくなった。ただし、これらの協会に所属しない海外からのMP3を利用した配信など、不透明な部分もある。

 1999.6.3日、日本音楽著作権協会は、2001年までに楽曲のデータの中に不正コピーの防止機能と著作権情報を盛り込んだ電子透かしを埋め込み、ネット上で著作物の利用状況が把握できるようにして、有料音楽配信が可能になる著作権管理システムを構築するプラン「DAWN 2001」発表した。しかし、現在のようにJASRACだけが著作権を管理していたのでは、米国のように複数の管理団体によっては使用料のレートが異なり、アーティスト自身が自分の作品を管理してくれる団体を選ぶことがでず、現在の流通状態に対応していないことから、改革を望む声が高くなっている。文化庁では、音楽や小説などの著作者に代わって集中管理団体が独占的に使用料の徴収などを行う現在の制度を見直し、許可制を登録制にするという「提言」を発表した。

 1999年、小渕恵三内閣は、附則14条がWTOでEUからベルヌ条約違反の指摘を受け廃止した。2000年施行。

 2000.4.3日、ネットワーク音楽著作権連絡協議会とJASRACは、1999年来継続してきた2000.4.1日以降のネットワーク上の音楽利用に関する著作権使用料率について、1998.11月の暫定合意に、電話機の着信メロディ配信及び試聴等についての取扱いを加えて延長することに合意した。

 2000.6.15日、日本音楽著作権協会は、野村総合研究所に委託し、国際著作権管理団体のCISAC/BIEMと音楽「電子透かし」技術の評価プロジェクト「STEP2000」を実施することを発表した。

 2000.12.15日、日本レコード協会が音楽配信の著作権使用料をCDなみの6%を主張していたのに対し、文化庁は著作権審議会の答申に基づき、JASRACが申請していた1曲当たり7.7%を正式に認可することを発表し、2000.12.22日に1曲あたり月額150円または年額1200円の使用料へ引き下げ修正を行って正式に認可された。20001.7.1日から使用料を払う必要が出てきた。

 ただし、日本レコード協会は、7.7%の料率が現行のCDパッケージでの料率(6%)に比べて高いことなどを不服としてNMRCを離脱し、音楽配信ビジネスを展開している日本レコード協会傘下のレコード会社とJASRACは個別に使用料について協議することになった。

 2001.5.23日、日本音楽著作権協会は、2000年度のカラオケや携帯電話の着信メロディなどの使用料徴収額が前年度比7.4%増の1063億3000万円であったことを発表した。

 2001.6.1日、日本音楽著作権協会は、ネットワーク著作権連合協議会共同で2000.8月に文化庁へ提出していた申請書にしたがい、2001.6.1日より個人ホームページ上など、非商用目的の音楽配信を対象にした利用許諾申し込みを開始し、2001.7.1日より著作権管理を開始する。利用許諾をした利用者に対しては許諾書の発行、適法な音楽サイトであることを表示するライセンスマークなどを提供することになった。また、日本音楽著作権協会が管理している楽曲かどうかを検索できるデータベースサイトも公開した。詳細情報はURL(http://www2.jasrac.or.jp/)で知ることができる。

 2001.10.3日、RIAAとMPAAは、Napsterと同様に、次世代のNapsterとして「Morpheus」、「KaZaA」、「Grokster」を著作権侵害に当たるとしてカリフォルニア州中部の連邦地裁に提訴したと発表した。詳細情報はURL(http://www.riaa.org/PR_story.cfm?id=456)で知ることができる。

 2001.10.1日、著作権に関する仲介業務に関する法律廃止、著作権等管理事業法施。(使用料規定の届出書、 著作物使用料規定、新旧対照表、使用料規定に係る利用者又はその団体からの意見聴取について)。2001.10.2日、使用料規程の届出(別添資料4)。

 著作権に関する法律では、JASRACなどの仲介業務団体が著作物使用料規程を定め、変更する場合は、文化庁の認可が必要でしたが、この仲介業務法は平成13.10.1日に廃止され、同日に施行された著作権等管理事業法では、著作権等管理事業者が使用料規程を定め、変更する場合は、利用者又はその団体からあらかじめ意見を聴取した後、文化庁に使用料規程を届け出ることとされた。

 2002.1.29日、日本音楽著作権協会と日本レコード協会は002年1月29日に、日本で初めて登場した日本語版ファイル交換サービスを提供できるP2PプロジェクトJXTAに参画しているITP Web Solutionの技術を利用したクライアントソフト「ファイルローグ(日本語版)」を運営する日本MMOに対して、「法的措置」をとると表明し、ファイル交換停止を求める仮処分を東京地裁に申請した。「ファイルローグ」は音楽以外のパソコンソフトなどのファイルも交換対象であることから、パソコンソフト・メーカーなどでつくる業界団体コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)もJASRACの活動を全面的に支援する姿勢である。イギリスのCyber-Rights & Cyber-Libertiesは1997-2002のステートメントをPDFで公開した。詳細情報はURL(http://www.cyber-rights.org/5th_year_statement.htm)で知ることができる。

 2002.2.28日、日本レコード協会の所属レコード会社など19社と日本音楽著作権協会は、電子ファイル交換サービス「ファイルローグ」を運営する日本MMOと、松田道人社長に対し、音楽ファイルの交換停止と、サービス開始から4カ月間に19社が約1億5,100万円(1カ月約2,805万円×4+諸費用)、JASRACは2億1,433万円(1カ月約3,969万円×4+諸費用)の損害があったと算出し、計3億6,533万円の損害賠償を求める民事訴訟を東京地裁に起こした。さらに、3月以降もサービスを継続した場合には、さらに月6774万円 (2,805万円+3,969万円)の加算を求めている。詳細情報はURL(http://www.riaj.or.jp/cgi-bin/press_release.cgi?id=28)または、URL(http://www.jasrac.or.jp/release/02/02.html)で知ることができる。

 ただし、「金」と「組織力」などによる一方的な訴えにならないように、Marilyn Hall Patel判事は2002年2月21日に原告の大手レコード・レーベルに対して、反トラスト法の観点から、オンライン音楽事業関連で著作権の濫用がなかったか綿密な調査を行うよう命じた。

 2002.4.9日、東京地方裁判所は、日本エム・エム・オーに対し、MP3仕様により市販の音楽CDから作成したファイルを「ファイルローグ」ユーザーに提供することを禁じる差止命令を下した。詳細情報は日本レコード協会会長富塚勇「日本MMO社に対する仮処分事件の勝訴にあたり」のURL(http://www.riaj.or.jp/cgi-bin/press_release.cgi?id=33)で知ることができる。

 2002年、JASRACが、BGMの徴収を開始。

 2002.5.22日、日本音楽著作権協会は、2001年度の著作権使用料徴収額を発表し、複合その他で表記された携帯電話着信メロディや楽曲のダウンロード配信を含む「インタラクティブ送信」の徴収額は対前年比で315%の成長を記録し、40億861万円となった。着メロが占めた金額は38億3100万円で、徴収額の95%を占めたことになる。全体では10%ダウンの1,052億8,000万円であった。詳細情報はURL(http://www.jasrac.or.jp/release/02/05.html)で知ることができる。


JASRACが管理している楽曲か検索できるサイト
RIAAとMPAAが2001年10月2日に提出した告訴状
MPAAの告訴人リスト
RIAAの告訴人リスト
JASRAC評価総括
SIIAとKPMGが公開した、インターネット経由の著作権侵害調査報告
Cyber-Rights & Cyber-Libertiesの1997-2002ステートメント
「日本MMO社に対する仮処分事件の勝訴にあたり」
IFPIの「Music Piracy Report 2002(音楽海賊版レポート2002)」
日本音楽著作権協会の2002年5月22日リリース
日本音楽著作権協会の著作権使用料徴収額

【ヤフーとJASRACがネット配信契約】

 ヤフー、日本音楽著作権協会と基本契約を締結――音楽の無料配信で」は次のように伝えている。

 2003.4.3日、ヤフー(株)と(社)日本音楽著作権協会(JASRAC)は、インターネット上での音楽のインタラクティブ(双方向)配信に関する基本契約を締結したと発表した。これは、著作隣接権などのJASRACが管理する著作権以外の権利に配慮したもので、ヤフーがJASRACに著作権使用料を支払うことにより、著作権者の権利を損なわずにインターネットユーザーが無料で音楽を楽しめるようにするというもの。これにより、音楽配信や歌詞の閲覧などの音楽関連サービスの拡充や、インターネット放送局などの新サービスの提供、インターネット広告との連動の模索などに、JASRACが管理する国内作品約110万曲、海外作品約500万曲、計約610万曲の音楽をベースとした新しい展開が可能となるとしている。ヤフーは、今後、音楽配信や歌詞の閲覧サービスなどのインターネット上での音楽の無料利用に関連した取り組みが積極的に展開できるようになるとしている。

 東京地裁、日本MMOの著作権侵害を認める中間判決──JASRACとRIAJ「高く評価できる」」を転載しておく。
  2003年1月29日

 (社)日本音楽著作権協会(JASRAC)と(社)日本レコード協会(RIAJ)は29日、JASRACとRIAJ加盟レコード会社19社が(有)日本エム・エム・オー(日本MMO)に対して提起していた著作権侵害訴訟(※1)に関して、東京地裁の中間判決(※2)が下されたことを受けて記者会見を行なった。

 ※1 この訴訟で争われたのは、著作権のうち、複製権/送信可能化権/自動公衆送信権の侵害と、それに関する損害賠償についてである。以下、本記事中で著作権という場合、複製権/送信可能化権/自動公衆送信権を指すものとする。

 ※2 中間判決とは、民事訴訟法245条に基づき、損害賠償請求の原因と金額に関する争いがある場合などに、原因の部分のみについて判決を下すというもの。

 この裁判では、日本MMOが提供していたファイル交換サービス“ファイルローグ”によって著作権侵害が行なわれたこと、著作権侵害を行なったのはサービスを提供していた日本MMOであるということ、損害賠償責任を日本MMOと同社代表取締役の松田道人氏が負うことについて争われた。裁判の過程で東京地裁は、“ファイルローグ”で提供されていたファイル名やフォルダー名のリストに市販音楽CDのタイトルや実演者名を表記してはならないという仮処分を出しており、これを受けて日本MMOは4月16日よりサービスを停止している。

 今回の中間判決は原告側の訴えを認めるもので、日本MMOと松田氏が損害賠償責任を負うという判断が下された。具体的な損害賠償額については、最終的な判断である終局判決を待たなければならない。なお、現在までの被害額は、JASRACについては2億8700万円あまり、レコード会社についてはRIAJの調査で1億9000万円程度になるという。

 著作権侵害の主体は日本MMO

 記者会見では、まずレコード会社の訴訟代理人である前田哲男弁護士が、中間判決の概要を説明した。

 この中間判決で明らかになったのは、“ファイルローグ”サービスにおいて著作権侵害の事実があったこと、著作権侵害の主体は日本MMOであること、日本MMOと松田氏に賠償責任があるということだ。前田氏は「4月の仮処分で、著作権侵害の事実認定はある程度示されており、今回は昨年5月に成立したプロバイダ責任制限法(※3)が日本MMOに対する損害賠償にどう影響するかが争点となった。今回の判決で、日本MMOは自ら発信者の役割を果たしており、免責を受けられないと判断された」と、今回の中間判決について説明した。

 ※3 「特定電気通信役務提供者の損害賠償の責任の制限および発信者情報の開示に関する法律」のことで、特定電気通信事業者(ISPなど)は、流通している情報により生じた損害を賠償する責任がないこと、情報の流通によって損害を受けた人は関連する特定電気通信事業者に発信者に関する情報の開示を求められることなどが規定されている。

 次に、JASRACの訴訟代理人である田中豊弁護士が、今回の判決の持つ意味について説明した。

 田中氏は、「今回の中間判決には法解釈論としての意味、ビジネスとしての意味、国際的な著作権保護に対する意味がある」と語り、それぞれの意味について説明した。

 田中氏の説明によれば、まず法解釈論としては、ファイル交換ソフトとインデックスサーバーを利用する場合、ファイルを交換した利用者に限らず、ファイル交換ソフトやサービスを提供している主体(日本MMOやNapsterなど)の著作権侵害が認められた。つまり、新しい技術を利用してビジネスを立ち上げる際に、既存の権利を保護する技術を持たない場合にはサービスの提供は違法ということになる。また、米国のNapster判決と同様の判決が出たことで、日本のネットワークにおける著作権保護が米国に劣るものではなく、国際的な著作権保護の流れに対応した判断がなされたという。

 田中氏はこれらの点に加え「今回の裁判は賠償責任と賠償額を分けて審理することで、迅速な裁判が行なわれた」との評価を示した。

 「著作権を盗むことに罪悪感を感じないのは恐ろしいこと」とRIAJ

 引き続き、RIAJ会長である富塚勇氏が、今回の判決を受けてのコメントを発表した。

 富塚氏は田中弁護士と同様、今回の中間判決は明快で、国際的な著作権保護の流れにも対応した正当な判決であると評価した。一方、「こういった判決があるにも関わらず、技術の進歩や消費者の権利と称して著作権の侵害行為を行なう人が非常に多い。著作権を盗むことに罪の意識を感じない人が多いのは恐ろしいこと」と、RIAJの立場から音楽ファイルの違法配布に対する問題を提起した。その上で「人権である著作権を理解していない人が多いことが問題で、こういった判決を契機に著作権教育が必要になる」と、今後の対策の必要性を訴えた。

 JASRAC理事長の吉田茂氏は、今回の中間判決について「わが国の著作権制度に照らして当を得た判決」であると評価するコメントを発表した。

 吉田氏はコメントの中で「ファイル交換による違法行為が蔓延しているが、このような違法行為を排除して著作物を適正に利用することは、音楽文化の振興に必要な要件であることを理解してほしい」と語り、現在JASRACが取り組んでいる、著作物の違法利用監視システムや電子透かしの実用実験、ISPとの連携による違法な著作物流通の排除といった、違法行為排除の取り組みを紹介した。今後については「関係団体と連携をとりながら、著作権の保護と利用の円滑化を図り、(JASRACの)使命である音楽文化の普及、発展に貢献したい」と締めくくった。

 ビールが有料なら音楽も有料であるべき

 記者発表会終了後、JASRAC理事長の吉田茂氏に、現在のファイル共有技術などを前提に、音楽利用の利便性促進についてどのような取り組みを行なうのかについて伺った。

 吉田氏は、「音楽流通技術の進歩とそれに対する課金技術の進歩にこれまでは“ずれ”があった。音楽ファイル流通の技術があるにもかかわらず、適正な著作権使用料徴収の仕組みがなかったため、利用者の利便性が損なわれ、違法なファイル共有が行なわれてきたという側面もあるだろう」と、利用者の利便性を促進する必要性があることを認めた。その上で「現在JASRACでは、ウェブサイトでの音楽ファイル利用に関する料金体系や、利用申請や料金支払いを容易にするためのウェブサイトなどを用意し、利用者の利便性を損なわずに音楽を利用できるシステムを用意している。今後もさまざまな技術を検討するつもりだ」と語った。

 また、個人のウェブサイトなどを通じて無料で音楽を配布する場合にも、1曲あたり月額150円が課金されるといった料金体系に関しては、「1曲あたり月額150円という料金を安いと見るか高いと見るかは利用者次第。しかし、利用料を明確にしたことで、配布を取りやめる人も出てきている。適正な料金については人によって異なるが、さらなる議論が必要」と、継続的に議論することを示唆した。一方で「たとえば、カラオケ店でビールを飲みながら音楽を利用するといった場合、ビールにお金を払うのは当たり前でも音楽にお金を払うことに違和感を感じる人もいる。音楽もビールと同じように、楽しむにはお金を払う必要があることを理解してほしい」と語り、著作権利用料に関する理解を進めることが必要との考えを示した。

(編集部 阿蘇直樹)

 この記事が関連していると思われます。

ASCII24 Top ASCII24 News ASCII24 Review ASCII24 Business Center 携帯24 Akiba2GO! 日刊アスキー Linux デジタル用語辞典 ASCII24 Broadband Center 最新ニュース バックナンバー イベント情報 ASCII24 Top ASCII24 News ASCII24 Review ASCII24 Business Center 携帯24 Akiba2GO! 日刊アスキー Linux デジタル用語辞典 ASCII24 Broadband Center 最新ニュース バックナンバー ASCII24メールサービス ASCII25.com

 



(私論.私見)